2003年7月22日 |
156 参議院・外交防衛委員会−(3)
イラク復興支援特別措置法案について
質問者=佐藤道夫(民主)、齋藤勁(民主)
平成十五年七月二十五日(金曜日)
○佐藤道夫君 私は、この人類の歴史に残るであろうようなイラク問題につきまして、こういう席で小泉総理の御意見を承ることができると、こんな感激の場面はないと、こういうふうに思っておりますので、どうかお心のこもった御答弁を賜らば、これまた感動感激に尽きるものはないと、こう思っております。本心からですよ。
まずもって、この戦争、目的は何だと。たった一つ、イラクが保有していると言われていた、言われている大量破壊兵器を発見すること。これがイラクが持っていたのでは、人類の平和に大変危険である、こういう判断が働いて、アメリカ、イギリスがイラクに侵攻したと。その前には、国連が中心になりましてイラクに査察団を派遣して、慎重にかつ綿密な調査を行っていたが、なぜかその調査団の退去を要求しまして、そしてアメリカ、イギリスが侵攻したと。これ、だれが考えましても、軍事力に訴えて、血が流れても仕方がない、それよりも大量破壊兵器の摘発が大切なんだと、こういう判断があって侵攻したと、こう思うわけであります。
そして、軍隊を使うということになりますと、そんじょそこらの問題ではないわけで、大量破壊兵器、どんな兵器が、どこに、どれぐらい、どんな方法で隠匿してあるのかと、それぐらいの、大ざっぱではなくてかなり綿密な、我々の言葉で言うと蓋然性の極めて高い判断があって、そして侵攻をしたと、こう思うのは当然なことであります。あそこにあれとあれとがある、あそこにあれがある。まあ何となく行ってみればあるんじゃないか、見付かるんじゃないかと、そんないい加減な気持ちで侵攻したものでないことだけは私、絶対間違いないことだと、こういうふうに考えておったのですが、戦争が始まって終結をして今数か月間、全くそれが発見されていない。一体何、どうしたんだろうかと。
御承知のとおり、アメリカの情報機関というのは大変に能力が優れておる、かつ人数も多い。十二万人、情報局、CIA、FBIその他で十二万人もいると。それから金もふんだんにあると。そして、アメリカの情報機関の情報の集め方の第一は、金を使って相手の組織に潜り込んでスパイを養成してそこから情報を収集してくると、こういうことですから、日本の情報機関などとはもう全然質も違うわけですよ。その情報機関が本当に、何か書類を捏造したとかいろいろ言われておりますけれどもそういうことは別にして、真剣に調査をして、これだけのもの、証拠が集まったと。それによってアメリカ、イギリスが戦争を始めて、そして今まで数か月掛かって一体どうなったのかというと、何もこれ発見されていない。一体どうしたことなんだろうかと。まあそのうち頑張れば何か見付かるんじゃないかと、そんないい加減な問題ではないと私は思っているわけです。
一体これは、アメリカのブッシュ大統領とも小泉総理は会見しております、戦争さなか、あるいは終わってからもですね。その際に、日本国を代表するリーダーとして当然こういう疑問をぶつけたと思います。これは反米だからとか親米だとか、そんなことはないんでありまして、だれだって世界じゅうのみんなが疑問に思っていることですから、当然日本国のリーダーである小泉総理、私だって親米と言われれば親米なんですけれども、やっぱり疑問点はアメリカの友人たちにぶつけて、どう考えるんだと、こういうことを問いただしております。そんなことはブッシュに聞いてくれと、彼らの返事なんですけれどもね。
いずれにいたしましても、小泉総理、当然のこととして、ブッシュ大統領にそういう疑問を投げ付けて、なぜ今まで発見されないんでしょうか、どんな問題があるんでしょうかと当然お尋ねしていると思います。それに対するブッシュ大統領の答えはどういうことでありましょうか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) まず、大量破壊兵器があるかどうかという質問に対しては、ブッシュ大統領は自信を持って言えると、あると、いずれ見付かるという返事をしております。
そして、今最初の御質問はそうだったじゃないですか。ほかに……。
