2003年7月10日

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156 参議院・外交防衛委員会−(1)

イラク復興支援特別措置法案について
質問者=桜井新(自民)


平成十五年七月十日(木曜日) 

○委員長(松村龍二君) イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。

○桜井新君 自由民主党の立場で、イラク対策法案について質問をいたします。
 まずその前に、昨日明らかになった長崎市の中学一年生による殺人事件は、心のやり場のない衝撃でありました。今年に入ってから毎日のように起こる殺人事件や自殺事件は、イラク対策どころではない思いであります。大人の世界として国家非常事態宣言をして対策を立てるべきではないかとさえ思っております。
 福田官房長官、あなたの昨日の夕刊のコメントも読ませていただきました。しかし、本当にこれは異常事態としか言いようがないわけでありますが、福田長官としてはこれにどう対処するつもりだか、あなたの考えを聞かせてもらいたいと思います。
○国務大臣(福田康夫君) 御指摘のとおり、昨日中学生が、中学一年生というんですけれども、殺人を犯して補導されたと、こういうふうなことでございまして、私どもといたしましても本当に衝撃的であると、こういう事件であったわけでございます。
 また、事件そのものが、その中学生が、人を殺すということについてどのぐらいの重大な意味があるかということについて認識があったのかどうか、もし認識が薄かったとすれば、これはやはり私は、家庭の問題があるのか、若しくは社会の問題があるのか、私は社会の問題も非常に大きいと思います。
 特にこの社会の問題ということになりますと、昨今、ただいま委員から御指摘ございましたとおり、犯罪が発生数が増えております。急増しております。これは平成十年ごろから急激に増えているというのは、私もグラフを見てそれが分かったんでありますけれども、ちょっと異常な状態にあるというように私も思っております。
 これ、青少年問題ということもあるかと思いますし、それからまた取締り面の問題もあるかもしれぬ。これ両面のことだろうというふうに思っておりますので、その辺をどのように考えていくべきか。これは私も政府として取り組むのはちょっと遅いのではないかというように思っておりますが、これは早急な対応を考えなければいけないと、こう思っておるところでございます。

○桜井新君 余りにも戦後、物欲、お金、そのことに振り回され、特に最近は、時価会計とか減損会計とか、そういうことで企業の経営もお金に振り回される。毎日鉄板の上で鉄板焼きをさせられているような思いであおられていることは我々の日本人の習性に合わぬことだと。生まれてから子供を育てる家庭の中の文化というものが全く無視されてきてこうなっているんだと思うので、我々自由民主党は、与党として、このことで特別小委員会まで作って今討議をしておりますが、ある意味で大人たちが本気になって、何が人生で一番大切なのかということをもう一回思いをそこに寄せて、私は、自警団のようなことを、みんなで立ち上がらないと、大人が立ち上がらなかったら、学校の先生方だけに任せておいても駄目だと思う。そういう意味で、是非真剣にこれは閣議として考えていただきたいと注文を付けておきます。
 それから、さて、六月の会期延長が決まって以来、イラク対策法案で努力されておる政府関係者には心から敬意を表します。これまで衆議院における審議の模様を勉強させてもいただきました。また、去る七日の参議院本会議の代表質問への総理並びに関係大臣の答弁も聞かせていただきました。しかし、釈然としない点が幾つかありますので、今日は、昨日の連合委員会のことも含んでただしたい、たださせていただきたいと思います。
 その前に、並みいる野党の皆さんも含んで皆さんどうお感じだったか知らぬが、この間の本会議の小泉総理の答弁は余りにも事務的過ぎて、国民に対して失礼千万だと私は思っております。もう衆議院でさんざん説明してきた、また同じことをやるのかと言わんばかりに、原稿棒読みのような粗雑な態度は参議院に対する無礼であると苦言を呈しておきたいと思うので、官房長官は総理にこのことはきっちり言っておいてください。やっぱり院が別なんですから、院が別なんですから、ここへ来たら参議院を通じて国民にどう語り掛けるかという態度が必要だと、こう思っております。予定よりも三十分も時間を余しておりますから、これは私の方からの苦言だということでありますから、答弁は結構です。
 さて、本題に入りますが、昨日の質問にもあり、小泉総理も再三にわたり声を荒げてまでその正当性を主張しておりましたイラク攻撃への日本の支持表明については、私は賛成であります。今の国際情勢の中で日米安保を基軸として日本の安全を守る立場からやむを得ない選択であったと思います。そうであれば、一刻も早い表明が効果的であり、外交戦略としては評価すべきものだと思っております。
 次に、フセイン政権を倒し、ひとまず攻撃を収めたことは誠に良かったと思っております。しかし、現地ではいまだに連日のようにゲリラ的なテロが発生し、英米軍やイラク人の犠牲者が続出しております。せっかく四半世紀に及ぶ独裁者による圧制から国民を解放し、安心して暮らせるイラク人の生活を願っての戦闘であったはずであります。占領軍の努力でイラク人の理解を得て、一日も早い暫定政権の樹立を祈ってやみません。現地視察に行かれた議員さんの報告を聞かせていただき、イラク一般国民の安心を願ってやまないところであります。
 さて、本論に入りますが、質問の第一は、隊員の拉致対応についてということでございます。
 まず最初に、福田官房長官にお聞きをしますが、あなたは昨年暮れ、あっ、拉致対応じゃありません、別のことでした。失礼しました。あなたは、昨年の暮れ、明石さんを座長とする国際平和協力懇談会を設置し、三項目に要約される答申まで得ていながら、イラク法のような個別法でなく、恒久法に踏み切れなかったのはどういうわけですか。小泉総理の説明を昨日聞いたが、理解できなかった。せっかくのチャンスを生かせなかったような気がしてなりません。これはどういうわけでしょうか。お聞かせ願いたい。

