2003年7月4日(金) | 戻る/ホーム/記者会見目次 |
岡田克也幹事長 定例記者会見要旨
■イラク人道復興支援特措法案の衆議院通過
【幹事長】私からは4点申し上げたいと思います。
第1は、先ほどイラク人道復興支援特別措置法案の採決が衆議院本会議で行われました。まず議場で気が付いたことは、野中、古賀両代議士が途中退席されたこと。そして、私の見間違いでなければ、自民党の議員のなかで座ったままの方(法案に反対)が何人かいたようにお見受けしました。
それを見て私が感じたことは、野中さん、古賀さんのような自民党の実力者が納得していない法案だということと同時に、野中さん、古賀さんが本気で反対するのであれば、それは党内で大いに議論すべき立場にある方だと思います。
自ら退席することで不満の意を表明したというのは大変子供染みていますし、自らを正当化しているに過ぎない。もっと責任のある態度、つまり本当に反対であるのならきちんと自民党のなかで議論をすべきであって、野中さんがおっしゃるように記名採決をすべきだというのなら、そういったことを本気でやれば実現できる立場にある人ですから、単なるパフォーマンスにしか見えない。そんなふうに思います。
いずれにしても、この法案は昨日の特別委員会の締めくくり総括質疑などを聞いていてもいつまでも平行線なんですが、特に戦争の大義ということについて、総理の「軽さ」が非常に目立ったと思います。
AP通信の調査では、民間人だけでも3000人以上の方が亡くなり、そして米英軍で250人。イラク軍も含めれば、恐らく1万人近い人が亡くなっているのではないかと考えられますが、それだけの命を奪うのが「戦争」です。
その戦争を間違って始めたかもしれない。そういうことについての恐れおののきといいますか、そういうものが小泉総理には全く伺えないわけで、戦争とか人の命というものに対するあまりにも軽いその態度というのが、私には信じがたい思いです。
「このまま行くと大量破壊兵器が世界中に拡散される。だからこの戦争をすることによって大量破壊兵器を除去することが必要だ」と本会議で強調したのは総理その人です。その大量破壊兵器が3カ月経っても出てこなければ、それは当然その責任を負うのは当たり前だと思います。
なぜ、大量破壊兵器があると、そしてそれが世界に拡散されると信じたのか。私はアメリカから動かぬ証拠を突き付けられて総理が決断をしたと思っていましたし、そう信じたいと思いますが、どうも総理のご発言を聞いていますと、そういうものが何もないままアメリカの情報を鵜呑みにして、そして国会で国民に向かって発言をしたと考えざるを得ないと思います。
そのことの責任を総理はどう考えておられるのか。改めてそのことを申し上げておきたいと思います。いずれ機会があれば、そういったことも総理に問い質してみたいと思います。ことは1万人近い人の命がかかった話、戦争に正当性があったかどうかという話でありまして、これは簡単には見逃すことのできない話だと考えています。
■ヤミ金対策法案
【幹事長】2番目はやや細かい話ですが、ヤミ金融対策法案について、我が方のかなり思い切った修正案が与党に受け入れられてまとまったことは、非常に好ましいことだと思います。
ヤミ金の問題は菅代表が神田にも行かれました。ある意味で、我々が問題提起をしていくなかで社会問題として取り上げられ、そして今回の法案一致に至ったものでありまして、民主党の1つの大きな成果だと思っています。
■福田官房長官発言
【幹事長】3番目、先の大学生レイプ事件に関する福田官房長官の発言ですが、昨日のイラク特別委員会での中川議員とのやり取りも聞いていましたが、福田さんは自身の発言について、その場では肯定も否定もしていません。非常に微妙な言い方で逃げているわけです。
それを見ていますと、ここは福田さんに本当に発言したのかどうか問い質さなければいけないと思っています。「そういう趣旨のことは言っていない」とか、そういうことを我々は聞いているのではなくて、一部に報道されているような発言(「女性にも挑発的な格好をしているのがいっぱいいる。僕だって誘惑されちゃうよ」等)があったのかどうかということを聞いているわけで、これについては是非、イエス・ノーで答えていただきたい。
