2003年7月9日

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156 参議院・外交防衛委員会、内閣委員会連合審査会−(2)

イラク復興支援特別措置法案について
質問者=木俣佳丈(民主)、若林秀樹(民主)


平成十五年七月九日(水曜日)   

○木俣佳丈君 民主党・新緑風会、木俣佳丈でございます。
 このイラクの新法ということで審議になるわけでございますけれども、やはり我々は、参議院は参議院でしっかり審議をさせていただき、我が党が今まで申し上げてまいりました修正というものを含めて、是非参議院は参議院としてのやり方をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いのほどお願いします。
 まず初めに申し上げたいのは、今回の一連のイラク攻撃に対する支持表明等々、外交の大転換であると私は考えておるわけでございます。
 今日御質問したいところは、イラク戦の大義の話が一つ、一つは日本外交、安全保障の大転換であるということが一つ、そしてまた、イラクの状況についてが一つ、そしてまた、初めての自衛隊の派遣ということが一つ、そしてまた、我が党が最終的に言いたいことは、やはりソフトパワーというか、もっと民生部門で行動を示すということが私はできると信じているというのが最終的な結論でございます。
 初めに、戦後、戦争で負けて外交で勝ったという言葉を吉田茂が、勝った国はあるという言葉を使ったわけでございます。ある意味で私も、この経済的な繁栄を見たときに、確かに外交で勝ったという言い方ができるかもしれませんけれども、しかしながら、現在の経済状況を見たときに、最大の繁栄というものが、先ほど来総理から言われておりますような世界第二位、世界に冠たる経済的繁栄とすれば、しかしながら最大の負債というのは政治の不信というものではないか、そういうことさえ思うわけでございます。つまりは、どこかで何か転換をしなければならなかった何かがあるんではないか。今回、そういった意味で政府・与党が転換をしていったわけでございます。
 今回のこの戦争の支持ということで考えますと、今まで我が国としては、国連中心主義ということが一つ、一つは日米安保ということが一つ、この二つの大きな柱の中で外交政策、安全保障政策というのをやってきた。しかしながら、イラクの攻撃に当たっては、基本的には国際協調というものが割れてしまった。そして日米安全保障、日米安保というものを最優先で取られた。私も、やはりこの日米安保というのは世界の中で最重要な二国間関係である、これは私も認めるところでございますが、しかしながら、この支持をした時点でこの大義が何だったのかといえば、これは総理が三月に言われたような大量破壊兵器は、この疑惑は否めない、そしてまたこの拡散も否めないんだということであったはずでございます。しかし、現在に至っても大量破壊兵器の問題、これが発見されていないということについて、まず初めに総理に伺いたいと思います。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) このイラクの戦争の前に、国連で武力行使等に対する議論が安保理理事国の間で盛んに行われました。度重なる決議をイラクが無視してきたということで、最終的に昨年の十一月には一四四一という決議で、この疑惑を晴らす最後の機会を与えるという決議がなされたわけであります。その後、査察団も入りまして依然として疑惑があると、不十分だという点についても開戦ぎりぎりまで査察団も安保理参加国も認めていたところであります。
 しかしながら、武力行使ということに対しては、最終的に各国との意見の一致を見ないまま米英が武力行使に及んだわけでありますが、日本としてはこれはアメリカ、イギリス対イラクの問題ではないと、イラクの問題というのは国際社会全体との問題であるということから、武力行使には参加しないが米英の行動を支持して、復興後には、戦闘が終結した後には復興支援、できるだけのことをやるということを前から言ってきたわけであります。
 そういう点において、私はむしろこのイラクの戦争というのは、イラクが国際社会の決議に沿って、はいどうぞ査察団も入ってきてくださいと、自分たちは何にも隠し持つべき大量破壊兵器も生物兵器も化学兵器もありませんと言っておれば解決していたはずでありますが、それをしなかった。
 そして、いまだに大量破壊兵器が見付かっていないからおかしいという議論も私はこれもおかしいと思いますね。フセイン大統領が見付かっていないから、じゃ、フセイン大統領がイラクに存在しなかったのかといえばそんなことないでしょう。これは詭弁でも何でもありません。当たり前のことを言っているんです。そして、いずれ私はフセイン大統領も見付かると思いますし、大量破壊兵器も見付かると思っておりますが、時間が掛かると思います。
 今後、イラクの復興支援のために、あの意見の対立を見た国々までも、今国連決議が採択されて、国連に加盟国は支援しなさいということで、お隣の韓国も軍隊を出している。そして、あのアメリカの、米英の武力行使を支持しなかったヨルダンもあるいはサウジアラビアもカナダも軍隊を派遣しようとしている。
 やっぱり日本としては、武力行使、戦闘行為はしませんが、日本の国力にはふさわしいイラク支援活動をするべきだなと思っておりまして、今回このような法案を提出して、イラクにおきましても、政府職員においても文民においても自衛隊においても復興支援活動ができるんですから、自衛隊であるからできないというんじゃなくて、できることだったら自衛隊にもしてもらうという法案を提出しているわけであります。もちろん民間の方々もしていただきますので、そういう法案を国民に理解していただけるようにこれからも審議を通じて努力していきたいと思います。

○木俣佳丈君 総理に申し上げるのもなんなんでございますが、短く御答弁いただければと思っております。
 私が申し上げたのは戦争の大義は何だったのかということで、大量破壊兵器の存在、そしてまたその疑義、そしてまたその拡散、ここが大義だったということは明確にこれは三月の総理の発言でございます。しかし、これが要は見付かっていないということで、フセインが見付かっていないのとはこれ同列でしょうか。全然違うと思いますね、それは。つまりは、犯罪者が例えば何かしたかもしれないということだけでその人を犯罪者だということを決めてしまうということは、要するに疑義があればどこでも戦闘行為を行ってもいいと、こういうような話にもなりかねない。世界じゅうには多くの疑義がある国があります。そこを全部攻撃しても仕方ない、それを支持するということですか、総理は。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 国連安保理で議論されたのはイラクに対してであります。ほかの国に対してじゃないんです。
 それでは、大量破壊兵器ないと断定できますか。私はできないと思いますよ。国際社会である可能性がある、査察団まで言っているんですから。断定、本当にないと断定できるんでしょうか。私は、フセイン大統領でさえ見付かっていないんですから。私は、フセイン大統領、イラクに存在したと思いますよ、見付かっていなくても。だから、断定できないだろうか、じゃ、ないと断定できるのかと。
 今のところあると断定できなくてもいずれ私は見付かると思っていますし、国際社会が、安保理でもあるだろうということだからこそ査察団を派遣して査察に応じなさいと言ったのを、フセイン大統領が査察団を追い出しちゃったんですから、妨害しちゃったんですから。そういう状況で、一四四一で九月、最後の機会を与えると、その機会を生かさなかったのはイラクだったと。

○木俣佳丈君 いや、そんな詭弁を弄されても困るんですよね。
 大義なき力は暴力だというのはあなたが言ったことなんですよ、実際に。その大義が見付かっていないのに暴力を行ったというのが今の現状じゃないんですか、米英については。
 今、今日の新聞でもありますけれども、フライシャー米大統領報道官が、ウランの購入ですね、これについての情報が正しくないことを我々は以前から知っていたと述べたと伝えたと。今、現在この時点でCNNが世界じゅうに配信しているのが、今この情報操作に関する報道を一斉に始めたそうです、現在です。これはイギリスでもいろんな問題になり、米英ではオープンな議論、又は秘密会もありますが、そういうのが行われておるんですが。
 今、あるかないかということが一番大事な私はところで、それを証明しなければ、我が国として証明しなければ、あの戦闘を支持したということはこれはどうなるんでしょうか、責任はありませんか、総理は。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 我が国としてじゃないんだ、国連の決議を見てそれに正当性があるからといって支持したんですよ。我が国が独自で情報収集するわけじゃありません、査察団が情報収集しているんですから。これに対して疑惑があるという断定をしているんですから、査察団も。そして一四四一の決議があって、最後の機会を与える、続けるか続けないかの議論があって、それが一致を見なかったんです。

○木俣佳丈君 総理、武力容認の決議は出ておりません。一四四一ではこれは読めません。我々は、ですから、これでだから武力を容認するなんということは僕はないというふうに思いますが、どうですか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、一四四一に、最後の機会を与えるというのが、武力行使を認めるかどうかの意見を一致を見なかったのは確かであります。しかし、法について解釈の一致しないのはたくさんありますよ、今だって憲法九条は自衛隊を認めないという議論もあるんですから。だから、意見を一致見なかったのは当然です。私は事実を言っているんです。事実を言っているんです。
 だから、一つの法、決議を、解釈の違いというのは間々あります。確かに国連では全会一致の意見の一致は見なかったんです。そういう中でも、あの、日本としては一四四一、六七八、六八七、この決議に正当性があると思ったから支持したんです。

