2003年7月15日

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156 参議院・外交防衛委員会

イラク復興支援特別措置法案について
質問者=月原茂(自民)


平成十五年七月十五日(火曜日)

○委員長(松村龍二君) イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

○月原茂皓君 自由民主党の月原です。
 質問について、通告した順番で行いたいと思います。
 まず、これはイラクと直接の関係はありませんが、最近のいろいろ情報では北朝鮮が核再処理を開始したとのことが伝えられておりますが、日本政府は米政府から報告を受けていますか。受けていれば、その内容はどういうものですか。

○国務大臣(川口順子君) 北朝鮮の核の開発について、特に再処理につきましていろいろな報道が委員がおっしゃったようにございます。そして、どういうような情報を持っているかということですけれども、北朝鮮の核の問題についてはこれまでも米国政府と、及び関係のほかの国もございますけれども、緊密に意見交換、情報交換、これは行ってきていますけれども、今の時点では、報道されていることも含めまして北朝鮮の核の開発の状況について確たる結論を申し上げられる状況にはございません。
 それから、具体的にどのような情報交換を行っているかということですが、これは情報交換の内容につきましては、相手国との関係もございますので、具体的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

○月原茂皓君 八千本に及ぶ燃料棒の再処理が終了すれば核兵器六個分ぐらいのプルトニウムは出てくるんじゃないかと、こういうふうに言われているわけであります。これは大変なことでありますが、情報交換も大切でありますが、我が国独自で自信を持ってそれを判断できる収集あるいは分析の体制が必要だと思いますが、その点、どういうふうに考えておられますか。

○国務大臣(川口順子君) 情報を収集し、分析をするということのために、関係の国々との情報交換というのも大事でございますし、また我が国が情報収集をし、分析をするということも大事であると私は考えております。
 北朝鮮の核についての動向については、日本政府として、御案内のように、これについては重大な関心をずっと持ってきておりまして、継続的に情報の収集、分析に努めております。

○月原茂皓君 私がなぜ日本国のそういうことが必要であるかと申し上げるのは、最近のイラクにおけるブッシュ大統領の演説を始めとして、そういうことについて疑義を持つ議論が多い。それだけに、相手方の情報のみに振り回されることなく、自ら判断する能力を持つということが大切である。しかも隣の国の問題である。それだけに私はあえてお願いしているわけであります。
 さて、今回の情報が、それがそのとおりであるかどうかはさておいて、こういうことを見てみると、かつての電撃的に北朝鮮を訪れた総理との日朝平壌宣言、あるいはKEDOの問題、こういうことを、こういう言ってみたら昔の話ならこれはもうレッドラインを越えておる、レッドラインだと言われているようなことが情報として流れているわけですね、実態として。
 そういうことを考えたときに、我が国は、日朝平壌宣言及びKEDOについてどういうふうな今後考え方を持っているのか、そのことについてお尋ねしたいと思います。

○国務大臣(川口順子君) 再処理の状況等については先ほど申し上げたとおりでございますけれども、そういったことと日朝平壌宣言との関係についてですが、日朝平壌宣言というのは、今後の日朝関係を取り進めていく上での方向性を示す重要な文書であるというふうに考えております。そして、政府としては、この宣言に従って核問題を含む諸懸案を解決をして国交正常化を実現をするということが北朝鮮自身にとって利益となるということを北朝鮮に理解をさせることが重要であるというふうに考えております。
 もちろん、我が国としては、いろいろなことについて、北朝鮮の核開発をめぐる言動等について、これは重大な懸念を持っているわけでございます。引き続きまして、この問題の平和的な解決を図るべく関係の国と緊密に協力をしながら、北朝鮮に対して問題の解決のために前向きに対応するように求めていく考えでおります。
 KEDOにつきましても、これについては日米韓だけではなくて、ほかに関係国もございますので、KEDOの理事会等でこれについては議論をしていく必要があるというふうに考えております。

○月原茂皓君 一般国民から申し上げると、日朝平壌宣言、もう既に御承知のように、関連するすべての国際的合意を遵守するということをはっきり言っているわけですね。その後すぐケリーさんの発言があり、あるいは今回のような動向になっておる。
 それからまた、KEDOについてもKEDOしたときの枠組みのそういうものについてのいろいろな違反があるんじゃないかと。じゃ、いつまでそんなものを継続しておるんだ、ちんたらちんたらと。もっとしっかりした態度で、もちろん外務省は、外務省というか我が日本国は、これは非常に有力な向こうとのパイプのツールだというふうな位置付けでされておりますが、国民から見ると、その前に約束を遵守すると言ったじゃないかと。これだけの約束をして我が国も経費を出しておるじゃないか、そういうことについてどういうふうに考えておるんだということを私は非常に意識している人が増えてきておると思うだけに、やっぱりその場その場で的確に意思表明をしておく必要が私はあると思います。外務大臣の今の答弁で結構ですが、そういうことで今後も対処していただきたい、こういうふうに思うわけであります。
 さて、米国も含め我が国も含めてですが、この北朝鮮問題については中国に対して非常に大きな期待を持っているわけですね。中国もその期待にこたえて自分の責任において行動されているわけでありますが、国民に、中国はそういうことについて、なぜ我々は期待するのか、そういう期待するだけの力を持っておるのか、どういう根拠からそう考えておるのかと。イロハのようなことですが、説明願いたいと思います。