「男は黒豹なんだから」とかいろんなことを言っておられるようですが、そういう発言が本当にあったのかどうか、何せ男女共同参画問題の責任者ですから、ここは国会の場で我々もしっかり答弁を求めていかなければいけない。そして、そういう事実があったのであれば、辞めてもらわなければいけない。
「辞める」という意味は、男女共同参画の責任者としての立場を辞任していただかなければいけない。そういうふうに思っています。
■21世紀臨調の新体制発足
【幹事長】4番目、今日5時から「21世紀臨調」の新体制発足総会がありまして、菅代表が今日は東京におられませんので、私が出席することになっています。
これで思い出すのは10年前にできた民間政治臨調で、私も民間政治臨調の発足当たっては――これは故・亀井正夫さん(元・住友電工会長)が時々言っておられた話ですが――私が1年生議員のとき、「永田町のなかでは政治改革は成就しない」と、確か海部さんがお辞めになったときだったか、あるいは政治改革法案が廃案になったときだったか、亀井さんや稲葉さんのところに駆け込んで、「是非、民間でも政治改革を支援する団体をつくっていただきたい」と申し上げたのが1つのきっかけになって民間政治臨調ができました。
その民間政治臨調が10年を経て、新しい体制で「新しい日本を創る国民会議」と新装して人も代わってスタートするということは、非常に私自身感慨深いものがありますし、是非この21世紀臨調が中心になって、あの細川政権がスタートしたときのような大きなうねりを起こしていただきたい、そのきっかけになっていただきたい。そういうふうにご期待申し上げたいと思います。
<質疑応答>
■自民党総裁選前倒しと9月中旬の臨時国会召集説
【記者】昨日、与党3党の党首が会談しまして、総裁選の前倒しと9月中旬にも臨時国会を召集というようなやり取りがあったようですが、それに絡めて10月の解散・総選挙という話が出てきて憶測を呼んでいることについてどのように思われますか。
【幹事長】まず私自身、秋の選挙だと思っておりましたので、10月解散・11月投票ということで党としても準備をしてきていますが、その可能性がより高まったかなという感じがします。しかし、もともと想定していたことですので、驚きはありません。
ただ、今回のことで今日の小泉総理の発言は、やや昨日の発言の打ち消しのようなところもありますが、他党のことながら、総裁選挙というのはその党のトップを決めることでルールが簡単に変わっていいものではないはずです。
そういう意味で党内議論も経ずに、総裁と幹事長だけで、そして他党との議論のなかで総裁選のスケジュールを前倒しするというのは、私から見れば極めてお粗末なやり方、問題があるやり方だと思います。
ましてや前倒しをすることで、恐らく小泉候補は有利になるわけですから、自ら有利になるようにルールを変える、それはリーダーとして失格だと私は思います。
■イラク特措法をめぐる公明党の姿勢
【記者】それに関して、今回の公明党の役割について伺いたいんですが、今回のイラク特措法の与党3幹事長の合意文書にも「解散権を制約しない」という文章がわざわざ盛り込まれたりとか、公明党は衆参同日選の回避をかなり迫っていたわけなんですが、その結果かどうか分かりませんが秋の解散・総選挙の可能性が高まったということは公明党への配慮などとも言われてるですが、公明党のこの間の政局に与える姿勢についての影響の印象を伺えますでしょうか。
【幹事長】まず、イラクに自衛隊を送るという極めて人の命が関わった問題、そしてもちろん平和ということに関連する問題を政局に絡めて議論しているとすれば、それは言語道断だと思います。
政党ですから、それぞれ党利党略があるのは当然ですが、そのこととやはりこういった性格の法案は完全に切り離して議論すべきであって、そうでなければ現地に行かれる自衛隊の皆さんに対しても大変失礼な話だと私は思います。
■起立採決の要求
【記者】幹事長が1点目に話したイラク新法の採決についてですが、自民党のほうを取材していますと起立採決については民主党のほうから提案されたと説明しているのですが、それが事実であればどうして民主党は起立採決を要求されたのか教えてください。
【幹事長】承知していません。そういう事実があったかどうかも含めて承知していません。
■イラク特措法案の問題点
