日弁連が個人情報保護法案反対で結束したわけ
政府の個人情報保護法案が、国会で、審議未了で継続審議になりました。
この法案に対する日弁連の意見はなかなか出ず、かなりギリギリの時期になって、反対の意見を出しました。そのへんの事情を、日弁連委員のZ氏にたずねてみました。
Q この法案はどこに問題があるのですか?
Z いろいろあるが、まず、国や自治体が持っている個人情報について全然手当てされてない。住民登録や社会保険の個人データは今、ダダ漏れ状態になっている。おまけに住民基本台帳法が改正されていて、今後は国民のデータがデジタル的に一括管理できるようになる。今のままの保護体制でこれが実行されたら、国民のプライバシーは有るのか無いのかわからんようなことになる。
民間事業者が持っている個人情報については、個人本人にいろいろ権利を認めるようになっているんだが、事業者が「お断り」できる範囲がずいぶん広くて、これで本当に役にたつのか怪しい。
Q それなら、どうして反対意見が出るのが遅くなったんですか?
Z 実は、審議会の答申が出た段階で、日弁連の委員会が、「こんなの無いほうがまし」という意見と、「こんなのでも無いよりはまし」という意見に、分かれちゃった。
「無いほうがまし」派は、「こんな法律はヤメにして、基本原則だけ宣言する法律にして、あとは分野ごとに法律を作るほうがいい」という。
「無いよりはまし」派は、「こんな法律でも、一応、個人の権利が書いてある。原則を宣言だけする法律を作ったって、そのあとの分野ごとの法律を、お役所がまじめに作るはずがない。」という。
どっちのいうこともモットモなので、膠着状態になっちゃって。
Q それがどうして急に反対でまとまったんですか?
Z いやそれが、じっさいに出てきた法案を見てみたら、事業者が本人の要求を「お断り」できる範囲がすごく広くなってて、「無いよりはまし」派の人たちも「これじゃダメだ」ということになった。
それと、決定的だったのが、あらゆる「事業者」に所轄官庁」があって、その官庁が事業者をカントクするということになってて。「弁護士会や弁護士を法務省がカントクするというのか。けけ怪しからん。」つうことになって。
いや実際、こういうことは、聞いてみないとわからないもので。この法案は、次の国会でまた審議されることになるわけですが、どうなりますことか。
(2001/07/08) |