河田英正の主張 |
2000/10/15 司法制度改革について
法曹人口(主として弁護士)の大幅増員をし、その大量養成の手段としてのロースクール構想には反対です。これは、民主党及び現在の日弁連執行部の意見とは異にするものです。今の司法改革は、財界主導のなかで始まったもので、その内容に法学部を持つ大学が生き残りをかけて発想されたのがロースクールです。
在野の法曹が人権を擁護し社会正義の実現をすることを使命としない競争的な訴訟社会の病めるアメリカの司法を模倣する必要はない。経済活動にのみ精力を使う弁護士社会の実現は必要ない。今、もっとも改革が必要とされている日本の病める司法の問題は硬直した官僚統制司法であり、行政事件について堅く門を閉ざし続ける現在の司法制度である。弁護士、弁護士会が盗聴法に反対し、少年法改正問題に発言するなど、権力から影響を受けにくい団体として独立して活動する力をそごうとしているのが今行われている司法改革です。
民主主義を司法の場で実現していくために必要な改革は、法曹一元(裁判官を弁護士経験を経た人から選任)陪審制度の導入にこそあります。司法の民主化こそ司法の信頼を取り戻すために必要なものです。この問題をさておいて、人権擁護を使命と考えない法曹の大量生産を可能にする法曹養成制度の検討が大学の生き残りの議論としてなされていることは悲しいことです。
11月1日、日弁連の臨時総会が開催されます。執行部からは法曹の大幅増員とロースクールに賛成するという案がだされます。人権擁護と社会正義の実現を使命と考え良心的に戦ってきた弁護士たちの反対もあり、大荒れにあれるでしょう。しかし、執行部案で決着でしょうか。私は、日弁連崩壊の現場に立ち会うべく、出席して意見を表明するつもりです。
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