2006年4月25日(火) | 戻る/ホーム/民主党文書目次/記者会見目次 |
小沢一郎代表 定例記者会見要旨
○福知山線脱線事故から1年:事故は技術の問題だけでなく功利主義に覆われている 日本社会全体の問題 ○ポスト小泉について ○憲法に関する今後の党内論議について ○千葉7区補選に対するメディアの影響/共謀罪に関する委員会での欠席戦術について ○参院選の候補者選びについて/竹島問題について ○小泉内閣発足から5年を経過しての評価 |
■福知山線脱線事故から1年:事故は技術の問題だけでなく功利主義に覆われている日本社会全体の問題
【代表】まずは一昨日、開票日当日も会見しましたが、千葉の補選で勝利をさせていただいたこと、また様々な意味でご協力いただいたことを感謝申し上げます。
今日でJR西日本の福知山線脱線事故から1年が経ちました。亡くなられた方々、けがをされた方々へ、哀悼とお見舞いを申し上げたいと思います。こうした事故が本当に今後起こさないように、また起こらないように、それぞれが十分に注意していかなければならないと思います。特に最近のJRだけでなく、いろいろな面で、日本社会全体の世相は功利主義に覆われているところも大きな原因になっていると思っており、その意味で単に鉄道会社の問題とか技術的問題だけでなく、私は常に申し上げていますが、日本社会全体のこととして取り上げていかなければならないと、事故から1年にあたり、そう思っています。
<質疑応答>
■ポスト小泉について
【記者】先日の補選結果を受けて、自民党内では小沢代表に対抗するためのポスト小泉に影響が出るのではないかという声がありますが、ポスト小泉に対して安倍官房長官、福田元官房長官が有力視されていますが、他党のことですが安倍氏、福田氏について代表はどのようにみているか、お聞かせください。
【代表】私は個人的論評はいたしません。どちらも立派な政治家だと思っています。
【記者】昨日鳩山幹事長が、小泉総理後の後継首相について、小泉改革を引き継ぐ方のほうが与しやすいと話をされていますが、代表としても小泉総理の路線を引き継ぐ方のほうが対抗しやすいとお考えでしょうか。
【代表】一昨日の会見でも話し、以前にも申し上げたと思いますが、ずっと私が指摘していることは、民主党が政権を担うにあたっての問題点は、自民党のリーダーが誰だとかいう問題ではない。民主党自身が政権を担いうる政党にきちんとなる。それを国民に認めてもらえるかどうかが問題ですから、自民党で総裁がどなたになろうが、それは自民党の事情で決めればいいことです。
■憲法に関する今後の党内論議について
【記者】民主党が昨年10月に憲法提言をまとめて、先日から国民対話集会を開催していますが、代表ご自身も憲法についての考え方をこれまで話していますが、代表としての憲法の考え方を改めて党内に投げかけるおつもりなのか、またそのタイミングをどのようにお考えか。また、提言を逐条化する課題も残っていると思いますが、どのようにお考えでしょうか。
【代表】党内の具体的な進捗状況については、まだ報告を聞いていないので、どの程度までというのは分かりませんが、これまで何度も申し上げている通り、憲法を改正した方がいいというサイドからも、改正しない方がいいというサイドからも、そう大上段に振りかぶって言う話ではないと思っています。
憲法というのは国民生活がよりよく運営するための約束。そしてその根本の最高法規と書いてありますが、一番上位にランクする約束。そして、その約束は国民のためのものですから、時代が変わったり、条件が変わったりした場合には、国民のために直したほうがいいというときは直せばいいし、直す必要がないと皆が思えば直さなくていい。ですからその意味で、英国は成文法がありませんし、米国では成文法はありますが、度々変わっています。他国でも変えたいときには変えることが結構行われている例もあります。ですから、その憲法は何のために存在するのかを、政治家は当たり前のことですが、全ての国民がきちんと認識して、冷静に、よりよいものを憲法としてつくっていくと。今のままでいいとなれば今のままでいいし、あまり片意地張ってやるような話ではないと私は思っています。
■千葉7区補選に対するメディアの影響/共謀罪に関する委員会での欠席戦術について
【記者】1点目は千葉7区補選に関して、昨年の衆院選では小泉劇場といったことが起きたわけですが、今回は民主党代表選の直後で、民主党の露出が高かったことが影響したのではないかという声がありますが、今回の補選に対するメディアの影響についてどのように考えているか。もう1点は、きょう法務委員会で共謀罪の採決をめぐって、民主、社民両党が欠席しましたが、厚生労働委員会に次ぐ欠席戦術になりますが、代表は欠席戦術についてはどのようにお考えなのか、お聞きします。
【代表】補欠選挙だけではなく、あらゆることについて、メディアの影響は非常に大きい。ですから皆さんにも申し上げている通り、我々以上に国民に対して大きな影響があるので、いい報道をしてほしいと皆さんに申し上げているところはそこにある。今回の補選も、もちろんそうしたメディアの影響も当然、有権者の意識の中にはあるだろうと思います。そういう意味で言えば、政府・自民党はメディアの皆さんが毎日毎日報道しているのだから一番露出しているが、できれば野党としての願望を申し上げれば、せめて報道は四分六くらいにしてもらえればいいなと思っています。