○国務大臣(川口順子君) 中国は、伝統的に、政治的にも経済的にも北朝鮮と強い関係を持っている、深い関係を持っている国であります。そういったその関係を、中国がてことして使って北朝鮮に働き掛けることができるというふうに日本としては考えているということでございます。
 その働き掛けが功を奏した例としては、北京で三者会談が行われたということが一例として挙げられると思います。これについても、中国が働き掛けたということの結果これが可能となったわけでして、今、中国は五者会談について働き掛けを行っているということでありますが、この問題の解決に向かいまして引き続き積極的な役割を果たしてくれることを、日本としても、また他の関係国も期待をしているわけであります。

○月原茂皓君 これは外務大臣でなくて結構なんですが、具体的に、北朝鮮は経済的にも、例えばエネルギーの問題とか食糧の問題、食糧の問題はそれほど中国に依存していないというふうにも言われておりますが、エネルギーの問題とか、そういうものを非常に大きく影響をされておる。
 かつて、ハプニングであるが中国がちょっとそれを止めただけでも大変な影響を与えたとすら言われておるわけでありますが、具体的に、そのエネルギーその他、経済的な面でどういうふうな関係にあるのか、データとしてひとつ説明して願いたいと思います。

○政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。
 中国と北朝鮮との関係で、経済面のデータでございますけれども、まず貿易関係を見ますと、中国は北朝鮮にとっての最大の貿易国でございます。輸出輸入、これは二〇〇一年の数字でございますけれども、合計が七億三千九百万ドルということで、圧倒的に一位を占めております。そしてまた、非常に北朝鮮にとって重要な原油あるいは穀物、この相手先を見ますと、中国から、原油は五十七・九万トン、そして穀物は四十三・六万トンを中国から輸入しているということで、これも圧倒的に大きなソースになってございまして、そういうことから、非常にこの二つのことを取りましても、原油と穀物というのは北朝鮮の今の経済にとって圧倒的に重要なものでございますけれども、その供給先として中国が圧倒的に大きな位置を占めているということでございます。

○月原茂皓君 よく分かりました。朝鮮戦争のときの関係からといい、また条約がまだ存続しているということも含めて、そして、最も現実の生活として今局長がおっしゃったような、そういうことが非常に大きな力を持っておるということをやはり日本国民も認識しておく必要があると思います。
 さて、話は少し変わりますが、核兵器とか弾道ミサイル開発を北朝鮮は非常に進めている。そういう観点から我が国のミサイル防衛というものの導入が急がれると思うわけであります。
 昨年の十二月ですか、外務大臣、防衛庁長官が出席された2プラス2、そういうところでの心を一にして米国は新たなミサイル防衛の方針に踏み出したということであり、また外務省等の資料によれば、ウォルフォビッツさんがイージス艦を中心としたそういうものについて着手していくんだという説明もされた。そして防衛庁長官はそれに答えて、ミサイル防衛は有効なシステムとしており、今後とも日本で緊密に連携を取っていくという発言もされておる。しかも、その後、小泉総理もブッシュ大統領とお会いになったときにミサイル防衛のことについても言及されているわけでございますが、その後の検討状況はどういうふうになっておるのか。そして、来年度予算を、もちろんプロセスを踏んででございますが、来年度予算要求というものを視野に入れて検討が行われているのかどうか、その点について防衛庁にお尋ねしたいと思います。

○国務大臣(石破茂君) 今日に至りますまでの経緯は今、月原先生から御指摘になったとおりでございます。
 要は、今弾道ミサイルというものを四十六か国が保有をするに至っている、そしてそれが従来の抑止理論だけではカバーし切れない部分が出てきた。国ではなくて、いわゆるテロリスト、テロリストグループ、あるいは専制独裁国家、そういうものが保有をいたしましたときに、従来の抑止理論ではこれは効かない場合があり得るだろうと。その場合にどうするかというときに、弾道ミサイル防衛の構想というものが専守防衛的なものであり、そしてまた現在考えられる唯一の手段であるということは、数年前に官房長官談話としても発出をしておるところでございます。
 昨年の十二月に2プラス2で弾道ミサイルにつきまして議論をいたしました。
 いずれにいたしましても、我が国といたしましては、そういうような弾道ミサイルの懸念というものを踏まえつつ、これは防衛庁だけで決せられるものでは決してございませんので、安全保障会議におきまして、まず第一に、それがどれほどの精度を持ったものなのか、当たるのか当たらないのか、当たるとしても八割、九割、どれぐらいの確率なのかということをきちんと確認をしなければいけないだろうと。
 そしてまた、それがどれぐらいの費用が掛かるものなのだろうかと。一千万や二千万で買えるものではございませんが、これが私どもの防衛費の中で、あるいは日本の国家予算の中でどういうような位置を占めることになるのか、その費用の問題です。
 費用対効果といいますと、じゃ何が効果なのかということになりまして、しかしながら、我が国がミサイルを打ち落とせるということといたしますと、それはそのミサイルを発射しようとする、弾道ミサイルを発射しようとする国のそのような意図をそもそもなくすることになるということから考えましても、そういう意味からも効果は大きなものがあると思いますから、費用対効果というのがBバイCみたいな形できちんと出てくるわけではございませんが、費用対効果というものもきちんと論ずる必要があるだろうと。
 そしてまた、それが我が国の陸海空の装備体系の中でどういうような位置付けになるのか。そして、それがどのような形でその弾道ミサイルを迎撃する、ミサイルを打ち落とすといたしましても、これが今の防衛法制の中で、自衛隊法の中でどの条文を使ってどのように打ち落とすことになるのか、それがだれの判断によってどのような形でそういうような命令を下すのかという点。さらには、国会でも御議論がございます集団的自衛権の問題。そういうものに対しましてきちんとした整理をいたしまして、安全保障会議におきまして御議論をいただく、そういうことになると考えております。
 イージス艦とPAC3、いわゆるSM3とPAC3の組合せと申し上げてもよろしいのですが、それはあくまで確率の問題でございます。どちらの方がより有効に国民をそういうものの懸念から守ることになるのかという確率の問題でございまして、そういう点を、概算要求のお話もなさいました、そういう点も考え合わせながら、今鋭意検討をいたしておるところでございます。
 いずれにいたしましても、これを導入するしない、あるいは開発するしないということは安全保障会議の御決定になるわけでございますが、そのときに、安全保障会議を開くというような御決定が総理からなされましたときに、今申し上げましたようなことにつきましてきちんとした回答が出せるような、そういうような体制を作るべく、今最大の努力をいたしておるところでございます。

