2003年7月22日 |
156 参議院・外交防衛委員会−(4)
平成十五年七月二十五日(金曜日)
○山本保君 公明党の山本保です。
今日は、総理と二度目のこの問題についての議論になりますので、先回のまとめ的なことで、また、他の閣僚にもちょっとお聞きしようと思っております。
最初に、私は外交防衛委員会というのは初めて所属しまして、イラクにも突然でしたけれども行かせていただいて、大変いい経験をしました。
今の議論を聞いていまして、私など違う分野でやっていたもので、ふっと簡単に、何というんですか、整理してみますと、憲法の中で九条というものだけ取り上げて日本の国が平和であればいいという考え方、正にこれが今までの日本の考え方だったかなと思うんですけれども、今回こういうことがありましてよく読み直してみましたら、前文はどうも違うんじゃないかと思うんですね。
もうよく皆さん御存じのように、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたい」とし、最後には、「国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」と、こういう形で、正に世界の平和、安定ということと日本の国益なり、また日本の繁栄というものがパラレルであるというのが日本国憲法の考え方であると。
正に、今までその考え、憲法はもう以前からあるわけですけれども、今まで一度もそのことは日本の国力や、また社会、世界状況からいってそういうものが問題にはならなかった。今とうとうそういうことを我々としてはしっかり国の目的として位置付けるときが来たのかなという気がしておりまして、今回の法律はその第一歩であるという気がします。これはもっともっと、是非こういう観点から議論を深めたいなと思っております。
最初に、総理に、これはもう何度も言っておられますが、この前もお聞きしました。自衛隊が行って何かをするというのも含みますけれども、今回のこの法律の意図するところはイラク全体の国づくりの支援である、こういうことをこの前も答弁いただきましたので、最初にもう一度そのことを確認させていただきたいと思います。総理、お願いします。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) この今、山本議員が言われました憲法の前文、前文と憲法九条の関係、日本がまだ経済的に今のような状況にないときだったらば、日本の役割というのはそんなに世界各国から期待されなかったと思います。しかし、今やGDPにおきましてもアメリカに次いで第二位、日本の経済力に見合った役割を果たすべきだという声は国際会議等出れば必ず出てくる議論であります。
そういう中にあって、日本としてもこの憲法の前文と九条、どうやって調整していくか、整合性を保っていくかというのが、今後も国際社会の中で日本の役割を果たすと、責任ある一員としての役割を果たすという点で大変重要なことだと思っております。
今回、国連決議によって、国連加盟国はイラクの人道復興支援にそれぞれの力に見合う協力をすべしという決議に沿って日本は考えるわけでありますので、イラクの国づくりのために、イラク人が自らの手でイラクの国の復興に立ち上がるようにどういう支援が可能かという観点に日本は立ってできることをやろうと。その中で、自衛隊にもそういう役割があれば自衛隊に行ってもらおうと、もちろん民間人にも行ってもらおうと、政府の職員にも行ってもらおうということでありますので、これは自衛隊が行くから戦争につながるんだとか、自衛隊が行くから戦争行為なんだということでは全くないと。自衛隊も日本国民としてイラクの復興支援のために支援活動をしようということであることはやっぱり多くの国民に理解していただかなきゃならないと思っております。
○山本保君 それでは、もう少し細かいことについてお聞きします。
最初に、総理に、最近よくこの法律は枠組み法ですよということをよく防衛庁長官、よくお話しする。まあ役所にいると枠組みは大体分かるんですが、一般の方は余り、何のことかなと。例えば、この法律が成立しまして、慎重に調査をするわけですが、もし仮に内戦状態になったとか、又はもう一度米英と戦闘が再開されたとか、こういうような状況になったときには、自衛隊を派遣するかどうかというこの自衛隊派遣の有無も含めて検討をすべきだというふうに私は思っております。この辺が、どうも枠組み法という意味が自動的に行くのではないかというようなお話があるのかという気もするものですから、この辺について少し確認したいんですが、いかがでしょうか。じゃ、防衛庁長官、はい。
○国務大臣(石破茂君) 委員の御指摘のとおりだと思っております。
枠組み法というのは、総理がお答えになられましたように、自衛隊を出すことができるという法律であって、自衛隊を出さなければいけないというものではございません。そして、いろんなことができるように書いてございますが、それは、現地に行ってそのメニューの中から何を選ぶのかというのはこれからの作業でございます。そういう意味で枠組み法でありますし、委員御指摘のように、例えば自衛隊は、当然憲法の要請によって戦闘が行われていない地域でなければやってはいけないと、こういうふうに書いてあるわけでございます。
これはもう理屈の上の話でございますが、仮にそんな地域は何もないというようなことになれば、この法律の要件を満たさないということになりますので、これはもう憲法の要請を満たさないことになります。そういう意味で、委員のおっしゃることはございます。私どもは、そういう意味で詳細な調査をして、この法律にかなうような行動、これをやるのだ、やることを可能にする法律である、そういう意味だと考えております。
○山本保君 この調査については徹底していただきたいということは、質問ではなく、お願いをしておきまして、次の質問に移りますが、外務大臣にお聞きします。
これは、私ども与党調査団、現地の大使館に行きまして、被害も受けておりまして、一生懸命きれいに使ってはおられましたが、はっきり申し上げてこれが日本国の大使館であるかというような状況でございました。舛添先生も大変その辺、気にされておりまして、帰ったらこれはただ、何というんですか、建て直したり補修をするのではなくて、もっとしっかり、こういう状況もありますし、きちんとした建物にすべき、今、何かこうフラットが、二階建てのフラットで半分使っているんですね。隣は別のもので、同じ建物の中で同居しておるわけでございます。ですから、そちらの方から幾らでも入れて、そして中のコンピューターも全部持っていかれてしまったと、こういうわけでございまして、ちょっとこれは何とかしてあげないと、とてもこれから現地の指揮、指揮官が指揮するところですから、お願いしたいと思いますが、外務大臣、いかがですか。
○国務大臣(川口順子君) おっしゃるように、イラクの大使館について、これは立ち上げて、今、業務を始めておりますけれども、警備体制については強化が必要であると思います。今、大使館に八名ぐらいの人が行っておりますけれども、人数も増強しなければいけない、そうするとより広いところも必要だということでございます。
いろいろ制約がある中ではございますけれども、そういった点については、警備も含めて強化をしていくことが必要だと考えております。
○山本保君 じゃ次に、今度は防衛庁長官だと思いますが、先ほどもちょっと同僚の議員からもお話があった、私も実はこういう考え方なんです。これは現地で与党の中でも実は議論が分かれたところでした。
