2006年11月8日(水) | 戻る/ホーム/民主党文書目次/記者会見目次 |
小沢一郎代表 定例記者会見要旨
○北海道の竜巻災害:対策本部を設置し、できる限り役に立ちたい ○今回の党首討論のテーマ設定について/核保有論に対する安倍総理の認識 ○教育基本法の与党改正案について ○党首討論の総理答弁の感想/防衛省設置法案への対応 ○憲法9条に関する安倍総理の認識 ○アメリカ中間選挙の結果が与える影響について ○核保有論発言に関する麻生外務大臣の辞任要求について |
■北海道の竜巻災害:対策本部を設置し、できる限り役に立ちたい
【代表】最初に、先ほどの党首討論でも申し上げましたが、北海道の竜巻被害で9人の方が亡くなられたそうでありますが、ご冥福をお祈りいたします。また、けがをされた方、被害に遭われた方々の1日も早い回復・復興をお祈りいたします。私どもも野党ではありますが対策本部を設置し、できる限りのお役に立てるようにしたいと思っています。
<質疑応答>
■今回の党首討論のテーマ設定について/核保有論に対する安倍総理の認識
【記者】今回の党首討論で、代表は憲法9条の問題と、閣僚・与党の幹部による核保有論、そして教育の3つをテーマに挙げましたが、それをテーマに挙げた理由をお聞かせください。また核保有論に関して、代表は安倍総理に、閣僚らの核保有論の発言を慎むようにすべきと指摘したのに対し、安倍総理は、安全保障の議論として触れたからといってそれを大問題とすることはいかがなものか、といった答え方でしたが、そうした安倍総理の認識についてどう思われたか、教えてください。
【代表】テーマは、大事なものだと思ったから、このテーマを選びました。
安倍総理は、基本的に中川政調会長や麻生外務大臣と同じ考えなのではないでしょうか。答弁も、表現の仕方はちょっと違いましたが、多分同じような趣旨だろうと私は思います。
ですから、ちょっと自民党の人たちに意味が分かったかどうか知りませんが、非核3原則を言っていながらいろいろな議論することは、非常に誤解を招くし、そうした手法はごまかしの手法であって、政治家として取るべきではないと思います。それならばそれで非核3原則を含めて、こういう状況になったのだから核武装の問題についても皆で議論していくというのなら、私は反対ですけれども、筋道としては分かりやすい。一方で「作らず、持たず、持ち込ませず」「(非核3原則)堅持だ」と言っておいて核武装の論議はやってもいいではないかといった類いの話は、私は憲法論と同じように、ちょっと論理矛盾だと思いますし、それは非常に内外の日本人に対する評価を低くする、危うくするものだと思っています。
ちょっと言い忘れてしまいましたが、私が核弾頭を数千発持つだけの能力があると言ったかのような指摘がありましたが、それはプルトニウムが置き場のないくらいあるし、技術と資力からいえば、やる気になればその能力としてはあるというだけの話であって、そしてそれを何の時に言ったかというと、日中の会談の中で言ったのですよ。きちんとした日本との信頼関係を(中国が)築かないと、日本のそうした核武装論議を勢いづかせることになるのだと。そして能力からいえば、日本には能力的にはあるのだと。しかし、そうしてはいけないのだと。だから中国もまじめにきちんと日本と付き合わないとだめだ、ということを言ったのであって、むしろまだ多数ではないと思いますが、こういうような閣僚や与党の最高幹部から、核武装の論議くらい良いではないかという発言が出ることが、私が一番心配していた傾向だということです。
それから鳩山幹事長の話をしていましたけれども、あれは以前、西村眞悟議員が防衛政務次官だった時の話で、前後の経過を飛ばして総理は話していました。その時西村議員は、責任をとって防衛政務次官を辞任したのです。そのくらい、政務次官でさえそうした責任をとるという話になるくらいですから、ましてや閣僚も。同じ事を西村眞悟議員も言ったのですよ。国会で議論くらいしてもいいじゃないかと雑誌で発言し、それを突かれて、政府方針に反する、あるいは疑念を抱かせるような発言だということで、責任をとって辞めた。私はそのくらい、日本にとっては大きな問題だと思う。しかし、総理までが同じような考えだということだから、私はくどく聞いたわけですが、基本的には同じ考えなのではないですか。議論してもいいじゃないかということ、簡単に言うと。そのように私は受け止めました。
■教育基本法の与党改正案について
【記者】今日の党首討論でも取り上げられましたが、教育基本法の与党案について、与野党を含めた議論が必要と代表は話していましたが、国民的議論のないままに与党案が来週にも衆院を通過する予定のようですが、どのようにお考えでしょうか。また以前、代表は与党案について、偏狭したナショナリズムに発展するのではないかという指摘をしていましたし、学者の中にも、愛国心を教育目標とするような法律が通ると、子どもの心を操られるのではないかという懸念を示しています。代表のお考えをお聞かせください。