○木俣佳丈君 そんな、古証文を持ち出してというのはこういうものでありまして、この三つで武力容認をできるなんというのは国連認めているんですか、実際に。

○国務大臣(川口順子君) 前の話に戻っての御質問ですので、武力行使がなぜ正当であるかということの御説明をもう一度させていただきたいと思います。
 それで、これは六七八、六八七、一四四一と主な決議が三つありますけれども、六八七というのは停戦の条件を決めた決議です。その中で、査察に応じるとか、もういろいろな話があるわけですけれども、それで、一四四一において全会一致でイラクがこの六八七の定めているところに違反をしているという決定があるわけです。これは決定です。全会一致の決定です。それで、イラクに対して最後の機会を与えた。
 イラクに課せられた義務というのは、単に査察団に入ってください、見てくださいというだけでは十分ではない。イラクが、これは破棄しましたという証明をイラクがしなければいけない。証明をする義務がイラクにあるわけです。それをイラクはしなかった。最後の機会を、イラクが自分の潔白を証明する機会をイラクは使うことができなかったということでありまして、我が国としては平和的に解決をしたいというふうに思いましたけれども、最後の段階でイラクが、そういったイラクの大量破壊兵器についての疑惑が武力行使なしに解明できないということになって、武力行使があった時点で我が国としてはこれを支持をしたということでございます。
 したがいまして、一四四一それ自体では武力行使を正当化していませんけれども、一四四一によってイラクが六八七に違反をしているということが決定をされ、六八七がその条件が無効になったということで、六七八に戻って必要な措置を取るということが容認をされたということでして、これは、フランス自体も六八七に、九三年の時点で六七八に戻って武力行使をしております。ということでございます。
 それから……

○木俣佳丈君 いいですよ、もう。

○国務大臣(川口順子君) じゃ、また御質問がありましたらお答えさせていただきます。

○木俣佳丈君 今、総理の方からありましたけれども、法の解釈でもいろんな解釈があると、憲法九条の解釈についてもいろいろあるというふうに言われましたけれども、総理は、要は我が国のこの九条の解釈がいろいろあるということを知っているという意味じゃなくて、認めるということでございますか、これは。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 現実に憲法九条で、自衛隊は憲法違反だと言っている人は学者の中にもいます。いまだに政党の中にも自衛隊は憲法違反だと言っている政党もあるんじゃないですか。私はそうは思っていません。だから、同じ法律でも解釈が違うのがあるんですよ。見解の相違という言葉もありますね。それを言ったんです。

○木俣佳丈君 総理自体はどうですか。総理自体は一つに決まっていますか、解釈は。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、憲法九条を読むと、そういう解釈もできるなというのは理解できます。しかし、私は憲法違反だとは思っておりません。反対する人の立場……

○木俣佳丈君 いや、総理の立場を聞いているんですよ。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) だから、私は解釈は一つで、自衛隊は憲法違反ではないと思っておりますが、憲法違反だと言っている方がいるということは承知しております。

○木俣佳丈君 ちょっと前に、質問が横道にそれましたけれども。
 この大義ない状況が生まれつつある。おとといはガボンの元大使のウィルソンさんという方が、これはアメリカの派遣した核の売買の調査団の団長をやった人ですね。この方がニューヨーク・タイムズに投稿をいよいよしまして、実際あれは捏造なんだということを後押しした。本日はフライシャー報道官が以前から知っていたということを、捏造をですね、報じているということなんですね。
 これ、先ほども申しましたように、米英ではいろんなところでこれをオープンに議論をしようという雰囲気がありますけれども、一番の大義、肝のところを、総理は特別委員会か何か作ってこれを詰めていこうという気持ちはないんですか。国民の皆さんに、要は大量破壊兵器を持っていたという事実を、又はその持っていたものが拡散しつつあったという事実を要は我が国として証明をしようという、そういう気はないんですか、オープンに。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 正にこういう委員会がそうでありまして、国会の場で議論をすればいいと思っています。

○木俣佳丈君 時間が足りません。ですから、総理からも是非、この国会に向けて、与党の自民党、そしてまた公明党の皆さんや、に向けて、もっと審議の時間を取るように是非指示してください、それでは。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) もう国会は毎日開会していますから、いろんな場で議論していただければ十分時間が確保されると思います。

○木俣佳丈君 これ世論調査を見ますと、四月、六月、七月とずっと見ますと、これ随分変化があるんですね。米国支持を四月の時点では評価した人が、これは読売新聞で五一%いました。これが二二%に六月の後半には朝日新聞落ちるんですね。それから、この自衛隊派遣についてもついでに言えば、要するに四月の時点では六六%、民間と自衛隊両方を派遣したらどうだと、こういうふうに答えているのが、六月の後半の朝日新聞では要は賛成が何と四六%に、現在は毎日新聞、七月五日で一九%に減っている。イラクの攻撃自体も正当な理由があったと思うかということで、そうは思わないという人が六月二十八日の朝日新聞では五七%、そしてまた毎日新聞では七月の五日で六一%。
 この状況をだから考えたら、フセインが証明せよというようなことではなくて、攻撃は終わったわけですから、今度は総理が国民の皆さんに証明する番じゃないんですか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私が証明しようといったって、どうやって証明するんですか。
 私が武力行使支持表明前には、七〇%が武力行使を支持するのが反対だという状況でしたね。そういう中でも私は正当性があるから支持いたしました。今、いろいろな世論調査を出しました。新聞によって違います。これは新聞によると、恐らく問いの仕方が違うんでしょう。問いの仕方によっても世論調査というのはなかなか変わってきます。そういう点から、世論調査というものは新聞社によっても違うし、聞き方によっても違いますが、国会議員としてどれが必要かということで審議をして、適切な判断を下さなきゃならないと思っております。

○木俣佳丈君 私が思いますのは、例えばこの数か月でも審議によって国民の皆さんの理解が進んだというふうに私は解釈いたします。つまりは、審議が進めば進むほど、このつまりは正当性、大義というものが崩れていく姿が私は見えるんです。
 ですから、これは仮に、仮にですね、例えば初めに大統領教書にあったようなニジェールからのウラン、これはごめんなさい、ニジェールは入っておりませんが、ウランを買った、三万発の弾頭、五千トンのサリン、マスタードガス、二万五千リットルの炭疽菌、こういったものが要は、大量破壊兵器の要はエビデンスということでありますけれども、これなかった場合に、仮に見付からなかった場合には、総理はどのように責任をお取りになりますか。それが大義として、要は攻撃を支持したわけですから、どうですか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、協力すれば戦争も起こらなかったのに、協力しなかったフセイン大統領の責任が大きいと思います。日本としては、国連決議に沿って正当性があるということで今イラク復興支援のために努力しているわけですし、国連の場におきましても武力行使支持するかどうかについては意見の一致を見ませんでしたが、戦闘に入って、今主要な戦闘が終わった時期におきましては、武力行使反対の国々も全会一致で賛成してイラク復興支援にみんな取り組んでいるんですから、私は日本がイラク復興支援に進んでやったから責任を取れという状況にはならないと思っております。

○木俣佳丈君 違いますよ。これは全然すり替えていますから。要するに、戦争を支持した責任はありませんかと僕は聞いているんです。
 復興については、反対した各国も、もちろん復興は復興ですから、とにかく国民の、イラクの国民の皆さんのことを考えれば、それはとにかく何とか人道的にやろう、しようじゃないか、これが次の国連決議だと思いますけれども、しかし私が言っているのは大義です。攻撃の大義が、これがもし仮に見付からなかった場合は、これは大変な私はことだと思うんですよ。つまりは、国際協調と言いながら、最終的に言えば日米に、米国に追従をするということだけになるんじゃないかと。これから先もそういうふうになって、結局、だから、その大義が見付からなくても……(発言する者あり)いやちょっと、自分が証明するあれじゃなくて、要は相手方の犯人の方が証明をしなきゃいけなかったんだよ。それは私、じゃ警察や検察というのはなくなっちゃうんじゃないですか、そうしたら。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) そうだったんですよ、イラクに挙証責任があったんですよ。あのときはもう全会一致ですよ。査察団も含めて、全部イラクが、疑惑があるからイラクが証明しなさいというのが国連決議ですよ。そういう中で行われているんですから。私は、もうない、ないという断定の上で、今おかしかった、おかしかったと言う方がおかしいと思いますよ。
 それで、アメリカ、日米同盟を重視する、国際協調体制を重視する。じゃ、アメリカやイギリス以外に今数十か国には軍隊を派遣していろんな人を派遣してイラクの復興支援にいそしんでいる、その国は全部アメリカに追随しているというんですか、そうじゃないでしょう。
 私は、日本の立場として、国際協調体制、日米同盟重視、これは今後とも重要な国策でありますので、この方面からイラク復興支援のためにできることをやっていく、これがまた日本の国際社会の中での責任ある立場だと思っております。

