2002/07/24

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平成十四年七月二十四日(水曜日)

達増委員 七月十九日の毎日新聞に、「小泉「有事」のつまずき」という解説記事が載っておりまして、引用いたしますと、
  米同時多発テロ、武装不審船事件が後押しした有事法制だが、肝心のテロ・不審船対策に直接触れた条文はない。
  小泉純一郎首相がこだわった「包括的対応」はなぜ抜け落ちたのか。
  与党内で有事法制論議がピークに達した一月二十八日。唐突に集団的自衛権問題を持ち出した山崎氏に、冬柴氏が強い嫌悪感を示した。
  公明党幹部が振り返る。「有事の対象を広げることで集団的自衛権の問題が対立軸になり、ひょっとしたらそこから政界再編ということになりかねない。そうさせないためにも対象を限定した方がいいと思った」
  旧ソ連の侵攻という冷戦型の思考を色濃く残した法体系には、安全保障論議とは別の思惑が込められていた。
昨年九月十一日のテロ以来、グローバルに世界じゅうでテロとの闘いということが主要な課題になっている今日、テロあるいはテロとの闘いということを捨象した有事論議というのは、かえって現実逃避になってしまうのではないかと心配いたします。
 そこで、まず自由党案提出者に質問しますが、自由党提出、非常事態対処基本法案は、テロや武装不審船の問題も対象としているのでしょうか。
中塚議員 お答えいたします。
 私ども自由党が提案しております非常事態基本法において言うところの非常事態というのは、他国からの武力攻撃や大規模テロ、原発事故、エネルギー危機、大規模自然災害など多種多様な形態を想定いたしておりますが、こうした事態が発生したことにより、国民の生命、身体もしくは財産に重大な被害が生じる、そしてまた生じるおそれがある、または、国民生活との関連性が高い物資もしくは国民経済上重要な物資が欠乏し、その結果、国民生活及び国民経済に極めて重大な影響が及ぶおそれが生じ、通常の危機管理体制によっては適切に対処することが困難な事態をいうものというふうにしております。
 今お話のありました、テロとか武装不審船による攻撃というものがあって、それが今申し上げたような事態に当てはまるのであれば、私ども自由党提案の非常事態の布告というものが発せられることになります。非常事態対処基本法案に言う非常事態は、通常の体制では対処できないほどの事態を念頭に置いているわけですけれども、テロや不審船事案がそれに当てはまらないような場合であったとしても、今同時に提出いたしております安全保障基本法に示された原則に基づいて、適切に対処ができるということにいたしております。
達増委員 そこで、政府案、武力攻撃事態安全確保法案について伺いますけれども、小泉総理が、今国会の施政方針演説の中で、はっきり、有事関連法案を今国会に提出しますと約束していたわけですが、その演説の前のところを読んでみますと、「テロや武装不審船の問題は、国民の生命に危害を及ぼし得る勢力が存在することを、改めて明らかにしました。備えあれば憂いなし。平素から、日本国憲法のもと、国の独立と主権、国民の安全を確保するため、必要な体制を整えておくことは、国としての責務です。」云々。
 そこで、「有事への対応に関する法制について取りまとめを急ぎ、」そこのところ、「与党とも緊密に連携しつつ、」と書いてありますね。与党というのは内閣を構成している党でありますから、内閣としての施政方針演説の中で、あえて与党とも緊密に連携しつつと言う必要はないのでありますけれども、なぜか二月四日に行われた演説でありますが、「与党とも緊密に連携しつつ、有事への対応に関する法制について取りまとめを急ぎ、関連法案を今国会に提出します。」というふうに書いてあります。若干、後半、与党次第でちょっと変わるかもみたいなニュアンスも残してはいるんですけれども。
 まず、やはりテロや武装不審船の問題があるからこそ、備えあれば憂いなしということで、有事法制をつくるんだと約束したのだと思いますけれども、政府、この点はいかがでしょうか。
福田国務大臣 国家の緊急事態に対する対処というものは、独立国家として当然の、また最も重要な責任でございます。政府といたしましては、昨年の米国の同時多発テロ、また武装不審船事案などを踏まえまして、いかなる事態にもすき間なく対応できる安全な国づくりを進めていくというように考えておるところでございます。
 その取り組みの一環として、武力攻撃事態という国及び国民の安全にとって最も緊急、かつ重大な事態への対処を中心に、国全体としての基本的な危機管理体制の整備を図るために、武力攻撃事態対処関連三法案を提出させていただいたところでございます。
 武力攻撃事態以外の御指摘のような緊急事態への対処につきましては、武力攻撃事態対処法案、この法案におきまして、これを迅速かつ的確に実施するための必要な施策を講ずる旨、規定をいたしております。
 また、テロや不審船など武力攻撃事態以外の緊急事態につきましては、これまで警察、海上保安関係法、自衛隊法、災害対策基本法などによって体制を整えてきておりますが、今後ともこれを一層改善強化するための措置を講じてまいりたい、このように考えております。
達増委員 テロとの闘いということに関連して、やはり今国会の中で、この問題についても質問しないでおくわけにはいかないと思いますので伺いますが、アメリカのイラク攻撃についてであります。
 今、世界じゅうの外交関係者、防衛関係者、あるいは情報関係者の最大の関心は、いつアメリカがイラクを攻撃するかということだと思います。これは国際的なビジネスマンも関心を持って見ているところだと思います。まさに、今そこにある危機として、最大の有事の可能性、それがアメリカのイラク攻撃だと思います。これは、日本政府に、実際攻撃があるかどうかということは聞きません。日本政府がやる話ではなく、アメリカ政府がやる話であります。
 アメリカ政府を見ておりますと、事あるたびにイラク攻撃の可能性を示唆しているわけでありますし、また、アメリカの議会においても、イラク攻撃に反対する人はいないというふうに聞いております。そういう意味では、非常に時間の問題と言ってもいいことで、そういう危機の可能性に、日本政府としていかに備えるかという観点から質問をいたしますけれども、我が国として、アメリカのイラク攻撃に備えた準備は今どのようにしているのでありましょうか。これは内閣への質問です。
    〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕
福田国務大臣 イラク攻撃という、その可能性があるという前提に立ってお尋ねだろうと思います。米国によるイラク攻撃の可能性は、さまざまな情報、また報道等があることは、これはもう承知しておりますけれども、米国政府は、すべての選択肢を排除しないというように言いつつも、外交的努力を続けるということは表明しておるわけでございまして、そういうような時点において、米国がイラクを攻撃することを前提とした御質問、これにはお答えするのは適当でないというように今考えております。
達増委員 では、自由党案提出者に質問をしますけれども、自由党提出、安全保障基本法案と非常事態対処基本法案が成立した場合に、アメリカの対イラク攻撃に備え、日本政府はどのような準備をすることになりましょうか。