○月原茂皓君 私は先ほど、来年度予算要求を視野に入れておるかどうかというお話をいたしました。これは御承知のように年に一回しか、補正予算とかそんないろいろなことは別として、本格的に言えば本予算で要求する話である。とすると年に一回しかない、そうすると時間は限られてくる、もし来年度予算でするならばですね。
 だから、そういう意味でいろいろな検討がそれに集中して、もちろん安全保障会議で、今、防衛庁長官がおっしゃった諸条件が満たされない場合にはもちろん話にはならないわけでありますが、そういう条件が満たされれば来年度は予算要求をしたいという意思を持っておるのかどうか、私はその点をお尋ねしているわけであります。

○国務大臣(石破茂君) この点、先生おっしゃいますように、安全保障会議の御決定ということがあれば私はすべきものというふうに考えております。
 ただ、これは議論が錯綜いたしますけれども、これは私がしたいと幾ら申しましても、安全保障会議で御理解をいただかなければその要求そのものができませんので、そういう関係にございます。

○月原茂皓君 我が国ミサイル防衛、いろいろ費用対効果が、いろいろなこと大臣おっしゃいましたが、国民に誤解があるのは、ミサイル防衛さえすればもうハリネズミのように守れるんだというような感じが国民に持っておる方々がおられるわけです。
 しかし、米国の大きな作戦の体系からいっても、ミサイル防衛はミサイル防衛だと。しかし、その震源地をたたくという力を持っておるところに米国のまた強さがあるわけであります。そのことについては、日本はどうするのかということはもう既に防衛庁長官も米国に、日米同盟、日米同盟を含めて、そういうことで期待をしておるということをかねがね国会でおっしゃっているので十分分かるんですが、国民に対してもミサイル防衛が、ものが、それがすべてのものでないということを今後もよく理解してもらわなければ、それだけの金掛けて何だと、こういうふうなギャップが出ないようにお願いしたい。もう十分大臣は説明されておるわけですが、その点お願いしたいと思います、米国自身もちゃんとそのことは表明しているわけでありますから。
 さて、いよいよイラクのこの法案のことについて、私がお聞きしたいことが幾つかあるので、その方に入っていきたいと、こういうふうに思います。
 昨日、今日の新聞等に我が自衛隊のC130がアンマンに着いたという報告もされて、まずいいスタートを切ったなと、こういうふうに思っているわけでありますが、とにかくイラクに派遣される自衛隊員の安全であるということ、任務達成するためには自分たちが安全でなければならないしというようなことからいって、その編成、装備に万全を期さぬといかぬということはもう既に大臣もおっしゃっておる。そのとおりだと思います。
 フセインさんが生きているのかどうか分かりませんが、ある新聞によれば、その声明文ではジハード、聖戦を呼び掛けてみたり、そういうことをしている。また、ラムズフェルドさんの発言によれば、これからもバース党のいろんな記念日が重なってきて相当死者が出てくるのではないかなというようなこともテレビ等で放映されておるわけでありまして、大変その状態、安全な、丸裸で行っていいというような状態ではない。これは皆さん理解されておることですが。
 そういう意味で、私はよく言うんですが、私がもし残党の親分だったら日本の派遣される自衛隊をねらうのが一番いいと思うんです。なぜならば、いろいろ制約を持っておるなと、具体的なことは別としてですよ、世評に言われています。いろいろ制約を持って出てきているなと。しかも、補給路を断つと、先端部隊をそんな補給することを断つことがもう最大の効果を及ぼすわけですからね。そういう意味では、我が自衛隊も標的になるということを考えておかぬといかぬ。だから、それに対しても大丈夫だという隊員が思うだけの装備、編成、そういうものを持たせてやることが我々の責任だと、こういうふうに思うわけであります。
 そこで、まず装備についてでございますが、かつて、カーター政権の最後のころですが、イランで人質を救出しようとしてヘリコプターが全部やられたですね、砂じんに巻き込まれて。ですから、我々が考えられないいろいろな気象条件とかもろもろの条件あると思うんですね。そういうものに対してでも耐えられるだけの装備であるかどうかということの事前の十分チェックを、これからされるんだと思いますが、どういうふうにしてされていくのか。
 それから、例として、例えば個人防護の点でも、防弾チョッキでも、私はどういう防弾チョッキがあるのか知りませんけれども、どこへ行ってでも恥ずかしくないだけの防弾チョッキぐらいのものでないと、もし日本のが進んでいなくてちゃちなものであって、よそのはちゃんと守れるのに日本がやっているのは格好だけで、ぶすぶす弾が抜けるようなんじゃこれは困るわけであります。そういうようなものを含めて、そういう点のチェックというものをどういうふうにされるというか、これから大きな検討課題だと思いますが、真剣に取り組まれておると思いますが、どういう状況かお尋ねしたいと思います。
 もちろん、法案が成立する前にそんなことやっておったらけしからぬというところはあると思いますが、法案が成立した暁の話ですが、短期間にそういうことを乗り越えぬといかぬと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(石破茂君) 今、先生御指摘のとおり、今御審議をいただいております法案がきちんと成立をさせていただいた暁にはと、こういう前提付きで申し上げますが、おっしゃるとおり、温度が四十度、五十度みたいなところで、そして砂じんが舞っておるようなところで、本当にでは車が動くのか、あるいはコンピューターが動くのか。国によっては、今展開しておる国によってはコンピューターは冷蔵庫に入れて冷やして使うという国が本当にあるんだそうでありまして、コンピューターが動くのかというお話がございます。あるいは、ヘリコプターというものが砂を吸い込みましてエンジンが動かなくなるということになりますと、フィルターをどのようなものを持っていって、どれぐらいの頻度で取り替えたらいいのかというお話もございます。
 そういうようなことを一つ一つきちんと検証していきませんと、持っていったはいいが使えませんでしたというようなことになりますと、これはどうにもなりません。その辺りは本当に実際に行って使う自衛官たち、それに命を託す自衛官たち、彼らの知見というものがやはり一番重んぜられることになるというふうに私は考えておりまして、まさしく先生おっしゃいますような万全を期して持っていきたいというふうに思っております。
 また、防弾チョッキの御指摘がございました。これは、私はPKOの視察でゴラン高原、UNDOFに参ったことがあります。そのときに自衛隊が持っております防弾チョッキ、まだ、もう三年も前のことでございますからいろんな要望がございました。順次私どもも改善をいたしておりまして、昨年度から導入をいたしております最新型の防弾チョッキというものは、これは防護力もあります、併せて、どんな防護力があっても重くて重くて動けないということではどうにもなりませんので、防護力についてもあるいはその重さにつきましても国際水準に十分達しておる、そして現地に行って隊員の命を守るのに十分なものを今持っております。
 そういうことも併せまして、現地で活動するのが十分な活動ができるように、そして自分の身を守るために、私は何度も申し上げておるのですが、装備は何を持っていってもいいというわけではなくて、自分の身を守るために必要にして十分なもの、そして権限も、自分の身を守るために必要にして十分なもの、そういうものを与えて、国民の皆様方の御理解、御支持の下に派遣ができればというふうに思っておるところでございます。

