2004年2月5日 |
159 参議院イラク支援特別委員会
平成十六年二月五日(木曜日)
○委員長(清水達雄君) イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法第六条第一項の規定に基づき、自衛隊の部隊等による人道復興支援活動及び安全確保支援活動の各活動の実施に関し承認を求めるの件を議題といたします。
本件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言を願います。
○舛添要一君 自民党を代表しまして質問いたします舛添要一です。
先週、大変残念なことに、衆議院での審議というのがちょっと問題があったと思います。これは与野党含めて反省すべき点が多々あると思いますけれども、政府におかれましても、私は猛省していただかないといけない点がたくさんあると思います。現場で自衛官が二十四時間頑張っておられる。国内にいる我々が、特に政府が緊張感の欠いたような対応をなさるということは、これは国民に対して申し訳の利かないことでございますので、総理以下、是非政府しっかりやっていただきたいと、まず申し上げたいと思います。
それで、その先週の件を見ますと、まず第一に文書の管理がどういうふうになっているのかと。石破防衛庁長官、これ恐らく政府で今調査中だと総理、思いますけれども、非常に重要なことを決めるのに省庁間でファクスでやり取りやるようなこんなことは非常識です。一堂に会してその文書を練る。私は例えば、報告書の原案を事前に皆さんで議論する、それはいいですよ。我々も六月に現地調査しまして、いろんな現地調査の報告があるんだから、原案練るようなことは幾らでもおやりください、何週間前でも構わない。ただ、それをやるときにファクスでずぼらなやり取りして、そんなことでどうするんですか。そして我々は、一堂に会してちゃんと議論して、大事な紙なら細断機に掛けて破棄する、こういう基本的な危機管理ができてないというのは非常に問題だと思いますけれども、その点、防衛庁長官、どういうようにお考えですか。
○国務大臣(石破茂君) 作業中にいろいろな意見の交換を行うということで、これはもう電話では難しいことがございます。したがいまして、ファクスというものを使っておったということであります。
しかしながら、委員御指摘のように、こういうことにはより厳正を期していかねばならないであろうということがございます。防衛庁と外務省、距離的にもかなり離れておりますが、そういうことは言い訳にも何にもなりませんので、文書の管理ということを私、着任以来、相当厳重にしておるつもりでございますが、今回のことを教訓、反省といたしまして、今の委員の御指摘も踏まえ、より厳正を期してまいりたいと、このことについて私、ここでお約束を申し上げなければならぬと思っております。
○舛添要一君 是非言葉だけじゃなくて、しっかり体制を立て直していただきたいと思います。
それから、外務大臣にお伺いしますけれども、外務省としてもこの件は調査中だと思いますが、仮に外務省の職員が特定の意図を持って情報を部外に漏えいすると、そういうことがあるとすれば、これ一般論として申し上げているんですけれども、仮にそういうことがあれば、そういうことが結果で出るならば、これは国家公務員の守秘義務違反に当たると思いますし、厳正なる処分の対象になると私は考えますけれども、大臣、どのような御所見でしょうか。
○国務大臣(川口順子君) 一般論として申し上げて、国家公務員が国家公務員法に違反することをすれば、これは厳正に処分をしなければいけないというふうに考えております。
それから、この文書、これにつきましては、私どもとしては、作業中の文書を廃棄をするということにいたしておりますので、確認ができないということでございます。
○舛添要一君 我々も、自民党も一生懸命チームを組んで外務省をどう改革するか、何とか改革の緒に就いたと思っていますやさきにこういう不祥事が、本当のことであれば大変残念に思いますので、引き続き、外務大臣以下省員、気を引き締めて事に当たっていただきたいと要望しておきます。
官房長官、それで、外務省と防衛庁という、この一番国家の基本を預かる省庁でこういうずさんなことがあったと。それから、情報伝達が、サマワの市評議会の問題がどれだけ情報があったかというのはいろんな説がありますけれども、これが仮に週末だから上に上がらないと、こういうことであっちゃいけないし、私、何度も申しますように、外務省、防衛庁、国家の基本にかかわる省庁でこういうずさんなことがあっては駄目だと思いますので、内閣としてはどういう体制をお立て直しになるつもりなのか。実際何かもうやられましたか。
○国務大臣(福田康夫君) 通常の情報管理、これは内閣としてはそれなりの体制を取っております。危機管理監がおり、そしてその下に情報官という者がおりまして、これは二十四時間体制でもって対応できるようになっております。
今回のことは、イラクのオペレーションの問題というようなことで、これは防衛庁と外務省がその情報管理に当たらなければいけないということでございます。
この防衛庁、外務省が連携を良くするということは当然でございますけれども、それを更に機能強化するというために、実は先週来、官邸でもって両省の連絡が即座にできるようにという体制を作ったところでございまして、今後、情報連絡については密に、そして迅速にというようなことができるような、そういうことを鋭意心掛けていきたいと思います。
なお、情報管理につきましては、防衛庁も外務省もそれぞれ情報が命というところでございます。ですから、それはそれなりの情報管理というものをしっかりやっていかなければいけないところだと思いますので、この点につきましては、政府全体として情報管理体制どうあるべきかということも含めて今後の課題としてまいりたいというふうに思っております。
○舛添要一君 この件について総理からも一言お願いしたいんですが、先ほど私申し上げましたように、遠く離れたイラクで自衛官が一生懸命頑張っておられる、国民がそれを一生懸命支えている。そのときに政府が緊張感を欠けるというような印象を与えると、これは国民の支持も得られなくなりますので、総理の口からも、しっかりと今後こういうことのないように、その決意をお述べいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 情報管理、情報公開、いずれも大事なことでありまして、今までの対応について反省すべき点もあったと思います。
今御指摘の点を踏まえまして、今後、イラクの情勢あるいは自衛隊の活動等、多くの国民も知りたがっている情報たくさんあると思います。また、重大な関心を寄せていると思いますので、どのように正確に情報を国民に公開するかと同時に、いろんな相手国から情報を収集しなきゃなりません。その際には、やっぱり両国の信頼関係、何を機密にするか、何を公開すべきか、両面大事でございますので、情報管理により一層緊張感を持って、今までの御指摘の点、反省を踏まえて、しっかりした対応をしていきたいと思います。
