2003年12月16日 |
158 参議院外交防衛委員会−(5)
質問者=小泉親司(共産)、月原茂皓(自民)、高野博師(公明)、大田昌秀(社民)
平成十五年十二月十六日(火曜日)
○小泉親司君 引き続きまして、幾つか質問をさせていただきます。
まず第一にお聞きをしたいのは、今回のアメリカのイラク戦争は、国連決議のない、大義のない無法な戦争であると思います。私は、これまでも総理や外務大臣、防衛庁長官、官房長官とも議論してまいりましたが、やはり大量破壊兵器が見付からない。戦争の口実にされたものが全く見付からない、フセインは拘束されたけれども、大量破壊兵器という戦争の口実にされたことが見付からないというのは大変重大な問題だというふうに思います。
特に、この無法な戦争に続く不当な占領、私、この占領の問題については少し後で質問させていただきますが、この大義のない無法な戦争も、戦争のやり方もひどかったと。それは私は、最近発表されました国際人権団体であるヒューマン・ライツ・ウオッチが現地調査の上、イラクの戦争の実態について報告書を出した。この報告書の中で、イラクでの米英軍が使用したクラスター爆弾の数、これは、クラスター爆弾は御承知のとおり集束爆弾で、一個の爆弾に二百二個の子爆弾が付いている爆弾であるということは私もこの委員会でも何遍も取り上げてまいりましたが、ヒューマン・ライツ・ウオッチの公表資料からいきますと、アメリカ軍は一万七百八十二発のクラスターの親爆弾を投下した。子爆弾の数は百八十万発と言われております。イギリス軍は二千百発で子爆弾の数は十一万三千百九十発だというふうに言われております。私は、こういうやはりクラスター爆弾の使用が大変イラクの女性たちや子供たちを傷付けた。ヒューマン・ライツ・ウオッチの報告でも、今なおこのクラスター爆弾の不発弾の被害が広がっているということが指摘をされております。
そこで、私、外務大臣にまずお尋ねしますが、クラスター爆弾の使用、この問題について外務大臣はどのようにお考えなのか、まずお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) クラスター爆弾でございますけれども、これについては四月二十五日にマイヤーズ米統合参謀幕僚会議議長が、イラクの自由作戦の間、連合軍は約千五百の様々な種類のクラスター爆弾を投下し、そのほとんどは精密誘導弾であったということを言ったというふうに承知をいたしております。それで、米英軍は武器の使用あるいは攻撃の目標の選択に際しまして国際人道法を守ってきているというふうに承知をしていますし、また、クラスター爆弾を含む兵器の使用に当たっても可能な限り民間人への被害を最小にするように努めているというふうに承知をしています。
それで、クラスター爆弾の使用自体は、これは使用は禁止されているということではございません。過度に傷害を与え、また無差別に効果を及ぼすことが認められる特定の通常兵器の使用、これを禁止する、あるいは制限する条約が特定通常兵器使用禁止制限条約というものとしてございますけれども、クラスター爆弾の使用というのはこの条約の枠組みにおいて使用の禁止あるいは制限をされているということではないというふうに理解をいたしております。
○小泉親司君 この報告書の中でも、不発弾は約五%と計算しても九万発に上るということを指摘をしております。
やはりこの対策をどうするのか。私は、やはり日本政府としても米英軍にこうした不発弾の対策という問題はきちんとやはり要求すべきだと。特に、同時に、このクラスター爆弾の使用をやめるよう日本がイニシアチブを取るべきだということを私、指摘をしておきたいというふうに思います。
そこで、先ほどの基本計画に戻りまして、武器弾薬の輸送の問題について少し更に詰めた議論をさせていただきたいと思います。
まず、官房長官が誤解をされているようですから、まず誤解を解く意味で、まず官房長官の答弁、今年の六月二十七日でございますので、半年前のことを忘れてしまいますとちょっとこれから何だなとも思いますので、六月二十七日の答弁を読み上げますと、武器単体で一つのコンテナで送るというようなケースよりは、いろいろな荷物と混在して送るといったようなケースの方が多いのではないか、そういうものに機動的に対応できるようにするということが、これが必要なんではなかろうか、こういう趣旨でございますと言いまして、いわゆる武器弾薬は様々な物資と混在して運ばれるんだと、だからこれを切り分けることが難しいんで武器弾薬は法律の中で輸送をするということに入れたんだというのが官房長官の御説明でございました。これは覚えておられますね、官房長官。うなずいておられますから、そうだということをよく自覚をしていただいて。
それで、石破防衛庁長官も、我が党の児玉議員の質問に答えまして、例えばコンテナの中に弾丸、かつ、チーズというのは変ですな、あとは例えば小麦粉とか、そういうふうなものを同時に入れるということを厳密に明確に排除をしたものだとは認識していないと。つまり、一緒に混在することがあり得るということを言っているんですね。いいですね、防衛庁長官。それは今お読みになっているようですから確認をさせていただきますが。
その上で、私、だから、混在しているのに、それを、武器弾薬を運ばないというのであればその混在しているものを切り分けしないと、どういうふうに切り分けするんだということが明確じゃないと総理が言っていることが担保できないじゃないかということを先ほど質問しているわけです。
そこは明確に私まず前提を置かせていただきまして、それで、先ほど私の質問に対して福田官房長官は、実施要領を決める中できちんと整理するということをお答えになりました。そこでお聞きしますが、きちんと整理するというのは、輸送できる武器弾薬はどれとどれだ、輸送しない武器弾薬はどれとどれか、こういうことを整理して実施要項に書き込むということなんですか。
○国務大臣(福田康夫君) 先ほど私が申し上げた武器弾薬を実施要項の中で整理すると、ちょっと御理解いただけるものと思ったものですからそういうふうに申し上げましたけれども、要するに物資、武器弾薬は運ばないということを実施要項の中で記載していくと、規定していくと、こういうことになるわけであります。
○小泉親司君 しかし、この間の総理大臣の議論は、例えば、私は先ほど武装米兵の輸送と言ったら、官房長官はその場で、いや、武装じゃないと言いました。兵員だと言ったらうなずいておられたので、じゃ兵員だと言って総理に聞いたら、いや、こういうふうなものを持っているんだと。こういうふうなものって何なのかよく分かりませんので、これ明確にしていただきたいんですが、それじゃけん銃、ライフル、小銃、こういうものは米軍の兵員とともに輸送できるんですか、どうですか。
○国務大臣(石破茂君) 実施要項でどう定めるかというお尋ねでございますので、私からお答えを申し上げます。
それは、携行する、すなわち自らの、例えば米軍の兵士が自らの身を守るためにというものであれば、けん銃あるいはライフルあるいは小銃、そこまでも含むということが常識、軍事的な常識の範囲内なのだというふうに思っています。
なお、午前中はお答えをする機会をお与えいただけませんで、委員の御質問が時間、午前中の時間が了してしまいましたので、ここで申し上げることをお許しをいただけるならば、実際私どもは人道支援を中心に行うのだということにいたしております。そして、基本計画の中にはいろんなものが読めますが、総理が武器弾薬の輸送は行わないというふうにお話しに、明言なさいました。その意向を体して、どのような形になるかは分かりませんが、実施要項というものを定めることに相なります。
実際に現地においてコアリッションというものは、日本はかくかくしかじか、こういう能力があります、例えばシンガポールはこういう能力があります、オーストラリアはこういう能力があります。その中には、どれぐらい運べるかということとどのようなものを運ぶかということも提示をすることになります。じゃ、日本はそういうものしか運ばないのだな、人道支援を中心に行うのだな、そうであればそういうようなものを運んでもらおうということになる、それが信頼関係に基づくコアリッションというものでございます。
そのようなものは信用できない、一々チェックをするのだというふうにおっしゃるとするならば、これはもうそんなもの信用できないという御党のお立場としてそういうような御主張はあろうかと思います。私どもとしては、それは信用していかなければコアリッションというものはそもそも成り立たない。私どもとして、こういうようなものを運びます、そしてこのような能力を持った輸送機ですということを提示をして、それがコアリッションの中でどう活用されるかということでございます。
○小泉親司君 私どもはイラクへの自衛隊派兵、反対でございますので、何を運ぼうがそんなこと私は知ったことはございません。実際にあなた方が派遣すると言って、しかも武器輸送はしないと言っているからお聞きしているだけの話で、私たちは反対でございます。ですから、あなた方が武器弾薬を運ばないと言っているから細かく聞いているだけなんですよ。そこのところをよく御理解していただきたいと思いますよ、あなた。
それで、そこでお尋ねしますが、それじゃライフルが上限なんですか。例えば、部隊行動では機関銃、迫撃砲、無反動砲と自衛隊は持っていきますが、そういうものは、そういう米英占領軍及びその他の占領軍の機関銃、迫撃砲、無反動砲、こういうものは運べないんですね。
○国務大臣(石破茂君) いや、何だかこんがらがってきていけませんが、すべて反対なので何を言っても駄目なのだということだが、政府が武器弾薬を運ばないと言っているのでそれで聞くのだなという、こういうお話でございますね。
じゃ、それを頭に置いてお答えを申し上げますが、例えば迫撃砲であるとか対戦車弾であるとか、そういうものは自衛隊が自らを守るために必要であるから持っていくということでございます。その議論と、今回、輸送機が運ばないということは必ずしも一緒の議論ではございません。
しかし、常識的に考えてみたときに、それでは迫撃砲というものを一緒に運ぶのかと言われた場合に、それがそのまま自衛隊の身の安全を守るということと同列に論じられるものだとは思っておりませんが、どういう形で規定をすることになるのか。それはやはり常識的な範囲ということになるのだろうと思っています。なお作業を続けておるところでございます。
○小泉親司君 どうも防衛庁長官はお疲れで混乱しているということを思います。私が言っているのは、自衛隊の武器の輸送なんとは言っておりません。元々この武器弾薬の輸送というのは、米英占領軍及び占領軍の、分かったでしょう、武器弾薬の輸送の話をしているんですよ。自衛隊の話なんかしていませんよ、一つも。私が言っているのは、自衛隊も無反動砲を持っていくけれども、そういう米英占領軍の無反動砲なども武器輸送の、要するに今度のいわゆる、何と言ったらいいですかね、新聞では携行武器と言っていますけれども、軽いもの、軽装武器、失礼、軽装武器と言っておりますが、そういうものも運ぶのかと聞いているんですよ。そんな簡単なことなんだから、全然混乱しないでお答えください。
○国務大臣(石破茂君) 委員の御趣旨を踏まえて答弁を申し上げたつもりです。