【代表】党首討論でも申し上げた通り、教育についての政治の責任ということになると、教育行政を通じて第一義的には行うという手段になります。そうすると、政府案は全然、それこそ先ほども言ったように、占領下でつくられたものだから国民の手でつくり直さなければならないと憲法については言っているのに、教育の仕組みについては占領下でつくられたままの仕組みを前提として、教育委員会が悪いとか学校現場が悪いとか、簡単に言えばそういう答弁でしょう。それはちょっとおかしいのではないかと。私どものほうは、教育委員会制度の改革まで踏み込んでいるのだということを、きちんと根拠規定を置いているということを申し上げたのはそこにあるわけです。
偏狭なナショナリズムというのは、愛国心というのは非常に内面的で、しかも精神的な問題ですから、外から「お前は愛国心を持て」と言われたからといって、そうなるわけではありませんし、それを強要するというのは、国家主義というか偏狭なナショナリズムというか、そういう政治の手法になってしまうと。そして結局、核武装の議論自体はいいじゃないかという閣僚、そして総理さえも同じような発言をするということは、まさに私が心配していた風潮に火を付けるというか、勢いづかせることになるのではないかと、非常に心配しています。
■党首討論の総理答弁の感想/防衛省設置法案への対応
【記者】党首討論の話に戻りますが、前回の党首討論では、安倍総理は質問の内容を理解できていなかったのではないかという感想を述べられましたが、今日の討論を終えて、総理の答弁の感想と、核武装発言のところで、発言を改めるように閣僚に指示しなければというくだりのところで防衛省設置法案のことも取り上げていましたが、法案対応もこの問題の総理の対応次第で変わるという認識なのでしょうか。
【代表】結果としては、そういう話につなげるけれども、体裁を整えるとか整えないということ以前にもっと大事な問題でしょう。日本の安全保障政策、国防政策を、核武装ということになれば、根本から変える話になるでしょう。ですから役所の体裁を整えるということは、それに比べれば枝葉末節な話ですから、私は総理がきちんと閣僚、党幹部に指示すべきだと思いますし、そういうことがクリアーになされない限り、省昇格を中心とした法案の論議は、あまり意味がないと思います。
■憲法9条に関する安倍総理の認識
【記者】今日の党首討論で、憲法9条についての安倍総理の認識は明らかになったと思いますか。
【代表】総理は自衛権を明記して、国際貢献を明記して、という考えではないですか。だから国際紛争を解決する手段としての云々とか、武力による威嚇・行使云々という憲法9条ということは、あまり重く感じてはいないのではないかな。むしろ「時代にそぐわない」という言い方をしているでしょう。あれはちょっと時代遅れだというような認識でいるのではないですか。だから私は国連憲章第2条のことを話した。国連憲章第2条にも同じことが書かれていますよ、それが時代にそぐわないと言った人は聞いたことがないと。
■アメリカ中間選挙の結果が与える影響について
【記者】アメリカの中間選挙で民主党が躍進しています。イラク戦争の対応を含めてブッシュ政権への影響、間接的にも安倍政権への影響について、どのようにお考えでしょうか。
【代表】いろいろな国際社会の問題、その中でもアメリカの状況というのは大きいけれども、どのような形になるか分かりませんが、そもそも(安倍内閣は)小泉政治を承継すると言ってきているわけだから、小泉前総理はブッシュ大統領の言う通りにやってきたわけで、それがアメリカ国民にも否定されたということになると、何だったのだろうという話になることはなるでしょうね。ただ、それが国内の政治の場でどのような形でどのような影響があるかは分かりません。
■核保有論発言に関する麻生外務大臣の辞任要求について
【記者】先ほどの核保有論の話で、改めて麻生外務大臣の辞任あるいは罷免を求めていくお考えはあるでしょうか。
【代表】党首討論でちょっと言い忘れたというのはそれなのです。以前は政務次官でさえ辞任したと。政府の方針に反する、あるいは誤解を招くということで責任をとったわけです。だから閣僚の重みというのは、さらに大きいのではないでしょうか。それは閣僚ではないけれども、自民党の政調会長という立場の重みも相当大きいと思います。だからちょっと前ならば、マスコミ報道もものすごかっただろうし、即辞任だろうな、両方とも。しかし、総理も同じような考えということになると、どうなるのかね。それは記者の皆さんや国民の皆さんの判断次第だ。我々は大きな責任があると思います。編集/民主党役員室
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