東(祥)議員 まず、一般論で申し上げれば、外交が破綻したときに武力の紛争が起こる。外交上、今現在どういう展開がされているかといえば、達増議員御案内のとおり、国連とイラクとの間で話し合いが持たれている。それは何を前提にして議論されているかといえば、御案内のとおり、世界を変えたあの湾岸戦争といいますか、一九九一年四月三日に、いわゆる停戦協定が結ばれる前提として、イラクが大量破壊兵器の廃棄に関する国連とIAEAの査察の無条件受け入れ、これを現在やっていないというところに最大のポイントがあるんだろうと思います。一九九八年に米軍が空爆をしたというのも、その絡みの中で起こってきているものであって、イラクがこの査察受け入れを無条件でやっていくならば、回避される可能性があるかわかりませんけれども、それが極めて硬直した状況になっている。いや、そうであったとしても、それをさらに続けていけと、こういう流れの中で、今、達増議員が議論されたポイントが出てくるんだろうと思います。
 しかし、外交上もし破綻した場合、アメリカがイラクを攻撃するかどうか。これは日本が判断することはできないわけでありますが、当然日本としてもその問題に対して常日ごろ考えておかなければならないというふうに思います。
 その上で、仮にアメリカがイラクを攻撃した場合、我が国としていかなる対応をとるべきか、平素より準備をしておくことは当たり前のことなんだろうと思います。
 事態が発生した場合、その攻撃の態様、我が国への影響等を慎重に見きわめなければならないわけでありますが、仮に、安全保障基本法第三条の事態、すなわち「我が国に対して直接の武力攻撃があった場合及び我が国周辺の地域においてそのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれがある事態」に至れば、「自衛権の発動としての武力の行使」を行い、適切に対処することは当然であるということが導き出されると思います。
 一方、アメリカがイラク攻撃を行った場合、当該攻撃の態様によっては、非常事態対処基本法案に言う非常事態に該当するような場合もあると考えられます。例えば、直接攻撃ではなくても、原油価格の暴騰、石油等一次エネルギー供給の途絶などの事態が発生した場合、当然非常事態になり得ることから、法案第四条に基づいて、政府は当該事態の発生に備えて、あらかじめ、実際に事態が発生した場合の政府として迅速かつ適切に講ずべき措置等について、基本方針において定めておくことになります。
 なお、米国によるイラクの攻撃が、米国がタリバンを攻撃したときと同じように個別的自衛権の行使を根拠に行うのであれば、安全保障基本法に基づく軍事行動の対象外でありまして、我が国として軍事的に参加することはない。一方、イラクがテロ支援国家であるとの明確な根拠があり、国際社会が国連の決定により平和のための行動を一致してとるということになるならば、我が国は安全保障基本法第七条第一項の規定に基づいて、これに積極的に参加協力することになるわけであります。
 いずれにいたしましても、イラク問題解決に当たっては、極力国連の枠組みを活用するよう米国に対して我が国として働きかけていくことが我が国のとるべき道だ、このように考えております。
達増委員 やはり、有事の際の日本政府としての行動の基本原則というものをふだんから明らかにして、それを根拠に、国連中心の外交をアメリカにも強く勧める等の、事前の外交の基本的な進め方というのが出てくるでありましょうし、また平素からの非常事態への備え、石油の備蓄についてはアメリカでもそろそろ取りかかっているということも聞きますので、そういったことを日本政府もきちんとやっていかなければならないんだと思います。
 さて、このアメリカのイラク攻撃が、政府が今回提出している法案と関係する場合があるのかということについて、内閣に質問します。
 アメリカのイラク攻撃によりまして、イラクあるいはイラクと連携する国でありますとかテロリストが日本国内の米軍施設を武力攻撃する、そのおそれが発生したり、あるいは攻撃が予測されたりする場合があり得るのではないかと思うんですが、その場合には、この法案にあります武力攻撃事態ということになるのでありましょうか。
中谷国務大臣 米国によるイラク攻撃の可能性については、いろいろな報道があると承知しておりますが、米国政府は、すべての選択肢を排除しないとしつつ、外交的努力を続けている段階でございまして、その旨も表明しておりまして、米国がイラクを攻撃することを前提とした御質問にお答えすることは適当でないと考えます。
 また、今回出した武力攻撃事態に関する法案につきましては、我が国に対する武力攻撃の定義に従って運用されるものでございまして、それに該当するかどうかで判断するわけでございます。
達増委員 アメリカのイラク攻撃というのは、アメリカ政府の説明では、それはテロとの闘いの一環であって、テロリストを支援する国、アフガニスタンのタリバン政権が典型だったんですが、そういう直接の支援でありますとか、あるいはテロリストに大量破壊兵器を供与する可能性のある国、そういったところについても、武力攻撃を選択肢の中に入れている。
 テロとの闘いの一環としてのアメリカのイラク攻撃ということを考えれば、実は、小泉総理は機会あるごとに、テロとの闘いということについては、主体的に取り組んでいくということを述べているわけです。先ほど引用した今国会での施政方針演説においても、
 文明社会に対する重大な挑戦であるテロとの闘いは、国民の安全を確保するための我が国自身の問題であり、その防止、根絶に向け、国際的連帯のもと、主体的に取り組まなければなりません。我が国は、既に、米軍の活動に対する協力支援活動や被災民救援活動などを行っています。
これがテロとの闘いに関する我が国としての基本方針であるとすれば、アメリカのイラク攻撃においても、この方針に基づいて、またテロ特措法のような何か新法をつくって、対米協力支援をやるという展開になるんでしょうか。
福田国務大臣 先ほど申しましたように、イラクという国名を挙げて、そのイラクを米国が攻撃するという前提の御質問にはお答えしにくいのでありますけれども、そもそもテロ対策特措法に基づく活動というものは、これは、昨年九月十一日のテロ攻撃によってもたらされている脅威の除去に努める、そのことによって国連憲章の目的の達成に寄与する諸外国の軍隊等に対して行うものであり、ということでございまして、今後の協力支援活動のあり方などについては、この原則に基づいて我が国として主体的に判断をしていく、こういうことになるわけであります。
達増委員 アメリカはアメリカとして、テロとの闘いというものの中身を、それこそ主体的に決めていろいろやっているわけでありまして、日本は日本で、憲法の原理から導かれる基本原則というもの、国益にも照らしてきちんと定めてやっていかなければならないということを指摘したいと思います。
 さて、前回、自由党案の非常事態対処基本法案、この第五条で、国会の議決によって非常事態の布告を廃止できるようにしてある、これについて政府案の方では、国会が、有事がスタートした後、内閣総理大臣の暴走をとめるそういうメカニズムはないが、自由党案にはあるというところを指摘しましたが、時間が足りなくて、余りそこのところをきちんと質問できませんでしたので、改めて自由党提案者に質問します。
 国会の議決によって、一たん内閣が行った非常事態の布告を国会の議決で廃止できるようにしたのは、これはなぜでしょう。
    〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕
中塚議員 お答えいたします。
