大亀幸雄 50年の足跡 |
敵わない人 藤原 裕示
少し勝手ではありませんか。
何しろ敵わない人である。私が若いのだから仕方ないのだけれど、うっかりすると、やられる。時にはやられた事を随分経ってから気付いたりするからかなlわない。
時に「この事について意見を聞きたい」などと、自分のペースで訪ねて来られ、つい、巧く乗せられ、知った振りして政治の事など放言したものなら、この程度の者かと見透かされている様で敵わない。
また、突然、無理ではないかと思われるような話を持って来られ、途方に暮れているうちにどんどん話を進め、同意させられてしまう。何しろ、充分考えてから仕掛けて来るので太刀打ちできない。これからは気をつけようと思いながら、いつもペースにはまってしまうから敵わない。
遊びなら気が楽だろうと、麻雀や碁に誘われたりするが、自分が負けた時など、かなり機嫌が悪くなるので敵わない。
そういう人が五〇年の節目だとか、体調がどうのとか、新聞で発表して勝手に、サッサと引退してしまうのですから、これまた敵わない。
私などどう考えても、今までの世界から、足を洗えそうにない人に思えるのですが……。ひょっとして、日本の政治をどう判断していいのか、明快な答えが見つからなくなってしまったのでしょうか。
でも、今、日本どころか、クリントンだって、エリツィンだって、どうしていいのか分かっていない時ですし、また、人間がガン細胞化してしまった現在、地球自身が人類をどうしようかと悩んでいるのですから、もう、誰にもどうしてよいのか分からない時代です。
そして、私達の国は老齢化社会に突入してしまいましたので老いても働かなければならない時ですから、引退だ、何んだと言うのは少し早過ぎませんか……。
何はともあれ、政治など見向きもしなかった私に、少しでも敵いたいと思って、政治の勉強や社会情勢の知識を学ぶ機会を与えていただきました、大亀幸雄さんには、大変感謝いたしております。
ありがとうございます。(ふじわら・ひろみ マルユー書籍販売代表取締役)