河田英正の主張

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2003/01/10 首相公選制は司法も変える?

アメリカの大統領選挙では,選挙後疑問票をめぐって最高裁の判断が世界の注目をあびた。何を正義とするのか司法の判断が問われたものであった。司法の役割を,毅然と果たしていることを示すものとして注目された。同じようなことが,韓国でもおきている。

1月6日に弁護士報酬敗訴者負担問題の調査のため,韓国大法院(最高裁)裁判官,調査官と会っていた。懇談の途中何度もあわただしく席をたち,懇談は中断された。大統領選挙の投票用紙の保全命令の申立がなされてその結論をださなければならない会議が断続的になされているということであった。事前の開票のコンピューター集計誤差は4パーセントで今回票数差は3パーセントであるので逆転の可能性があるというのが申立の理由である。裁判官は,全ての票をチェックすることは大変な国家的エネルギーを費やすことになるので,票差が5パーセント程度まで接近しているところに限って保全命令をだそうと検討しているようであった。

司法が,大統領選挙の行方まで判断していくというダイナミックな役割を果たしていることに驚きをおぼえざるを得なかった。また,韓国には別に憲法裁判所があり,年間1600件の申立がなされ,最高裁が制定した規則の違憲判断をすることもあるとのことで,法の支配を実効性あるものにするシステムが機能しているように思えた。最高裁の判断にいま韓国国民の熱い目が注がれている。日本でも首相の直選挙が実現すれば,司法にも国民の関心が向く機会が多くなるのかも知れない。


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