2007年8月7日(火) | 戻る/ホーム/民主党文書目次/記者会見目次 |
小沢一郎代表 定例記者会見要旨
○今後の政府・与党との対峙/衆院選への取り組み
○安倍総理の解釈改憲による集団的自衛権容認の前向き姿勢について
○テロ特措法延長問題への対応
○シーファー駐日米国大使との会談について
○郵政民営化凍結法案への対応/他党との統一会派に関する考え方
/イラク特措法廃止法案について
○今後の衆院選対策/政治資金規正法改正への対応
○あるべき日米関係の姿
<質疑応答>
■今後の政府・与党との対峙/衆院選への取り組み
【記者】今日の両院議員総会での挨拶で、「足して2で割るような結論の出し方は国民が望むものではない」と話していましたが、一方で、参議院では与野党で協調してきたという慣行があります。そうした文化を乗り越えるべきだということか、院の違いを尊重していくのか。また衆院選への取り組みについての現在のお考え、また衆院で150議席を獲得したいという報道がありますが、この点についてお聞かせ下さい。
【代表】衆参どちらでも、あるいは一般社会でもそうですが、話し合いとか協力協調ということ自体が悪いわけではない。ただ今日の自公政治というものは、何度も申し上げるように、国民の個々の生活に対する配慮が非常に薄い。いわゆる国家主義的あるいは権力主義的な発想の下で、名前は自由競争とか市場原理とか改革とか言っていますが、そういう政治が行われている。それに対する国民の批判が今回の選挙の結果だと思うし、また我々自身がこうした政治ではいけない、これに終止符を打って、まず第一義的には国民の生活を安定させることが政治の役割だと。そういう政治を行いたいという主張を全員で繰り返し主張してきたわけです。その意味で、単なるテクニカルな法律案が何とかということは別として、基本の考え方と異なるものは、話し合いとか協調とか、イコール足して2で割るという性格のものではない。
私たちは国民の皆さんに約束したことは、現実に参議院の過半数ということを十分に活用して、明確な主張を発信することが大事だと。政府の出してきた案よりもいいじゃないかという発想に得てしてなりがちですが、それは基本的に考え方の違う主張を持っていると我々にとっては、政府案よりベターだというレベルの発想にはならない。やはり我々自身が考えている基本的な発想の違う、仕組みや制度そのものを変えようという我々の主張や考え方とは相容れないということを申し上げています。
衆議院については参議院も同じですが、いつ解散が行われるか分からないという意味で常在戦場なので、日常活動を徹底していくことが先決の話です。候補者については100名まだ決まっていないと言われていますが、単に消化試合をしても仕方がないので、150という話でしたがそれは過半数という意味で、小選挙区で150とれば必然的に過半数をとれる。したがって小選挙区で150以上とることを目標にし、その体制とする。300小選挙区で消化試合をすることが目標ではないということです。
【記者】関連して、主張の違うものは明確に発信するということですが、農業の戸別所得補償制度について、秋の臨時国会で法案を提出するお考えがあるのかどうかお聞かせ下さい。
【代表】予算を伴う制度の改変については、我々野党サイドとしては細かい具体的な資料などを持ち合わせているわけではありませんので、どこまで細部にわたって法案作成ができるかは分かりませんが、基本の考え方は、戸別所得補償の問題だけでなく、できる限り基本法のような形で法案化したいと思います。それは政権とらなければ細かいところは全部精査して行うことは現実問題として不可能ですので、基本の考え方としていわば基本法を、農業政策についても、あるいはその他についても、我々が大事な約束として訴えてきたことは、ぜひ国会に提案したいと思っています。
■安倍総理の解釈改憲による集団的自衛権容認の前向き姿勢について
【記者】集団的自衛権に関する質問について、安倍総理が設置した有識者会議の議論が10日に再開し、秋にも報告書を発表するようですが、有識者会議の性格を代表はどのようにお考えか。また憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認について、総理の前向きな姿勢に対してどこに問題点があるとお考えか、お聞かせ下さい。
