私は、民主党・新緑風会を代表し、小泉総理の所信表明演説に対して、総理及び関係大臣に質問を行います。
これまでの小泉総理の所信表明演説、各党の代表質問に対する総理の答弁を拝見しておりまして、小泉総理の改革の姿勢は我々の認識と一致しておりますが、総裁選で政策論争がなされたにもかかわらず、国民が期待した具体策がほとんど示されておりません。勇気を持って改革の中身を国民に明示をして、この国会で活発なる議論を展開しようではありませんか。
本日、五月十一日は詩人萩原朔太郎の命日に当たります。彼は「猫町」という散文詩風の小説を残しています。その巻頭で、朔太郎は、「蝿を叩きつぶしたところで、蝿の「物そのもの」は死にはしない。単に蝿の現象をつぶしただけだ。」という、ドイツの哲学者ショーペンハウエルの言葉を引用しています。
小泉内閣も自民党政治という現象をつぶして総裁になりました。自民党政治そのものは死んではいない状況にあると考えます。総理が主張する「新世紀維新」、「聖域なき構造改革」の内容を具体的に一日も早く国民に示していただきたい。国会の論議はイメージ合戦ではなくて、あくまで政策中心であります。政治家小泉総理の言葉で御答弁をいただきたいと思います。
昨日の勝木議員の質問に対しまして、本会議や予算委員会、国家基本政策委員会に積極的に対応される、こういう答弁をいただきました。しかし、昨日午後、与党側から早くも、五月中は国家政策委員会の開催を見送りたい、そのような話がありました。足元から総理の答弁を踏みにじる自民党の動きについて、改めてお伺いをいたします。
次に、本日のハンセン病判決について伺います。
伝染性の弱い感染症なのに、国は強制隔離による絶滅政策をとり、社会に根強い恐怖心を植えつけました。今もなお、元患者の皆さんは、死してなおふるさとから拒否される事態が続いています。
遅くとも一九六〇年以降、国家の重大な過ちで筆舌に尽くしがたい苛烈な人権侵害が行われたことが司法の場で認定をされました。また、一九六五年以降、憲法違反の法律をそのまま放置した私たち国会議員の立法不作為責任も認定されました。国会の責任も重大です。
小泉総理、あなたは豊富な厚生大臣の経験もあります。ぜひ自分のお言葉でお答えをいただきたい。あなたはこのハンセン病の元患者に対する国の責任をどのように考えておられますか。また、元患者の皆さんたちの貴重な残された時間を考えれば、控訴などはすべきではないと思いますが、総理はどうお考えでしょうか。
司法的解決は最終解決としては不十分です。今こそ政治が役割を果たし、社会から偏見を完全に除去し、元患者の皆さんのふるさとに帰りたいという叫びにこたえなければなりません。今後、国としてどのような人権回復のための措置をとられますか、お答えください。
さらに、総理、元患者の皆さんたちが今回の判決を受けてぜひ厚生大臣と総理大臣にお会いして真情を訴えたいと希望しておられます。ぜひ、厚生大臣には会っていただけるように指示を出していただけませんか。また、総理御自身にも会っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
次に、地方分権について伺います。
昨年、分権一括法が施行され、分権改革はようやく緒についたばかりです。しかし、財源問題は先送りをされ、依然として国が権限と財源の多くを握り締め、陳情合戦に明け暮れ、地域が本来持っているエネルギーを枯渇させています。民主党は、結党以来、地方分権の旗を掲げてまいりました。私も地方自治に三十余年携わり、地方分権の推進は最重要課題と認識しております。
すなわち、国のかたちを変える大胆な地方分権を進め、住民に身近なサービスは市町村が行い、そこで対応できない課題は広域行政が担う、そして中央政府は外交、防衛、福祉の水準など、国全体の共通性が求められる役割だけを担うこととする効率的でスリムな政府を目指すことです。
地域を再興するため、権限と財源を地方へ移譲し、自治体と住民が権限と責任を持ち、みずから決定できる大胆な地方分権を行う必要があると考えています。私は、国と地方の財源配分が全く逆転していることは、憲法に定める地方自治の本旨にも反するのではないかと考えております。特に財源問題について、第一段階として、補助金は使途を限定しない一括交付金にする、第二段階としては、所得税の一定割合を自治体の自主的財源に移譲することを提案いたします。この提案にどうこたえるのか、総理の答弁をいただきます。