○舛添要一君 今、総理のお言葉にもありましたように、是非しっかりとした対応をお願いしたいと思いますが。
そこでもう一つ、次の問題、報道機関との関係、これはいろんな問題点がございます。今総理おっしゃったように、私は全部公開すべきじゃなくて、見ていて、むしろ秘匿すべきところまで公開しているんじゃないかと。部隊の装備、部隊が持っていく武器弾薬その他の種類、余りこれ言いますとテロリストに利用されちゃう。だから、そこはちゃんとルールを作ってやる必要があると思いますが。
それから、石破防衛庁長官、まあ自衛隊、過去十年、海外での活動もおやりになっていますけれども、まだまだ海外での活動について、特に広報体制、広報、人に知らせる、マスコミとの対応、まだ十分お慣れになっていないような気がします。これは、例えば米軍、湾岸戦争以来どういう広報体制、ブリーフをやってきたか、見ればもう歴然とした違いがある。ただ、これしっかりやっておかないと問題ですから、広報体制、これどういうルール作りでどういうふうに進んでいるのか、御説明願いたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) まず、今回のイラクの件に限って申し上げますと、これ、報道機関とよく双方了解の上で、委員御指摘のように、これは出してよい、これは出してはいけない、それはもうメルクマールは何かといえば、一に掛かって隊員の安全です。何を、何をはいいんですが、どれだけ持って行くかなぞということは、これは出せない。あるいは、昨日も御議論がありましたが、被害がこれだけなぞということを出すことは、引き算をすれば今残っている勢力これだけということになっちゃうわけですから、それもできない。安全に係ること以外は積極的に広報していかなきゃいかぬと思っています。
それから、後段の御指摘の部分でございますが、自衛隊は海外に出るようになって十年でございます。もう米軍や英軍等々に比べれば歴史も浅い。したがって、外へ向けて積極的に広報しようというマインドにまだまだ欠けているという部分はあるんだろうと思います。例えば東ティモールなんかでも、本当に自衛隊は大統領を始めみんなに感謝されている。だけれども、そのことをどうやってうまく国民の皆様方に伝えていって、現地で苦労している自衛官がこんなに感謝されているんだということはちゃんと報道していかねばいかぬことだと思っております。
報道の在り方について、もう一度、適切な報道、包み隠すということはなく、しかし安全に配慮しつつ現地の評価はちゃんと伝える、納税者の方々に、そして自衛隊を支えてくださる方々に伝える、私もしっかりと取り組んでまいります。
○舛添要一君 防衛庁、官房長おられますかね。
今長官言われたことを具体的に省としておやりになっていますか。やっていればそのことを簡単に説明してください。
○政府参考人(北原巖男君) 御答弁申し上げます。
ただいま石破防衛庁長官が御答弁申し上げたとおりでございまして、そうした考えの下に、私ども、適切な広報体制の充実強化に努めております。そして、御承知のように、先遣隊が参りましたときに一部混乱等がございました。そうしたことがないようにしていこうということで、現在、具体的には、防衛庁におきまして、報道機関に対します適切な情報提供と、それから便宜供与の内容につきまして一つのルール作り、これを今報道機関側と行っているところでありまして、これを早急にもう少し加速してやって、進めていきたいと、そのように考えております。
いずれにいたしましても、恐縮でございますが、大臣が御答弁申し上げましたように、現地での適切な報道対応と申しますのは、現地部隊の安全、それから報道する側の皆さんの安全、さらには部隊の任務の的確な遂行を確保する上で極めて重要であり、ひいては国民の皆さんの自衛隊の活動に対します御理解、御支援を賜る上で極めて重要と考えておりますので、十分先生の御指摘を踏まえまして、遺漏なきを期してまいりたいと思っております。
○舛添要一君 是非そのルール作りをやっていただきたいのは、私もずっとテレビにおりましたから、やっぱりよその局よりも早くスクープを出したい、よその局と一味違ったことをやりたい、自衛隊こんなに不祥事やっているじゃないか、こんな危ないところがサマワだったじゃないかってやりたがるんですね。その気持ちはよく分かるんです。だから、報道機関にもそういうことはないようにお願いしたいと思いますけれども、これは政府の方もしっかり頑張っていただきたいと思います。
さてそこで、今広報の話をしましたけれども、どうしても自衛隊派遣になると、施設部隊がどれだけ行って橋を造る、水を作る、こういうことの話とそれを守る警備の隊員が幾らと、この話しかしないんですけれども、これも重要ですが、広報体制がどうなっているのか、それがなければ、開かれた民主主義ですから、いい仕事をしても伝わらない。だから、何度も言いますが、広報しっかりやってください。
それから、もう一つ重要なのは情報の収集ということです。先週のサマワ市云々の話も情報収集。これ外務省にお願いしたいんですけれども、現地に行く自衛隊員が全員アラビア語できるわけじゃありません。これはやっぱり外務省の力を十分かりて情報収集をやっていただきたい。
そこで、私は総理にも申し上げましたけれども、昨年調査団で参りましたときに、私はできればバグダッドがいいよということを申し上げたのは、やっぱりバグダッドが一番CPAを含めて情報が集まる。安全でのんびりはしているんですけれども、集まる。そういうことを言うと、私は九州だから九州の例を挙げますと、九州にいて永田町や霞が関の情報はやっぱり取りにくいです。いいところですけれども、九州は。やっぱり外国特派員でも東京に来ますよ。それと同じで、もちろん人道復興支援活動は主たる内容ですけれども、今後のことを考える、それから自衛隊員の安全を考える、こういうことのためにも、バグダッドのCPAなんか、こういうところからのちゃんとした情報収集体制も既にやっていると思いますけれども、やっていただきたいので、その点何か外務大臣なり防衛庁長官なりコメントありましたらお願いします。
○国務大臣(川口順子君) おっしゃるように、情報というのは命でございまして、情報収集には万全を期さなければいけないと思っております。
バグダッドにおきまして、今大使館がございまして、そこにいる人間はCPAあるいはイラクの統治評議会との関係で情報収集に努力を日夜いたしております。それから、サマーワにおきましても外務省の人間が数名おりまして、自衛隊とともに活動を、情報収集を行っております。