○木俣佳丈君 私が冒頭ちょっと申し上げましたように、やはり今回の小泉総理のこの選択というのは、やはり日米同盟というのをぐうんと押し出した、つまりそちらを最重要と思い、要は国際協調が壊れた場合でも、そちらをとにかく支持していくという選択を私はされたと思うんです。
 それはそれでいいんですけれども、しかしながら、戦争を起こした、つまり、要するに大量の殺人を要は仕掛けたわけですよね、結局は。その大義がないと、そして今、CNNが今この時間だあっと世界に向けて配信をしているという、こういう状況の中でまだそういう言い方しかできないかと思うと、私はちょっと残念だというよりも、私は、これはこれから復興に掛けて例えば自衛隊の方を派遣する、今回はとにかく占領行政下への編入ということ、それから自衛隊の隊員の生命の危機があるということ、それから要するに実際の武器の使用ということが考えられるという、そういうところへ派遣するという大義が根本から崩れるということになる。
 もっと言いますと、要するに、幾つかの報道にありますけれども、日本が今回、総理は物すごく大きな気持ちで多分自衛隊を派遣されるということなんでしょう。つまりは、一歩も二歩も国際協調を、国際貢献をしなければいけないということで派遣をされると思うんです。しかし、アメリカの政府高官が新聞で、水や食料輸送だけの日本に対し不満を漏らしているということがだあっと配信されているんですよ。(発言する者あり)これ、いや、いろんなこと言うということじゃないんです、官房長官。こんなことまで言われて、隊員の命をさらして、そして武器使用も非常に縛って、手足を縛ってとにかく行かせると。(発言する者あり)何すればいいじゃないですよ、何言っているんですか。横から言わないでください、そんなことを。何すればじゃないんですよ。
 だから、もっと我々はソフトパワー、民間のもっと力をもっと世界に出したらどうかと思うわけなんです。
 こういう例えば、政府の高官もいろんなことを言うという、官房長官言われますがね。じゃ、ちょっと伺いますけれども、例えば初めからサウザンド・ブーツ・オン・ザ・グラウンドと、こういう言葉があったと。そうしたら、この間新聞見ましたら、ツー・サウザンズだと。要は千人の陸上部隊なんだと。いやトータルで千人じゃない。こんな話が濶歩しているんですね。しかも、それに対してもまた不満を持っているというんですが、こういった在り方に、どうですか、官房長官、どんな感じを。

○国務大臣(福田康夫君) それはアメリカ高官のお話ですか。千人、二千人。
 いや、そういうことについて、アメリカの方で日本の軍隊はこのぐらいの規模でといったような話は、自衛隊ですよ、軍隊というのは、そういうような話はございません、はっきり申し上げまして。(発言する者あり)新聞に出て、新聞の方でどういうふうに言うのか、どうしてそういうのが出てくるのか知りません。知りませんけれども、政府からそういう話が出てはおりません。私ども、今は千人という数字を案として持っていることもございません。
 それはそういう、もし御不満だったら新聞の方に聞いていただきたいと思います。

○木俣佳丈君 さっきから聞いていれば、もう要するに、世論調査の話もそうですが、新聞記事でだれが言ったということも書いてあるんですが、新聞の方に聞いてくれという。それでは国会やめて、だからもうマスコミの方々に聞いた方がいいという話じゃないですか。そんな国会軽視ってないですよ、そんなの。おかしいでしょう。ちょっとだからあれして、もう止めてくださいよ。ちょっと何言っているんですか。そんなばかな。(発言する者多し)

○委員長(松村龍二君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(松村龍二君) 速記を起こしてください。
 木俣議員、質問を続行をお願いします。

○木俣佳丈君 いや、官房長官がマスコミの方に聞いた方がいいですよということで……

○国務大臣(福田康夫君) じゃ、もう一回言いましょうか。

○木俣佳丈君 じゃ、もう一回答えてください。

○国務大臣(福田康夫君) それは私どもは、千人、二千人という計画、作ったことない、プランとしても持ってないんです。私の頭の中にもないんですよ。ですから、そういう数字が独り歩きをしていると、こういうことを申し上げているんです。

○木俣佳丈君 要は、その割にはよく出てくるなという感じがするんですよね。
 それで、いや、私は、そのことだけじゃなくて、要するに、具体的に要するに活動案に不満を出していると、内々いろんな計画をやり取りしておるのかもしれませんけれども、それにだから要するに不満を漏らしているということ自体が私は、我が国、例えば我々は反対しておりますけれども、我が国の決断、そしてまた我が国民のこの決断に対して、どんな重い決断で、つまりは、さっきの大義の話もそうですが、これは一国のやはり本当、宰相が言った言葉でございますから、戦争を支持するときに。これは私は、もしこれが出なければこれは辞任ものだと私は思いますけれども、そう思いませんか。それだけ重い決断を日本がしているということをやはりアメリカにもイギリスにも知っていただかなければ、これから派遣される自衛官の方々がたまったものじゃないというんです、実際に。
 何をやりますかと石破長官に聞いても、水と輸送ですねと。水と輸送だけなんですかね。やれるものはもっとたくさんある、だけれども、具体的にはない。そして、現地の方から聞こえてくるものは何かといえば、結局はもっとやれるはずだと。こういう話が来たら、現地で、(「水は大事だ」と呼ぶ者あり)水は大切ですよ。だけれども、現地でとにかく行動する指揮官、そしてまた自衛隊員の方々が大変な惨めな思いを私はすると、結論からいうと。そういうことになりませんか、長官。

○国務大臣(石破茂君) 先ほど来、委員が御指摘のアメリカが不満を述べたということでございますが、米側が不満を述べたという事実はございません。それは私どもとしていろんな、事務的ないろんな打合せはいたします。その中でいろいろと異なることはございます。しかし、それは、まず官房長官が先ほど答弁なさいましたように、二千足のブーツ、千人の派遣、そういうような具体的なお話をしたことはございません。そしてまた、アメリカ合衆国側から不満が漏らされたということはございません。日本ができますこと、そういうことについて歓迎はするということは述べられておりますが、不満が述べられたというようなことはございません。
 また、水と輸送しかまだ提示をしていないじゃないかという御指摘がございます。先般の与党の調査団が行かれまして、その御報告で、とにかく水というもののニーズがある、あるいは航空輸送というもののニーズがある、そういうことが提示をされました。それだけということを申し上げているわけではございませんで、委員御案内のとおり、この法律は枠組み法でございます。この枠組み法を成立をさせていただきました後に詳細な現地のニーズというものをきちんと把握をいたしまして、何が自衛隊の能力としてあるか、そして何が現地のニーズにおこたえすることになるのか、そういうことをきちんと把握をいたしまして日本国として国際的な責任を果たしたい、そのように思っておるわけでございまして、自衛官が惨めな思いをする、そのようなことにはならないと考えておる次第でございます。

○木俣佳丈君 具体的なオペレーションについては後で伺いたいと思っておりますけれども。
 現地の治安の状況でございますが、マイヤーズ統合参謀本部参謀長、それからCPAのブレマー代表が、これは七月に入ってからでございますけれども、この占領軍に対する攻撃というのはフセイン政権の軍の経験者によるものだ、プロによるものだ、軍事的知識があり、いわゆるイラク市民の散発的なものではない、全土にわたって大変危険な状態にあるのではないかというコメントを出しております。現に、五月一日、戦闘の終了以降、死者が米軍は六十九名、英国軍は十名、ほぼ連日抗戦があるわけです。我々の調査団では、五から十の、一日当たり、襲撃があるというのが我々の調査であります。
 これでも、要は向こうで安全な地域がかなりあるということを言えるんでしょうか。どうですか。