【記者】イラク特措法案の衆議院通過の件で、戦争の大義という点では今、コメントが冒頭あったんですが、民主党が自衛隊の派遣を認めないという修正案を出して、政府案のまま今日衆議院を通過したわけですが、法案の中身を含めて戦争の大義の部分以外で今回の法案をどうご覧になるかコメントをいただけますか。
【幹事長】自衛隊を出すということに関して、総理は「能力があるんだったらなぜ自衛隊は駄目なのか」ということを繰り返されたわけですね。それに対して、我が国の憲法との関係ということは、これは重要なポイントですから、そのことを総理は全く無視をしておられるということは、非常に信じがたい思いで聞いておりました。
つまり、今のイラクの情勢はまだ戦闘は続いているというふうに見ざるを得ないんじゃないかと。そして、それに対してそうではないという説得的な理由の説明はありませんでした。そうだとすれば戦闘行為、非戦闘行為の線引きはできないわけで、逆にいうと戦闘行為に自衛隊が関与してしまう、結果的にかもしれませんがそういう危険はある法案だということです。つまり憲法に違反してしまう可能性を秘めた法案だということです。
その他に、ニーズの問題も、米軍に対する支援という意味での水の浄化・供給ですね、そういったことはありましたが、あるいはC130を動かすと。しかし、イラク国民にとってのニーズというものは伺えなかったわけで、そういう意味でも法案そのものの必要性について疑問が残ったということです。
■テロ特措法の審議、9月中旬国会召集の是非
【記者】今日でこのイラクの法案が衆議院を通過して、あとテロ特措法が残ってるんですが、民主党は、過去2年間の検証とニーズ、そしてしっかりした議論が必要だと主張されてますが、今国会での審議を一層進めるべきだとお考えなのかというのが1点と、あと先ほどの9月中旬国会召集についてですが、いろいろ問題が山積しているということで、9月の中旬に国会を始めるということ自体についてはどのように思われますか。
【幹事長】テロ特措法の議論は、基本的にイラク復興支援法の参議院における審議とどうバランスを取るかという与党サイドの判断というのがまずあると思うんですね。イラク特措法を通すことがまず重要だと考えれば、そちらに重点を置くということになるんでしょう。全体の国会運営のなかでどの程度の日程が取られるのか、それはこれからの具体的な交渉の問題だと思います。
ただ、今回議論を尽くして採決まで行くとかですね、そういうことは考えられないわけです。というのはこれからまだ2カ月、3カ月ありますから、その間にいろいろ状況が変化する可能性があります。
特に今後のニーズに関して、前回も私申し上げましたが、今まではアメリカの大きな船に補給してきたのが途中から各国の小さな船に対する補給に変わってきたわけで、ニーズがかなり変わってきた、あるいはなくなってきたというふうにも言えると思います。
まだこれから2〜3カ月経って、相変わらず今やっているのはアフガニスタンのなかにいるテロリストが船を使って他の国に逃げる可能性があるので、それを警備している。その警備している艦船に対して――従って大型の船じゃないんですね――その小型の艦船に対して補給していると。それが主たる任務だと聞いていますが、なお2〜3カ月のうちにそういったテロリストの掃討作戦が続いているのかどうかということも、これはそのときになってみないと分かりません。各国の船も帰ってしまうかもしれません。そういうこともしっかりと見極めて、その時点で判断すべきだと考えています。
それから、国会が9月の中頃になるかもしれんという話ですが、これは総理も今日かなりそれを元に戻すような、否定するような発言もされてますので、あまりコメントするのも少し先走り過ぎるかなと思いますが、そのときの必要性があるかないかで決める問題だろうと思います。
そのときの経済情勢、それから先ほどのテロ特措法の審議、そういったことを睨み合わせて決めていけばいいことで、今とやかく言う問題ではないと考えています。
■終盤国会の国会戦術
【記者】終盤国会、民主党がどういうふうに与党と対峙していくかということについてお伺いします。イラク特措法、テロ特措法の関係で外交・安保に関心が移っている嫌いがありますが、経済・金融など他のテーマもあるわけで、そういったところも含めて与党をどう追及していくか、お聞かせください。