つまり、先回もこの委員会で質問があったわけですが、相手が武器を持っている以上、命を守るためには、簡単に言えば、一段階上の武器を持っていかなくてはならないと、そうでなければ安全は確保できないという考え方があります。しかし、私はやはりこれは非常に危ない考え方だと思っておりまして、先回もここにお呼びした専門家の公述人の方に、自分を守るとか専守防衛的なそういう陸上の武器というのはあるのかとお聞きしましたら、それはあるんだということでございまして、正に戦車だ、先ほどもお話が出ましたが、戦車ですとかそんなもので、幾ら、使う、最悪の場合を想定しているといいましても、そういうのはこの法律が意図している非戦闘地域に持っていくものではないだろうと思うんですけれども、この辺については正に必要な装備という点で慎重に検討していただきたいと思っておりますけれども、いかがでしょうか、防衛庁長官。
○国務大臣(石破茂君) 委員の御指摘のとおりだと思っております。
ただこれは、戦車とか戦闘機になりますと、戦車が走り回ったり戦闘機が飛び交ったりするようなところは、もはや戦闘が行われない地域ということには普通はならないだろうと。戦車を個人で動かせるというようなこと、ちょっと考えられませんし、戦闘機が飛ぶというのはそれなりに組織的なものでございます。そういうような地域に私どもが展開するということは考えにくい。
先ほど、齋藤委員から無反動砲のお話がございました。無反動砲というのはピンポイントで撃つものでございますし、迫撃砲ということになりますと、これは面で制圧するということになります。何が自分たちの身を守るために必要な武器であるのかということは、これは私ごときが申し上げますよりも、実際にそれに身をゆだねる自衛官がこういうものが必要だということを言う。彼らは本当に物すごいものを持っていく、そういうようなつもりはございません。それを、プロの判断を踏まえまして、私ども政治がシビリアンコントロールで判断をする。やはりプロの判断というのを尊重するということになりますが、おのずからそれはどこまでも無制限というものでは当然ございません。
○山本保君 それと今度は関連しまして、服装についても、総理には前、個人的にもその辺もお呼びいただいたときにお話をした覚えがあります。
私、考えますに、この辺は素人ですけれども、軍隊、警察もそうかもしれませんが、軍隊といういわゆる実力部隊の制服というのは二種類、基本的に概念二つあると思うんですね。一つは、国家権力の秩序というものを示し、ですからこれは言うならば派手で、いわゆるミリタリールックというんですか、非常に格好のいいものにするという制服と、それからもう一つは、正に実力を、破壊力、実力、攻撃能力というものをもろに示すような、そしてそのために最も機能的な、今の迷彩服というんですか、こういうものに代表されるような、今、事故など、いろんな今の山の事件などで大変、大変な悲惨な事件が九州でも起こっておりますけれども、そういうときにも、テレビを見ておりますと、正に迷彩服着ております。鉄砲持っているわけではありませんけれども、あれは正に作業服として使っておられるんだろうなと思うわけですけれども。
さて、そういうものが両方やはりどこの国にもあるんじゃないかと思ったとき、今回、私どもといいますか、自衛隊の方に行っていただくのは明らかに戦闘のために行くわけではないわけですから、これはどう見ても戦闘のために行くものではないという制服が要るのではないか。いろいろお聞きしますと、どうもちょっとそぐわない、今、いいのはないのじゃないかなという気もします。
これから、正に日本が世界の中で復興のために自衛隊が行くということを、新しい概念を、この前私は自衛隊法も改正すべきだということを申し上げたわけですけれども、こういう仕事をしているんだというスタイルというか、これも必要じゃないかなという気がするんですけれども、防衛庁長官、いかがでしょう。
○副長官(赤城徳彦君) 服装についてのお尋ねでございますけれども、これはやはり機能というのが大変大事でございまして、実際この業務内容が決まりましたら、現地の例えば猛暑でありますとか砂じんが舞うとかそういう気象条件、地理的な条件、そういうもの、それからあわせて、迷彩服がかえって危険だというような御指摘もこれまでありましたけれども、どういう服装が治安の面でいいのかという、そういうことも勘案します。
現に今持っているものについて、例えば陸上自衛隊ですと、防暑服、暑さを防ぐ服と書きますけれども、それの迷彩色、柄と、それからOD色という、ちょっと言葉では言い表しにくいんですけれども、緑に茶がかかった、そういう色の、単色の服ですけれども、そういうのも持っております。
そういうことも勘案して、どういう服が最もふさわしいかということを検討してまいりたいと考えております。
○山本保君 やはり攻撃ということになりますと、相手に見えにくく、そして展開しやすくて、そこから自分の身を守りながら攻撃するということだと思うんです。逆に、秩序とか権威というものを示す場合には逆に目立つようにするわけでして、一番いい例がイギリスのお巡りさんだと思います。あれだけ大きな帽子をかぶりまして、どんな群衆があっても遠くからすぐに分かると。正に日本の場合でもパトカーがサイレンを鳴らして来るわけでして、あれは犯人に逃げろと教えているわけではなくして、正に権威というものを示すためにやっているわけですね。ですから、ここは新しい概念といいますか、新しい分野ですので、是非検討していただきたいと思います。
最後に一つだけ。
これはもう新聞等に見まして、出ておりまして、私もこの前質問をさせていただきましたように、日本の自衛隊の役割というのを是非PRしていただくということで、先日も申し上げましたら、具体的なお話を進めているようでありますけれども、イラクの国民に自衛隊の働き、意義、そして現実にやっている仕事、こういうものを知っていただくというのも大変重要だと思いますが、これについてはどのように検討されておるでしょうか。防衛庁長官にお願いいたします。
○国務大臣(石破茂君) それは、PRというものの重要性というのは随分とこの委員会でも御議論をいただきました。
どういう形がいいのか。私どもは戦争に来たのではない、武力を行使しに来たのではないと。それはやっぱり人道支援、もちろん安全確保支援もございますが、我々が何をしに来たのか、日本国として何をやるのかということをきちんとPRをするということは極めて重要なことだと思っています。そのメディアが何なのか、そしてどのような方法が良いのかということはこれからよく議論をしなければいけませんが、実際に行ってから考えますという話ではなくて、これは基本計画を作り国会の御承認をいただく、その過程において、こういうような形でPRをしようということを、またこの委員会の御議論も踏まえながら、きちんとした方法を考えてまいりたい、そのように思っております。
○山本保君 ありがとうございました。
終わります。
○小泉親司君 日本共産党の小泉親司でございます。小泉純一郎総理大臣に質問をいたします。
まず、私、総理に質問をさせていただく前に、今回のイラク特措法というのは、私は、大変重大な問題が数々まだ山積している。例えば、憲法上の要請の問題と言われる戦闘地域と非戦闘地域の問題、これはいわゆる、先ほど総理も言われたように、自衛隊が戦闘地域に行かないと、だからそういうものが決められたんだと言いながら、実際、じゃ戦闘地域と非戦闘地域は本当に区分けできるんか、こういう問題が私は残されている。こればかりじゃなくて、私、たくさんの問題がまだ残されているというふうに思います。ですから、私たちは、野党は結束して、この問題については徹底した審議をすべきだということを要求してまいりました。ところが、今日、委員長の職権でこの締めくくり総括が強行される、私はこういう点については強く抗議をしたいというふうに思います。同時に、これが私、数の力で、数の力を頼って強行されるようなことについては、断じて認められないということをまず冒頭申し上げさせていただきたいと思います。
