河田英正の主張

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2001/05/21 国が賠償責任を負うということ

民主主義の国家では,国民の意思によって国家が形成されることが理念となっている。この理念に基づいて国の制度ができあがっています。しかし,このことによって制度のうえで国民イコール国家となるのではありません。

ハンセン国賠訴訟において国に責任があると認めたのは,この制度としての国に責任があるとしたのです。その違法の原因を行政と国会と両面からとらえているということです。国が税金でなりたっている財政から支払うことに矛盾はありません。

しかし,理念的な観点でいえば,我々国民にも責任があるといわざるをえません。とりわけ本件ハンセン病に関していえば,知らないことから,知らされなかったことから積極的に人権侵害に手を貸してきたという事実があるからです。理念的な捉え方でいえば,政治の責任は全て国民に帰着しますが,それだけをいっていては何もかわりません。

法の解釈は憲法をを含め様々な意見,考え方があります。思想及び良心の自由が尊重されなければならない以上,その解釈の多様性がでてきてもそれはむしろ自然であるといえます。その多様性の統一が,訴訟の場においては三審制にあります。最後の最高裁では憲法判断が争われる場合は15人の最高裁の裁判官が審理して統一した解釈のもとに判断します。しかし,これもその当時の裁判官の構成,歴史的意味の変遷などによって変わっていく可能性をもっています。しかし,常に判断の基準とされるのは憲法と良心です。

ハンセン国賠判決の結果を,厳粛にこの判決をうけとめ,直ちに全面解決となる施策の検討が必要である。これ以上違法な行為の上塗りをすることがあってはならない。控訴そのものが,不法行為というべき事案である。


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