人間空母 弁護士を笑え! 戻る目次ホーム

弁護士と広告

今年(2000年)春から、弁護士の広告が自由化される見込みです。

自由化?そう、今までは不自由だったんですね、これが。

なにしろしばらく前、そう10年前くらいだったかな、それまでは事務所の看板以外何にも出しちゃいけないなんて時代があったほどで。最近は少しはゆるんでましたが、それでも媒体は制限されてるわ、専門分野は書いちゃいけないわ、不自由そのものだったわけで、それが今回解禁されるわけです。

いつからそういう不自由なことになっていたのかというと、戦後すぐのころかららしい。なにしろ、戦前には弁護士がばんばん新聞広告出してたそうですから。「弁護士はフツウの商売とは違う。高潔な仕事である。従って広告なんぞもってのほかである。ああケガラわしい」と、こういうことだったんでしょうな。

こりゃ面白い!「新規開業につき弁護士大安売り」なんて広告が出る!とお考えになるあなた。あなたは甘い。弁護士会ちゅうのはそんな甘いもんやおまへんのや。(あ、ギャグが古い。トシがバレる。)

上のような広告は「倫理規定」でもってしっかり禁止されています。理由。「安売りを標榜(ヒョウボウ、と読みます。そういうカンバンを出す、てな意味ですな)することによって顧客を誘引(ユウイン。さそいいれること)してはならない」から。

いやどうも参ったねこりゃ。あたしゃこのトシになるまで、広告てぇのは、お客さんをユウインするためのもんだとばっかし思ってたんだけどね。だいいちあたしみたいな、専門分野も特殊技術もなくって、安くサービスするだけがトリエ、なんて弁護士はどうすりゃいいのかね。ダルマさんみたいに手も足も出ないてぇことかね。

ただし。弁護士てぇのは「法律の抜け穴に長じた者」(A.ビアス)ですからね。きっちり規制しようとする弁護士会と、網をくぐろうとする弁護士の間で、虚々実々のイタチごっこ、てなことになる可能性もあります。なにしろ、「どんな広告が出てくるか予想しにくいから、落ちつきどころがどこになるかはやってみないとわからない」というのが通説になっとるようですから。

さて波瀾万丈の結末がどこに落ちつくか、次回をお楽しみに、これにて本日の読み切り。(あ、またギャグが古い。)

(2000/01/25)


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