そこで、まず総理にお伺いいたします。
総理は、衆参の審議を通じまして、今度の問題については、人道復興支援だ、国づくりだ、こうおっしゃっている。ところが、この法案の中には、いわゆる占領軍に委任された、国連決議一四八三によって委任されたいわゆる治安維持活動、法案でいきますと安全確保支援活動、それから人道復興の支援活動、こういうものが含まれている。これは現実に今イラクで行われている、行っているのは、御承知のとおりイラクの占領軍であります。ですから、そういうことになると、自衛隊がこれ派兵されることになれば、当然この占領軍を通じてこうしたことをやるんだということになると思いますが、総理、その点はお認めになるんですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、国づくりのための支援活動ですから、恐らく今の質問は、憲法に抵触するんじゃないかという趣旨の御質問だと思うんです。
で、占領軍と一緒に活動するからこれは国づくりと違うという趣旨の質問ですか。
○小泉親司君 総理、私の質問を曲解しないで、よく素直にお聞きいただいて御答弁をいただきたいと思います。
例えば、この間、川口外務大臣はこの委員会で繰り返し言ってきたんですが、CPA、米英の占領機構のホームページが開設されているんです。そのホームページの中に、CPAについての規則、レギュレーションナンバーワンというものが創設をされております。その中で、CPAの任務、これを三つ挙げております。一つは移行期間における実効的な統治を提供する、それから安全、安定の回復を行う、三つ目は将来イラク人が自由な政治的将来を決定できるような環境を創設するんだ、これがCPAの任務だと、いわゆる占領機構の任務だと言っているわけです。
ということは、当然、この法案で自衛隊がイラクに派兵されるようなことになれば、それは占領機構を通じてやらないとできないというふうに私は思いますので、そういうことなのかということを総理にお聞きしているんです。──いや、外務大臣、要らないですよ。総理にお聞きしている。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) よく、いわゆるCPAと協力しながら進めていく、協議しながら進めていくということであります。
○小泉親司君 総理は、私の本会議の質問に対しまして、派兵される自衛隊と米英の占領軍の関係について、国連決議で施政機関としての地位を認められた米英当局と連携を図ることになりますが、自衛隊が米英軍の指揮下に入ることは全く想定されておりませんと、こう答弁されておるわけです。
これは、なぜ米英軍と指揮関係に立たないのか、なぜこれ、想定されていないのか。現実には、先ほども言いましたように、米英軍のやる仕事、つまり治安維持の活動、人道復興支援、この点では仕事は基本的には一致しているのに、なぜこれが指揮関係に立たないのか、ここをまず御説明いただきたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これ、我が国の支援活動というのは我が国の主体的な判断で行うんですよ。だから、協力するのは当然ですけれども、指揮下に入るわけじゃない。そこが違うんです。
○小泉親司君 国連の決議一四八三、これはあなたが何遍も引用される。この中に、前文の中ですが、占領国でないその他の諸国が当局の下で現在活動している、又は将来し得ることに留意しと明記しております。つまり、これから派遣される国及びその国の軍隊、こういうものは占領機構の下で活動するんだと言っている。これは国連決議一四八三でも言っていることであります。
この点については、最近公表されて、私、ここに、米英占領軍、CPAの一番新しい機構図があります。その機構図の中で書いてあるものは、いわゆる国際的な調整評議会に参加をして、これは指揮権に立たない、調整評議会に参加をして、これについては国連決議の一四八三で明記されたような安全、安定の回復の活動や人道復興支援をやると、こういうふうにこれ、明記されているんですが、こういうものにも当然、総理、参加をされるんですね。──総理、総理、総理、総理ですよ。
○国務大臣(川口順子君) 取りあえず、ちょっと事実関係に関係することでございますので、私からまず申し上げたいと思いますが、国際調整評議会というのは、これは、支援について、それをいろいろな国との間で調整をするというところであります。我が国としては、イラクにおいて行う活動は、そことも調整をしながら行うというのが具体的な動き方であります。
○小泉親司君 私は、初めてこの国際調整協議会とやると外務大臣がお認めになりました。私、外務大臣に、いや外務省に、この国際調整協議会はどういう組織かと言いましたら、大変これはホームページの中で詳細に、このいわゆるICCという、国際調整協議会の仕事については規則で書いております。ところが、わずかこのぺら一枚、しかも五行しか書いていない、こんなペーパーで私はだまされるわけにはいきません。
総理大臣、私は、ここで書いてある、外務省の資料でも何て書いてあるかといえば、イラク連合暫定施政当局、CPAに属する国際調整評議会、これと調整やるということになったら、必然的に占領軍と一体である、占領軍に属しているということになると思いますが、総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) お答えいたします。
よく調整しながら、協力しながらやるということであって、これは日本が主体的に判断することなんです。
○小泉親司君 じゃ、総理もこの国際調整評議会に参加するということをお認めになるんですね、総理。──いや、総理ですよ。今、総理が答弁したんですから、総理です。
○国務大臣(川口順子君) これも事実関係ですので私からお答えさせていただきますけれども、これとも、このICC、国際調整評議会というところは何をするところかといいますと、これは国際社会のイラク復旧・復興開発支援への参加を支援、慫慂することを目的として設立をされている組織であるわけです。
それで、その権限は、決議一四八三に従ってイラクの支援を慫慂すること等であるという権限を持った組織でありますから、我が国としては必要に応じてこことも調整を行うということでございます。
○小泉親司君 総理に質問できるせっかくの機会なんですから。私は、何遍も総理に、もう十分な時間をいただいて、テロ特措法のときには、総理、私は、覚えておられるかどうか分かりませんが、一時間半、総理にやらせていただきました。ところが、外務大臣がそうやって妨害された発言すると、私、わずか二十五分しかないという問題があるんですよ。総理、しっかりと答えていただきたい。
そこで、私、総理にお尋ねしますが、総理は、占領軍に入らない、だから日本は交戦国でもない、つまり戦争に参加したわけではない、占領軍に加わるわけではないので憲法上の問題は生じないんだと、こういって説明されてこられた。しかし、衆議院の参考人質疑で公述した国際法専攻の松田大阪市立大教授は、交戦国かどうかはイラク攻撃に参加したかどうかという過去の実績で決まるわけじゃないんだ。他国が軍事占領を行っている場所に行って、その占領の継続に役立つ行動を行えばその国も交戦国になるのです。ちなみに、安全確保活動はもちろん、給水や食糧の輸送で占領の実効性、継続を支援する行動はすべて交戦権の行使に該当し、イラクからの正当な反撃の対象になりますと述べられている。