なかなか、文民といいますか、外交官でございまして、安全の確保について注意をしながら活動しなければいけないという意味で、ほかのそういう問題がない国における活動と異なって若干制約があるということはどうしても否めないわけでございますけれども、その範囲内で最大限の情報収集の努力をいたしております。
○舛添要一君 今、私がその問題を出しましたのは、もう二か月前になりますけれども、奥、井ノ上、二人の大変優秀な外交官、非業の死を遂げられた。もう少し情報があれば、私の感覚で言えばですよ、たった二人で一台の車でティクリートに行くなんていうのはもうほとんど自殺行為だというような気がするんですね。私はヨルダンからバグダッド、バグダッドからクウェートまで走りましたけれども、非常にそれは命懸けでございました。だから、もうちょっとテロリスト情報でもつかんでいればあのことも避けられたのではないかなということが頭にあるものですから、そういうことを申し上げましたけれども。
さて、このお二人の大変悲しい事件についてですけれども、巷間いろんな説が流れている。米軍が誤射したんじゃないか、政府が意図的にそんなことを隠しているんじゃないか。その理由の一つは、発表までに二か月間掛かって、そんなに御遺体の解剖をして、そこに残っている鉄砲の弾を調べるのに時間が掛かるんだろうか。時間が掛かり過ぎていると、これどうなのか。
それから、いろんな陰謀説がありますから、実際に御遺体を司法解剖して、どの角度から撃ったとか、そういうことについて警察はついせんだって簡単な発表をいたしました。そして、これは新聞発表によるとAK47、カラシニコフの弾ではないかという推測がなされています。それならばイラクに一杯出回っている銃ですからテロリストということも言えるんですけれども、巷間出ているいろんな陰謀説やいろんな政府の意図的な隠ぺい説、こういうものを打ち消すだけの内容があるのか、もう少しこの国会の場で警察としてちゃんと御答弁願いたいと、委員長、思います。お願いします。
○政府参考人(瀬川勝久君) お答えいたします。
二人の外交官のまず司法解剖でございますけれども、これは既に概略御報告をさせていただいておりますけれども、奥大使は左側頭部の銃創による頭蓋内損傷、井ノ上書記官は左上腕部の銃創による失血死が死因であると、こういうことでございます。
お尋ねの中で、その撃たれた角度というような御指摘もございましたけれども、なおその詳細な司法解剖の内容、結果につきましては現在も鑑定中でございます。
それから、先般発表いたしましたのは、この司法解剖の結果としてお二人の御遺体から多数の金属片が摘出をされたわけでございます。これにつきまして、いろいろ鑑定を実施してまいりました。これは実は時間が非常に掛かったという御指摘もございますが、この資料といいますのは、お二人の御遺体から合計二十点ほどの金属片が出ているわけでございますが、中に極めて微小なものがございます。それから、相当変形、損傷しておると。一見して銃弾の一部かどうかすら分からないぐらい細かくなってしまっている、破損、変形もしている、こういうような状況でございまして、大変、極めて困難な鑑定をせざるを得ないということで時間が掛かったわけでございます。
申し上げましたお二人の御遺体からの二十点と合わせまして、その後、お二人が使っていました車両の中からも銃弾らしき金属片が発見をされたということでございまして、合計二十一点につきまして警視庁の科学捜査研究所で物理的な鑑定を取りあえず行ったわけでございます。
その結果を先日発表させていただいたわけでございますが、概略申し上げますと、その二十一点のうち、銃弾の一部と認められるものは六点ある、そのうちの五点は右回り四条の腔線を有する。といいますのは、口径七・六二ミリ程度の銃から発射されたものと推定される。この右回り四条の腔線といいますのは、御案内かとも思いますが、銃につきましては、命中精度を上げるためにいわゆるライフリングという溝を銃身の中に切るわけでございまして、弾丸にその跡が残るわけでございます。極めて先ほど申し上げました微小な、弾丸のごく一部と思われるものに一部その腔線が残っているというものを分析をした結果でございまして、このライフリングは右回りで四つの溝がある、そういう銃から発射されたもので、その口径は七・六ミリ程度であると、これは、要するに完全な形での弾丸ではございませんので、と推定されると、こういう鑑定結果でございます。
それから、さらにこのうちの三点につきましては同一の銃から発射された可能性が考えられる、このような鑑定結果ということでございます。
どのような銃種かという点のお尋ねもあったかと思いますけれども、これにつきましては、この鑑定で申し上げられますのは、以上御報告させていただいたとおりでございまして、口径が七・六二ミリで右回り四条の腔線を有する銃というのは、実は世界じゅうに多種多様なものがあるというふうに承知をしておりまして、この鑑定からは直ちに銃の種類が特定されたわけではないということでございます。
私どもといたしましては、与えられましたといいますか、入手できました捜査資料に基づきまして、純粋に捜査の観点から鋭意最大限の努力をした結果ということで発表させたものというふうに御理解いただきたいと思います。
○舛添要一君 被弾した被害車両、これをもっと詳しく調べればもっと分かる可能性があると思いますが、外務大臣にお伺いすればいいんでしょうか、これは外交ルートを通じて近々日本に搬送するというような御予定はございますか。
○国務大臣(川口順子君) この車両につきましては、ただいま現在はイラクにある日本の大使館の管理下に置かれております。
今後の取扱いでございますけれども、日本の警察当局が必要な捜査を実施できるように、警察と御相談の上、今、日本に搬送するということで所要の準備を行っているところでございます。
○舛添要一君 総理、是非政府を挙げて真相解明ということで努力していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
さて、次に防衛庁長官にお伺いしますけれども、現実に自衛隊員、本隊が出発なさった。やっぱり御家族それから国民みんな、本当に無事に任務を遂行して帰っていただきたいと思いますけれども、この武器使用基準とかROEとかがしっかり決まってなくて、ちゃんと事前に防衛すればいいものを、それがあいまいなために命を落とすようなことが絶対あってはいけないと思いますが、その点のことはちゃんと抜かりなくやっておられますか。これはテレビを通じて隊員の御家族もごらんだと思いますので、はっきりとおっしゃっていただきたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) これは、万全というものは世の中にはないかもしれないが、考えられる限り最大のことは行いました。そして、私、法案のときも申し上げましたが、実際に赴く自衛官がこれでやれるという自信を持たない限り私は派遣命令を出さないということを申し上げました。これは、実際に行くのは彼らなんです。そういう場面に遭遇するかもしれないのは自衛官たちであります。それは、権限も、そしてまた装備も、訓練の練度も、これでいけるというふうに、本当に自信あるというふうに言わない限り派遣命令を出さないということを申し上げました。赴く指揮官の中には、私もずっと長い間いろんな議論をし、勉強してきた仲間たちがおります。
