2006年10月31日(火) | 戻る/ホーム/民主党文書目次/記者会見目次 |
小沢一郎代表 定例記者会見要旨
○沖縄県知事選の争点と教育行政の責任の所在について ○沖縄県知事選での野党共闘体制について ○沖縄県知事選 与那国での第一声を行う理由について ○防衛庁の省昇格法案への対応について ○多選の弊害と増田岩手県知事が4期目不出馬を決めたことについて ○防衛庁の省昇格法案への対応について ○沖縄県知事選の国政への影響と何を訴えるかについて ○イラク問題について ○来年の参議院選挙の投票日について |
(質疑応答)
■沖縄県知事選の争点と教育行政の責任の所在について
【記者】沖縄県知事選の最大の争点は、普天間飛行場移転問題であると認識しています。県内移設を認めるのか、県外移設にするのかということだと思いますが、この点どのようにお考えですか。
また教育問題でいじめ、未履修問題で与党は教育現場、教育委員会に責任があるという議論をしていますが、代表は責任の所在はどこにあるとお考えですか。
【代表】沖縄県知事選、その争点として米軍基地の問題があるというのはその通りだと思います。当面の問題として、普天間うんぬんということがありますが、私はその一つの事柄より、アメリカのプレゼンス、米軍の存在が沖縄に非常に偏っているということと同時に、今日の政治情勢、あるいは軍事技術等の観点から、沖縄すなわち日本に、これだけ量的に大きな米軍の駐留が必要かどうか。米軍の世界戦略と絡んでの話になりますが、そこをきちんと議論するようにしないといけないと私は思います。
グアムに移転するというのも、彼らからすれば、前線基地の沖縄だけども、そこにそんなにいらないということでしょう。いつでも緊急発進部隊を少し後方に控えていたって良い。本土で十分だと言う人もいる。私は政治的な効果として、アメリカ、米軍のプレゼンスは必要だと思いますが、現在のような量的な規模は必要ないのではないかと考えると、沖縄の負っている70数%の基地の存在という面からも、米軍の存在全体という面からも、きちんとアメリカと話し合えれば、現状よりはるかに少ない基地でもって、納得できる、合意できるのではないかと思っています。問題は、アメリカに対して何も言えない今日の政府の姿勢だ。
それから2番目の質問は、私がまさにいつも言っていることです。どこが最終責任を持つのか分からない。文科省は指導・助言だけ、何か起きると市町村や教育委員会は文科省の言う通りやっていると言う。そこのところはそもそも戦後、占領下において作られたものですけども、戦後体制の大きな一つだし、占領政策の大きなテーマだったわけです。そういうことを踏み込まないといけないだろうと思っています。
それと同時に社会全体の問題だと私は思っています。記者の諸君も学校の成績の良い人がそろっていますが、官民ともに雇用が問題であり、要は有名校の通信簿だけでとっている限り、この問題はなくならない。だから多分、親もそういう背景があったから、試験科目だけやっていれば良いというのが許されてきたのだと思う。だから、学校の先生やどうのこうのという話ではなくて、社会全体の問題だと私は思います。
■沖縄県知事選での野党共闘体制について
【記者】沖縄県知事選、5党で協力体制が築けていますが、その意義と共産党との微妙な違いに対する批判について、どのようにお答えになりますか。
【代表】沖縄の選挙でこれだけまとまって統一候補というのは、多分初めてじゃないかと思います、こういう広範囲な形では。それだけ、私は沖縄県民のみなさんが現状打開の気持ちを強く抱いているのだろうと思います。もちろん、各論に至れば政党が違うのだから、意見が違うのは当たり前。意見が同じなら、同じ党になれば良い。自民党と公明党みたいにかなり何だかんだ言いながら一緒のところもあるけれども、そういうところは珍しいね、本当は。政党が違えば、いろんな面で違うのは当たり前。いろんな意味で米軍基地あっての沖縄みたいな、何の議論するときもね。そういう現状に対する「何とか打開しないといけない」という思いが共通したことになってきているのだろうと思うし、それで良いのだろうと思います。
■沖縄県知事選・与那国での第一声を行う理由について
【記者】沖縄県知事選挙、明後日の第一声を最西端の与那国で行う予定にしていますが、これも川上戦略の一環でしょうか?