こういうふうな、いわゆる安全確保活動はもちろん、給水や食糧の輸送で占領の実効性、継続を支援する行動ということは、これは占領軍に加わることになるという見解ですが、いかがでございますか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) そういう説もあるということでしょう。それはいろんな説がありますよ。日本は交戦していないんですから。戦争に参加していないんですから。もうそれはいろんな説があるからどうだこうだと言われたら、それはどういう説を披露されるのも御自由ですが、日本としては戦争をしていない、交戦をしていないんですから。決して交戦国にはなっていない、イラクの復興、国づくりに参加するんだということであります。
○小泉親司君 私、こういうふうなCPAの機構図などを示して、国際調整評議会と調整するということをおっしゃったということは、これはCPAのこの機構図の中にも、これは与党の調査団が報告したものと比較的似ておりますけれども、この点では、この中にちゃんと貢献国家と、これちゃんと書いてある。だから、こういうことに参加して、この機構図の一部に入っているということは、私、明確だというふうに思います。
そこで、もう一つ、私お尋ねしたいのは、こういう占領軍の活動の中で、今占領軍が何をやっているのか。今、もう御承知のとおりフセイン前政権の残存勢力の掃討作戦だ、こう言って、今もう全土が戦争状態だと。例えば、アビザイド中央軍司令官が七月十六日の記者会見で、米軍は全土で典型的なゲリラ戦闘を実行している、これは米軍のドクトリンによれば低強度戦闘であるが、それは戦争だと、こう言っておられる。
ということは、事実上、今のイラクの情勢は正に戦争だと。こういうふうな、私は、この法案ではアメリカの占領軍や他の国連加盟国が行う安全と安定の活動、回復活動の支援も行うということになっておりますが、こういうアメリカの対ゲリラ戦闘への支援、こういうものも、総理、これは法案の安全と安定を回復する活動に入るという総理は御見解でございますか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、非戦闘地域で後方支援という形で、各国の軍隊とも協力する場合はあり得ると。決して戦闘行為にはつながらない、非戦闘地域で支援活動をするという枠内でやり得る場合もあるということであります。
○小泉親司君 ということは、そういう対ゲリラ戦闘への支援も含まれるという御見解だというふうに思いますが、そういうことなんですか。いやそれ、総理ね、はっきりと答えてください。私は、対ゲリラ戦闘への支援をやるのかとお聞きしているんだから、ぐるぐる持って回った言い方をされないで、どっちなんですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、非戦闘地域で、日本は戦闘行為でないという分野で後方支援はあり得る、それはよく状況を判断しなきゃならないということであります。
○小泉親司君 私、そういう問題について、なぜこれ質問したものに答えられないのか。
例えば、総理は衆議院では、例えばガラガラヘビ、総理は覚えておられるかと思いますが、砂漠のサソリ作戦、こういう米軍がやっているフセイン前政権の残党、いわゆる残存勢力を掃討する作戦、これどうなんだと、こういうのを支援するのかと、この法案では支援するのかと質問をすれば、総理は、いや非戦闘地域でやればできるけれども戦闘地域でやったらこれはできないと言うけれども、実際に、それじゃこの問題については、この支援活動自体を、非戦闘地域であれば支援できると、支援するということは、これは間違いないんですな。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、アメリカ、イギリスがどういう展開、軍を展開するかというのは分かりませんが、日本はこの法律の趣旨にのっとって、非戦闘地域であり、そしてイラクの復興支援に役立つ場合なら自衛隊の支援活動もあり得ると言っている。それは状況を見なきゃ分かりませんよ。常にどこに行くか分かんないじゃないですか、アメリカが。しかしそれは非戦闘地域に限られる、日本の活動は戦闘行為じゃないと。これは、必ずその支援がアメリカのゲリラ活動に向かうのかどうかというのは、それは地域を見なきゃ、状況を見なきゃ分かりません。それは、バグダッド市内で起きましても、戦闘地域と非戦闘地域あるでしょう。これはそのよく状況を見て、法律の趣旨にのっとった形で自衛隊が派遣される場合はしなきゃならないということであります。
○小泉親司君 私、もう一つだけ総理にお尋ねしたい。
私は、派遣される自衛隊とイラク国民との関係がどういう関係になるだろうかと、これを私は一番危惧する問題なんじゃないかというふうに思います。
そこでお聞きしたいのは、例えばイラクでは、確かにフセイン政権の残党掃討作戦もある。しかし、今日のテレビでも、CNNでもやっておりましたけれども、六月二十四日、七月二十四日、失礼、今日、イラクではいわゆる職よこせのデモが起き、CPA、つまり米英占領軍に対する抗議デモが行われたということを今日報道しておりました。つまり、イラク国民に対する、イラク国民が占領軍に対する抗議の声を今上げている、こういう問題について、例えば六月十八日にはイラクで職よこせのデモが行われました。そのときに、私もこの委員会でも質問したんですが、そのとき米軍がこれに対して発砲した。私、これは大変重大な問題だと思いますが、総理はこういう米軍の活動というのは合法だというお考えなんですか、それともそれは、そういう活動はこの法案では支援する活動の、ちょっと、対象に入るんですか。外務大臣、ちょっとやめてください。入るんですか、総理。
○国務大臣(川口順子君) 事実関係でございますので申し上げたいと思いますけれども、まず、一四八三で米英の当局は国際法上認められて、正当にイラクの国民に対してそれを今、施政を行っているわけですね。これは正当なんです。したがって、イラク国民がこの正当性を否定をするということはできない、国際法上できないということであります。
それで、さっき自衛隊との関係ということをおっしゃいましたけれども、活動を、この法律に基づいて自衛隊が行って活動をするということがあった場合に、イラクの国民が自衛隊を攻撃するということは正当かということでいえば、これは国際法上これを正当化する根拠というのはありません。イラクの国民との関係というのは、CPA当局とイラクの国民との関係であるということです。
○小泉親司君 今の外務大臣の答弁は全然分かりません、何を言っておられるのか。
私、総理ね、総理にお聞きしているのは、例えば、川口外務大臣、私、これで言い訳しているんじゃない、今の言い訳しているんじゃないかと思うんだけれども、七月二日の衆議院のイラク特で、自衛隊に対してイラクの国民の抵抗があるとしたらどうするのかという質問に答えまして、「イラクの国民の抵抗、それは事実上全くないということを申し上げるのは難しいかもしれませんけれども、法的にはその抵抗は合法的ではないということです。」。
つまり、イラク国民の抵抗というのは、これはCPAが仕切っているんだから、これに対して抵抗をするというのは非合法なんだと、こう言っておられる。総理も同様の見解なんですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) はい、そのとおりであります。
○小泉親司君 私は、それはひどい答弁だと思いますよ。
そこで、私、一つ、この問題について、この問題については私も川口外務大臣にこの問題としてはもう既にやり取りいたしました。