 非常事態は限界事例で、内閣総理大臣、行政の最高責任者に強い権限が集まり、リーダーシップを発揮してもらわなければいけないということになりますけれども、ただ、そういう限界事例であっても、日本国憲法の持っている基本理念というものはやはりあくまでも守られなければいけないというふうに考えておりまして、その一つの中に国民主権ということがあると私どもは考えております。その国民主権というのは、やはり国民の代表、全国民の代表である国会議員が構成をしている、この国権の最高機関である国会ということになります。したがいまして、非常事態の布告が国会によって承認された後であっても、国会が廃止を議決した場合には直ちに布告を廃止しなければならない、そういうふうな、今の憲法の理念を尊重するというふうな考え方からこの条文を盛り込んだところであります。
達増委員 憲法上、国会は国権の最高機関と定められているわけでありまして、有事においても、その国権の最高機関にふさわしい役割を果たせるようなものでないと有事法制にはならないということを述べまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
瓦委員長 次に、木島日出夫君。
木島委員 日本共産党の木島日出夫です。
 五月二十日以来二カ月ぶりでありますが、有事関連三法案について質問をいたします。
 まず、武力攻撃事態と周辺事態の併存の問題であります。
 質疑でも明らかですが、政府は、ある一定の状況が、武力攻撃事態、恐らくこれは武力攻撃が予測される事態、おそれある事態ということなんでしょうが、武力攻撃事態でもあり、かつ周辺事態でもある、重なり合う、併存する事態が存在することを認めております。
 そこで、お聞きします。このような場合に、政府は、武力攻撃事態法に基づく対処基本方針の策定、国会承認、及び周辺事態法に基づく対応措置基本計画の策定、国会報告、この法的効果の全く異なる二つの方針、計画を同時に持つんでしょうか。どちらか一つを選択しなければならないんでしょうか。状況に応じて、二つ同時に持ってもいいし、一つを選択してもいい、そういう選択肢が政府に与えられるんでしょうか。根本の問題をお聞きします。
中谷国務大臣 御質問にありましたとおり、武力攻撃事態及び周辺事態は、それぞれ別個の法律上の判断に基づくものでございまして、状況によっては両者が併存することはあり得ると考えられます。
 周辺事態への対応としての米軍支援は周辺事態安全確保法により、また武力攻撃事態への対応としての米軍支援は今後整備される新たな米軍支援法制に基づき、それぞれ実施されることになります。
 武力攻撃事態対処法第九条では、武力攻撃事態に至ったときに対処基本方針を定めるものとする旨定めておりまして、また、周辺事態安全確保法第四条では、周辺事態に際して後方地域支援等を行うことが必要な場合に基本計画を決定することを定めております。
 両者が併存する場合においては、それぞれの法律に基づいて対処基本方針と基本計画が定められ、個々の措置はいずれかに基づいて行われることとなるわけでございます。
木島委員 ある一つの状況が、周辺事態法という眼鏡から見るとこれに該当する。そうしますと、周辺事態法に基づく対応基本計画を策定し、国会報告して、それに基づいて動く。同じ状況が、武力攻撃事態法という眼鏡を通しますとこれが適用になり、対処基本方針を策定し、国会承認を得る。
 では、聞きます。二つの方針と計画、これを同時に政府が持った場合、我が国領域の外で米軍に対する武器弾薬、物資等の輸送活動をしている自衛隊の部隊の近傍で戦闘行為が行われるに至った場合、自衛隊はどうするんでしょうか。
中谷国務大臣 御質問のとおり、周辺事態安全確保法に基づく我が国の領域外での自衛隊の部隊による米軍支援は、主として輸送のみでございます。
 周辺事態安全確保法に基づく我が国領域外での自衛隊の部隊による米軍支援については、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる我が国周辺の公海及びその上空において行われることとされておりまして、万が一、近傍において戦闘行為が行われるに至った場合や付近の状況に照らして戦闘行為が行われることが予測される場合においては、当該自衛隊の部隊の活動の一時休止、避難等の措置をとることとなります。
 他方、武力攻撃事態への対応としての米軍支援については、今後整備される新たな米軍支援法制に基づき実施されることとなりますが、当該法制の内容については、現在、いまだ具体的に固まっているわけではございません。
 しかしながら、武力攻撃事態に対応して防衛出動が命ぜられて活動している自衛隊の部隊が、自衛権発動の三要件を満たす限りにおいては、武力を行使することが可能であるのは当然のことでございます。
木島委員 武力攻撃事態法に基づいて、今私が質問したような状況が設定される、そういう場合にどうするかは今後つくられる法制で決まるんだとおっしゃっていますが、この武力攻撃事態法の中に、既に定義の部分の「対処措置」の中にも、あるいは第三条の「武力攻撃事態への対処に関する基本理念」の中でも、特に二項、三項で明確に規定されているじゃないですか。白紙じゃないです。
 今、答弁にもありました。周辺事態法が適用された場合には、その輸送活動をしている自衛隊の部隊の近傍で戦闘行為が行われるに至った場合は、活動を一時休止または中断するということが明白に法律の中に書き込まれております。一方、武力攻撃事態法では、武力攻撃の発生を回避する、武力攻撃が発生した場合はそれを排除する行動をとらなきゃならぬわけであります。要するに、立ち向かわなきゃならぬわけです。
 同じ一定の局面ですよ。二つの計画が策定されている。周辺事態法では、もう行動はストップ、そういう危ないところでは行動できないという立場ですからね。そして、撤収して、中断して、もう撤退してくれというのを待つわけです。政府のそういう命令を待つわけです。武力攻撃事態の場合は、相手が攻めてくる、立ち向かって撃沈しなきゃいかぬ、撃墜しなきゃならぬ。方向が全く違う。こんな二つの法体制は両立するんですか。どうなるんですか。本当にどうなるんですか、この二つの法体制は。
中谷国務大臣 これはおのおのの法律に従って対応するわけでございますが、周辺事態への対応としての米軍支援は周辺事態安全確保法により、また武力攻撃事態への対応としての米軍支援は今後整備される新たな米軍支援法制に基づいて、それぞれ実施されることになりますが、新たな法制の整備に際しまして、当該法制に基づく支援対象となる米軍の行動の目的を適切に規定することによりまして、当該法制と周辺事態安全確保法のおのおのに基づき、対米支援を区別して行い得るようにすることは十分可能であると考えております。
 なお、いかなる支援も憲法の範囲内で行われることは当然でございますし、このような法的枠組みを前提として、自衛隊の部隊はおのおのの法律に基づく対米支援を明確に区分して命ぜられることとなることから、自衛隊の部隊が混乱するのではないかという御指摘は当たらないと考えております。
木島委員 二つの法律に基づいてそれぞれ実施される、区別して行うことは可能だとおっしゃいます。皆さんのホームページにもそんなことが書かれております。しかし、そんなことは不可能じゃないですか。
 ある局面を設定しますよ。朝鮮半島で有事があった。米軍が相手国と交戦に入った。周辺事態だ。そして、自衛隊が米軍に対して武器弾薬を日本海において輸送している。同じ事態が、これは今度皆さんが出した武力攻撃事態法も適用される、我が国が危ないと認定できる。そうしたら、周辺事態法適用なら、その近傍でもし戦闘行動が起こったら、もっと具体的に私質問しましたが、相手国から輸送中の自衛艦隊に対して攻撃が開始されなんとしたら撤退してくる。やめるんですよ、周辺事態法は。武力攻撃事態法は、撤退しちゃいかぬのですよ。反撃しなきゃいかぬのですよ。相手の攻撃を排除しなきゃいかぬのですよ。(発言する者あり)ですから、そういう場合ですよ。ですから、矛盾するじゃないですか。