○月原茂皓君 今お話しのように、防衛庁長官として隊員のことを思い、国の任務を思い、十分な検討をされているということはよく分かりましたが、この法案成立の暁は、そういうことについてより急ピッチにそういうことをやっていただきたい。
 それと、後でまたお話し申し上げるつもりですが、そういうことについての予算についてはやっぱり優先していくというようにお願いしたいと、こういうふうに思います。
 さて、今のお話の隊員の安全ということにおける武器使用の基準について、いろいろ今までも議論されておりました。そこでまず、その前提となって、地位協定というんですか、これは外務省にお尋ねするわけですが、今日の新聞、ある新聞によれば、クウェートとですか、そういう地位協定の話合いが進んでおるというようなことも書かれておりましたが、実際にこの法案成立の暁には派遣されるであろう陸上自衛隊のイラクにおけるそういう立場については、どういうところと折衝されて、どういう考えでおられるのか、地位協定的なものについてどういうふうに考えられておるのか。

○政府参考人(西田恒夫君) お答えをいたします。
 委員御指摘のとおり、外国の領域に我が国の自衛隊を派遣する場合には、任務の円滑な実施というために、受入国との関係で自衛隊員の法的地位というものをしっかりと確保する必要があるというふうに考えております。他方、具体的な内容とか形式につきましては、今、先生からもございましたけれども、その受入国側の意向、あるいはどのようなミッションでどのくらいの派遣期間行くのかということによりますので、現時点で一概に申し上げることは難しいと思いますが、イラクの場合につきましては、累次御説明申し上げていますように、現在はCPAという、当局と言っておりますが、というものが暫定的に施政に責任を持っておるという状況でございますので、一義的にはこの当局ということと話をしていくというふうに考えておる次第でございます。

○月原茂皓君 今までは国連軍の下でそういう深刻な問題なしに、手続なしに派遣することができたと思いますが、今度の場合はちょっと異例な形であるだけに、我が国の立場、隊員の立場、そういうものを考えて、今、局長のおっしゃったような点、イラクについて特に十分なことをしていただきたい、このことを強く要望しておきます。
 さて、ここで、武器の使用基準の緩和ということがずっと議論されておるわけですが、防衛庁長官にお尋ねするんですが、今、イラクにおける自衛隊の活動ということは人道支援であり、治安活動、維持のための支援であるというふうなことでありますが、そういうふうな任務を与えられた自衛隊でありますから、その自衛隊については現在の法律で、いや、現在の法案で十分対処できるというふうに思われていると思うんですが、その点いかがでしょうか。
 よく言われるのは、任務遂行上という国際基準、それがもっと具体的に言えば、どういうものについては、各国においてまだつまびらかでない点はあると思いますね。しかし、我が国として今自衛隊に与えるような任務を遂行するについては現在の法案におけるもので十分対処できると、そういう自信を持って大臣は私は言えるんじゃないかなと、こう思うんで、その点どうでしょう。

