2003年1月18日 | 自治体改革の提案 | 戻る/ホーム/民主党文書目次/目次 |
第2章安心と活力を生み出す地域をつくる
●自治体改革メニューの提案
第1章で提案したような権限・財源の移譲を進めていくのに伴い、自治体、とりわけ市町村の役割は飛躍的に高まっていきます。現在までの金太郎飴的な地域行政はありえず、それぞれの地域が、それぞれに保有する地域の資源を活用し、独自の判断で地域づくりを行っていくようになります。
既に多くの自治体で、独自の町づくりに向けた様々な取り組みが進んでいます。ここでは、この様々な自治体の取り組みを参考にしつつ、より良い地域の形成、質の高い行政サービスの提供、危機的な財政状況の改善に向けた政策メニューの提案を行います。もとより地域の改革は地域において決定され、実現されるべきものですが、自治体の役割・責任が急速に重くなることを念頭に、改革の動きを加速させる際の一助となれば幸いと考えています。
1.自治体行政改革
(1)役所改革
- 財政状況等の実態が、住民に見えにくくなっている外郭団体等も、情報公開の対象とする
- 情報公開請求を、ホームページ上のメールで可能とし、文書もデジタルの画像情報としてメールで送付する
- 監査委員を補佐する事務局の充実など、内部監査機能の強化を図る。市町村においても、監査委員のみならず、弁護士や公認会計士による外部監査制度を活用する
- パブリック・コメント手続きの条例化等を含め、政策の策定に当たって、住民の意思を反映できる制度を整備する
- ホームページ上に、電子会議室を設置し、住民の意思を汲み上げる
税務業務の電子化等、種々の業務の電子化を推進することにより効率化を図る- 職員数の削減や、退職後の就職先等となっている外郭団体の統廃合を行うことにより、経費を削減する
- 庁内の組織にサンセット方式を導入するとともに、名称も住民にわかりやすいものに改める
- 副市長制や部門制の導入等の組織見直しにより、責任の明確化や決定の迅速化を推進する
- 休日・祝日の行政サービスを実施する
- 首長の名誉職的な兼職制限、冠婚葬祭等の出席禁止、職員採用委員会設置等による選考の透明化をすすめる
- 女性管理職の登用および委員会・審議会の女性比率を一定以上にする
- 職員の勤務時間の厳守、休暇の計画的な取得などをすすめる
(2)予算・決算
- 予算の効率的配分のため、政策・施策・事務事業の各レベルで、事前・事中・事後に、一定の基準で達成度や成果を分析する行政評価制度を導入し、その結果を公表する
- バランスシート作成、自治体決算に関わる情報公開等、自治体の財務情報の公開を徹底する
- 住民にもわかりやすい、予算説明用パンフを作成し、補助金交付先・金額等も含めて公表する
- 予算の企画案作りの段階から、住民が参加する検討会を設置し、住民のニーズを反映した予算を作成する
- 前年度の政策評価の結果を踏まえ、事業見直しを行い、新年度の予算を編成する
- 前年度に経費を削減した部局に対して、節減額の一定割合を報奨として還元する
- 新規事業について、各部局・民間企業・NPO等がそれぞれ事業を提案し優劣を競う、「コンペ方式」を導入し、予算の有効活用をめざす
(3)公共事業
- 公共事業の実施箇所を、予算額を含めてインターネット等で公表する
- 工事の入札予定価格の事前公開もしくは事後公開を行い、入札の透明性を確保する
- 計画段階および事前評価に住民が参加して、効率性・実施プロセスの透明性を確保する
- 民間企業の資金やノウハウを活かした、PFIの導入を推進し、建設経費や管理運営経費の削減を図る
- 公共事業費を削減し、森林整備費の増額等を図り、自然環境を保全する事業へ転換する
- 電子入札により、入札手続きを簡素化するとともに、入札コストを抑制する
(4)補助金
- 補助金を出す行政側と、補助金を受ける団体側の両者が、共に補助金の「自己診断シート」を作成し評価する
- 全補助金を白紙化し、一般公募と審査により順位をつけ、補助金交付を決定する
- 補助金の配分については、第三者機関が審査し決定する
- 都道府県の市町村向け単独補助金を、独自に使途を限定しない統合補助金として交付する
(5)教育
- 生徒の指導要録の総合所見欄を、自己情報コントロール権の観点から情報開示する
- 小学校や中学校の学校運営に、地域住民の積極的参加を求める
- 小学校の少人数学級(25人)の導入をすすめる
- 学習の場や共同生活の場を、地域住民の協力を得つつ、学校外においても多様な形で提供する
(6)介護
- 介護事業者の情報として、サービスの種類・担当者名・送迎可能地域等、詳細で広範な情報を、わかりやすいガイドブックとして作成し配付する
- 自治体独自の判定指針を作成し、公正な要介護認定を図る
- オンブスパーソン(介護福祉サービス苦情救済委員)による苦情対応や、サービス調査・評価等を実施する
- 自治体が設置し、民間が運営する「公設民営型」養護老人ホームを導入する
- 地域全体で介護を行う里家制度を導入する
(7)保育
- 地域住民が参加しての、地方版エンゼルプランを策定する
- 自治体が設置し、民間が運営する「公設民営型」保育所を導入する
- 学校の余裕教室を、保育所として活用する
- 自治体独自で民間の保育園を認証・認定し、保育環境を整備する
- 幼稚園と保育園を統合し、幼保一元化を行う
(8)NPO
- 住民との協働を促進するための、協働促進条例を制定する