 同一の局面ですよ、それは。同一の局面で二つの法体制が違う。区分できやしないじゃないですか。それぞれ実施なんて答弁、ごまかしですよ。どうですか。併存と言っているじゃないですか。
中谷国務大臣 併存する場合におきましても、武力攻撃事態におきましては、予測される事態、またおそれの事態、または武力攻撃があった場合ということで段階的に行動が違ってくるわけでございまして、我が国に対する武力攻撃があるか否か、またそれに対する状況であるかどうかを政府も判断をし、また国会にもお諮りをして行動することになっておりまして、明確に区別が可能であると考えております。
木島委員 可能じゃないんですよ。だから、私が冒頭、五月八日にここで質問したんですよ。周辺事態法で自衛隊が出ていく、戦争中の米軍に武器弾薬の輸送をする、給油をする、その自衛艦船が相手から攻撃されたらどうなるんですか、これは「我が国」ですかと。きょうも民主党さんが質問しておりました。私は五月八日にやりました。排除されないという官房長官の答弁、明確にあるんですね。まさに、日本海でそういう事態が起こってそういう行動をした自衛隊に対して相手国から攻撃が開始されようとしたら武力攻撃事態じゃないですか、定義上。明白じゃないですか。その定義についてきょうは言いませんよ。こんなのは両立できないんです。そんなごまかしの答弁しか今できないということは、いかにこの法案が自己矛盾に陥っているかということを証明しているものだと思います。
 元防衛局長として周辺事態法の策定に中心的に携わったのは秋山昌廣氏です。台湾疑惑で当委員会にも参考人としておいでになりました。彼が最近発売しました著書に「日米の戦略対話が始まった」という本がございます。そこで、彼は、ガイドライン策定からずっと周辺事態法策定に防衛庁の中心的幹部として携わった当事者であります。なぜ周辺事態法であのような後方地域支援の限定をつけたか詳しく書いておるのです。周辺事態法において「なぜこのように後方地域での支援に限定したかは、憲法との関係で、米軍の武力行使と一体と見なされる行為が日本側でなされることを回避しようとしたからである。」、明確に書いてあるんです。憲法九条の、もっと具体的な言葉で言うと、集団的自衛権になってしまうから一線を画して、活動を中断し撤収してくるんだということを周辺事態法では書き込んだ。
 しかし、この武力攻撃事態法ではそうじゃないんですね。同じ事態でも武力攻撃事態法に認定されれば、三条の二項、三項の基本理念のところにも明記されておりますが、逃げてきちゃいかぬのですよ。立ち向かい反撃せにゃいかぬのですよ。本土は攻撃されていないんですよ。本土、北海道、沖縄までは全然空爆されていない、攻撃されていないんですよ、米軍支援のために出ていっている軍艦だけが攻撃された場合ですよ。立ち向かうんですよ。そういう答弁でしょう。
 これは、秋山さんの言葉をかりれば、まさに憲法九条を踏み越えてしまった、できない集団的自衛権の行使に突き進むということになるんじゃないですか。周辺事態法では、そこが危ないから法律上もしっかり一項目書きました。我々は、あのとき、一体化するんじゃないか、前方と後方とは区別できないじゃないかと大論争しましたよ。しかし、皆さん方は一線を画しましたよ。今度は一線を乗り越えた。憲法解釈を政府は変えたんですか。答弁してください。
中谷国務大臣 いささかも解釈は変えておりません。
 すなわち、日本が武力攻撃を受けていない段階におきましては集団的自衛権は行使しないわけでございまして、周辺事態の場合におきましては、そのような戦闘行為が行われるに至った場合や付近の状況に照らして戦闘行為が行われることが予想される場合におきましては、活動の一時休止、避難によって危険を回避しつつ、活動の中断を待つものでありまして、我が国の領域外で後方地域支援を行う自衛隊の部隊に対する武力攻撃が発生するということは想定されずに、これらの自衛隊の部隊が武力を行使することも想定をされません。
 しかしながら、我が国に武力攻撃があった場合におきましては、これは、武力攻撃事態に対応して防衛出動を命ぜられて活動している自衛隊の部隊が、自衛権の発動の三要件を満たす限りにおいては武力を行使することが可能でありまして、この場合につきましては我が国の自衛権に基づく活動でございまして、明確に区別はできるわけでございます。
木島委員 へ理屈と言うんですよ、そういうのを。三要件が該当する場合なんて当然の前提で私は質問しているんですよ。あなた方の法案、周辺事態法をつくった当事者が、憲法上できない、周辺事態法は一線を画したんだと。今度の法案はそれを乗り越えてしまっている。私は、もう明白に、あなた方の論理からいっても違憲立法だ、こんなものは廃案以外にないということをまず一つ主張しておきます。
 時間が迫っておりますが、短い時間で次に、武力攻撃事態における国民の自由と権利の制限の問題についてお聞きします。
 自衛隊法百二十五条が今度新設される。そうしますと、百三条一項、二項の取扱物資の保管命令に違反して、物資の生産、集荷、販売、配給、保管、輸送を業とする者がこれを隠匿、毀棄、搬出した場合、六月以下の懲役または三十万円以下の罰金刑が科されます。民間人に対して初めて罰則をもって戦争協力を強制しようとするものであります。戦争放棄をうたった我が憲法九条のもとで、このような強制が許される憲法上の根拠は何でしょうか。端的に答弁願います。
中谷国務大臣 お尋ねは、取扱物資の保管命令に関する罰則についてでありますが、我が国が武力攻撃を受けているような緊急事態において、取扱物資の保管命令に違反して保管物資を隠匿、毀棄または搬出して、自衛隊の任務遂行に必要な物資を確保することを積極的に妨害するというような行為が行われた場合に科することといたしております。
 この罰則規定については、外部からの武力攻撃に際し、国及び国民の安全を保つという高度の公共の福祉の要請に基づくものでありまして、また、命令違反のうち、取扱物資を隠匿、毀棄または搬出し、自衛隊の任務遂行に必要な物資を確保することを積極的に妨害するという行為に限って処罰するという必要最小限のものとなっていることから、憲法上特段の問題を生ずることはないと考えております。
木島委員 憲法何条なのかという根拠を言えないんですか。高度の公共の福祉という言葉だけが憲法上の言葉ですな。公共の福祉、恐らく十三条を言うんでしょう。
 では、聞きますよ。今回の自衛隊法改正では、物資保管命令のみ罰則で強制しております。しかし、今度の自衛隊法改正では、都道府県知事が公用令書で強制できる行為は物資保管命令だけではありません。私が調べたら主に五つある。今罰則で強制しようとする物資保管命令がその一つ。それから施設の管理もそうです。土地等の使用もそうです。物資の収用もそうです。業務従事命令もそうです。
 では、ここを聞きますよ。よく聞いてください。
 今回の自衛隊法改正で、これらの幾つかの国民に対する強制、国民の権利の剥奪、制限の中から物資保管命令のみえりすぐって罰則で強制した、そして、業務従事命令、施設の管理、土地等の使用、物資の収用等は罰則で強制しなかった。このように二つに大きく切り分けてしまった。切り分けることができる憲法上の根拠はどこにあるのか、端的に答弁してください。憲法上の根拠を聞いています。憲法上の根拠を言えますか。
中谷国務大臣 保管命令につきましては、先ほどお話ししたとおり、公共の福祉ということで、自衛隊の任務遂行に必要な物資を保管することを積極的に妨害するような行為が行われた場合には、自衛隊の任務遂行に多大な支障を生じるおそれがあるため、このような行為を行った者に対して刑罰を科しているわけでございます。