さらには、そうした地方独自の財源確保や市町村合併が進む中で、将来的には道州制の導入を行い、国と地方の役割分担を見直し、国のかたちを分権型連邦国家へと変えることを目指したい。総理、道州制についてどのような御所見をお持ちでしょうか。
次に、地域経済の問題についてお尋ねします。
政府が失政を重ねたため、地方経済の疲弊は極めて深刻な状況に陥っています。失業者は増加し、新卒者にも厳しい状況が続いています。地域の商店街はシャッター通りと化しています。
日本経済の再生には、不良債権の処理と同時に、日本経済の潜在力を生かす積極的な構造改革と新しい経済対策が不可欠であります。そのため、情報通信、環境、バイオ、介護等先端産業やサービス産業への移行が不可欠であり、こうした分野を重点とした戦略的な規制緩和を含め、雇用創出を図るべきではありませんか。総理の見解を伺います。
また、NPOに対する支援税制の確立も不可欠であります。総理に実現を約束していただきたいと思います。
個人保証の要らない事業者ローンの実現、商業施設と住宅が結びついた商住一体の町づくりの推進など、私たちの提案する中小企業政策にどう取り組むのか、総理の答弁を伺います。
さらに、地域の下請企業が親企業から地位の乱用等による不当なしわ寄せを受けることがないように、下請代金支払遅延等防止法の改正を進めるべきです。総理の御答弁をいただきます。
また、地域を支える農業を育てるために、農政の目標を食料自給率の向上と地域循環型農業の確立に努め、農業土木偏重から所得政策重視への転換を図り、環境保全のためにも多面的機能を持つ農業の振興、食の安全の確立に重点的に取り組むべきだと考えますが、総理の具体的な答弁を求めます。
次に、教育問題に対する基本的姿勢についてお尋ねをします。
今国会を教育国会と位置づけた森総理は退陣をされました。小泉総理も教育を最重要課題に位置づけますが、所信表明演説では教育改革の一言だけだったように思います。教育問題についてどのような認識を持ち、どのような教育改革を目指しているのでしょうか。これまで経済重視の成長路線に傾斜をして、教育改革に力を入れてこなかった長年の自民党政権に教育の危機的状況の原因と責任があると言わざるを得ません。
総理が言われた長岡藩だけではなくて、米沢藩でもあるいは私の水戸藩でも、苦しいときにこそ教育に力を入れた先達がおりました。小泉総理の教育改革は森前総理と同じものですか。それとも、新しく小泉流教育改革を打ち出すおつもりがあるのか、またその中身についてお尋ねをいたします。
森前総理は、教育改革国民会議に対し、教育基本法の根本的議論を求めました。余りの性急さに国民会議でさえ国家主義的な動きを危惧する声が上がり、教育基本法の改正の議論が国家至上主義的な考え方や全体主義になってはならないと歯どめがかかったところであります。小泉総理、どのような観点で見直しされるのか、お伺いいたします。
次に、教育問題に関する重点施策の提案をしたいと思います。
学校の第一の本分は基礎学力の定着です。民主党は、三十人学級法案を提出するなど、一貫して少人数学級の実現を目指してきました。学力低下や不登校に対応するには、何よりもわかる授業を実現することが先決です。少人数学級で一人一人の子供に目が届く教育を目指すべきであります。
政府・与党の非協力的な態度により、我々の三十人学級法案は成立しませんでした。小泉総理、先進国並みの教育環境をつくるべきではありませんか。少人数学級の実現についての目標を示すべきだと思います。いつまでにおやりになりますか、総理、御答弁願います。
さて、総理は自民党総裁選の公約において、大学の研究と経営に競争原理を導入すると掲げています。今、国立大学の独立行政法人化が文部科学省で検討されています。徹底的に競争原理を導入するのであれば、中途半端な法人化よりも、思い切って国立大学の民営化を目指すべきだとも言えます。総理、どのようにお考えでしょうか。
産業競争力の強化に資する教育の充実も重要であります。スイスのある研究所が発表した二〇〇一年の世界競争力ランキングによると、かつて首位を占めた日本は、四十九カ国中二十六位に落ち込みました。起業家精神、大学教育においては、日本は残念ながら最下位であります。今こそ新しい技術を生み出し産業に貢献する、地域に根差した大学を育成することが急務であると考えます。この件について総理の御所見を求めます。