そのときに、じゃ、非合法だと、そうなってくると、イラク国民が、例えば自衛隊に対して、これは軍服を着ている、当然これは占領軍の一部だ、だからこれはけしからぬといって様々な抵抗闘争をやる。それに対してどうするんだと言ったら、今度は川口大臣は、十日の私の質問に対して、これは、イラク国民が自衛隊に抵抗したときは自然権的な権利として武器の使用があり得るんだと、こう答弁された。その点も総理は何、お認めになるんですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、攻撃されて身を守るためのこれは正当防衛ですよ。
○小泉親司君 何でイラク国民に対する、様々なデモに対して発砲したりですね、そういうふうなことが何であれなんですか。初めに私、言っているじゃないですか、そういうことについては。
外務大臣がごまかしているだけの話で、総理、私の言っているのは、例えば職よこせのデモ、これに対して米軍が発砲した。それは外務大臣は、これは合法ではないんだと、そういう抵抗は、と言っておられるんですから、その意味で総理、私は自衛隊が、もし様々なデモなどがあった場合に、その点について私、武器使用があると言ったら、イラク国民に銃口を向けることになりますよ。その点は総理いかがですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) いや、そうじゃない。自衛隊に発砲してきたらという質問だから答えたんです、それは正当防衛だと。何にもしないのに自衛隊が発砲する、そんなことするわけないじゃないですか。
○小泉親司君 あのね、総理、ごまかしちゃ駄目ですよ。
私が言っているのは、イラクの、いいですか、私が言っているのは、六月十八日に職よこせのデモがあった、それに対して米軍が発砲したと、これは私は、大変重大な問題だ、これは絶対に認められないと。そういうことが自衛隊に起きたときに、これは武器使用をするということについてはどうなんですかと総理に聞いたんですよ。そこははっきりしてください。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それはね、米軍と自衛隊、ちょっと分けてください。
米軍がいろいろ治安活動、あるいはイラク国内の安定、安全確保に活動している。そういう際に、まあいろんな状況が起こると思います。中には、デモの中に紛れてアメリカ軍を攻撃するのもあるかもしれない。それに対しては、アメリカは自己防衛として発砲する場合もないとは言えない。
自衛隊、自衛隊だってそれは、デモをしているときに発砲するなんて、そんなあり得ないですよ、イラク国内の国づくり支援しているんですから。
それが、もしイラク国民の中で自衛隊を攻撃した場合、それに対しては正当防衛の権利があるということです。
○小泉親司君 これは総理、総理、これは例えば、ブッシュ政権に大変影響力のあるアメリカの外交問題評議会の資料でも米軍へのレジスタンスという文書をまとめているんです。この文書の中で、だれが米軍を攻撃するのか、攻撃者はフセイン前政権の残存勢力だけではないだろう、しばしばイラクの占領軍の存在と行動に怒る普通のイラク人を含んでいるように見えるんだと。ここが一番私は重要で、こういう問題については絶対に私は自衛隊が銃口を向けてはいけないと、これは私はこの点については強く要求をしたいというふうに思います。
そこで、私は、今度のイラク特措法というのは、やはり自衛隊をイラクに派兵して米英占領軍の支援を行う、私、憲法違反の自衛隊派兵法だということは明瞭だと思います。
私、イラク戦争の問題については外務大臣とやり取りしてまいりましたが、このイラクの戦争は国連憲章違反、国際法違反の戦争であることは明白で、この点で七千人以上のイラク国民を何の大義もなく殺りくした戦争を強行したというのは大変重大だというふうに思います。
国連決議では、総理も認めているように、軍隊派遣の要請はしていない。このような自衛隊派兵は絶対に認められないと思います。同時に、イラクの復興支援は、自衛隊という軍隊の派遣ではなく、国連を中心として、電気や水の供給、食糧、医薬品など、非軍事的手段で積極的に行うべきだというふうに思います。
自衛隊をただひたすら米英占領軍の支援のために派兵する本法案は廃案にすべきだということを強く要求したいと思います。
数の力でこれを押し切るということは絶対あってはならないということを指摘をいたしまして、私の質問を終わります。
○広野ただし君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の広野ただしです。
何か非常にたくさんの人たちが集まりまして、緊迫をしてきております。往々にしてこういうときは強行採決がされるという前兆なのかなというふうに思ったりもしておりますが、与党の方々、そしてまた委員長には、是非円満な運営をお願いをしたいと思います。まだまだ質問がたくさんあるわけでございますので、よろしくお願いをいたします。
総理にお伺いします。
テキサスのクロフォードでブッシュ大統領に会われたときに、イラクに対して協力を要請され、陸上自衛隊を派遣をするということを約束されたことはございませんか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) そういう約束したことはございません。
日本は戦闘行為には参加しないが、戦争が終わった段階において、イラク復興支援のためには、日本ができるだけのことはやる、日本が主体的に考えるということを申し上げました。
○広野ただし君 アーミテージが、いよいよ日本も観客席から下りて球場に出てきた、プレーヤーになってきていると、こう言って歓迎の意を表しましたが、このことをどう思われますか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、日本がその国力、経済力にふさわしい活動をイラク復興支援のために動き出したなという評価の声だと思っております。
○広野ただし君 私は、やはり内々にアメリカから打診があり、それについて総理が約束をしておられるんだというふうにやっぱり思えてならないんですね。
ところで、イラクにおいてアメリカ占領軍、占領軍の指揮下に日本が、陸上自衛隊が入ったらば、これは憲法上どういうふうなことになりますか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは法的な、法理論上の問題は別の専門家に答えていただきますが、今回は指揮下に入りません。入りません。議論の余地ない。入らないんですから。
○広野ただし君 入りませんということは、指揮下に入ったらば憲法上どういうふうなことになるかということを政治家小泉純一郎として考えておられるかということを、専門家じゃなくて、総理として憲法上どうなるんだということをお聞きしておるんです。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) いや、今回は入らないんですから。入らない前提で議論をしているんですから。入ったらどうかと、それ、考えてない。
○広野ただし君 そういうことについてしっかり答えていただきたいと思うんですが、私は、協力ということを言っていますが、協力というものの、実質指揮下に入るということがあった場合、これは完全に憲法違反であると、こう思っておりますが、私の見解についてどう思われますか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、今の憲法におきましても自衛隊は憲法違反だと言う方も学者の中でおりますから、どういう議論がされるのか、その場合は専門家によく議論をゆだねて聞いてみたいと思います。
