2003年12月16日

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158 参議院外交防衛委員会−(4)

質問者=斎藤勁(民主)、佐藤道(民主)、田村秀昭(民主)


平成十五年十二月十六日(火曜日)

○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤でございます。
 私からも、過日お亡くなりになられました奥大使、そして井ノ上一等書記官並びに現地職員、あわせて、今回のいわゆる戦争で多くの方々が命を失われております。同胞の死を悼むものであり、そして同時に、一日も早い人の命を奪い合うそういった武力行使、戦争がなくなるということを望みたいと思います。
 この間、私どもは、今日の午前中の議論でもそうですが、いわゆる大義なきということで、そうくくっておりますけれども、今回の米英軍中心とした武力行使について支持をしたことについては誤りであり、そして今回フセイン元大統領が拘束されたことは、これは私は率直に言って喜ばしいことだと思いますが、この間ずっと見てみて、九・一一から始まって、九・一一、これも痛ましい事件でした。戦争だと叫んでアフガニスタンに武力行使に入っていく。このテロがテロを生む、テロの連鎖、報復、こういうふうにつながってきているんではないかというふうに思いまして、私は、改めて今回この基本計画によりまして、新たなまた実施要項が、基づかれまして自衛隊が派遣をされるという段階になりまして、冷静なる日本国政府という役割を果たすべきだというふうに思っております。
 さて、官房長官、通告をしていないんですけれども、先ほど、今日、この冒頭、この委員会が始まるときに、佐藤委員から、委員会最終日ですと、昨日、今日でいえば最終日なんですけれども、参議院は今日、この閉会中一日だけなんですね。これ一日だけでは、これは私ども国会議員として、現下のこのイラク情勢のみならず、様々な国内情勢も含めまして臨時会を開くべきだということを私どもは申入れをいたしました、憲法五十三条に基づきまして。
 ここに、正式にこの憲法五十三条に基づきまして四分の一以上の議員の賛成をもって提出しましたけれども、内閣の方から明確なる御返事がないと思いますけれども、こうした公式の場所でございますので、内閣としての御見解をお述べいただきたいというふうに思います。
○国務大臣(福田康夫君) これは、国会の適切なる要求あれば、これはそれに応ずるということになっております。ですから、そういう意味で我々も誠意を持って対応すべきであるというように思います。
 しかし、いずれにしましても、国会の方で運営のことについては決定されるものでございますので、まずそれを決定をされて、私どもはそれに従うと、こういうことになることでございます。
○齋藤勁君 衆議院と参議院のイラク特とかこの外交防衛委員会は、それはそれぞれ院内でいろいろ協議することですが、憲法五十三条に基づいて臨時会を要求したわけですね、四分の一以上の議員の賛成をもって。このことと、昨日、今日の議論とは、これは似ているようで似ていないわけでありまして、これは。臨時会を開こうということです。開かなければならないということなんですね、憲法に基づきまして。ねばならないんです。
 このことについて、内閣としての御見解をいただきたいと思います。
○国務大臣(福田康夫君) 私、正確に条文見ていませんけれども、たしか要求のあったときは、これは、例えば次の国会が近いというときにはその国会でよいというような判断もできるように理解しておるところでございます。ちょっと正確に記憶いたしておりません。
○齋藤勁君 大変悲しいですよ、官房長官、そのぐらいの認識であっては。
○国務大臣(福田康夫君) いえいえ、忘れた……
○齋藤勁君 いやいや、それ困るんですよ。だって、長いこの憲政史上、二十九回臨時会を要求していますよ、国会は。二十九回。確かに、官房長官、時期は違うんです。すぐやった場合と、ちょっと時間が空いてやった場合があるんです。しかし、二十九回とも臨時会召集しているんですよ、二十九回とも。これ三十回目で、私ども委員が要求をして実施をしないということになれば、小泉内閣初めてですよ、これは。
○国務大臣(福田康夫君) 今聞きましたら、期限は特に定めていないと、こういうことですね。でありますので、それでは間に合わないということで、この閉会中審査という、こういう、何というんですか、役割があるのではないかというように思っております。
○齋藤勁君 これ新解釈ですよ、それ、新解釈。そんな解釈、駄目ですよ、そんなのは。憲法は、ならない、開催しなきゃならないんですよ。
 で、暮れに、例えば、かつて十一月二十八日に内閣に送付をして召集詔書が公布がされましたのが十二月三日とか、十月とか、十月で十二月とか、これありますし、三か月ぐらい空いているのもありますよ。暮れであってできないなんということはない。それはもう、通常、常会があるならずっとあるわけですから。短期間でも、四日間でも、十七日間でも、年末、秋になって実施している例があります。これ怠慢なんですよ、憲法違反になるんですよ。重大なことなんです、これは。
○政府参考人(秋山收君) 憲法第五十三条の問題でございますので、一般的な考え方を御説明いたしたいと思います。
 憲法五十三条後段は、「内閣は、」その要求があった場合に「その召集を決定しなければならない。」と規定しておりますが、召集時期につきましては何ら触れておりませんで、その決定は内閣にゆだねられております。
 このことから、いつ、いつ召集してもいいということではもちろんございません。臨時会の召集要求があった場合に、仮にその要求において召集時期に触れるところがあったとしましても、基本的には、臨時会で審議すべき事項なども勘案して、召集のために必要な合理的な期間を超えない期間内に召集を行うことを決定しなければならないというふうに考えられているところでございます。
 もっとも、この合理的な期間内に常会の召集が見込まれるというような事情がありましたら、国会の権能は臨時会であろうと常会であろうと異なると、異なるところはございませんので、あえて臨時会を召集するということをしなくても、憲法に違反するというふうには考えておりません。
○齋藤勁君 私は、だから、ねばならないという中で、いつ開催したかどうかというのは、ここ、さかのぼれば、期間も含めまして、私も調べさせていただいています。しかし、秋とか年末に要求をして、そして実施をしている例があります。そして、二十九回要求して、すべてそれは、時期は別にしても、臨時会は開会をしていますということになっております。
 質問をしましたら、急な質問だったですから、答弁はなかなか官房長官も大変だったかも分かりませんが、それならば、急な質問であったって、四分の一以上の国会議員が臨時会を要求していて、どういうときにだって対応するのが政府の責任じゃないですか。このままですと通常国会、通常国会がもう一月中旬からあろうと思います。そういう情報、私も知っていますよ。知っていますけれども、やらないということになるんですよ。宣言することになるんですよ。臨時会をやらないということになるんですよ。