○国務大臣(石破茂君) 六十名という御指摘がございました。ただ、六十名のうち事故で亡くなられた方々が相当あります。実際にそういうような射殺、そういうようなことで亡くなられた方は二十名程度というふうに私どもは把握をしておるところでございます。
 実際に、非戦闘地域という概念を先ほど御説明を申し上げました。その中で、では安全な地域があるのだろうかということですが、例えばバグダッドと、こう一般に申します。バグダッドだけでも東京都の二・四倍ほどの広さがございます。東京都全体の二・四倍の広さがバグダッドでございます。イラク全体は日本全体の一・二倍の国土でございます。その中でそのような比較的安全な地域、自衛官が与えられた権限あるいは与えられた武器、自己を守るために、その中で安全な地域というものは非戦闘地域で行うという大きな枠の中で存在をするというふうに考えております。
 それはイラクと申しましても、与党の方々が行かれたところ、野党の方々が行かれたところ、それは地域によって差がある、私はそのことは当然のことだと考えておる次第でございます。

○木俣佳丈君 午前中の質疑の中でも戦闘行為について、現在もありましたが、国際的な武力紛争というようなことでありますが、この定義は非常に古いと私は思いますね。基本的には、冷戦の前の、冷戦下のソ連からの着上陸というものを想定したものだと私は伺っております。その準用だということを伺っています。
 この定義でいきますと、戦闘でないということで、例えば内戦にどんどん自衛隊を派遣するということでよろしゅうございますか。長官、内戦に。

○国務大臣(石破茂君) 内戦というものがどういうものなのか、これはそれぞれ具体的なケースというものを提示しなければ、内戦について加担をすることになるのかということにストレートにお答えすることになかなかならないと思っております。
 要は、私どもが武力の行使をしてはならないという、今、委員がその定義は古いぞというふうにおっしゃいましたが、日本国憲法の定義によって、我々は武力の行使というものを海外でしてはならないわけでございます。それは、国又は国に準ずる者による国際的な武力紛争というものに私どもは武力を行使してはならない。これは、古いと言われようが何と言われようが、これは日本国憲法のきちんとした要請に基づくものでございます。我々が実際に海外において行動することが、国際的な武力紛争という場面において我が国が武力を行使したと、そのように評価をされないという行動をしなければいけません。
 したがいまして、先生御指摘のように、内戦にどんどん介入していい、そのようなことには当然なりません。それが我々が憲法によって禁じられておる国際的な武力紛争、そしてまたそこにおける武力の行使、そのような評価にならないようにするということに気を付けなければならないのでありまして、内戦にどんどん介入していいと、そのようなことにはならないと考えております。

○木俣佳丈君 今のお答えで、どんどん介入していくというのではないんだと、そういう方針ではないんだという、いやいやごめんなさい、内戦に。例えばコソボとかアフガニスタンとか、こういった内戦が今までありました。こういった内戦に対して、又は将来的にもいろんな内戦が勃発、現在も勃発しておりますけれども、要は、そういったところに戦闘ではないという理由で行くことはないんだということでいいんですね。

○国務大臣(石破茂君) 戦闘ではないんだということでどんどんと行くということにはならない。要は、私どもがやりますことが国際的な武力紛争の一環としての武力の行使にならないようにということでございます。
 仮に、内戦もいろんなケースがございますけれども、判断をいたしまして、国又は国に準ずる者による組織的、計画的な武力の行使というふうになります場合には、いずれにいたしましても本法案によりまして活動を中断する、危険を回避する、そして防衛庁長官が実施の区域の変更という行為をするかしないか、その指示を待つことになります。
 ですから、私どもが、先生御指摘のように、どんどんと介入する、そのようなことはこの法案は予定をしておりません。そしてまた、そのような行為を日本国憲法は予定をしておらないはずでございます。

○木俣佳丈君 いや、もちろんこの法案でどんどん行けるということではございません。国の方針として、ごめんなさい、この法案を離れたところで、要は戦闘地域ではない、戦闘ではないと、つまりは国内の争いであるからということで要は出ていくということは基本的にはないわけですねということを確認したかったということです。
 具体的なものに若干入りたいと思うんですが、例えば宿営地の食料などをねらって数十人、十人とか数人、十人、数十人のグループがこれを盗みに来たと。その場合に、自衛官に危害を加えることもないわけでありますけれども、この場合には防護の対象にこれはなりますか、このものは。長官。

○国務大臣(石破茂君) これは、要は、この法案の第十七条に該当するかしないかということでございます。十七条、つまり正当防衛、緊急避難、危害許容要件というふうになっておりますが、そしてまたできますことは、あとは自衛隊法九十五条というものが使えることになっておるのは先生御案内のとおりでございます。
 その自衛隊員に危害を加えることなく食料だけ盗んだ場合は、あるいは盗もうとしている場合はそれは単に見ているだけかねと、こういうような御指摘でございます。
 これも、そういうケースはなかなか想定しにくいことでございますが、相手方が自衛隊が輸送しております食料、輸送の場合を考えてみますと、他国の物品等の略奪、破壊を謀っていることが明らかであり、警告を行ってもなお略奪、破壊を試みるといった場合には、その試みに伴い、つまり向こうがやろうとしているわけですね。当該自衛官の生命又は身体に対する危険を及ぼすおそれがあると認められる場合には、十七条による武器の使用ができるということになります。
 本当に持っていこうとしている場合には、やめろということを言うことは当然ございましょう。当たり前のことでございます、我々の食料ですから。持っていくのをやめろというふうに制止をする、警告をする、そういうことはございます。
 しかしながら、そこに対して武器の使用があり得るかということを考えますと、これは十七条が規定をするような、そういう場面が生じました場合に限りまして武器の使用、危害許容というものが要件として認められると、そういうような考え方でございます。

○木俣佳丈君 つまり、丸腰の盗賊団が入っていってそれを盗む場合には危害を加えないで、それを警告は言葉では言うかもしれませんが、要は、そのときには武器を使用できません。
 それからあと、NGOや国際機関から救援要請とかが行われた場合は、これは自衛官は出ていくことはできますか。

○国務大臣(石破茂君) 先生御指摘のように、丸腰の人が取っていくときに武器を使用するということはそもそも考えておらないところでございます。
 また、NGO等々の救援要請があった場合にはどうかということですが、それはすべからく法案第十七条、これの要件を満たすか満たさないか、そのことによって判断をされることになります。

○木俣佳丈君 この場合にも、基本的には十七条の要件を満たす満たさないはありますが、一般的に言えば救援活動、救援要請には行けないということになっておると思います。
 それからまた、輸送中に隊員が拉致された場合に、奪還するために出動はできますか。

○国務大臣(石破茂君) 拉致をされた場合にその者を捜索に行くということは当然のことでございます。そうしなければ自己保存機能といいますか、組織としての自己保存というものはできないことになります。拉致をされた人間を捜しにも行かないということであれば、組織は成り立ちません。
 そこで、捜索に行きました場合に、また同じお答えになって恐縮でございますが、十七条のような場面が現出をしたということになれば、十七条に規定された武器使用権限を有します。

○木俣佳丈君 いずれにいたしても、奪還するときには武器の使用ということはできません。基本的にはできないでしょう。できないはずなんですよ。ですから、基本的に自衛隊の方々が、要はいろんなことができない中で出て行けということが、私はこれは本当に自衛隊の方々が惨めな思いをするだけじゃないかということを大変心配をしております。
 最後になりますけれども、我々は民生部門のもっともっと活躍を日本国国民としてするべきだと思います。これは、例えば私はアフガニスタン行ってまいりましたけれども、婦女子の方を含めて大変教育を受ける権利が、権利というか、与えられなかった、本当に大変な国だった。この五百万人の子供たちをとにかく学校へ戻そうなんというバック・ツー・スクールなんという、こういったプログラムがユニセフで行われておりますが、これも実は計画をはるかに上回る規模で実は実行されました。これは日本のNGOの方が、もちろん日本政府の方々、外務省の方々も含めてこれが、一生懸命それをサポートしたからだということを伺いました。
 私も実は小学校、私は愛知県でございますけれども、愛知の小学校や中学校、何校か総合学習の時間に参りました。そういう中で、子供たちがやはりこういう意見を持っておるんですね。
 こんなに貧しい人たちがいるのに、私たちは食べ物もあり洋服もあって幸せだなと思いました。外に出ても面白い楽しい公園や遊園地もなく、ただ地雷や爆弾などしかなく、目の前でどんどん人が死んでいく、そんなところに住んでいる人たちはとても大変。私は文具や食べ物を大切にし、これからアフガニスタンの貧しい人たちにお金や食料、必要なものを寄附してあげたい。見ているだけでなく、そんな人たちの役に立つ人になりたいです。
 これ、こういった作文、私も何百もいただきましたけれども、我々はやはりソフトパワー、これからは交渉力とか文化の力とか、そういうものをもっと発揮するべきじゃないか。つまりは、一階部分、有事ができました。二階部分、周辺有事、三階部分がこの国際協力というところでありますが、三階をこんなに大きくして要は家が建つのかな、私はそんな思いをいたすわけでございます。
 あとはイラクにじかに行かれた若林同僚議員から質問させていただきます。終わります。

