2001年3月23日 | 戻る/ホーム/民主党文書目次 |
いよいよ21世紀を迎えました。20世紀は戦争と対立の世紀と言われましたが、この新しい21世紀こそ市民が平和に暮らし、自立と共生、ゆとりと豊かさの中で人々の個性と活力が生かされる社会を築き上げる、「創造の世紀」とすることが人類共通の課題ではないでしょうか。 そのためにも、私たちは自分たちの世代、親たちの世代、子どもたちの世代、祖父母や孫たちの世代の営みを確かなものとし、「戦後」に終止符を打ち、日本という国のかたちを正しい姿へと変えていかなくてはなりません。 民主党は、自民党的政治が約50年かけてたい積させた、中央集権、利権構造というよどみを解消し、透明・公平・公正なルールにもとづき、「市民・市場・地方」の三つの視点に根ざした新しい政策路線の確立をめざします。 民主党は、21世紀において、国民と共に、「国民主権・基本的人権の尊重・平和主義」という憲法の基本精神をさらに具現化し、発展させることをめざします。 私たちは、2001年に実施される第19回参議院議員通常選挙において、国民とともに自民党政治の終焉と新しい政治の創造をめざし、参議院における自民党を中心とした政治勢力を過半数割れに追い込み、衆議院の早期解散・総選挙実施の中で政権を国民の手に取り戻します。 民主党がめざすもの、それは自立と共生にもとづく、市民が主役の社会です。“すべての人に公正であるために”47都道府県それぞれの地域から発議し、参議院で与野党逆転を実現させ、そして政府を代えましょう。 ― 目 次 ― 民主党は提案します。――日本を変える7本の柱 - 第1の柱―分権改革 - 第2の柱―公共事業改革 - 第3の柱―社会保障改革 - 第4の柱―雇用環境改革 - 第5の柱―学校改革 - 第6の柱―財政構造改革 - 第7の柱―IT革命 民主党と市民の共同事業――21の重点政策 (78KB) |
ゆきすぎた中央集権体制は、全国のあらゆる自治体に画一的行政を強い、地域の自主性を奪ってきました。中央政府が権限と財源の多くを握りしめているために、地方は中央からコントロールされ、地域が本来もっているエネルギーを枯渇させてきました。 民主党は、もう一度地域のエネルギーを再興するために、権限と財源を地方へ移譲し、自治体と地域に根ざして生活している住民が、権限と責任をもち、自ら決定できるよう大胆な地方分権をすすめます。住民に身近なサービスは基本的に全て市町村が行い、現在の都道府県では対応できない課題については、都道府県を道州として広域的な行政主体に再編成します。中央政府は、外交・防衛・通貨制度など、国家として共通性が求められる役割のみを担うこととし、地域のニーズと時代の変化に対応できるスリムな組織に転換します。 ただし、現行制度から道州制へのいきなりの転換は現実的ではなく無理も生じます。そこで民主党は以下に掲げる段階を踏みながら、その実現を着実に図ります。 |
国民生活の利便性向上や国際競争力ある産業構造の構築のために、社会インフラの整備は今後も欠かすことはできません。しかし現在の公共事業には費用対効果分析の視点や他の予算とのバランスが著しく欠如しています。景気対策という美名の下で高コスト体質、利権体質、談合体質が温存され、ムダなものも多く、莫大な財政赤字の温床となっています。民主党は、抜本的な公共事業改革を断行することによって、国民にとって本当に必要なインフラ整備を効果的に行い、削減分を財政再建や社会保障の充実、雇用対策などに充当して財政構造改革を推進します。 |
年金・医療・介護など社会保障に対する不安は、将来不安の中心であり政治不信の大きな原因です。21世紀の少子高齢社会に対応できる社会保障制度を確立するには、若年世代を中心に渦巻く年金不信を払拭することが最優先です。 民主党は、年金や生活保護その他の低所得者対策などの所得保障を国の責任でしっかり行います。その上で、医療は都道府県、介護等は市町村と、より身近な地域に分権化し、保険料・一部自己負担などは国民みんなで分かち合う総合的な社会保障制度を確立します。 |
雇用不安の解消は、経済はもとより、社会の安定にとって基盤となるものです。そのためには、政府が構造改革政策の推進と同時に雇用安定に対しても積極的な役割を果たすことが求められており、将来に対して安心感がもてる経済と雇用環境をつくるべきです。
