2005年5月17日 | 戻る/ホーム/民主党文書目次 |
民主党第335回常任幹事会確認
4月12日告示、24日投開票の日程で実施された2005年国政統一補欠選挙は、宮城2区、福岡2区ともに惜敗の結果となった。前回の衆参選挙によって開かれた政権交代の扉をさらに押し開くための重要なステップとして、党の総力をあげた、かつてない選挙戦を展開した。
選挙結果は、両選挙区ともに民主党前職の辞職に伴う補欠選挙という不利な条件の中で果敢な選挙戦を展開し相手候補を追い詰めたものの、一歩及ばず、2大政党制のもとで政権交代に期待する有権者の関心を民主党に収斂することができず、結束した自公選挙の壁を打ち破れなかった。
前回の総選挙で民主党に議席を与えていただいた有権者の皆様の期待を継承しえなかったことを深く反省し、お詫びを申し上げるとともに、門間・平田両候補者を支えていただいた地元の皆様をはじめ、両選挙区を応援していただいた全国の皆様に心から感謝する。
地方議員の飛躍的拡大をはかるなど、党の足腰を日常的にさらに強化していくこと、国民との対話を重視し、国会内外での活動をより一層強め、自公連立政権とは異なる、民主党による政権交代の意義をより鮮明にしていくことは、政権交代の実現をめざす民主党にとって、依然として重要な課題として残されている。また補欠選挙連敗の結果は、2大政党制の定着という現実に立って、低投票率を想定しても勝ちぬける、本選挙とは異なった補欠選挙独自の戦略構築をあらためて求められている。
徹底してたたかった、この補欠選挙の総括を貴重な糧として、当面する7月東京都議会議員選挙・10月国政統一補欠選挙、次期衆議院総選挙に向けた周到な準備に活かしていかなければならない。
一刻も早く政権交代を実現しなければ、閉塞感が漂う日本の状況は一向に改善されないことは明白である。実際に、政権交代を望む国民の期待感は確実に強まっている。民主党は、その期待感をしっかりと受けとめ、自らの責務を再認識するとともに、今回の反省をかみしめて、次のたたかいで何としても着実な前進を遂げなければならない。
1 選挙結果について
宮城2区選挙では、相手候補が「自民党改革派」・「自民党隠し」による無党派対策を展開する一方で、公認候補者として自公の組織選挙をフル回転させた。投開票の結果、宮城2区では、投票率が戦後最低の36.75%と低迷する中で、門間候補は、自民党候補を6000票足らずのところまで追い上げたが、自民・無所属候補に無党派層が分散され、自民・公明の強固な組織力の壁を突き崩すに至らなかった。
福岡2区選挙では、相手候補が「みそぎ」・「ドブ板選挙」を展開すると同時に、震災復興事業においては「中央とのパイプ」を強調して地方議員・国会議員の「利益誘導型」選挙を徹底した。また、前回の総選挙では一定の距離をおいた公明党が、「連立政権のパートナー」として総力で支援した。
平田候補は、1503回の「街角トークラリー」を実施し、有権者との直接の対話を積み重ねる中で、政権交代につなぐ補欠選挙の意義を訴えてきたが、前回本選挙の投票率を7.42%下回る、45.99%の低投票率の中では、自民党候補の前に力が及ばなかった。
今回の補欠選挙は、両方とも民主現職の辞職に伴うものであり、日常活動、知名度・浸透度、支援団体・後援会組織を含め、本来の選挙基盤となる「財産」が継承されないままに、スタートせざるを得ないというハンディを乗り越えられず、両選挙区ともに、低投票率の中で、与党の結束した、強烈な締め付け選挙の優位性を覆すことができなかった。
2 総括と次期選挙に向けた改善点
徹底したたたかいを挑み、敗北した補欠選挙の敗因分析を一過性のものとせず、地元県連・総支部の詳細な総括作業を含めて、今後の対策方針に具体化されるよう継続して検討し、次期都議選・10月補選・本選挙へ活用していくことが重要である。
(1)低投票率を前提とした補欠選挙対策の総合的検証・検討について
補選の低投票率という一般傾向は免れえず、とくに宮城2区については、選挙違反事件のペナルティとしての低投票率につながった側面も否定し得ない。有権者の政治的関心や期待を集め、投票率を高めるための方策を構ずることを基本としつつも、低投票率となった場合においても、勝利しうる戦略および選挙対策を講ずる必要がある。
その際、本選挙の延長線上で補欠選挙対策を構想するのではなく、補欠選挙特有の条件設定の中で、補欠選挙の要因、選挙区事情などを踏まえ、勝ち抜くための選挙戦略、態勢、対策等を総合的に検証・検討し、今後の取り組みの再構築をはかる必要がある。
(2)候補者擁立について
民主党前職の辞職に伴う補欠選挙を前提として、選考過程の透明性の確保、候補者の早期擁立、清新な候補者選定を重点課題として、選び得る最善の候補者を擁立した。両選挙区の新人候補者は前職議員の辞職というマイナス地点からのスタートながら、厳しい選挙戦を全力で闘いぬき、次回につながる基盤をつくることができ、十分にその役割を果たした。