つまり、委員がおっしゃいますのは、例えば対戦車弾とか迫撃砲とか、そういうものも身の安全を守るための装備だとおまえは言っているな、だから米軍もそれも身を守るための装備だから運べるとおまえは考えているのかというふうな御質問をなさっておられるのだろうというふうに思って答弁を申し上げているところです。
自衛隊の任務というものは治安維持ではございません。人道支援でございます。そういう場合にどういうのが身を守るために必要なのかという判断と、米軍がやっておること、その場合に何を持っていくかという判断は、それはおのずから異なるものだと思っています。ですから、自衛隊がこういうものを身を守るための武器だと判断しているから、米軍がそのようなものを持っていってそれも運ぶことができるというふうにストレートには申し上げられないということを言っているのです。
○小泉親司君 先を読んでやる必要ないんですよ。私が言っている質問はどういう質問かというと、防衛庁長官が決める、実施要項をあなたが決めるんです、法律上、そうでしょう。あなたが決めるんです。基本計画は総理大臣なんですよ。あなたが決める。その決める中で、それじゃ武器の輸送はしないということは総理大臣がさっき政策判断だとおっしゃった。それじゃどこまで認めるのかと。
さっき言ったのは、総理大臣はここら辺に持っているものだと言った。そうしたらだれでもが小銃かな、ピストルかなと思う。あなたはライフルまでだと言った。それじゃ、ライフルが上限なんですか。その先は持てないんですか。例えば、部隊で行くときには当然部隊装備というのがあるんですよ。あなたは軍事常識だと言ったけれども、迫撃砲とかそういうものは部隊装備として必ず持っているんですよ、一部隊、一小隊は。そういうものも運ぶんですか。それは武器弾薬を運ばないという武器弾薬の中に入るんですか、入らないんですかとお聞きしているんです。
○国務大臣(石破茂君) 先生はかみ合ってないとおっしゃいますが、私はかみ合って答弁を申し上げておるつもりなのです。
まさしく、そのような身を守るための武器というものを含めるのか含めないのかということでございますが、同時に自衛隊のやることと米軍のやることは違うわけですね。先生はすべて駄目だとおっしゃいますが、違うことは違うのです。すなわち、我々は治安維持そのものも行わない。安全確保支援活動であり、人道支援である。その際に身を守るために必要なものということであるならば、米軍も身を守るために必要なものというのはそんなに異ならないのだろうとは思っています、定性的に申し上げれば。
しかし、何をもって上限なのかということにつきましては、これは議論があるだろう。つまり、我々の身を守るために必要なものだというものが米軍にとってどういう意味を持つのか、そのことはきちんと議論をしなきゃいけないことだと思っています。しかし、これが上限であるということを、今かくかくしかじかこういう理由に基づきましてこれが上限でございますということがお答えできる段階ではないということであります。
○小泉親司君 それは私は大変おかしいと思いますよ。
先ほど総理は、武器弾薬は運びませんということを言ったんです。私は、だから、運びませんと言いながら、何でじゃ武装した、少なくとも私はちょっと警察官がピストルを持っている場合と違うと、軍隊の場合は。当然、武器を携行しているということであれば、これは武器弾薬の輸送をしていると。一体どこでどうやって線引きをするのかと。あなた方は武器弾薬は運ばないと言いながら、その上限は決めないと。決めないじゃない、決めるんだけれどもまだ分からないと。そんないい加減なことで、今週、じゃ早速航空自衛隊の先遣隊を送ろうなんという動きがあるというふうにお聞きしておりますけれども、伝えられておりますけれども、それじゃ全くおかしいですよ。そんなでたらめが私通じると思いません。
一体、じゃ政策判断としてどこまでだ、これは日本の政策判断ですからね。アメリカの政策判断じゃないでしょう。米英軍の政策判断じゃないでしょう。日本として、米英軍が例えば身を守るものが無反動砲だと例えば言ったとしても、日本は無反動砲は運びませんと言えば運ばないんですよ。違うんですか。それは、アメリカが無反動砲は身を守るものだと言ったら、じゃ運んでさしあげましょうと言うんですか。どうですか。
○国務大臣(石破茂君) 法律では武器弾薬というものも運べることになっております。しかしながら、政策判断としてそういうことをやらないというふうに申しました。だとするならば、私が言っているのは、先生がおっしゃるとおり、じゃ無反動砲も自分を守るためのものだからいいのだな、じゃ対戦車弾もいいのだなということになるのかどうなのか。いずれにしても、それは日本の政策判断として武器弾薬は運ばない。しかし、運ぶものが兵員であって、それが自らの身を守るために持っているものまで結果として運ぶということまで排除するものではない。だとするならば、その上限をどこにするかということは、これも日本の政策判断として決め得ることです。
しかし、今この時点でかくかくしかじかこういう理由に基づいて、例えて言えばライフルまではいい、しかし迫撃砲は駄目ですとか、あるいは迫撃砲はいいが対戦車弾は駄目ですというようなことをきちんと理屈を持って私がここできちんと御説明することは難しいということを言っている。そうすると、対戦車弾もあるいは迫撃砲も、自分の身を守るためだからいいのだという理屈もそれなりに成り立つことだと思っています。その辺りがコアリションとしてどうなのだろう。
しかしながら、じゃ例えばですよ、例えば先ほど先生がクラスター爆弾ということをおっしゃいました。じゃクラスター爆弾が運べるのかねというと、これは運べないでしょう。これはまさしく任務が違うわけですね。自分の身を守るためにクラスター爆弾を使うわけじゃないですから。だから、クラスター爆弾なぞというものは運ばないということは当然御理解いただける。じゃ、その上限は何なのだと言われたときに、そこのところをどのようにして日本の政策判断として国民にも御理解いただけるようにするか、その作業を行っておるところだというふうに申し上げているわけです。
○小泉親司君 ということは、上限を決める、それからその問題については実施要項の中で公表するんですね。
○国務大臣(石破茂君) 政策判断として実施要項の中でどのように定めるか、そしてまたそれをどういう形で公表するのかということにつきまして、現在これも検討中でございます。すなわち、それを明確にすることが日本の政策判断ということでもございます。しかし、同時に、なぜそのように決めたのか、そのように決めるに当たってどのような情報に基づいてそれを決めたのかということが明らかにできない場合もございます。それらを勘案して、どのように公表するか、どのように定めるか、現在作業を行っておるところでございます。
○小泉親司君 私、疑うわけじゃないけれども、こういうのは公表しないと思いますよ。だから、そういう問題を国民に全然分からないところで、じゃ実際、上限はどこだと国会で聞かれて、いや、まだ検討中だと。それじゃ、上限は決めるのかといえば、まあ決めるんだろうというようなこともはっきり言わない。しかも、それを公表するのかといえば、いや公表しない場合もあると。これは、私はちょっと、全く納得がいきません。
ですから、これは、私は先ほども総理にも申し上げましたが、これは、武器弾薬は運ばないというのは本当に私はごかましの論理で、それをはっきりと言えないというのはもう大問題だということだけ指摘しておきます。
時間がないので、もう一つだけ福田官房長官にお尋ねしますが、今度の基本計画の中では文民、これはイラク復興支援職員、これはいわゆる非戦闘地域で安全なところなんですね。しかも、しかし、イラク全土にイラク復興支援職員というのは展開されるんです。やることは同じなんです、自衛隊と。ところが、自衛隊は──違う、同じですよ、医療だとか給水だとか同じなんですよ。
それじゃ、自衛隊は実際にはこのムサンナー州ですか、に限定をされると、これはどういう理由なんですか。あなた方は本当に危険なところに、だから自衛隊を送らざるを得ないと言っておきながら、実際は自衛隊は東南部だと。イラクの復興支援という文民はイラク全土にわたって行動するという基本計画に仕組みになっておりますが、官房長官、何でこんな、こういう逆の区分けになっているんですか。
○国務大臣(福田康夫君) 御指摘のとおり、復興支援職員は医療、「医療」の場合には「イラク国内における病院・医療施設」ということになっています。それからまた、「イラクの復興を支援する上で必要な施設の復旧・整備」、その場合には具体的に「イラク国内における浄水場等の公共施設」と、こういうふうに記載がしております。
それで、なぜイラクの特定の地域に限定しないのかと、こういうことでありますけれども、病院とか医療施設、それから浄水場というような地域、これは前提条件あるんですよ、もちろんね。御指摘になっておりますけれども、イラク復興支援職員の安全が確保されなければいけないと、こういうことです。ただ、自分で確保、安全確保できないんですよ。そうでしょう、自衛隊とは違うんですね。ですから、それは安全が確保されるということを前提にこういうような地域について、こういう地点について活動するということで、前提は安全が確保されると、こういうことです。
○小泉親司君 いや、自分で安全が確保されないイラクの復興支援職員が全土にわたって活動するのに、自分の安全が確保される自衛隊がいわゆるサマンナという、その、何だっけ、東南部に限定、サマワ、サマワに限定されると。こんな、理屈からすれば反対じゃないですか。そこを聞いているんです。自衛隊が軍隊だから、軍隊だと国際的に見られる自衛隊が言わば東南部に押し込められて、何で、じゃイラクの復興支援だけ、の支援職員だけ全土にわたって活動できるんですか。変な話じゃないですか、これ。官房長官、そこを聞いているんです。
○国務大臣(福田康夫君) それは確かにおっしゃるように、自衛隊の方が自衛手段を持っていると、こういう人たちは、復興支援職員は持っていない、だからその人たちが方々に行くのはおかしい。それはごもっともな話だと思いますよ。
ですから、今後、具体的活動を調整していきますけれども、この治安状況を十分に見極め、そして活動の性格、態様等も考慮した安全対策を講じて、活動を実施する職員の安全の確保を前提として慎重かつ柔軟に実施すると、こういうことになっているんですよ。そういうことで分かってください。
○小泉親司君 全然納得いきません。いきませんが、次の問題だけ。
私は、こういうことはやはり自衛隊が軍隊だというところが一番大きな問題で、これが標的になると、軍隊が、自衛隊が行くところ標的になると、このことについては先ほども私、質問でも申し上げましたが、防衛庁長官が引用されたNGOの赤堀さん始め、例えば向こうのイスラムの指導者も、自衛隊が来ればそれは標的になると、こういうことが一番大きな問題だと。自衛隊行くところ戦闘地域だということだからでないんですか。防衛庁長官、いかがでございます。
○国務大臣(石破茂君) 自衛隊の行くところ戦闘地域ではないということはもう繰り返して申し上げるつもりはございません。