○佐藤道夫君 あと、あれ、当然うなずいておられたんで聞いているんだと思っておりましたけれども、なぜ今まで発見されていないのか、どんな探索方法をやっているのか、要するに世間の人が聞くような質問を向こうの責任者にぶつけると。日本国のリーダーでありまするから、我々の考えていることを代表して、一体どうなんでしょうかとお聞きになったでしょうと、その答えはどうでしたと、こういうことです。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今お答えしたとおり、ブッシュ大統領はいずれ見付かるだろうと、捜索をしているということでありますが、私どもがこのイラクのアメリカの対応を支持した根拠は国連安保理決議であります。
そして、かつてイラクは大量破壊兵器を保有し、クウェートを侵略し、そして自国民に対しても化学兵器を使用したと。度重なる査察団の捜索といいますか、調査に対して誠実に対応してこなかった。そしてなおかつ、最後の機会を与えるということに対してもはっきりとした対応を示さないということから、イラクが大量破壊兵器を持っているという疑惑は国連安保理でも一致した見方だったわけであります。
そういう中で対応が分かれたというのは、もう少し時間を与えるべきだという議論と、もう最後の機会、相変わらず不誠実な対応に付き合っていても、これは限度があるという意見の対立だったと思います。
私は、日本独自でどこに、イラクに大量破壊兵器があるかどうかという、そういう能力は日本にもありませんし、そういう点につきましては、私どもの判断というのは国連安保理の決議に沿ったものであると。
○佐藤道夫君 私は、アメリカとイギリスが軍隊を派遣するとイラク人民の何十人、何百人、何千人が死ぬかもしらぬ、自分の軍隊の中からも血を流して倒れる兵士も出るだろうと。それでも、これだけの確信があるから、世界平和実現のためにイラクに軍隊を進めて、それを、大量破壊兵器を摘発せねばならぬ、その自信は大いにある、何しろこれだけの証拠挙がっているからと、そういうことで一国のリーダーというのはああいう軍隊を進めるわけで、何となく、ですから、あそこにあるだろう、行ってみれば分かるだろう、ないときは、ないときは後で考えようとか、そんないい加減なことは軍隊派遣の理由にも何にもならないわけで、それはまさしくもう戦争犯罪だと言われても仕方がないと思うんです。
そういう議論は当然日本国のリーダーである小泉首相とブッシュ大統領の間で闘わされたと思うんですよ。そういうふうな火を吐くような議論、これが親米だとか反米だとかそういうことじゃないんです。アメリカ人というのは案外そういう議論が好きなんですよ。あっ、なるほどと言って、本当にむきになって議論の相手をしてくれる。その中からお互いに理解し、更に理解し合っていくと。何かちょっと聞いたら、うん、ちょっとやったよという程度の話のようにしか聞こえないんですけれども、そんな程度のことで会話は終わったんでしょうか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは省略して私は言ったんであって、事細かに内容まで話すというのは、相手があることでありますから省略したわけであって、今結論を申し上げたわけであります。
そして同時に、このアメリカの対応につきましても、日本としては国際協調体制を築くべきだと。アメリカは当初一四四一も要らないという態度でしたね。しかし、一四四一決議、これはやっぱり国際協調体制築くべく大変努力されたと思います。そういう点は、日本は国際協調体制を築く重要性も指摘しましたし、日本の、アメリカの対応を支持したのは、根拠は、この累次にわたる国連の決議にあるわけであります。
○佐藤道夫君 アメリカの立場を支持したにはそれなりの根拠があると。アメリカは詳しい説明をしたんでありましょうか。それをなぜ国民の前に、まあ場合によっちゃ秘密に該当するようなところは伏せまして、そしてアメリカもこれだけ真剣に誠意を持って事に当たっていると、日本の皆さんよといって話をするのが私、この国のリーダーとしての責任だと思うんですけれども、何か相手があるから言えませんよと、そんな程度で終わるんでしょうか、これは。大変問題だなと、こういう感じがしております。
