2006年12月12日(火) 戻るホーム民主党文書目次記者会見目次

小沢一郎代表 定例記者会見要旨

○政権政策における年金制度について
教育基本法改正案の審議について
消費税の引き上げ論議について/外相不信任案について
基礎年金の財源について
終盤の国会対応について
1階部分の国費投入への認識/参議院1人区への対応
安倍内閣支持率低下について

■政権政策における年金制度について

【代表】時間を節約するために、私のほうから先に申し上げます。いま議論されている年金制度についてですが、いろいろな議論の経過はありましたが、最終的に政権政策委員会の皆さんの合意として私自身も合意を了解したところですが、まずは仕組みとして、これは基礎的部分の1階部分は全額国費をもって財源として充てると。最低保障年金と言うか基礎年金と言うか名称は別として、いずれにしろ、この1階部分、基礎部分は全額国費で賄うと。そして2階部分、これは所得比例の方式によって全員が加入するということを前提にして、所得保障の方式で2階建て部分を構築するということで、委員会の皆さんの合意を得て、また今まで全議員で議論してきた会合においても大体その方向で意見が占めていたようでありますので、そのようなことでよろしいのではないかということが現段階での本日夕方にも全議員政策懇談会がありますので、そこで最終的に皆さんにお諮りすることだと思いますが、そのような現在の状況であります。

 もう1つは財源の問題であります。消費税を旧来3%上げて8%にするというのが民主党の案になっていましたが、小泉政権以来の国民負担の状況をみると、ほぼ9兆円〜10兆円近い国民の負担増になっており、消費税だと約3.5〜3.6%の税負担が、既に改革という名の下で国民に負わされているわけであります。そういう中で、格差が広がり、低所得者、一般庶民に対する負担が、格差の広がりと同時に税負担の面でも非常に大きくなってきている現状の中で、このまますぐ消費税の増税というのはどうか、という意見があると。一方において、やはり財源の問題もあり、旧来通り消費税8%ということで、我が党の考え方をまとめるべきであるという意見もありまして、今日もまた、これから全議員の会合がありますので、その中でさらに引き続いて皆さんに議論してもらい、大方の合意をどちらにしろ得られるようにしなくてはならないだろうと思っています。

 皆さんの頭の中でも、どうしても全ての政治・行政、あるいは財政の仕組みを現状のままで判断される方がほとんどでありますので、そこだけは頭を切り換えてもらいたいと。私どもは、個別の補助金の廃止と一括交付という革命的な提案もしています。それから特殊法人や独立行政法人なども原則的に廃止しようとしています。もちろんそれに伴う特別会計や財投からの資金、財投資金といっても事実上の予算でありますので、そういうこともそれに伴ってなくなるわけですので、そういうまさに革命的改革を我々は一緒に提案していることを、ぜひ皆さんの頭の中を少しそういう状況に置いて考えてもらいたいと。これは議員においても然りでありますが、そういうことであると。現状では、そのような段階に年金の議論はなっています。

<質疑応答>

■教育基本法改正案の審議について

【記者】昨日、伊吹文部科学大臣が外国人特派員協会で講演し、教育基本法改正について発言しました。今週中にも参議院を通りそうですが、文部科学大臣としては早く通して、30余りの教育関連法案を通過させたいと発言していました。一方、ある調査では、7割近くの学校の校長が、もっと議論を尽くすべきとの結果があります。この点について、どのようにお考えでしょうか。

【代表】教育というものの本質的意味合いからして、1日〜2日、拙速して通せばいいというものではないと、まずは最前提としてそう思っています。ですから、できる限り時間をかけて議論していくことが大事だし、それで何の不都合もないと思います。

 中身で言えば、政府の提案している教育基本法は、今日の教育制度について何らその法案の中身では触れられていません。ただ言葉の羅列だけであり、国会答弁をみても、教育委員会がもっとしっかりしてもらわないと、とか、現場の学校がどうだとか、他人事のように言っていますが、党首討論でも述べましたが、それこそ占領下で作られてきている今日の教育委員会制度を柱とする教育制度がこのままでいいのかといったことについても、一切、そういう基本の仕組みやその他については政府案では何ら触れられていません。