それは戦闘地域にはならないし、戦闘行為はやらない。だから、自衛隊の行くところ自衛隊は標的になるのかという御質問であるとするならば、それは、じゃ民間人が行けば標的にならないのかということでございます。ソフトターゲットというものをどのように考えるかということです。自衛隊だろうが民間人だろうが、それはテロに対してテロの、テロリストが識別する場合に本質的な差になるとは私は思っていません。テロリストは何であれかんであれ無差別にやる、そして恐怖を連鎖させて自分の思いを遂げるということがテロリストですから、それが民間人だったらターゲットにならず自衛隊だったらなるということには決してならないと思っています。
そうなったときに、そのようなテロのターゲットとなるとしても、その危険を抑止し回避できるのは、それは自衛隊しかないだろう、今の時点において自衛隊しかないだろうということで自衛隊が人道支援に赴く。そして、その自衛隊は危険を抑止し回避できる能力を持って赴くときには赴くということを申し上げているのです。
○小泉親司君 最後の一問だけ、私がお聞きしたいのは、外務省から十二月十五日に、現在判明分というイラク人道復興支援等に関する諸外国の軍隊派遣の状況というのをいただきました。カナダはC130派遣中と、三機派遣中と、ここに書いてあります。
私、カナダ大使館に問い合わせましたら、カナダはC130などはアフガニスタンには配備しておるがイラクには配備していないそうであります。
こんなでたらめなことを外務省は公表されるんですか。
○委員長(山本一太君) 時間も来ておりますので、答弁を手短にお願いしたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) カナダの件については調べさせていただきたいと思います。
○小泉親司君 訂正させていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○月原茂皓君 自由民主党の月原です。
冒頭に、亡くなられた奥大使、井ノ上一等書記官、また現地の職員の方々に哀悼の誠をささげます。
さて、私が質問したいのは、もう既に多くの方々が質問されているので重複を避けていきたいと思いますが、今、仮にイラクから復興支援をやめて各国が引き揚げたらどういう状態になるんだということをお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) 今、イラクが、引き続きイラクにおいて治安が課題であるということであります。
〔委員長退席、理事佐藤昭郎君着席〕
今、コアリション、米軍、英軍その他のコアリションの軍隊がいるということが非常に重要な役割を果たしているということは、これは我々の認識だけではなくて、この間から総理もおっしゃっていらっしゃいますように、各国の認識であります。これはフランスもそういうことを言っていますし、ドイツも言っている、ロシアも言っている、また近隣のアラブ諸国も言っているということです。
イラクの安定に問題が起きる結果、イラクは中東地域においては非常に重要な国でございますので、中東全体の安全にも影響が及ぶということであると思いますし、そのことは、例えばイラクが今引き付けているテロリストの暗躍を更に悪化をさせる。我が国の平和あるいは我が国の繁栄が国際社会の安全、安定によっているところが非常に多い。正にそれによっているわけですから、そういった我が国にも大きな影響が及ぶということであると思います。
我が国としては、国際社会が引き続き全体としてイラクの復興に力を出していくことが必要であると考えています。
○月原茂皓君 要するに、我が国の国益については次にお尋ねするつもりですが、この地域から今、米英軍を含めてその復興に携わっている方々、あるいは治安を確保している、そういう者が去った後は、要するにテロ、ゲリラの策源地になっていく、将来の。そういう、これからはテロ、ゲリラというのはなかなかどこにおるか分からぬわけですけれども、中には隠れてちゃんと技量を磨いてミサイルを撃つ、そういうことも行うわけでありますから、そういう土地をできるだけ少なくしていく、安定していくということも大切だと。イラクがそういうことであるというわけではなくて、放てきしたら、放置したらそういう国家になるんだという、そういう地域になるんだということを私は国民に広くまず言わないといかぬと私は思います。
戦争の大義そのものについてはいろいろ議論があるでしょう。しかし、その後のことについて現在の状態はどうなんだと。もう死んだ子の年を数えても、いろいろな、まあ数える人もおりますが、しかし、ここで大切なことは、これから先、もし手を引いたらどうなるんだということをまず話しすることから始めなければならないと私は思うわけであります。それだから、あえて冒頭にそのことをお尋ねしたわけであります。
さて、そこで、今、大臣がお答えになったことに関連するんですが、今、総理大臣を始め多くの方々が自衛隊を派遣する、また我が国がこれに携わることについての大義についてお話しになっておりますが、非常にまた私は抽象的な感じがする、国民から見たら。要するに、世界平和だと、中学校の教科書の冒頭に出てくるような言葉が羅列される。待てよと。我が国にとってどういう国益になるんだと。他の国と比べてどういうところが我が国に特色があるんだと。ロシアとか中国とかフランスとかドイツとか、出ていないじゃないかと。出ている。何で出るんだと。そういうふうな我が国の国益を中心にして一遍説明することも私は必要だろうと、こう思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(川口順子君) 正に今、委員がおっしゃられたように、我が国の国益とは何かということでございます。
それで、我が国の平和と繁栄、これは国際社会の安定にあるということであると思います。じゃ、その意味は詳しく具体的に言うと何かということであるわけですけれども、幾つかありますが、一つは、イラクというのは中東における大きな存在、大きな国であります。したがいまして、イラクが不安定になる、先ほどのようにテロが暗躍をしたりというようなことになりますと、周辺諸国が不安定になる。ひいては中東全体、世界全体の不安定を呼び起こすということが一つ言えると思います。それは当然に我が国にも影響を及ぼす。
それからもう一つ、これは委員も今おっしゃられたテロリストの脅威。これを、イラクが不安定、破綻国家になりますとテロがそこで暗躍をすることになる。また、テロの輸出が近隣の諸国、世界のほかの国に対しても行われることになる。テロリストの脅威を増大をさせるということにイラクが安定しないとなるということがあります。
それから三番目に、我が国というのは石油について中東地域にその九割近くを依存をしているわけです。それで、中東地域が不安定になると我が国に対しての石油エネルギーの供給に非常に問題が生ずる。ということは、我が国の経済にも非常に大きな影響を及ぼしますし、我が国のみならず、ほかの国に対しても大きな影響を及ぼすということになります。
それからさらに、四つ目として挙げられますのがイラクが不安定であり続けることの中東和平への影響、マイナスの影響でございます。イラクの問題というのは中東地域で非常に大きな問題ですけれども、より根源的なと言っても差し支えないかと思いますが、問題は、中東和平の問題、これは歴史的にも非常に長い存在である問題であるわけですけれども、イラクがうまく解決をできなければ、あるいはイラクの問題をうまく解決することができるということが中東和平にも資するということであると思います。
そういった幾つか、四つ挙げさせていただきましたけれども、そういったことが合わせて全部我が国の国益にとって重要である、世界の安定につながっていくと。したがって、そこがきちんとしていく、安定的で推移をするということが我が国の国益であるということかと思います。
○月原茂皓君 今おっしゃったことはそのとおりでありますが、もう一つは日米関係、そして我が国の周辺、その状況を考えたときに日米関係というのが緊密であるということは大きな抑止力になることだし、更に具体的に言えば、日米関係について、例えば防衛力の協力のところで、ミサイル関係について言えば、米軍は必要に応じ打撃力を有する部隊の使用を考慮すると、こういうふうなことも言っておるわけですね。
だから、私はそういう点も、一時、北朝鮮がどうだというような話で、そればかり言っておった人もおったようですけれども、そうではなくて、今おっしゃったように、外務大臣がおっしゃったように、全体、世界全体、日本における政治経済の関係、中東の位置付け、そういうことを最近整理されてきれいに答えられるようになっておりますけれども、ここに、この東南アジアにおける、東南アジアと我が国のこの地域における地政学的な、そして日米の関係、そして打撃力を持たない日本、そういうようなことも何番目かには入れておかぬといかぬわけですよね。私はそういうふうな観点からアプローチした議論も必要だと。
今、非常に大きな大義ばかり話しされて、じゃ、我が国にとって、繰り返しますけれども、大義だけだったら、何で、ロシアだって、中国だって、フランスだって、ドイツだって何だ、国連決議もあるじゃないか、出てこぬじゃないかと。そこに、よその国と比較して我が国が特に力を入れなければならない、ほかと違う点はここなんだというところの説明というのを、私は今の中で酌み取りましたけれども、もっと整理してうまく説明していただかぬといかぬのじゃないかなと、こう思っておるわけであります。
さて、フセイン元大統領が拘束されましたが、これは今いろいろなことを言われておりますが、中長期的に見れば、これはこの国の治安情勢というものについてはどういうふうな影響があると、影響を与えるかということについて、今考えられることを簡潔に述べていただきたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) フセイン大統領が拘束をされたということで、直ちにイラクの治安情勢が良くなっていくというふうに楽観的に考えるということではないというふうに思います。引き続きイラクの治安情勢は課題であり続ける、我が国としても注視をしていく必要があると考えています。
〔理事佐藤昭郎君退席、委員長着席〕
ただ、今回のフセイン大統領の拘束は、イラクの人たちが、様々なグループありますけれども、一丸となって今後イラクの復興に対して取り組んでいく、その一つの契機となり得るものであるというふうに考えております。我が国といたしましては、イラクの人たちがこの契機を、このときをとらえてそういった方向で動いていくようになるということを期待をいたしておりますし、武装兵力が兵器を捨てて、そのような態度を取るということを呼び掛けているということでございます。
引き続き、イラクの治安情勢あるいはそれと表裏一体の関係にある復興の支援ということについて、復興の支援を我が国としては国際社会と協調してやっていきたいというふうに考えております。
○月原茂皓君 今お話分かりましたが、私はこちらの方について行ったこともなければ、イランには行ったことがあるけれども、イラン・イラク戦争のころに行ったわけでありますが、おっかない国が毒ガス使ってイランを攻めたなというころに行ったわけでありますが、私は、湾岸戦争のときに現在のブッシュ大統領のお父さんが、国連の約束等もあってクウェートから向こうに、イラクに攻め込まなかったですよね。そのときに非常に、その後のいろいろ書物を見ると、フセインは中で倒されるだろうと、一つの大きな勢力が反抗して倒すだろうと、大きな勢力といろいろな勢力が。と思ったら、それは逆だったと。そして、その期待しておった人たちは全部殺されたと、大変な虐殺が行われたと。恐怖。
