2005年9月30日 | 戻る/ホーム/民主党文書目次 |
- 郵便及び郵便貯金については、国の責任で全国的サービスを維持する。2007年10月1日以降の経営形態は、郵便は公社、郵便貯金は公社の100%子会社である郵便貯金会社とする。
- 2006年度中に郵便貯金の預入限度額を700万円に引き下げる。2007年10月1日以降、郵便貯金については、定額貯金は廃止(新規預入を停止)し、預入限度額を500万円に引き下げる(*1)。旧貯金については郵便貯金会社に特別勘定を設け、公社の委託を受けて管理・運用を行う。
*1 預入限度額引き下げ前に預け入れた定額貯金等については、満期到来前まで当初預入額は有効。
- 2007年10月1日以降、簡易生命保険は廃止する。旧契約については、公社の子会社として保険業法に基づき2つ以上の郵政保険会社を設立し、これらの会社に分割譲渡する(*2)。郵政保険会社は、窓口業務を公社に委託できるものとする。各郵政保険会社の株式は、2012年9月30日までにすべて売却し、完全民営化する。
*2 実際には、公社と各郵政保険会社の間で再保険契約を締結。
- 郵政改革とあわせ、特殊法人・独立行政法人等の抜本的改革を進める。公社及び郵便貯金会社、完全民営化までの郵政保険会社による財投債・政府保証債・格付けのない財投機関債の購入を禁止する(*3)。
*3 国債と財投債を明確に区別するための措置を講じる。
- 2007年10月1日以降、公社の役職員は非公務員とする。公社の役職員には、守秘義務、忠実義務等を課す。
- 天下りを禁止する。
- 国民の安心を守ります
・ 「郵便と決済・少額貯蓄のサービスを受けられる」という国民の権利を保障します。
- 官と民の役割分担をはっきりさせます
・ 「国でなければできないことは国でしっかり責任を持つ。民間にできることは完全に民間に任せる」が基本的な考え方です。
・ 郵便事業と決済・少額貯蓄機能については、公社の下で過疎地・離島なども含めた全国サービスを保証します。
・ 保険機能については、分割・完全民営化します。
- 資金を「官から民へ」確実に流します
・ 貯金部門は、限度額引下げ等によって現在約210兆円の残高を段階的に大幅縮小し、資金を地域や中小企業などに開放します。
・ 保険部門は、5年後に完全民営化します。
・ 新たに発行される財投債の購入を禁止します。
- 民業圧迫を許しません
・ 金融部門は、十分に規模を縮小して市場の公正性を担保します。
・ 保険部門は、複数に分割した上で完全民営化します。
政府案 | 民主党案 | |
経営形態 | ・当初国100%出資の持株会社の下に「郵便」「郵便局」「貯金」「保険」の4社をぶら下げる ・10年後も持株会社への政府出資は3分の1以上残る ・「貯金」「保険」も、「10年後に完全民営化」と言いながら、持合いなどによって実質国有が続く可能性大 |
・郵便=公社 ・決済・少額貯蓄=公社の100%子会社 ・定額貯金と簡保=廃止 ・保険=5年後には分割された完全民間会社 |
資金の流れ | ・新会社が国債を大量に購入し続ける ・実質国有の色彩が色濃く残り、国や特殊法人のファイナンスに貢献 |
・規模縮小により官に流れる部分が激減し、民に流れる ・財投債購入禁止 ・完全民営化した保険会社による国債購入は民間会社としてのALMによる |
規模 | ・現在の巨大な規模が維持される可能性大 ・政府試算で「10年後の郵貯残高=140兆円」という数字はあるものの、預入限度額を撤廃することから肥大化の可能性大 |
・郵貯部分は限度額引下げにより段階的に規模縮小 ・簡保の部分は分割して完全民営化 |
民業圧迫 | ・半官半民の巨大会社による民業圧迫の怖れ大 | ・郵貯部分の規模は十分に縮小し、納税義務あり ・簡保は分割民営化 |
過疎地対策 | ・地方は基金等で維持 ・完全民営化の郵貯・保険が不採算部門を維持できるかどうかは不安が残る |
・郵便と決済・少額貯蓄については国の責任を明記 ・金融代理店業務は可能 |
職員の身分 | ・非公務員化 | ・非公務員化 |
