河田英正の主張

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2004/04/22 この国はやはりおかしい

イラク支援特措法は、憲法違反のおそれの極めて強い法律である。この法律に基づき自衛隊の活動が「非戦闘地域における人道支援」という要件に該当するとしてイラクに派遣された。イラク全土で占領軍と抵抗勢力との戦闘がが激化していることは紛れもない事実である。また、自衛隊も人道支援作業を一時中止しなければならない事態に陥っている。誰の目から見てもイラク支援特措法の自衛隊派遣の要件はもはやない。直ちに自衛隊は撤退すべきである。違法状態であることは明白である。この趣旨の日本弁護士連合会会長声明が発表されている。日弁連理事のほぼ全員の賛成によって採択された。あたりまえの法律解釈である。

政府の自衛隊派遣に反対の意思を表明したイラク人質の人命は守らなくてもいいかのような意見が横行している。政府は国交のある地域の国民は誰でも守り抜く義務がある。たとえそれがその時の政権に反対する人であっても。

自己責任が強く主張されている。それぞれ自分の行動に責任を持つのはあたりまえであるが、ここでは国の責任との対比で論じられている危うさがある。自己責任だから国に責任はないことにはならない。まして、今回の場合自衛隊派遣そのものに大きな問題を抱えている場合である。法的要件にかけながらも多額の費用を使って自衛隊を派遣し続けることこそ問題である。民間人道支援活動を阻む政治状況をつくっている外交の責任は問われなければならない。このような国際紛争を解決する基本的外交手段は憲法に明確に規定されている。

無事帰ってきたイラク人質だった人々に誹謗中傷が集中している。平和のために何もしなかった人々が、その戦いをしなかったマスコミが政府の無責任な態度を背景にあたかも人質被害者の人たちに勝ち誇るような態度はおぞましい。

靖国参拝違憲判決がでてもそのことを真剣に受け止めようとしない総理大臣がいて、多くの国会議員が集団で靖国参拝を実行した。歴史的に現憲法は再び靖国を作ってはならないと政教分離を明確にし、信教の自由を宣言したはずだ。言論の自由も国家が戦争にひたむきに走っていくようなしかけができないようにする民主主義の根幹であったはずだ。

なんとなく気分の悪いことが続く。この国はやはりおかしい。おかしくなった。


河田英正の主張

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