2007年1月16日(火) | 戻る/ホーム/民主党文書目次/記者会見目次 |
小沢一郎代表 定例記者会見要旨
○参院選の争点について ○国民投票法案への対応 ○政治とカネの問題について ○民主党CMへの評価 ○与党の政治とカネの問題への追及 ○安倍政権支持率低下に対する民主党支持率の横ばい傾向の原因 ○党大会を振り返って |
<質疑応答>
■参院選の争点について
【記者】参院選の争点についてお伺いします。安倍総理が憲法改正と言ったのに対して、今日の党大会で小沢代表は、「生活維新こそ参院選の争点」と指摘しましたが、年末にまとめた政策でも農業政策や年金改革など生活に関する政策が盛り込まれていますが、実際に参院選が近づいてきて、その基本政策の中から生活維新とか格差是正という論点の中で、どのようなテーマを訴えたいとお考えでしょうか。
【代表】先ほどの党大会での挨拶でも申し上げた通り、憲法は国の最高法規で大事なテーマであることは間違いない。ただ、今日の日本社会の現状を見ると、国民生活そのものが脅かされつつある。したがって、国民の皆さんがいま一番関心があるのは、自らの生活を安定して将来に向かって不安なく続けていけるかどうか、ということに最大の関心事があるだろうと私は思っております。
したがって、先日決めた基本政策を基に、その中からできればさらに絞って分かりやすく我々の主張を訴えたいと思いますが、いまの小泉政治を継承する安倍政治の問題点は、一つは財政ということを理由に、国民に一方的な負担を押し付けて、自ら制度改革をしようとしない。今までの仕組みのまま、官僚任せで国民に負担だけを増大させるやり方はしてはいけない。仕組みそのものから変えていこうというのは一つの論点だと思います。
もう一つは、改革・規制撤廃という美名のもとに、いわゆる市場原理、自由競争ということが強調され、そして競争に勝ったものが生き残る、いわゆる強者の論理の政策がまかり通っているということだと思います。記者の皆さんも勉強していただければ分かるように、当初の資本主義はいわゆる自由競争ということに最大の重きを置いて、その結果、貧富の差が拡大し、原始資本主義の反省に立って、近代資本主義は多くの人々が安定して暮らしていけるようにという仕組みを取り入れることで、原理的に言えば自由と平等の基本原理の調和をはかって近代資本主義として、今日生き延びているわけであります。
ただ単にまた自由競争という側面だけを強調すれば、かつての原始資本主義の状況に戻ってしまうわけで、弱者切り捨てということになります。したがって、近代社会が目指した自由競争という原理を、それが人類の発展に繋がるような、そういうものを生かしつつも多くの人々が安定して生きていける社会保障をはじめとするセーフティーネットを作り上げるのが近代資本主義のあり方だと私は思っています。
したがって、直接的なセーフティーネットである社会保障、それから私が提唱しているのは、雇用・勤労におけるセーフティーネット、終身雇用を中心としたもの、あるいは農業分野における農産物の自由化に対応しつつ、市場原理と生産者の再生産の確保をきちんと守っていくための農業のセーフティーネット等々、我々民主党でなければそういった大きな改革、新たなる仕組みを作れないと。官僚任せの自公政治では、このままだと本当に強いものだけが生き残り、弱いものは捨てられる社会になってしまう。このことを私としては訴えていきたい。
選挙はできるだけ簡潔に分かりやすくしなければいけませんので、いまどういうテーマに絞ってどういうスローガンで戦うかを考えてもらうよう、各部に指示をしているところです。
■国民投票法案への対応
【記者】大会の来賓挨拶で、社民党の福島党首が国民投票法案について、自民党に肩入れする必要はないと、民主党に対して反対するよう呼びかけました。小沢代表自身は参院選に向けた野党共闘を優先するとか、参院選戦術の一貫として国民投票法案の成立を参院選後に先送りするべきと思っているのか、それとも今国会で成立すべきとお考えか、見解をお聞かせ下さい。
【代表】国民投票法に対しては我々が案を出していますので、どっちの案をどうしようというのか、あなたの質問からは分かりませんが、政府与党に単に結果として協力するような形も良くないかもしれないし、また内容的にどうしたらいいかという問題もあります。したがって、中身とトータルした政治的判断を近々しなくてはならないだろうと思っています。まだ私自身は直接タッチしていませんので、近々、どうするかという方向は出さなければならないだろうと思っております。
■政治とカネの問題について
【記者】政治とカネの問題について2点お伺いします。一部報道で明らかになっていますが、参議院の角田副議長について、2001年の参議院選挙で5000万円ほどの政治献金が収支報告書に記載されていないという問題がありますが、それについてのご見解と、もう1点は今国会でどのような方針で政治とカネの問題を取り上げていくのか、また政治資金規正法など民主党としての対応についてお伺いします。
【代表】角田先生に関わることについては、読売新聞の報道の見出しだけ見ましたが、事実関係はご本人から聞いたわけではないので、それについては論評するわけにはいきませんので、後日にさせていただきたいと思います。