- 地域のNPOへの寄付に対する独自の税控除の創設や、地方法人住民税免除の検討をすすめる
- 自治体がこれまで担ってきた、公立の図書館業務やコミュニティセンターの管理業務等を、NPOとの業務契約に移行する
- NPOへの補助金交付配分を、NPOが決定する仕組みをつくる
(9)環境
- 住民と協働で自治体環境プランをつくる
- 住民との協動、民間委託等を含めたゴミ処理サイクル(収集・焼却・処理場)を再構築する
- 自治体独自の環境基準を作成し、ガス等の排出量を削減する
- 環境にやさしい物品を購入するグリーン購入を推進する
- 産廃税の導入等による自治体レベルでの環境政策の推進を図る
- 地球温暖化や生態系保全に取り組む樹医制度を導入する
(10)雇用
- 技術開発、経営ノウハウの提供等を行う起業家支援(インキュベーター)施設を整備する
- 雇用基金を設立し、採用に積極的な民間企業への給付金を交付する
- 自治体の業務を、地元民間企業に積極的に委託する
- 失職した人たちを森林作業員として雇用し、荒れた森林を再生する
- 地域資源の再発堀、人材育成等によるソフト面からの企業誘致策を拡充する
- 失職した人たちを雇用して訪問指導等を行い、小学校の算数学習等を支援する
(11)障害者
- 「支援費制度」開始に伴い、住民参加によるサービス評価システムの開発等提供サービス水準の維持・拡充のための環境整備をすすめる
- 地域・市町村・医療機関が一体となった精神障害者の社会復帰・地域生活支援のシステムづくりをすすめる
- ひきこもりやLD(学習障害)など新たなニーズに応える相談体制づくりをすすめる
- 環境に優しい物品を製造する授産施設からの優先購入をすすめる
(12)災害対策
- 災害時に備えるため、地域に内在する危険要因や防災活動に必要な資機材の所在を把握する自主防災マップを作成する
- 救急医療について、行政区域を越えて他府県とネットワークを結び情報を共有する
- 民間建築物等の耐震診断を独自に助成する
- 小中学校の空き教室を防災倉庫として活用する
- 自治体内の全自治区を結ぶ地域防災無線網を整備する
- 防災のため、土地利用を事前に規制する
2.議会改革
(1)国会における対応
現在の地方自治法は地方議会について多くのことを規定しており、時に「地域のことを地域で決める」場合に障害になることがあります。このような弊害を極力小さくしていく第一歩として、国会において以下の法改正を進めていきます。
- 地方議会の定数に関する部分を削除し、それぞれの地方議会が地域に即した形で定めることができるようにする
- 地方議会の議決対象範囲を、可能な限り地方議会自ら判断できることとする
- 地方議会における議会招集権を、一定の要件を付した上で、議会自ら決定できることとする
(2)議員定数と構成
- 地域の実情を踏まえ、また議会が年齢、職業、性別等の観点から地域を代表する適切な構成となるように、議会定数を定める
- 首長が強大な権限を有することから、その多選禁止を検討する
- 議員の出産休暇制度を条例で制定する
(3)休日・夜間の議会・委員会の開催
- 休日・夜間に議会・委員会を開催し、住民の傍聴を容易にする
(4)議会の情報公開
- 本会議のみならず実質的な審議を行っている委員会の議事録も、広く公開する。
- 委員会の審議状況をインターネット上で公開する
- 政務調査費について、使途を含めて報告書に記載し、情報公開する
(5)議員研修の充実
- 条例による議員研修の制度化を図り、その目的・維持を明確にする
(6)議会事務局の充実
- 市町村議会における議会事務局の設置の促進、政策立案補佐機能の拡充を図る
- 広域連合、一部事務組合等による議会事務局職員機構を設置する(議会事務局もしくは人的資源の共有)
(7)議決事件の範囲の拡大
- 議会議決案件の積極的な見直しを図る
- 特に基本計画や都市計画等の個別行政のマスタープラン等住民生活に大きな影響を与える行政計画については、積極的に条例で議決事件とする
- 公社等の予算・決算・事業計画等を議会の審議の対象とすることを検討する
(8)執行部付属機関の委員への就任見直し
- 議会の監視機能向上、執行機関からの独立性確保のため、首長の付属機関である各種審議会等の審議委員に議員が就任することを、原則的に廃止する
(9)議長・副議長の地位向上
- 議長・副議長の任期を原則として法定期間である4年間とする
(10)質問・質疑方法の改善
- 首長提案に対し積極的に修正動議を提出する
- 議員提出条例の積極的活用により民意を反映する
- 議会質疑における過度な事前通告制を見直す
- 質疑を含め議会運営における規則の条例化を図る
(11)常任委員会所属の制限緩和
- 法改正を前提に、議員の委員会所属の制限を緩和し、議員の積極的な議論参加の環境を整備する一方で議員本人に利害関係のある委員会所属を制限する(建設会社役員兼務議員の建設委員会所属等)
(12)委員会の活性化
- 委員会審議等における公聴人制度や参考人制度を積極的に活用する
- 議員提出議案審議の際に補助説明員(秘書、政党職員等に限らず、議案立案に関与したNPOなども含める)の出席を認める
- 特定案件の調査・審議等を行う附属小委員会の設置を検討する
(13)議会のIT化
- 議会ホームページ(HP)での議事録公開、条例案に関するパブリックコメントを募集する
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