○委員長(松村龍二君) その前に、石破防衛庁長官、何か答弁ありますか。

○国務大臣(石破茂君) 木俣先生、一言、委員長のお許しをいただいておりますので。
 捜索には行けます。ですから、全く見ないで……(発言する者あり)いや、奪還、つまり捜索に行くわけですね。拉致された人間がどこに行ったか、捜索に行きます。そこにおいて返せということは当然言うわけです。そこにおいて実際に自己を守るような必要があれば、危害許容要件が生じて十七条によるものはできるということです。だから、何もしないで捜索に行くということはできます。ただ、奪還という行為をやるということではなくて、捜索という行為はきちんとして行う。そうでなければ組織として成り立たないということを答弁を申し上げさせていただきました。

○委員長(松村龍二君) 関連質疑を許します。若林秀樹君。

○若林秀樹君 民主党・新緑風会の若林でございます。
 本題に入るに、ちょっと一呼吸入れさせていただくために、私のこのいでたちの質問をさせていただきたいと思いますけれども、御存じのように、電力事情の悪化あるいは地球温暖化防止への対応ということで、自分ができることからやろうということでこういう格好をして、ちょっとなじんでないと思うんですけれども、私はこの格好をすると寒いんですね、ここ。今何度あるとお思いですか、この室温。まあ、お答えはしなくて結構ですが、調べたところによりますと二十四・五度ですから、本会議でさっき調べたら二十五度でございました。政府が推奨しているのは何度だか御存じですよね、二十八度です。ですから、私は、やはり国会あるいは内閣が本気で地球温暖化防止への対応を図ろうと思えば、まずは二十八度にきちっと上げて、そうしたらどういう服装が必要なのかということを我々みんな考えるべきじゃないかなというふうに思います。
 大平総理のときにこういうことも着れるようになったというお話も伺いましたけれども、私は、やはり総理も率先してそういうことをやっていただくことも必要じゃないか。この服装が目的じゃありませんから、これはやっぱり二十八度でもネクタイがいいという人はネクタイを着ればいいんですけれども、そこまでやっぱり本気でやろうという姿勢が私は必要だというふうに思いますので、もしコメントがあればお答えをいただきたい、なければまたイラク問題に移りたいと思います。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私、賛成ですね、その意見に。国会のことには総理は口出すなとよく言われますけれども、二十八度にすればいいんですよね、ネクタイも取って、上着も取って。だから、私はどっちかというと冷房、嫌いな方なんです。総理の執務室に入るとむっとするなとよく言われるんです。だから、総理の執務室に入るときは上着もネクタイも取ってくださいと言っているんですよ。
 だから、二十八度にしろと官庁やっているのを国会も率先して皆さん働き掛けてくださいよ。そして、二十八度にふさわしい服装を皆さんがしていただければ、もっと省エネに協力できると思います。私は賛成です。

○若林秀樹君 前向きな御答弁ありがとうございました。
 二十八度というと、本当にむっとするんですよね。総理もASEANなんかに行きますと、みんなそれぞれの民族の正装がありますよね。私は、やっぱりこれから長い何十年掛けて何がいいかということも、夏はもうここは亜熱帯ですから、そういうことも考える必要があるんではないかなというふうに思います。
 イラクの本題に入らさせていただきたいと思いますが、今御紹介ありましたように、私も六月の三日から九日までイラクに行ってまいりました。参議院民主党を代表してということでございます。初めて私も中東を訪れまして、イラクに行ったわけですが、よく日本で言われますように、炎天下で額に汗して働くというそういう美徳のような感覚がありますけれども、炎天下で五十度で働いたらやっぱり死ぬ、そういう国じゃないかなと、全然根底から国の成り方がやっぱり違うんだなと。
 イラクを見たときに一番思ったのは、やっぱりしっかりした国なんですよ。GDP一千から一千五百とか、一千五百から二千ぐらいですね。これは社会主義の国ですからなかなか測るのは難しいですけれども、一千五百、二千で見ますと、タイとかブルガリア、ロシアでも二千ちょっとですから、元々しっかりした国なんですね。技術者もいれば、お医者もいれば、看護婦さんもいるということですから、そういう状況の中で見た場合には、確かに被害に、戦争の被害もありましたけれども、やはり十二年間の経済制裁、あるいは二十数年間のやはり軍事優先の社会による疲弊が非常に大きいなというふうに思いましたし、正にこれこそ我が国が果たすべき役割は多いんではないかというふうに思いました。
 私も、自衛隊派遣ということに対しては基本的には中立な立場で、何が本当にできるのかなという視点で見てきたつもりでございます。確かに、十数万の兵が動けば、それに対する支援活動というのはこれは一杯あります、これは本当に。じゃ、それを手伝わないでいいのかということもあると思います。しかし、今現状でこれ、用意された法案で見ると、私は余りにもちょっとお粗末ではないかなというふうに思います。
 それで、復興支援に対しては、いろいろあると思いますけれども、これまた中期的にいろいろやらなきゃいけないことも多いんではないか。その辺、水とか輸送というのがありまして、私、この辺もまた意見がありますので後ほど申し上げたいというふうに思いますが、なかなか正直言って見いだすことはできなかったというのが正直なところでございます。
 全体の感想でいえば、やはり今回の法案を見ると、イラクに対する自衛隊派遣、先にありきであり、本当にイラクの実態を見ているのだろうか。やはり目を覆って、私は、美辞麗句並べた法律の用語は確かにきれいかもしれないですけれども、私は、余りにも実態と懸け離れた状態の中で自衛隊に手足を縛って派遣するということは、私はちょっと今回は賛成できないんではないかなという、そんなふうに思ったところでございます。
 実態と法律が違うとどうなるか。今回の法律でいえば、私は、意味のない死傷者が出る可能性がある、本当の意味のある支援ができるんだろうかという、そういう疑問に達したところでございますので、早速質問に入りたいと思いますが、いずれにせよ、今回の法案の戦争の大義というんでしょうか、これは大量破壊兵器の問題ですから、先ほど木俣委員の方から説明、質疑がありましたので、余りくどいことは避けたいというふうに思いますけれども、いずれにせよ、唯一の今回の法案の根拠は、やはり私は、大量破壊兵器があるかどうかというのはこれからもやっぱり非常に重要な問題ではないかなというふうに思います。
 一つ、ちょっと角度を変えて質問をしたいんですけれども、総理に。
 フセインは大量破壊兵器を持っていたとしたら、何ゆえに、じゃ米軍に対して使わなかったんでしょうか。ちょっとお答えいただきたい。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、私、フセインじゃないからフセインの気持ちまで分かりませんけれども、その前に、持っていないんだったら何で査察を受け入れなかったのか、戦争を避けなかったのかと私は聞きたいですね。

○若林秀樹君 査察の問題はちょっと別の角度でありますけれども、仮にフセインが大量破壊兵器を持ちながらそれを米軍に対して使わなかったということであれば、私は米英がさんざん言っていましたイラク脅威論ということに対する根拠も逆に失うんではないかなというふうに思います。
 とにかく、大量破壊兵器というのは別にイラクだけじゃなくて様々な国が持っているわけですから、現実に使っていない、使おうと思ったのかどうかは分かりませんけれども、私は、やっぱりイラクが本当に大量破壊兵器を持っているかということに対する責任はこれからもいろいろ出てくるんではないかなというふうに思っているところでございます。
 今回の情報収集をさせていただきました。私が現地へ行って聞いたり、これまでいろんなホームページ見たりしますと、米軍は、米国はと言った方がいいんでしょうかね、かなり前から今回のイラク攻撃、そしてその後の占領行政について計画的にやっていたなという感じはしました。
 例えばホームページ見ますと、USAIDという開発庁のホームページ見ますと、四月の時点でもうセブラルマンスという言葉を使っていまして、もう数か月間、占領後の復興の在り方について議論をしてきたという、その上でこういうプランが出た。あるいは、ユニセフのイラク事務所に行ったときに聞きましたところ、一月の時点で占領後の占領行政に関してユニセフにやりたいことをやっぱり指示した、あるいはお願いしたという事実がありました。
 しかし、ここまで私は早いとなると、元々イラク攻撃前提で、後はアリバイ工作のために様々なことを利用していたんではないかなという感じはしますけれども、その辺は小泉総理はどういうふうに思われますでしょうか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 米国の用意周到さは今に始まったことじゃないと思います。というのは、第二次世界大戦で日本が真珠湾攻撃して戦勝気分に沸いていたころ、翌年ミッドウェー海戦で日本海軍は手痛い敗北を喫するわけですが、その前に既にアメリカは、日本が勝った勝ったと騒いでいるときに日本の占領計画を立てていたんですから。それほどアメリカというのは用意周到ですよ。
 そういうことを考えれば、私は、ブッシュ米国大統領と会談したときにも、アフガンの際に、これはアフガンを攻撃する前には必ず、攻撃した後、アフガンの生活支援、復興支援に対してどういう方法が必要かということを十分考えて攻撃すべきだということをブッシュ大統領に強く言ったんです。
 そういうことから考えれば、今回、既に十数年前にフセイン政権がクウェートを侵略して、その後停戦決議を守らない、次々の決議が可決されている。一四四一、昨年十一月、最後の機会を与えるといって、依然としてイラクが最後の決議を生かしていない、守らないという時点で、もう戦争したらどうなるか、戦争が終わったらどうなるか、イラクの復興支援どうなるかということは、当然私はアメリカぐらいだったら考えていると思いますよ。