○国務大臣(福田康夫君) そういう話が、臨時国会、要するに年内開けと、こういう話ですね、というような話があったというのは私も聞いております。
 しかし、そのときに、十二月の中旬以降は予算編成もあるということで、この時期に臨時国会をするということはその編成、予算編成に支障を来すので、したがってこれは避けてほしいという、そういうような返答したように私、記憶いたしております。その後のことにつきましては、国会の中においてそういう御理解を賜れたというように考えております。
 なお、国会もなるべく早く開くということも併せ申し上げていたのではないかというように思っております。
○齋藤勁君 私は憲法に抵触をすると思います、今のままいきますと、ということだけ私は指摘させていただきます。
 過去ずっと調べさせていただきましたけれども、戦後、臨時会を開会をすべてしておるわけでありますから、そのことを、それから、今の小泉内閣というのはそういうことまできちんと私は精査してやられていないんだなということを本当に残念に思います。
 さて、次に、いわゆる奥さんと井ノ上さんの遺体が我が国の方にということで、先ほど警察庁長官の方から検視という、そういう話、出ました。昨日、私もテレビで衆議院の質疑を時々聞いていました。外務大臣からいろいろそれなりの報告は聞いているんですけれども、警察庁長官、ちょっと私も政府委員として求めていないんで、外務大臣から、お尋ねし、お答えいただきたいと思いますけれども。
 お二人の遺体からいわゆる銃弾、何十発も銃弾、これについては摘出してあるんでしょうか。摘出して、その銃弾というのはどういう銃弾だったのかどうかということについては、調べた結果明らかになっているんでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) これは警察庁の方でやっていらっしゃることでございまして、そういった、それが一体どのような銃弾であったかどうかということについては分析中で、警察庁の方で分析をしているというふうに聞いて、承知をいたしております。
○齋藤勁君 検視をしたのは何月何日ですか。分かりませんか、どなたか。
○国務大臣(川口順子君) これは四日のことでございます。
 済みません、四日に検視、五日に司法解剖であったというふうに聞いています。
○齋藤勁君 そうすると、今日が十六日ですから十日以上たっているわけでありまして、多分摘出されているんでしょうから、十日も掛かりますか、その銃弾について。
 警察庁、ちょっとね、僕も言わなかったからあれなんだけれども、でも、それからまた、いなくてもですよ、外務大臣、そのぐらいの報告あったっていいんじゃないですか。私はその銃とか何かの武器の専門家じゃございませんけれども、この専門家に言わせれば、その銃弾がどの銃から発射されたものかということが、これはもう普通の、一般的に事件何でもそうじゃないですか、犯人を糾明する。
 今回、だれから、だれたちから二人は殺害されたのかということについては、もう先ほど来、私がここでくどくど言うまでもなく、徹底的に究明します、調査をします、総理自身も言っていますけれども、私は、深刻感ないんじゃないですか、そんな。本当に調査する気持ちあるんですか。
○政府参考人(堂道秀明君) お答え申し上げます。
 奥大使は左側頭部のその銃創による頭蓋内損傷、井ノ上書記官は左上腕部の銃創による失血死が死因と推定されております。
 お尋ねのその銃弾ということでございますけれども、大臣よりお答えしたとおりでございますが、銃弾らしき金属片でございますが、これは相当程度あると思いますが、破損、変形等しているようでございまして、そういう意味で、その銃弾の数も含めて鑑定中ということでございます。
○齋藤勁君 一般にそのぐらいの日にち掛かるんですか。普通、だって殺人事件とか何かあればすぐ銃弾摘出して、これ、だれの銃だということについてすぐ、犯人を検挙するためには大変な捜査するわけでしょう。考えられないですよ、そんなの。
○政府参考人(堂道秀明君) 大変申し訳ありませんが、私ども完全に知識を有しておりませんので、答弁は控えさせていただきたいと思います。
○齋藤勁君 私、余りこういう言葉使いたくないんですけれども、お粗末だなというふうに思うしかないですね。質問したら、お二人の殺害というのは大変なことですよ、そのことをもって様々、多分検視も一生懸命されたと思いますし、銃弾も出たんでしょうから、それを、国会があるかないかは別にしてですよ、つまびらかにしていくというのが当たり前な政府の仕事じゃないですか。ひど過ぎる、率直に言って。本当に真相を究明するつもりがあるのかどうか疑わしく思いますよ。
 これ以上聞いて何か出てくるんですか。あるいは、何か調査して私たちに教えてくれるんですか、ここで約束してくれますか、検視の結果について。可能な限り、それぞれプライバシーもありますからいろんな身体的なことは別にしまして、犯人を糾明していく、だれであったのかどうかということについてつながっていくような状況については明らかにしていくのは当たり前のことじゃないですか。出してくださいよ。
○政府参考人(堂道秀明君) この事件の真相解明につきましては、先生御指摘のとおり、私どもといたしましても、今後の治安対策の関係もあり、これは徹底的に解明する必要があるということで今、調査を行っております。
 この御遺体の様子もございますけれども、私どもといたしましては、攻撃された車がどのように攻撃されているか、その銃弾がどういう形になっているかということも含めて調査を行っております。
○齋藤勁君 委員会で明らかにしていただけますね、大臣。
○国務大臣(川口順子君) 外務省としては、外務省が把握をしていることで捜査上の障害にならないという警察当局の御判断であれば極力公開をしていくということで、今までそのような方針でやってきたつもりでおります。
 お話のその銃弾につきましては、これは私どもとして直接に鑑定をしているわけではなくて警察当局でいたしていることでございまして、私は、警察当局の見解が、今、鑑定中であって、結果について今の段階で公表できるということではないというふうに承知をいたしておりますので、私の立場でそれは必ず公表いたしますということは申し上げかねますけれども、外務省の承知をしていることあるいは外務省として調査をしたことで捜査上の問題がないことについては、これは公表をしていくという姿勢でおります。