【代表】それもあります。それもありますし、めったに離島に行くことありませんし。有権者はそこにもいます。あとはもちろん、選挙戦というテクニカルな面で言えば、本島以外の島で、どうしても自民党が優勢だ。どの地域行ってもそうですが、郡部の方は、中身はそうでもないと言い続けているけども、結果として政権与党が強い。そういう選挙のテクニカルな面ももちろん含んでいますが、本島には誰でも行けるし、行こうとすれば行く機会がある。離島の方はなかなか行けませんから、僕も初めて行くことになる。とても良いことだと思っています。
■民主党憲法提言の条文化作業について
【記者】今度の11月3日は、日本国憲法公布60年に当たります。現在、民主党は憲法提言をまとめていますが、条文化作業の日程についてどのようにお考えでしょうか。
【代表】直接憲法の草案づくりに、私は現段階では関与していません。憲法調査会で作業をしつつ、いずれ皆で意見交換する機会がないといけないわけです。作文するだけならできますが、国民的合意がないとできない。そういう国民の高まりと相まって、着実に進めていけば良いのだろうと思います。
■防衛庁の省昇格法案への対応について
【記者】防衛庁の省昇格法案への対応ですが、今後与党側が強気の国会運営をしてきた場合、代表として、民主党として反対はあるのでしょうか。
【代表】現在の状況については幹事長、国対委員長に聞いて下さい。ただ、国防の任にあたる省庁が、いわゆる内閣府の一外局でしかない。権限もないような状況においておくというのは決して良いことではないと思えます。したがって、それはきちんとした表の舞台に乗せるべきだと基本的には思っています。ただ、その国防の任にあたる役所で非常に天下り、あるいは汚職、そういったことが頻発しています。これはとてもそういった、任務にあたる役所としては、ますます相応しくない現状ですから、それについて、まずきちんと防衛庁自身が身を正すことが先決だろうと私は思っています。
【記者】必ずしも今国会での成立にこだわらないということですか?
【代表】自分自身で襟を正せということです。そしてみんながそれならいいやと思うようになってからで良い。
■多選の弊害と増田岩手県知事が4期目不出馬を決めたことについて
【記者】自民党が多選の制限について考えているようです。そのことについて、どうのように思いますか。また昨日、岩手県の増田知事が勇退されることを発表しました。多選の弊害ということについて改めてお聞かせ下さい。
【代表】法的に禁止すべきだということを、ずっと前から私は言っています。ただ、知事の影響が大きいので、自民党時代から私は言っているのだけど、みんなそう思いながらも、言い出せないでいたという現状です。最近、汚職事件が頻繁に続いているものだから、ちょっと自民党も元気出てきたんのではないかな。私がいつも言うように、アメリカでは知事も大統領も2期8年となっていて、ルーズベルト以外はみんなそうなっているわけです。自由党の時は2期8年を党の原則としていましたが、民主党は3期12年となっていますので、3期まではしょうがいないと思っていました。法的に規制することは良いことだと思っています。
それから地元岩手のことについては、増田知事自身が多選の弊害に気がついたということは大変良いことだと思います。やはり絶対的な長期の権力は腐敗するという古来からの話の通り、区切りをつけると発言したようですので、それなりに良かったと思いますし、3期12年で県民の立場で言えば、ご苦労さんでしたということです。
■防衛庁の省昇格法案への対応について
【記者】防衛庁の省昇格の問題に戻るのですが、先ほど「襟を正せ、国防の任務にあたる役所に相応しくない、きちんとして」という発言がありましたが、臨時国会期間中は少なくとも様子を見る、あるいは襟を正す議論をする時間を設定すべきとお考えですか。
【代表】そういう記者諸君のような観点では見ていません。私の基本論は何度も言っていますが、私流に言わせれば、根本的に行政の大改革をすべきだと思っています。防衛庁だけではない話で、ただ、管理の中でもとりわけ国防の任にあたるものが何ぞやということを少し強調しただけの話。私は今の行政機構そのものを全面的に見直すべきだという前提に立っているので、それをきちんと襟を正すというのは、そういうふうに解釈していただければ良いと思います。
■沖縄県知事選の国政への影響と何を訴えるかについて