 業務従事命令につきましては、そもそもこれは専門的な医療とか土木建築工事とか輸送を業とする者に発するものでありますが、このような業務は、当該業者の専門的な知識、経験、能力を用いて能動的かつ主体的に行われることが必要なものでありまして、我が国が武力攻撃を受けているような事態において、自発的かつ積極的に協力していただくということが基本でございまして、刑罰をもって強制的に業務に従事していただいたとしても十分な命令の効果が期待できないということと、積極的な協力の意思のない者が業務に従事する場合には、かえって自衛隊の任務遂行に支障を及ぼしかねないということがありますので、違反した者に対しては刑罰を科さないということにしたものでございます。
 以上のような理由によりまして、物資の保管命令については罰則を設けたのに対して、業務従事命令については罰則を設けなかったところでありますが、このような合理的な差異を法律上設けたとしても、憲法上特段の問題を生ずることがないと考えて、このようにいたしました。
木島委員 時間のようですから、もう結論だけにします。
 要するに、答弁になっていませんね。今言った答弁は、要するに憲法上制限される権利の性質が何で違うか、答弁できていないんです。たまたま物資の保管命令と業務従事命令を、片や罰則で強制した、片や罰則で強制しない、それは罰則の現実的効果の違いを言っただけなんですよ。
 しかし、きょう皆さんから出され、先ほど官房長官が説明した「武力攻撃事態における憲法で保障している国民の自由と権利の制限について」、あなた方はこう言っているじゃないですか。「制限される権利の内容、性質、制限の程度等と権利を制限することによって達成しようとする公益の内容、程度、緊急性等を総合的に勘案して」定めるんだ、ここに分水嶺を設けているんだと。今答弁できていないじゃないですか。なぜ片や罰則で強制しなきゃならぬのか……
瓦委員長 木島君、時間が参っております。
木島委員 片や罰則で強制できないのか、憲法上の根拠は全然答弁できないんですね。しかも、私が最初の質問で明らかにしたように、この強制というのは、決して本土有事じゃない、そういう場合だけじゃない、海外有事ですよ。
瓦委員長 時間が参っております。
木島委員 海外有事で自衛隊行動中にこういう法案が出てくる。私は、そんな場合に発せられる民間業者に対する物資保管命令だけを特別に罰則で強制する憲法上の根拠は、全くあなた方は説明できていない。こういう場合、こういう強制をする公共の福祉など、我が国憲法は全く認めていない、そもそも、こんな戦争協力のための権利制限など認められていないということを申し上げまして、もうこの法案は……
瓦委員長 もう時間が来ております。
木島委員 その側面からも廃案しかないということを重ねて申し上げまして、質問を終わります。
瓦委員長 次に、今川正美君。
今川委員 社会民主党の今川正美です。
 この有事法制に関する議論も、今国会ではこの特別委員会で最後の質疑になるのかなと思いますので、この間の経緯を改めて振り返りながら、少し私の意見を申し上げたいと思います。
 今国会の、今回の有事法制三法案は、歴代内閣の中でもいわばタブーとされながら、一つには、アーミテージ・レポートによる外圧もありましたけれども、いま一つは、一年前の八割を超えるような小泉人気に便乗した、言ってみればバーゲン法案だというふうに言えるんだろうと思います。
 本来でしたら、徹底した審議でこの法案の具体的な問題点を一つ一つ指摘していきたかったのです。しかし、肝心のこの特別委員会では、例の鈴木宗男議員の疑惑問題だとか、あるいは内閣官房の官房長官なり副長官による例の非核三原則見直し、核武装の発言、あるいは例の防衛庁個人情報リスト問題など、次々にそうした大きな問題が出てきたものですから、いわば政府や与党が再三にわたってこの特別委員会の審議を空転させたんだというふうに思います。しかも、有事法制の主管官庁である内閣官房と防衛庁がこうしたありさまですから、まともな審議なんかできるはずがなかったんです。
 それにしても、随分ひどいインチキ法案だったと私は思います。
 第一に、アジア諸国との外交や経済関係がどうしたら破綻して軍事対応となるのか、そうした議論が全くありませんでした。いきなりミサイル攻撃にどう対応するかといったような、いわば軍事オタク的な議論に終始したのじゃないのか。
 第二に、我が国に対する武力攻撃事態という定義や概念についての閣僚答弁が支離滅裂で、法案のいいかげんさを象徴していたように思います。
 第三に、事態の認定が、実は米太平洋軍であって、日米合同軍の指揮権を米軍が握ることは軍事上の常識であり、日本の主体性やシビリアンコントロールは確保されないにもかかわらず、こうした肝心な点が不問に付されたと思います。
 第四に、肝心の国民の保護法制、つまり、人権や財産をどの程度侵害するのか、あるいは民間防衛、すなわち地域社会レベルの戦争協力体制をいかに築くかという個別法などは、二年以内に先送りをされるという事実上の白紙委任の仕組みとなっていること。
 そもそも、日本は有事に備えようのない地理的条件や現実があると思います。例えば、戦闘機や軍艦に不可欠の原油の九割以上は中東に依存している、あるいは食料の自給率は四割、原発や化学コンビナート地帯がひしめく我が国土は、現代戦では守りようがないと思います。
 また一方、日本を攻撃し、あるいは支配する能力を有するのは、この周辺国、アジアの国々にはないと思うんです。半世紀前、アジア諸国をじゅうりんした日本がこれほど平和で豊かさを享受できるのは、何よりも戦争放棄をうたう憲法と、それからアジアに対する経済協力、経済援助があったからこそだと思うんです。
 そういった意味で、有事法制は、こうしたアジアとの外交や経済を通した信頼関係を損なうものであって、まさに有害無益、防衛庁内部にも声があると聞いておりますけれども、廃案にした方がいいというわけですから、ここは潔く廃案にされるべし、このことを申し上げておきたいと思います。
 そこで、実は日本や周辺に有事があるというのではなくて、むしろ今、陸海空三自衛隊、約二十三万六千人に及ぶ自衛隊組織の中にこそ有事がある、私はそう思います。最近の例では、先般の海上自衛隊横須賀での護衛艦の中での相次ぐ放火事件、それから私の地元、陸上自衛隊相浦駐屯地の中での自殺事件です。
 きょうは時間があと十五分ほどしかありませんので、端的に防衛庁長官にお尋ねをしたいと思います。
 私は、この日曜日に相浦に行きまして調査をしてまいりました。陸上自衛隊西部方面普通科連隊の三人の自衛官の自殺事件についてであります。
 まず第一点、私は先週、社民党の調査団を入れるに当たって、マスコミも同行取材をしたいということでありましたので、都合二十五名の記者団の名簿をつくりまして、あらかじめ防衛庁内局にお示しをしましたが、当日、相浦に行ってみますと、ゲートのところでいわゆる頭撮りはさせましたが、後は控室で待機してほしい、こういうことで、結果としては同行取材ができませんでした。
 私は、少なくとも人事第一課長とは、先週の金曜日に、ゲートの前での頭撮り、それから実情調査をしているときには控えておってほしい、その後、訓練をしている場所などを視察するときには、支障がない限り、ぜひテレビカメラを入れさせてほしいということで了解をし合っていたんです。なぜこういう報道規制をしたのか。
 それと、もう一点は、先月の三十日にTBSが、佐世保にことし三月末に新設をされた普通科連隊、通称特殊部隊と言ってもいいと思うのですが、この特集報道を組んだのですけれども、これも、六月三十日に報道する以外は報道を差し控えるようにというふうな報道規制をなぜなさったのか。この点をまずお聞きしたいと思います。
宇田川政府参考人 委員の御質問がございました前者の、今川先生以下の相浦駐屯地の訪問の件でございます。