○若林秀樹君 御見解は分かりました。ただ、用意周到ということのレベルを超えていたんではないでしょうか。むしろ指示をして、具体的にお願いしているわけですよね、その一月の時点で、いろんな機関を回って。
 ちょっと角度を変えますけれども、例えばユニセフに対しまして、占領後に使う教科書の内容について改訂を指示した、ユネスコに行って。それは一月の時点でお願いしていたわけですね、指示をしていたわけですよ。これに対して、一般論で結構ですが、今日、文部いらっしゃいますね。じゃお答えいただけますか。これが本当にいいかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。

○副大臣(河村建夫君) お尋ねの件でございますが、私の得た情報では、一月、三月ごろにアメリカの開発庁がユネスコに対して教科書改訂を委託したということでございますが、ユニセフに対して、またユネスコに対しても同時にというふうに聞いておるところでありますが。
 ただ、これ実際に、アメリカとユニセフとの具体的なやり取りの内容について私どもが承知をしているわけでございませんで、アメリカのイラク支援の在り方についてコメントする立場にないわけでございまして、ユニセフは、その委託については、時期尚早ということで断って、戦後、戦争終わった後に教科書の緊急発行で再発行して、フセインの写真を除いた教科書を新学期までに印刷するというところだけ引き受けたと聞いておるわけでございまして、これについて私の方からこれをコメントする立場にございません。

○若林秀樹君 聞きたかったのは、そういうことをイラク以外の国や機関がやることがいいかどうかということについてお伺いしたかったんです。
 やはりこれは、戦後の教科書、何か昔、黒く墨で塗られたという話もありましたけれども、どんなにフセイン賛辞であっても、その内容についてはイラク人の手によって変えられなきゃいけないという基本原則に対してユニセフは断ったんです、一月の時点で。
 これについて、文部行政を預かる、教科書行政を預かる立場としてどうあるべきかということであったわけで、そしたら、それからユネスコに行って、ユネスコはマスマティックスとサイエンスだけは改訂もしてもいいということでUSAIDからワンミリオンのお金が出ているわけですから、私は、やっぱりこういうことについても、一月の時点からそういう用意周到のレベルを超え指示をし、その内容までを変えるということは、私はいかがなものかということについてお話をしたかったし、やはり国際機関の中立性に対して私は賛辞を送りたいなという、そういう立場の質問ですので、そういう答えを欲しかったということでございます。
 その上で、次にお話を進めさせていただきたいなというふうに思いますけれども、先ほどの冒頭のお話ですけれども、やはりイラクの実態と今回の法案というのは、やはりどう見ても合っていないんですよ。確かに、石破長官が、憲法の要請だ、法的な枠組みを担保するものだという意味は分かりますけれども、それはそれ、憲法からいったら。
 しかし今、例えばブッシュ大統領が、我が国は依然として戦争のさなかにある、戦闘行為は依然と続いているというのはつい七月四日のインディペンデンスの話の中で言っているわけですね。そこに戦闘地域、非戦闘地域を分けるという概念を持ち込むこと自体が、もう私は例えばこれはずれている話だと思います。それは本質が一番分かっている石破長官だからお分かりだというように思いますし、武器の使用基準の問題とか、あるいはアメリカの占領軍の指揮下に入らないという話もそうなんです、これはもう全部。本当に主体的に自衛隊がイラクへ行って活動できるんでしょうか。
 今、世界の各国が、送る国が何が起こっているかというと、むしろ実態的に、派遣する国をどうやって守るかということをアメリカと逆に話して、あるいはオランダの場合には、イギリスと話をして、いざという場合には守ってよという協定まで結んでいるわけですよ。それも、右も左も分からない自衛隊が行って、じゃアラビア語、何人しゃべれるんですか。そういう話なんですよ。
 むしろ、何が起こっても大丈夫なように逆にアメリカとどうするかという話があってしかるべきだというふうに思いますし、本当の意味で、それが自衛隊が主体的にできる、安全なところは大丈夫なんだよということを、目をそらすこと自体が私は政府の罪だというふうに思います。
 もし御意見があれば。

○国務大臣(石破茂君) 先生も外交官お務めでいらっしゃいましたから、よくよく御存じの上での御質問だと思います。
 何度も繰り返してもう恐縮ですが、戦闘地域と非戦闘地域を分けるということをすることはいたしません。これがイラクですよというふうに地図を示しまして、はいここは非戦闘地域です、それ以外は戦闘地域ですというふうに分けるわけではなくて、我々がやることは非戦闘地域でなければならないということをこの法案は書いているわけでございます。これはおかしなことでも何でもなくて、当たり前のことなんです。私たちは非戦闘地域でしか活動してはいけませんから。
 分けられるのかということをお尋ねになるならば、それはそもそもできないというふうな話になってしまいます。私どもは、非戦闘地域でなければ自衛隊というものは活動してはいけない、その法的な要請を条文に書いておるわけでございまして、このことは当然のことであって、分けること自体がおかしいんだという議論はお話が擦れ違っていると思うのですね。そこは御理解をいただけるものと思っております。
 その上で、その上で、それでは非常にフィクションではないかというようなお話、非戦闘地域では行うことはよいのですけれども、じゃ安全なところでやれるのか、あるいは先ほど木俣委員の御質問にもございましたが、丸腰で自衛官を派遣するようなことをするのか、あるいはアメリカの指揮下に入らなくて大丈夫なのか、入るのではないかというお話です。
 これは実際にこの法案が成立をいたしましたならば、きちんとした調査団を出しまして、行くのは実際に行く自衛官たちも参ります。実際に行く人たちが、どのような地域であればよいのか、何を持っていけばよいのか、どのような行動基準で行動すればよいのかということは、実際に行く人たちが、実際に武器を使って、場合によっては自己の身を守るために正当防衛、緊急避難を行わねばならない人たちが見てまいります。そこでニーズというものを把握をし、持っていくものを決めということになります。
 そして、アメリカの指揮に入る入らないというお話がありますが、これは指揮下に入るのではございません。しかし、その場合において、それぞれの国が勝手なことをやりますと、イラクの復興自体が整合性のないものになってしまいます。したがいまして、日本はここにおいてこれをやるよというようなことについての調整は当然行いますけれども、指揮下に入ってアメリカから言われたとおりにやるということをこの法案は考えておりません。
 したがいまして、フィクションの上でということは私はないと思っているのです。委員の御指摘は、確かにおまえの、おまえというのは私のことですが、法律上はきちんとしているかもしれない、しかし現場に行って大丈夫かということはあろうかと思います。ですから、あるいはアラビア語をぺらぺらとしゃべれる人間は今のところ自衛隊にはそんなにおりません、正直申し上げまして。今、でも、基本的な日常会話はできなければいけませんし、同時にイスラムの文化というものをきちんと理解していきませんと、とんでもないことを起こしかねない。その教育はきちんといたします。
 その上において、本当に何が、何を行うことが日本としての国際的な責務を果たしたことになるのか、十分に考えてまいりたいと思います。