 したがって、教育の本質という意味からも、政府案の中身のお粗末さから言っても、何も急ぐ必要はない。もっと議論していいのではないかと思っています。

■消費税の引き上げ論議について/外相不信任案について

【記者】消費税について全議員政策懇談会の議論を見極めたいということでしたが、消費税の引き上げを当初原案では否定していましたが、その部分は今後の議論を見据えて考えるのか。外相不信任案について、再三、代表は閣僚の核武装論発言を批判していましたが、改めて信任不信任を問うべき事態とお考えか。中川秀直幹事長が、代表が過去に同じような発言をしていると批判していますが、これについて反論があれば、お願いします。

【代表】年金財源としての消費税の引き上げ、旧来8%と言っていましたが、既に10兆円近い税負担が小泉内閣の下で増えていると。それから個人間の格差も非常に拡大しているという状況の中で、私は消費税の引き上げということを、私自身の政治的判断としては非常に受け入れられにくい状況に現在あるし、またそれをやることによって、結果的に弱い人の負担を増やすことになってしまうのではないかという判断が私自身にありました。したがって、政治・行政・財政制度の抜本的な改革で、そこから無駄を省くことで、当面の財源として十分やっていけると。いま最終的に委員会にも要請しておきましたが、我々の財源のことについても同時に最終的に皆さんに発表するようにしたほうがいいのではないかと言っておきました。皆さんは私の主張に対して、頭の中で「そんなことできっこないだろう」という前提でいますが、それが実現できたとすれば、消費税3%や4%分の財源は十分生み出せると私は思っていますが、いずれにしても、党内の大方の皆さんの合意を得られるということが大事なことですので、それは政治的な判断になりますから、来年は選挙ですし、皆さんがこれで行こうと納得できる結論になればいいのではないかと。その意味で、私自身、私の判断を固執するということではないです。

 国会の問題については幹事長にお任せしているので、幹事長をはじめ担当の皆さんにお聞きいただきたいと思います。

 核の問題について、多分、安倍総理も党首討論で、(以前に)核の問題に触れていたではないかという発言がありましたが、それだと思います。核の問題に触れたわけではありませんが、仮にそれが触れたということであったとしても、内閣の一員という立場と、例えばマスコミであれ評論家であれ一政治家であれ、何を議論したって構わないでしょう。ただ閣僚の一員が、その内閣では非核3原則を守ると言っていながら核の論議をしたっていいじゃないかという類いの話をするということは、事実上、非核3原則を守ると言っていても、とてもそんな言葉は信じられないという不信感になってしまうのではないかということを、私は党首討論の時も言ったわけです。やるならば堂々と、正面から非核3原則を含めて核の論議をするのだというのなら、賛否は別として分かるが、一方でやりませんと言いながら一方で論議を助長するかのような発言をするということは、内閣として全く矛盾しているし無責任なやり方であって、それはよろしくないといっただけの話で、何の論議しようが言論は自由ですから、別に構いません。

■基礎年金の財源について

【記者】年金制度について、先ほどの個別補助金の廃止など革命的改革で当面の財源は充てられるという話でしたが、恒久的なことを考えた場合にどうするのでしょうか。

【代表】無駄を省くというのは、今後ともずっと省けるという意味です。当面というのは、もっと高齢化が進んだり少子化が進んで人口構成が変わってくる状況になれば、もっと社会保障関係費が増えてくるだろうという意味です。

 教育人件費や社会保障のカットできない一部分がありますが、個別補助金の廃止によって23兆円のうち7〜8割で地方の公共団体は自主財源としてもらえれば十分だと言っている。中央の役所で縛られて、そのメニュー通りに、ある意味で不必要なものでもやらなくてはならないといった類いのお金では、本当の地方分権、地方自治はできない。自由に使わせてもらえるのなら、いまのトータルの補助金の7〜8割でいいというふうに言っているわけで、それが実現できれば恒常的に予算がかからないで済むということになる。