【代表】総理がよく論理的に考え方を話したことが彼自身ないのではないかと思いますので、どういう論理でどういうふうに安倍総理が考えているのか分かりません。
私は日本の政治風土の中で、役所もそうですし、政治家もそうですが、審議会みたいなものをすぐ作って、各界の人を集めてそこで客観的に議論され結論が意見だというような形をとろうとするやり方は非常によろしくないと思います。役所も含めて日本のやり方全てそうですが、全部人のせいにして自分で責任をとらない、その実、裏側でもって何かコントロールするようなやり方は非常に良くないと私は思っています。やはり政治家である以上、またそれだけの地位がある以上、自分自身の考え方をきちんと述べて、それに対して審議会で議論してもらうということであれば分かりますが、自分の考え方はさっぱり分からないで、他人の出した結論がいかにも公正客観的な結論であるかのごとくやる手法そのものが私はあまり良くない。近代的国家の近代的リーダーのやり方ではないと思います。
【記者】集団的自衛権の憲法解釈による行使容認に総理が前向きという考え方について代表自身はどうお考えでしょうか。
【代表】安倍総理がはっきり言ったわけではないので、論評できないということです。いま言った話は記者の皆さんが憶測の中で考えていることで、まずは安倍総理にあなたの考え方をはっきり言いなさいと、どうしようとしているのかということを、ぜひマスコミの皆さんに求めたい。野党ばかりどうなんだと言うけれども、政府・与党を構成している人たちがさっぱり意見を言わない。私はそれは非常におかしいと思います。安倍総理が何を考えて言っているのか知りませんが、私は安倍総理が憲法解釈にしても自衛権の解釈にしても、明確な形で自らの意見を発信した事実は一度も聞いたことがないし、直接彼の意見も聞いたことがないので、論評のしようがありません。
■テロ特措法延長問題への対応
【記者】参議院でテロ特措法延長問題について、与党は延長法案を出してくると思いますが、これに対して修正協議や与党の様々な変化球に対して、応じないということでしょうか。
【代表】今度のテロ特措法なるものはアフガンのことでしょう。その対象を記者の皆さんは何だと思って、対象となる行為は何だと思っていますか。行動自体はどういう性格のものだと思っていますか。要するに、アフガン戦争というのは、そもそもアメリカが「これはアメリカの戦争だ」と言って始めた戦争であって、国連とか国際社会がどうのというのは関係ない、我々の自由戦争だと言って始めたものです。とすれば答えは大体分かるでしょう。我々の政権政策「政策マグナカルタ」を読んでください。そこに明確に書いてあります。
それに関連して言えば、アフガンに関しては、完全な手続的なことまで含めて、完全なPKOではないのですが、安保理決議でほぼ内容的にはPKOと同様の性格を容認されオーソライズされている行動があります。いまNATOが中心にやっていますが、これは安保理決議で国連憲章の7章に触れて、いまの完全な形式まで含めたPKOではないが、そういう性格を決議によって与えられているものが現に活動しています。それとアメリカの戦争であるというのとは、往々にして多くの人やマスコミも含めて、同じように捉えていますが、まったく性格が違う。だから、あとは我々の基本政策を読んでいただければ分かると思います。
■シーファー駐日米国大使との会談について
【記者】明日、アメリカのシーファー駐日大使とお会いになるようですが、シーファー大使はテロ特措法に対する理解を得るために面会を求めている意向ですが、代表はどのような態度で臨まれるのかお聞かせ下さい。
【代表】彼が来てからしばらく経っていますが、私は別に会いたくないと言って会わなかったわけではなく、会いたいと言ってこなかったから会わなかっただけです。今回会いたいということなのでお会いするということです。アメリカの大使であるから、会いたいと申し込まれた以上、会うということです。私の考えはいま説明した通り。私の考えといっても、この基本政策に書いてある通りという意味です。