○広野ただし君 専門家じゃないんですよ。これは、総理、やはりそういう場合が往々にして海外においては起こり得るということなんですよ。
実際、じゃ自主的な協力と言いつつ、アメリカ軍との間で物品の輸送ですとかいろんなことがある。そして、そういうときにテロですとかいろんな事態が予想されるわけですね。そうしたときに身を守るためにいろんなことが起こり得る。そして、アメリカ軍からのこうしたらいいんじゃないかと、こう言われて動く。そういう場合どうなるんですか。それが協力か指揮かという細かいことを言うんじゃなくて、指揮下に入ったとしたらどうなるんだということを言っているんです。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、私は法律の専門家でありませんが、私の率直な意見を申し上げますと、それはもしそういう占領軍といいますか、どういう形であれその当局が武力行使に向かうという場合に指揮下に入れば、私はこれは憲法違反だと思いますね。しかし、戦闘行為が全く行われていないと、そういう当局もあると思います、そういう活動に、指揮下に入って、全く戦闘行為でない復興支援、人道支援という形に指揮下に入るという場合はどうかと、また別の議論があっていいと思います。
○広野ただし君 この間も私申し上げたんですが、憲法との関係で今回のイラク特措法は正に迷路のようなところをすき間を縫って作っている。誠にそういう法案になっているんだと、だから指揮下には入らないんですよと、あるいは戦闘地域には行きませんよとか、あるいは正当防衛論で対応をするんだとか、そういう法案になっているんですよ。ですから、私はもう誠に欠陥だらけな法案だなと、こう思っているんですが、そのことは別にしまして。
ところで、先ほどこのイラク特措法は枠組み法だとこうおっしゃいました。それで、その枠組み法というのはよく意味が分からないんですけれども、ところで、この陸上自衛隊をやはり非常に、現在のような戦闘状態にあって非常に危険だというときに派遣をしないということだってあり得るんですか。簡単に言いますと、空振ることはあり得るんですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは可能性ということを言えば、あり得ると。これは自衛隊を派遣しなければならないという法案じゃないんですから、自衛隊を派遣できるという法案ですから、状況を見て派遣しない場合もあるし、派遣する場合もあるということであります。
○広野ただし君 その派遣しなかった場合の国際的な影響、例えば対米的な何かコミットしておられますとこれは大変な影響になるんですけれども、国際的な影響というものを、コミットのことは別にしてどういうふうに思われますか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、私は日本の立場というのはいろいろの場ではっきり表明しております。日本としては、戦闘行為には参加しないと、自衛隊を派遣する場合もあくまでもこれは非戦闘地域であり、非戦闘行為である、復興支援活動だということを表明しておりますので、そういう状況にない場合に自衛隊を派遣しないからどうなるんだという質問でありますけれども、それは日本の立場を理解してもらえると思いますよ。
○広野ただし君 ところで、与党内なんでしょうか、どこか分からないんですが、秋に総選挙が考えられると、予定されているんだと。その総選挙の前にはイラクに自衛隊を派遣はしないんだと。もし派遣して犠牲者が出たり被害が出たら、これはもう選挙に直ちに影響をするというようなことで、極めて政治的な観点での派遣の時期を決定をする。こういうことについて総理はどうお思いでしょうか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、まだいつ選挙があるかというのは言っていないんですよ。言っていないどころか、私にも分からないんです、状況を見て判断するんですから。それをあたかも、もういつ、選挙は決まったかのような議論でされるというのは、実に私にとっては迷惑なことでね、これはあと任期一年ですから、一年以内にあるのは確実ですよ。しかし、いつやるかというのは……(発言する者あり)だれか、あしたからとか言ったけれどもね、それは分からないんだから。
○広野ただし君 選挙と別にですね……
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) だから、選挙とは、この自衛隊の派遣とは全く別です。関係ない。
○広野ただし君 それは本当に守っていただきたいと思います。
何かそういうことで政治的に物事を判断をするんではなくて、協力をしなければならないという、私の協力は国連から出ている人道支援あるいは経済復興支援に限ってやればいいという考え方ですから、そして、そのことについてもう一回お伺いしますけれども、そういうふうに限定したら、何か問題があるんですか、総理。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) いや、復興支援づくりに派遣するんですから、今、問題、人道支援、復興支援に派遣するんですから問題ないと思いますよ。日本ができる範囲でやると。
○広野ただし君 治安維持活動に対する協力じゃないんですか、これは。
○委員長(松村龍二君) 福田内閣官房長官。
○広野ただし君 いや、委員長、委員長、今、総理にお願いをしているんです。
○委員長(松村龍二君) ああ、そうですか、はい。じゃ、福田内閣官房長官、取りあえずお答えいただけますか。
○国務大臣(福田康夫君) はい、それじゃ私から答弁。
復興人道支援ともう一つ安全確保支援活動、二つありまして、安全確保支援活動することは、これはあくまでも支援する国が若しくは組織がイラクの国内における平和と安全のために尽くしているという、そういうことである活動に対して支援をする、そういうことでありますので、これは、結果、イラクの復興に貢献するわけですから、したがって、その活動することについて、日本として活動することについて何ら問題はないんです。
それは復興支援活動もございます。それはしかし、それもやったらいいと思います。しかし、今申しました安全確保支援活動もこれもできるんだったらやったらいいんですよ。
○広野ただし君 国連の決議一四八三は二つに分けているんですね。ですから、人道支援と経済復興支援、そして今、私は治安と言いましたけれども、安全確保に関する協力と。ですから、私が言いますのは、その前段階の人道支援と経済復興支援の方に限定をしたらば何か問題があるんですかと言って総理に聞いているんです。──いや、それはもう総理にさっきから聞いているんですから、もう官房長官、ちょっとやめてください。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 問題ないですよ。問題ない。
○広野ただし君 いやいや、問題ないんじゃなくて、人道支援あるいは経済復興支援に限定をする、そういう協力ということで限定した場合に問題があるんですかと言っているんです。
○委員長(松村龍二君) 福田内閣官房長官。
○広野ただし君 いや、総理、総理です。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは日本としてできることをやるわけですから、イラクの国内における安全及び安定を回復するために行われる活動であるかどうかと、それを見極めてやるんです。