 ただ、現状の高齢化状況と将来がどうなるかは、それはまだわからない。これは私の全く個人的な意見ですが、今の出生率を前提として構築することは反対です。なぜかといえば、今の出生率では、日本人はいずれ数百年後に地上からいなくなってしまう。そんな出生率を前提にして政策は組み立てられないと私は思っています。だから我が党が政権に就けば、もっときちんと出生率が上がるような政策を講じます、ということが政治ではないかと思っています。現にいろいろな歳出で手当等や教育関係とか子育て等、きちんとみられるような仕組みを同時並行的に我々は主張しているので、そういうふうに私は思っています。

 ただ、そうは言っても、年金だけではなくいろいろな社会保障関係費が増える可能性があるということになれば、それは最終的に消費税の負担をしてもらわなければならないということになるかもしれないと。それは否定していません。医療とか介護とかありますが、医療というものは、高齢者の生きがいの問題と雇用システムの問題だと思っていますから、現実に日本の中でもお年寄りが元気に働いて医療費もかからないという地域も存在するのですから、死ぬまで生きがいをもって働けるという社会を構築するのが先決だと思います。

■終盤の国会対応について

【記者】民主党の今回の国会対応について、社民党や国民新党などから弱腰だといった批判が出ていますが、改めて国会終盤の対応や選挙へ向けて党首会談もお考えなのか、お聞きします。

【代表】国対委員長会談を行って、その後幹事長会談というふうな説明を鳩山幹事長が説明していましたから、成り行きによっては、そうすることも別に構わないとは思いますが、基本的には幹事長、そして衆参の国対で、きちんと議論して意思統一して行うことが大事だと思います。具体的には幹事長以下に聞いてください。

■1階部分の国費投入への認識/参議院1人区への対応

【記者】年金についてですが、1階部分について全額国費を投入することは、政権政策に明記するのか。また、全額税方式という意味では、岡田元代表時代の考え方を踏襲したという認識でいいのか。また話は変わりますが、参院選について、1人区29あるうち、いま公認内定している部分も含めて、どのくらいの公認決定をめざすのか。そのうち、社民党や国民新党との選挙協力はどの程度を目指し、1人区の勝敗目標をどの程度と考えていますでしょうか。

【代表】年金については、過去の経緯を言えば、自由党の時は全額税でやるということを決めていました。岡田元代表のときもそう決めたかもしれませんが、その前からも決めていました。いろいろな議論の経緯がありますが、とにかく、すっきりと分かりやすく、また低所得、弱者に対してあたたかい、そういうシステムにしようということで、基礎の部分、最低保障年金部分は国費で賄おうという結論に達したということです。

 参議院の選挙については、年末年始で皆さんが集まる機会が多いですし、話題もいろいろ多い時ですので、できれば年内に少しでも多く決定をしたいと思っています。それは5つも6つもというようにはいかないかもしれませんが、そのくらいを目標にしながら最後までやっていきたいと思います。

 選挙は毎回言っている通り、政権を担おうとするには過半数をとらなければなりません。過半数を狙わない政党は解散したほうがいい。

 社民党や国民新党との選挙協力もできる限りやります。いくつできるかはわかりません。けれども、私の基本的考えはいくつでもいいと考えています、皆が合意するならば。別に民主党にこだわる必要はない。ただ民主党の候補者がかなり決まってきていますから、そう大きな数にはならないだろうと思っています。

■安倍内閣支持率低下について

【記者】安倍総理の内閣支持率が落ちてきていますが、復党問題などが影響しているとも言われていますが、代表はどのように捉えていて、これによって安倍政権の特徴をどのように見えているのか、教えてください。

【代表】私はあまり、そういうことに関心はありません。我々が政権をとるかとらないかは、自民党の問題ではないですから。我々民主党自身が、国民にきちんと訴えるもの、信頼されることが大事なことなので、本音も建前もそういうことにあまり関心はありません。ただひたすら民主党が、より信頼されるためにはどうしたらいいか、ということに全力を傾けています。

編集/民主党役員室


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