河田英正の主張 |
2001/05/14 司法はまだ生きていた
熊本ハンセン病国賠訴訟判決はすばらしいものであった。私も,邑久光明園で元患者さんと一緒に喜びの報に接した。久しぶりに「違憲,違法な人権侵害」という文字が判決書に載った。しかも,それが行政上の問題としてばかりでなく,国会議員の責任として明確に判断されたことである。司法はまだ生きていたことを実感させる内容であった。政府,国会は司法からこのような判断のでた重荷を十分に考えてもらいたい。
日本の司法は国(行政,国会)に対しては極めて異常な謙抑的な姿勢をとり続けている。違憲立法審査権による「法の支配」は絵に描いた餅になっている。違憲判決を書いた裁判官にはその後の悲惨なそして冷酷な人事が待ちかまえている。そのような支配のなかから,行政訴訟での勝訴率は極めて低いものとなっている。病める司法の本質はここにある。
司法改革審議会の最終報告案が10日に各員に配布された。今回の司法改革にはこのような死んでしまっている司法をよみがえらせようという姿勢に乏しい。病める司法をどのようによみがえらせようとするのか,今一度,見直すことが必要である。市民の司法へのアクセスの大きな障害となる弁護士費用の敗訴者負担制度はしっかりと導入の意見となっている。まだまだ,見放せない司法改革問題である。」
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