○国務大臣(福田康夫君) 御指摘のように、昨年の十二月に明石レポートというものが提出されました。これは、総理が昨年の春だったと思いますけれども、オーストラリア、ニュージーランドでしたかな、でスピーチをしまして、(「シドニー」と呼ぶ者あり)あっ、シドニーですか、オーストラリアですね。シドニーで昨年の五月でございますが、政策演説を行いました。その中で、我が国が紛争に苦しむ国々に対して、我が国としても平和の定着とか国づくりのための協力を強化して国際協力の柱とするための必要な検討を行うと、こういうような内容のスピーチをいたしました。これを受けまして、明石さんを中心とした懇談会を設立いたしまして、これは総理の懇談会でございますけれども、そのレポートが昨年十二月にまとまりました。
 もちろん、これをすぐ法制化するというようなことになりますれば、今回のものに間に合うということでありますけれども、しかし時間的にいいましてもそうはならないということでもって、この検討は実は、今検討は進めておりますけれども、本格的にはこれからその大綱を作っていこうと、大綱を作ってその上でその大綱に基づいて法律を作っていこうと、こういう考え方でいるところでございます。
 ですから、今回の法案については間に合わないということでありますけれども、しかし考え方は基本的には同一方向だろうと思います。しかし、細部いろいろ点検しなければいけないところがある、自衛隊はもちろんそうでありますけれども、国際協力法とか、それから地方公務員にもお願いするとか民間の方にもお願いすると、それぞれの法律というか体系、法律体系の中にそれぞれを取り込んでいくということになりますと、相当大きな法律になる可能性があるというように予想されます。
 これは私は、これからの日本が国際社会の中で生きていくためにどうしてもこういうことはしていかなければいけないんだと、そしてこれが日本の国際社会に対する一つの大きな役割なんだと、それもまた国家としての役割だというような位置付けを是非ともしてみたいというように考えて、これは総理もそのように考えておられるんでありますけれども、そういうことであれば、慎重にこの分については検討していきたい、その上で立派な法律にまとめ上げていきたいというように考えております。これは日本がこれから生きていく道筋を示すことにもなろうかと思いますので、これは極めて大事な法律になるんだろうというふうに思っております。
 そういうことで、今回のイラクのこの復旧には間に合わなかったということでありますけれども、そちらの方はそちらの方で急いで成し遂げたいというように考えておるところでございます。

○桜井新君 私はこれは、あなたが今言ったのはもちろん言い訳で言っているわけですが、言い訳のための言い訳だと思うんですよ。六か月もあるんですから、あれから六か月待ったんです、半年あったんですよ。本気でやる気であればできるんで、さっき冒頭に話をした教育のことも、外交防衛のことも、治安のことも、やっぱりこれだけの変化をしているときですから、それは野党の皆さん、我々だって国民のために何をしようということにそんなに大きな差があるわけじゃないんですから、本気で私は話し合う、今からだって、この法案の中でまだ期限のことも含んで、あるいは暫定政権をどうするかということにも含んで、やっぱり本気で話し合うべきだと私は思っておりますから、もうちょっと真剣に取り組んでいただきたいと、こう思います。

○国務大臣(福田康夫君) お言葉でございますけれども、これはただいま申しましたように大きな法律だと思っております。そしてまた、自衛隊法の改正とか警察法の改正とかいろいろな法律の改正も含むわけでございますので、そう簡単にはできません。法律を作る前にこの道筋をきちんと立てなきゃいかぬ。そのためにはやはりこれは与党の中は当然でございますけれども、野党にも声を掛けて、そしてできるだけ多くの方々がこの考え方に賛同していただけるような、そういうような大きなものを考えていきたいというように考えておりますので、そう半年やそこらでどうこうというわけにはいかない。大綱を作るにしても、半年やそこら掛かるんじゃないかと思っております。

○桜井新君 これは現にアフガニスタンだってイラクだって、今から憲法でさえ大急ぎで作らなきゃならぬ。それは必要に迫られれば人間何でもやるけれども、ゆとりがあると思ってやっているうちにほかに支障を起こさなければいいけれども、子供たちの事件のようなことが起きてからじゃ間に合わないんですよ。ですから、あえてそのことを再度重ねて注文をしておきます。
 次に、もし現地に派遣された兵隊さんが拉致をされた場合のことを昨日もどなたかが触れられておったようでありますが、念のためにもう一回聞かせていただきたいと思うんですが、舛添要一委員の七日の本会議における質問に対して総理の答弁は、言葉としては分からないではないけれども、余りにも簡単に要約されちゃって、抽象的過ぎてとても理解が得られるようなものじゃなかったと思う。六月の二十四日の衆議院における石破長官の中川議員に対する答弁で、派遣隊としての隊長の下、組織的に情報収集や保安、防備体制、万全を期すと述べておられるが、これが本当にやれるのかどうか。隊員が輸送業務中もし反占領軍勢力などに拉致をされた場合に自衛隊はどう対応するのか、またその際、武器使用はどこまでやるのか。法文的な説明ではなく、石破長官、国民に分かるようにひとつあなたの言葉で説明してみてください。

