河田英正の主張

戻る目次


2001/09/15 今こそ平和の論理を

1984年5月、私はニューヨークの今回のテロで破壊された貿易センタービルにあった豊田商事ニューヨーク支店の調査に行った。戦後最大の詐欺事件の舞台に使われた場所であった。人の創ったもののはかなさをその事件とともに思い起こされた。

日本は直ちに「米国を全面的に支持する」と表明した。テロを否定すること、テロ行為がなされないように最大の協力をすることは当たり前である。しかし、米国とともに無条件に報復行為に加担するというのであろうか。あえて言います。米国は、ベトナムにおいて、中東においてその兵器やミサイルの先に起きている痛ましい事態を自らのこととして考えたことがあるでしょうか。人一人の死がいかに重要な意味と悲しみを意味しているか考えたことがあったでしょうか。いきり立ち、直ちに報復をすることが何を意味するのでしょうか。人類の悲しみの再生産でしかありません。アメリカの行為によって、この悲しみを味わされた歴史があります。

世界がこのように混乱の時にあるからこそ、平和憲法を持つ日本がその存在意義をもちます。いまこそ、しっかりと平和への道筋を示すことができるはずです。日本は戦後ただの一人も軍事行動によって人を殺したことはありません。これは誇りにすべきです。短絡的に有事法制の確立などとおどろされてはいけません。日本の特徴を生かした独自の外交を必要としているときです。


河田英正の主張

戻る目次