国会運営については基本的に、今朝も役員会で幹事長が判断してやっていただくようにと話していますから、具体的なことについては幹事長に聞いていただきたいが、共謀罪の問題であれ、あるいは教育基本法の問題であれ、これは国民の人権や教育という根幹的なテーマに関わるものですから、それはただ単に字句を修正すればいいという話ではなく、民主党としての考え方をきちんと国民に知ってもらえるような方法を考えてもらいたいと。字句をちょっと直して、現状よりは直した分それでいいというやり方ではなく、基本の考え方を国民に知らせるような明快な対応を、別に拙速に急ぐ必要はないですから、きちんと結論をもって行えるようにしてもらいたいと思っています。共謀罪の話でも、これはテロなどの影響もあるようですが、犯罪が成立するということになれば国家権力による強制措置がなされるわけですから、本当に厳格に犯罪の構成要件をきちんと定めないまま官憲の裁量を結果として非常に広げる形になると、一般行政以上に国民の基本的人権を束縛する、あるいは国家権力の刑罰を含めて対象になるということですから、それはよく我が党としてのきちんとした考え方を決めないと
いけないと参考のために申し上げておきます。国会戦術そのものは幹事長にお任せしています。
■参院選の候補者選びについて/竹島問題について
【記者】1点は代表は就任直後から参院選の候補者選びについてご自身の手でやりたいと話していますが、補選が終わってこれからどのように具体的に候補者選びに取り組むのか。もう1点は、竹島問題について、韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が今日、特別談話を発表し、かなり強硬なことを話していますが、これについての受け止めをお聞かせください。
【代表】参院選の候補者について、やりたいと言っているのではなく、私は9月までの任期ですから、いまの前提として参院選を自分自身の手でたたかう立場ではありませんが、9月の代表選が終わってそれから候補者選びを始めようというのでは選挙に間に合いませんでしょう。だから最低1年くらいは、事前の活動などが必要ですから、当たり前のこととして、夏までには候補者を選ばなくてはいけないだろうと申し上げているのであって、その意味で、私の任期内にそういう作業をできる限り行わなければならないだろうということです。今まで補選がありましたから、選対と全国的な打合せはしていませんが、近々、選対から今までの経緯などを聞いた上で、具体的にどうしていくか早急に詰めて、連休明けからは私自身も具体的な作業に着手できるようにしたいと思っています。
竹島問題は領土問題ですから、韓国も日本も強い姿勢になるのは当たり前のことであって、これは日韓両国だけではなく、日中間の尖閣問題もけりをつけなければなりませんし、日ロ間の北方領土問題もけりをつけなければなりません。ただ、領土というものは、人類の歴史上、平和的に領土が返還されたのは、多分、沖縄の返還だけでしょう。あとはそうではない方法によって行ってきたというのが人類の歴史です。それだけ難しい問題ですが、お互いが歴史的な事実を冷静に考察しながら、話し合いの中で両国にとっていい結果が出せればいいなと思っています。
■小泉内閣発足から5年を経過しての評価/憲法の党内議論の進め方について
【記者】明日で小泉政権発足から5年が経ちますが、それについての評価をお伺いします。また、先ほどの憲法の話に関連して、今後、党内議論をどのような形で進めていくお考えか、お聞きします。
【代表】小泉政権については、様々な機会で申し上げていますが、1つは「改革」という小泉総理の言葉に値するような結果は、5年間かけて何も得られなかったという意味では、評価すべきものはもちろん無いし、極論すれば、無為な時間が経過したと私は思います。
しかしその「改革」云々よりも私が一番問題にしているのは、メディアの皆さんはあまり問題にしていませんが、一番初めの頃の国会で「あのような公約は守らなくても大したことではない」という言葉について、私は非常に驚きましたが、世間は、メディアも含めて、それほど大きな問題として取り扱わなかったけれども、私は小泉総理の本質というものは、この言葉に現れていると。そして最近の結果として、ホリエモンの結末がそれをよく現していると。小泉総理も竹中大臣も武部幹事長も「小泉改革の成果だ」と彼を褒めそやしたわけです。その結末がどのようなものだったかは私から言うまでもない。
小泉政治の最大の問題は、そういう日本社会のモラルの欠如が指摘される。ちょっと前にも、高校生が中学生の女の子を殺しても平気な顔をしているというのは、私は政治家として、本当に深刻な日本社会の病が深まっていると思っています。毎日毎日、同じような、信じられないようなことが起き、それをしても平気でいるという現象を助長するような5年間の政治だったと私は思います。
憲法については自然体で、皆でやっていけばいいのではないですか。簡単なことです。
■沖縄の米国海兵隊のグアム移転費用について
【記者】沖縄の米軍海兵隊のグアムへの移転問題ですが、日米交渉で7000億円を日本側が負担することになりましたが、これについて代表はどのようにお考えでしょうか。
【代表】これは条約とか協定に基づいたものではないと承知していますが、日米間のいわゆる安全保障に関してのお互いのシェアの中でどうしていくかという基本的な考えに関する話になってしまいますが、問題は、お金云々というよりも、私は米軍の世界戦略、「再編」という言葉で言われますが、そういう米国の考えや軍事戦略だけが優先され、日本が安全保障に対してきちんと考え方を示しえない現状を、大変危うく、また現在の政府・自民党、小泉政権に対し非常に残念な、しかも危惧の念を持っています。そうした自分自身の考え方がないままに、ただ言われて国民の税金を使うという今日の小泉政権、政府・自民党のあり方そのものが問われるべき問題であって、7000億というお金が大きいとか小さいとか、出すとか出さないとかという類以前に、そういう日本の状況では大変困ったものだと。やはり民主党が政権をとらなければいけない、という結論になります。編集/民主党役員室
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