■郵政民営化凍結法案への対応/他党との統一会派に関する考え方/イラク特措法廃止法案について
【記者】他党との関係について、国民新党の綿貫代表は、郵政民営化の凍結法案を民主党と社民党と協力して提出したいと考えているようですが、代表はこれに対してどのようにお考えか。また一部報道で、代表が綿貫代表に対して参院で統一会派を組まないかと打診したという報道がありますが、これについての事実関係と実際他党との統一会派に関する考え方と、イラク特措法廃止法案の提出を検討されているのか、それについてお聞かせ下さい。
【代表】郵政については、私どもは本当の意味の改革ではないという判断の下で反対してきました。必ずしも国民新党と全て考え方が一致しているわけではありませんが、いつも言う通り、少なくとも郵便事業は、私は全ての国民に政府が責任を持って行う最低のサービスだと。どんな山村へき地に住んでいても、どんな離島に住んでいても、同様に郵便のサービスをしなくてはならないということだと思います。それから個人的意見に若干なりますが、金融については、財投の制度も含めて、これは党内の意見もほぼ一緒だと思いますが、役割を果たしたと思っていますので、そういう意味で、ただ単に公社から特殊会社に形を変えれば改革だ、あるいは郵便局が大変だといえば補助金を出して郵便局は維持しましょうという類いのものは本物の改革だとは思っていません。したがって、これを一時、法案でもっと改めてきちんと検討するということについては、我々の基本的なスタンスと相反するものではないと考えていますし、これは『次の内閣』でも検討してもらっている最中です。この会期中に結論が出るだろうと思います。
会派については、最終的な結論は出ていません。ただできれば、一つの会派でもって、それなりの議席を確保するということが可能であればいいことだろうと思っています。
イラク特措法についても、臨時国会でどういうテーマを選択するかはこれからですが、それも一つだろうと思います。
■今後の衆院選対策/政治資金規正法改正への対応
【記者】参院選は一人区重視で勝利されましたが、今後衆院選対策について郡部への地方行脚など戦略があるのか教えて下さい。また政治資金規正法への対応についてはどのように位置付けてお考えか。
【代表】衆議院は全て一人区ですから、全て一対一で自民党に勝てるだけの力をそれぞれが築き上げなければなりません。300選挙区回るというのは肉体的に可能かどうか、体と相談して決めます。まずは個人個人がしっかり自分の地域の選挙区の皆さんとの信頼関係を築き上げることだろうと思います。何度も言っていますように、それが民主主義の原点ですから、それを忘れたようでは政治家ではないと私は思っています。
政治資金規正法の問題も、先ほどの質問と同じように、臨時国会で我々の主張として提案するかどうかの一つだと思っています。
■あるべき日米関係の姿
【記者】日米関係について、テロ特措法は日米関係の全てではないと思うので、もう少し日米関係のあるべき姿について考え方をお聞かせ下さい。
【代表】おっしゃる通りだと思います。アフガンにしろイラクにしろ、ブッシュ政権の政策を追認することが日米関係の全てだとは必ずしも思っていません。そのほかにも大事な問題はたくさんあると思います。いずれにしても、私は日米関係ではいつも言うのですが、日米同盟という以上は対等の関係でなければならない。もちろん軍事の部門についてはアメリカに負うところが大きいのは当たり前のことですが、日米関係というのは軍事部門だけではありません。いろいろな非軍事の民生の部分でもたくさんあるわけで、ただ日本サイドに問題があると思うのは、軍事の問題であれ、非軍事の問題であれ、やはり対等の同盟関係という以上は、やはり日本がその責任をシェアしなければいけないと思っています。その点について、日本は非常に消極的なのは問題だと私は思っています。ですから、我々が完全に政権を担うということになれば、本当にそうした日米関係、真のお互いに信頼し得る同盟関係を築き上げたいと私は思っています。編集/民主党役員室
2007年8月7日(火) | 戻る/ホーム/民主党文書目次/記者会見目次 |