2006年6月6日(火) | 戻る/ホーム/民主党文書目次/記者会見目次 |
小沢一郎代表 定例記者会見要旨
<質疑応答>
■靖国神社について
【記者】靖国神社の参拝問題について、最近自民党の古賀元幹事長がA級戦犯の見直しに言及したり、安倍官房長官が自身の参拝について慎重な姿勢を示すなど、小泉総理の路線とは食い違う発言が出ています。総裁選に絡んだ思惑があるかと思いますが、代表はこの状況をどのようにお考えでしょうか?
【代表】私は直接それらの人に会っていませんので、どういう考えかは分かりません。私の考えは以前にも申し上げた通りです。
■クールビズについて
【記者】国会ではクールビズを小泉内閣は訴えていますが、民主党幹部は小沢代表はじめ、きっちりネクタイをされていますが、クールビズについてどのようにお考えでしょうか。
【代表】それでエネルギーが少しでも節約になるということなのでしょう。ですが服装は人それぞれですから、それぞれの思いでいいのではないですか。
■中京女子大学の谷岡郁子学長との面会について
【記者】きょう国会内で中京女子大学の谷岡さんとお会いになったと思いますが、どのようなお話をしたのでしょうか。
【代表】私は以前にもお会いしたことがありますが、県連代表の近藤昭一議員、そして赤松副代表、お二人と一緒においでになりました。教育を自らの生涯の仕事として広く活躍されている方で、最近はスポーツのレスリングや女子の硬式野球も発足したのかな、いずれにしても、そうしたスポーツ面でも非常に大きな成果を挙げておられる。そういった社会的に大きな役割、貢献をしている方が、私ども民主党の良き理解者として今後もいろいろな意味で協力し、支援してもらえるのであれば、たいへん結構なことだと思い、以前にも一度お会いしたことがありますが、今日お二人の先生がたまたまこちらに、彼女も見えるということでしたので、その機会にお会いしました。
■社会保険庁改革に関する小泉総理の民主党批判について
【記者】社保庁改革に関連して、小泉総理が、民主党は社会保険庁の労働組合に気を遣って、改革を潰そうとしているという趣旨の発言をしていますが、この総理の発言について、代表はどのように思いますか。
【代表】総理はどういう改革をしようとしているの? 我々は、それがよく分からないということを基本的に言っているのです。私は先の会見でも申し上げましたが、あり得ないことが現実に国の役所で行われていて、しかもそれは一部公務員の所業ではなく、役所そのものの行為であると。したがって社会保険制度、すなわち社会保障制度も考えなければならないが、それに伴い役所そのもののあり方をつくり直さなければいけないと思っています。
これは社会保険庁の問題だけではなく、どの役所も皆同じ。戦後60年、一時を除いては、ずっと権力構造の中で実質的権力を握ってきた官僚機構というものが、時代が変わっても「国民のために」という本来の任務を忘却し、自ら積み上げてきた既得権を維持しようという体質を色濃く持っている。したがって、そのような信じられない馬鹿げたことも起きてしまっているということですから、社会保障制度の仕組みそのものと同時に、霞ヶ関の官庁のあり方、広く言えば日本の国家統治機構そのものを見直さなければならないという私の持論に行き着くわけです。
■社会保険庁が行ったような不祥事を繰り返さないための方策
【記者】今後このような不祥事を繰り返さないために、具体的にどのような改革が必要だとお考えですか。
【代表】政権をとって、今の行政の機構を根本的に見直して変えようと、私は従来からずっと言い続けてきました。具体的に言えば、霞ヶ関による中央集権的な官僚規制の社会を変えなければいけない。それは地方分権という言葉で言ってもいいけれども、地方分権とは中央集権の国家統治のあり方を根本的に変えることですから、したがって、それを実現・実行するためには政権をとらなければなりません。そして政権をとるためには選挙に勝たなければなりません。私たちはそういう意味で国民の理解を得られるように、また考え方も分かりやすく、地域の方々には地方分権という切り口から話をした方が分かりやすいかもしれませんし、そういった基本的考えを分かりやすい言葉で、分かりやすい事柄を例にとって、国民の皆さんに理解を求めるということだろうと私は思います。
■基本政策の取りまとめについて
【記者】基本政策の取りまとめに関しては、今後どのようなスケジュールで進めていくか教えて下さい。
【代表】まず夏までに、とにかく参議院1人区の作業を早く完了したいと思っております。その次に複数区の問題がありますが、複数区の問題は1人区の作業が完了して、走り出しながら行えることだろうと思っています。私の任期は9月までですので、9月の代表選までの間に、夏にでも改めて自分の考え方をまとめて、党員皆さんのご議論をいただきたいと思っております。
■基本政策における靖国神社の扱い
【記者】その基本政策の中に、靖国神社に対する代表の考え方が分かり易く明確に入ってくると考えていいのでしょうか。
【代表】靖国神社そのものといった個別の事象のことについては、基本政策の範疇外です。それは党の主張として、また私の主張として、そういう議論に対して自分の持論を話すことはいつでもしますが、基本政策という範疇とはちょっと違うのではないのか。むしろ基本と言えば、その背景にある過般の戦争への認識とか、歴史的評価とか、基本政策というよりも、その背景の基本認識ということでしょう。ですから靖国神社という個別のことについて、基本政策で取り上げるというようなことではないと思っています。