○国務大臣(石破茂君) 拉致というようなことが起こらないように情報の収集に努める、そういうことが生起しないように万全を尽くすということは当然のことでございます。しかしながら、全くそういうことがないということは私はあり得ない、そういうことは排除されないものだと思っております。
 昨日も御質問がありましたが、じゃ、そのときに奪還ができるのかという御議論がございます。私は、昨日、捜索には行けるというふうに申しました。そういたしましたらば、何だ捜索なのかと、捜しに行くのかと、その後どうなるかといいますと、捜索をした結果、あるところに監禁をされているというような場面に遭遇をしたといたします。そのときに、我が日本の隊員であると、返してくれということを強く要請をし、交渉するという行為をいたします。奪還はできるのかというお話なのですが、奪還という言葉はそれが何を指すのかよく分かりませんが、その奪還という言葉の中に武器の使用を行ってまで奪還するという意味だといたしますと、それはこの法文には予定をされておりません。
 武器の使用というのは、あくまで自分の身を守るためにということに限りまして認められております。これはこの法案に限ったものではございませんで、ほかの法律でもそうでございます。そして、捜索に行きました結果、自分の身に危害が及んだ。そういう場合には、本法案第十七条に基づきまして武器の使用を行うことはあり得ます。しかしながら、この条文の構成といたしまして、最初から武器の使用を予定をして奪還をするということまでは予定をいたしておりません。
 じゃ、なぜ捜索に行けるのだということでございますが、捜索に行ける根拠といたしましては、それは硬い言葉で言いますと、組織としての自己管理機能という言葉を使わせていただいております。すなわち、隊員がいなくなるということは、それによって組織が維持できない、維持管理ができないということを引き起こすことでございます。
 自衛隊という部隊の維持管理行いますために、その重要な構成員である隊員が拉致をされた、それを捜索に行く。そこにおいて、仮に説得、要請等々が功を奏さず、向こうが武器を撃って使った場合、こちらから使うことはあり得ません、その場合に、十七条に基づく武器使用はあり得るということを答弁を申し上げておるわけでございます。
 実際に拉致をされる、現場で拉致をされそうになったという場合は、それはもう十七条というものは使う場面が出たといたしますと、そこの場で正当防衛、緊急避難で武器を使うことはあり得ます。
 以上でございます。

○桜井新君 そういう程度のそういう説明ではなかなか隊員や我々が納得できない。
 拉致をされた隊員を捜しに行くことはできても、捜しに行った人が危険にさらされなけりゃ武器使えないなんていったって、そんなことは、現場へ行っている人たちはそんなこと一々やっていられる話じゃなくて、本当に捜して助け出すというのであれば、最初の、十七条の条文に、自衛隊の隊員とそこに所属する人たちの身体を防衛するためにやむを得ないとなっておる。十七条の一だか二にそのことが書いてありましたね。そこに一緒に働いている人たちも守る、そのために必要であれば武器を使ってもいいと書いてあるんですが、その範疇の話だと思いますよ。
 最初に、あんた、拉致されていっちゃったと。それを捜し出して、武器を使っても捜し出して助け出すという責任でなければ、だれが組織的にそんなところへ行かれますか。そうであれば、そういう危険状態があるとすれば、元々、私は、暫定政権ができるまではこのテロが続くんだろうし危険があるんですから、テロというのは地域の指定なんかできないんでしょう。
 あの九月の十一日だかのテロ事件が起きた後で、アメリカのブッシュ大統領は、これからは国家対国家の戦争じゃないと言われましたね。そういう限定はできなくなると、そういう話をされた。正にそのとおりだと思う、どこで何が起きるか分からないんですから。
 だとすれば、暫定政権ができるまではなかなかそういう指定というのはできないと思う。それだけに、出ていく兵隊さんたちは相当の装備とそれから情報収集、監視、監視というか、歩哨というんですかね、昔の言葉で言えば。そういうことがきっちり組織的にできる、そして安全な作業が守られるという保証がなければ、そんなところへ兵隊さん出せますか。NGOと違って国家の命令で出ていくわけですから。
 私は、そういう意味で、この拉致事件に対する防備の仕方はやっぱり十分再検討していただきたいと、こう思います。

