2006年6月13日(火) | 戻る/ホーム/民主党文書目次/記者会見目次 |
小沢一郎代表 定例記者会見要旨
○福井日銀総裁の村上ファンドへの1000万円出資問題について ○内閣不信任決議案の提出について ○宮内オリックス会長の村上ファンドへの出資問題について ○国民投票法案について ○委員長提案のあり方について ○ゼロ金利解除について ○終盤国会における与党の重要法案に対する消極姿勢の原因について ○北朝鮮に対する経済制裁発動について |
<質疑応答>
■福井日銀総裁の村上ファンドへの出資問題について
【記者】日本銀行の福井総裁が1000万円を拠出し、一定の助言をしていたことが明らかになりましたが、これをどのように受け止め、今後、福井総裁の責任を追及するお考えはありますか。
【代表】その事実については、私自身が事実関係を確かめているわけではありませんし、伝聞に過ぎないので確たることは言えませんが、もし仮にそのことが事実で、総裁在任中も持ち続けていたとすれば、法律的な責任の所在は別にして、金融のまさに元締めである日銀総裁が、結果として司直の手にかかるようなファンドに投資していたことは、日銀総裁の姿勢として、非常に大きな問題であると思います。その意味において、仮にそれが本当に事実だとすれば、私どもにとっても大きな問題として取り上げることもありうると思いますが、いずれにしても、私がいつも申し上げているように、最近の日本社会のあらゆる分野で、上から下まで、自らの立場や自らのあるべき姿を見失ってしまっている人が非常に多いという日本社会の傾向に、大変に危うさを感じています。小泉政治はまさに、そういう社会の風潮を助長する、加速させるような結果をもたらしたという意味で、そのトップリーダーとしての小泉総理の責任もまた、私が日頃の政治論として申し上げている通り、大きいと考えています。
【記者】いまの答えの中で、トップリーダーとしての小泉総理の責任も政治論としては大きいとおっしゃいましたが・・・。
【代表】福井日銀総裁の話とイコールのことを言っているのではありません。今日の日本社会のいわゆるモラルの低下、無責任な利己的な風潮、それを小泉内閣は余計に助長し加速させるような結果をもたらしたと。私がいつも言っている通り、個々の政策というよりも、日本での最高の権力者が、そういう無責任で、いい加減な態度をとってきたということが、日本社会のそうした風潮を加速させたと。その意味で、小泉内閣の最大の罪はそこにあると私は申し上げているのであり、それはいつも言っていることです。
■内閣不信任決議案の提出について
【記者】先ほどお答えになったことの断面の1つとして今回の日銀の福井氏の話もあると考えられると思いますが、今国会も閉会が間際になり、小泉内閣不信任決議案を出すのかどうか、その判断について、現段階で代表はどのようにお考えですか。
【代表】それは福井日銀総裁の村上ファンドの問題について、まずは事実をきちんと確認しないといけません。また確か2003年に小泉総理が福井総裁を任命したかと思いますが、それは日銀総裁だけではなく、ホリエモン云々もそうだし、いずれも皆、小泉改革の名において行われてきた様々なことについて共通する問題点であって、たまたまその中でホリエモン事件があり、いろんな偽装事件の問題もあれば、村上ファンドもあれば、そしてある意味おいて同じような範疇の問題として、今日の福井総裁のこともあると私は考えていいと思います。
ただ、それが会期中に不信任案を出すことに結びつくかどうか、その点は幹事長に判断を任せていますので、よく検討してもらわなければなりません。出すか出さないかは、会期はあとわずかですし、小泉総理自身も近く退任しますし、そういった政治的なアピールの効果も考えなければならないので、そこは幹事長のところで検討してもらえればいいのではないかと思っています。
■宮内オリックス会長の村上ファンドへの出資問題について
【記者】政府の規制改革・民間開放推進会議議長でもあるオリックスの宮内会長が、村上ファンド設立時に大きな出資をしていて、その説明も宮内会長は避けていますが、宮内会長の説明責任についてどのようにお考えでしょうか。
【代表】宮内さんの立場は、一民間人としての立場ですし、その意味でいろいろなところに投資したり、出資したりすることは、何ら規制される話ではありません。ただ、小泉内閣のいわゆる「改革」という名の下の様々な仕組みの中に組み込まれていたという意味では、他の一般の民間の方よりもより慎重な、より高いモラルを要求される立場にあっただろうということは言えると思いますが、それが即、国会で福井総裁と同列に論ずるところではないだろうと思います。
■国民投票法案について
【記者】国民投票法案についてお伺いします。今国会では継続審議となる見通しですが、早期制定の必要性をどのようにお考えか。与党案との違いが数点に絞られており、双方に政治的な意思があれば臨時国会での成立も可能かと思いますが、臨時国会で成立させる可能性はどのようにお考えか。また、憲法改正の問題は政局と切り離して考えるべきだという意見がありますが、それについてどのようにお考えですか。
【代表】国民投票法案については憲法に定めがあるわけで、その手続法ですから、本来もっと早く制定されてしかるべきものであったと思います。そういう意味で、投票に関する法案を成立させることについて、何ら私も、遺憾に思うとか反対に思うということはありません。