【記者】タイミングとしては自民党の総裁選と重なり、この問題も俎上に上がってくるだろうと思うのですが、その時期に合わせて国民に対して、民主党、あるいは小沢代表の考え方を分かりやすく並べるという考え方でしょうか。
【代表】そのことだけを取り上げるということはないでしょうね。様々な機会に、記者の諸君から何かあれば、それは申し上げます。ついでに申し上げると、一部の報道で、私は分祀についてまでは触れていないという類の表現があり、私はそこまできちんと最終的な結論を言っていないかのような表現がありましたが、そういうことではないです。私は、靖国神社は本来のあるべき姿に帰すべきだと。天皇陛下も堂々と参拝できるような本来の靖国神社にすべきであろうと。過般の戦争について、指導者として、大きな責任を負い、しかもその死が戦死ではない人たちが、靖国神社に本来祀られるべきものではないと。靖国神社に一緒に祀ること自体が間違いであると。分祀というのはそれを認めた上での分祀です。私は本来そこに祀られるべき人たちではないということで、現在そこに祀られているとすれば、それは間違いであると。
■国会閉会後の執行部人事について
【記者】代表は就任当初、執行部人事について、国会終了後に考える必要があれば考えると話していましたが、国会の閉会が見えてきて、そのことについてはどのようにお考えでしょうか。
【代表】まだ終わってないからね、まだ2週間あるから。2週間経ったらまた聞いてください。今のところ国会で何が起きるか分かりませんが、あと10日間残っていますので、その時点で考えてみます。
■野党によっての内閣不信任決議案の位置づけについて
【記者】内閣不信任決議案について、野党にとってどのような位置づけで扱うべきものなのか、そして今そのような時期なのでしょうか。
【代表】内閣不信任決議案というものは、そもそも立法府が内閣に対する対抗処置として権限を与えられたものです。内閣はそれに対して、総辞職か解散という権限を憲法上与えられています。ですから、結果として野党がその権限を国会の権能として活用して行使するケースがほとんどですが、それだけに行政府に対して立法府が、その意味では総辞職か解散という政府の対抗する処置を引き出すための権能ですから、それに相応しい、あるいはそれを出すに値する状況があることが、普通の一般的な考え方だろうと思います。今回については、今後10日間、政府・与党がどのような国会運営をするのか、もうみんな諦めてしまうのか、いろいろあるかと思いますが、そうした終盤の国会情勢を判断して決めるということであり、その判断は幹事長にお任せしています。
■小泉内閣の民間人登用について
【記者】昨日、東京地検に村上ファンドの村上代表が逮捕されました。その村上氏と親交の深いオリックスの宮内会長が政府の規制改革・民間開放推進会議の議長も現在務めています。総理の民間人から登用した村瀬長官もそうですが、いろいろ問題が起きています。このような状況に関して、どのようにお考えでしょうか?
【代表】そうしたことは、小泉政治、小泉改革の一環として行われていきたわけです。いわゆる通称ホリエモンの事実上の自民党公認候補としての衆院選への立候補も、小泉内閣が小泉改革の成果として称え、笛や太鼓で選挙に送り込んだ。その結末が司直の手によって今裁かれていると。また村上氏も同様に、一連の中でもてはやされてきたところではなかったなかと思っていますが、その村上氏自身もまた、同じように司直の手によって裁かれる。すなわち彼らは新しい企業家、新しい時代の経営者という表向きの触れ込みではありましたが、結果として、我々の社会のルールや法律を踏みにじって経済活動を行っていたということであって、これは決して許されることではありませんし、これに今まで改革の成果の如き雰囲気の中でエールを送っていたとすれば、それは誠に国民を欺く無責任なやり方であり、人であると私は考えています。その意味で、様々な小泉総理自身の発想、その他の人事や、いま記者さんが話していたことも含めて、いろいろな事に関して、小泉改革なるものの実態が見えてきたということではないでしょうか。
■民主党に対する女性の支持率の低さの要因と改善策について
【記者】民主党に対して女性の支持率が低いことに関して、その要因はどこにあると考え、来年の参議院選挙に向けてどうすべきとお考えですか。
【代表】私自身も支持は低いのですが、民主党の女性からの支持が低いという傾向にあるのは、1つは対極の小泉総理の非常に派手なパフォーマンスもあったのでしょう。もう1つは、様々な問題を含みながらも、まだまだ安定した生活ができている日本ですから、その意味ではあまり大きな変化を望まない、特に女性はそういった傾向が一般論としてあるのだろうと思います。変革というのは、ある意味では論理性・公理性の要素を含むものですから、そういう意味で政治的な小泉氏のパフォーマンスと、まだ大きな変革が必要だという意識が、特に女性の場合は相対的に少ないのだろうと思っています。その意味では女性の支持を上げるにはどうしたらいいかというのは難しいことですが、一般的には女性であれ男性であれ、分かりやすく簡潔なアピールを心がけることだろうと思います。ただ何度も言うように、中身のないことは簡潔にできますが、中身のあることを簡潔に短くすることは難しく、その悩みはあります。次の選挙までにはそうした点も良い知恵を出して解消し、女性の方からも皆さんからも支持を得られるようにしなくてはいけないと思います。編集/民主党役員室
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