【幹事長】追及するだけが野党の役割ではありませんので、大いに議論してそして問題点を指摘していきたいと思いますが、私前から申し上げていますように、もちろんこのイラク復興支援法は参議院で議論されますから、依然として重要な項目であるわけですが、それ以外には経済、そして構造改革の遅れ、政治とカネ、こういう問題が重要なテーマであります。
月曜日にも臨時の役員会を開いて1時間から1時間半ほど議論することにしていますが、あと3週間ですのでこの3週間をどうやって戦っていくのか、その間に党内からも要望が出ています竹中大臣の不信任の問題ですとか、あるいは内閣不信任の問題についてどう考えていくのか、政府をどう追い詰めていくのかということについて、きちんと議論を踏まえて作戦を立てていかなきゃいけない。国民の皆さんにそういった問題についていかに小泉内閣が不十分な対応しかできていないかということが分かるように、国会のなかでしっかりと議論していきたいと思っています。
■イラク特措法案への意見表明が遅れた理由と衆院の対応が一致した理由
【記者】イラク支援法案について、結論的には政府案には反対ということを決められましたが、もっと早く何で反対を表明しなかったのかということと、安全保障についは民主党はこれまで党内の意見がバラバラだという批判が絶えずあったのですが、今回は衆議院で一致して行動できたのはなぜなのか。この2点をお伺いします。
【幹事長】まずタイミングとしては、私はむしろ他の野党が早すぎたと思いますね。ですから頭から反対ということであれば、審議に入る前から表明するのもいいのですが、我々としては先ほど言いましたやはりニーズの問題、そして憲法との関係、その2つをしっかり議論したうえで判断するということでしたので、委員会の審議を先行させて、そしてそれを踏まえて判断したということです。
もし、具体的なイラク国民にとってのニーズがしっかり提起され、そして今あるような戦闘状態が継続しているようなことではなくてそれが急速に沈静化されて、そしてそういう心配がないという状況になっていれば違う判断もあったかもしれませんが、現時点の情報で判断する限り反対という結論しかなかったということす。
2点目については、もともとバラバラではなくてマスコミがバラバラだとおっしゃっていたと思うんですが、しっかり議論したうえで誰が考えてもこういう結論になったんだろうと思います。
■選挙協力の今後の進め方
【記者】先ほど小泉総理が取り消しの発言、修正の発言を始めているという話があった与党3党首会談の件ですが、9月中旬にも国会召集となりますと解散の時期が秋だということである程度固まってくるのかなと思うんですが、選挙協力を他党として進めているところですが、そのスケジュール、今後の進め方についてはどのように考えておられますか。
【幹事長】今日、藤井幹事長も「選挙協力を急がなければいけない」というご発言もあったようですが、私たちは今国会開会中、つまり7月中にある程度の目処を付けたいと考えています。
実は、今日は神奈川県連の三役にも来ていただいて、神奈川県は自由党との協力の問題あるいは社民党ともバッティングしていますし、あるいは空白区を埋めることについて、県連としてもさらなる努力をしていただきたいということをお願いし、党本部も一緒になってやらせていただきたい、県連任せじゃなくて党本部も全面的にバックアップする形で解決していこうということを話し合ったところです。
他の東京・埼玉ですがそういったところが大所ですので、バッティングしている地域について7月中にある程度の目途を付ける努力したいと考えています。
■自由党との合流問題の今後
【記者】選挙協力とは別に、党内には自由党との合流を求めておられる議員がいて、それが秋に解散ということになると、両党とも選挙協力という形で走り出してしまうことになるという懸念を持っておられるようですけれども、合流問題については今、どのようなお考えでいらっしゃるんでしょうか。
【幹事長】合流問題は自由党との間で両党のトップが会談をして結論を出しましたので、その結論が当然尊重されるべきだと考えています。
その後また新たな事態があれば、選挙前も含めて合流の可能性を否定しているわけではありませんので、それは時至ればそういうこともあるかもしれませんということです。
編集/民主党役員室
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