それから、もうイラクに侵攻して何か月もたって、何の成果も収めていないと。侵攻した理由はもう消えているんじゃないでしょうか。ここまで来たら、私、もう撤退すべきだと思うんですよ。こういう目的でこうやって入ってきたけれども、本当に申し訳ないけれども、何も発見されていないと、我々のやり方が間違ったのかどうなのか知らぬけれども、もうここにとどまっている理由はないと言って撤退すべきだと思うんですよ。その後はどうなる。それは国連にまた任せて、イラクの復興とかそういうことをやるべきなんでしょう。
先日の党首討論で、民主党の菅代表との間で、新渡戸稲造の問題の、名前を出しておられたと思うんですけれどもね、新渡戸稲造。彼はアメリカに留学している明治の初年に「武士道」という、そういう指導者の責任、日本人、日本の武士というものがどんなに責任を重んじて行動しているかということも書いて、それがアメリカの指導者に大変な感銘を与えたと。武士というのは、本当に目的を達することができないときは腹をかっぽじいて罪を認めて、そして謝罪をしたと。それぐらいの問題であってもいいと思うんですよ。もちろん職を辞するのも当然ですけれどもね。
これだけ世間を、世界を騒がして、まあしようがないな、見付からなかったなと。ただ、イラクの連中が困っているみたいだから我々面倒見てやっているんだよと、こんな感じにしか受け取れないわけなんですよ。それについて自衛隊を派遣して手伝わせると。新渡戸稲造の精神が一体どんなふうになっていこうとするか。日本にもはや武士というのはいませんからね、まあ仕方がないといえば仕方がない。しかし、いずれにしろもっと責任のある行動をアメリカの指導者も取るべきであって、それに対してまたきちっとした申入れをする、それが本当の意味での親米だと私は思うんですよ、言うべきことを言ってやると。向こうも分かりましたと、私、責任を感じて辞職しましょうとか、そういうことになることもあるんでしょう。
いずれにしろ、最終的には、もう一度伺いますけれども、あと何か月ぐらい待てば、これ、大量破壊兵器が発見されるんでしょうかと。それぐらいのことは当然お聞きになっているでしょう。それに対して、まあ五年ぐらい、いやいや十年ぐらい待ってくれやと、そういう返事だったんでしょうか。それとも、まああと近々ですよと、二、三か月もあれば大量破壊兵器が発見されますからお待ちくださいと、こういうことだったのか。どうなんでしょうか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、今、アメリカは手を引けということには賛成できません。今、イラク人の、イラク人のための政府づくりに米英始め当局が努力されている。フセインが打倒されて歓迎している国民もたくさんいると。報道等では反米感情強く出されておりますが、実際におきましては、フセイン政権が打倒されて歓迎されているイラク国民もたくさんいるわけであります。そして、自分たちの、イラク人のための政府を早くつくろうと努力している。暫定行政機構もそうであります。そして、イラクに自由な民主主義政府を構築しようという、そこで米英等が今各国協力しながら努力している。ここで、まだわずか数か月しかたっていないのに、こういう混乱が起こっているから引き揚げろと、私はこれは無責任だと思います。
そういう意味において、私は、こういう厳しい状況にもかかわらずイラクでイラク人のための政府づくりに励んでいる諸君、そしてイラクの復興支援に尽くそうとしている人々に対しては敬意を表しております。
日本としても、今、いつになったら大量破壊兵器が発見されるか、これは私は分かりません。しかし、いずれ発見されるだろうと私は思っております。このイラク人のためのイラクの復興支援、イラクに民主主義体制をつくろうという努力に対して日本としてもそれなりの貢献をしていきたいと思っております。
○佐藤道夫君 もう回答は結構ですけれども、一言だけ言わさせてください。
冒頭に申し上げましたけれども、こういう質問に対して、本当に心のこもった、役人答弁でないような政治家の本当の答弁を私期待していたんですけれども、残念としか言いようがございません。またの機会に譲りたいと思います。