○国務大臣(石破茂君) よろしいですか。桜井先生、よろしゅうございますか。

○桜井新君 はい、どうぞ。

○国務大臣(石破茂君) 御指名いただきましたので、お答えを申し上げます。
 先生の御指摘はそのとおりだと思います。
 まず、問題は、拉致をされないようにということでございます。私どもは、当然、非戦闘地域でなければ活動はできません。そして、その中で実施区域を定めるに当たりまして、やはり比較的治安のよろしいところといいますか、自分たちが持っていく武器や権限、それで安全が確保される、そういうことでございます。丸腰で行くわけではございません。当然、自分たちを守るという範囲におきまして、限度におきまして武器も持ってまいります、権限も与えてまいります。したがって、拉致がされないようにということに万全の配慮を尽くしてまいるわけでございます。
 それで、それにもかかわらず、なお拉致をされた場合に、これは私の理解が間違っておるのかもしれませんが、最初から撃つ、すなわち向こうが撃たないのにこっちが銃を使って奪還をするという行為までは予定をいたしておりません。やはり本当に捜索をし、発見をし、説得をし、交渉し、要請をし、その中でなお向こうが武器を撃ってきたと、武器を使ってきたと、そういう場合に正当防衛、緊急避難で撃てるということでございます。
 まず第一に、そういうような場面にならないように活動する。そのような場面に、そのような場所において活動したとしても拉致をされるような場合には、当然、正当防衛、緊急避難というものを使って武器が使えることもあり得るということでございます。
 したがいまして、全く隊員のことを考えずに、そうなったら知らないよということではございませんで、そうならない地区で、仮にそうなったとしても正当防衛、緊急避難で武器が使える場面がある。そして、捜索に行ってそういうような場面に遭遇すれば、十七条で武器は使えるということでございます。

○桜井新君 私は政治家になる前は建設業、自分の技術は建設工事の方ですから、仕事をやってきました。それで、新潟の田舎だから、関東や関西まで出稼ぎに歩いてきた。橋も架けてきたし建築もやってきた、トンネルも掘ってきた。そういうときの安全管理というのは、安全六法なんか見ちゃやっちゃいられないんだよ。やっぱりたくみの技と同じで体で覚えて、職人でなければ使えないんだよ。そういうのが何人かいなければ、みんなを守れないんだよ。兵隊さんだって、そういうことを体で覚えさせているんだから、こういうことは使ってもいいと。
 それで、あんたが言ったようなことじゃなくて、臨機応変に、それは隊長の下で組織的にどう行動してもいいという話がなければ、安心してなんか行けるものか。だから、そういうことをしっかりやってくださいと、こう言うんですよ。条文なんか幾ら書いたって、野党の皆さんに責められないように責められないようにという法文ばかり書いているんだから、現場では役に立たないんだよ、こんなのは。だから言っているんですよ。
 だから、私は、そういう意味で、暫定政権ができれば、日本に親日感情のある国なんですから、あの国は。少なくとも英米とは違うんですから。それぐらいのことは努力をして、どっちみち準備や調査の間に一、二か月掛かるんですから、私は、急いで暫定政権を作らせてやるというようなことをこの際、約束をしてもらいたいと、その上で出ていくというふうにしてもらいたいと、こう思っております。いかがでしょうか。

○国務大臣(石破茂君) 確かに、その場で六法を見ながらというような、昔「宣戦布告」という小説がございました。そしてまた、映画にもなりました。多分に劇画的なものですが、そのときに官僚が出てきまして、安全保障六法でこれはできるとかできないとか言っておって、こんなもので現場に対応できるのかというようなものがございました。そういう意味で、先生の御指摘というものはよく考えなければいけないと思っております。
 ただ、私どもは、法律に書いていない、法律に根拠を持たない、そういうような行動は一切しないというのが法治主義の国の実力組織の在り方だとも思っております。法に書かれていないことであれば、自衛隊は一メートルでも動けない。これはやはり、私は、しゃくし定規だというおしかりをいただくかもしれませんが、やはりシビリアンコントロール、国会でお決めをいただく法律に基づいてしか実力組織である自衛隊は行動しない、これはやはり動かせないものだと私は思っております。
 しかしながら、じゃ、それで現場に役に立つのかいという先生の御指摘でございます。
 この場で幾ら法律的には大丈夫ですと言いましても、現場に行く者の身になって考えろという御指摘は本当にそのとおりでございます。私は、そのことは、この法案を作りますときも、また御審議をいただいておりますときも役所の中で朝から晩まで言っておることでございまして、現場に行った者が迷うことがないように、一瞬の迷いによって大きな被害が出る、これはもう工事でも一緒だと思います。一瞬の迷いや一瞬の判断の遅れによってそういうことがないように、きちんとした訓練、それは積むようにいたします。

○桜井新君 かつて来栖さんという統幕議長が言っておったね、超法規的行動をやるしか日本を守れないという。やっぱり私は、ある程度の、現場は法律の中にアローアブルがなければ動けないと思うんですよ、ある程度のことがなければ。ですから、そういう、隊員にこれだけの範囲のゆとりがある中で自分の判断で身を守れということをきっちり言えるような条文にすべきだと思うんですよ。回りくどい話じゃなくて、そうしてもらいたい。
 それから、あくまでも日本としては、暫定政権を作ってもらって、その上で出るようにしていただくことが隊員に安心してしっかり働いてこいと言えることになると思うので、是非これは官房長官、ひとつ閣内で相談してください。

