河田英正の主張

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2001/07/11 教科書問題が問いかけているもの

教科書検定の是非を争った事件がありました。家永教科書裁判と言われたもので第1次訴訟から第3次訴訟まであり、30年近く争われたものです。第2次訴訟のいわゆる杉本判決は、豊かな憲法感覚に磨かれたすばらしい判決でした。教科書検定は、憲法で禁止されている検閲に該当するか否か、子供の教育権は国家か国民か、教育権と検定の関係をどう捉えるかなど根元的な問題に答える内容をもっていました。

家永教科書裁判は、いわば今問われている立場と逆の立場、つまり歴史を歴史として伝え、学ぶという姿勢のはっきりしていたもので、右翼からは激しく攻撃を受けたものでした。こうした問題が、最高栽まで争われ、国民的論議を生みました。しかし、行政は検定について運用は少しは改善されたものの、その性格を明確にすることなく現在に至っています。国民の教育権の問題など論議さえされていない状況です。

そのような状況のなかで、今回の新しい歴史教科書問題が発生したのです。家永訴訟で問われたことにきちんと対応しておけば、今回のように国外からの批判にもきちんと対応できたはずです。日本に定見がないのです。私も、日本の国の教科書に外国からとやかく言われたくないと言う気持ちがあるものの、検定制度の意義をきちんと検証できていないことから、胸を張って「文句を言うな」といいきれない後ろめたさを感じています。

義務教育の教科書は日本国憲法をになっていくべき国民を育てるものでなくてはならず、これに反する教科書は検定によって排除されるべきであると考えます。この限りにおいて、検定は有効に作用すべきです。そうした位置づけができていないまま、新しい歴史教科書が検定をとおり、教科書として採用を待っている状況だからこそ、今自信をもって外国の批判が誤っているといえないのではないでしょうか。

教科書問題が問いかけているもう一つの側面です。


水をさすようですが   人間空母  

ご持論はそれぞれあって当然ですが・・・私もありますが・・・ことは一国の政府のしたことです。「政策の選択とその結果」という見かたで考えるべきじゃないでしょうか。

「皇帝ナポレオンがフランスの王位継承者(亡命中)に刺客をはなって暗殺した」と報告を受けた、内務大臣フーシェの科白。

「これは犯罪より悪いことだ。これは失策だ。」


河田英正の主張

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