だから、今度の場合も、フセインが姿を見せない、そしてこのテロ、ゲリラが盛んになってくる、外国から入ってくる、そういう連携する。そういうふうなことで、ひょっとしたらその勢力がもう一遍ぶり返すんじゃないかと、こういう恐怖感から、私は、行動していない、その本来の望ましいイラク復興のために力、能力がありながら、協力していない人たちが非常に多かったんじゃないかなと、私はそのように思うんですね。
だから、私は、これは長期的に見れば非常に大きなプラスの方向に動いてくるだろうというふうな、まああそこは民族たくさんありますから余り専門家でもないのが言うとおかしいんですが、一つそんな感じがしないではない。
そこで一つ言えることは、何かフセインの下でやっておった役人とか警察官とか、そういうふうな人たちが、たくさん職があぶれておると。そういうことも一つの今の混乱の原因だというふうに言われているとするならば、この親分はもう出てこないんだから、ブッシュさんが何回も言っているのはそこを強調しておるんだと、もうフセインは二度と権力に着きませんよということ。ブレアさんも言っておる。それはむしろ、今言ったグループ、今言ったグループというか、そういう今までフセインがもしかしたらと思って畏怖感を持っておる、恐怖感を持っておる人、そのほかにフセインの下で勤めていた公務員の人たち、そういう人たちを今度新たにこれから進むべき政府の方に組み込むこともできるんじゃないかと。こんなことを考えながら私は、あれだけ何回も、もうフセインは帰ってこないよと、二度と力持たないよということをブッシュなりブレアさんが強調しているのは、私はそういうところに一つの宣伝、そういう目的があるんじゃないかなと私は思うんですね。
そういう意味で、日本の国として、この復興に大変な力をかしておる国家として私が一つの案としてお願いしたいことは、要するにフセイン政権下でおった公務員の方々で優秀な方々を日本がひとつアドバイスして大量に抱えていくということが、日本が管理せず、向こうのイラクの方が、新しい政権を担っている人たちが、そういうふうなことを強く私はアドバイスすればいいんじゃないかなと。それは命令の一下仕事をする人たちなんであって、何もフセインが好きだから仕事をしておったというわけでないと、テクニシャンとしては最高のグループだと私は思うだけにそういう感じを持っておるんですが、いかがですか。素人考えだということになりますか。
○国務大臣(川口順子君) イラクのフセイン大統領の下でバース党の党員に優秀な人はなっていた、あるいはそれは信ずる信じないということとある程度独立をしてバース党の党員にならざるを得なかったという人たちもいるわけであります。
それで、イラクが今、今後復興をし、イラクの暫定評議会あるいは暫定行政機構というものを作って、そちらが行政をやっていく過程でやはり優秀な人がイラクの政府、政権に戻っていくということは非常に大事なことであると思います。今、CPAもそのことを理解をして、わずかずつではありますけれども、そういった人たちを戻すということもやっていると思います。
我が国として、そういう分野で出せる知恵ということも引き続き出していきたいというふうに考えます。
○月原茂皓君 次に、ちょっと方向を変えまして、地位協定のことについてお尋ねいたします。
今度、クウェートの方にまず航空、まずじゃなくて航空自衛隊はクウェートを一つの基地とするというようなことでありますが、こことの地位協定は今どういう段階にあるのかということ。それから、イラク国内における地位協定、自衛隊が出ていくわけですから、その場合の地位協定はどういうふうになっていくのか。
そして、その中の私が特に焦点としておるのは裁判権ですね。私は、地位協定というのはどんな、定義は余り分かりませんけれども、特に裁判権というものについてどういうふうに、自衛隊の者が活動した場合に、その活動についての裁判権です。常識的には皆分かっておるんですけれども、法律的に今どういうふうに考えられておるのか。
そして、もう一つ言えば、これが今後、CPAから変わっていくわけですね、政権が移譲されていく。その場合に、その点はどういうふうにバトンタッチしていくつもりなのか、手続は変わっていくのか、その点をお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(西田恒夫君) お答えをいたします。
まず、クウェートでございますけれども、それぞれの国におきまして我が国の自衛隊が任務を円滑に進められるようにと、また安心して仕事ができるようにというために、今御指摘の地位協定というようなものを取り決めているのが一般でございます。
同じような考え方に基づきまして、まずクウェートでございますけれども、我が国政府としまして現在、正に自衛隊員の法的地位に関する取決めを提携するための交渉をクウェート政府と行っておりまして、正に最終段階、最終調整に来ておるところでございます。
内容的につきましては、今御指摘のとおり、一番の中心となるのは裁判権、すなわちこの場合にはクウェートでございますが、の裁判権から我が国自衛隊員をどうやってそれを免除するかというのが肝になると思います。
現在、最終調整中ですので、余り詳細に立ち至ってお話しできませんが、現在の時点では刑事、民事あるいは行政裁判のすべての裁判管轄権につきまして基本的に免除されるという方向で交渉が調うのではないかということでございます。
それから、二番目にイラクでございますが、イラクにつきましては、六月二十六日付けでCPAが命令の第十七号というものを発出をしております。
内容的には、部隊派遣国の軍隊の構成員、例えばこれは自衛隊員に当たるわけでございますが、等がイラクの刑事、民事、行政裁判権からの免除を享有し、派遣国の裁判権に服すること、また原則としていかなる抑留ないしは拘禁からも免れるということを定めております。
現在、イラクには多数の国から現在部隊が派遣されておるところ、御案内のとおりでございますが、これらすべての外国は、かかるCPA命令第十七号によりまして上記のような特権・免除を享有しておるというところでございますので、CPAとの間にその特段のそのための国際約束というものは取り決めていないということでございます。我が方としましても、このような状況にかんがみまして、イラクに派遣される自衛隊員の法的地位につきましては、先ほどから申し上げておりますCPA命令第十七号により確保されるという旨をCPA側から我が国に対し確認を取っておるというところでございます。
最後でございますが、来年の六月の末にも想定をされております統治権限がイラク人に移っていくという過程の中で、この問題をどうするのかということでございますが、この二〇〇四年六月までに新しい移行行政機構への統治権限を移譲するという約束が、十一月十五日でもってイラクの統治評議会とCPAの間で合意ができたわけでございますが、その合意の中におきまして、イラクにおけるいわゆる連合軍の地位もカバーする治安に関する協定というものを結ぶということが盛り込まれております。
今後、この中身についてだんだん話合いが進んでいくとなると思われますので、その点十分日本政府としても勉強させていただいて、このような事態になっても、当然のことながら我が方自衛隊の皆さんが安心して仕事ができるというような体制を確保すべく努力してまいりたいと考えております。
○月原茂皓君 よく分かりました。大変な努力をされておるようであります。特に、我が国の自衛隊は海外へ行けばちゃんと軍隊としての扱いをしてもらっておると思いますが、これがまた自衛隊だとか変な立場でやられたらかなわぬと思ってあえて私は質問をしたわけであります。
円滑にCPAのものが来年の六月ですか、そのころにまた同じように進むことを希望しておきます。
○委員長(山本一太君) 失礼いたします。林条約局長の方からも御答弁いただきましょう、今、手が挙がっておりますから。
○月原茂皓君 はい、じゃどうぞ。
○政府参考人(林景一君) クウェートの関係につきまして、ちょっと一点補足させていただきます。
今、同僚から申し上げましたとおり、これは最終調整中でございますので、ちょっと個別具体的に申し上げる感じではないもんですから割とざっくりと申し上げましたけれども、基本的に裁判権、特にこれは御心配は恐らく刑事裁判権だろうと思いますけれども、刑事裁判権につきましては、これは派遣国側、つまり我が国側が専属的に有するということで、これは同僚の申し上げたとおりでございますけれども、民事裁判権につきましては、これは公務中と公務外とちょっと分けるという形になりますので、公務で民事関係の裁判権の問題が生じます場合には我が国でございますけれども、公務外ということになりますと受入れ国側ということになろうかという、そういう方向で今最終調整しておるところでございます。
○月原茂皓君 ありがとうございました。
諸外国の軍隊が国家としてそれぞれ地位協定を結ばれておる内容と同じようなものを少なくとも我が国は自衛隊について適用するように努力していただいておりますが、よろしくお願いしたいと思います。
さて次に、イラク内の、今、専門調査団の報告にもありますが、要するに、自爆とかあるいは車両搭載の即製弾薬というようなものを持って行動しておるというようなことが政府の調査団に出ておりましたが、現在、イラクの国内におけるテロというものはどういう形で行われているのか、そして目的というのはどういうふうなものだろうか、そのことをどう考えられておるか、説明してください。
○政府参考人(堂道秀明君) イラクにおきましては、いわゆるスンニ・トライアングルというところを中心に連合軍に対する攻撃が継続しておりまして、全般として予断を許さない状況が続いております。しかし、その脅威の度合いにつきましては、全国一律ということではございませんで、地域により異なっております。
このテロでございますけれども、テロにつきましては、委員御指摘のとおり、八月でございますか、それより自爆テロの形態が増えてきております。かつ、いわゆるソフトターゲットに対する攻撃も増えてきております。イラクにおきましては元々この自爆テロの伝統はございませんでした。したがいまして、そういうことからも、国際テロリズムがイラクに入ってきているということもうかがわれる状況にございます。
これらのテロリストの目的でございますけれども、イラクの国内を混乱させること、そして今後の政治プロセス及びイラク人による政府の樹立を妨げると、こういう目的で活動していると思われます。
○月原茂皓君 自爆テロが今までなかったのが要するに国際テロが入った一つの証明としてあるというようなお話、よく、先ほど私も申し上げましたが、国際テロとフセインの残党とが連携を始めておるというようなことも一時言われておるわけでありますが、さて、このテロに対しては、おい待った、おまえもうちょっと考え直したらどうだというようなことは、どうですか、そういう説得は可能なんですか。