○広野ただし君 そこが詭弁でしてね、人道支援、安全を確保していくことが経済復興支援にも協力するんだ、いずれは寄与するんだ、これは全くおかしい論法なんですよ。完全に分けているんですから、ですから、アメリカ軍に対する協力になるんじゃないかということをみんなが問題をしているんですね。そういうところを私は明確に答えられないことが誠におかしいと思っております。
それともう一つ、イラクとの、簡単に言えば文化の差、言語が違いますね、そして民族、宗教が違う、そしてまた習慣が違う、もう歴史が違うと。こういうことから、私は、陸上自衛隊が出ていった場合に、向こうの国民の皆さんといろいろと接触をするわけですね。そうしますと、その間に誤解が誤解を呼んで、例えばこの間もアメリカ軍が犬、わんちゃんを連れてイラクの国民、庶民の家に入ったんですね。これはあちらからいいますと大変な侮辱になるんです。例えば、日本でも畳の上に土足で上がりますと、外国の人が、これが大変な侮辱にやっぱり感ずる場合があるわけですね。今はかなりそういうことは分かったとしてもですね。
ですから、簡単に言うと、そういういろんな習慣の差というものが誤解を誤解を呼んで、イラク国民というのは大変プライドの高い、これはもうメソポタミア文明以来、またハムラビ法典のあるすばらしいそういう文化を持っている国民なんですね。それが習慣等の違いで誤解が誤解を呼んでどんどん大きな事件に拡大をする、場合によっては犠牲者が出る、被害が出るということについて、総理はどうお思いですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) その国の文化、習慣、宗教の違い、これについては十分配慮しなきゃいけないと思っております。
今、広野議員言われたように、例えば日本座敷に土足で上がられたら、これは日本だって、日本人だって怒るでしょう。だから、そういう習慣の違いとか、よく行く前に啓発といいますか教育といいますか、その文化を理解するような認識を持った上で日本国民が行くように配慮しなきゃいかぬと思っております。
決してイラク人を傷付けるような、あるいはイラク人の誇りを侵害するような行為はしないような、そういう配慮は十分なされるべきだと思っております。
○広野ただし君 本当にそこは大切でして、それによって本当に自衛隊に被害が出たり、あるいは犠牲者が出たり、あるいは逆にイラク国民に大きな犠牲者が、被害が出るということがあったら、これはもう本当に小泉内閣の大きな責任になるんだということを私は訴えまして、終わりたいと思います。
○大田昌秀君 社民党の大田でございます。
お疲れでしょうが、最後ですのでよろしくお願いいたします。
まず、総理にお伺いいたしますが、先ほどもお話がありましたけれども、去る二十三日の党首討論で、イラクの非戦闘地域は一体どこかとの質問に対して、総理は、そんなことが私に分かるわけがないでしょうという趣旨の答弁をなさいました。
お忘れかもしれませんが、総理は、去る六月二十四日の衆議院本会議で、我が党の同僚議員が戦闘地域と非戦闘地域との区別について質問したのに対し、政府としては、自ら現地の状況を幅広く調査するとともに、諸外国から、諸外国等から得た情報を総合的に分析することにより、本法案に基づく活動の区域をいわゆる非戦闘地域の要件を満たすように設定することは可能であると考えているとお答えになりました。
そこで、お伺いしたいんですが、非戦闘地域はイラクの戦況によって決まるのでなくて、政府が主体的に設定することができるとお考えですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これはよく調査して判断しなきゃいかぬと思っております。
先日、私には分かるわけないと言ったのは、これは率直に言ったわけであって、私が調査するわけでありませんし、私が調査してもそれは専門家じゃないから正確にならないんでしょう。やっぱり専門家がよく判断して、状況を見極めて非戦闘地域かどうかということを事前に十分調査の上で、派遣する場合はそういう地域に派遣しなきゃならぬと思っております。
○大田昌秀君 せんだっての審議の際に、総理を始め防衛庁長官、戦争を知らない世代ということを伺いましたけれども、実は私は戦争世代でございまして、戦争の実態というのは嫌というほど知っているつもりでございます。戦争の世紀と言われた二十世紀の苦い体験を踏まえ、二十一世紀こそは戦争という大量殺りくのない、平和で人権が尊重される、民主主義が普遍的価値として世界じゅうに共有される世紀にしたいと常々考えております。
そのためには、まず、我が日本の外交はどうあるべきかについて慎重に吟味する必要があると思っております。既に多くの外交専門家や国際問題を研究している学者、研究者などから様々な提言がなされていますが、私は、差し当たって何をすべきか、私なりに二つの点について意見を申し述べたいと思います。
まず第一に、米英などの軍隊によるイラク占領を自衛隊を派遣して支援するのをやめるべきだと思います。
私たちは米軍の占領下で二十七年間、憲法の適用もなしに生活した苦い体験から、外国の軍隊による占領が被占領下の人々にいかに過酷な非人道的犠牲を強いるかを知り過ぎるほど知っているからであります。大規模な戦闘は終結したとはいえ、イラクでは今も散発的な戦闘が続いているのですから、そんな危険なところへ自衛隊を派遣し、万が一にも武力行使をする事態になれば、戦後半世紀以上も一人の外国人をも殺害したことのない自衛隊の誇るべき歴史に大きな汚点を残すことにもなりかねません。
改めて申し上げるまでもなく、我が国は国是として、憲法によって交戦権を否定し、国際的な紛争を武力によって解決することはせず、平和的に解決していく道を指し示しています。ですから、あくまでもその国是を守り、貫き通すべきだと思います。
第二に、米英軍などのイラク占領への軍事的及び財政的支援を差し控えるべきだと考えます。
食糧や医療、教育面での我が国独自の支援は財政事情の許す限りやるべきだと思いますが、いわゆる戦費の分担金としての支出はなすべきではないと考えます。せんだって外務大臣は、その考えはないとおっしゃいました。(発言する者あり)
○委員長(松村龍二君) 静粛にお願いします。良識の参議院の府でございますので、粛々と議事を進めてまいりたいと思っておりますので、特に静粛にお願いします。
続けて御質問をお願いします。
○大田昌秀君 日米安保条約を結んでいる以上、一方の当事者である米軍をあらゆる面で支援するのは当然といった考え方があることはよく知っております。
しかし、米軍への支援について言えば、既に我が国は、一千万坪とも言われる在日米軍基地に土地を提供しているだけでなく、毎年六千数百億円もの巨額の駐留経費を乏しい国民の税金の中から支払っています。特に沖縄の場合、在日米軍専用施設の七五%を負担しているだけではなく、二十九か所の海域、海の部分ですね、水域、沖縄の空域の四〇%に相当する二十か所の空域までも提供させられているのです。ですから、安保条約に基づく支援措置は十分過ぎるほど講じていると言っても決して過言ではないと思います。
米国は、このたびのイラク攻撃で予想以上に戦費や駐留費がかさんでいるとして、戦費のおよそ八割を同盟国が負担することを期待しているようですが、この点について、総理はどのような対応をお考えでございますか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 大田議員が知事として沖縄においていろいろ御苦労されたことはよく承知しております。そういう実際の沖縄県の行政の最高責任者としての経験から、米軍との在り方について見識を持っておられることについてもよく私は承知しております。