今、ROEの御指摘がございました。このROEにつきましてもきちんと整備をいたしました。
これははっきり申し上げておきますが、自分を守るという権限において我々は他国と遜色があるものではございません。国際標準に比べて日本の武器使用権限は低いのではないかという御指摘をいただくことがありますが、自分を守るという権限において他国に遜色があるものではございません。そしてまた、持ってまいります装備品も、我々は治安維持に当たるわけではございません、人道復興支援がメーンでございますが、そのような任務に当たるに十分な、そしてまたそういう場合に想定されるいろんな危害に対して十分な装備を持っていっております。そして、訓練におきましても、本当にもう何度も何度も訓練を繰り返して、本当に迷わずにきちんとした状況判断ができるか、そして武器を使用しなければならない場合は遅滞なく逡巡なく撃てるかということもすべて練度を上げております。
実際に赴く自衛官たちが、権限においても装備においても練度においても十分であるということは申し上げておきます。
○舛添要一君 今自信を持って長官おっしゃいましたのでそのように信じたいと思いますが、是非この隊員の安全ということ、それで、もし状況に応じてROEを変えるような必要があれば、それはちゅうちょなくやっていただきたいと。これは公表できない内容ですから結構ですけれども、お願いいたします。
次に、逆に、オランダの兵隊さんの場合に起こりましたけれども、過ってイラク市民を撃つ、これは自爆テロと思って撃ったりすることがあり得ると思います。そういう場合に、どこでどういうふうにその誤射をした隊員が裁かれ、またどういう罪になるのか。これはやっぱり隊員の御家族にしても、一生懸命イラク人のためにやっていて、たまたま過失で、それはだれがどう見てもこれは自爆テロで来ていると思って撃ったり、流れ弾が当たることだってあるわけですから、こういうことについてもちゃんと自衛隊員を守っていかないとだれも行く人いなくなりますよ。そこは政府としてもちゃんとやっているんでしょうか。
○国務大臣(石破茂君) これは委員とも随分議論をさせていただいたことでございますが、過失は罰しません。過失というものを罰することはいたしません。これは国外犯の規定でございますけれども、刑法百九十九条の殺人罪、また殺人未遂罪、刑法二百三条、刑法二百四条の傷害罪、あるいは刑法二百五条の傷害致死罪に当たる場合には我が国の刑法が適用されることになります。
なりますが、今委員、過ってとおっしゃいました。過失で行った場合には、これは国外犯の規定に掛かりません。したがいまして、これは今オランダの例を御指摘になりました。私、先般オランダに参りましたときにカンプ大臣ともこのことは随分と議論もいたしましたけれども、過失で撃った場合には、これは罰しないということでございます。現地において本当に故意に現地の方々を殺傷するというようなことは、これは到底考えられないことでございまして、そのような場合に罰せられることはないということでございます。過失に基づくものは国外犯の規定には掛かりません。
○舛添要一君 こういう議論をしていきますと、総理ね、やっぱり自衛隊が国外で国際協力業務を行うということが大きな仕事になってきた。私は、やっぱり自衛隊法の改正、あれ雑則にしか入っていませんから、そういうことも念頭に置かないといけないし、これはもう総理も集団的自衛権、これを考えるということをおっしゃった。
私は憲法改正議論の中で今のような問題なぜ申し上げたかというと、我が日本国憲法は特別法廷を認めていないんですね。しかし、軍事法廷というものの必要性も議論しないといけないんで、そういうことを最初からアプリオリに議論の外に外すんではなくて、やっぱりいろんな問題がこの自衛隊派遣に伴って出てきたものは我々国会議員としても議論したいと思いますので、是非オープンな気持ちで政府としても、総理として対応していただきたいと思いますが、一言何かございますか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 現行憲法の制定時の国際情勢と当時の日本国民の意識と、現在における国際情勢と日本の国力、また日本の意識、大きく変わっていると思います。そういう点から、自衛隊の国際貢献の在り方については憲法の問題と関連する点も多々あります。そういう点もよく含めて、今後の憲法改正議論の中では十分議論していただきたいと思っております。
○舛添要一君 次に、サマワ市の状況についていろいろお伺いをしたいと思いますけれども、まず、昨日入りましたニュースで、防衛庁長官、宿営予定地で地雷が発見されたということですが、これまた国民見ていると、ああそんな物騒なところかというイメージをお持ちになるかもしれませんが、どういう地雷であって、どういうことであるか、これは運用局長、お答えできますか。
○政府参考人(西川徹矢君) お答えします。
二月二日の十二時四十分ごろ、宿営地の予定地におきまして、引込み道路の設置作業所の作業現場におきまして発見されました地雷らしきものでございますが、これは対人地雷と言われるもので、対、人に対するやつでございます、これを一個発見いたしました。約十センチ、直径十センチぐらいのものでございますが、ただ現物は非常に相当に古いものでございまして、本件が直ちに今回、今後の隊員の安全確保に重大な影響を与えるということまでは見られなかった、考えられないと、こういうことでございます。
なお、現物につきましては、既にオランダ軍によりまして、処理を依頼し、そして爆破処理を終了していると、このように了解しております。
○舛添要一君 今後いろんな、しょっちゅう戦争やってきたところですから、地雷や何か出てくると思いますけれども、そのたびに遅滞なくこれは、国民に公表すべきことはやっていただきたいと総理にお願いしておきます。
それから、外務大臣、極めて簡潔で構いませんので、一番新しいサマワ市の状況、部族の状況、市評議会の状況、それから、私は、大変有り難いことに、宗教指導者が自衛隊は我々の手で守るんだと、こういうファトワを出していただいたということなので、これは特にシーアにおいては非常に大きな意味を持つと思いますから、簡潔に、外務省、どういう状況であるか、今の市の状況について御説明ください。
○政府参考人(堂道秀明君) お答え申し上げます。
サマワ市の状況でございますけれども、全体としては安定していると考えております。市の評議会が辞職をした、その後メンバーが何人かまだ働いてもいいという話については承知しておりますけれども、引き続き業務は続けられておると承知しております。