○齋藤勁君 先ほど衆議院で小泉内閣不信任案の提案を我が党の菅直人代表が述べておりました。全文を改めて申し上げるつもりはありませんが、先ほど、山本一太議員の日米関係ということがいろいろやり取りがございましたが、たしか私の記憶では、和して同せずという表現を使ったなと。御記憶であるかどうか、いや、もう忘れたと、そんなに記憶ないということなのか、もし記憶にあればどういうふうに受け止められたのか、一言伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 和して同ぜず、論語。私もよく使う言葉です。よく聞いておりましたよ。和して同ぜず、いい言葉だと思いますよ。
○齋藤勁君 そこの議論するつもりじゃありませんので、どう総理が、日米関係ということありましたので、そういう、私自身も時間があればそれなりにやり取りをしたいと思いますが、所感をお伺いいたしました。
端的に幾つかお伺いいたします。
イラクへの米英軍の武力行使、今、占領軍ということですが、この武力行使への支持、小泉内閣総理大臣として支持をしました。今なおもその判断というのは間違っていないというふうに思っていますか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 正しかったと思っております。
○齋藤勁君 我が国のいわゆる国是、考え方として、憲法のすべての、前文の、条文を私は披瀝するつもりはございませんが、武力をもって戦争の解決手段としないと、武力をもって紛争の解決手段としない我が国の態度として、そういうのは私たち自身が世界観として持ってきているし、これからも持ち続けなきゃならないというふうに思われるんですけれども、こういった立場でも誤っていないというふうに思われますか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 憲法九条、確かに国際紛争を解決する手段として武力による威嚇、武力の行使は放棄するとしておりますが、これは日本国の憲法でありますし、日本は武力の行使はいたしません。と同時に、国際社会の中で名誉ある地位を占めたいと思う、国連の中で日本としてどのような役割を果たすべきかと、いわゆる国際協調体制。そういう中で、今回のイラクの対応につきまして、私は、数々の国連の中における議論、決議等を踏まえて米英の対応を支持したわけであって、憲法に抵触するものとは思っておりません。
○齋藤勁君 私は、戦後様々な我が国の歩みがあったと思いますが、そういった小泉総理の、一方で言葉として世界観は認めつつも、一方、現実にあるこの武力行使に至るその要因、原因、理由、いろいろ、今、大量破壊兵器の点についても佐藤道夫議員は一貫してそのことを追及をしておりますが、我が国の国是として、我が国は世界に対するスタンスとして、武力を紛争の解決の手段としない国としてのメッセージはずっと一貫してあるべきだと思うんですね、他国がどうあろうが。それが日本の総理大臣のメッセージじゃないんですか。いかがですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) だからこそ私は、戦闘行為には参加しない、日本としては。日本憲法をわきまえて、日本ができること、できないこと、これについてはよく憲法に合致するように今までも判断してきたと思います。それはPKO活動についても、自衛隊に海外派遣するということ自体、これは憲法に抵触するという議論もありましたけれども、だんだんそういう議論も私は薄れてきたと思います。
憲法の条文に照らして、国際紛争を解決する手段として武力の行使は認めない、武力行使を放棄すると、日本としてはそうでありますが、外国は日本と同じような憲法ではありません。外国もそれぞれの国の事情があると思います。そういう中で、日本はその時々の国際情勢によって、日本としてどういう態度を表明していくかと。ある場合によっては、外国の立場も、国際紛争を解決する手段としてやむを得ず武力を行使するという場合に、支持しても私は憲法違反にはならないと思っております。
○齋藤勁君 重大な今回の法案の、私は小泉総理の今の答弁というのは、提案自体もそうなっているんですけれども、我が国が歩んできた道と大きく逸脱をする私は今回のメッセージであり態度だと思うんですね。