【記者】沖縄県知事選の結果が国政への影響、つまり対安倍政権でどのような意味を持つとお考えでしょうか?先の衆院補選で、代表は小泉前政権の負の遺産、格差問題を訴えていましたが、そういった問題を中心に沖縄でも訴えられるお考えでしょうか。また「そうぞう」との連携について、どのように捉えていますか。
【代表】格差の問題とかは日本全国共通の重要な、今日の自民党政治の中の問題点ですから、それはもうどこであっても変わりないと思います。ただ、沖縄が他県と違うのは、米軍基地が非常に大きい比重を占めているということです。先ほど言ったように、知事選びですから、国政じゃないですから、米軍基地自体が量的に私は今ほど必要でないという見方をいろんな軍事的な意味でも、政治的な意味でも知っていますから、そうすると今度は、沖縄はどうやって自立していくかという問題があります。沖縄自身のやはり米軍基地にいろんな意味で依存しなくてもやっていけるような、伝統の産業をうまく活用していく方法とかたくさんあると思う。伝統技術、特にものづくりというのは日本各地でいろんな形で辛うじて残っています。それを市場にどのような形で出していくかということは、知恵の出し様では、結構今の市場の中で通用するものが結構あると思います。
私の地元でも、今までとてもとても市場でそんなにできないということでも、新しい市場が見つかったり。そんなことで、海で鮭がいくらとれても、どうしようもないと言っていたのだけれども、それも輸出の道を見出したりね。リンゴでも一週間ぐらい経つと柔らかくなると、うまくなくなって駄目だと言っていた。あるいは高すぎるとか。それがまた結構売れているとか。あるいは伝統の技術でもいっぱいあると思いますよ。いろいろな手作業を使った技術、そういうものを農林水産物だけじゃなくて、そういった人手を使って、伝統技術と発展させるという、そういうそのどこの沖縄だけじゃなくて、どこでも共通だけど、地場産業のそして伝統産業を活かす工夫をしていく。そういうことが地場の努力として必要。
国のレベルで問題なのは、やはり地方の本当の自立でしょうね。地方の自立のシステムを、国の機構の大改革によって作るということだと私は思います。いずれにしろ、国際関係としての日米関係のシンボリックなことですから、そこで我々の考え方が支持を得ることによって、はっきり示せるということになれば、それはそれで大変大きな成果だと思います。
下地さんは選挙のときから我々、応援してきました。多分、応援してくれるだろうと思っていました。
■イラク問題について
【記者】イラクに関してですが、アメリカでは中間選挙があり、アメリカの世論の3分の2はイラクからの撤退を求めています。それに比べて、日本は議論が盛り上がっていないようですが、代表はどのようにお考えでしょうか。
【代表】日本の場合は、自分の主体的な意思で行動してないからではないですか。アメリカが言うから、アメリカに付き合って、「こうせいや」とやっていることだから、どうなろうがあまり議論がないのではないですか。マスコミももう関心なくなってしまっているし。私はそう思います。やはり自分たち自身がアメリカもイギリスも若い兵隊が現地に行って、毎日死んでいるのだから、それは深刻な問題です。日本はそうじゃないから、だから関心もないのではないですか。
我々は既に、イラク戦争は全面的に、アメリカもイギリスも、そもそもイラク侵攻は間違いだったと思っています。そういうことが改めて、アメリカ国民、イギリス国民の間で議論になっているわけでしょう。あの時掲げた理由は根拠のない嘘だったでしょう。だから、国民が怒るのは無理ないのではないでしょうか。ただ、これは私は分からないですが、一番はブレア首相の英国よりも、アメリカが負けたとき、ブッシュ政権がどうするのか、「ごめんなさい」と言って撤退するのか、分かりませんね。
■来年の参議院選挙の投票日について
【記者】来年の参議院選挙についてですが、来年通常国会の召集が1月19日で検討されていますが、そうなると公選法の規定で7月15日が投票日になり、3連休の真ん中になります。そうなると低投票率につながる恐れがありますが、代表のご意見をお聞かせ下さい。
【代表】それは国会の召集とそれに関連する選挙の投票日は、内閣・与党がその権能で決めることですから、それぞれの自分の都合の良いところでやるというのは結果としてしょうがない。ただ、我々としては3連休だろうが4連休だろうが、絶対勝利するようにしないといけない。それだけです。編集/民主党役員室
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