次に、昨年九月の総理府の世論調査によれば、男性でも家事や地域活動に妻と参加し、仕事と両立させる、こういう考え方が仕事重視の考えを上回っています。
しかし、実際には育児や介護の多くを女性が担っており、子育てなどで一度退職すると復帰が難しい。各人が能力を発揮し、男性も女性もともに仕事と家庭が両立できる環境を社会全体で整えることが重要であります。
所信では、子育て支援の重要性をこれまでの歴代総理の中でぬきんでて強調されました。子育て支援には、保育所の整備、もう一つ大切な仕事と家庭の両立支援という大きな柱があります。
この国会に政府は育児・介護休業改正法案を提出しています。内容を見ると、例えば病気の子供の看護休暇の請求権を規定しておらず、単なる努力義務にとどめているのは先進国中日本ただ一国だけであります。一体、政府は働く親と子供の切実な要望を真剣に考えているのか、甚だ疑問です。御答弁をいただきます。
さて、選択的夫婦別姓に関する民法改正についてお尋ねします。
民主党は、希望すれば夫婦が別々の姓を選択できる選択的夫婦別姓制度の導入と、子供自身に何の責任もない出生についてその子供が不利益をこうむらないよう、婚外子の相続差別をなくすことなどを内容とする民法改正法案を今国会にも野党共同で提案しております。小泉総理、この民法改正についてどのように考えておられますか。
また、森山大臣、選択的夫婦別姓の実現に一生懸命取り組んでおられますが、先日の御答弁は余りにも消極的だったのではありませんか。大臣の答弁を求めます。
先般、愛媛県立宇和島水産高校の実習船えひめ丸が米原潜に衝突され沈没した事件について、ファーゴ米海軍太平洋艦隊司令官はワドル前艦長に対する懲戒通告を行いました。刑事責任を問う軍法会議は開かれず、二カ月の減給処分など極めて軽い行政処分にとどまりました。遺族の方々は憤りをあらわにされております。
今回の決定により、日本国民の米軍に対する不信が高まり、日米協力関係が損なわれることを深く憂慮しております。引き続き、米軍が徹底的な綱紀粛正を行い、厳格に説明責任を果たすように改めて要求しております。政府においても十分な対応をすべきだと考えております。
次に、地球温暖化問題について伺います。
米国は、地球温暖化防止のため世界の英知を結集した京都議定書からの離脱を表明し、世界的な非難を浴びています。米国の行動は裏切り行為であり、我が国政府はもっと反省を促すべきではありませんか。
本院は、先月、京都議定書発効のための国際合意の実現に関する決議を採択しています。この決議を重く受けとめ、政府は米国に京都議定書に復帰するように説得する責務があるのではないでしょうか。小泉総理のお考えをお伺いします。
川口環境大臣は、先月、訪米をして米国に働きかけました。説得に失敗をしております。いかにしてこの事態を打開するのでしょうか。具体的な方策を示してください。
私たち民主党は、政策の党として、日夜、政策立案に汗を流し、議員立法の策定に取り組んでおります。既にこの国会には、民主党単独で、犯罪被害者法案、NPO支援税制法案、危険運転処罰法案などを提出しております。また、他の野党と共同して、三十人学級法案、夫婦別姓など民法改正法案などを提出しております。先日、鳩山代表が表明をした法案もただいま早急に準備中でございます。
小泉内閣が新しい政治を目指すならば、野党の法案なら何もかも葬り去るというこれまでの独善的な与党の慣行を打ち破るべきではないでしょうか。議会制民主主義の健全な発展のために、政府提出法案も議員立法も対等に議論する政治を確立すべきと考えます。総理より御答弁をいただきます。
私は、失われた十年の中のこの六年間、国会審議に真摯に参加してまいりました。残念ながら、言論の府の中で、良識の府の参議院において、政府・与党は少数意見に耳をかさず、数を頼んで審議を打ち切る、果ては強行採決をする。しばしば繰り返されました。憂慮にたえません。良識の府参議院の復権と民主主義の原点に立ち返るために、私は、民主党は努力することを表明し、質問を終わります。
■小泉首相の答弁
小林議員にお答えいたします。
私が主張する構造改革の具体的内容を早く示すべきであるという御指摘がありましたが、私はかなりはっきりと目標は既に示しております。ただ、具体的内容については、独断専行する気持ちは全くありません。私より知恵のある人がたくさんおられます。そういう方々の意見も聞きながら、今後具体策を提示していきたい。
