河田英正の主張 |
2001/07/01 民事事件の審理期間
6月29日に札幌地方裁判所で昭和62年に提訴された事件についての判決がありました。わたしも,いろいろと関わりをもってきた事件でした。裁判長は判決言い渡しの前に判決までに相当時間のかかったことをまず詫びたそうです。そして,言い渡された判決はB4版で521ページにわたるものでした。
通常,民事事件では,勝ち負けの主文だけの朗読がなされ,判決言い渡しは数十秒程度ですが,主文だけの朗読に終わらないで,約40分間判決のエッセンスの部分の朗読もされました。判決の言い渡しのあったあと,原告代理人は思わずたち上がり,スタンディングオベーションをしてしまったとのことです。原告代理人は判決までの時間が長かかったことはなんでもない。むしろ,弱者が訴えをきちんと立証していくためにはこの時間が必要であったと述べています。判決の内容は,裁判官が当事者よりもさらに深く資料を読み込み,哲学的思索さえも漂わせる格調のたかいものでした。その日の夕方,判決書を手にした前日まで敗訴を確信していた担当弁護士と東京で会い,原告の主張も超えている判決内容に興奮しながらも,司法が生きていることを実感いたしました。
司法改革は裁判の現場の声を無視した内容が多く含まれています。市民とともに司法改革という旗印を忘れることがあってはならないと思います。その意味では弱者の司法へのアクセスの障害となる弁護士費用の敗訴者負担問題も重要な問題としてこれからの取り組みを強化していく必要があると思っています。司法改革が市民のためにという衣をかぶって,実は財界の都合のいいい司法にしていこうという鎧も見え隠れしていることも見抜いていかなければなりません。審議会の舞台から次ぎは国会で審議がなされます。
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