 七月二十二日の、今川先生の西部方面普通科連隊視察に際しての同行取材に関してでありますが、当初、今川先生から内局人事一課長に対しまして、訓練場の視察時等に同行取材の申し入れがございました。
 当方からは、連続して三人亡くなっておりますので、心理的に動揺するおそれがあるという隊員の心情も勘案しまして、同部隊の駐屯地訪問は取りやめていただくよう申し上げたところでありますが、今川委員の強い御要望もありましたので、同部隊の駐屯地訪問は受け入れたところでございます。その後、報道機関が現地部隊の取材を行う場合には、報道各社ごとに現地部隊に直接取材申し込みを行ってもらいたいというような考えがございますので、今川議員の事務所に対してその旨を連絡したところであります。
 なお、現地部隊におきましては、私ども当初申し上げましたように、隊員が心理的に動揺するおそれがあるということから、取材を希望する報道各社からの取材の申し込みについてはお断りしました。今川委員は、訓練施設の視察についての同行取材は認められていると考えておられたようでございますが、現地部隊では報道各社からの取材申し込みをお断りしておりまして、行き違いが生じております。
 今後、このようなことのないように注意してまいりたいと思っております。
今川委員 わかりました。
 だから、私も、御遺族のお気持ちを考えて、例えば駐屯地の中で、実は屋外の射撃場で、非常に悲痛なことですけれども、首をつって自殺をされた、その現場はやはりテレビカメラなどは避けるべし、そのように思うのです。今後も、例えば防衛上の機密であるとかそういうところは私も理解をいたしますけれども、一般的な訓練の場所を報道するというのは、報道番組でももう既に多くの県民が見ているわけですから、そこら辺の見きわめをきちっとしていただきたいと思います。
 二点目に、中谷長官、これはいわば精強部隊ですよね、九州を中心に各地方のいわば普通科連隊からえりすぐりを集めた。ここ都合四カ月ぐらいですね、新設をしてから。ところが、一等陸曹、三等陸曹が二人。お一人は、ちょうど休暇をとって鹿児島県の自宅に帰られて、日曜日に佐世保に戻ろうとしたところでお亡くなりになっている。それから、二人目の方は、宮崎県の自宅に休暇をとって帰って、これも同じ日曜日に、佐世保に戻ろうとしているその日に自殺をされている。もう一方の三等陸曹の方は、これは先ほど申し上げた相浦駐屯地の中の屋外で亡くなられたということであります。
 これは、中谷陸上幕僚長は、この三事案、三件とも隊員のプライバシーに起因するものであるというふうに結論づけられておりますけれども、非常に気になるんです、やはり。このお三方がそれぞれどういう実情でみずから命を絶っていったのか、そこら辺のことを、支障のない限り、簡潔に御説明を願いたいと思います。
宇田川政府参考人 委員御質問の、自殺された三人の方の経緯でございます。
 仮にA、B、Cというふうな名称にさせていただきますが、A一等陸曹の自殺に至った経緯であります。十三年の三月二十三日には西方の普通科連隊準備要員として第三教育団に転属し、十四年の三月二十七日に、西部方面普通科連隊の創設に伴い同連隊勤務になっております。自殺されたのが五月の十二日でございまして、自宅近傍でございます。
 それから、B三等陸曹の自殺の経緯でございますが、やはり三月二十三日に準備要員としまして第三教育団に転属しまして、同じく三月二十七日に同連隊勤務になりました。五月の二十六日に実家において自殺されています。
 それから、C三等陸曹でございますが、この方は、十三年の八月一日にやはり第三教育団に転属しまして、十四年の三月二十七日に、西部方面普通科連隊の創設に伴いまして連隊勤務になっております。七月八日、これは勤務地の相浦の駐屯地において自殺されているという状況でございます。
今川委員 次は、これは中谷長官に直接お伺いしたいんですが、いわばこの部隊というのはレンジャー資格を持つベテランの陸曹ばかりですよね。今回、三人のうちのお一人だけはまだレンジャー資格を持っていなかった。そうしますと、普通科連隊の通常の訓練からしますと、相当やはり厳しい、いわば特殊部隊ならではの訓練プログラムがあったのではないかと思いますし、現段階では基礎訓練だったというブリーフを受けていますけれども、しかし、少なくともこれからのことを考えますと、相当厳しい訓練が待ち受けていたのではないかという感じがいたします。
 もう一つは、今おっしゃった、内局から言われましたA氏、B氏両氏には遺書があったんだといいますけれども、その中身の一々をということはプライバシーにかかわりますからあえて求めませんが、そうしたものを内部で検討されてみて、かなり過酷な訓練にかかわっていなかったのかどうか、その点は、長官、いかがですか。
中谷国務大臣 私もかつてレンジャー訓練をいたしましたし、教官もいたしましたが、確かに、レンジャーの資格を持つためには、体力的にも気力的にも大変な訓練でありまして、相当な厳しいものがございますが、一応資格を取りますと、部隊でもレンジャー有資格者ということで非常に尊敬された存在になりますし、また、その後の訓練につきましては、そんなに厳しいような期間はないわけでございまして、必ずしもこのレンジャー資格とか訓練に起因するものではないというふうに考えます。報告されているところによりますと、今般発生した問題につきましては、過酷な訓練とかいじめとかしごきといった事柄が原因となったということは報告されておらず、いわゆる個人的な事情によるものだと判断をいたしております。
 いずれにしましても、個別の原因、理由につきましては、公表を差し控えたいと思っております。
今川委員 実は、この国会ももうやがて終わりになりますが、お盆前に鹿児島、宮崎まで足を運びましてお線香の一つも上げたいと思うんだけれども、お名前も住所も、この公の場所じゃなくていいんだけれども、教えていただけないんですね。非常に残念だと思うのです。
 そこで、きょうはもう時間がありませんから、あと一点お伺いしておきたいことを、まとめて御質問いたします。
 例の、四人ほどから成るアフターケアチームが、先月の十一日から十四日にかけて、それから、いわば第二次調査として今月の十五日から十七日にかけて実情調査に佐世保に来ておられるようでありますが、その中身で、ここに私も防衛庁の方からいただいた「アフターケア実施日程と実施内容」ということを拝見させていただきましたが、よくわからないところがあるんですね。「参考資料の収集」というのは、具体的にどういうものなのか。それから、「アンケートの実施・回収・評価」とありますけれども、このアンケートの中身は、主なところ、どういう中身が記載されているのか。それと、三日目に行う予定となっております「関係隊員情報制御」というのが、全然意味がよくわからないのですが、ここをちょっと御説明ください。
宇田川政府参考人 今、委員から数点御質問ございました。
 まず、アフターケアチームが行う調査の実施内容にあります参考資料ということでございますが、これは、アフターケアチームが事故者の背景を知る上で、部隊等において事前に収集する事故に関する客観的な記録ということでございまして、具体的には、勤務記録表、適性検査記録カード、健康診断書等でございます。
 それから、アンケートでございます。これも、自殺の事故要因に関し、事故者の言動の変化を自由記述するアンケート、それから事故後の関係隊員の心身の影響に関する択一式のアンケートの二種類がございます。