宗教指導者、部族長との会談についても、自衛隊の皆さんを始め接触に努めており、サマワ市のニーズ等についても把握のための準備が進められていると承知しております。
○舛添要一君 テレビの映像を通じて先遣隊の皆さんが大変御苦労なさっているのを見ています。私、実はヨーロッパにおるときにイスラム研究をやっていたもので、非常にこれうまくいくんじゃないか、大変すばらしいことをやっているなと。
例えば、イスラムの義務の一つにザカート、施しを与えるということをやるわけですね。この前のお祭りのときに二十頭ばかり羊をほふって上げた。そして、これは孤児の皆さん方に上げた。マホメットというのは孤児だったんですね。したがって、自分と同じ境遇にある者を大切にしなさいとコーランに書いてある。
だから、無反動砲も装甲車もいいんだけれども、それは必要なんだけれども、それよりはるかに大きな意味を持つのが現地の人たちとの交流であり、文化の理解なんですね。ですから、本隊着かれて、たどたどしいながらアラビア語でごあいさつなさった、これも大変結構だと思いますし、そういうザカート、施しをちゃんとやったということは大変すばらしいと思います。ですから、みんなが守って、住民の海が守ってくれれば鉄砲一つたりと要らないんですね。
だから、大変すばらしい教育訓練をおやりになったと思って、私は誇りに思っていますが、今後ともこれは是非、長官、教養、文化、やっていただきたいと思います。外務省も同じですが。
総理、一度ならずイスラム文化について話しましたけれども、私の同僚のイスラム、これスイス人ですけれども、学者が、門前の小僧で私もいろいろ教わったんですけれども、こういう文書を書いていまして、慈善行為の位置付けがキリスト教とイスラム教とでは異なることに注意を促しておりまして、飢えたムスリムは十分に食べる物のあるムスリムから、これはイスラム教徒、から食糧を奪う権利を有する、そして、もしその過程で貧しい者が殺されれば殉教者となり、貧者、貧しい者が目的を達するために富んだ者を殺しても正当防衛となると、こういう文化なんですね。
ですから、そういう中で我が国がどういう貢献をやるかということなんですが、私が昨年現地調査に行きましたときに、何をイラク人が求めているか、第一は治安の確保です。殺されたら終わりですから。第二が仕事なんです。第三がインフラ整備なんです。それは、電気なくたって水がなくたって、ランプで生活して仕事あってお金が入ればできますから。同時に全部やるのがいいですよ。だけれども、我々は治安の確保って主たる目的じゃないんで、やっぱり仕事に、あれだけ仕事、仕事と言うのはそのことが意味があるんです。
ただ、ここから先は外務省にも防衛庁にもお願いしておきたいんですけれども、どういう仕事なんですかと、あの地のイスラム教徒はどういう仕事が貴くてどういう仕事がいいと思っているんですかと、こういうことを歩きながらでいいからちゃんと研究してやらないと大失敗を来すことになると思います。外務大臣、何か御所見がございますか。
○国務大臣(川口順子君) サマーワの町では失業率が六割とか七割とか、いずれにしても非常に高い状況であって、日本が雇用の面でいろいろな支援をしてくれるということに大変な期待があると思っています。それで、既に一つ、二つですけれども、国連の人間居住計画という国際機関ですが、ここを通ずる援助を決定をいたしました。これは貧しい人たちの家ですとか教育、地域センターですとか、そういうところの建設ということでございますけれども、これはイラク化をしてやっておりまして、イラク人がマネージをし、イラク人が募集をし、イラク人が造るということでございます。これによって恐らく五、六百人ぐらいの、一日当たりですが、雇用が可能になるのではないかと思っています。
いずれにしても、この雇用の視点ということは非常に重要だと思っておりますので、今委員がおっしゃられたどのような労働を望んでいるのかということも考えながらきちんと対応をしたいと考えております。
○舛添要一君 今は退避勧告が出ているような状況ですけれども、是非、役所だけじゃなくて、NPOの諸君も大変頑張っておりますので、それとの連携、そして総理、是非NPOに対しても予算措置をしっかりしていただいて、日本の若者が本当に現場で頑張って、今一時的に退避していますけれども、少し安定したら是非彼らを入れてやっていくことを政府としてもサポートしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今、一般のNPOにしても民間人にしても、安全の面を考えると行くことができない状況だ、そこで自衛隊の諸君に最初に行っていただくと。自衛隊の人的貢献というのは、日本のイラクにおける復興支援、人道支援の一部であります。今後、多くの意欲のある民間人におきましても、自分の持てる力をイラク復興支援のために何か役立てたいという方々であれば、是非ともその門戸を開放して、いろんな場で活躍できる対応を政府としてもしていきたいと考えております。
○舛添要一君 悲観的な側面だけじゃなくて、明るい側面もやはりこのイラク復興については見ていかないといけないと思いますけれども、外務大臣、私は、もう調査団の派遣により国連の関与がほぼ決まったと思っています。これの力をかりながら、何とかスケジュールどおりイラク人による政府を六月ぐらいに立ち上げたいと。
それから、フランスとかドイツ、ロシア、直接このCPAに参加して協力していなくても、戦後復興には協力するということで、これは今、岡本補佐官が行かれているんだと思いますけれども、国連の関与、それからフランス、ドイツ、ロシアとの我が国の協力関係、こういうことについて説明していただきたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) 国連の関与ということにつきましては、我が国はずっと国連の関与が大事であるということを言ってきたわけでございます。それで今回、選挙等を通じて六月の終わりにイラク人の手によるイラク人のための政府、これをつくる過程が合意を昨年の秋にされましたけれども、それをやる過程で、例えば選挙方式等について国連が調査団を出すということを決定をしているわけです。こういった形で国連の関与が高まっていくということは、我が国としても歓迎をしております。
それから、同時にフランス、ドイツ等についてイラクの復興についての支援を、既に人道復興支援についてはフランスもドイツもやっておりますけれども、その上で我が国としてももっとそういった国の支援が必要だと思っておりますので、これはおっしゃった岡本、総理の特別補佐官が、岡本補佐官がドイツ、フランスに行きまして、日本と一緒にイラクの支援をするためにやりましょうということで、これは橋本元総理が特使でいらしたときにきっかけを作っていただいたわけですけれども、その中身を詰めに行っております。