○齋藤勁君 外務大臣としては、ある意味じゃ自分の部下ですから、これはもうお気持ちは私はもう心痛お察ししますけれども、徹底的に明らかにするということが私はこのイラクにおける、中東における様々なこれからの平和、和平につながっていく話じゃないかと思いますよ。銃弾の角度とかですよ、様々先ほどの議論もありましたとおり、米軍の情報からして何かまだ不思議なところばかりあるんですよ。今現実に、私たちの国としてお二人の遺体から検視して、既に銃弾等についてはもっと解明できる、私たちは段階にあるんじゃないかと思いますね。そこから私たちは努力をしていくということについて更に求めさせていただきたいと思います。
 それでは、昨日のもう一つ、官房長官、今日総理がもうお帰りになっていないんですが、一緒にいらしたと思いますけれども、気になる質疑で、私どもの前原委員がこのアメリカの小型核兵器開発問題について質疑をされたと思います。御記憶ありますよね、昨日ですから。アメリカが、言ってみればこの小型核兵器開発問題についていろいろ議論なり研究開発をされていることについて議論があるのはいいことだと、議論があるのはいいということだ。議論があることはいいけれどもと言っていますが、これ、議論があるなしというのはこれ言論の自由ですから、議論そのものについて封鎖するつもりありませんが、我が国として核廃絶、核兵器を廃絶をしていくんだということについての立場に立つならば、いいことだということについての私は答弁というのはないと思うんですね。
 確かに懸念は表明しましたよ、懸念については。懸念ということについては表明をしておりますけれども、言葉として小型核兵器開発問題について議論があるのはいいことだということが一番最初から、総理大臣の言葉から、答弁出てくるというのは、私は我が国の国是としていただけない答弁だなと思いますが、いればお尋ねするんですが、しょっちゅういらっしゃいますけれども、全体に内閣束ねます官房長官、いかがですか。
○国務大臣(福田康夫君) 小型核兵器の開発について今の段階というのはまだ研究開発をするという、そういう正確にちょっと、正確には外務大臣から聞いていただきたいんですけれども、そういうような段階で、それも実行するかしないか分からないような段階ではないのかというふうに思います。
 ですから、それについて、それはそういうものが存在をするということになるとそれは新たな脅威を生むという、そういう観点から慎重にという趣旨でもって総理は言われたんだろうというように私は理解しておりました。
○齋藤勁君 慎重にというのは、だからいいことだというのは前向きになっていくんですよ。慎重というのは、慎重という言葉を知らないんですけれども、これはやっぱりためらい、抑制するという立場に立たなきゃいけない、我が国の国是としましては。そういう立場なんでしょうねと、今の小泉内閣は。そのことをお尋ねしたいんです。
○国務大臣(川口順子君) まず、実は昨日きちんとお話をさせていただきたいと思ったんですけれども、そういうことをきちんとやらせていただけなかったものですから改めて申し上げたいと思いますけれども、米国が研究開発をしたということではなくて、研究、RアンドDのうちのR、研究、これを再開をするということであって、開発の方について言えば、これをするに際しては更に議会の承認が必要であるということであります。したがって、研究のみということでして、米国からはこれについて、意見交換をいたしましたけれども、開発そして生産につながるものではないという説明を受けております。
 それから、委員おっしゃるように、我が国にとって究極的に核をなくしていくということは非常に大事な考え方として軍縮会議等々の場で積極的にイニシアチブを取ってきております。これにつきまして、こういう米国の意思決定が、国際社会が今持っている様々な懸念、我が国も含めてですが、そういうことの認識をちゃんとしてほしいという話も米国には我が国の懸念として伝えてあります。米国としては引き続き核実験についてはモラトリアムは守っていくんだということもその際米国から聞いております。引き続き我が国として、核の問題についてはこれをなくしていく方向で積極的にイニシアチブを取っていきたいというふうに考えております。
 いずれにしても、日本は、もう一つ核について言えば、これはアメリカとの安全保障条約を堅持をして抑止の下で我が国の安全を保障していくという立場、これを確保していきますけれども、その一方でまた、被爆国としての惨禍が繰り返されてはならないというふうに考えておりまして、核がない平和な世界が一日も早く作られるということを考え、外交努力を積み重ねていきたいと思っています。
○齋藤勁君 外務大臣の答弁ですと、昨日の総理の答弁というのはちょっと舌足らずというより、どうなんですか、我が国の今までの外交努力とか核兵器、核廃絶に向けて取り組んできたそういった姿勢と、言葉が間違っていたってまあ大臣言えないかも分からないけれども、今の大臣の答弁と違いますよ、それは。大臣の答弁が我が国の方針である。昨日の言っているのはまあ総理なんですけれども。訂正していただくのは、昨日官房長官いらっしゃったんで、これ総理大臣の一言一言というのはもう私たちなんか以上に大変な重みがあるわけですよ。これはきちんと、容認するかのような議論は、いいではないかとかですね、前向きにこの小型核開発に向けて日本の総理大臣が発言するということはこれは本意ではないと、本意ではないと、そういうふうに受け取られたらそれは本意ではありませんというふうに否定してくださいよ。
○国務大臣(福田康夫君) 昨日、総理がどういうように言われたかも正確に覚えていませんけれども、まあ私の印象としては、こういうようなものについての、特に核開発といったようなものについては慎重にしてほしいという、先ほど私申し上げました、そういうようなニュアンスで言われたというように思います。それは、今、外務大臣が説明したのと同じ趣旨であるというように私は思います。
○齋藤勁君 時間がありませんからこれ以上やり取りできませんが、慎重とかなんかじゃないんですね。やめてほしいということなんですよ、率直に言えば。そういうことをはっきり言うべき我が国なんですね。
 残り二分、私から同僚佐藤議員にお渡しをいたしますが、私はこれからもずっとこのイラク問題とか中東問題、続くと思いますが、日米同盟、そして国際協調というのはずっとこれは、総理の言葉ってずっとありますが、何か、紛争の解決手段で武力行使、武力行使じゃないと、復興支援に行くんだと。これは、自衛隊は他国から見るなら軍隊、向こうからは軍隊。正当防衛だと言ったって、そこで正当防衛といえども、武力行使が実際、武力行為が行われる。
 大変、専守防衛の我が国として、今回の私はイラクに対する支援、支持から始まりまして、そして基本法、そして今度の基本計画、甚だいわゆる非核平和主義を貫く我が国の国是として大変問題であるというふうに思いまして、むしろ国際的な武器輸出の私は規制であり、小型式武器のあるいは制限であり、地雷へのまた制限であり、核軍縮にイニシアチブを取っていく、そういった私は発揮をするということが我が国としての正に国際貢献の役割ではないかなというふうに思っておりまして、冒頭申しました臨時会が本来開かれてあれば、昨日と今日の議論ではなくて、もっともっと深まることであったのかなと。