過日、インド政府の例を出させていただきました、インド政府の対応について。私は、インド政府というのは私は学ぶべきだろうと、今回の、というふうに思っていますから、あえて指摘をさせていただきました。
大量破壊兵器の緊急の話がありました。それでは、ブッシュ大統領の言葉をずっと信じているんでしょうけれども、この前、ブレア首相ともそういう話をしたのかも分かりませんが、仮に大量破壊兵器が幾ら幾ら捜索しても出てこなかった、ああ、出てこなかった、その時点に至って、小泉総理としては、ああ、やっぱり支持、考えの後悔をするのか。後悔をするのか、後悔をしないのか、どういうふうに今思われますか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、いずれ見付かると思っていますから、見付かると思っていますから、今、ないと断定できないと思いますね。私、日本政府の判断は正しかったと思っております。
○齋藤勁君 武力を紛争の解決の手段としないということを私どもは、ちょうど私が生まれた年ですから、一九四五年、昭和二十年ですから、ちょうど五十八年たちますけれども、いわゆる第二次世界大戦に終止符を打たれた年ですけれども、我が国も、広島、長崎の二つの原子爆弾だけでなく、全国、地方都市や大都市に様々な空襲を受けたり爆弾を投下されまして、尊い人命を失いました。
私は、今度の大量破壊兵器とかフセイン政権打倒、いろいろ、国連の機能は失ったんだというブッシュさんの演説というのは随分乱暴だなと思いましたけれども、こういった国際紛争を私どもは我が国の体験の中で、今、今日歩みとしてきた中での先ほどの国是というならば、いや、ブッシュ大統領、それはそうじゃないんではないだろうか、もっともっと査察を継続しようというふうに私はもっと最後まで主張するのが我が国のスタンスじゃないんですか、我が国の貴重な体験からしまして。それが先ほど言った武力を紛争の解決としないという国のメッセージじゃないんですか。他国は他国なんだと。
イラクの国民、確かにフセイン政権は大変問題だと思いますよ。大量破壊兵器を持っていたと思います。査察を大変拒んでいることも事実だと思います。しかし、グレーゾーンであったんですよ。グレーゾーンであったのを武力行使をすることについて、やはりそれは引き続き査察をしましょうというのが私は我が国のメッセージだったんではないでしょうかということを申し上げたい。
合わないです、この点については。ずっとやっていますけれども。
さて、自衛隊の派遣、衆議院や参議院のずっと議論を聞いていまして、自衛隊の派遣の是非というのは、総理はこの国会の中で質疑をするからそれで自衛隊の派遣の是非はいいんだと、こういうことだったんですけれども、衆参でずっと議論をしてましたけれども、そういうふうに、この法案がすべて決着を付けば自衛隊の派遣の是非というのはそれでいいんだというふうにお認めですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、自衛隊を派遣することができるという法案ですから、しかし実際に派遣する場合には非戦闘地域と、戦闘行為に参加しない、そういうきっちりとした枠がはまっております。
この法案が成立後、よく現地の状況を見極めて、この法案の趣旨に沿った形で派遣されなければ、派遣する場合は派遣されなければならないと考えます。
○齋藤勁君 今の佐藤議員が過日のクエスチョンタイムの菅代表との総理とのやり取りの中で、非戦闘地域はどこにあるんですかと、言ってみてくださいよと言ったら、いや、そんな私が知るわけないでしょうと、あるんなら言ってくださいよというふうに言っていました。ある意味じゃ素直ですよね、今イラクへ行っているわけじゃないんですから、ある意味では。ある意味では素直であっても、そういう言葉で全部済むんだろうかと、一国のリーダーとして。
この法案、私はいつも質問するときにこれをずっと見ていますよ、資料、法案と提案説明。対応措置は戦闘行為が行われることのない地域等で行うことなどを定めておきますと。あとは、第二、第三、第四、第五に基本計画。基本計画は事後承認、事前承認じゃないんですよ。
