河田英正の主張

戻る目次


2005/09/24 参議院の重み

自民党の大勝で終わった今回の衆議院解散総選挙。郵政民営化をめぐる国民の意思を問う総選挙であった。こうした単一のテーマで国民の意思を問うことはあってもいい。しかし、解散するのであれば、せめて僅差で郵政民営化法案を可決した時点で、僅差であるがゆえに内閣不信任ととらえるか、重要課題について微妙な結論となったその信を問うとしてその時点でなされるべきであった。参議院で否決して衆議院を解散は憲法の予定していない、国家の立法、行政、司法の関係そのものをくずすものであり、憲法違反の解散であったといわざるをえない。但し、今の司法はそのような違憲判断をだせる体制にない。

圧倒的多数を与党が占める状況となった衆議院では、当分深まった審議を期待することは不可能である。こんな時だからこそ、参議院で十分なる審議をして欲しい。各種立法の問題点を国民の目に見えるように審議にも工夫をして欲しい。確かに法律は衆議院で議決し、例え参議院で否決されても再び3分の2以上の賛成があれば成立することになる。その場合、結果としては衆議院の当初の議決のとおりとなることとなるが、参議院での審議が国民に対して法案の問題点をアピールし、与党の再考の機会をつくることができる。

参議院不要論が論じられたりしている。民主主義は、少数意見が多数意見に変わっていく可能性を認め、少数意見に耳を傾け、十分なる討論をし、その結果意見が一致しなければ多数決によって決するというルールである。少数意見の尊重が民主主義の根幹をなしているとはこのことである。今回の事態は、長い議会制民主主義のなかで人類の知恵として続いてきた2院制の必要性をみごとに示している。少数意見をを尊重しつつ、国会の議決を生んでいくという参議院の存在の重みと期待は従来以上に大きい。江田さんの果たすべき役割も重大である。休まる日もなく、激務が続いていると思われが、重みのある参議院議員として頑張っていただきたいと思う。


河田英正の主張

戻る目次