○国務大臣(福田康夫君) 暫定政権ができるまで自衛隊を派遣はしないということになりますと、暫定政権が早期に立ち上がるようにということで米国も当然考えていることだと思いますし、また我々もそれを期待をいたしております。
 しかし、では暫定政権、いつできるか分からない暫定政権ができるまでは何もしないでいいかどうかということになります。その辺は、やはり現地の情勢というものもございますし、また、そういう状況の中でも日本ができることはあるというのであれば積極的にむしろやるべきではないのかなというように思っておりますので、それはいろいろなこの法律で枠組みがございますので、その枠組みの中で安全を旨として自衛隊に活動してもらう、また文民の方にも安全性が増してくればそこにまた入ってもらうというようなことで、日本がイラクの復興のために全力で努力しているんだという姿勢は、姿勢だけでない、姿勢と実質を伴うわけでありますけれども、そういう姿というものはやはり必要なのではないかというふうに考えておるところです。

○桜井新君 私、九一年のたしか四月の末だったかと思うんですが、バングラデシュにサイクロン災害というのが起きましたね。あの年はたしか湾岸戦争のときだった。湾岸戦争終わって引き揚げた人たちが、アメリカはいち早くバングラに入って、テントまで張って、兵隊さんがたくさん来て、救助作戦を整えた。しかし日本は、これだけの交流がありながらどうしても自衛隊の派遣ができないと。
 そこで、私は、今日葬儀なんですが、亡くなられた櫻内先生に、あの方は幹事長もやられ、外務大臣もやられたので、お力をおかりして、そして相談をして、東京と大阪の消防庁、それでヘリコプター二台出させた。あなたのお父さんにも随分知恵出してもらった。そういうことで、初期の段階は間に合った。それから、後からは別の手を出したけれども。
 そういうことで、本気になってやろうとすればいろいろ知恵はあると思うんですよ。だけれども、できるだけ自分たちの今の立場に身の危険や負担のないようにしようとすれば、どうしてもだらだら先へ延びちゃうと、こういうことだと思うので、真剣に検討していただきたいと。これは注文です。答えは要りません。
 次に、戦闘地域の認定の話ですが、アル・ジャジーラという中東の放送局がございますが、そこでサダム・フセインとおぼしき人物のメッセージが放送され、抗戦を呼び掛けております。報道によれば、米国のCIAはフセインの可能性があるとしているようであります。昨日はある人から断定しているとまで聞かせられました。
 連日のように米軍などに攻撃が加えられ、その指導者が生存していると思われるような状況は、米国が戦闘の終結を宣言しようとも、国際法的には交戦団体としてのフセイン勢力は活動していると考えなければならないんじゃないんでしょうか。このような状況でも、戦闘行為は行われていないと認められて非戦闘地域という指定ができますか。重ねて、しつこいようだけれども、聞かせていただきたい。

○国務大臣(福田康夫君) これはもう御案内のとおりでございますけれども、五月一日にブッシュ米国大統領が主要な戦闘の終結を宣言する演説を行いました。イラクの国内は大規模な戦闘は終了したと。ということは、この宣言もそうでありますけれども、それ以後の状況を見てもそういうことは言えるんであろうと思います。
 しかしながら、一部地域におきましてフセイン政権の残党による抵抗運動がまだいまだに行われていると、こういうようなことでございまして、戦闘は完全に終結したと、こういうようには認められない状態にある、こういうことでございます。
 したがいまして、この法律に基づきまして対応措置を実施する区域でございますけれども、これは非戦闘地域と、こういうことになりますけれども、この区域の指定に当たりましては様々な情報を収集、分析した上で、この要件を満たすようなそういう地域を選び出す、そういうことになります。これは、この作業は安全との関係でございますので、極めて慎重に対処していかなければいけない、そのように思っております。

○桜井新君 長官はどこか時間の都合で座を外す時間があるんだそうですが、あと何分ある。

○国務大臣(福田康夫君) あと十分あります。

○桜井新君 ああ、そうですか。
 それじゃ、続いて、順序を変えて、あなたにもう一回、しつこいようですが、お聞きさせてもらいますが、時限立法の問題で、テロ特措法の延長も度重なるものとなっているが、国際紛争に期限付で対処することには、初動の遅れ、派遣期間に応じた体制確保のための努力に対する誤った認識などを与えることとなる。本来、いつでもこの種の事態に対応できる法体系を安全保障基本法、集団的自衛権、解釈変更も含め、整理すべき時期であると先ほどから何回も繰り返して申し上げているんですが、私は、この際、せっかくこの法案をやるときですから、このことについてももう一度、参議院は良識の府ですから、参議院の野党の皆さんと十分話し合って、恒久法になる努力をしてみませんか。