総理が行ったことがないからという素直な気持ちと、今現地は占領状態、戦闘状況をアメリカの司令官が、ゲリラ戦で戦闘状況にあるということをあなた自身も知っているから、いや、これはうかつなことを言えないなと。両面からなんでしょう、いかがなんですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) いや、私、率直に言ったんですよ。私に聞かれたって分かるわけないじゃないかと。これ、当然でしょう、今の状況で。それは調査しないと分からないんですよ。この発言が私おかしいと思う方がおかしいと思うんですよ。極めて正直に、率直に話しているんです。それは専門家が行ったってすぐ分かるものじゃありません、今行ったって。現に、今でも民間人が安全な分野で活躍しているところもある。各国の軍隊がちゃんとイラク民と友好関係を保ちながら活躍している場もある、現在。それは私が行ったって分かるものじゃない、専門家が行かなきゃ分かりません。
だから、極めて私は率直に当然のことを言ったんですよ、正直に、誠実に。
○齋藤勁君 いや、クエスチョンタイムで何もふざけて総理が言っているなんて、私思っていませんよ。だから、私もさっき、ある意味では行ったことがないわけだし、これから調査するという、防衛庁長官もおっしゃっていますよ、そういうことなんだろうなと。ただ、この法案はそういう法案で、今こうやって議論しているんですよ。
我々は毎日毎日新聞見るの嫌ですよ、尊い人命が失われていくのは。湾岸戦争を上回る死者数を出している。アメリカの軍人が厭戦気分だと言っている。上官に、上官にもう嫌だと言うようなことを許す、こんな軍隊なんかないですよ。
我が国の自衛隊の状況はどうですか、自衛隊の状況、士気。一国のリーダーが今法案を審議している最中にそういうことを言っていると、家族はどういう気持ちになりますか。
それじゃ、総理、今の状況がずっと続く限り、今の状況が続く限り、この法案通っても自衛隊を派遣しませんと、そういう状況ですか、今のイラクの状況は。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) ですから、この法案は自衛隊をイラクに派遣することができるという法案ですから、しなければならないという法案じゃないんですよ。それは、現地の状況をよく見極めて、戦闘地域じゃない、戦闘行為には参加しない、そういう枠組みの中で自衛隊を派遣する場合は派遣するんですから、当然その前には、この法案が成立後、十分な調査が必要だと思います。そして、この法案の趣旨にのっとった活動を自衛隊にはしていただくと、当然それは非戦闘地域であり戦闘行為ではないと。
○齋藤勁君 現地へ行っていなくても様々な情報を入手していると思います。だからこそ、こういうやり取りになると思うんですね、だからこそ。とっくにもう占領状態が、占領状態が継続するとしても、尊い人命が失われていない状況があればまた違った議論になっていると思うんです。
今の総理の発言は、しなければならないと、自衛隊を派遣してはならないということではなくて、ということを私は先ほど質問の前に、質問の言葉の中に、今の状況、今のイラクの状況、日一日、今日はどうだったのか何かというのは、新聞見たりニュース見たりするの嫌ですよ、そんなの。だれもみんな喜ばないと思いますよ、何人であろうとも。また国連の関係者も、ということになって今どんどんいるわけですけれども。
今の状態が続く限り、これは現地に行くか行かない、総理自身が行くか行かないかは別にしても、今見る限り、これがならない、派遣するような状況じゃ、ならないというふうにお認めになりますか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これはよく調査しなきゃいけないと思います、じっくりと。今の段階でどうだこうだというよりも、派遣する場合には法律の趣旨にのっとって派遣するわけですから、十分な調査が必要だと思います。
○齋藤勁君 総理ね、それだったら、第二、第三、第四とずっと基本計画ありますけれども、この法案は法案ですけれども、立法府として、私は何回も言っていますよ。政府は国会に基本計画を提示すべきですよ、基本計画を、事前に。事後ですね、事後なんですよ、今これは、事後報告なんだ。今の状況を我々は本当に危惧していますよ、国民も。だから、こういうことをずっと一貫して主張しているわけですから。今ここで小泉総理しかいないんですよ、総理以上の人は、今、日本のリーダーの中で。