○国務大臣(石破茂君) 私は十分であると思っております。それは、法案第十七条に書いてありますとおり、正当防衛、緊急避難というのが危害許容要件ということになっております。そこにおける武器使用は、これは正当行為でございます。正当防衛、緊急避難は危害許容要件として定めておりまして、そのこと自体は、武器を使うこと自体は正当行為であるということをまず申し上げておきたいと思います。
 委員御指摘の、じゃ国際標準と比べてどうなんだという議論があるがというお話でございまして、先生今おっしゃいましたように、これが国際標準ですというようなものが明文であるわけではございません。これはPKOの場合にはSOP等々によりまして武器使用コードというものが定められておりますが、そのPKOにおきましてもそれぞれで展開されるPKOにおいて違います。そしてまた各国とも、これが我が国の武器使用基準ですよというのを明らかにしておるわけではございません。
 よく端的に言われます、それでは任務遂行型、いわゆるBタイプというのはどうなのだということでございますが、要するに、自らの身に危険が迫ればこれは正当防衛、緊急避難ということになるわけでございます。あるいは、物品がそういう状況になりますと、これは自衛隊法九十五条の武器等防護ということになるわけでございまして、相手の立場に立って物事を考えてみましたときに、我が自衛隊を襲ったと、隊員の生命、身体にも危害を与えず、そして持っておる装備品にも危害を与えず、任務のみを妨害するというのは一体どういう概念なんだということを理屈の上からは考えなければいけません。
 そうしますと、例えて言えば、素手の何にも持たない住民が、にこにこしながら、人間の輪みたいな形でここは通っちゃいけないというようなのは、確かに自分の身にも危害は迫らないし、そして装備品にも九十五条を使うような状態は現出せしめないということです。じゃ、ここを通さないぞといって人間の輪みたいなものを展開しているときに、それを、武器を使用してまでそれを排除するようなものなのであろうかというと、法案は多分それを予定していないと思っています。繰り返しになりますが、十七条ではなくて、任務遂行妨害型というようなものは一体何なのだろうか、それに対してまで武器を使用するということをこの我々のやるべき行動は予定をしているのだろうかという議論をいたしておるところでございます。
 先生の御質問に対して十分であると申し上げましたのは、我々の任務を遂行するために、そして自分の身を守るために十分な権限と十分な装備。しかしながら、よく御指摘をいただきますように、幾ら十分な権限と十分な装備を与えても、それは頭の中だけのことじゃないかと、実際に行ってみなきゃ分からないじゃないかということがございますので、これはROE、これは交戦規則と訳すのではございませんで、仮に部隊行動基準とか武器使用基準とかいうふうに仮に訳すといたしましても、じゃ、それを具体的にどのように使うのかということはきちんと頭に入っていなければいけない。頭に入っているだけではなくて、現場に遭遇したときにちゅうちょすることなく、逡巡することなくすぐに行動に移せなければいけない。これはやはり派遣、この法案をお通しいただいて派遣をするということになりましたときに、もちろん、どこでやるかもプロの自衛官が判断をし、我々が決めることでございますが、十分な訓練を積んだ上でなければこれは不測の事態を避けられないこともあり得るだろう。その辺りは私どもよく認識をし、今後もきちんとした対応をしてまいりたいと思っておるところでございます。

○月原茂皓君 まあ一つの例として、時間が余りないんですが、輸送任務に携わっておると、それが襲撃されたといった場合、中には誤解して、もう手の打ちようがないんじゃないかというふうに言っている人もおるわけでございますが、大臣、その点はどういうふうに説明されますか。

○国務大臣(石破茂君) それは、第十七条の要件を満たします場合にはこれは武器の使用ができます。そういう場合に何もできないというのは、それは誤解でございまして、法案第十七条の要件を満たすような状況が生まれました場合には、これは自衛官は武器の使用をいたします。

○月原茂皓君 ですから、具体的に言えば、車両は守る必要がある、乗っておる人間に危機が、危険があればちゃんと隊員が正当防衛でやる、そういうふうなことでその問題は解決すると私は思います。そういうことからいって、全般的に言えば、ROEというか、今お話の、そういうものを十分積み上げていておれば、この自衛隊の現在のイラクにおける任務遂行に十分対処できる、隊員の安全も保てる、そういうふうなことであると私は理解しておりますが、それでよろしいですか。

○国務大臣(石破茂君) 先生の御指摘のとおりでございます。ちょっと私のさっきの言い方が悪うございまして、十七条、正当防衛、緊急避難、あるいは自衛隊法九十五条、武器等防護、これを使って武器を用いることができるということでございます。
 そして、昔、機関銃一丁ならいいが二丁なら駄目だというようなお話がございました。私は当時、当選一回生でしたか、あの議論を聞きながら不思議だなと思ったのは、一丁だけ持っていって、一丁が故障したら一体どうなっちゃうんだろうと、こう思ったことがございます。今はもういろいろ議論が成熟してまいりまして、そのようなお話ではなくなってまいりました。
 要は、自分の身を守るために何が十分な装備であるかということはきちんと私ども考えていかなければいけないと思っています。そして権限も、先ほど来先生から御指摘がありましたように、私は自分の身を守るために十分な権限が与えられるというふうに思っています。その与えられた権限と与えられた装備をどうやって適切に遅滞なく、逡巡なく使うことができて、それは相手を殺すために撃つわけではございません。それはもうあくまで自分の身を守るために撃つのであります。そして相手が撃たなきゃ撃てないのかということは、過去の日本の判例が示しますとおり、それは急迫性が認められれば相手が撃たなくてもこれは急迫ということになります。不正を満たすことになります。正当防衛の要件がそこで充足をされるという場合があることは、日本の国の法律の、ごめんなさい、裁判の判例が示しておるとおりでございます。
 ですから、逡巡なく、遅滞なく、適切に武器の行使が、武器の使用ができる、それによって人を殺すのではなく、いかに自分の身を安全にし、任務を安全に遂行するか、そして完璧に遂行するかという点につきまして、私ども、先生の御指摘も踏まえながらきちんとした対応に万全を期したいと、このように思っておるところでございます。