○政府参考人(堂道秀明君) 残念ながら、そのような状況にはあると思えません。
○月原茂皓君 というところで、そういうところに我が自衛隊が出るとすれば、そういう手合いを相手にしなければならない可能性が高いわけですね。
そこで、先ほどから防衛庁長官がお話しのように、安全の確保に配慮するという配慮事項を入れて隊員の、自衛隊員のいろいろな装備、編成あるいは部隊の武器の使用の基準とか、そういうことを配慮されておりますが、そこらのところの御苦労は今多くの方々の質問に対してお答えになっておるので分かっておりますが、全体に、隊員の武器使用の判断にかかわる負担を軽減させるためにどのような防衛庁は派遣準備をされておるのか、その点を部隊行動基準等を含めてお話し願えたらと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(石破茂君) 負担の軽減というのは、私は、せんじ詰めればROEの徹底に尽きるんだろうと思っています。
どういうような武器を持っていくか、そして、どうやって迷いもなく遅れもなく判断するかということが大事なのですが、結局のところ、このような判断に従って行った場合には、というか、このような判断に従って行いなさいということ、そしてそれに従って行った場合には責任は問わないということ、これをはっきりさせることが私は一番大事なのだと思っています。
そういう意味で、ROEを定め、それを頭で理解するだけではなくて体で覚えるということが負担を減らすために一番肝要だと私は思っているところでございます。
○月原茂皓君 今度の自衛隊の派遣の目的は何かといえば、それは人道支援であり、それからもう一つは、その余力があれば、妨げない範囲において安全確保のための活動を支援するということですね。
で、私は、今、防衛庁長官が質疑で個々の対応について説明をされておったのを聞きながら、むしろ私は、そういう任務遂行のために必要なことについて武器の使用は可能だというような大きな枠を今から積み上げて体で覚えさせておくけれども、大枠としてそういう表現をして、そしてそれを超えたもの、それについては責任を負うというような形でなければ、私は、今ここで先ほど地位協定についてお尋ねしたのも、私の法律的な感じが違っておったら申し訳ないんですが、これ国内で過剰防衛だとかいった告発がたくさん出てくる可能性があると私は思うんですよね。そうした場合に、そうじゃないんだと、任務遂行上という大枠をはめておけば、これは非常に、国内の裁判のことからいえば、非常に隊員に対する負担は軽減すると、私はそのように思う。一つ一つ積み上げたら、これの〇・一違うからどうだというような、要するにこれは、日本の国は考えてみたら軍事法廷はないわけですよ、はっきり言って。そしてその上に、裁判官もこういう経験のない方々がなるわけですよ。
そうすると、私は、余りに細かく、ROEで細かく規定し過ぎて、それがちょっと外れていても法廷で争うようなことになる、そういうことを防いでおかぬと私はいかぬ。そういう意味からも、そういう観点からも、こういうことの軽減、負担についての判断を別の角度からしていく、そういうことが必要でないかなと私は最近思っておるんですが、大臣、どうでしょうか。
積み上げて一つ一つ体で覚えさす、これはもう最も大切なことです。しかし、我が国の警職法そのもの見たって、平和な国に法律がちゃんと守られて、周りの目が厳しい、そういうところにおける警職法なんであって、それをいろいろな変数で状態に変えながら、そういうところで使用を変えていくというような考えの、正当防衛、緊急避難とか、そういうような状態は、戦時においては同じことでも全然心理的に違うわけです。そして、覚えさすといっても、今度は初めて出ていくわけですよ。
だから、私は、そして国内のそういういろいろな方々がたくさん、まだ国家として慣れていないだけに、いろいろな方がおるから、どういう手段を持って、その自分の考え方をアピールするために、過剰防衛だ、ああ何だとか言って出てくる可能性ある場合にどうするんだということを私は考えておかぬといかぬ。そういう意味では、書き方、そういうものをよく考慮、判断していただきたいなと思ってあえてお尋ねしているわけであります。
○国務大臣(石破茂君) 委員御指摘の問題意識は私も強く持っております。
例えば、国内でいいますと、たしかぷりんす号シージャック事件というのがあって、あのときに犯人を撃ちましたね、警察が。これ、裁判になっちゃったわけであります。じゃ、そういうことになるのかと。誤想防衛、あるいは過剰防衛、あるいは組み合わさった誤想過剰防衛みたいなことがあったときに、じゃ一体これどうなるんだということです。これは国外犯の規定とも併せて考えなければいけませんが、過失犯ではございませんので、これ国外犯の規定になるだろうと。そうなった場合に、ROEに従ってやったとするならば、それは罪に問わないのだという構成をきちんとしないといけないのだろうと思っています。
ただ他方、我々には軍事法廷がない、おっしゃ
るとおりでございます。法の下の平等ということをどう考えるのかということの問題がもう一つここには出てくるのだと思っています。そういうことも併せて、先生御指摘のように、ROEをきちんと徹底をさせるのだということ。そして、我が国は憲法上、軍事法廷ということを設けることは非常に難しい、まず不可能と言ってもいいだろう。そうなったときに、それらを整合してどのように考えたらいいのかということについて、今、庁内でもこれでいいのか、これでいいのか、いろんな議論をしておるところでございます。
いずれにしても、行く隊員が負担に感じないように、さりとて何やったっていいというわけではもちろんない。そこのところを、何が一番隊員も納得し、そして頭じゃなくて体で覚え、現地で起こるいろんなことに対応できるかどうか、そこを今最大限やっております。
先生の御指摘をよくもう一度問題意識として受け止めまして、最大限の努力をいたします。
○月原茂皓君 これは大変大きな私は課題だと思っております。そして、防衛庁のみならず法務省とか警察とかを入れて、まあ裁判所まで入れると問題ありますから、だからそういうところを十分私は考慮してお願いしたいと、このように思うわけであります。
次に、イラクに派遣されるときに、この間少し問題になったようですが、そこの点、陸上自衛隊の給水活動を行うことを想定されておりますね、これ、ちゃんとあるわけですが。それはどのくらいかなと。そんな、行って少々では意味ないじゃないかと、こういうふうな極端な議論をする方もおられるので、その点、これだけ一つ取り上げてとは思いますが、誤解があるようなので答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) これは、世の中の方の中には、行って何になるんだ、自衛隊が行ってどれぐらいの活動ができるんだ、単なるアメリカへの義理立てなのかという、そういう私どもからすれば誤解に基づく、心ないと言ってはいけないのかもしれませんが、そういうことをおっしゃる方もあります。
私どもは、義理立てのために自衛官を、幾ら能力と装備と権限を持っているからといって、危険なところへ派遣する、そのようないい加減な政府ではないつもりでございます。自衛官はそのようなためにあるのではございません。
じゃ、一体何ができるのだというお尋ねでございますが、これ、夏もある程度お答えをしたかもしれませんけれども、例えばサマワというものを考えましたときに、サマワの人口は大体十二万人ぐらいだろうと推定をされています。そのうちで、どれぐらいが水に困っているのか、飲み水に困っているのか、川から水を直接くんで飲んで病気になったりするような人がどれぐらいいるかというと、大体四割程度というふうにCPAでは出しております。十二万のうちの四割、そういう方々がきれいな水を飲まないといけないんだという状況にある。その数は大体五万人から六万人と思われます。
じゃ、自衛隊はどれぐらい水をきれいにする能力があるのということを考えましたときに、一日の水の摂取量、これは飲み水だけではございませんが、そのほかも加えまして、一日の水の必要とする量というのは大体四・五リットルというふうに言われております。そうすると、自衛隊として一日七十トンの浄水能力を持っております。一日七十トンの浄水能力を持ち、一人一日当たり必要な浄水、きれいな水を四・五リットルと置きました場合には、五万人ぐらいの人が水を必要としている、その中で一・六万人ぐらいの方々のそういうニーズを満たすことができるということなのであります。仮に飲み水だけということになれば、もっともっとこの数字は上がるのかもしれない。
つまり、サマワで本当に水が欲しいと言っている人たちの相当の部分に我々の自衛隊が活動することによってきれいな水を提供することができる、そのことによってお年寄りや赤ちゃんや病人や、そういう方々が病気にならないでも済む。それは私は、とっても意味のある大きな活動であり、そういう能力を持っているのは自衛隊だけなのだということを申し上げたいのでございます。
○月原茂皓君 一つの例を通じて、自衛隊が命令でそちらの方に行った場合の貢献度というものの説明ができたと思います。
さて、今度の自衛隊の派遣のときに、新たな装備等について予備費で要求するんだというようなことになっているわけですが、私は、その訓練期間とか、物によってはですね、そういうことがあると、予備費というものを出す時期というものを誤ると、直前に言って、野球の試合に行くのに新しいボールを渡すからこれでやってこいと、そんなのと話違うわけですからね。だから、そういう意味で、予備費の出し方というものを自衛隊のこういう場合には考えぬといかぬのではないかと。それは財務省の、それは内閣及び財務省の仕事だと思いますけれども、防衛庁として、今日はたくさんの人を呼んでもと思いましたので、防衛庁長官のお考え方なり、担当者の方がおられたら担当者からお答え願いたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) おっしゃるとおり、予備費をいつ出すかということは極めて重要なことでございます。それは、予備費の持っている性格からかんがみても直前になって出せばいいというようなものではございませんので、どの時点で予備費を出すか、そしてその積算の根拠をどうするか等々をきちんと詰めませんと、これはおかしなことになってまいります。
その点について、先生まさしく御指摘のように、自衛隊の活動というものに支障を与えないためにはこういうような根拠が必要で、こういうような金額が必要で、だとすればこの時期だということをきちんと政府部内で、特に私ども防衛庁、財務省、内閣官房の間で話をする必要があるだろうと。そのことの結論を早急に得るべく、現在最大の努力をしておるところでございます。そのことによって自衛隊の訓練ができないとか装備が十分ではないとか、そういうことが絶対にあってはならないということを私は常々申し上げておるところでございます。
○月原茂皓君 問題意識を持って対応されておるということ、ありがとうございます。
