2006年7月11日(火) | 戻る/ホーム/民主党文書目次/記者会見目次 |
小沢一郎代表 定例記者会見要旨
○今週末の沖縄訪問の意義 ○政府の「敵基地攻撃論」について ○郵政造反組復党をにおわす自民党の政治姿勢・手法について ○訪中後の日中関係について ○民主党代表選挙(9月25日実施)について/小沢代表自身の出馬について ○北朝鮮ミサイル問題 その本質について ○小沢代表の日米中三角形外交論に関する武部自民党幹事長の批判 ○北朝鮮ミサイル問題 専守防衛について |
<質疑応答>
■今週末の沖縄訪問の意義
【記者】今週末、代表は沖縄を訪れる予定ですが、沖縄は参議院選挙で1人区でもあり、この秋には県知事選挙もあります。こうした沖縄の選挙での位置け、重要性をどのようにお考えですか。また米軍視察も予定されていますが、視察によって沖縄からどのようなメッセージを発信したいとお考えですか。
【代表】 県知事選挙もそうですが、国政選挙としては参議院議員選挙で、沖縄で県民の支持を得ることは大変大事なことだと思っています。今度行った機会に、県連会長からもいろいろと状況を聞きながら、お盆前には間に合うように、と思っています。
沖縄に行く機会ですから、直に基地を見て、県民のお話を聞くことにしたいと思っていますが、特に沖縄の場合には米軍の再編という問題と関連していますが、このことについては私が機会ある度に申し上げている通り、日本自身にきちんとした世界政策、グローバル・ポリシー、あるいは安全保障に関するポリシーが全く欠落していることが最大の問題であり、それ無しに米側と議論できるはずがない。そういう意味で、一つには県民の大きな負担という問題で県民の直の声を聞き、実態を見るということと、いま申し上げたような大きな日本政治の問題点を結果としてアピールできれば良いだろうと思っています。
■政府の「敵基地攻撃論」について
【記者】北朝鮮のミサイル問題に関連して、政府の安倍官房長官や額賀防衛庁長官が、敵のミサイル基地を自衛隊が攻撃できる能力を持つべきだ、あるいはそういう議論をすべきだとの意見を出していますが、小沢代表はこの意見についてどのようにお考えでしょうか。
【代表】敵というのはどこなのか、まずそこから決めないといけない。どこを敵としているのですか?
【記者】北朝鮮を想定しているのだろうと思います。
【代表】しかし「敵」というのは、そのような言い方をしたら北朝鮮とは限らない。そういう雑駁な意見はあまりよろしくない。まず「敵」ということをどうやって決めるかということだ。敵と決めた途端に戦わなければなくなるでしょう。そうした大事な立場におられる方は、よくよく国民全体のことを考えて、自分自身で考え方をまとめられて発言しなければいけません。そういう感想を持っています。
■郵政造反組復党をにおわす自民党の政治姿勢・手法について
【記者】最近自民党では郵政造反組の復党についての言及がありますが、自民のこの政治姿勢、手法についてどのように思われますか。
【代表】もともと自民党には政治哲学とか政策というものがない政党ですから、とにかく政権を維持するためには何でもあり、という意味で恐るべき政党ですから、そういうことを考えている方もいるでしょうし、いろんなことを無原則に考える政党だろうと認識されていればいいのではないでしょうか。
■訪中後の日中関係について
【記者】中国の胡錦涛国家主席との会談を経て、改めて冷え切った現在の日中関係をどのように思うか。また、悪化した日中関係に伴う日本の経済的な損失をどのように見ているか、お聞かせ下さい。
【代表】胡錦涛主席との会談では、その都度お互いにいろいろな問題や障害が出てくることがあるだろうが、我々は互いに双方の努力で、そうした問題点を克服し、末永く日中両国の友好協力関係を続けていこうということで、お互いに合意、確認できました。私どもは政権政党ではありませんので、直接日本の政治について日本を代表し、運営しているわけではありませんが、政権を目指す野党第一党として、お隣の中国のトップと、いかなることがあろうとも互いの努力で日中両国の友好親善を維持し、今後とも将来に向けて発展させていこう、という確認ができたことは、良かったと思っています。
経済問題について、今の状況が原因で、どういう問題が起きているか、具体的な個別のことについては分かりませんが、基本的に経済関係は政治的な問題とはできるだけ切り離しつつ、「政冷経熱」と言葉もありますが、やっていこうということが、向こう(中国)もその方針のようですので、これによって個々にどうこうというのは、あまり大きな問題となってはいないのではないかと思います。
■民主党代表選挙(9月25日実施)について/小沢代表自身の出馬について
【記者】自民党の総裁選は9月20日投開票で、きょう民主党は代表選を9月12日告示、25日投開票に設定しましたが、この日程の立て方ついて小沢代表はどのように受け止めているか、お聞かせください。
【代表】そういう日程については事務方のトップである幹事長お任せしていますので、幹事長に確認してください。
【記者】 今の関連ですが、小沢代表の出馬に関する現段階のお考えと、もし出馬される場合、対立候補が出て選挙になるのが望ましいか、その点お聞かせ下さい。