○若林秀樹君 今いろんな角度から申されたというふうに思いますので、いろいろコメントしたいところもあるわけですけれども。
 確かに法律上、憲法の要請だからということで、そこから入らなきゃいけないというのはありますけれども、それでここの実態と合わないのであればこれ自体をやめるという選択もあるわけですから、これは私、結論で言おうと思ったのは、だから日ごろから基本法的なものあるいは恒久法的なものを議論する、それは中身は別ですよ、どうなるか、それがスタートなんですよ。先ほど小泉首相はそれはこれからのことだというふうに言っていますけれども、まずそこがない中でこういうことをやるから無理がいろんなところで来るわけですから、それを、申し上げたかったのは、結果として無意味な死傷者が出たりなんかすることを避ける、その順番があるでしょうという話なんです。
 それについてはどうですか、小泉総理、もしよろしかったら。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、今までの議論を見ていれば、今、一般法、恒久法を作ろうと言ったら、また別の反対論が出ますよ。今までPKOを出すのだって徹夜で反対されていたんですよ。自衛隊を海外へ出すということだけでもう憲法違反だと。牛歩、のろのろのろのろ、私、経験ありますよ、よくこういうことをできるなと思うぐらい。自衛隊が海外に行くからすぐ戦争行為になる、戦争につながるという議論がこの二十数年間、延々と繰り広げられて、今PKO活動だったら自衛隊派遣しても結構ですよというのが、当時あれだけ賛否両論があったのが、今ほとんど、まあ自衛隊、PKOだったらいいだろうということになってきたでしょう。
 そういう点において、自衛隊派遣すればすぐ戦争につながるという勢力は一部にありますが、これは、大多数の国民は自衛隊が海外に出ていっても十分平和協力活動はできるという意見に変わってきた。
 今こういうイラクの支援法案が出て、こういう状況で各国と協力して、自衛隊も人道復興支援できるんだなという経験を積んでいけば、ああ、もうその都度、何か起きたら新しい法案じゃなくて、もっと基本的な恒久法を作った方がいいじゃないのかという議論が出れば、その時点で自衛隊も国際貢献活動を十分海外でできるんじゃないか、そのための法整備が必要だという点を見極めてそのような議論に入っても遅くないのではないかと私は思っております。

○若林秀樹君 私は、それは遅くはないと、遅いです、もう。やはりテロ特措法からいろいろずっと積み上げてきましたけれども、やはりどこかできっちりと対応しなけりゃいけないので、今は時間が掛かるからじゃなくて、やっぱり順番というものを日ごろからやっておくということも必要ではないかなと思っています。
 韓国の例を見ますと、この辺、なぜ三月の時点で韓国が動き出したかというのがその詳細は分からないんですけれども、いずれにせよ、韓国の場合は基本法があるわけじゃなくて、憲法に国際平和の維持に努めという項目と、一方では、国軍の外国への派遣は国会が同意権を持つというこの二つをもって、急にやっぱり三月の末の時点で承認をして、もう五月には七百数十名ですか、もう行かれて活動しているということですから、もう国会も終わろうとしているのに、やおらやっぱりやるんじゃなくて、もう、これは別にそのことを、自衛隊の派遣を推し進めているということじゃなくて、やるんであれば早めにきちっと、やるべきことをタイミングタイミングでやっぱりやるということも必要ではないかということを申し上げたいというふうに思っております。
 治安状況でございますけれども、私ははっきり言って悪くなっているんではないかなというふうに思います。与党の調査団は、全地域が非戦闘地域ですか、あるいは良くなっているというお話もありましたが、私は悪くなっているんではないかという危惧を感じます。これは具体的にお答えを求めようと思いましたけれども、時間がありませんので進めたいと思いますが、例えば、イギリスが南部で六人殺されたという話がありました。イスラム文化の理解が不足している。しかし、イギリスというのはかつての宗主国であって、そういうことを分かりに分かった上でもこういう事故というのはやっぱり起きるんですよね。
 私も、アメリカ軍というのは銃をこうやって持ちながら行きますけれども、向こうはなるべく刺激しないように、丸腰だったりベレー帽をかぶったり小銃だけだったりということで気を付けながらやりながらもそういうミステークというのはやっぱり起こるという状況ですから、私は、今、自衛隊に求められているのが、本当にぱっと行ったときに、そういうふうに三か月どころじゃやっぱり対応できないし、聞くところによると、アラビア語をしゃべれるのは四名ですか、そういうコミュニケーション能力というんでしょうか、どこかの安全地域へ行ってもそういうグループはいて、話を付けなきゃいけないわけですよ。みんなボランティアで守っている兵隊かもしれないのに、そこと話を付けるということに対して、とてもじゃないけれども私はおぼつかない。そのためにも、行くんであればアメリカとの協力というのは不可欠ですし、先ほど指揮下に入らないというのがありましたけれども、守ってもらうとしたら、もうそれは指揮下以前の問題ですから、やはり本当に、空港近くで水を何か売るといったって、それはもう自衛隊だけじゃなくて、全体をアメリカ軍がいろんな包囲をしながら防護しているからできる可能性もあるわけですから、余りそういうふうに安全などがどうのこうのという目をそらすようなことは私はやめてほしいなというふうに思いますんで、そういう意味を含めて、私は今の自衛隊にその能力はないし、極めて危険だなというふうに思っているところでございます。
 その上で、ニーズなんですけれども、先ほどヨルダンから物資が云々という話がありました。これはちょっとお見せできないんで残念なんですけれども、これはヨルダンの国境でバグダッドで荷物を下ろして入ってくるトラックの列なんですね。十トントラックが数キロにわたってヨルダン国境を通過するだけに待っているんです。もう空なんです、一杯積んで。ですから、その道路というのは完全に確保されていますから、物資はばんばん入って、基本的な物資というのは私はかなり入っているんだろうと。それをあえて自衛隊が行ってその物資をバグダッドへ運ぶなんということは、むしろこれがやった方が安く早く簡単に、コストも掛からずできるわけですね。だから、緊急物資とか人の輸送というのはありますけれども、それだけ多くニーズがあるとは私は思えないと思います。
 それから、水の問題なんですけれども、水についても基本的にはユニセフがやっていますので、やはりユニセフの援助活動に対して一元化すべきではないかなというふうに思います。
 ですから、買える人の水というのはどんどん運ばれてきますし、できるわけですが、中長期的な水の復興というのは、上下水道も含めてこれはやらなきゃいけないんですから、それは自衛隊が自ら行ってやるんじゃなくて、そういうところを含めてやるというのが私は流れではないかなというふうに思っています。
 アメリカ人があのチグリス・ユーフラテスの川を幾ら浄化したからって、それを飲むとはちょっと思いにくい。それは生活用水として使うかもしれないですが、一般の国民に配ろうと思ったらそれこそ配り方だってこれ大変なんですよね。それこそ水を運ぼうと思ったら輸送しなきゃいけないですし、来てもらおうと思ったら、いろんな人が集まって、それこそそこで何が起こるか分からないという状況ですから、私は必ずしも水の浄化するといったって、じゃ、本当にそうなんですかねというところが、思うところがありますので、もしそれに対して反論があればお答えいただきたいと思います。

○国務大臣(石破茂君) このニーズについても現在確定をして、水の浄化が絶対的なニーズであるということを申し上げたことはございません。
 しかしながら、先生も御指摘になりましたように、例えば水はある、しかし飲める水ではないというのもございます。水道をひねれば確かに水が出ることもあるが、これは飲めない、あるいは雑菌が入っている、さびが入っている、こういうようなこと現状は続いております。そして、国連の緊急アピールでも、これをやるなりには莫大なお金と、そしてまた長大な時間が必要であるということは国連の緊急アピールでも出ておることでございます。
 私どもとして、浄化能力というもの、非常に高いものを持っております、自衛隊といたしましては。ペットボトルにいたしまして十何万本分の水が一日で作れる、そういうような能力を持っております。仮に、現地に行ってみまして、そういうニーズがある、そして我々がその能力を持っておる。先生御指摘になったように、じゃ、それを浄化して、皆さん取りに来てくださいねという形にするのか、それとも我々の方からお配りをするのか、そういうようなことは現地の治安等々を勘案しながら考えることだと思っております。
 いずれにいたしましても、ニーズがあって、我々が能力があって、そしてまたそれが非戦闘地域で行われ、我々の任務が安全に保てるということがあるとするならば、我々の能力を活用したい、このように考えておる次第でございます。