例えば、経済、財政の構造改革につきましては、六月を目途に経済財政諮問会議で基本方針を作成いたしますので、できたら民主党も建設的な御意見をいただき、賛成できることがあったら賛成していただければ大変ありがたいと思っております。
国家基本政策委員会の開催についてでありますが、私は、本会議だろうが予算委員会だろうが党首討論の国家基本政策委員会だろうが、国会が決めればどこでも出ていきます。国会との、いろいろな運営がありますから、これは各党各会派で議論して決めていただきたい、そう思います。
ハンセン病国家賠償請求訴訟についてのお尋ねがありました。
本日の判決でありますので、内容を詳しく検討し、今後の対応を検討していきたいと思っております。
なお、法的責任の有無とは別に、ハンセン病療養所入所者に対しては、らい予防法の廃止に関する法律等に基づき、入所者に対する医療、福祉等の措置を講ずるとともに、退所希望者に対する社会復帰準備支援事業等を行っておりまして、引き続き同法の趣旨に沿った措置を講じていきたいと思います。
補助金の一括交付及び所得税の移譲についての御提案ですが、私も、この問題については、地方分権にかかわる大きな問題であります。統合補助金の一層の拡充を図る等、積極的に見直しが必要だと思っていますし、また、地方税財源問題については、地方分権を積極的に推進するとの方針のもとに、今後の国、地方の行財政制度のあり方の見直し、これも構造改革の一環でありますので、大事な取り組むべき課題だと思っております。
道州制の導入ですが、これは、今急にということではありませんが、将来、広域的な行政を担う地方公共団体はどうあるべきかという中で必ず出てくる問題だと思います。私は、将来の問題として十分検討する価値のある問題だと思います。
重点的、戦略的に規制緩和を進め、雇用創出を図るべきではないかとのお尋ねであります。
競争力ある産業社会を実現するためには、新規産業や雇用の創出を促進するとともに、総合規制改革会議を有効に機能させ、経済社会の全般にわたる徹底的な規制改革を推進していきたいと思います。
また、さきに取りまとめられました緊急経済対策で挙げられておりますIT分野、医療システム、保育・介護分野、循環型社会の構築については、新市場開拓に資する規制・制度改革として速やかに実行に移していきたいと思います。
NPO法人に対する税制上の措置ですが、NPO法人の活動を支援するため、平成十三年度税制改正において、NPO法人のうち一定の要件を満たすものとして国税庁長官の認定を受けた法人に対する寄附について、寄附金控除等の税制上の優遇措置を講じたところであります。この制度の施行は本年十月であり、できるだけ多くのNPO法人にこの新たな制度を積極的に活用していただくことを期待しております。
個人保証の要らない事業者ローン、商住一体の町づくりなど、中小企業政策についてのお尋ねがありました。
融資に当たって経営者の個人保証をとるか否かは基本的には各金融機関の経営判断に基づくものでありますが、政府としては、金融機関が過度に担保等に依存せず、中小企業に対して信用力に応じた与信を行いやすくするため、信用リスク情報の整備などに取り組んでまいります。
また、商住一体の町づくりについては、中心市街地活性化法に基づき、人が住み、育ち、学び、働き、交流する生活空間としての中心市街地の活性化を図ることとしており、関係省庁が連携してその推進を図っているところであります。
今後とも、新しい成長分野の担い手であり、地域経済の活性化の牽引力でもある中小企業の元気が出るよう、中小企業政策の推進に努力してまいります。
下請法を改正すべきとの御質問ですが、下請法は親事業者が下請事業者に対して下請代金の支払い遅延、不当な買いたたき等の行為をすることを禁止しており、公正取引委員会及び中小企業庁において下請法違反に対して厳正に対処しているところです。経済情勢の変化等に応じ、法規定が妥当なものかどうかは常に検討していくべきと考えますが、下請事業者が親事業者から不当なしわ寄せを受けることがないように、今後とも下請法の厳正な運用に努めてまいりたいと思います。
農政の転換についてでありますが、安全で良質な食料を安定的に供給するため、食料自給率の向上を基本とし、重点的、効率的な農業生産基盤の整備に努める一方、意欲と能力のある農業者が創意工夫を生かした経営が展開できるよう、農林水産業の構造改革も進めてまいります。