○月原茂皓君 今、大臣が判例等を引かれて、間近に迫っている場合でも可能だと。大きく言えば、大臣がかつてノドンミサイルのとき、撃たれてからでなしに、そこの油入れおるときに、燃料を注入しておるときもうそれでいけるじゃないかというのと同じように、ちょっと例は悪いですが、同じように、今、大臣が時々答えられておる中に、撃たれてないと、撃たれないと動かないような印象を与える表現がところどころで出てきたことがあるものですから、私はあえて質問させていただいたわけで、今の大臣の答弁で私は了解できました。
 そういうことで、ややもすると、私が今申し上げておるのは、さっきから申し上げていることをせんじ詰めると、武器使用基準というのは非常に制約されて、行く人の手足を縛っているようなふうに取られている分野があるわけです。部分があるわけです。ですから、自衛隊が与えられる任務は十分今のもので遂行できる、そして撃たれてからやるんではなくて、ちゃんと判例にも示されたとおり、その事態に応じて対処できるというようなこと、そういうことを、今、大臣がおっしゃったように、今後のいろいろなROEを含めたいろんな訓練も含めて、そういうことで隊員に徹底していただきたい。
 何かこの国会の答弁を見ておると、何で出ていったら大変やなと、何ができるんやろうかと、こういう印象を持っておる一部の隊員もおられるし、また御家族の方々もそういう点、非常に心配されておるだけに、今の答弁をむしろ積極的に、隊員にもお話しされておると思いますが、一般の国民にも理解していただく必要があると、私はこのように思うわけであります。
 さて、そこで話は少し飛びますが、今後、そういうことがあってはならないんだけれども、万一の場合は正当行為として行動しなければならないときも隊員にはあるわけですね。そうすると、被害というか、隊の方の被害も出るかもしれないし、相手方の被害が出るかもしれない。そういうときに、やはりその人たちが正当な行為として行ったんだと、国家が決めた基準に基づいて行ったんだというようなことを胸を張って言えるような、できるような雰囲気を作ってあげておかぬといかぬと思うんですね。日本ではこれは初めてのケースになるかもしれないだけに、そういうことが起こっては困るわけですが、そういうことも想定しておかぬといかぬ。
 その場合に、個人に、いや過剰防衛だ、そのいろんなことで、最近のマスコミは面白おかしくそういうことを攻撃し、また報道する可能性もあるわけです。ちゃんとした、今おっしゃったような基準を作り、この基準に基づいて行動した者については国家として責任を持っておるんだというようなことを私は強く内外に示していただきたいなと、こういうことを思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(石破茂君) おっしゃるとおりでございます。幾ら法律で定めましても、自衛官は正当防衛、緊急避難で実際に武器を使用したということがございません。これは警察官であればそういう機会はございますでしょうが、自衛官が正当防衛、緊急避難を危害許容要件として実際に武器を使用したということがございません。
 それは、全く違う異国の地で、極めて厳しい環境の中でそういう状況の中にあるわけでございます。もちろん、実施区域というのは非戦闘地域でなければならないのはもちろんのことでございますが、その中でもなるべく不測の事態が起こらないようにというような地域を選定することに相なります。
 しかしながら、不測の事態が絶対にないかといえば、そんなことは言えない、それは排除できないわけでございます。そういうときに、正当防衛、緊急避難を危害許容要件として撃つということは初めてのことですから、よほどきちんとした訓練を積むと同時に、先生御指摘のように、これは正当行為なのであるということ、それはもう正当行為として撃つのだということもきちんと隊員に理解をさせるということは必要でありましょう。
 そしてまた、ルール・オブ・エンゲージメントというものを定めることによって、それが遅滞なくきちんとできる。それぞれの人間に対してそれぞれのROEを示し、この場合にあなたはこのようにするのだということを個人の責任ではなくてそれに従って彼はやったのだという形にしなければ、それは下手をすると、精神的にダメージを受けてしまって、ノイローゼになってしまったり、自分が罪の意識にさいなまれたりすることになります。その辺りはきちんとした正当行為として、個人としてではない正当行為としてやるのだということを明確にする、それが必要なことだと私は思っておりまして、その辺りの教育も、そしてまた国民の皆様方に対する御理解も賜るように今後とも一生懸命努力をいたします。

○月原茂皓君 よく分かりました。
 派遣隊員の安全の確保について十分な配慮をされておる、法的にもそれから実態的にも装備等についても今お話がありましたのでよく分かりました。
 そこで、行く隊員にとって、今までもされておると思いますが、できれば私は、もちろん行かれる隊員に対して大臣自身が訓示をされることはもちろんでありますが、そのほかにそういう方々の代表的な人と懇談の機会でも持って、我が国の非常に重要なことで我々は万全を期して皆さんに行っていただくんだというような機会を大臣は考えられると思いますが、是非そういう機会を作ってあげていただきたいな、こういうふうに思うわけであります。
 さて次に、自衛隊が現地でいろいろ活動する場合に、私は、イラクの国民の方々に十分、我が国はどういう目的でこの部隊を派遣し、どういう活動をしているんだという、このPRというのもこれは大切だと思うんですね。よく片手間でやるんですよ、金が掛かるからとかいうことで。こんなの、本当の意味の、専門家ですね、そういう人たちの知恵をかりるとか、そういう人たちも参加していただいて、ちゃんとどういうふうにすればイラクの方々に理解して、理解というか、我々の立場というものを理解していただけるのか、そういうことの作戦というか、これは大きな私は作戦だと思うんですが、そういう点についてはどういうふうなことを考えられておるんでしょうかね。