○若林秀樹君 お話としては分からないわけではありませんけれども、水のもの一つ取っても、仮にやるにしても、とにかく人は一杯いるわけですよね。技術を持った人がいるから、やっぱり向こうの人を使って雇用を生み出すということが中長期的にも治安維持になるわけですから、自らやることがいいことではないということを申し上げたいというふうに思いますし、ユニセフで、一方でもうお金出しているわけですよ、ユニセフには。これは教育の分ですが、日本は。でもやっているわけですから、そういうところをいかに連動するかということをやっぱり考えてほしいなと。だんだんそうなっていくと、必ずしも自衛隊である必要はなくなってくるという部分も出てくるんではないかなというふうに思っているところでございます。
 支援のところの話をしたんで、実は六月末に支援国、非公式の会合があったということで伺っておりますけれども、十月に本格的な支援会合をやろうということです。今、各国がそれぞれのニーズを持ち合って、どういうパッケージが作れるかということを議論しているかというふうに思いますけれども、川口大臣にこれからの復興支援の在り方、そして、是非この復興支援会合を私は日本でやられたらいいんではないかという気がしております。アフガニスタンでもやりましたし、私もイラクへ行って国連の機関、幾つか言いましたけれども、これはかまを掛けているのかどうか分からないんですけれども、実は日本でやるんですってという話を逆に言われたんです、そんな話一切もないのに。それだけ日本に対するやっぱりある意味での信頼感があるのかなというふうに思いますんで、是非ともそういうことを前向きに考えていただくことも必要じゃないかというふうに思いますんで、川口大臣の御意見をちょっとお伺いしたいと思います。

○国務大臣(川口順子君) この間のイラクの支援国会合でございますけれども、そもそもこれの発端は、実は日本が、国際機関を中心にこういうことをやったらどうだろうかということを言いまして、それを受けて国連がやりますというお話になって、G8のサミットでこれについてのエンドースメントをいただいて、国連等が主催をしてこの間ニューヨークでやったという形になっております。それで今後でございますけれども、日本としては、コアの国の一つとして、この支援国の会合の開催に当たっては共催国となる用意があるということは言っております。
 場所についてのお話ございましたけれども、これはいろいろな関係国がある中で、これは全体、国際社会として決めることになりますけれども、やはり国際機関のあるところ、それからイラクの周辺国等々でやったらどうだろうかということで、次の会合についてはそういうことで考えております。具体的にどこになるか分かりませんけれども、日本、アメリカ、EU、ア首連、国連開発グループ、世銀、IMF等がこれの中核としてやっておりますので、そういった国々と相談をしながら場所は決まっていくことになると思います。
 今回、次の会合について日本で行われるということは、そういう意味では、周辺国でもございませんので可能性は少ないと思いますが、一般的には、これは、我が国はこういうことについては大変に熱心でございまして、アフガニスタンでは昨年の一月にやり、また、ついこの間六月にスリランカの復興開発会議を東京でやって、アフガニスタンと同様の四十数億ドルの資金が国際的にはコミットをされたということで、日本がやると必ずうまくいくということにはなっておりますが、これについてはそういう状況では動かないのではないかと思います。
 内容的にはしっかり日本としては中心となってやっている、場所についてはみんなの便利なところでやりましょうと、そういうことではないかと思います。

○若林秀樹君 ありがとうございました。
 恐らく、日本が手を挙げれば、皆さん喜んで是非日本にという声になるんではないかなというふうに思いますが、それはいろんな事情があるかと思いますので、是非前向きに、その中身も含めて積極的に考えていただければなというふうに思います。
 ちょっと順番があちこち行って恐縮でございますが、私は、今回の法案でこれも改正すべきだなと思うのは、やっぱり国会の事前承認の問題でございます。
 小泉総理にお伺いしたいのは、衆議院の審議の中では、「議論の余地がある」と言っていたんですけれども、議論の余地はどこかへ行ってしまったんでしょうか。ちょっとお答えいただきたいと思います。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今回の法案は、イラク復興支援に自衛隊を派遣することが認められるか認められないかという議論が今重ねられているわけであります。この審議こそが言ってみれば事前承認的な法案であります。でありますので、私は、今回の法案はそのようなことは必要がないんでないかと、この法案の成立によって自衛隊の派遣が承認されたと、事前承認的な意味を持つものではないかなと、私はそういうふうに思っております。

○若林秀樹君 小泉さんは「議論の余地がある」と言ったわけですから、それはどういう理由でなくなったのかということについてお答えいただきたいということです。今、冒頭おっしゃったところは理解できるところでございますけれども。

○国務大臣(福田康夫君) 確かに、議論の余地はあるというふうに総理が言われたのは私も承知しておりますけれども、その前に、この事前承認については現在の法案ではいいのではないかと思うと、こういうふうに言っているわけなんですよ。ですから、恐らく総理の意識としては、全体的なことについて議論の余地はあるというように考えられたのではないかと私は思っています。
 今、総理から答弁されたとおりでございまして、この法案そのものは非常に限定的でございます。大原則というのは、もうイラク、今、総理も言われたイラクの国家再建への寄与と、こういうことでございまして、その中で、そういう前提の上で、基本原則でいわゆる非戦闘地域だとか受入れ同意の要件とか、また第三条には対応措置の内容もきちんと書いてあります。また、第十七条には防衛のための必要最小の武器使用の問題ですね、必要最小限の武器使用ということも書いてございますし、基本計画の決定、変更、終了後の、終了時の国会への報告、これは第五条であります。それから安全確保、第九条、また有効期限も四年と、こういうようなこともずっと書いてございまして、かなり限定的なんですね。ですから、特別措置法という名称も付いているわけでございまして、この法案そのものがこの一つの目的にかなう、その後のいろいろな行動についてこの範囲の中で行うということにおいて、あとは基本計画それから対応措置という面において閣議決定をするとか、また国会に対する事後報告をするといったようなそういうことも入っておりますので、事前承認で十分ではないかというのが政府の考え方であります。

○若林秀樹君 ありがとうございました。
 今の官房長官の方から限定的、特別措置法というお話がありました。この法案自体が審議だという話もありましたけれども、そういうことであれば、もっともっとやっぱり具体的にどういうモデル事業があって、どういうことをやるのかということを逆に示してもらわないと、我々は判断できないですよ。こんな、やっぱり特別措置法であればあるほど、やっぱりそれは中身が整って、併せて承認するということになるわけですから、それは取りあえず枠組みだけ決めて後でニーズを調査して何かやろうと、それで基本計画だ、事前承認なしということは、論理としては私は、特別措置法、今、限定的ということまでおっしゃるのであれば、私は、それは参議院の役割としてそういうことをきちっと審議していく、そしてそちらから事業の提示をしていただくということが、私は必要ではないかというふうに思います。官房長官。

○国務大臣(福田康夫君) 私が限定的と申し上げましたのは、先ほど申し上げたような各条に記載されている、そういう限定があるということであります。そういう目的にかなった行動であるということでございまして、対応措置の内容についても記載がございます。ですから、そういう範囲でやらせていただく行動だということであります。
 あくまでもイラクの復興に貢献する、そしてまた国際協力という観点から行うことであり、自衛隊の活動、そしてまた文民の方々にも参加していただくと、こういう活動でございます。

○若林秀樹君 これは、イラク限定のため、限定の特別措置法なんで、やっぱりそういうものを、もう少しやっぱり具体的に事業の中身として提示をしていただきたいというふうに思いますので、これは要望として、まだまだ審議時間はいろいろありますし、秋も臨時国会が開かれるかもしれませんので、時間はありますので、もっと具体的にこの通常国会の中でもお示しいただきたいと思いますので、そのことについて要望して、御答弁いただきたいと思いますが。

○国務大臣(福田康夫君) イラクの今の状況というのは、まあ御案内のとおりでございまして、変化がありますね、変化があるんです、これを認めないわけにいかないんです。ですから、そういう状況も、よく情報を入手して、そして調査して、そしてその上で、特にこの自衛隊の活動については武力を、武力の行使というものに当たらないという憲法上の制約があるという、その安全上の問題ですね、この点も十分に調査をした上で派遣をするということでございますから、また、その時々、今すぐ、これ法案が通ったらすぐ派遣するということでないということでありますので、時間的な問題もある、時間の経過によってニーズも変わってくるかもしれぬと、そういったようなことも考えながらこれから計画を立てていかなければいけない。
 しかしながら、委員のおっしゃることもよく分かりますので、その点についてはできるだけの努力をしてみたいと思っております。

○若林秀樹君 ありがとうございました。
 私、やっぱり参議院の役割として、慎重審議をやっぱりこの中でやるということが必要だというふうに思っていますので、可能な限り、できる限りそういう情報等を我々にお示しいただきたいなというふうに思っております。
 もう時間が、なりましたけれども、今の答弁を聞いている限りにおいては、冒頭申し上げましたように、やや、実態とこの法案がやろうとしていることに対してまだまだこんな開きがあろうかというふうに思っていますので、引き続き、あしたから外交防衛委員会もありますので、私もあしたまた質問に立つ予定でございますので、質疑をさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。


2003/07/09

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