 これにつきましては、憲法に重大に抵触するということを再度申し上げさせていただきまして、同僚議員の方にバトンタッチさせていただきたいというふうに思います。
○佐藤道夫君 佐藤でございますが、私から官房長官、防衛庁長官、外務大臣にお尋ねさせていただきます。
 将来、イラクに対する自衛隊の派遣とか大変な大問題が取り上げられまして、部屋の空気も大分とげとげしくなってきた感じもいたすわけですけれども、私なるべく優しくお尋ねしたいと思いますので、お答えの方もひとつよろしくお願いしたいと思います。
 最初に、フセイン元大統領の身柄拘束の件をお尋ねいたします。
 アメリカがあのことを発表いたしましたら、もう、そのテレビを何げなく見ておりましたら、イラクがまず映りまして、路上に大勢のイラク人が飛び出してきて、万歳万歳と、万歳をやったかどうか分かりませんけれども、みんなにこにこしまして、いや、よかったよかったと、あんな悪いやつはすぐ死刑にしろと言わんばかりのことでありまして、私もなるほどなと、こう思って見ておりました。ニューヨークでもロンドンでも日本でもああいうことをやればやっぱり同じような回答が、コメントが出されたんだろうと思います。
 いずれにいたしましても、フセイン元大統領の身柄が拘束されて世界じゅうがほっと一息ついていると、こういう状況だろうと思います。
 ただ、私、へそ曲がりとは言わないでください、やっぱり法律家なものですから、少しくこれでいいんだろうかという思いがしておるわけで、そのことで関係大臣にお尋ねしたいと、こう思うわけであります。
 問題は何かといいますと、身柄を拘束するというのは、暴力で引っ張ってきてどっかへ入れちゃうというんじゃなくて、やっぱりきちっとした犯罪事実があって、拘束すべき理由があって、そしておまえさんを拘束するよと。そして、いずれ裁判で判決が下るだろうからそれまでおとなしく入っていろと、取調べにはできるだけきちっと応じてほしいと、こういうことで拘束するわけですよ。
 犯罪事実、拘束事実が一体何なのか。これは全然説明がないんですね、テレビを幾らひねってみましても、万歳万歳と言っているだけであって。フセイン元大統領の犯罪、一体何だろうかと。そんなこと知らないぞと、あんな悪いやつはそんなこと必要ないんだと、すぐにでも死刑にしろと言わんばかりの世界じゅうの感触ですけれどもね、そういうわけにはいかぬのであって、フセインが乱暴者だと、こう言う以上は、これを検挙してこれを裁判に付すというアメリカ、イギリスあるいはこれに加担している我が日本、大日本帝国も同じかもしれませんけれども、きちっとした筋道を立てて、そして世界じゅうの納得を得て彼を、最終的には死刑になるのかどうか分かりませんけれども、有罪にして、重罰に処するということが必要なわけで、その第一歩がフセインの犯罪は何なんだと、こういうことなんですね。極めて大事なことです。
 裁判の在り方についても、ラムズフェルド国防、国務長官ですか、国防長官ですか、彼は軍法会議にかけろということを言っておりました。ブッシュ大統領はまた、イラク人に裁判させたらどうかと、こういう提案もしておって、私、これを聞いておって、おやおやと。よく日本では泥棒を見て縄をなうと言うでしょう。捕まえてから、どんな裁判がいいのか、どんな犯罪事実がいいのかねなんて相談をして、こっちの人は、こっちの偉い人は軍法会議でやれと、こっちの人はイラク人にやらせろというふうなことを言っている。こんなことで果たして文明国、法治国家と言えるんだろうかと。
 きちっと最初から議論をしておいて結論を出しておいて、そして幸いにフセインが、フセインが捕まったら、歩調をそろえて、こういう犯罪事実で今度身柄を拘束しまして、こういう裁判を踏んで、そして判決ということになるでありましょうと。なお、もちろん弁護士もきちっと付けますよと、こういうことが大切なわけです。
 どうもその大切なことが忘れられて、何かアメリカのレベルがイラクと同じになっちゃったのかと、悪いやつはすぐ死刑にしろと、そんな程度のランクに落ちちゃったのかなと、こんな気がして仕方がないんですよ。大変大事なことなんですけれどもね。
 今言いました軍法会議にかけると。別にアメリカとイラクは戦争をしているわけじゃありませんから、彼を軍法会議にかけるなんということはできないことですよ。当たり前のことですけれども。
 それから、イラク人を入れて裁判を、イラク人に裁判やらせろと。これは、イラクにもいろんな派閥があって、恐らくアメリカに協力的な人というのは、もう裁判なんか要らないと、すぐ死刑にしろと、そういう人たちの集まりだろうと思う。その人たちに裁判をやらせたら結論はもう火を見るよりも明らかと、こういう感じですよね。
 そこで、フセインの犯罪事実は何かということを最初に提案いたしまして、これはアメリカでも十分議論をされておるし、それから日本でも関係省庁に法律家がいますから、フセインを捕まえたらこういう罪名が考えられまして、これで死刑も可能ですよということを十分検討しておるし、日米の、また日本とアメリカの法律家同士も打合せをして、こういうことだな、うん、それはちょっと無理なんじゃないかななんていう議論をしておることだと思います。
 そういうことが最高責任、最終の責任者であるお三方にきちっと上がってきているんだろうと思いますよ。そして、あのテレビを見て、ああ、なるほど、捕まえたか、じゃ、うちの法律家たちが議論をしていたそういう罪名でこういう裁判にかけて、そして死刑なら死刑ということになるんだなと、当然考えたことだと思います。これ、考えていないといったら無責任も甚だしいと言われても仕方がないわけですけれども、いかがでしょうか。最初に外務大臣から。
○国務大臣(川口順子君) 佐藤先生に法律のお話、裁判のお話をいたしますのは非常に大変に難しいことでございますけれども、お答えを申し上げます。
 まず、サンチェス米軍司令官が十四日に記者会見をいたしまして、そのときにフセイン元大統領の取扱いについては今後検討をされていくということを言っているということでございます。いかなるその事実、容疑があるか、いかなる犯罪を犯したかということについては今後尋問をしていくということのその過程ではっきりしていくということになると思いますけれども、一般論として、その戦争犯罪、戦争の法規又は関連に違反をしたということであろうかと思います。それがどこの範囲まで入るのかといったようないろいろなことがあると思います。そういうことは今後明らかになっていくことだと考えています。
○国務大臣(石破茂君) 今、外務大臣がお答えになったとおりだと思っております。これ、いろんな話があって、佐藤先生おっしゃるように、ラムズフェルド国防長官がこう言っている、ブッシュがこう言っている、あるいは人道に対する罪なんぞという東京裁判のときのような話が出てきてみたり、あるいはミロシェビッチと同じような形がいいのではないかと、いろんな議論がございます。
