政権運営委員会報告
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1998年12月18日
民主党政権運営委員会 座長 鹿野 道彦
目次
内閣総理大臣 副総理格の主要大臣 無任所大臣(特命) 〃 官房長官 官房副長官 〃 閣 僚 |
=与党Aの党首 =与党Bの党首 =与党Aの現幹事長 =与党Bの現幹事長 =与党Aの役員から =与党Aの政調会長 =与党A又は与党Bから =与党Bの政調会長 |
*上記はモデルケースであり、主要ポストをあらかじめ指定して内閣総理大臣の任命権を拘束するものではない。
(2)国務大臣の分担管理の指示は内閣総理大臣の権限であることを明記する。
【第3条】
(3)内閣総理大臣の発議権及び基本方針に係る権限を明示する。
【第4条3】
(4)内閣総理大臣の指揮監督権を強調・明記する。
【第6条】
(5)内閣総理大臣の権限としての裁定権を明確にする。
【第7条】
(6)中止権は内閣総理大臣の当然の権限であることを明確にする。
【第8条】
(7)副総理大臣の規定を置き、責任及び代理関係を明確にする。
【第9条】
(8)副大臣及び政務官の規定を置く。
【第10条】
(9)内閣総理大臣の発議に係る官房機能を整備する。
【第12条2】
(10)官房副長官を3人以上置くことができるようにする。
【第14条1】
(11)内閣危機管理監の任免は内閣総理大臣が行うと明記する。
【第14条の2】
(12)内閣総理大臣補佐官の員数を柔軟化し、その職務を整理する。
【第14条の3】
(13)内閣参事官、内閣審議官等の任用を柔軟なものにする。
【第14条の4-6】
(14)内閣総理大臣秘書官の任用を柔軟化する。
【第15条1・3】
(15)内閣総理大臣を「主任の大臣」とする規定を廃止する。
【第18条】
第3条【行政事務の分担管理(削除;、無任所大臣)】
;内閣総理大臣は、内閣を構成する国務大臣を主任の大臣として、行政事務を分担管理させることができる。(削除;
第4条【閣議】
第5条【内閣の代表】
:内閣総理大臣は、内閣を代表して内閣提出の法律案、予算その他の議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告する。
第6条【行政各部の指揮監督】
:内閣総理大臣は、(除去;閣議にかけて決定した方針に基づいて)行政各部を指揮監督する。
第7条【権限疑義の裁定】
:主任の大臣の間における権限についての疑義は、内閣総理大臣が、(削除;閣議にかけて)これを裁定する。
第8条【中止権】
:内閣総理大臣は、行政各部の処分又は命令を中止せしめ(削除;、内閣の処置を待つ)ることができる。
第9条【内閣副総理大臣(削除:内閣総理大臣の臨時代理)】
第10条【副大臣(削除:主任の国務大臣の臨時代理)】
第11条【政令の限界】
:政令には、法律の委任がなければ、義務を課し、又は権利を制限する規定を設けることができない。
第12条【内閣官房等の設置】
第13条【内閣官房長官】
第14条【内閣官房副長官】
第14条の2【内閣危機管理監】
第14条の3【内閣総理大臣補佐官】
第14条の4【内閣官房の職員】
第15条【秘書官】
第16条【職員の定員】
:削減(昭和44年)
第17条【内閣官房の内部組織】
:内閣官房の所掌事務を遂行するため必要な内部組織については、政令で定める。
第18条【内閣官房の統轄(削除;内閣官房の主任の大臣)】
:内閣官房に係る事項については、(削除;この法律にいう主任の大臣は、)内閣総理大臣がこれを直接統轄する(削除;とする)。
内閣法に係る関連法改正の主な事項
なお、上記の内閣法改正と同時に、国家行政組織法第17条、国家公務員法第2条、国会法第39条の改正等を並行して行う。
(1)大臣政務官の設置
(2)特別職枠の拡大
(3)国会議員の兼職規定の緩和
(1)独自の政策形成力及びシンクタンク機能の確保
民主党は、党内に設置された政策調査会やそのプロジェクトチームなどを通じて様々な議員立法や対案をとりまとめてきた。しかし、その多くは、当面する国会審議や政治日程となった制度改革に対応するもので、中長期のビジョンの構築とそれに裏打ちされた戦略的政策課題の絞り込みにはそれに対応する仕組みが不可欠となっている。
各分野にわたる研究者やその他の専門家らのネットワークを構築し、それらを生かした創造的に政策形成機能を確保する必要がある。同時に、ヨーロッパやアメリカの政党の例のように、政党独自のシンクタンクもしくは政党が固有に連携することが可能なシンクタンクの確保に取り組むべきである。
(2)政党の統率力及び政党マネジメント能力の確立
政府に対して政権交代を迫り、それを実現して実際に政権運営を担うという仕事は、野党の地位にある政党の総力を挙げた取り組みである。これを達成するためには、時々の政策課題や選挙争点にとどまらず、政党が獲得すべき組織目標や政策課題について、長期的な視点からそのプロセスと手段を描き、着実にその成果を収めることができるよう、トップマネジメント機能をシステムとして確立しておく必要がある。
具体的には、政党経営の専務でもある幹事長を軸に経営的責任を有する政党幹部のチームを編成するとともに、政党マネージメントのためのアドバイザー・スタッフを配置することを早急に検討すべきである。
また、トップの意志が党内に浸透し、所属する議員やその他の政党員が一斉に党の政策や方針の広報担当として機能するようにすることや、戦略的課題について共通の認識と統制のとれた行動が遂行されるようモニターし指導する体制を確立する必要がある。
(3)首相候補者としての党首コアチームの形成と運営