こういった努力を引き続き重ねて、やはりイラクの復興には国際社会が全体となって関与をして進めていくということが大事ですので、そのために日本としてもそういう方向の努力が重ねられるように貢献をしていきたいと思っております。
○舛添要一君 最後に、総理にお伺いいたしますけれども、九・一一、あのおぞましいテロリズムがありました。私の国際情勢認識は、言わば、言葉がいいかどうかは別として、ある意味で我々人類は第三次世界大戦に突入したと。その何との戦いか、テロとの戦いだと。このテロとの戦いに対して絶対に中立ということはあり得ない。テロリストの方に付くんですか、戦う方に付くんですか。我々の選択は戦う方に付くしかない。そのために我々の持っている資源、人的資源、お金、こういうものを使って国際社会の一員としてしかるべき貢献を果たす、こういうことだろうと思いますので、私は、そういう基本をしっかりすれば政府として今の方針を貫いていくことは十分可能だと思います。
テロとの戦い、中立はあり得ない、このことについて総理の御決意をお願いしまして、私の質問を終わります。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) テロに屈してはならない、これはもう国際社会、一致した私は見解だと思っています。そのテロとの戦いにおきましては、その国々によってどういう対応があるか違ってくると思いますが、日本としては、こういう点につきまして日本独自でできること、国際社会の中で協力してできること、全体を考えながら、長い、きつい、厳しい戦いでありますが、テロに対しては敢然と立ち向かっていくという国際協調、そして多くの国際社会の国民がテロの恐怖におびえることがないように、日本として国際社会の責任を果たしていきたいと思います。
○舛添要一君 終わります。どうもありがとうございました。
○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。
私は、まず、昨日、本会議でこの承認案件の質問をいたしまして、総理、関係閣僚に答弁をいただきました。
今度の参議院でのこの承認案件を質疑に入る際に、冒頭、私は衆議院での審議経過についてお尋ねさしていただきまして、私たち、この所属する委員会の委員長、与野党そろって、衆議院はいろんな事情はあったにせよ、きちっとした参議院らしい審議をしていこうと、それから政府も誠意のある答弁をしてほしいと、こういうことでスタートしたはずだと思うんですね。
ところが、率直に申し上げまして、総理始め関係大臣、皆さん方は誠意ある答弁したよと言うかも分からぬが、私たちは、昨日の答弁というのは何だったのだろうかということを、せっかくそういう約束をしてスタートしたにもかかわらず、率直に言って、いただけない答弁だったということを言わざるを得ません。
そこで、今日、これから幾つかお尋ねさしていただきますけれども、この審議経過について総理は、与野党協議の上、円滑になされることが望ましいというふうに答弁されております。裏返して言えば、円滑でなかったから円滑にされることが望ましいという、こういう表現だということを、が推測できますけれども、私が尋ねたいのは、与党単独採決までに至る委員会審議がとっても円滑に行われていませんよということについて、きちんとこれは総理としての私は考え方、答弁というのを求めたわけで、このことについて改めてここでお尋ねさしていただきたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、委員会の指示に従って出席もし、質問者の質問に応じて誠実に答弁しているつもりであります。
委員会におきましても、与野党お話し合いの上、円滑に審議されるよう期待しております。
○齋藤勁君 総理、この衆議院全体の審議のありようについて、あなた自身がどういう質問されて答弁したかということではなくて、衆議院では、この特別委員会、財政金融委員会、予算委員会、本会議も野党は欠席だったんですよ。それは与党は与党でのお立場はあるかも分かりません。しかし、その後、正常化に向けて、特別委員会の委員長は野党に対して陳謝されたんですよ、陳謝。そういう全体なこの院の在り方について、総理として見解を私は求めたんですから、総理自身が、私はこういうふうに誠意を持って答えてきましたということを聞いているんではないんで、改めて答弁を求めたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 委員会の運営につきましては、委員長を始め与野党の理事の皆さん、よく協議されまして円滑に審議していただきたいと思っております。
○齋藤勁君 持ち時間、これで全部費やせません。
要は、そういったことの一つ一つが、私は総理と度々質疑させていただきまして、もちろん真剣にお答えいただくということについて、議事録も精査をしてお答えいただいているなというのはありますが、総じて、時として衆議院と参議院、衆議院の方は一生懸命答弁しているけれども参議院は答えないなと、与党と野党と、どうも与党には一生懸命答えているけれども野党は答えていないとか、時々ありながら、あるいはテレビが入っているときは一生懸命答えるけれども、テレビ入っていなかったらというふうなぐらい、ふうに思うぐらい実は感じられるんですよ。
是非、以下いろいろお尋ねさせていただきますので、テレビで注視をしていますので、誠意ある、本当に誠意ある答弁を求めていきたいというふうに思います。
今日、私は、このテレビ中継とその後も質疑をしますので全体に時間を与えられておりますが、その後に項目も譲らさせていただく部分もありますが、まず冒頭やっぱり触れさせていただきたいのは、対イラク武力行使の正当性、それを支持した根拠に対する答弁。総理は、累次の関連安保理決議に合致し、国連憲章にのっとったものであり、我が国がこれを支持したのは正しかったと、これが昨日の私に対する答弁で、似たような答弁を昨日の午前中も同僚の小川議員にも言っています。
国連憲章、国連憲章、国連憲章にのっとっているんですよと、こういうふうに言って、時々聞いていると、国連決議と国連憲章間違っているんじゃないかというふうに思うほど実は感じられますけれども、どの決議に、どの国連憲章の部分に今回の武力行使の正当性を認めた文章があるんですか、文言があるんですか、はっきりしていただきたい。総理、いや、総理に答えてもらいたい。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 累次の国連決議がありますが、それにのっとって判断したわけでありますので、正確を期すために外務大臣に答弁させます。
○国務大臣(川口順子君) 関連をする国連決議、安保理決議は三つございます。一四四一、六八七、六七八ということでございます。