 一つ私が思っていますのは、国民は殺りくしたということもあるのですが、例えて言うと、今日からみんなイラクの市民諸君は戦士であると、みんな銃を持って戦えみたいなことを言っちゃいますと、これはジュネーブ条約にどういう関係に立つのだという疑問も私は持っています。
 少なくとも、やはりきちんと納得のいく形で、あいつは悪いやつだからすぐ死刑にしちゃえと、こういう話じゃなくて、どういう罪によるものなのか、そしてそれが恣意的な、あるいは私怨的なものに基づく裁きではなくて、本当に多くの人が納得するようなものでなければいけない。そういうことはたしかブッシュ大統領のコメントの中にも入っておったように私は記憶をいたしております。
○国務大臣(福田康夫君) これは、フセインの要するに犯罪という、そういう意味におきまして申し上げれば、これはイラク国民、これは一番被害者だと思います。また、イラク国民のみならず周辺国もございまして、イラン・イラク戦争というものもあったわけです。クウェートも侵攻されたと、こういうこともありましたし、またこのたびのイラクを攻撃した米国、英国の立場もあるだろうと思うし、その他の国々もある。また、国連も国連としての立場があるんだろうと思います。国連はサダム・フセインの国連への反抗という、こういう文書をまとめておりますけれども、そこにはいろいろなことが書いてあります。もう御案内のとおりでございますので申し上げませんけれども、そういうような立場立場でいろいろあると思います。
 しかし、そういうような立場をどういうような形でもって今後表していくのかというのは、これはいろいろな立場で議論があるんだろうと思います。非常に複雑な様相もあるんだろうと思いますが、いずれにしても公平に国際法にのっとってこれは解決されるべきものであるというふうに思っております。
○佐藤道夫君 何か率直に言いまして、何も検討していなかったと。アメリカもそうだし、日本もそうだろうと。そんなことは我々関係がないとでも考えておられたのかどうか。日米同盟という言葉を、私嫌いなんですけれども、小泉総理もよく使われる。やっぱり、同盟国であればそういう問題について意見を交換する。これだって大事なことなんでありまして、被告人というか容疑者が無法者だからこっちも法律なんか無視していいなんて、そんなものじゃないことは確かですよ。絶対大事なことです、これは。相手側が山口組であればあるほど、こちらは、警察は法律をきちっと守って攻めていくというのが、これは捜査のまた大原則でもあるわけですからね。
 それで私、物の本で読んだこともありますし、またアラブの知り合いからも聞いたことがあるんですけれども、もう何年も前の話ですけれども、フセイン大統領というのはアラブのシンボルだ、アラブの星だ、本当に我々の期待の人物なんだと、こういうことを言っておりまして、確かに彼は本当に貧しいところからはい上がるようにして努力をしてイラク一国を支配するようになる、本当に豊臣秀吉以上の存在かもしれませんよね。そうして、イラン・イラク戦争でアメリカと一緒になってイランを攻めたと。あの辺りは彼が人気絶頂で、それのちょっとやり過ぎたのがあの湾岸戦争ということになるわけで、シンボルも若干色あせたことは間違いない。しかし、今でもイラク人のあるいはアラブ人の相当多数が、あれはアラブの星なんだ、我々の希望の星だと、こういうことで仰ぎ見ていることは間違いないわけです。
 ですから、そういう者を裁くには本当に慎重にも慎重を期して、どうでもいいやなんということですぐ死刑にしろなんということは絶対に心すべきことでありまして、それだからこそ慎重を期して、結論はどうなるか、多分死刑になるんでしょうけれども、アメリカ人というのはやや感情に走るところもないわけではない。適正手続という法律用語がありまして、手続を踏んで裁判をする、それが法治国家として当然のことなんだと。これは、私からあれこれ言わなくても当たり前のことなんです。特に、相手がフセイン元大統領なんかの場合には、本当に一歩の無駄もなし、間違いもなしに正道を歩んでいって、最終結論に達すると。もし証拠が不十分なら不十分、これは無罪にせざるを得ない、それぐらいの気持ちで裁判に臨むべきだろうと。
 こういう思いがするわけで、軍法会議にかけて簡単に死刑にしてしまえとか、それからイラク人を入れて、大体選択するときはフセインに反対派を採用することは間違いないですから、最初から結論が出ていると。そういう場合には、むしろ日ごろからフセインに反感を持っていたような法律家を入れるようにアメリカが気配りをするとか、軍法会議で簡単に判決しちゃうなんということはすべきではないということも、皆さん方、機会あればアメリカの指導者層にそういうことを伝えておいて、慎重を期してほしいと。
 最初から死刑と決めて判決をする、これはもう裁判官として一番非難されるべきことなんです。顔を見たら、あいつはいかにも悪者だ、あいつは有罪だなと、こんな裁判官はもう裁判官の資格はないわけでありまして、こんなこと私が言うまでもなくお分かりと思います。これから、本当にこの問題、フセインをどう裁いていくかと、文明のあかしが問われていると、こう考えてもいいと思いますよ。
 それから、イスラムの星を撃ち落としたと、こういうふうにイスラム教徒たちは思っておるわけですからね。キリスト教にまたやられたと。その感情というのはどうしたって抜け切ることはできないわけですよ。そして、日本、いつの間にかキリスト教の側に立って我々を攻めてきている、何だあいつらはと、こういう感情にもなって歴史の上に汚点として残らないとも限らない。やっぱりアメリカ人に言うべきことを言うと。彼らを、理解はいいんですよ、多分耳が痛いと思うんですけれども、なるほどそういう考えもあるんだねと、非常に分かりいい民族であることも確かですから。どうかそういう機会を利用して、こういう考えもあると、皆さん方の考えを伝えて、慎重にも慎重を期してほしいということを言ってください。ブッシュ大統領だって必ず分かるはずです。彼、感情に駆られて物を言っているようですけれども、そんなことはないと思いますので、機会を見てよろしくお願いしたいと、この場をかりてまたお願いいたします。
 それから、外務大臣にお尋ねいたしますけれども、日本のイラク大使館の者が二名亡くなったと。大変痛ましいことなんですけれども、あの報道を見ていて、私、大変おかしいなとやっぱり思うんですけれども、危険、一種の危険地帯でしょう、イラクの北部ですから。あそこに出掛けて行くのにガードマンを付けなかったと。これは一体何なんだと、こう思って新聞などを読みましたら、亡くなった参事官の希望であったと。かえって人目に立つような護衛を付けたりすると攻撃されるからと、こういうことで護衛は付けなかったんだと。しかし、あの乗っていた車、自動車がテレビに何回も映されておりまして、立派な立派な、本当に立派な車ですね。ああいうものに乗って人目に立つも立たないもないでしょう。だれだってあれを見たら一発やってやれという気が起こるのは当たり前のことなんで、なぜ、だれの判断でああいう豪華な車に乗って、そして護衛も付けずに出掛けていったのか、これが一点と。