 具体的にどんなものかというお話でございました。アンケートの方の自由記述の方は、例えば、自殺が起こったことを初めて知ったときどのような感じがしましたかというので、これは自由に書いていただきます。それとか、自殺した方の人柄、仕事ぶり等についての印象を記入してくださいとか、こういうふうな項目が幾つかございまして、これに自由に書いてもらうというものでございます。
 それからもう一点、情報制御についての御質問がございました。
 自殺事故が起こりますと、自殺要因に関する根拠のない流言飛語が飛び交うと、関係する隊員や家族の混乱を招いたり、個人のプライバシーを侵害することになります。また、自殺事故に関しまして一面的な情報が伝達されますと、関係する隊員に共感、同情といった感情が生じて、連続的な自殺が発生しやすいというふうな傾向が見られます。連鎖自殺というふうに呼んでおりますが。
 このような場合に、不明確な情報から生じる他の隊員や家族への影響を局限するため、自殺事故に関する適切かつ必要な情報を関係する隊員や家族に提供することを情報制御というふうに呼んでいるところであります。
今川委員 もう時間が来ましたので、最後に一言だけ。
 いわゆる自衛隊の平成十二年度のカウンセリングの実施件数が、陸海空合わせて実に二万一千七百三十九件ございます。それから、陸海空三自衛隊のこの五年間に及ぶ自殺者数が三百三十一人、これは決して無視できない数だと思うんですね。
 ですから、次の国会にでも、より具体的にまた質疑をいたしたいと思いますが、少なくとも、防衛庁長官、特に転勤などの際に、単身赴任者へのケアがどの程度きちっといっているのか、あるいは借金を苦にして亡くなったとかということをよく聞くのですけれども、そうした場合に、やはり自衛官の皆さんも、中小零細企業の労働者からしますとそれなりの賃金をいただいているわけですから、そこら辺がどういう形で対策がなされているのかだとか、あるいは最近の若者かたぎというのは、二十年、三十年前と違いまして、集団で生活をしたり遊んだりということが随分なくなったんですね。
 そういった意味で、今の若い隊員たちはいきなり集団生活に飛び込むわけですから、そういったところでの、特に精神的な面でのケアというのがどの程度十分なされているのかどうかとか、これからもできるだけ綿密にそういったところは検討していただいて、一人でも二人でも、とにかくこういった、みずから命を絶っていくようなことはやはり防いでほしいということを申し上げまして、質問を終わります。
瓦委員長 次に、久間章生君。
久間委員 自由民主党の久間でございます。
 四月の終わりに、この国会に有事法制、いわゆる緊急事態関連法案が出されましたときには、私ども、これまで日本の緊急事態に対して、有事に際して、自衛隊があって自衛隊が対応できるという、そしてまた自衛隊法が、一応根幹的な法制は整備されておるということでありますけれども、やはり十分でない、もっと大きな枠組みも必要である、あるいはまた個別の法制も必要であると思っておった者にとっては、大変これは画期的なことだと喜んだわけでありました。
 そして、特別委員会がつくられまして、粛々と議論が行われ始めたわけでございますけれども、残念ながら、当委員会で、この法制の話だけではなくて、むしろほかの常任委員会で議論されるような話題等に話も行きましたし、またそちらの方でのいろいろな議論のために当委員会が審議がされないような状態が続きました。
 それでも、通算いたしますと約六十数時間、きょうの質疑を入れますと七十時間近い質疑が行われたわけでございまして、その中で、しかも野党の皆さん方が、質疑も四十数時間行われたわけであります。そういう意味では大変画期的なことでございました。
 ただ、国会も間もなく終わろうといたしております今日では、今国会でこの法案が成立するということは非常に難しい状況になっております。
 そこで、なぜこんなふうになったのか。いろいろなほかの要因もありましたけれども、いろいろ考えましたときに、もう少し議論が整理されておったらよかったんじゃないかなと思う節も確かにございます。
 それとまた、民主党さんの方からもいろいろな論点が整理されて出されましたけれども、そのために法案を出し直せというのではなくて、立法府なんですから、自分たちだったらこう変えるんだ、こういうふうに法律をつくるんだ、そういうような提案がなされなかった、そういうのが非常にある意味では残念な気もいたしました。
 自由党さんの方からは法律案が対案として出されておりますけれども、これはもう基本的に考え方が違いますから、集団的自衛権を前提にした法案になっておりますので、これはまたそっちの方向で修正といいますか、一緒に共同提案するような、そういうことにはならないわけでございます。
 そこで、そういうような論点をもう少し整理してもらわないと、次に、例えば臨時国会が開かれた場合でも、なかなかその辺、またかみ合わないんじゃないかと思うわけでございます。
 特に、国民の権利義務に関する、こういうところにつきましては、国民保護法制につきましては、やはり、どういうような類型があるのか、そしてその類型ごとにどういう点が問題となるのか、法律をつくるとすればどういうような法律が必要なのか、そういうことをお示ししていただいて、そして、それをつくるためにはもちろん時間が必要でございますから、それらについては、すぐそこで法律を一緒になって出せというわけにはいかないと思いますけれども、少なくとも、そういうようなガイドラインといいますか、概要といいますか、そういうことについてはやはり整理して出していただくことが法案を成立させる近道になるんじゃないか、議論をするのに非常にその点が前進できるんじゃないか、そういうふうに思うわけでございます。
 国会が終わってしまいますと、役所の方は人事異動等が行われます。また、人事異動等が行われて新しい人が部署につきますと、そのためのまず今までの議論の整理から入らなければなりません。ましてや、一部の党が言うように廃案などということになりましたら、全くゼロで、もとに戻ってしまうわけでございますから、これから先、また法案をつくるために一年近くかかって、それが成立してから二年というのでは、とても国民の期待にこたえることができないわけであります。
 そういう意味で、これは、国会が終わると同時に一日も早くそういうような体制をつくっていただいて、そういう国民保護法制の問題点について整理をして、次の、臨時国会があるのかどうかわかりませんけれども、次の国会が開かれた場合には速やかに出せるような、そういう体制をつくっていただきたいと思いますが、このような考え方についての官房長官の御意見をお聞かせ願いたいと思います。
福田国務大臣 御指摘のとおり、長い時間をかけて御審議をいただきました。しかしながら、こういうような状況になっていることは、まだ時間があるとはいうものの、まことに残念だというような気持ちもいたしております。しかしながら、御指摘の点も踏まえて、これから十分な対応をしていかなければいけないということでございます。
 いわゆる有事法制というのは、安全保障に関する国民の共通の認識を確立する観点から、長年にわたって検討して、長年にわたって懸案となってきたものでございまして、武力攻撃事態対処法案成立後は、これに定める枠組みに基づいて、国民の保護のための法制を初めとする必要な個別法制を総合的かつ計画的に整備していく、こういうことが重要であると考えておるところでございます。このような個別法制を整備する作業を着実に行っていくためにも、政府としては、引き続き武力攻撃事態対処法案の成立に全力を挙げてまいった所存でございます。
 このような観点から、これまでの国会での御議論も踏まえまして、政府としては、国会終了後、速やかに国民の保護のための法制、米軍の行動の円滑化に関する法制、捕虜の取り扱いに関する法制などについて検討体制を整え、その内容を深める作業に着手をすることといたしております。