さらに、環境と調和した農業生産を確保するため、農薬、肥料の適正な使用や有機物の循環利用の促進を図り、循環型社会の実現を目指していきたいと思います。
教育改革についてでありますが、森内閣においては、今国会を教育改革国会と位置づけ、本格的な教育改革に取り組んできたところであります。
私も、教育全般についてさまざまな問題が生じている今日、日本人としての誇りと自覚を持ち、新たなる国づくりを担う人材を育てるための教育改革に取り組むことは極めて重要と認識しております。私は、所信表明演説において米百俵の精神を述べましたが、この精神は教育においても重要な指針となるべきものと考えております。
教育改革を具体的に進めていくためには、知識に偏重した教育ではなく、バランスのとれた全人教育を推進するとともに、今国会に提出している教育改革関連法案の成立、また教育基本法の見直しなどに全力を挙げて取り組んでまいります。
教育基本法についてのお尋ねでありますが、さきの教育改革国民会議の最終報告においては、新しい時代の教育基本法を考える際の観点として、新しい時代を生きる日本人の育成、伝統、文化など次代に継承すべきものの尊重、教育振興基本計画の策定等を規定することの三点が示されたところであります。
私としては、教育基本法の見直しについては、教育改革国民会議の最終報告を踏まえ、中央教育審議会等で幅広く国民的な議論を深め、しっかりと取り組んで成果を得てまいりたいと考えます。
三十人学級などの少人数学級の実現についてですが、教職員定数の改善については、学級編制の標準を一律に引き下げるのではなく、子供たちの基礎学力の向上ときめ細かな指導のため、教科等に応じて、既に、二十人程度の少人数指導を行うなど、学校の主体的な取り組みを支援するという観点に立った新しい改善計画を今国会においてお認めいただき、平成十三年度からスタートいたしました。政府としては、この計画の着実な推進に努めてまいります。(発言する者多し)
国立大学のあり方についてでありますが、現在、政府は国立大学の独立行政法人化の問題について検討を進めておりますが、大学の教育研究の一層の活性化を目指し、競争原理の導入を含め、改革のためのいろいろな可能性を検討してまいりたいと思います。
なお、議員は思い切って国立大学の民営化を目指すべきだという御指摘でありますが、私はこれには賛成であります。国立大学でも民営化できるところは民営化する、地方に譲るべきものは地方に譲るという、こういう視点が大事だというように私は思っております。
産業競争力の強化に資する大学教育についてですが、我が国の国際競争力を高めるためにも大学の役割は極めて重要であります。このため、評価に基づく重点的予算配分など、各大学間の競争的環境を醸成するとともに、地域社会や産業界との連携、交流等を促進し、積極的に経済社会に貢献できる大学づくりを進めていきたいと思います。
病気の子供の看護休暇についてでありますが、仕事と子育ての両立ができますよう子供の看護休暇制度の導入を促進するため、現在の普及率が相当低いことを勘案し、今国会に提出している育児・介護休業法改正法案にこれを努力義務の形で盛り込んでおります。法が成立した暁には、この規定に基づいて、より多くの企業で制度が導入されるよう、啓発、指導を積極的に展開してまいります。
選択的別姓や嫡出でない子の相続分の問題についてですが、これらの問題は、婚姻制度や家族のあり方と関連する重要な問題でありまして、現在、国民の間でも意見が分かれております。国民各層の御意見を幅広く聞き、また、各方面における議論の推移を踏まえながら対処していく必要があるのではないかと考えます。
えひめ丸事故に対する政府の対応でございますが、本件事故についてはアメリカ政府はあらゆる面での責任を認めておりまして、また審問委員会における公開の審議を経て、今回の司令官による処罰によりワドル前艦長は有罪とされました。
この事故は極めて遺憾な事故でありまして、アメリカ側は既に航行への関与の制限を勧告する等、民間人乗船プログラムの見直しを指示しており、今後ともアメリカ側が再発防止に取り組んでいくことを強く期待しております。
また、アメリカ側が御家族の気持ちを重く受けとめ、えひめ丸の引き揚げ、補償等の残された重要な課題についても引き続き誠実に取り組むことを日本政府は求めていきたいと思います。
