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政府声明

平成13年5月25日
閣 議 決 定


 政府は、平成13年5月11日の熊本地方裁判所ハンセン病国家賠償請求訴訟判決に対しては、控訴断念という極めて異例の判断をしましたが、この際、本判決には、次のような国家賠償法、民法の解釈の根幹にかかわる法律上の問題点があることを当事者である政府の立場として明らかにするものです。

  1.  立法行為については、国会議員は国民全体に対する政治的責任を負うにとどまり、国会議員が個別の国民の権利に対応した関係での法的責任を負うのは、「立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて立法を行うというごとき、容易に想定し難いような例外的な場合」(最高裁判所昭和60年11月21日第一小法廷判決)、すなわち故意に憲法に違反し国民の権利を侵害する場合に限られます。これに対して、本判決は、故意がない国会議員の不作為に対して、法的責任を広く認めております。このような判断は、司法が法令の違憲審査権を超えて国会議員の活動を過度に制約することとなり、前記判例に反しますので、国家賠償法の解釈として到底認めることができません。


  2.  民法第124条後段は、損害賠償請求権は20年を経過することにより消滅する旨規定していますが、本判決では、結果的に40年間にわたる損害の賠償を認めるものとなっております。この点については、本件の患者・元患者の苦しみを十分汲み取って考えなければならないものではありますが、そのような結論を認めれば、民法の規定に反し、国民の権利・義務関係への影響があまりに大きく、法律論としてはこれをゆるがせにすることができません


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