政治資金規正法等の法律というのは、法律をどういう仕組みにしたからこうなるということでは本来的にはないと思うのですが、必要なことは変えるべき点は変えればいいし、そこは全く他の法律についても同じことです。ただ政治活動とその資金については、記者も政治家も含めてですが、正確な理解と認識が足りなすぎると思っています。ですから政治家、あるいは政党の政治活動に資金がいるという現実は、皆さんも一般国民も知っていながら、それに対して結果としてそれを認めないような議論を一方においてはする。そうすると、普通の人は、皆から政党交付金ができたから随分、そういう意味で資金を集める煩わしさや、あるいは問題の起こりやすい仕組みを改めたつもりで作ったわけでありますが、一般論でいうと、政治資金を皆さんからいただかなければ政治活動は賄えないわけで、そうでなければ金持ちしか政治家になれないということになってしまうので、そのことを皆さんが素直に自分自身も1000円でも2000円でも足しにしてもらおうという心がけがなければいけないと思うし、また政治家は、それを有効に使っていこうという心がけがなければいけない。
いずれにしろ問題は私は以前からずっと言っているのですが、その透明性ということに尽きるのだと思います。これは政治資金の問題だけではなくて、会社経営でも何の問題でも同じことだと思います。ですから開かれた社会、自由党時代に「フリー・フェア・オープン」ということを掲げましたが、「オープン」というのはディスクロージャーあるいは分野においてそういう社会を目指すということが基本だと思っています。
■民主党CMへの評価
【記者】今日の大会でも小沢代表が出演されているCMが流れていましたが、拍手が起こった一方で無駄遣いとか代表が飛ばされて暗いイメージがあるとかそういった批判もありますが、ご自身CMをどのように評価されているのか、お聞かせ下さい。
【代表】何事も賛否があるので、マスコミの皆さんがみんなで一生懸命議論して政策を練り上げるような政策論議を奨励されていますが、これを党内で議論すると意見がバラバラだというような報道をされる。それでは本当の民主主義というのは成り立たないと思います。それは余計な話ですが、何事も賛否はあるのです。あとは国民が判断するということです。私が党の運営も含めて最終的に責任を負う、それが民主主義です。
■与党の政治とカネの問題への追及
【記者】政治とカネの問題に戻りますが、与党側の閣僚からもいろいろな問題が出ており、国会でも問題になると思うのですが、代表として民主党の中でも一部指摘されている中でどういうふうに与党を追及していこうとお考えなのかお聞かせ下さい。
【代表】どうということはない、不正は不正できちんと追及しなければいけません。
それは誰であっても同じことです。その観点で進めればいいと思います。
■安倍政権支持率低下に対する民主党支持率の横ばい傾向の原因
【記者】各社の調査の大きな傾向ですが、安倍内閣の支持率が低落傾向にある。二大政党政治であれば民主党のほうに支持がいくというのが普通なのでしょうが、民主党の支持率も横ばいの傾向にある。「反安倍」というのを取り込めていない原因について代表の見解をお聞かせ下さい。
【代表】日本のいろいろな社会の現状の中で判断すれば、私は別に民主党の支持率が低いとは思っていません。それなりの安定した支持があって、十分に選挙は戦えると思っています。
日本の現状を見ると、もちろん一番の原因は我々民主党の努力が足りないということであります。それは今後一層自己努力を重ねていかなければならないと思います。それと同時に皆様にもお願いがありますが、メディアの報道も8〜9割が政府与党の報道であり、世界の各国と比べてもちょっと偏っているのではないかと私は思っています。そういう点、我々も一生懸命努力しますが、皆さんのメディアを通じてしか国民の多くは見聞きできないわけですので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
■党大会を振り返って
【記者】今日の党大会で来賓からは激励する声が多かったと思いますが、昨日の代議員大会では激励と共に政権政策についての注文がありました。今回の党大会を振り返って総括をお願いいたします。
【代表】先ほども申し上げたように、いろいろな議論があることは健全な民主主義の政党であるということだと思います。だから皆さんも政策論議は大いにすべきと言っているでしょう。それを批判だとか不満だとかバラバラだとか言ったら、民主主義は成り立たないわけです。みんな意見が違うのは当たり前のことで、それは大いに議論すべきだと思います。民主党が今まであれだけ議論をして基本政策を決めたのは初めてのことだと聞いていますが、そうやって議論することに対する皆さんの受け止め方も、もう少し素直に、そして本来の民主主義の本質を踏まえて議論して報道していただきたい。
私は昨日出たわけではありませんでしたが、議論はもっと出てくればいいと思っています。そうでなければ我々の団結というのは保てません。一生懸命、喧々諤々議論して、そして結論についてはお互い守りながら、共通の目標に向かって頑張るということでいいと思います。編集/民主党役員室
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