京都議定書に関するお尋ねですが、二〇〇二年までの京都議定書の発効を目指して、我が国は京都議定書を関係国が締結することが可能となるよう、七月のCOP6再開会合の成功に向けて全力を尽くしております。
その際には、地球規模での温室効果ガスの削減の実効性を確保するために米国が京都議定書を締結することが極めて重要であると考えておりますので、仮に米国が説得に応じない場合についての質問がありましたが、政府としては、まずは京都議定書の発効に向けた交渉に米国側が建設的に参加するよう、あらゆる機会を活用して働きかけていきたいと思います。
小泉内閣が新しい政治を目指すならば、野党の法案も何もかも葬り去るような考えは持つべきでないという御指摘ですが、そのとおりであると思います。内容が共鳴できれば、与野党の区別なく、野党も与党の法案に賛成していただきたいし、与党も野党の法案がよければ賛成する、これは一つのあるべき姿だと思いまして、今後とも与野党の建設的な議論を期待しております。
残余の質問については、関係大臣から答弁させます。
■森山眞弓法務大臣の答弁
小林議員から、特に私に対して選択的夫婦別姓についての御質問がございました。
価値観が多様化いたしました今日、自分がなれ親しんだ姓を結婚後もずっと持ち続けたいと思う人がふえていると思われます。また、少子化が進みまして一人っ子同士の結婚というのも少なくございませんし、そのような現実から、別姓を選びたいという男女、また選んでほしいという親御さんたちも少なくございません。
特に、女性が職業を持つことが普通になりまして、今の制度では、結婚届をいたしますと名前を変えなければならないことの多い女性が職業上不利をこうむるというのは大変困るというふうに私は思っております。私自身はそんな考えでありますので、希望する人が別姓を選択できる制度をつくることがよいというふうに考え、いろいろの場でそのような意見を表明してまいりました。
しかし、他方で、反対される方も少なくないということも承知しております。法務大臣の立場で法改正のアクションを起こしますことは、私の、個人ならそう思うというだけでは十分ではございません。それで、近く世論調査もいたしますし、関係方面での一層の議論を期待しておりますし、特に国会における議論が一層深められますことを願っている次第でございます。
そのような趣旨のことを先日の衆議院の本会議で御答弁申し上げたのでございまして、どうぞ御理解をいただきたいと存じます。(拍手)
■川口順子環境大臣の答弁
京都議定書につきまして、アメリカが不支持の表明をしたことについてのアメリカへの働きかけについての御質問がございました。
アメリカは、閣僚レベルで現在真剣に対応の議論をいたしておりまして、その結果を踏まえまして地球温暖化対策についてどのようなことができるか取り組む意向であるというふうに私は承知をいたしております。
私は、先般、米国を訪問いたしましたときに、我が国の強い懸念を伝えました。それから、国会の決議につきましてもきちんと説明をしてまいりました。米国は、日本の説得に対しましてそれに真摯に耳を傾け、日本の懸念については理解をしたというふうに言っておりました。
先ほど小林議員が説得に失敗をしたという言葉を使われたというふうに記憶をいたしておりますけれども、ひょっとして小林議員は、説得は一回で済むというお考えをお持ちでいらっしゃるのでしょうか。説得に対して直ちに結果が出ないからといって、これは失敗したとあきらめるべきものではなくて、何度も繰り返して説得をするというふうに私はするべきものだと考えております。
日本といたしましては、引き続きありとあらゆる場をとらえまして、他の国々と連携をいたしまして粘り強く米国に対しては説得をしていきたいというふうに考えております。
環境行政には大変に御造詣の深い小林議員でいらっしゃいますので、小林議員を初めといたしまして、参議院の議員の皆様方に引き続き米国への説得については御協力、御支援をいただければ私といたしましては大変に幸いでございます。
■小泉首相の補足答弁
答弁漏れがございましたので補足させていただきます。
ハンセン病元患者の皆さんたちが、今回の判決を受けて、ぜひ厚生大臣と総理大臣にお会いしたいという話でございますので、厚生大臣と相談して前向きに検討していきたい、そう思います。