民主党案であなたの預貯金・保険はこうなります
- 全国どこでも郵便貯金のサービスが利用できます
民主党は、郵便だけでなく、郵便貯金も国の責任で維持します。過疎地の郵便局を次々と閉鎖することはありません。全国どこでも郵便貯金のサービスが利用できます。
- 預入限度額は500万円にまで引き下げます
郵便貯金の預入限度額は、現在1,000万円のところを、2006年度中に700万円、2007年10月1日には500万円に引き下げます。ただし、これ以前に預け入れた定額貯金や定期貯金については、満期到来まで当初預入額は有効です。
- 郵便貯金からあふれ出た資金は地域経済を活性化します
預入限度額の引き下げによって郵便貯金からあふれ出た資金は、地域の民間金融機関や証券会社に分散し、最終的には中小企業などにも貸し出されます。この結果、地域経済は活性化します。民間部門からの税収も増えるので、財政再建にも寄与します。民主党は、郵便貯金の資金が国債引き受けや特殊法人に流れ、無駄遣いされている現在の仕組みを変え、民間資金を官から民へと流します。
- 簡易生命保険は廃止します
2007年10月1日に簡易生命保険を廃止します。ただし、これ以前に締結した保険契約は引き続き有効です。簡易生命保険の廃止と同時に、郵政公社の子会社として新たな保険会社を設置し、郵便局で取り扱います。新たな保険会社は保険業法に基づく新規業務を行い、2012年9月30日までに完全民営化します。
民主党案についてのQ&A(暫定版)
1. 民主党案と自民党案は何が違うのか?
- 民主党案は「官と民」の役割分担をはっきりさせ、国民の権利を保障している。
- 郵便とお金の出し入れや少額貯蓄は公社および公社の子会社で、国が責任を持って全国サービスを提供する。(この分野は過疎地や離島などの不採算部門もあるので民にはなじまない。だから、民営化しない。)
- ただし、預入限度額の引下げなどによって規模を段階的に縮小し、郵貯資金を確実に「官から民」へ流す。
- 保険については、5年後に分割完全民営化する。国が手を引くべきところでは完全に民間に任せる。
- 政府・与党案は、看板は「民営化」だが、実態は半官半民のわけのわからない経営形態。官の責任も民の競争原理も、中途半端にしか働かない。
- 不採算部門も民営化する、という建前を取っているため、地方で郵貯のネットワークが維持されるかどうか、不安がつきまとう。
- 郵貯・簡保のサイズが温存され、国債経由で資金が官・特殊法人へ流れ続ける。
- 事実上、国の信用を背景にした巨大金融機関が誕生して民業を圧迫する。
2. 民主党案では、郵便と貯金部門では税金を投入するのか?
- 郵便と貯金については、法案の中で「自律的な経営」を義務づけている。民主党案では郵政公社への天下りを禁止していることとあいまって、これまで以上の経営の見直しが行われる結果、赤字にならない経営は十分に可能である。
- ただし、赤字になることが100%ないとは言い切れない。郵便と少額貯金については国がセーフティ・ネットを提供するという理念に基づき、最悪の場合の税金投入(追加出資)はある。いずれにせよ、野放図な税投入は絶対にない。
3. 民主党案では、なぜ郵貯を公社の子会社とするのか?
- 組織を分け、それぞれに自律経営を課すことによって経営規律を高めることをねらった。
4. 民主党案では、納税しないではないか?
- 公社は国庫納付の制度があり、完全民営化される保険会社はもちろん、郵貯会社も納税義務を負う。
- 民主党案の郵貯縮小に伴い、郵貯資金が民間金融機関を経由して中小企業などに流れ、経済の活性化につながります。その結果、民間部門からあがる税収を考慮すれば、相当の税収増が期待できます。
5. 民主党案でも郵便局はコンビニをやるのか?
- やらない。郵便局を何でもかんでも取り扱う「ポストショップ」にはしません。
- ただし、地方における行政サービスの代行や、国際物流、一部金融関連分野で将来的に業務範囲を広げることは検討してよい。
以 上
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