そういう中での御発言だと思っておりますが、日本も今まで、戦後一度も交戦、外国と交戦したことはない、また内戦もない。そして、死者を、自衛隊におきましてもそういう戦争による死者を出したこともない。これは正に誇り得るべきことだと思っております。
日米安保条約を結んで米軍に基地を提供すると戦争に巻き込まれるという議論もありましたけれども、現実はそうでなかったと。むしろ、米軍と安全保障条約、米国と安全保障条約を結んだことによって、今日まで日本の平和と繁栄と独立が確保されたと、我々はそう思っております。もちろん、そういう意見に対して違う意見があるのも承知しております。
米軍と協力するからこれが戦争につながるかというと、それは時と場合によって違ってくる。イラクにおきましても、私は、米軍と協力する場合があっても、これは非戦闘地域であると、イラクの復興支援活動なんだという大きな枠がはまっておりますから、そういう点については十分配慮しながらこれからも自衛隊の活動については考えていかなきゃならないと思っております。
○大田昌秀君 自衛隊法では、その第三条で、自衛隊の任務について、「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」と決めています。また、自衛隊員は、自衛隊法施則、施行規則の第三十九条、一般の服務の宣誓の規定に則して、「我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、」「国民の負託にこたえる」と宣誓した上で入隊しています。
しかし、本イラク特措法案が成立すれば、政府は、一種の交戦規則とでも言うべきものを作って、自衛隊が武器を携帯してイラクに派遣するとすれば、そのことは自衛隊員に、憲法を始め自衛隊法及びこの宣誓を破れと言うに等しいものではないかと考えます。
一般に、自衛隊員は命じられれば危険も顧みず国民の負託にこたえる責務があると言われるのですが、それはあくまで日本が外国から侵略されたり武力攻撃を受けたときに危険を顧みないで国民の負託にこたえるという意味であって、海外で米英軍の支援活動をするために、自衛隊員が命を顧みないで果たさねばならぬ責務というのを負っているわけでございますか。防衛庁長官。
○国務大臣(石破茂君) これは委員も自衛隊法の仕組みをよく御存じの上での御質問だと思いますが、これ、仮にこの法律が成立をいたしたといたしますと、これはPKOと同じように、本来的任務、付随的任務とございますが、この付随的任務ということに相なります。これはPKOなんかと同じ系列に入るわけでございます。
それから、自衛官の宣誓に反するではないかというお話ですが、この中にも「法令を遵守し、」というふうになっております。この法律が仮に可決、成立ということになりますと、これも日本国の国会の御審議を経て決定された法律でございますので、自衛官の宣誓に何ら反するものではございません。
○大田昌秀君 せんだっても、連合審査のときに総理と防衛庁長官について、このイラク法案とのかかわりで決意をお伺いしたわけですが、総理は私の質問を誤解されたのか、ちょっと私の納得のいかない御答弁がございましたので、お許しをいただいて改めてお伺いしますけれども、このたびの法案が国会で審議されている過程で、私のところに知人や未知の多くの方々から、絶対にこの法案を通しちゃいけないと抗議の要請が随分ありました。それらの中で私が非常に胸を打たれたのは、この法律を通すなら真っ先に総理大臣と防衛庁長官、外務大臣、官房長官のお子さんたちを自衛隊の一員として真っ先にイラクに派遣すべきだという抗議の手紙が来たことでありました。
なぜ、こういう手紙が来るかという、まあこの種の手紙は沖縄の新聞にも大分出ておりましたけれども、なぜこういう手紙が来るかというのを考えてみますと、実はこのイラク法案の審議の過程で、殺す側の論理ばかりが議論の中心になっていて、殺される側の一般住民、一般国民の問題がほとんど議論にならないという、ならなかったということが一つあるのではないかというふうに考えるわけです。
せんだっても申し上げましたが、アメリカの良識派の上院議員ロバート・C・バイドという議員は、イラクの国の人口の過半数が十五歳以下の子供たちで占められているという事実を指摘しまして、このような国に対して軍事攻撃を行うのは何らの大義もないということを言っておられるわけです。私は、日本の政治家やお偉方からこの種の言葉が出てこないのが残念でならないというふうに思っているわけです。
大正時代の著名な言論人の長谷川如是閑が「戦争絶滅受合法案」というエッセイを書いておりますが、その中でデンマークのフリッツ・ホルムという陸軍大将が、戦争を絶滅させること受合法案というものを起草して、これを各国に配布したことを紹介しております。
ちなみに、その同法律の内容は、まず最初にこう述べています。戦争行為の開始後又は宣戦布告の効力を生じたる後、十時間以内に次の処置を取るべきこと。すなわち、次の各項に該当する者を最下級の兵卒として召集し、できるだけ早くこれを最前線に送り、敵の砲火の下に実戦に従わしむべし。一、国家の元首。ただし、男子で、君主たると大統領たるとを問わず。二、国家の元首の男性の親族にして十六歳に達せる者。三、総理大臣及び各国務大臣並びに次官。四、国民によって選出されたる立法府の男性の代議士。ただし、戦争に反対の投票をなしたる者はこれを除く。上記の有資格者は、戦争継続中、兵卒として召集さるべきものにして、本人の年齢、健康状態等をしんしゃくすべからず。ただし、健康状態については、召集後、軍医官の検査を受けしむべし。
ここで大事な点は、上記の有資格者の妻、娘、姉妹等は、戦争継続中、看護婦又は使役婦として召集し、最も砲火に接近したる野戦病院に勤務せしむべしと、こういう法案の内容になっているわけです。
そこで、一言申し上げますが、去る沖縄戦で、沖縄には十二の男子中等校と九つの女学校があって、ほとんどすべて十代の若者たちだったわけですが、これが何らの法的根拠もなしに戦場に送られて、今申し上げたように野戦病院の従軍看護婦としてとか、あるいは学生隊というのは銃を持たされて、戦争の仕方も知らないのに第一線に送られたわけです。個人的で失礼ですが、私も一学徒兵として一丁の銃と二個の手りゅう弾を持って戦場に出されました。同級生百二十五名いましたが、生き残ったのは三十名余りでしかありません。
そういった点から考えますと、戦時中、司令官とかお偉方はごうの奥に入って一歩も外に出てこない、そして弱い立場の人々だけが第一線に送られて大変な犠牲になったわけです。
ですから、失礼な言い方をお許しいただきますと、戦争を知らない防衛庁長官とか、そういう方は、是非戦争の実態がいかなるものかということをお考えいただいて、今回のイラク法案についてもお考えいただきたいと思います。
ありがとうございました。終わります。
○委員長(松村龍二君) 総理、御退席いただいて結構です。
他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
○阿部正俊君 ……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)
〔委員長退席〕
午後七時三十四分
────・────
本日の本委員会における阿部正俊君の発言の後の議事経過は、次のとおりである。
○イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法案(閣法第一二〇号)
右案は、討論を省略し、可決すべきものと決定した。
2003/07/25 |