○国務大臣(福田康夫君) 先ほどの答弁と重なることになりますけれども、やはり我が国として、自衛隊が活動すると、これは、自衛隊が海外で活動することについてはこれは限定的なことでございますので、そういうような自衛隊の活動というものが、一体何のために活動するのかといったようなその趣旨、理念、そういったようなものがまずなければいけないんだろうと思います。そういう理念ができますれば、自衛隊のみならず、ほかのいろいろな方々にも参加をいただく、地方自治体の方々にも参加していただけるというような仕組み、そういうものがあってしかるべきではなかろうかと。
 今、このように自衛隊も、PKOでも十回ぐらい出ていますでしょうか。そういうような大変国際的な活動ということについては国際的な理解も今得られつつあると。むしろもう既に得られていると。国際社会から自衛隊の活動については非常に優れた活動をするということで高い評価を得ているわけでございますから、我が国の、何といいますか、国際社会に対する顔と申しますか、またそのことによって国際平和に尽くすということについては、これは国民だれしもが異存がないことなんだろうというように思いますので、そういうことについて、委員御指摘のような恒久法のような形でしっかりした体系がまとまればこれはもうすばらしいことだというふうに考えております。また、そういうことで政府としても努力してまいりますので、どうぞ御理解いただき、また御支援を賜りたいと思っております。

○桜井新君 せっかくのこの法案を作る機会ですから、衆議院では話し合ったかもしらぬけれども、参議院の与野党の話合いもしっかりやらせていただいて、どうですか、皆さん、この際、やっぱりそういうこと。そして、その都度法案を作らなければ動けないなんということでは、あなたが今おっしゃったようにこれだけの貢献もしておる、そういうことですので、是非もっと日本の立場を国際社会に理解していただきやすいように努力をしていただきたい。もう私、あなたに対する質問はこれで終わりますから、どうぞ。
 次に、隊員の処遇のことでちょっとお伺いしたいんですが、これから私が申し上げますことについては、先般、火曜日だったかな、自民党の総務会で山中貞則総務から、この人は皆さん御承知のように一番古い防衛庁長官も経験されておるわけでありますが、この山中総務から山崎幹事長に再度にわたって強い要請があった。そして、法案通過までに決着をさせよということで注文があって、そういうことで検討いたしますという約束もあったことでありますから、そういうつもりでひとつ聞いて御答弁を願いたいと思います。
 派遣隊員は安全を確保された状況で派遣されると認識しているが、発砲事案などが発生している状況から、テロですね、派遣隊員が標的にされる可能性は全くないとは言えない。あってはならないことですが、起きる。あのアフガンでも、あるいはカンボジアでも亡くなっておられるわけでありますので、そういう意味で私はそう申し上げている。決して隊員の死傷を想定するものではないが、万が一を想定して準備すべきものであると思います。手当などについてはそれなりの配慮がなされているように聞いてもおりますけれども、名誉や及び遺族、特に遺児の進学など、育児などについての確認をしたいと思っております。
 米国においては、戦死者の遺族を選挙区の上院議員が軍の士官学校に推薦する制度及び国家の大義に殉じた者に対する最大の敬意を払った顕彰など制度が完備されていると聞いておりますが、我が国ではどういう体制になっておるのか。やっぱり隊員の処遇と顕彰、名誉ということをしっかりやってあげることが家族もみんな誇りを持って送り出してやっていただけることになると思いますので、お聞かせをいただきたいと、こう思います。

○国務大臣(石破茂君) いろいろ先生にも御配慮をいただいております。また、山中先生のお話は私も即日承っておるところでございます。重く受け止めて対処をしていかねばならないというふうに考えております。
 今、先生から、アメリカにおきまして上院議員が軍の士官学校に推薦する制度があるというようなお話がございました。これは特定の要件を満たす者、例えば現役の軍人又は八年以上継続的な勤務経験のある退役軍人の子弟でありますとか、陸軍、陸軍予備役、陸軍州兵の下士官でありますとか、殉職した軍人、職務に従事中に障害を負った退役軍人、行方不明又は捕虜になった軍人若しくは連邦職員の子弟、さらには勲章を受けた者の子弟などが対象となっておるわけでございます。この人たちは、副大統領あるいは上院、下院議員を通じて応募することになるわけでございまして、今申し上げましたような特定の要件を満たす者につきましては議員等を通じた応募とは別の応募区分が設けられておるというふうに承知をいたしておるところでございます。
 我が国はそのような制度はございません。先生も御案内のとおり、私ども、自衛隊記念日というものがございます。そのときに、殉職した、不幸にして殉職した隊員の追悼式というのを内閣総理大臣臨席の下に毎年行っております。執行者は防衛庁長官でございます。
 また、陸海空の自衛隊にはそれぞれ御遺族の会がございます。それと各部隊あるいは各自衛隊、緊密に連携を取っておりまして、御指摘のような進学でありますとか、あるいはいろんな悩み事、そういうものには必ず対応するようにいたしております。私も、そういうような会の役員の方々と必ず懇談をするようにいたしておりまして、そのときに、本当に何か不都合はないですか、言いにくいことはありませんかということを聞くのですけれども、本当にきちんとやってもらっているというようなお話でございます。
 そういうことで、私は、現状におきまして相当の対応をしておると考えておりますが、更に万全を期すべく努力をしてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
 あるいはまた、先生から仮に万が一のことがあった場合の手当等々はどうだという御指摘でございます。
 今の枠組みについて申し上げれば、退職手当につきましては、普通退職の場合のおおむね五割増しの水準が適用されることになろうかと思います。また、あるいは公務災害補償につきましては、通常の補償額に五割を加算した額の補償が行われるというふうに考えております。さらには、賞じゅつ金という制度が私どもございますが、これの活用というものも考えておるところでございます。更にこれを超えまして新たな制度を作るということになりますと、これは制度の考え方そのものを変えることになってまいります。
 やはり、今回のイラクの場合でも、国会で仮に法案が御可決をいただいたといたしますと、その法律に従いましてイラクに赴くことに相なります。そうしますと、ほかにもPKOもございます。国内でも危険な任務に従事しておる自衛官はたくさんおります。そういう人たちとの整合というものも考えてみましたときに、何が一番いいものなのか、今私どもが考えておるもので仮に不十分な点があるとすればどういうことなのか、桜井先生、また山中先生の御指摘も踏まえながら、私どもとして、本当に国の法律に従って国の責任を果たすために赴いた人がそういうことに遭遇したときに、きちんとした名誉、そして誇り、それを国家としてお与えするような方向で万全を尽くすよう努力をいたしたいと考えております。

