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「慰安婦」問題─民主党法案  はらだしんいち 2000年4月22日(土)

「慰安婦」被害者に対し、「国の謝罪と個人補償」が必要だということに異議はありません。民主党「戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律(案)」のねらいでしょう。けれども、ただの目標で、選挙で多数をください─では、待っている被害当事者に説明もできません。政治は実行であり責任をもつことです。「国の謝罪と個人補償」の要求に答えを出すのか、出せないのか、説明する責任があります。
現実に進んだのはアジア女性基金(以下「基金」)事業です。想定対象者の過半をおおきく上回る160人以上の「慰安婦」被害者が「総理のおわびの手紙」を受け容れ、「償い金」と政府の医療・福祉支援事業を受け取っているのです。
この被害者の気持ちを否定せず、「基金」の意義・実績を認められますか──質問1

「見舞金支給によって国の法的責任を回避している」と法案「趣旨説明」はいたずらに「基金」を批判して、「基金」批判の運動体の文書丸のみとさえ読めますが、個人補償を実現できなかったのは国会の責任(広義の政府)ではないでしょうか。──質問2
政策として予算措置を認めてきた「基金」を他人事のようにいま批判して、「同じ方向ならお互い激励しあって」というのは、質問忌避、責任回避ではないでしょうか。より強い「戦後補償」の合意をつくるためには、「謝罪必要なし・売春婦だった」論者までを相手にしなければならないのです。
「問題の所在ははっきりしている」といわれる。では、なぜ今度の法案に「国の法的責任」「個人補償」は明記されていないのですか。再度、お聞かせください。──質問3
司法のこれまでの判決は、国の法的責任(当事の国際法、国内法による違法・不法行為)を認めず、国際法による個人の訴え自体を根拠がない、と退けています。政府、当局との協議、調整を重ねてやむなくこのような法案になったというなら、そのように説明してください。

【提案】
「解決促進法」というすっきりしない後追いの「目標」より、アジア女性基金の現実の実績を認めて、さらに「アジア女性基金の改組、戦争被害者補償基金」へとつなげるのが現実的ではないのでしょうか(田中宏一橋大名誉教授もそう提案しています)。「基金」の発展的改組・補償基金を構想することについて──質問4

補償はいつかわからないから、アジア女性基金を選択──という結果が、受け取り数過半を超える160人以上。被害者に向かって「基金」を受け取るなといってきた韓国、台湾の運動体がこの際、姿勢を転換して被害者が自由に選択すべきだといえば、「基金」受け取りはさらに進むでしょう。被害者に対する措置という姿勢からも、被害者の意思が第一であるとの「原則」を民主党として確認していただきたいが、いかがでしょうか。──質問5

運動が主体かのように錯覚して被害者の意思を拘束し、運動のための道具のようにすることは間違いです。「基金」を認めれば裏切りと騒ぎ被害者に「基金」を受け取るな、と高速しようとして、おばあさんたちから気持ちの離れた運動と激励しあってやっていかれるのでしょうか。

アジア女性基金はすでに日本の政策として実行されている、「慰安婦」被害者は自らの申請で受け取ることは当然である。しかし民主党は、アジア女性基金を基礎として戦争被害者に対し国会における謝罪表明と国から直接個人補償を行うため、措置を具体化していく。
──このように声明し、実行してはいかがでしょうか。──質問6
積極的提案を含めて、今後も、私たちの課題として「広義の補償」と「過去の克服」のために、話し合いなどをお願いしたいと思います。

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