そこで、これ、今訓練の話がありましたが、ただ、今イラクという問題で議論になっておるわけですが、私は部隊をいろいろ見ていると、訓練演習費というのが非常に圧迫をされてきておると。もういよいよ予算のシーズンですけれども、私は特に大臣にお願いしておきたいことは、やっぱり心ある人たちは、今自衛隊が活動できておるのは、新しい任務を与えられていることはもちろんだけれども、今までの蓄積というか、訓練の蓄積というものが生きているんだということなんですね。だから、訓練、このようなままでいろいろな仕事を、仕事を通じて訓練だというような考え方で走り回っておったら、ある時期が来るとぽっかりもう折れる場合があり得ると。だから、訓練というものの必要性というものは大臣も十分御承知でしょうが、今度の予算においては十分訓練の費用というものを確保するように努力していただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(石破茂君) これは、訓練というのは極めて大事であって、どんなに正面装備をずらずら並べて、一機百億の戦闘機が例えば二百機あるとか、一両十億もするような戦車があるとか、イージス艦が千二百二十億円ですか、して四隻持っているとか、それがあっても、それはきちんとした訓練があって初めて動くのだと。正面装備偏重という、ともすればそういうような御批判をいただくことがございますが、それがきちんと動いてこそ初めてそれは防衛力なのだということを私は大勢の方からお教えをいただいておるところでございます。
来年度予算におきましても、その必要な所要をきちんと確保をする、訓練がきちんとできる。昔、「たまに撃つ弾がないのが玉にきず」という川柳があったんだそうでございますが、そういうようなことがないように、正面偏重ではなくて本当に訓練に十分いそしめるようなそういうような体制というものを心掛けて来年度の予算要求に臨んでまいり、そしてまた国会の御審議をお願いしたいと思っておるところでございます。
○月原茂皓君 最後に当たって、イラクの派遣について、私は、部隊が出るときには総理大臣からもう一度大義について、そしてその激励ということを必要とすると思っております。さらには、ここでいろいろな議論がありますが、自衛隊が出る場合には国民こぞって、国会の議員もこぞって激励すると、そういうことを望んで、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○高野博師君 公明党の高野博師でございます。
まず最初に、イラクで亡くなられた二人の外交官と現地の職員に対しまして、心から哀悼の意を表したいと思います。
まず最初に、サダム・フセインの拘束に関連して二、三お伺いしたいと思います。
拘束前に政府が自衛隊の派遣を決定したというのはタイミングとしては非常に絶妙だなと、小泉さんも運がいいなという感じがいたしましたが、この逮捕というか拘束が、フランス、ドイツ、ロシア、中国がこれを歓迎しているということもあって、これらの主要国がイラク復興に関与するきっかけになり得れば、あるいは流れが変化すればという期待をしているところであります。
そこで、長期的に見ればテロというのは鎮静化に向かうかな、しかし短期的にはある意味では激化する可能性もあるなというふうに思います。例えば、麻薬組織とかゲリラ組織というのはトップが逮捕なり拘束されると必ず報復テロを行っているということもありまして、これに関連しまして、政府としては在外公館あるいは在留邦人に対して何らかの治安関連情報は流したんでしょうか。
○政府参考人(鹿取克章君) フセイン元大統領の身柄拘束がイラクなどにおける治安情勢に与える具体的影響については、今後の動向を注視していこうと考えております。現時点では新たな渡航情報はまだ出しておりません。
ただし、国際テロをめぐる情勢につきましては従来から注意喚起を行ってきていますが、特に十月十八日のウサマ・ビンラーディンの声明以降は度々渡航情報等により注意を呼び掛けてきております。最新の情報は十一月三十日に出しております。
今後とも、今般の身柄拘束等が国際テロをめぐる情勢に与える影響につきまして十分注視していき、必要と判断をされる場合には適切に注意喚起をしてまいりたいと考えております。
○高野博師君 こういう問題は迅速に対応することが第一なので、やはりターゲット、テロリストのターゲットになっているという前提で対応していくということは、私は事件を未然に防ぐという観点から重要ではないかと思います。
先ほど同僚議員も取り上げましたが、このサダム・フセインの裁き方はどうあるべきかということについてお伺いしたいと思いますが、拘束されたときのあの映像が世界じゅうに流れたということについては、あれだけの辱めを与える必要があるのかどうかと、イラク人の自尊心なり誇りを傷付けたんではないかと、そういう意見もあるんでありますが、このサダム・フセインをアメリカが裁くということについては恐らく適当ではないだろうと思います。
パナマのノリエガ将軍が九〇年に逮捕されてアメリカで裁かれたんですが、いろんな罪を合わせると懲役三百五十年とかということになっているわけでありまして、こういう法外な法をやると、裁きをするというのは適当ではないんではないかと。また、東京裁判のような勝者の裁判であってもならないんではないか。
そういう中で、イラク人自身が独裁者を裁くという中でも、これもやはり統治評議会等の勝者の論理というのが働きやすい。したがって、外国人を含む特別法廷というようなものを作る必要があるのかなと思います。できるだけ公正に、そして迅速にやる必要があると思います。
私は、このサダム・フセインがいつまでも拘束されたままでいると、あるいは裁判が長期化するというのはイラク国内の一つの不安定要因になり得るという認識をしておりますが、このサダム・フセインの裁き方について御意見があれば伺いたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) フセイン元大統領をどのように裁くかということについては、いろいろな意見があり得るというふうに思います。
先ほどアメリカが裁くべきではないというお話がございましたけれども、ブッシュ大統領自身がイラクの国民が裁判プロセスに十分関与する必要があると、米国はイラク国民とともに取り組むということを言っているわけであります。それから、公開裁判であるべきであるとか裁判は公正でなければいけないとか、そういうことも言っております。
日本として、これは委員もおっしゃったかと思いますけれども、公正な裁判を確保することが重要であるというふうに思います。
戦争犯罪あるいは人道に対する罪、これに対しては公正な裁判を行う必要がある。そして、いろいろこれから尋問が行われると思いますので、そういったことを経て、イラク人を含む国際社会が納得をする形で行われるということが大事であるというふうに考えております。
○高野博師君 それでは次に、ブッシュ大統領が中東の民主化革命という演説を先般やりました。その中で、中東の心臓部に自由なイラクを確立すれば世界民主化革命の分岐点になると、こういうことを言っておりますし、民主主義が国家の成功と尊厳に向けた唯一の道だということも強調されておりました。
これに異論はないのでありますが、だれがどのようにこれを進めるのかと、民主化というものを。アメリカが主導するという自任をし使命感を持っているのでありますが、アメリカのこのやり方というのは、自由、民主、それに市場原理というか市場経済が一体化していると、正にここに若干の懸念があるわけですが、外から強要して押し付けられることができるのかどうか。力の論理で民主主義を広めるというような考えがあるとすれば、それは懸念をせざるを得ないと思うのでありますが。
イラクの場合は五千年の歴史がある。伝統があり、文化があり、宗教がある。部族社会でもある。非常に複雑な社会でありますから、西洋的な価値観を、西洋的な価値観に基づいた民主主義を植え付けるというのはなかなか難しいのではないかと、強引なやり方というのはうまくいかないのではないかと私は思うのでありますが。
イラク復興に当たって民主化するということについては、これもだれも異存がないと思いますが、イラク国民が自ら目覚めて、そして自らの手で民主国家を建設するという、それを我々がバックアップすると、時間を掛けて民主主義を根付かせるというその努力が必要ではないかと思いますが、ブッシュの民主革命の思想は若干乱暴で危ういなという感じがあります。特にこれは意見を求めませんが、次との関連でお伺いしたいと思いますが。
イラクに自衛隊を派遣するという理由は、先ほど外務大臣も、そして総理もるる述べられましたので触れませんが、私もイラクに対して人的な貢献をしないという選択肢はあり得ないと、これはもう一貫してずっと昔から私も言っておりました。
日本の行動あるいは決断というのは北朝鮮も注視していると思います、先ほど同僚の議員がやはり言及されましたように。そして、テロに屈しないという日本政府の政治的なメッセージも、これも北朝鮮に伝わっていると私は思いますが。
現場で、地元で、なぜイラクに自衛隊を派遣するんだという説明をするときに、やはり北朝鮮に言及するのが一番納得されやすい、すとんと落ちるということもあります。すなわち、北の、北朝鮮の核ミサイルあるいは拉致問題、こういう問題があり日本が脅威にさらされていると、これを守るにはアメリカに頼らざるを得ないんだという、したがって同盟国としてイラクに自衛隊を派遣してアメリカに協力すると、これがもう一番納得しやすいんでありますが。
現在、六か国協議、これも延期の可能性が強まっておりますが、拉致の問題もあると、政府としては北朝鮮を刺激したくないという、それはもう配慮はよく分かりますが、いろんな理由の中で北朝鮮については全く言及されておりませんが。
そこで、北朝鮮の核ミサイル、拉致問題、これが存在しなければイラクに自衛隊を派遣するという決断はあったんでしょうか、なかったんでしょうか。
○国務大臣(福田康夫君) いいですか私で。
今回のイラクへの復興支援をする、これは自衛隊とそれから文民、両方ございますが、復興支援職員ですね。この判断というのは、これはあくまでも日本の立場に立って、日本の国益を考えてそうすべきであると、こういう考え方です。もちろん、イラクの復興、安定というのは、これはあの地域、イラクのみならず、あの地域全体の安定ということを考えますと、これほっておくわけにはいかないと。これは、そういうことについては何も我が国だけが考えているわけでなくて、国際社会全体で考えていることであり、また国連もそういう趣旨に沿った決議もしておると、こういうことがあります。
ですから、そういうような国際的な合意の上に、復興をするという目的に向かって我が国が支援をすると、こういうことであります。また、そのことは、総理が度々日米同盟と、日米同盟関係そして国際協調という、こういう二つの大きな目標を持って日本の外交政策は進められているんだということを再三言っておられますけれども、正にそういうような考え方に立って今回のイラク復興支援をしようと、こういうことを決断したわけでございますので、そういう中にいろいろな、それに、そのことだけでないいろいろな見方というのはあるかもしれない。しかし、しかし大事なことは、やはり日本の安全は日米安全保障条約と、こういう枠組みの中でしっかり守られている、そして日米同盟関係はこれは揺るぎないものであると、こういうことは、これは大事なメッセージだというふうに思います。
