2001/05/14

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ハンセン病問題の最終解決を進める国会議員懇談会での挨拶


今日はみなさん、ハンセン病問題の最終解決を進める国会議員懇談会に、こんなに大勢のみなさんがお集まりくださり、本当にありがとうございます。こういう議懇あるいは議連は、どっちかというと地味なマイナーなものに過ぎないのですが、今回のことで、ずいぶんメジャーな議懇になり、戸惑っています。

4月5日に設立総会を開き、101人という国会議員でスタートをしました。超党派で自民党から共産党まですべての会派の皆さんがご参加です。それ自体が大変勇気づけられる出来事でございましたが、今日123名まで増えました。後ほどご報告がございますが、みなさんご存じのように、5月11日に原告勝訴という判決が熊本地裁で出されました。

5月11日は、私はちょうど10時に参議院の本会議場に入りました。携帯が鳴るといけませんので、マナーモードにしていたら、10時5、6分でしたかね、私の携帯が震えました。原告団団長は体が震える思いということでしたが、私の場合は最初に震えたのは携帯でした。そしてすぐに心臓が震え、続いて体が本当に震えました。

私は司法とは縁の深い人間ですが、最近司法はだんだん信用できなくなり、どういう判決になるのか、心配していました。そういう心配を本当にもう拭い去るような、明快な判決でした。

携帯に判決の内容がどんどん入ってくる都度、本当によく裁判官がこういう判断をしてくれたと、ただただ裁判所にも、そしてそういう判決を得るところまで大変な決断をして努力をしてくれた原告団、弁護団のみなさんにも、お礼を申し上げるばかりです。

ご承知のとおり、国会の責任が認められました。1960年にはらい予防法は憲法違反が明白になった。国会にちょっと時間のゆとりを与えるとしても、1965年以降も国会がこの法律をそのまま放置しておいた。これは立法の不作為で、違法だということまで言われました。私ども国会議員として、本当にこれは患者の皆さんに、そして立法不作為によってこういう社会的不平等を社会に植え付けてしまったことにつき、国民の皆さんみんなに、おわびをしなきゃならんと思っています。

さてこれからですが、超党派の国会議員の集まりとしてですね、国会はいったいどうするのか、本当に鋭く問われている。私はまず第一に、この判決は確かに大変明快にいろんなことを書いてますから、行政にも、あるいは国会議員の一部にも、これでいいかどうか最高裁の判断をいただきたいと思う人もいるかもしれません。けれども、すでに患者の皆さんの平均年齢は74才を越えてるわけですよ。この判決、確定させずにずっと続けていったら、この不平等、この不公正、この不正義、これはこれからもずっと続いていってしまうんです。

逆に、今こういう判決を出すことによって、裁判所が社会全体に対して、ハンセン病をめぐってこんな不正義が行われていたんだということを、強烈にアピールしているわけです。私はこういう機会に、つまり世の中がこの問題について、いけないことをしてたと、これはすぐにもやめようじゃないかと、こう思っているときに、この判決を確定させること、これが今一番必要なことだと思っています。

実は今日1時から、この議員懇談会の役員会を開き、今日みなさんに提案する議案を取りまとめました。その中で国会として、この判決を確定させる努力をしようじゃないか、そういうことを取り上げております。謝罪ももちろんです。

こういう論理があります。国が被告の事件については、法務大臣が国の代理人として訴訟行為をすすめます。しかし法務大臣は勝手にできるわけではなく、その行政を所管している行政庁と協議をするわけですよね。今回の判決では、厚生労働省も断罪されましたが、国会も断罪されました。法務大臣は国会とも協議をしなきゃいけないのじゃないかと思います。

国会は誰かというと、これは衆参の議長。議長は協議を申し込まれたときにどういう行動をとるかというと、議院運営委員会に諮問して議論して貰う。したがって私どもは、これから議院運営委員会などに働きかけて、国会でこの問題について、謝罪をしよう、この判決を確定させようという趣旨の決議を是非しようじゃないかと、これを勝ち取りたいと思います。

もちろん簡単な道じゃないと思いますが、そんなに時間のゆとりはありません。早急にそのことをやりたい。しかし、この判決が確定しただけですべて事は終わりか。そういうわけにはいきません。考えてみたらわずかな金額です。これを患者のみなさんにお支払いした、それですべて終わり。そんなことはできません。全国に、今回の判決を受けた元患者の皆さん以外にも、大勢の原告の皆さんがいます。さらに、原告になっている皆さん方を含め、本当に大勢の、現に生きて療養所生活を送っている元患者のみなさんがおられるんです。原告になっていない皆さん方のことをも大きく含めて考えながら、患者・元患者のみなさん全員の、そして亡くなった皆さんもを含めて、あるいは、残念なことに命を授かるに至らなかった、小さな途中で消えた命のことも含めて、すべてのこういう皆さんのための解決を図らなければならない。

あの慰霊塔の中に小さな壺に収まってる皆さん方が、ふるさとへ帰れるようにしなきゃならない。社会全体からハンセン病についての偏見をなくさなきゃいけない。同時に、このような悲劇が二度とおきないような日本の社会にしなきゃいけない。そのために今政治が果たさななければならない責任は、果てしなく大きいでしょう。そのことができるかどうか、日本の政治の質を問われているのだと思っています。

私ども議員懇談会は、全力を尽くしてまいります。皆さんのご指導とご協力、ご支援をお願いして、冒頭のご挨拶といたします。

横浜のjunさんのHP「おさんぽ」に掲載


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