○桜井新君 昨日あなたの部下の皆さんから表も見していただいたり詳細も聞かしていただいたんだが、そのことが徹底できますように、また新しい法案にも十分対応できますようにお願いしたいし、家族の皆さんとしては、この間のアフガンだか何かでたまたま、勤務じゃないけれども、勤務じゃないけれども不幸につながってしまったと。しかし、家族にしてみれば、そのために現地へ行った、現地へ行ってなければこんな目に遭わなかったと、こういうことですね。そういうことのときにどう処遇してあげるかということも再検討しておいていただきたいと思うし、かりそめにもその子供たちが非行に走ったなんということにならないように十分な目配りが組織の中でできるようにお願いしたいと思う。これは答弁要りませんから。
 次に、時間もなくなってきましたから、外務大臣にお願いします。
 この法案が成立してイラク派遣が決定されたとき、日本の活動内容は米英に支配されない独自なものと盛んに昨日も言っておりましたね。米英に支配されない、自分たちの選択で、米英もそう言っている、アメリカも日本が自分で考えてくれと言っておると、こういうことを盛んに言っておりますが、米英軍の方針を支持する内容と私はならざるを得ないと思うんですよ。同じところへ行って同じ復興に向けてやるのに、連絡も取り合わぬでやるなんということはできないと思うので、それは日本の立場として今そうは言っても、現地では十分連絡を取り合って、特に拉致事件なんか起こさないためにも、あるいは起きた場合の対処についても、これは米英軍のみならず、そこへ出ている部隊とは全部連携を取り合う、情報の交換をするということは大変大事なことだし、それから復興の中身についても協議することは大切なことだと思っておりますので、そのようにやっていただきたいと思います。
 しかし、そうであっても、日本は被占領経験の国として、この半世紀たった今、悲喜こもごもの思いを持っておる。いろんな経験をしているんです、日本は。今、子供たちが非行に走ったり大人たちが金の奴隷になるようなばかげた事件が次々起きることも戦後の私は後遺症だと思うし、そして、世界一の経済になったことも喜ばしい面の戦後の私は先輩たちの努力の遺産だと思っております。いろんな経験を持っております。
 そういう意味で、この間も川口大臣に、前のこの会のときにお話を少ししたんですが、再びお願いをさせていただきたい。それは、英米人と違った親日感情を増進することにも大いに役に立つと、こう思っておりますので、是非聞いてみてください。それは、給水支援は当然のことでありますが、長期的な国土復興に役立つチグリス・ユーフラテス川の治水それからかんがい事業、及び石油で生きるようになる以前に唯一の食糧対策だった農業基盤、この農業基盤の整備などに貢献する計画は考えておられますかどうか。単なる英米軍の示したメニューのみではなく、是非積極的に、イラク人がグッドウイルとでもいいますか、好意を持っていただけるような方策をいろいろ検討していただくことが良いことじゃないかと思うんですが、いかがお考えでしょうか。

○国務大臣(川口順子君) 委員のおっしゃられることは、すべておっしゃるとおりだと思います。
 我が国が、この法案に基づいて、あるいはそれ以外にも既に経済協力等でイラクの国民に対して協力をしている部分というのはあるわけでございますけれども、例えばユニセフを通ずる教育等ございますが、そういったすべての我が国が行っているイラク国民に対する協力については、関係のところと緊密に連携を取りながら行っているわけです。我が国として、我が国の能力にふさわしい国際貢献、イラクの人たちに対する協力をしていかなければいけないわけですけれども、同時に、それは我が方だけの片思い的な、イラクの人たちのニーズに合わないものであってはいけないわけでして、そういう意味で、実際に今までも、今後も行うに当たっては、関係者の方々あるいは実際のニーズ等を踏まえてきちんとやっていく必要があると思っております。
 それで、そういう意味で、主体的に判断をし、同時に緊密な連携を取りながら行うということですけれども、委員がおっしゃられた農業基盤、あるいは治水、かんがい、それぞれ非常に重要なニーズのあるテーマであると私は考えます。
 具体的に、今後いろいろな段階で支援をやっていくことを具体化していくわけですけれども、それに当たりましては、今、委員がおっしゃいましたことをきちんと踏まえつつ、参考にしながら、どういうことを我が国としてやることが我が国に最もふさわしく、またイラクの人たちのためになるかということを考えて具体化していきたいと考えております。