そういうメッセージを発した上で他国がどのように考えるか、それはそれぞれの国の考え方というのはあるだろうと思いますけれども、基本は、基本は先ほど申しましたようにイラクの復興支援はあくまでも我が国の国益に沿ったものであると、そしてその目標は、復興することによって国際的な合意に基づいた目標を達成することであると、そういうことでございます。
○高野博師君 大変慎重な発言で、北朝鮮という言葉は一言も使っていないんでありますが、もしこういう近隣諸国との関係に関係なく自衛隊のイラク派遣を決定したと、日米同盟、国際貢献あるいは国益、地域の安定、そういうことであるとすれば、そういう状況は今まで幾つもあったわけです。アフガンもそうだしコソボもあったし、これからも起こり得るわけですが、そうすると、そういう状況になれば日本は派遣するということでしょうか。
○国務大臣(福田康夫君) 日米同盟、国際協調と何度も申し上げておりますけれども、両方これを一致させることができれば非常にいいわけなんですけれども、国際協調が今一部図られていないという部分はあるかもしれない。しかし、合意はあるんだろうというように思いますので、そのことを目指して我が国は外交を進めていかなければいけない、そう思っております。
それと、今後どういう事態が起こるか分からない。分からないけれども、何かあったときにやっぱりこのイラクにおける復興支援のような活動をするかどうかと、こういうことですけれども、それは必ずしもそういうわけじゃありませんね。そういう事態が起こったときに、どういう状況か分かりませんけれども、そのときに、もうイラクの復興は達成している、完成しているということであるならそういうことをしなくても当然いいわけでございまして、そのときに我が国とそれから我が国の安全保障というものはどういうような状況になっているか、恐らく日米同盟というような形でもって進行していくんだろうと思います。と同時に、国際協調、これも大事な枠組みであると思っておりますので、このことは我が国も精一杯努力をしていかなければいけない。
そういうような二つの考え方を一致させることにおいていろいろな問題を解決していくということではないでしょうか。
○高野博師君 分かりました。
今回のイラク派遣、自衛隊の派遣というのは歴史的な一つの出来事であるという言われ方をしておりますが、これからの国際社会の中で日本の在り方というのも問われているんではないかというふうに思っておりますが、小泉総理がよく言われるのは、アメリカは唯一の、日本にとって唯一の同盟国だと、だから協力するんだということでありますが、この唯一の同盟関係だけでいいのかという私、若干の疑問を持っておりまして、アメリカが先ほど言及しましたような世界民主化革命を進めるというような使命感を持っているのでありますが、それに日本は組み込まれていくのか、あるいは日米同盟というのはどうあるべきかと。これは、前回のテロ特措法でも私は言及しましたんですが、日米同盟は元々極東に限定されたと。九七年のガイドラインで、あるいは日米共同宣言で、アジア太平洋の平和と安定と拡大をした。今は世界の中の日米同盟と。正にそこは僕は十分国内的に議論をすべきだと思っておりまして、先ほど言われた国際貢献、日米同盟でこれで推し進めたときにはいろんな問題も起きてくるんではないかと思うんです。
そこで、私は、将来的には日本というのは、アメリカとの関係、日米同盟を基軸としながらも、ほかの国とも同盟関係を結んでいくという選択肢はあり得ないのかどうか。あるいはヨーロッパの国と、あるいはアジアの国と。そういう柔軟なしたたかな戦略があってもいいんではないかというふうに思っておりまして、例えば古代ローマというのは、ラテン連合という一つの集団的安全保障システムの中にありながら、個別の同盟関係を張り巡らせたと、それによって自分の国の、都市国家の安定を、平和をかち得たということもありますので、国連というこの集団安全保障の枠組みの中で、もっと日本というのは、同盟関係、あるいは平和戦略パートナーシップでもいいんですが、その平和に貢献できるような同盟関係なりパートナーシップというのを結んでいく可能性はあるんではないかと。どうも日米同盟にがんじがらめにされていると。これは日本の外交のダイナミズムをなくすんではないか。
私は、アメリカは非常に尊敬しておりますし、重要だと思っている認識は間違いないんですが、その辺、もし何か御意見があれば伺いたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) 幾つかの重要なポイントについてお触れになられましたので、幾つかの点について私が思っていることを申し上げたいと思いますけれども、まず、ブッシュの民主化革命構想でございますけれども、若干危険なものを感ずるという趣旨の御発言ございましたけれども、これはよく読んでみますと、もちろん中東における代表民主主義のことを語っているわけですけれども、中東における代表制の政府、これは独自の文化を反映するものとなり、米国と似たものにはならないだろうし、なるべきでもないということを言っているわけでございます。そのほか、これは長い時間が掛かる、これから何十年にわたって米国の外交政策の中心となるであろうということも言っているわけでして、短期間に米国流の民主主義を中東に押し付けようという発想では全くないということでございます。
委員もおっしゃられたように、民主主義をもたらすということは非常に大事なことで、みんなが合意をしていることで、それぞれの文化の違いを反映するような民主主義の在り方、これはアメリカが考えていることでもあり、ほかの国が考えていることでもあろうというふうに思います。
そこで、同盟関係、日米同盟関係ですけれども、日本はいろいろ議論の末、日米を、日米の関係を同盟関係として考えますと、日米同盟関係というのを自らの手で選択をしたわけです。これが本当にずっと引き続いていいことだろうかどうだろうかということは、これは私はそうあるべきだと思っておりますけれども、もちろん立場によっていろいろな議論はあるかと思います。
日米同盟関係というのは、単に安全保障の関係、狭義で言えばそうですけれども、ではないということでありまして、よく日米同盟関係という言葉を使いますけれども、これは日本が経済やあるいはその他の政治テロとの戦い、その他途上国への支援、そういったすべていろいろな分野において考え方を一にする、同じ価値観を持つ、自由とか民主主義とか市場経済とか、そういう国として世界のいろいろな課題にともに手を取り合って取り組んでいこうと、そういうことを日米同盟関係というふうに考えているわけでして、決して狭義の安全保障のことだけを考えているわけではない。したがって、世界の中の日米同盟とか、日米同盟関係とか、そういう言葉が使われるのはそういうゆえんであるわけです。
我が国として、やはりアメリカというのはスーパーパワーであります。そして、この考え方について多くの点で共有をしているという観点で、引き続き同盟関係を、同盟を持っていく、維持をしていくということは重要なことであると思います。それは必ずしも、常に追随をすると、そういう御批判がありますけれども、そういうことではないと私は考えておりまして、それはフランスのように表で対峙をして意見を違うというやり方もあるでしょうし、同盟関係にある我が国としては、アメリカと並んで、アメリカの傍らに立って、アメリカに対して意見の違いを伝えていって、アメリカに行動を、方針を変えてもらうという選択肢を、やり方を選択をしているということであると思います。
そういったその立場に立って考えると、やはり日米同盟、日米同盟関係というのは重要であって、今後引き続きあり続けるというふうに思いますけれども、もちろんこれは我が国が主体的に選択をした関係ですから、それは常に、それではないという意見があれば、そういう方々はまたそれを議論していただくということも日米同盟関係の意味合いを新たに更に理解をするということにつながって意味があることではないかというふうにも思います。
○高野博師君 時間がないので、若干具体的な問題についてお伺いしたいと思います。
先般、政府がイラクに調査団を派遣して、その報告を聞いたんでありますが、そのときに、そのときに自衛隊歓迎の横断幕があったということで報告を聞いたんですが、私はその場で、本当にそうかと、そんなに歓迎されているのかということを聞いたんですが、まあそうだと、こういうことだったんですが、実際にはあの横断幕は日本人のジャーナリストが自衛隊と書き加えたと、こういう話でありますが、この程度の現地調査で本当に大丈夫かなということなんであります。正確な情報がなければ、こういう命の危険に及ぶようなことも十分起こり得るわけで、そういう正確な情報がなければ正しい判断というのはできないわけであります。
したがって、この判断を誤れば事故にも事件にもつながりかねない。そういう意味では、本当にサマワというところは大丈夫だという情報も含めて若干私は懸念を持っております。
そこで、現地に自衛隊が派遣されたときに、これも先ほどどなたか質問されておりましたが、現地人とのコミュニケーションがうまくいくのかなと。その現地の言葉とか習慣とか文化と、そういうことがよく分かっている人が一緒に付いていくんでしょうか。そういうことでないと誤解が生じやすいんではないか。
で、アメリカの軍隊というのは、戦車に乗ってバグダッドの市内を四十キロぐらいで飛ばして歩いていると。ほとんど今、現地の人とのコミュニケーションがないということになると、日本も同じようなことをやったときに、これは現地から本当に受け入れられるのかなという私は心配をしておりますが、この辺について長官にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) 現地とのコミュニケーションの取り方をどうするかということについて、それはもう全くコミュニケーションを取らないでやるというのは安全確保のためにはある方法なのかもしれません。しかし、それじゃ一体自衛隊何しに来たんだということになってしまいます。そのときに、やはり言葉というものができなきゃいかぬだろう。
ただ、アラビア語というのは何か完全にというか、一通りしゃべれるようになるまで三年掛かるんだそうですね。非常に難しい言語なんだそうでありまして、それがきちんとしゃべれる人をどうやって帯同するか、その方の身分をどのような形にするかということをきちんと、派遣することが決まって派遣命令を出すまでには答えを出していかなきゃいけないことだと思っています。その旨、今指示を出しまして、どういう方法があるのか、どういう方にお願いするか、その方の身分をどうするかということについて詰めておるところでございます。
○高野博師君 いずれにしましても、現地の治安状況を見極めた上で慎重に派遣していただきたいということを申し上げて、終わりたいと思います。
○大田昌秀君 社民党の大田でございます。午前に引き続き質問させていただきます。
まず、外務省の職員と一緒に殺害されたイラク人運転手のことでございますが、この方は日本大使館の職員ですか。もし職員だとすると、御遺族に対してどのような補償措置を講ぜられるおつもりなんですか。簡潔にお答えください。