【代表】度々記者会見でも申し上げていますが、現時点では、とにかくお盆までに参議員選挙の候補者の擁立作業をと、これに全力を尽くしておりますので、代表選出馬云々はまだ結論を出していません。多少お盆休みがとれると思いますので、その時に考え、そしてまた、もし出馬するとすれば自分の政策をまとめなくてはならないので、そういう意味でお盆明け後に、一応、参院選候補予定者のお盆までの擁立作業が一区切りついてから考えたいと思います。
■北朝鮮ミサイル問題 その本質について
【記者】 日本の外交が今北朝鮮のミサイル発射をめぐって、多少日中関係を含めて中国に頼ろうとしている部分と、国連であくまでも当初の目的どおりの制裁決議を行おうと、少しそこに溝ができていると思いますが、野党代表として、47ヶ国のミサイルを持っている国がミサイルを発射した段階で、制裁決議が今まで一度もないことについて、どのようにお考えでしょうか。
【代表】我が国においては、得てして現象面だけを捉えて、時には大騒ぎする傾向もあります。例えばロケットだけで言えば、他の国も結構持っているところもありますし、日本も、より大きなロケット持っているわけです。それでもいくら発射しても問題にならないというのはなぜか。要するに問題は、北朝鮮のような強権的な独裁政権の下にあるという政治体制が問題であって、ロケットそのものも問題だとは思いますが、本質的はそうした政権だということであり、だからこそ皆でどうだこうだと言っているわけでしょう。そこをややもすれば、日本も勘違いするところがあるので、人からそのようなことを指摘されるでもなく、本質をきちんと見極めた議論をしなければならないだろうと思っています。もちろん日本を直接狙って撃ったということであれば別ですが、そこの現象論と本質論を一緒にしてはいけないだろうと私は思っています。
■小沢代表の日米中三角形外交論に関する武部自民党幹事長の批判
【記者】報道によると、自民党の武部幹事長は台湾の馬英九国民党主席と会談した際、小沢代表の三角形外交を批判し、馬国民党主席も「同感」としていたようですが、そのことに関してどのように思いますか。また馬国民党主席と会う予定はありますか。
【代表】人様が何を言おうが論評する話ではありません。自由ですから何とでもおっしゃっていただいて結構ですが、私がこの三角形の話を持ち出したのは、一つには日本が中国について、何だかんだ言ってもアメリカより分かっているはずだし、日本がやはりこの(日米中)三国の中にあって物事がうまく進展していけるように、そういう役割を担うような国にならなくてはならないということが、私の基本的考え方です。
もちろん私は、これもまた中国であろうが日本国内であろうがどこでも、日米関係というのは、日本において非常に大事な、一番大切な2国間関係であるということは申し上げています。しかし、それと同時に歴史的経過を踏まえても、そして今日の極東において、アジアにおいて、世界において、中国というお隣の国を無視して国際関係は成り立たなくなってきているわけだから、そういう意味においても、日本は日中関係を本当に大事にお互いに、それこそ中国もきちんと日本に対して接してもらわないといけないし、日本もまた中国との関係をより緊密にしていかなければならない。そのように思っています。
それから、馬英九さんと会見する予定はありません。私は台湾問題でいえば、これは若干いま台湾の中で変化しているかどうかは別にして、公式には中国は一つとの中国論をとっているわけですから、それについて他国でとやかく言う筋合いはないと。それはそちらで決める問題であると思っています。
■北朝鮮ミサイル問題 専守防衛について
【記者】北朝鮮のミサイル問題ですが、代表が言われるように敵がどこかという問題はありますが、現状のように、次いつまたミサイルが飛んでくるか分からない予断を許さない状況の中で、日本側が北朝鮮のミサイル基地を攻撃することは、専守防衛にあたるかどうか、やはり国内の議論が足りなかったと思いますが、その辺についてはどのように思いますか?
【代表】それは日本に向けて撃てば当然そうなる。しかし撃つ前ではどこに向けたのか分からないでしょう。日本に撃ったか、どこに撃ったか、どうやって判断するのですか。今の最新の技術をしても、撃ってからでないと分からない。撃てば、何分だったか正確には忘れましたが、方角で推測できる。技術的にはそういうことですが、今の段階で、では北朝鮮のミサイル基地を攻撃することができるの?産経新聞(質問した新聞社)の考えでは。
【記者】まだはっきりしてない。
【代表】 「はっきりしてない」といっても、こちらに攻撃されてないのに攻撃してしまうのですか?できないでしょう。であれば、あなたの思う通りで、私もできないと思うよ。日本に対して向けて撃ったということになれば、それは別問題だ。そういうことになれば、それに対する自衛措置を講ずると。ただ、その限度はどこまでかという議論はありますが、当然のこと。自衛権の発動です。編集/民主党役員室
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