○桜井新君 今度、与党も野党も調査団を派遣して、いろいろ調査をしてきた結果を報告していますね。あなた方の耳にも入っていると思うんです。その中で、水、食糧、医療、いろいろ言っておりますが、その中に仕事というのが自民党の報告の中にあるんですよ。要するに求職ですね。働かれるようにしてくれと、こういうことがあるんですが、正にそういうことがそのままイラクの人たちのお役に立てれば幸いなんで、日本の戦後の復興もそこから始まったんですから、今すぐにも働いて所得が得られるようにしてもらいたいという希望なんだと思うので、今度のイラク対策法案とは別に、ODAであなたのところはこういうことがどんどんできるわけですので。
 私も二十二年ほど国会へいさせていただいておりますが、この間、ほとんど人口・開発会議ですね、国連のUNFPAの関係で仕事をさせていただいてきた。そんな中でこの中東地域のこともアラビアのこともいろいろ勉強させてもらったけれども、元々はここは自給体制の整ったところだったそうでありますから、私がこの質問をするのも実は現地へ行ってきた人たちからの注文で、是非これも言っておいてくれと、こういう話でやっているのでありますから、外務省として本格的にそのことも取り上げて、取り組んでいただきたい。
 今、WTOのルールで食料品まで競争の場にさらされるようになっておりますけれども、どこの民族でも、あらゆる生物がみんなそうでありますが、食べ物を通じて社会理念というのを教えているんですね。ライオンでもオオカミでも、小さいうちから親が食べ物を通じて、やっちゃいかぬことをやると、きばで強いおきゅうをしながらやるんだそうですよ。その食べ物が他人任せになったらその社会は治まることがなくなってしまうと、こういうことだそうでありますから、そういう意味でも、食糧というのは生産のことも食文化のことも大変大切だと、こう思いますので、重ねてあなたに注文をしておきたいと思いますが、是非やっていただけますか、積極的に。

○国務大臣(川口順子君) 仕事ということは私は大事なことだと考えております。魚を与えるのではなくて、魚を捕る道具を上げるということが重要だと思います。
 これは、我が国も既にそういう考え方に基づいて、例えばアフガニスタンですと略称でREAPというプログラムを作っておりまして、これは、日本のある世代から上の方は御記憶いただいていると思いますが、昔、ニコヨンと言われることがございました。一日働いて日給幾らということでやるプログラムが、日本がそれをやった時期がございましたけれども、そういう同じようなことをイメージしていただければいいわけですけれども、アフガニスタンの人たちにスコップあるいはシャベルというのを渡して、復旧、道路等が非常に壊れておりましたので、それをやって、やった人たちに日給幾らということで生活をするお金を給与として渡し、それを持って市場でいろいろ買物をしてもらえるようにするということでやっております。
 それで、イラクの場合においても既に同じような、規模が十分に大きいとは言えないかもしれませんが、国連開発計画を通じてそういったプログラムも日本は支援をいたしております。そういう意味で、魚よりは釣針を、魚よりは釣りざおをということでやっているということでございます。例えば、瓦れきの除去、あるいはごみの収集、建物の修復を行うということで現在既に動き出している。このために日本は六百万ドルを既に支出をし、延べ三・五万人の雇用創出を既に行っているということでして、引き続きこのプログラムの重要性にかんがみ、これも一つのやり方として考えていきたいと思っております。
 それから、おっしゃった、食糧を通ずる社会らしい社会を作っていくということについては、これも委員がおっしゃるとおりだと思います。
 様々な御意見を十分に参考にさせていただいて、今後のイラクの復興のプログラムを日本として考えていきたいと思います。

○桜井新君 ありがとうございました。
 石破長官から何か付け加えたいことがあるそうですが、どうぞ。

○国務大臣(石破茂君) 先ほど先生から御指摘をいただきました米国の陸軍士官学校の制度でございます。
 少し誤解を招きかねない答弁をいたしました。もう一度御説明をお許しをいただきたいと思います。
 アメリカの士官学校では、同校への入学を希望する者は、米国副大統領、上院又は下院議員の推薦を通じまして、推薦を得て応募をすることになりますが、特定の要件を満たす者につきましては、そのような副大統領や議員などを通じた応募とは別の応募区分が設けられておるということでございます。ですから、先ほど申し上げましたような殉職した軍人さん、あるいは職務の従事中に障害を負った退役軍人、行方不明又は捕虜になった軍人等々の御子息、御息女、これはそのような推薦を得なくても直接応募できる資格を持つというのが米国の制度だと承知をしておるということでございます。
 失礼いたしました。

○桜井新君 ありがとうございました。
 最後に、委員の皆さんに、生意気な言い方かもしらぬが、この法案が通って日本の自衛隊さんが出ていくようになったときに、これは一部の連中が通した法案で行くんだなんということでは余りにもかわいそう過ぎると思うので、どうぞひとつ、先ほどもちらっと話をしましたが、お互いにもっと議論をし合って詰めるところは詰めて、是非あの有事法制のように与野党が一緒になって良識の府としての答えを出してやっていただきたいとお願いを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。


2003/07/10

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