上記のトップマネージメント機能とは別に、首相候補者としての党首のリーダーシップを補佐するチームを編成しておくことが重要である。党首の演説原稿や記者会見用メモの準備、イメージアップのための方策、マスメディア関連のアドバイス、その他機密に属する情報の収集、知的支援者のネットワーキングなどを総合的にサポートする補佐体制の整備を進める必要がある。
すでに触れたように、内閣を統轄する総理大臣の場合、個人に係る秘書機能とともに、こうした総合的な補佐機能が不可欠であり、それは野党党首のときから準備されなければならないものである。ただし、こうした仕組みを確立するためには、党首の比較的裁量的な補佐体制の運営を許容する空気が党内で作られることが必要条件となる。
(4)国民との対話を重視する政党マーケティング力の発揮
「政権交代のある民主主義」の時代は、イデオロギー対立の時代とは異なり、比較的に政党間の政策距離が近く、むしろ、有権者が何を望み、いかなる事に不公平感や不満を抱き、どのような場面で政党支持の態度を決定したりするのか、ということに政党がどれほど反応するかによって競われることが少なくない。優れたリーダーのイメージもそうした政治市場で選択されているとみるべきであろう。こうした政治意識の下では、政党は誰と手を組み、どの集団や市民運動と連携して政策の実現に当たるのかが極めて重要なこととなる。政治は、政党と国民との対話の中で動くのである。
政党が展開する政策PRがどのように国民に受容され、いかなる評価を受けているのかについて、不断にモニターし点検して、政党のより効果的なメッセージの発信に努めることも要求されている。既存の業界組織に依存せず、自立的な市民組織や企業家精神旺盛な人々とのコミュニケーションを重視しつつ政党の支持基盤を広げていく政党であれば、それだけ決定的な重みを持つと言うことが出きる。求められているのは、政治市場における鋭いマーケットセンサーなのである。
(5)優れた情報収集力と危機管理システムの形成
政権獲得への道は、単に政策を作成したり、議員立法活動を展開したり、国会での駆け引きを首尾よく推進したりするだけでは達成できない。また、優れたリーダーのアピール効果によってもそれは難しい問題である。
政権の構造改革にまで切り込むいわば質的な政権交代を実現するには、対抗する政党の弱点を突き、世論の動向を的確に把握し、連立政党集団を引き寄せ、国内外の情報を一瞬にして調達する能力と判断力とが求められる。広く海外にもネットワークを張り、政権運営にもつながる優れた情報収集力を開発しておくことが必要である。
同時に、政党の信頼を一気に損ねる問題や、突発的でかつ政党の即座の反応が求められる出来事が発生した場合に、迅速に対処しうる危機管理の仕組みを確立しておくことも重要である。こうしたことは、統治を担うことを前提とする政党の基本的要件でもある。
(6)候補者人材の調達と選挙における政党主導の発揮
経営体としての政党が繰り出す商品は、政策と首相候補者と個々の選挙区における候補者及び議員そのものである。候補者をどのように掘り起こし、有為な人材を確保するかは政党にとっての重大な先行投資の場面でもある。党首らが率先して候補者人材の発掘に努めると同時に、公募方式による人材確保や各種の政治スクールによる人材の育成に全力を上げ、政権を担いうるにふさわしい候補者数と人材の調達を行うべきである。この場合、特に、政党活動に新規参入してくる専門家などの新人の確保に優先的に取り組むことが重要である。
議員集団としての政党が一貫した政策に基づいて統率力ある行動をとるための大きな要件は、選挙において政党が主導となった支援活動を行い、政党と一体の選挙を実践することにある。現職議員はともかく、新人候補者の擁立に当たっては党主導の選挙態勢を構築していく必要がある。
(7)政権運営能力を培う人材リクルートシステムの整備
内閣の運営システムの改革と同時に、国会内における院内総務の仕組みを確立する、議会の委員会やプロジェクトの運営を通じて関係省庁や議会法制局との連携や他党との調整を体験させるなど実践的なポストを積極的に活用して若手人材の育成を意識的に行う必要がある。あるいは、党首や幹事長らの補佐スタッフとして活動し、戦略的な機密事項に関する情報収集や情報の加工・組立などの訓練を経るなど、政治調整のためのノウハウを実際的に体得する機会を活用する方法もある。
また特に、地方自治体における首長やその補佐経験者、自治体与党議員経験者らは実践的な政府運営を担ってきたという蓄積がある。この段階からコアチームの組織化やそのマネジメントを積み重ねるならば、優れた政府運営人材の育成機関として地方政府が作用することにもなる。長期的な視野に立ち、地方議会や地方自治体の首長の選挙に取り組み、中央政府の運営に有意義な人材を育成するチャンスとして生かすことも必要である。
こうした多様な訓練の場を創り出すとともに、能力を発揮した議員には、政権の運営に当たっては実力主義の発想で積極登用していく道を開くべきである。
ドイツの実例は、異なる2つ以上の政党が政府を構成するとき、十分な時間とエネルギーをかけてとりまとめた詳細な政策協定が国民に信頼される政権運営を可能にさせる基礎的条件であることを教えている。百数十ページにも及ぶ政策協定文書が、国民に対する政権の公約となり、政権に参加する政党及び政府の行動を契約的に拘束する仕組みである。
今日では、政権実現への道は、連立の可能性を探ることによってこそ、より現実的なものとなると思われる。政党の政権政党への進化と同時に、政権政策をとりまとめて、連立政権のための政策協定への準備を着実に進めておくことがもう一つの課題であると考える。
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