○副長官(赤城徳彦君) 大変大事な御指摘をいただきました。これは、自衛隊がどういう目的でどういうことをやろうとしているのか、このことを十分現地の方に知っていただくということは、自衛隊が円滑に活動するというためにも必要ですし、また、あらぬ誤解から自衛隊が危険にさらされないようにするという点でも大変大事なことだと思っております。
 ただ、今の時点ではどういう活動を具体的にするかとか、あるいはどういう手段で広報したらいいかというところ、十分まだ決まっておりませんので、御指摘の点も踏まえて、特に現地の皆さんにとってこういうふうにPRされると一番分かりやすいというか、心に響くといいますか、そういうことも十分考えながらこのPRというのをしていかないといけないと思っておりますので、どういうPRの手段、どういう内容、どういう方法でお伝えをしていくのがいいのか、そういうことを十分検討してまいりたいというふうに考えております。

○月原茂皓君 全く我々と文化の違うところで展開するだけに、また国際的な関心を集めておるだけに、また長期にそういうことが滞在することによって摩擦も生ずるというようなことから、この問題は非常に大きな作戦の一つとして、真実を伝えるということでありますが、力を尽くしていただきたい。このことを、今、副大臣がおっしゃったとおり、力を入れていただきたいことを要望しておきます。
 さて、この自衛隊、今から話をするのはなかなか難しいのかもしれませんが、自衛隊は必要な治安の状態が十分でないということ、自己完結的な力を持っているということ、そういうことで自衛隊が出るわけでありますが、やはり撤収することが非常に、撤収する時期が非常に難しいと思うんですね。今から、出す前からそんなことを言うのはちょっとおかしいように思われるかもしれませんが、しかし、この点は実力部隊だけに十分考えていただきたいと思いますが、いかがでしょう。

○国務大臣(福田康夫君) この法案でもって対応措置が基本計画に盛られるわけですね。その対応措置を行う必要性がなくなった場合、またその対応措置を実行できない何らかの事情が生じた場合と、こういうことですね。法律の条件にかなわないというような状況が生まれたときには撤収をしなければいけないということであります。
 自衛隊、そもそも人道復興支援ということを中心としていろいろな業務を行いますけれども、これはあくまでもイラクの復興ということが目的でございまして、そのイラクの復興はもうイラク自身によって、イラク人自身によって、イラクの政府によって力強い足を踏んでいくことが自らできるようになるというときにこれは必要ないわけで、必要はなくなるだろうと。それは、イラクの政府は、求められれば別かもしれませんけれども、その必要性はなくなってくると、こういうときは基本計画の対応措置を変更して、基本計画をこれを終了するということはあるわけで、いろんな状況がございます。
 自然に治安が回復されて、そして自衛隊もういいんだというようなことはこの法律の四年の以内に起こり得ることもあるわけでございます。そのときはそのときの判断ということになるわけで、今からその状況を申し上げるのは非常に困難だということになります。

○月原茂皓君 官房長官、十分お分かりと思いますが、実力部隊だけに、また全然文化の違うところへ出しているだけに撤退の時期というのは相当の決断が要ると、こういうふうに私は思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
 さて、派遣隊員の処遇の問題ですが、多くの議員、ここの委員会の冒頭で桜井議員も言及されたわけでありますが、派遣される隊員の補償とかあるいは派遣の手当ということについては万全を期していただけることと思っておりますが、特に私がひとつ強調したいことは、公務災害とか賞じゅつ制度のことについては既に今までお話しになっておりますが、もう一度、公務災害、賞じゅつ制度をどういうふうに考えておるのか、お話し願いたいと思います。

○副長官(赤城徳彦君) まず、これ基本は、安全に十分配慮するということが第一でございまして、その上で、万が一でございますけれども、公務上の災害を受けた場合、十分な対応をしていくということが大事でございます。
 具体的には、隊員が負傷された場合にはその治療費の全額を負担するほか、障害の程度に応じた障害補償が行われることになっております。また、万が一、不幸にして亡くなった場合でございますけれども、御遺族に対して遺族補償として、生計維持関係に応じて年金又は一時金が支給されるほか、葬祭補償、遺族特別支給金等が支給されるということでございます。
 これまでも自衛隊員が国際平和協力業務等に従事した場合、その生命、身体に対しての高度の危険が予測される状況下での公務上の災害に対して通常の補償額に五割加算すると、こういうことで補償を行っておりました。この法案についても、この法案に基づいて対応措置に従事し、公務上の災害を受けた場合においても同様の特別措置を適用することについて今具体的な検討を行っているところでございます。
 それから、これまでも議論がございました賞じゅつ金でございますけれども、一身の危険を顧みることなく職務を遂行し、そのために死亡し又は障害の状態となった場合に功労の程度に応じて賞じゅつ金を授与するということについても検討を行っているところでございます。