 それからもう一点は、イラクの、イラク大使館の責任者というのは一体どこにいてだれなんだと。これは新聞などにも一切出てこないんですよね。国民も皆、先生、分かっていますか、教えてくださいと、どこにか逃げていったんですかと、けしからぬにもほどがありますよと。大使館、外務省に聞いたら、何か日本にいると、現地には臨時大使がいる。その臨時大使なる者も全然表に出てこないでしょう。普通はああいう事件が自分のおひざ元で起きたら、イラク大使館の最終責任者はその臨時大使ですからね、彼がきちっと記者会見をして、国民の皆さんに御心配を掛けましたと、こういう点、こういう点、こういう点、最大の注意は払いましたけれども、やっぱりどこか抜けていたのでこういう悲劇を招くことになりました、本当に申し訳ないと、記者会見で自分の、その省庁の意見をきちっと言う。例えば、警察署が、警察の不祥事があった場合は、大体の場合、警察署長が出てきて申し訳なかったときちっと謝るでしょう。あれが役所として当たり前なんです。
 どうしたんですか、その臨時大使とか大使とかいう連中はどこかに逃げていっちゃったんですか、本当に。教えてください。
○国務大臣(川口順子君) あのイラクの大使館におきまして、これは特命全権大使という人間はおりません。それはなぜかといいますと、特命全権大使を接受する政府というものが存在をしていませんで、九一年以降、日本はイラクに対して特命全権大使を派遣してきていないということでございます。したがいまして、現在イラクの大使館における最高の責任者というのは臨時代理大使であります。
 ここの、この一連の非常に残念な事件について説明を十分に臨時代理大使がしていないではないかということをおっしゃっていらっしゃるわけですけれども、これの説明は外務省として、私があるいは官房長が、あるいは堂道局長が十分にやっております。上村臨時代理大使は現地にあって、いろいろなこれに関すること、あるいはその他のことに日夜奔走をしております。このことについて非常に心を痛めながら仕事をしているということでございまして、逃げも隠れもしておりません。
○佐藤道夫君 私が聞いたのは、現地の責任者が一体だれなのか。今の答弁では臨時大使らしい。こういう場合にまず臨時大使が、大使代理ですか、だれでもいいけれども、が現地で対応をして、本当に日本の皆さん方御心配を掛けておりますと、こういうことが大事なんですよ。それはどこの役所だってそういうことをやっていますよ。北海道の奥地の方で何か警察の不祥事があった場合に、こっちの警察庁長官が何と言うよりも先に現地の責任者が出てきて、本当に申し訳なかったとか、これはこういう理由があるんだと、御理解くださいとか、それが大事なんです。
 あなただって、国民から見たら、何だ単なる役人じゃないのかと、何を勝手なことを言ってやがるんだと、こういうふうな印象を受ける国民が多いですよ。そこへいきますと、現地を踏まえてそこで頑張って、今回殉職したような二人をいつも指導監督している人が出てきて涙ながらに話をする、これが第一歩なんですよ。そんなこと知らないんですか。一番大事なことと言ってもいいですよ。ああ、本当に外務省というのは下々まで気を遣って事務をやっているんだなと、気もよく分かったというのが受け取る国民の感覚だと思うんですけれども、なに本省で私もやっている、何とかも局長もやっている、あれもやっている、入れ替わり立ち替わりそんな連中が出てきたって、うるさい、引っ込んでいろと言いたくなるぐらいなんですよ。
 やっぱり現地の責任者が出てきて、これ、問題は私の不手際もありましたと言って土間に手をついて謝るぐらいの気持ちで弁明をすることが大事なんでありまして、そういうこと、あるいは御承知なければ心得ておいてください、また二度三度とあるかもしれませんのでね。いや、本当に大事ですよ、笑って済むことじゃありませんからね。いや、もう結構です。
 それから、防衛庁長官に防衛庁の問題についてお尋ねします。
 これも前にお聞きした際に、なぜあなたはイラクに行かないんだ、自衛隊の最高指揮官として現地に親しく足を印して感覚を研ぎ澄ましてきたらどうだと、こう言った際に、私、素人ですからそういうことを言っても全然何も分かりません、ただ、心構えの問題として行くということはそれなりに考えておりますると。心構えの問題なんだと言ったあの森総理の件を私、例に出したものですからね。森総理は、ゴルフをやっていたらえひめ丸事故が起きた、そこで、総理はゴルフを続けて、ゴルフを続けて、ちゃんと携帯電話で連絡を、本部とは連絡をしていたから一切粗相はないんだと、こういうことを言いまして、やっぱり対策本部に大臣たるものが姿を現して仕事をしている職員を激励することが大事なんですね。
 しかもこれ、大臣ともなれば、総理大臣と違いましてイラクの現状について、イラク大使館の職員もおればイラクの経験者、それから調査団もいる、徹夜徹夜で猛勉強すれば本当に行かなくたって現状は分かるわけですよ。しかし、本当のところはやっぱり足を印してみて、自分の知識とああ大体合うな、しかしこの点は違うなと、そういうことも大事なことでありまして、やっぱり一軍の将たるものの心すべきことだろうと思うんですけれども、どうか是非とも機会を見てイラクに行きまして雄姿をテレビで示してください。お願いします。
 何か感想を──いや、お願いしますよ、どちらになるのか。行かないと言うかもしれない。
○国務大臣(石破茂君) 心構えという言葉を先生に対してお答えの中で申し上げた、よく記憶をいたしております。
 イラクの状況がどうであるか、そのことについて私も、一睡もしないでとは申しませんが、自分の限られた能力の中でこれ以上はできないと思うまではやっておるつもりでございます。その中で、どの時期にどういう形で行くことが一番望ましいのか。それは自分の中で納得をするということだけではなくて、実際に行く隊員たちがどういう形で防衛庁長官が行くことが一番望ましいと彼らが思うのか。私は、自分が怖いとかそんなことを言っているのではありません。そんなつもりなんだったら防衛庁長官なんかやらない方がいいと思っています。どういう形で行くのが一番隊員たちにとっていいと思うか、そのことも、私が一番信頼している自衛官たちと本当に日夜話をしながら、先生の御趣旨をよく体して、どういうやり方が一番いいのかよく考えてまいりたいと思っております。
○佐藤道夫君 是非ともお願いします。
 先ほど議論になっておりましたあそこの飛行場ですか、バグダッドの飛行場がどうだこうだと。あれだって一歩行ってあなたが親しくその目で確かめれば、ああこれは安全地帯だ、いやこれは危険地帯だとか見当が付くはずだと思いますので、自衛隊を派遣するであろう予定地なるものをやはり一回り回ってきまして、あなたのそこで汗をかいて往生しているようなスタイルが自衛隊内で報道されると隊員に対して無言の励ましになるんだろうと、こう思います。