 また、このような検討を行うに当たりましては、国会での御議論も踏まえまして、次の国会において十分に対応できるように準備をしてまいりたいと思います。
 また、秋に臨時国会が開かれる、こういうことになりますれば、政府として主要な論点について整理して、国会においてより具体的な御議論を行っていただけるように努力をしてまいりたいと思っております。
久間委員 特に地方自治体との関係、これも非常に大事なわけでございますけれども、地方自治体の長あたりも、国民保護法制というのがどういうような分野でどういう形で必要となってくるのか、自分たちはどういうようなことをしたらいいのか、また、しなければならないのか、その辺が、現在のままでは意見がなかなか述べにくいというような、そういう話も聞こえてまいります。私もそのとおりだろうと思います。
 具体的に言えば、例えば、港にいろいろな船が着いておる、そのうちに自衛艦なりあるいはまた米艦船なりを着岸させる必要があるというときに、それをのけようとしますと、では、一体だれがそれを命じて、港湾管理者がやるのか地方自治体がやるのか防衛庁長官がやるのか、どういう形でそれをやるのかというような、そういう問題等もございます。
 電波一つとりましても、妨害電波等を有事の際にはもちろん出す場合があるわけですけれども、米軍自体は有害電波を出しても、今の法律上はできますけれども、自衛隊がやろうと思うと、そういうことはできないわけでございます。そういうことをやりますと、それがまたテレビとか放送にも影響を受けます。そういうときに、放送業界、テレビ業界とどういう形で協力をしていったらいいのか、こういうものについても各業界とのいろいろなすり合わせも必要になってくるわけでございますから、こういうような論点について、もう少し、いろいろな問題を詳しく精査しながら、類型別に整理していくことが必要じゃないかと思います。
 これは、なかなか簡単にできないわけでございますが、少なくとも、そういう主要論点についてだけは次の国会までに整理しておいていただきたい、そういうふうに思います。
 それと、もう一つ、個別法制をこれから先やろうといたしますと、その体制づくりが必要でございますが、今、内閣官房におかれましても体制を強化して、そういう専任のスタッフを置いてそれをやろうというようなお話を聞いておりますけれども、私は、これは物すごい量の法整備になってくるんじゃないかと思います。
 そうしますと、今官房長官がこれと取り組んでおられるわけでありますけれども、この主管大臣は官房長官になるわけで、防衛庁の問題については防衛庁長官ですけれども、各省にまたがるそういうものについての整理をやろうとしますと内閣官房が中心になるわけですけれども、内閣官房長官は、正直言いまして、本当に大変お忙しい方でございます。
 そして、でき上がってしまってからの議論を、今度は法律を扱うときにも、やはり整理をしている段階からそれに携わっていないと細かい議論をするときに大変なことになるんじゃないかと思うんです。それで、法律の本数にしましても、物すごい法律になるんじゃないかなという気がいたしますから、そうなってきますと、内閣官房長官、大変お忙しい方が法案作成のときに細かく携わることができるのかどうか。また、でき上がってしまってからでも、国会での答弁等で、質問があったときに、細かい機微に触れるような質問等について、その整理する過程のことをやはりつまびらかに知っておられる方じゃないと大変やりにくいんじゃないか、そういう気もいたしますから、単にスタッフの強化だけではなくて、この問題については、専任とまではいかないにしても、だれか主体的にこの中心となるような人を何々担当というような形で、そういうことを決めてでも取り組むぐらいのことをやらないと大変難しいんじゃないかなと思います。
 ぜひ、そういうことについて、これは内閣官房長官の仕事というよりも、むしろ総理大臣がされることですから、長官としてお答えしにくい点があろうかと思いますけれども、そういうような意気込みで取り組んでいただきたいと思いますが、その辺についての御意見等をお聞かせ願いたいと思います。
福田国務大臣 御指摘の御意見、大変よくわかることでございます。
 大変多岐にわたる法制整備をしなければいけない。当然、事務量も膨大になります。また、地方公共団体からいろいろな意見も聞かなければいけない、そういう手続も必要だと考えております。そういうことでございますので、内閣官房を中心にスタッフをそろえて検討体制を強化いたしますけれども、これはもうそのとおりしなければいけないと思っておりますが、この御指摘を参考にしつつ、国民の保護のための法制とかを初めとするいろいろな法制について、今後の作業は責任を持って円滑に行い得るような体制の充実強化、これを内閣官房に設置いたしますけれども、そのことを図ってまいりたいと考えております。
 また、担当の大臣を設けるかどうか、こういう御意見でございましたけれども、これはもう大変貴重な御意見としてまずは承っておきたいと思います。ただし、御指摘のとおりでございまして、内閣総理大臣の権限の問題であり、また総理大臣の御判断というものが一番重要かと思いますので、これもあわせ検討課題とさせていただきたいと思います。
久間委員 これは、内閣といいますか大臣の人数も非常に減ってしまいまして、最近見ておりますと、きょうも総務大臣見えておりましたけれども、総務大臣などの権限も非常に多岐にわたっているから、なかなか大変ですね。そして各大臣も、いろいろな仕事を受け持っておられますから、本当に御苦労は多いと思います。しかし、そういう中でも、これはやはりだれかに集中的にやらせないと大変じゃないかと思いますので、どうかひとつそういう気持ちで取り組んでいただきたいと思います。
 それから、もう一つ、今までの答弁の中で、捕虜に関する取り扱いについてもあわせて一括して法律を出したいというふうなお話でございましたし、また、捕虜ということになりますと、戦闘といいますか有事があったときにはやはり第一線で、結局、防衛庁といいますか自衛隊が表に出ますから、防衛庁が所管するのが一見もっともなような感じがいたしますけれども、ただ、日本における自衛隊の位置づけというのはいわゆる軍隊とは若干違っているところがございますから、ストレートに自衛隊にきちっと法律上持ってくることが果たしてできるのかどうか、この辺は一工夫が要るんじゃないかと思います。
 これは防衛庁長官もお答えしにくい、今のような法整備が検討されていない状態では非常にしにくい問題かもしれませんけれども、これは、こういう論点整理をするときに内閣の内部においても、一体本当に自衛隊にやらせるのかどうか、捕虜を仮に捕まえたときに、それをどういう形で確保する、拘束する、そういう扱いをどうするのか、これは一見簡単なようで非常に難しい問題もございますので、その辺については各国の事例等もよく今のうちから研究しながら、これは防衛庁と内閣官房において検討していただきたいということを御要望しておきたいと思います。何か御意見がありましたら、防衛庁長官。
中谷国務大臣 非常に重要な問題であると認識しておりまして、この点は、国際法の問題、また日本における司法、裁判の問題、また収容、人道的待遇の問題等、たくさんの問題点がございますので、一つ一つを慎重に点検してまいりたいと考えております。
久間委員 それでは、終わります。
瓦委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたしま


2002/07/24

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