○月原茂皓君 そこで、もう既にそちらに並ばれておる方々は十分御承知だと思うんですが、またこれ国の制度としてなかなか難しい問題かもしれませんが、例えば地方の消防の方が何か事件に巻き込まれたといった場合には、国の場合は一プラス一ということで二補償された場合に、地方の場合は国、県、地方公共団体と三になるわけですね。そういう制度になっておるわけなんです。私は、実際に具体的にどういう支出をするかということは別にして、少なくとも制度上はそれを下回らないだけのものを何か打つ手はないだろうかと。
 私は、最初、前にも官房長官にお願いしたことがあるんですが、特別ほう賞金というような制度でと思ったけれども、しかしその制度の趣旨からいってなかなか困難な点もあろうかと思うんですけれども、そうすると、どこかでまとめて、少なくともこのイラクに、ほかのバランスもありますが、今イラクの法案を審議しておるわけですから、イラクに出られて万々一の場合の方に対しては制度的には国内におけるあらゆる制度を下回らない、少なくとも上回るぐらいの、そういうことを打ち立てていくという検討をしていただきたいなと、そのことをお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(福田康夫君) ただいま地方公務員の話がございました。地方公務員といいますと、制度はやっぱり違いますから一概に比較するというのは難しいんですけれども、今回この法案で自衛隊職員も行く、自衛隊も行きます、隊員も行きます。それから、その他の一般の方々、公務員も含めまして、もこれも復興支援職員として派遣をすると、こういう枠組みになっておりますので、そういうことを考えますと、やっぱり自衛隊員とそういうほかの支援職員との間で余りギャップがあってもいけないということはあるだろうと思います。
 しかし、危険度とかそういったようなものも勘案しなきゃいけないということがありますので、全く同じというように考えるべきかどうか、この辺ちょっと検討しなきゃいけないんでありますけれども、いずれにしましても現行の賞じゅつ金の見直し、これは最高額を引き上げるかどうか、そういう方向で検討しなければいけないんだろうというふうに思っておりますけれども、そういうことも含めて今検討している最中でございます。

○月原茂皓君 制度としてそういう検討をしていただきたいと、こういうふうに思います。
 さて、いろいろお話を伺いましたが、今度の、究極のところ、また予算の問題に帰ってくると思うんですが、このイラクのことについて、いろいろな今装備の点についても我々が持っていないような性能を持ったものを持たさなければならないとかいうことが出てくると思いますが、予算については、大臣、どういうふうな手当てを考えられておるんですか。
 防衛庁の現在の防衛予算の中でやりくりするということは非常にそれは便利な簡単な話でしょうが、しかし多くの場合、もうぎりぎりの予算を組んで訓練にも困っておるような状態もあるだけに、これは官房長官もおられるのであれですが、こういう問題についての予算については補正予算なり、あるいはそういうことについても高度の配慮を、防衛庁というのは、私もちょっと籍を置いたことがあるんですが、下手なんですね、予算の取り方が。もう車一つ焼けたら百台ぐらい要求するところもあるんですよ。
 だから、予備費とか補正予算とか、そういうところで十分自衛隊の、現在もうそれは節約はせぬといかぬ、その上に立ってでしょうけれども、十分な配慮をお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(福田康夫君) 今回の法案に基づきます対処措置を実行するための予算、これは今現在どのような分野で、どれだけの体制でもって支援を行うか、これまだ決定をいたしておるわけでございません。したがいまして、その規模によりまして予算額も相当上下するんだろうというように思います。
 もちろん、現行防衛庁の予算の中で対処できるという範囲であればそれはそれでよろしいんでありますけれども、もしその額がだんだん増えていくと、経過的には予備費で対応するということもあり得るかもしれぬし、それはあくまでも将来どの程度のことであるかと、こういうことでございますので、今は明言できないという状況にはございます。しかし、防衛庁も予算獲得については懸命になさると思いますから、その辺はどうぞ御心配なきをお願いしたいと思います。

○月原茂皓君 ちょうど今日は官房長官が出席していただいて、有り難かったと思います。
 そこで、もう時間が本当に少なくなって申し訳ありませんが、ここでこういうことを送り出すことについて、やはりできるだけ多くの国民の方々の合意の下に部隊を送り出すということの必要性についてはもう十分御配慮していただいておりますが、よろしくお願いしたいと思います。
 そこで、最後に、舛添議員も総理大臣にお尋ねした点でありますが、こういうことが起こるたびにスピーディーに対処できない、特別法を作っていくという積み重ね。我が国が国際的貢献をするためには、やはり恒久法というか、いろんな意味を含めた恒久の法律を作っておくべきだということでありますが、その点について官房長官の今後の検討、考え方をお尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。

○国務大臣(福田康夫君) お尋ねの件につきましては、今回、特措法、特別措置法という形で法案をお願いいたしておりますけれども、同様な趣旨のものはアフガニスタンにおけるテロ特措法というものもございました。
 自衛隊の海外における平和的な活動について、そのたびごとに法律を作るということではなく、我が国のしっかりとした国際平和協力活動に対する考え方をしっかりと国際的にも示すためにも、やはりそういうものを、何と申しましょうか、一般法と申しますか恒久法と申しますか、そういうような形で持って、法体系を持っている必要はあるんじゃないかと。そして、その法律の趣旨にかなうものであれば自衛隊は適宜出動できるという体制を整えておくことが必要なのではなかろうか、こういうふうな考え方に基づきまして、今後、これは国会の御議論も踏まえた上でということでございます。党の方ともよく相談をしながら、党というのは与党、また御賛同いただけるならば野党の方々にも御協力をいただいて、そしてその法律体系をこれから準備していこうと、こういう考え方をいたしております。
 これは、順序といたしましては、大綱のようなものを最初に作って方向性をはっきりさせるべきではなかろうかというように考えておりますので、これはこの国会終了後、手を付けてまいりたいと考えているところでございます。

○月原茂皓君 今、官房長官、積極的に検討されると。前向きでよろしくお願いしたいと思います。その際、武器の使用の問題とかあるいは派遣される自衛隊のいろいろな処遇とか、そういうものも含めて広く議論されることをお願いして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(発言する者あり)

○委員長(松村龍二君) ちょっと速記を止めてください。
   〔午前十一時二分速記中止〕
   〔午前十一時十三分速記開始〕
○委員長(松村龍二君) 速記を起こしてください。
 暫時休憩いたします。
   午前十一時十三分休憩
   〔休憩後開会に至らなかった〕


2003/07/15

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