ただ、これが憲法改正と短絡的に議論されるのは、あまりよくないだろうと思っています。いずれにしても、与党が多数を持っているのであり、いずれの問題でもそうですが、十分審議して、やろうと思えばできるわけです。例えば、日数が足りなければ国会を延長すればいいわけで、なぜ延長しないのでしょうか、それほど必要とも思っていないのではないのでしょうかね。だから、そういうことと、もう一つは、やはり様々な憲法論議をイメージして、いろいろと議論がありますから、それは60年近く放っておいて、今日明日にでも急ぐという話ではないはずですから、ゆっくり時間をかけて、皆で納得できるようにして行えばいいのではないかと思います。
■委員長提案のあり方について
【記者】終盤国会で会期が迫る中で、委員長提案で審議なしで成立を目指している法案がいくつかありますが、この時に、自民・公明と民主党とで修正協議して、その修正協議自体はいいのですが、それが委員長提案の形で出てくるケースがあります。一方で、自公民以外にも党派があり、論議の機会がないままに委員長提案されることへの反発も一部にはあります。委員長提案のあり方について、どのようにお考えですか。
【代表】民主党は野党ですから、その意味において基本的に十分論議していくことが一番望ましいことだと私は思います。今度の委員長提案は、ガン対策基本法案などですよね。そういうことでも、本来であれば、委員長提案は各党が一致して行うことがあるべき姿だろうと思っています。
ただ問題が、がんという病気の問題や拉致の問題ですから、特にがんの問題は我が党がずっと主張し続けてきた問題で、与党が国会を閉じてしまうということだったので、これは短期間でも優先して成立させるべきだろうと考えた結果だと思います。原則的としては委員長提案という手法は、ご質問の通りに本来あるべきだろうと思います。
■ゼロ金利の解除について
【記者】日銀の福井総裁の問題で、ゼロ金利の解除の時期に影響するという見方がありますが、このゼロ金利の解除の時期についてどのようなご見解をお持ちでしょうか。
【代表】そういう国の大事な施策を判断する立場にある人ですから、通常の民間人以上に大きな見識とモラルを要求されるということだろうと思います。
それはそれとして、ゼロ金利の解除は金利の上昇の可能性をもたらす措置ですので、小泉政治の全てがそうなのですが、トータルとして考えていかなければなりません。
金利が上がって、財政は大丈夫なのか、そういった判断をきちんと政府部内で行い、あらゆる事態に対応できる措置を講じつつ行うのならば、それはそれで政府・日銀の判断ということでいいだろうと思いますが、現段階で、ただ単にそのことだけを行うということは、必ずしも政府の万全の考え、対策、対応をとらないまま、結果として行うことになるので、私は若干、危惧を感じています。
■終盤国会における与党の重要法案に対する消極姿勢の原因について
【記者】今国会を振り返って、3分の2の議席を持つ巨大な与党が、終盤国会で重要法案を次々に継続審議にせざるを得ないところに追い込まれた原因はどこにあるとお考えでしょうか。
【代表】多分、政府・自民党が自ら提出している法案そのものについて、しっかりした理念と自らの政治主張がないままに、教育基本法の話であれ何であれ、無責任に提案するというところに私は問題があると思います。もう少しきちんとした考え方の下で議論され、判断され、国会に提出されたとするならば、時期的にもっと早い時期に出すだろうし、仮に期間が短くなったとすれば延長してでもやればいいことです。そういう意味で、彼らが提案しているそのものが、彼ら自身、中身についてそれほどの自信を持ったものではなかったという証(あかし)になるのではないでしょうか。
■北朝鮮に対する経済制裁発動について
【記者】今日、北朝鮮人権侵害救済法案が衆議院で可決しましたが、代表は拉致問題についてどのようにお考えですか。また、経済制裁の発動についてどのようにお考えか、お聞かせください。
【代表】国家が他の国の国民をさらっていくという話ですから、もう私が言うまでもない話だろうと思います、拉致そのものについては。
私はその北朝鮮人権侵害救済法案の中身について詳しくは見ていませんが、一般論として、「経済制裁する」とはどういうことだと記者の皆さんは思っていますか。経済制裁するということは、金融面、人や物流の交流面、あらゆる面でそれを止める措置になっていく。程度の問題や段階はあるにしても、一般的に言えばそういうことです。経済的な交流をしないことによって、相手方にその大きなリスクを背負わせるという話です。
ただ、その「経済制裁」というのは行き着くところ、国連憲章でも「経済制裁」と「軍事力による制裁」と両方ありますが、基本的に両方同じなのです。経済制裁といっても、例えば貨物船が北朝鮮に行くのをやめさせようとして、相手が言うことを聞かなかったらどうするのですか。強制力を行使する以外なくなってしまいます、本気で行おうとすれば。ですから経済制裁とは、最終的には強制力の行使を伴う可能性が非常に強い措置なのです。だから私はその意味において、日本の政治家や国民が、本当にそこまで覚悟してやるというのであれば別ですが、口先だけで経済制裁と言ってもできるものではありません。
だから、そこをマスコミの皆さんも、よく国民の皆さんの意見を聞きながら、いろいろ論評してもらわないと。ただ何となく経済制裁を行えば、相手方は黙って降参するというような感覚で進めると、それは間違いだと私は思っています。編集/民主党役員室
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