 それから、最後にもう一つ。前にも聞いたことでありまして、自衛隊員の自殺が増えているのは一体どうしてかと。私が言いたかったことは、こういう連中を派遣して本当に大丈夫なのか、心身ともに健全でなんということは言えないんじゃないかと。一般人よりも自殺者の比率が高い、こんな人たちをイラクに派遣して本当にしっかりやってこれるのか、いや、大体しっかりやってくるよと。しかし、五人でも十人でも自殺者が出たら、それこそ世界じゅうの物笑いになる。あれは軍隊でない軍隊でないと言っているけれどもやっぱり本当に軍隊じゃないな、こんなところ、こういう、軍隊が戦場に来て自殺するとは何事だと、こういうふうな思いを持つ外人も多かろうと、外国の人も多かろうと、こう思いますんで、その対策、どういうことを今考えておられるか、それだけお教えいただければと思います。
○国務大臣(石破茂君) トータルで見た場合に、自衛官の自殺者の比率というのは一般の男性よりも相当低うございます。一般の社会よりも自殺者の率は低い。それだけの規律の取れた社会ではございますが、しかし私は、一人でも二人でもいるという限りそれは問題があるのだろうと思っています。どうやって減らすかということで、今、副長官を長といたしましてプロジェクトチームを全庁的に立ち上げまして、今年度の自殺者の数は昨年よりも相当減るという傾向になっております、まだ確定的なことは申し上げられませんが。
 そうしますと、一体何で自殺をするのか。借財でありますとか、あるいは過職務、家庭、病苦、こういう順であろうかと思いますが、それが陸海空自衛隊それぞれどうなのだ、年代別に見てどうなのだ、それぞれの駐屯地あるいは総監部においてどうなのだということを、評論家みたいなことを言っているんじゃなくて実際に数がどれだけ減るかということを具体的に示さなきゃ意味がないということで、これで十分だと申し上げるつもりはありませんが、私は、本当に今年は久しぶりに自殺者の数が減る、これをゼロにするように更に徹底してやってまいろうと思っております。
 実際にイラクに行って戦闘行為をするわけではございませんけれども、相当に極限的な精神状態ということも想像されないわけではありません。この点に関しましても、万全ということはございませんけれども、そこになるように全力を尽くしてまいりたいと存じます。
○佐藤道夫君 そういうことで頑張っていただいて、本当に一人でもそれが出たら日本の恥だというぐらいの気持ちで取り組んでもらいたいと思います。
 それから、自殺者率が一般人の方が高いと言いましたけれども、私の調べたことでは、自衛隊の自殺者というのは〇・〇三二、これ一〇〇パー、〇・〇三二%。それから、一般人が〇・〇二五%。一般人というのは高齢者も含んでいますから、自衛隊は大体皆若い元気のいい連中でありますので、その辺もひとつ研究をされまして対応を考えていただきたいと思います。
 以上で終わります。
○田村秀昭君 田村でございます。
 私、非常に日本の国というのは国家じゃないなとつくづく思っていることが一つある。たくさんあるんですが、その中の一つ。
 今回、奥大使と井ノ上一等書記官が殉職されて、遺体を日本に移送された。なぜそのときに、国のために殉職したお二人に対して、その亡きがらを国家の飛行機が運ばないんですか。日の丸を付けた日本の国家の飛行機が運ぶのが、レバノンから来られたかどうか知りませんが、クウェートか、ちょっと、それまでは米軍が運んだということを聞きましたけれども、そこから日本の航空自衛隊の飛行機でも政府専用機でも、国家の飛行機が運ぶというのが国に殉職された人に対する国家の礼儀だと思うんですが、一体どうなっているんですか。
 官房長官おられるから官房長官にお聞きし……
○委員長(山本一太君) 外務大臣ですか。
○田村秀昭君 じゃ、外務大臣。
○国務大臣(川口順子君) これにつきまして、田村委員のように、国のために命をささげたのでそのように遇するべきであるという御意見を持っていただいている方がいらっしゃるということについては、そういう考え方も持っていただいている方がいらっしゃるということについては、私も有り難いと思っております。
 ただ、これ具体的にどういうことでそういうことになったかということでありますけれども、できるだけ早くお二人の御遺体に御家族と一緒に日本に帰ってきていただくということが何よりも大事であるというふうに考えました。で、それをやる方法というのは専用機ということではなくて、クウェートから実際に通ってきたルートで帰ってきていただくということが一番早く、そういう方法であったということでございまして、そのように判断をいたしました。
○田村秀昭君 外務大臣は、国の仕事をしに行ったんじゃないんですか、そのお二人は、あなたの部下で。何か民間企業が行ったわけじゃないでしょう。あなたの部下ですから、国家公務員であり、外務省の職員が国のために仕事をしに行ったんじゃないんですか。あなた、そういうふうに言われなかったけれども、どういうことですか。
○国務大臣(川口順子君) そのように正に申し上げたつもりでいますけれども、何か……
○田村秀昭君 今、急いだから。
○国務大臣(川口順子君) ええ、ですから時間的に早く、御家族とともに御遺体にできるだけ早く日本に帰ってきていただくということが重要であると考えたからであるというふうに申し上げたわけです。
○田村秀昭君 そうすると、日本の航空自衛隊は急ぐときには使えないと、そういうことですか。
○国務大臣(川口順子君) 物理的に、専用機というのは北海道にございまして、そこからお迎えに行っていただく必要がある、そしてまた現地から戻ってきていただく必要があるということでございます。ということで、一番早く御遺体に安全に日本に帰ってきていただく道というのは実際に選択をした方法であったということ、それからもう一つ付け加えさせていただきますと、御家族、御遺族の方におかれてもそのような御希望をお持ちであったということでございます。
○田村秀昭君 私は理解できませんが、この問題はそのままといたします。
 今回イラクに自衛官を派遣すると。自衛官の立場に立ってちょっと二、三質問させていただきます。
 本来、自衛隊を国外に出すというときには、国民の大多数の支持がないといけないと私は思うんですね。それで、今、自衛隊を支持している人は国民の八〇%なんですね、八十数%。それで、イラクに自衛隊を派遣するのを反対しているのが六十数%ですから、自衛隊を支持している人の約半分が反対をしていると。それはなぜなのかということを防衛庁長官は真摯に受け止めていただきたいと。自衛隊員の、支持している人の半分がイラクに自衛隊を派遣するのは反対だと言っているんですね。
 それで、私は、自衛隊を国外に出すときには八〇%の国民、八〇%以上の国民の支持がないと自衛隊は海外に出しちゃいけないというふうに私は考えている者の一人ですけれども、今のような反対があるときに、にもかかわらずなぜ自衛隊を海外に派遣されようと決意をされたのか、防衛庁長官にお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) 自衛官の立場に立ってという先生のお話であります。空将という地位にまで上られた先生のお話ですから、私ども本当に真摯に受け止めなければいけないと思っています。