民主党は、経済と財政の抜本的構造改革を推進するとともに、積極的な労働市場政策を打ち出し、雇用不安解消・失業率引き下げをめざして、積極的な雇用創出を図ります。併せて、ワーキングルールの構築をすすめるとともに、雇用の流動化に対応した労働者保護法制を整備し、セーフティーネットの確立をすすめます。 また、ILO(国際労働機関)の「雇用及び職業についての差別待遇に関する条約」(第111号)をはじめ、国際労働基準にかかわる諸条約の批准を実現するとともに、国内の労働基準・労働法制対策を推進し、21世紀にふさわしい雇用環境の整備につとめます。 |
学校現場では学級崩壊、不登校、いじめ、学力低下などの深刻な問題を抱え、苦悩しています。その原因の一つとして、社会が急激に変化し、家庭や地域そして社会そのものが教育力を失ったこと、そして中央集権的、画一的な教育の限界があげられます。子ども達一人ひとりを大切にする柔軟できめ細かな教育が必要とされています。 また高等教育では、世界的水準からの遅れが指摘され、学力低下は小中学校から大学に至るまで問題視されています。「学びの場」の空洞化は深刻であり、現行の教育制度では対処できないところまで来ています。 民主党は、子どもたちが人間として自立し、他者と共存できる知恵を養い、感受性や創造性豊かな人材として育つ「学びの場」を再生します。 まず、教育は国が行うものという受身の意識を改革し、家庭、地域に教育を取り戻します。そのために、保護者と教職員が地域において互いに協力し、その創意を生かして学校現場を自主的に改善・改革、運用できる仕組みをつくり出します。 緊急の課題であるいじめ、学級崩壊等の問題に当面対応するために、少人数学級の実現、体験学習を促進します。 高等教育においては、改革をうながすために国立・私立間の公平な競争をさせ、民間のインセンティブが大いに活かされる仕組みへと転換します。また、希望者には誰にでも何度でも学べる機会を提供します。 |
財政破綻は、社会的弱者に最も大きな影響を与え、さらに経済状況を悪化させ、国民生活そのものを破綻させます。このような事態を回避し、必要な人に必要なサービスを継続的に提供する「安心の社会」と「活力ある経済」を構築することが、民主党の改革政策の基本理念です。 その上で、「橋本改革」(橋本内閣ですすめられた財政改革)のような一律的な削減ではなく、「官から民へ」「国から地方へ」を実現する構造改革を進める中で、歳出の効率化を大胆に行うことを基本原則としています。また現在の行政の「単年度使い切り主義」「省庁の縦割り」等の構造が歳出を肥大させる圧力になっています。そこでこの行政のあり方を見直し、外部委託、民営化、PFI(民間資金活用)等を導入し、また支出の節約を評価する制度を創設し、行政の仕組みの中に効率を高めるシステムを埋め込みます。 我が国の財政状況は極めて危険な状態にありますが、既得権益に縛られ、税金を自らの選挙対策に使う現在の与党は、改革の先送りを繰り返すばかりです。この最大の被害者は国民です。民主党は、財政を持続可能な状態に回復させるために、政権をとったその日から財政構造改革に全力で取り組みます。 |
世界最高水準の低廉・高速インターネット社会をめざします。 民主党は、インターネットをはじめとするIT(情報通信)革命が、官主導から民主導へ、中央政府中心から地方政府中心へと社会を転換し、人間の生き方、生活のあり方を根本から変えるものと位置づけます。 ブロードバンド(通信の高速・広帯域化)革命、知的財産権革命、リテラシー(情報読解力)革命と一体となったIT革命をすすめ、行政改革、教育改革などの構造改革につなげていきます。そのため、最優先事項として、通信分野における競争を促進し、2003年までに世界最高水準の低廉・高速インターネットをめざします。 さらに、パート雇用やSOHO(在宅勤務を含めた小規模オフィスでの勤務形態など脱組織型の就労形態)が法制面で不当に差別されることがないよう、民主党が政府の「IT基本法」に盛り込ませた雇用流動化への対応策の具体化を急ぎ、雇用対策、情報格差(デジタルディバイド)解消策、ネット犯罪・トラブル対策についても万全を期していきます。 |
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