河田英正の主張

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2002/05/22 多くなった医療事故相談

私は,弁護士になっていま28年目を迎えている。この間,常に1件程度の医療事故訴訟を抱えている状況であった。なかには未熟児網膜症の医療過誤裁判も7年間ほど闘ってきた事案もあった。それでもその間には新たな相談はなかった。

ところが,現在4件の医療過誤事案を抱えている。1件の訴訟,2件の証拠保全,1件の証拠保全手続の準備である。訴訟事案では,医療水準が争点となっている事案ではあるが,十分なる説明がなされていれば訴訟に発展することはなかったのではないかと思われる事案,1つの証拠保全事案は,しっかりした水準をもち規模の大きい病院ですが,単純なミスのよる死亡事故です。もう一つの証拠保全は詳細な検査がなされてはいたが,その読解に見落としがあったことが原因と思われるものです。

いつまでも,命を存続させることのできる高度な医療水準に到達しながら,医師と患者の共同作業の中で説明と納得の上での治療がおろそかにされ,単純な過失によって命を落としてしまうという事故が増加しているように思われる。

どんなに医療技術が進歩しても命ある人間が対象であることをわすれてはならない。これは,我々法律家としても事件処理にあっったて自戒しなければならないことだと思っている。


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