それで、一四四一というのは二〇〇二年の十一月の八日に採択をされた、これは満場一致で採択をされた決議でございますけれども、ここで幾つかのことを言っていまして、一つは、イラクが六八七という決議、これは停戦決議でございますけれども、この停戦決議及び関連決議の重大な違反を犯し続けているということを満場一致で決定をしたわけです。
すなわち、六八七では、イラクが大量破壊兵器を廃棄して武装解除しなければいけない、そして、それをしたことを査察団にきちんと見せなければいけないということを言っているわけですけれども、それに対して違反を、重大な違反を犯している、犯し続けているということを決定したということです。
それで、一四四一で、同時にイラクに対して武装解除等の義務履行の最後の機会を与えるということも決定をいたしました。さらに、イラクが完全なる協力を行わないということは、更なる重大な違反を構成をするということも決定をしております。
そして、四番目に、イラクは継続的な義務違反の結果、深刻な結果に直面をするという警告をいたしているわけです。
それで、査察団をイラクは九八年以降イラクの外に出してしまって査察を受けていなかった。それを武力行使の直前から受け、査察団が入ったわけですけれども、これに対して、例えば科学者にインタビューをさせるとか、いろいろな査察団が要求をしていることにまじめにこたえてこなかった。小出しにしか出していない、十分な協力をしていない、これはブリクス委員長も認めているわけでございます。といったことで、イラクが完全な協力を行っていないということは明らかであって、したがって、一四四一が決めた、決定をしました更なる重大な違反が生じているということを言わざるを得ないということであります。
それで、六八七、これは一九九一年の四月の三日に決まったことでございますけれども、イラクによる大量破壊兵器の廃棄に関する査察の無条件受入れ等を停戦決議条件として定めていまして、これに違反をしたわけですから停戦の基礎が失われたということで、その元にある六七八、これはイラクに対して武力行使を認めた容認決議ですけれども、これによって武力行使が容認をされるということでございます。
○齋藤勁君 外務大臣はずっとそれお答えいただいていますから、まあ質問したんだから答えたわけでしょうけれども、そういう今の六八七とかいうのは湾岸戦争のときの決議なんですよ。
今度の一四四一というのは大量破壊兵器の廃棄なんですね、求めたわけですよ。それで、その決議の中に武力行使をしようなんて、最後の機会という言葉はございますよ、しかし武力行使を前提、をいいですよという決議になっていませんし、国連憲章、答弁ないんですけれども、国連憲章というのは、いわゆる加盟国、武力攻撃が発生した場合、加盟国に対して、そして安全保障理事会が国際の、国際の平和及び安全の維持に必要な措置を取るまでの間、個別的又は集団的自衛権の固有の権利を害するものでないという五十一条、これが国連憲章五十一条あるわけですよ。どこ見ても、総理が言っている今回のアメリカの、米英軍の武力行使を正当化する、正しかったというのは、国連憲章を見ても国連決議見て、ない。このことを、また再度残りの時間の中で触れさせていただきますが、指摘をさせていただきたいと思います。こういう誤った見解をずうっと国会で国民にも説明をしてきたわけでありまして、その問題点を改めて指摘をさせていただいたわけであります。
次に、先ほど自衛隊員の方々のイラクにおける活動に対する対応について政府からるる答弁もございました。私も私なりに自衛隊員、隊員の方々の安全とかあるいは健康面について、こういう点について政府は十分検討しているんだろうかということについて、そんな角度から一、二指摘をさせていただきたいというふうに思いますが。
総理、まず伺いますけれども、イラクへの自衛隊派遣国会承認に関するこれまでの質疑では、政府は一貫して、イラクの情勢は総じて安定をしている、治安にも問題はないと、そして劣化ウラン弾、劣化ウラン弾というこの言葉は度々この参議院でも衆議院でも出ていると思いますが、劣化ウラン弾による放射能汚染と被曝についても問題ないと、こういう答弁をしているんですよ。再度、この自衛隊員の安全確保、これは健康面も含めてでございますけれども、万全を期しており、自衛隊員は安心して任務遂行に従事してほしいと、こういうことなんですか、明言をしていただきたいと思いますけれども。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 自衛隊が派遣されるサマワ地域については、他の地域に比べれば比較的安定している状況だと思います。安全性につきましても、一〇〇%安全とは言えませんが、そのために危険な不測の事態にも対応できる訓練も積み重ねてまいりました。そういう意味において、危険を回避するための装備あるいは防護策、そういう点について政府として十分安全面には配慮しなければいけないと思っております。
○齋藤勁君 関連して、この本案件に対しまして、私は昨日、本会議で、あってはいけないことですけれども、万が一、万が一イラクで自衛隊員が攻撃され死傷者が出た場合は総理はどのような責任を取られるおつもりかと、これ質問いたしました。安全確保に万全を期すということ、このことについて今も触れられておりますけれども、言ってみれば、再度、私は、自衛隊員に万が一死傷者が出た場合、この責任、最終的には私の責任と言いましたが、どのような総理自身責任を取るおつもりなのか、率直にこれ述べていただきたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、自衛隊の諸君が任務を果たし無事帰国されるように万全の対策をする、これが私の責任だと思っております。いろいろな事態がこれから起こる、可能性を言えば切りがないと思いますが、どのような責任の取り方については、私自身がそのときの時点で判断いたします。
○齋藤勁君 最終的に責任は内閣総理大臣にありますと、こういう答弁でした、昨日。その気持ちは今も変わらないと思うんですが、この最終的に内閣総理大臣に、私は、ありますというのは、もう少し私は具体的に述べるべきだというふうに思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 政治責任の最終的な責任は私、内閣総理大臣にあります。その時点で私は自分で判断いたします。