提案されている内容ですけれども、今日の状況を見るから、今、私は総理はそういう発言をされていると思う、答弁をされていると思うんですけれども、調査をすると。調査をして、そしてそれは国会へ説明して提案して、そして議論をして、その判断を十分加味して政府としては最終決定をしていくと、こういう立場に立ちませんか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 現地の状況を見極めて国会に報告するわけです。それについては政府は責任を負うんです。十分な調査が必要だと思っております。
○齋藤勁君 この国会で、自衛隊員の方が万一のときにはということで、今の規定の中で賞じゅつ金とかいろんな議論をされているんですよ。大変な配慮だと思うんですね。そんなこと起きちゃいけないんですよ。起きちゃいけないことを仮定して、しかし起きたらということの多分議論だと思うんですが、今までなかったんですよ。海外、PKOとかそういうことに関しては、そこまでの議論というのは、深刻な議論というのは。
これもクエスチョンタイムで取り上げました。私は、もうここで防衛庁長官にお尋ねいたしましたが、私が最初にこの防衛庁の教育訓練局長の新潟県加茂市長の小池さんの要請書を取り上げさせていただきました。大変な私は気持ちを込めてイラク特措法案の廃案にすることを求める要望書、出されていると思いますよ。今の答弁は、私は、国民の気持ちとか、立法府が、国民の気持ちを代弁するこの立法府としての在り方にこたえている私は答弁ではないというふうに残念ながら思います。
大変、あともう一つ、私は気になる点がありまして、危険だ危険だということになると今の武器携行、武器の携帯、従来どおりですと。しかし、これは現地で部隊のルールという、いろいろあって、そこでまた判断をして決めましょうということで、これも防衛庁長官のこの点についてやり取りがありますが、一方で、危険だ危険だというと、無反動砲とか、これは抑止だとか非常に重火器だとか、いろいろ今度どんどんどんどんエスカレートしていくんですね。これそのものがもう、議論そのものが、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであって、全くこの議論なんというのは、私は、そこで議論すること自体がまたこの法案から逸脱するじゃないですか。それは、そんな議論はあり得ないと明言していただけませんか。
○国務大臣(石破茂君) このお話は随分と委員とも議論させていただきました。
これは、何を持っていってもいいということを申し上げているわけではございません。自分の身を守るために必要なものは何なのか、現地の情勢を見まして、実際にそれに身をゆだねる自衛官の意見というものを尊重して、政治が決定をするということに相なります。
今、無反動砲というお話がありました。無反動砲というのはピンポイントでやるものでございまして、迫撃砲とは違います。何を持っていけば自分の身を守るために十分なものなのか。それが戦車とか戦闘機になりますと、もうそれは、そういうものが飛び交っておったり走っておる地域というのは、それは戦闘が行われていない地域とはもはや言わないのではないかということでございます。
いずれにいたしましても、自衛官がこの法によって自分の身を守るために必要な武器、これはこうなんだというふうな意見を申し述べまして、それを政治の判断において決定をする、そしてまた実施の可否について国会の御承認をいただくということになると私は考えております。
○齋藤勁君 もう時間ですので終わりますが、済みません、恐縮です。国際協調、国連重視、そしてこの間の、私は、日本の外交、そして自衛隊の海外派遣を含めまして、今回の法案というのは極めてもう欠陥商品です、欠陥法案ですよ。憲法にも私は重大な疑義どころか違反していると思います。
幾ら憲法の枠内だとか何言ったって、もう明確に私は逸脱しているというふうに思いますし、国民の気持ちを代弁する立法府を、私は、幾ら言ったってそれにこたえようとしない小泉総理大臣のこれまでの答弁に対して本当に不満に思いますし、甚だ残念です。
このことを申し上げさせていただきまして、私の質問時間が来ましたので、終わりたいと思います。
2003/07/25 |