 自衛隊を海外に出すことに今回反対しておられる方の多くは、自衛官の安全が確保できないからという理由で反対をされておられると承知をいたしております。じゃ、安全確保のために何ができるかということについて、午前の佐藤委員の御質問にもありましたが、結局、じゃ武器使用権限が不十分だから、じゃ何が不十分なのですかというふうにきちんとした御説明を我々はしなければならないと思っています。あるいは、山口委員から御質問がございましたが、何で、仮にサマワといたしましょう、何でその地域で活動するということに決めましたかという御説明もしなければいけないと思っています。
 八割ということが適当な数字かどうか分かりませんが、この参議院の御質疑を通じましても私どもがきちんとこれから先御説明をしなきゃいけないことがたくさんある。そうした場合に、ああ自衛隊はその地域に行っても自衛隊の権限、装備、能力をもってすれば危険が抑止でき回避できるんだなということを多くの国民の方々、特に自衛隊に御理解をいただいている方々に納得をしていただく、そのための努力をこれから先も政府としてやってまいりたいと思います。
○田村秀昭君 私は、自衛隊が海外に出るときには国民こぞって御苦労さんと言って出すべきであって、それで自衛官も力一杯任務を遂行できるものと私は確信しております。
 歴代の総理が言っておられる、自民党の総理ですよ、間違っているのが一つあるんです。これはどういうことかというと、自衛隊は危険なところに出ていけと言わないといけないですね。危険じゃないのに出ていけと言うからおかしくなるわけですよ。自衛隊は、危険だから民間が行けないから自衛隊の人たちに行ってもらうというふうにきちっと言われないと、行く人も名誉と誇りが与えられないわけですよ。安全なところへ自衛隊が行って、どうして名誉と誇りが与えられるんですか。
 それは総理にお聞きしようと思っていたんですが、総理おられないから、済みませんけれども、官房長官、歴代の自民党の内閣総理大臣は間違っていると私はかねがね思っているんですよ。危険なところにこそ自衛隊は出ていくんであって、安全なところには民間が行ったらいいと。危険だから自衛隊が出ていくので、だから自衛隊は名誉と誇りが与えられると。だから、安全なところにずっと行っていたら、いつまでたっても名誉と誇りは与えられませんよ。だれも御苦労さんって言わないんだ。どうしてそんなところへ行くんだという話になるでしょう。だから、そこのところを取り違えて五十年来ておりますので、二十一世紀ですからきちっとしていただきたいなというふうに私は思います。
○国務大臣(福田康夫君) 委員の御指摘のとおりだと私は思います。それだからこそいろいろな攻撃等に、危険に備える訓練もし、またそれなりの武器を持つ。それなりのというように申し上げたのは、あくまでも自衛ということを中心とした武器を持つ。正に今回の特措法におきましても、自己防衛というその装備はいたします、それ以上のものは持たないということになっております。しかし、今回参ります自衛隊は、これは安全配慮ということもありますので、できる限りそういうような事故が起こらないようにということになっておるわけでございます。
 それで、なお、なぜ自衛隊なのかということになれば、それはやはり自己完結型という、そういう自衛隊が持っている能力ですね、そのことは大変大事なことだというふうに思います。自己完結型でないと、どういうところで作業するか分かりませんけれども、場合によっては砂漠の真ん中ということもあり得るわけでございますので、そういうような場合においても自衛隊だからこそできるんだと、こういう部分もあるわけでございます。
 いずれにしても、この法律では安全の確保には万全を尽くすということになっておりますので、その趣旨を生かして活動してもらいたいというように思っております。
○田村秀昭君 政治が安全だということを強調すると、部隊長というのは部下の命その他の安全を確保する責任があるんですね、部隊長が。だから、部隊長のやることがなくなっちゃうわけですよ、安全というのを、政治が安全なところに行かせると言われちゃうとですね。ですから、何か国民向けというか、本音じゃない語り方をして自衛隊を出す、そういう時代はもう過ぎているんじゃないかと。
 だから、きちっと危険なところに自衛隊は出ていって、安全は、部隊長が最大限隊員の安全を確保しなさいと防衛庁長官が指示すればいいわけで、そんなに安全だったら民間人が行けばいいと私は思うんで、少しその辺の今までの自民党の総裁のというか、総裁というか政調というかよく分かりませんが、そこのところの説得の仕方というものがもっときちっと本音で国民に語り掛ける必要が私はあると思いますので。
 それじゃ、長官。
○国務大臣(石破茂君) 先生、小泉総理の記者会見ごらんいただけたことだと思います、十二月九日。その中で、総理が記者会見の中でおっしゃっておられることは、一般の国民にはできない、日ごろの厳しい訓練に耐えて、あえて決して安全ではないかもしれない、危険を伴う困難な任務に決意を固め赴こうとしている自衛隊員に対しまして、私は多くの国民が、願わくば、敬意と感謝の念を持って送り出していただきたい、そのように総理はおっしゃっておられます。
 あえて決して安全ではないかもしれない、危険を伴う困難な任務に行こうとしている自衛隊員に対して、国民は感謝と敬意を持ってくれと。そういうことを、私は初めてではないかと思います。決して安全ではありません。でも、自衛隊の権限、能力、装備をもってすれば、その危険を抑止でき、回避できる蓋然性を最大まで高めましょうということとそれは矛盾するものではございません。私は、自衛隊であれば、安全を抑止し、回避できる、そういう可能性が高いということを申し上げている。
 しかし、そこは一般の人にとっては決して安全な地域ではない、そして困難な任務である。だからこそ自衛隊なのだということを総理はおっしゃった。そして、国民の皆様方に敬意と感謝の念を持ってほしいというふうにおっしゃった。そのことを私たちはごまかすことなく国民の皆様方にお伝えする。それが任務に赴く自衛官に対する最大の我々の気持ちの表し方だというふうに思い、今後とも最大の努力をいたしてまいります。
○田村秀昭君 もう時間でございますので、長官の御答弁ありがとうございました。
 最後に、自衛隊の位置付けを、度々申し上げておりますけれども、位置付けを明確にして、自衛隊の諸官に名誉と誇りを与えるような、そういう時代を迎えていただきたいと強く総理大臣、官房長官、防衛庁長官にお願いをして、質問を終わります。


2003/12/16

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