その上で、今後の補選候補者擁立の課題として、本選とは異なる補選の特性を踏まえた擁立が求められる。知名度、地域密着性、支持基盤、相手候補との対比などを総合的に勘案しながら、補欠選挙候補者としての強みを十分に発揮しうる、候補者の擁立を最大限追求しなければならない。
(3)選挙態勢について
地元選挙区・地元県連の取り組みをベースに、対策本部が全体的支援を行うという基本に立ちつつも、今回の補欠選挙の経験を踏まえ、選挙対策の効果を有効に発揮しうる対策機能のあり方について、見直す必要がある。
党の総力を挙げた選挙戦を展開した一方で、地元県連・総支部を中心とした選挙態勢では、各種支援対策に十分に対応しきれなかったことや、選挙対策における指示系統の混乱や選挙態勢の分散化など、統一的、系統的な選挙対策の実施としては不十分であった。
補欠選挙態勢の基本軸が実際の「現場」である地元総支部・県連にあることは当然だが、それだけで全党をあげた支援態勢を効果的に実施することは困難である。今後は、各種選挙対策を効果的に効率的に実施するために、県連・地元総支部・本部・後援会・支援団体・様々な応援グループ等が一元的に活用される「現地合同選対本部」を確立して、対策本部と現地選対との有機的な連携を強めるなど、党本部の関与の強化をはかる必要がある。
(4)現地選挙対策への支援のあり方について
この度の選挙では、かつてない規模で各国会議員・秘書会の支援対策を実施し、両選挙区で国会議員・秘書各々700人以上が参加し、その取り組みが党の総力を挙げた選挙対策推進の大きな原動力となった。各国会議員・秘書会の活動は、遊説支援・各種団体等対策・地域対策・電話作戦など多岐にわたり、秘書会としては「現地活動実務研修」を含めて実施し、多くの参加を得て活発な活動が展開され、各々一定の成果が得られた。
しかし、その支援対策の効果的な実施、多様な支援メニューの準備、支援時期の選択などの点で非効率な点も多々あり、多数の国会議員・秘書会が現地支援を行う場合には、従来の現地主体・本部支援の枠組みでは受け入れ態勢に限界があることが明らかになった。現地の受け入れ態勢を強化し、効果的な支援対策を講ずるため、現地選対と緊密に連携しつつ、対策本部としての支援方針を明確にし、支援議員・秘書会の行動計画の企画策定、受け入れ準備等を統括する責任者・担当者の配置などを含め、対策本部が直接その任務を担う態勢を構築する必要がある。
(5)補欠選挙と連動する党活動・国会対策活動について
補欠選挙は、本選挙との特性の違いはあるものの、有権者の関心を高め、党への支持率を上げるためには、山積する国政上の課題を着実に選挙争点に結びつけていく必要がある。しかし、結果として、今回の取り組みの中では、有権者の関心を高めるに至らず、争点設定も十分な効果を上げられなかったことを反省する必要がある。
今後は、選挙日程に合わせて、国会論議のヤマ場を設定し、それを政策争点として明確化していくことが必要であり、そのためのわかりやすい政策提案、メリハリのある国会対応、それに連動した党活動が重要である。その際、政権交代に対する期待感を高めることを意識した、わかりやすい政策の提示とPR活動が求められる。
これらの活動を総合化し、選挙時以外にも民主党の存在感、政権交代への期待感を高めていく努力をさらに強化していくことが、選挙をたたかっていく重要な基盤となることは再度強調されなければならない。
(6)補欠選挙対策における広報宣伝活動について
選挙本番に向けて、小泉改革の決算を問う選挙争点として、年金改革の推進・税金の無駄使いと国民負担増・まやかしの小泉構造改革の3点を設定し、新聞広告・民主党CM・ネット広告など、両選挙区において本選挙並みの広報宣伝活動を実施した。
とくに補欠選挙の有権者の選択が、より大きな「日本の選択」につながっていることを訴え、補欠選挙の投票の意義を明確にしたが、具体的な争点が有権者に浸透しきれず、「日本の選択」が現実感をもって受け止められるまでには至らなかった。
同時に、補欠選挙に至った経過及び補欠選挙における直接の投票行動の実感と「日本の選択」の呼びかけに距離感が残り、キャンペーン・テーマの設定に課題を残した。補欠選挙の特徴、選挙区事情、候補者イメージ等を踏まえた、効果的なキャンペーン展開を本部・地元選対・県連との十分な連携の中で設定していかなければならない。
また、自公による政権運営・政策選択とは異なる民主党の違い、民主党が政権をとったら何が変わるのかなどを有権者に分かりやすく説明し、訴えることは、党内の意思統一を含めて不十分であり、日常の党活動・国会活動と連動した早期の取り組みが必要である。
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