○政府参考人(堂道秀明君) この亡くなりました運転手は大使館の職員でございます。長年の勤務でございました。今度、亡くなりましたことに対しまして、大使館、政府としても十分な措置を取ろうというふうに今検討しているところであります。
○大田昌秀君 自衛隊は最近、特殊作戦群、いわゆる特殊部隊の編成をしていると報じられています。自衛隊のイラク派遣に当たって、この特殊部隊の派遣も念頭に入っておりますか。防衛庁のお考えをお聞かせください。
○国務大臣(石破茂君) 御指摘の特殊作戦群は、平成十五年度末に編成、新編される、そういうものでございます。まだそういう段階に至っておりません。したがいまして、十五年末以降、どのようにするか、十五年度ですね、その部隊が本当に編成をされたときにこの能力をどのように活用するかということも検討してまいることになります。
○大田昌秀君 サマワに派遣される自衛隊は放射能探知器を持参するとの報道がありますが、それは事実ですか。
○国務大臣(石破茂君) そういうことを確定をしておるわけではございません。
○大田昌秀君 自衛隊は二〇〇三年度予算で都市型戦闘訓練施設等の建設費を計上していますが、同施設の設置場所について教えてください。
○政府参考人(西川徹矢君) 現在、防衛庁の方で建設中のものが二件ございます。東富士演習場、そして饗庭野演習場においてそのような市街地の訓練施設を建設しております。そしてまた、現在計画中のものとして一件、霧島演習場において計画しているところでございます。
以上でございます。
○大田昌秀君 政府は、国際社会の多くがイラクの人道支援や治安の確保に尽力しているという趣旨のことを常々おっしゃっています。
現在、四十か国近くの国がイラクに人を出していると報じられていますが、それらの国のうち、軍隊を出している国と民間人を出している国の数をそれぞれ教えてください。
○政府参考人(堂道秀明君) 現在、手持ちの資料を持ち合わせておりませんので、直ちに調査の上、回答申し上げたいと思います。
○大田昌秀君 なお、軍隊を出している国の中で日本の平和憲法のような憲法を持っている国がありますか。また、ドイツ、フランス、ロシア、中国、メキシコ、カナダといった先進国が軍隊を出していないのはどういう理由からですか。外務大臣の御見解をお聞かせください。
○国務大臣(川口順子君) ドイツ、フランスあるいはロシアといった国は軍隊を出していないわけです。これはいろいろ、過去のいろいろないきさつ等、その国その国の事情があると思いますけれども、そういった国も支援という意味ではそれぞれやっているということでございます。例えばドイツですと、その警察、イラクの警察を支援するということでやっていますし、ほかの国もそういうことをやっているということです。類似のことをやっているということです。
フランスとの関係について言いますと、先般、橋本元総理がフランスに行かれてシラク大統領ともお話をいたしましたけれども、その際シラク大統領は、日仏間でイラク復興のための協力をするということについて真剣に用意を、検討する用意があるということをおっしゃっていらっしゃいまして、例えば水分野とかあるいは文化分野とか、そういうようなことでできるんじゃないかという趣旨のお話もあったようでございまして、軍隊は出していなくても協力を何らかの形でしていくということはやっているということでございます。
○大田昌秀君 一つお答えが、答弁が漏れておりますけれども、軍隊派遣している国で我が日本のように平和憲法を持っている国がありますか。
○政府参考人(堂道秀明君) 日本と同じような平和憲法を有している国はございません。
なお、先ほどの御質問に対しまして答弁させていただくことをお許しいただきたいと思いますが、イラクに部隊を派遣している国のうち、人道支援に限るとしている国でございますけれども……(「軍隊以外の組織」と呼ぶ者あり)あ、軍隊以外の組織でございますが、これは文民派遣を行った国又は行う予定である国でございますけれども、ドイツ、オーストラリア、クウェート、スウェーデン、オーストリア、韓国、チェコ、デンマーク及びイランでございます。なお、韓国は軍隊も派遣しております。
○大田昌秀君 小泉内閣は、アメリカに協力する根拠についてしばしば日米安保条約を引き合いに出されます。先ほども外務大臣からもお話がございましたけれども、つまり、安保条約があるから金だけでなくて人も出さないといけないと、それで今回もアメリカの求めに応じて自衛隊を派遣するというわけでございますが、どうも私には協力の仕方が間違っているのではないかと思われてなりません。
外務大臣は、日米安保条約の目的、先ほど狭義の軍事面だけじゃなくて経済面とかそういうこともあるとおっしゃったわけですが、日米安保条約の第一条にどういうことが書かれているんですか。
○国務大臣(川口順子君) 私は、日米安保条約があるから日本は自衛隊を人道復興支援のためにイラクに派遣することにしたということを申し上げたということは全くございません。そういうことではなくて、日本は正にイラクの人道復興支援をすることが我が国の国益であるということであります。
何をもって何が我が国のその国益なのかということについては、先ほど別な委員の方の御質問に対して比較的詳しく申し上げましたので繰り返しませんけれども、小泉総理がずっとおっしゃっていらっしゃるように、正に日米同盟と、それから国際協調と、そういった観点で我が国としては国連の決議にこたえてイラクに対して人道復興支援をするために自衛隊を出すということが考え方であるわけでございます。
それから、必要でしたら、そういうことでその日米安保条約というのは関係がない、私がなぜ派遣をするかということについて申し上げた答えには関係を直接にはしないことでございますけれども、もしも御必要ということであれば安保条約の一条を読み上げるということはできます。
○大田昌秀君 失礼ですが、安保条約の第一条を読み上げてください。
○国務大臣(川口順子君) 「締約国は、国際連合憲章に定めるところに従い、それぞれが関係することのある国際紛争を平和的手段によつて国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決し、並びにそれぞれの国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むことを約束する。 締約国は、他の平和愛好国と協同して、国際の平和及び安全を維持する国際連合の任務が一層効果的に遂行されるように国際連合を強化することに努力する。」。
以上です。
○大田昌秀君 ありがとうございました。
私が先ほどちょっと協力の仕方が違うんじゃないかと申し上げたのは、今も、今読んでいただいたその趣旨から申し上げているわけでございます。
なお、日米同盟という言葉は余りふさわしくないという趣旨のことを先ほど外務大臣おっしゃっておりましたけれども、日米同盟との関連で、外務大臣は戦前の日独伊の同盟をどのように判断なされますか。正しかったと判断されますか、それとも間違っていたと判断されますか。
○国務大臣(川口順子君) 外務大臣として、それに対して正しかった、間違ったということを申し上げるということはできないと考えております。歴史家が判断をするということだと思います。
○大田昌秀君 ちょっと、日本国の外交を預かる方が今のような御答弁されるというのはなかなか理解に苦しむ点でございますが、まあ結構でしょう。
最後に、小泉内閣は、自衛隊のイラク派遣について、国益のため、つまり国民の生命と財産を守るためとおっしゃっています。
去る太平洋戦争末期の沖縄戦では、県民の生命、財産を守ると称して日本全国から八万人近くの軍隊がやってきて戦いました。しかし、戦争の結果、沖縄県の総人口の約三分の一に相当する十五万人近くが犠牲となりました。日本全国でも、太平洋戦争で三百十万人の尊い人命が失われました。
国際機関の報道によりますと、イラクでは、五月一日から十一月初旬までの集計で、死者は七千八百四十人から九千六百六十八人と報じられています。一説では二万人という報道もございます。
政府は、イラク国民のために役立つようにするために自衛隊をイラクに派遣すると主張していますが、私などが懸念いたしますことは、そのイラクに自衛隊、武器を持った自衛隊が行くことによって、万が一その標的にされて戦闘が拡大するようなことになったら、結果的にそのイラクの一般の罪もない民衆が殺害されるということは避けられないと思うんですね。そうしますと、国、国民の平和と安全を守るため、生命、財産を守るためというその名目は、どれだけの犠牲を出せばそれが可能だとお考えですか。
○国務大臣(石破茂君) 国民の生命、財産を守るということが自衛隊の主な仕事でございます。
沖縄のようなことを決して繰り返さないように、そこにおいていかに悲惨なことが行われたかは委員御指摘のとおりで、これからも御教示をいただかなければいけないと思いますが、じゃ軍事組織だけで守れるのかというと、そうではないでしょう。どうやって民間人が戦闘に巻き込まれないようにするかということが、当時の沖縄で本土に向かう船が沈められたという不幸なことがあるにしても、きちんと行われたのではないというような記述もございます。これは、民間人が巻き込まれないようにということと、軍事組織が、仮に侵略があった場合にどうやって迅速に対応を行うかという二本立てで考えていかねばならないというのが有事法制の考え方であると私は思っております。
じゃ、イラクに自衛隊を派遣をするということが、すなわち日本国民の生命、財産を守るということとダイレクトにどうつながるのかという御質問であるとするならば、それは、日米同盟を更に強化をするということが国民の生命、財産を守るということにつながるという、もう一つの理屈を挟まなければいけないのだと思っています。
○委員長(山本一太君) 時間も来ています。答弁は手短にお願いします。
○国務大臣(石破茂君) もう一つは、イラクにおいて活動する自衛隊がテロの標的となるではないかという御指摘です。
それは、しかし、ソフトターゲットであればよりねらわれるということもございます。自衛隊が活動していること、先ほど月原委員の御質問にお答えして、浄水というのはこのようなことですよというお話をいたしました。日本がやる活動がどれだけその国の皆さん方に喜んでいただけるかということをきちんと御説明をする。しかし同時に、ソフトターゲット化しない、どうやって自分たちを守るかということはきちんと行う、そのことによって、イラクの国民の皆様方の人道に資することを自衛隊はやりたい。それがソフトターゲットにならないように、そしてテロがテロを生まないよう、ごめんなさい、自衛隊の活動がテロリストの標的にならないようにしていくということも併せてきちんと考えてまいる所存でございます。
○大田昌秀君 もう最後で終わりますけれども、私は武装した自衛隊が行ったら、我々が懸念していることが起こり得るという考え方を依然として持っておりますし、そうなれば罪もない多くの市民が殺害されてしまうということを考えると、慎重にも慎重を期していただきたいと思います。
終わります。ありがとうございました。
○委員長(山本一太君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
午後五時五分散会
2003/12/16 |