○齋藤勁君 さてちょっと、今日は劣化ウラン弾の問題で中心に伺うつもりですけれども、つい先日、報道でも相当出ておるんですけれども、一高校生が武力によらないイラク復興支援を訴える請願署名を集めたことに関連しまして、総理がイラクに自衛隊を派遣する意義を学校で教えるべきだと、こういうふうなことを言われたんだということが報道されているんですけれども、この事実確認と、総理自身のこの発言の真意をお尋ねしたいというふうに思いますし、この請願の署名というのは、私自身もいろいろ新聞報道等で見る限り、イラクに対する我が国の復興人道支援の在り方、このことについて一人の高校生が純粋にその在り方を、私は、真剣に考えて五千三百五十八人集めたそうでございます、大変貴重なものだと思いますが。この署名をごらんになったんでしょうか、この請願の内容について。その上の発言だったのか、お尋ねしたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) そのときの記者団の質問の時点においては、そういう署名があったということは承知しておりませんでした。そういう記者団の質問に答えまして、私は、自衛隊は武力による支援じゃありませんと、武力行使しませんと、人道支援、復興支援であります、そういう点につきましても、生徒の皆さんの純粋な気持ちでしょうから、先生もこの際、国際政治を勉強する上において、こういう点については真剣に議論をしてもいいんじゃないでしょうかという発言を、趣旨の発言をしたわけでございます。
○齋藤勁君 これは今、まあオーバーに言えば、国論を二分とまでは申しませんが、賛否いろいろ、この国会でも議論され、世論でも様々な議論があるわけですね。私は、議論をしてほしいと、いろいろ国民の間で議論してほしいということについてとどまるなら、私はそれはそれでありようとしてあると思うんですが、いわゆる教育現場に対して、この評価が分かれていることについて、何か強制的なことに受け止められるということになりましたら、これは私は問題ではないかというふうに思いまして。
学校で教えるべきだというふうに言っていない、今答弁ですね。学校で教えるべきだというふうに言い切ってないようですけれども、そういうことでよろしいですよね、そういうことで。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) もし先生方が、これは、自衛隊の派遣は戦争に行くんですと、憲法違反ですとか、武力行使に行くんですといったことがあったらこれは問題だと思います。自衛隊は復興支援、人道支援に行くんであって、戦争に行くものではありません。武力行使をするものでもありません。
高校生も恐らく、弁論部等があるでしょう、議論の機会もあるでしょう。そういう意見が、高校生の間でもいろいろな意見があると思います。そういうことに対して客観的な判断ができるような材料を提供して、生徒間で議論するのもこれまたいいことではないかなと思っております。
○齋藤勁君 これは学校で、様々な立場に立って様々な資料に基づいて議論をする、こういうことなんですよ、必要なのは。いろんな多様な考え方がある、多様な価値観があるということについて学校で子供たちに学んでもらうということが大切なわけでありまして、ここで一人の政治家が、一人の総理大臣が今思っていることに、これが思ってもらわないと困るという発想の中でこれはやってもらうと、これはやっぱりありようとしておかしいと思いますので、私は前段申しましたそういう立場だと、いろんな材料があるということでいろいろ議論をしてほしいということであるならば──そういうことですね、防衛庁長官がそういうことですかと言うから。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私が言っているのは、日教組の中には、これは憲法違反だといってデモをしている人もいますね。しかし、今拝見したんですけれども、日教組の委員長が、私の発言を撤回しろという文書が来ております。なぜ私が撤回しなきゃならないのか分からないんです。
先生方も教育についてはよく考えていただきたいと。個人はいいですよ。生徒の中でも私はいろんな意見持っていると思います。国際政治を勉強する上において、ある人は、自衛隊、イラクに行くのは復興支援でも憲法違反だという考えがあるでしょう。いや、これは憲法違反じゃないという考えもあるでしょう。いい、両方の材料を提供して議論をするのもいいんじゃないかと。先生も、政治運動には余り精を出すよりも、教育、生徒の教育に精を出していただきたいと思います。
○齋藤勁君 まあ後半の方は余計ですよ、それはね、総理。
それはまあ、それは僕は別に日教組の委員長の文書を読み上げて話しているわけじゃないですから、私はね。日教組の委員長さんと会って、質問しろなんてことは、質問してほしいなんてことは私言われたわけじゃありませんから。冒頭から触れているとおり、報道ということになって、そして今総理が前段お話しになった様々な角度からいろいろ、それぞれの年齢に応じて材料、資料を提供して議論をする、あるいはいろいろ意見を述べ合うと、こういうやはり風土と申しましょうか、これがある意味じゃ民主主義国家だと思うんですね。
そういうことで、後半の方はいただけない部分がありますが、その部分について、このことをあとする時間もございません。その程度にとどめさしていただきます。
もう一つ、さっき舛添議員のところでも触れられていたんですが、対人地雷の発見の問題ですが、これ、防衛庁長官、本日の、今日の朝刊は、サマワの陸上自衛隊の宿営予定地で今月二日に対人地雷が発見されたということなんですよね、二日。だけれども、二日間間がありますね。これは何か公表しなかった、そんな理由があるんですか。何か意図的なものとしてあるんですか。昨日も本会議で私はこの報道の問題をいろいろやり取りさしていただきましたけれども、このことについて、二日間遅れたことについて御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) これは全くそういう意図的なものではございません。
地雷らしきものが発見をされました。ただ、これが相当に古いもので、どうも、いろいろな推測ですが、散布地雷と申しまして、埋める地雷ではなくてヘリコプターであるとか航空機からばらばらばらっとまく地雷。そして、それは踏んでバンと爆発するというよりも、攻めてくる側がその地雷を取り除く作業、それには相当の時間が掛かります。その時間を稼ぐための地雷、これを散布地雷と言うのだそうでございますが、どうもそれであった可能性が非常に高い。
で、無害化しなければなりませんので、これは私ども無害化の能力を持っておりません。これはオランダ軍がその能力を持っておりますので、オランダ軍に依頼をいたしまして無害化をいたしました。
これは私どもでやったのであれば、これはまた話は別なのかもしれませんが、他国の軍隊に依頼をして無害化をいたしております。こういうようなことがオランダにおいてどれぐらいの頻度で行われるのか、またオランダにおいて公表をしていることであるのかどうなのか、他国の手をかりました場合には、その国でどのように行っておるかということをきちんと確認をしませんと、私どもの方で勝手に発表するというわけにはまいりません。
これは、私、こういうことが報告が来ましたときに、当然のことでございますが、これはきちんと発表しなければいけないものだということを申しました。そして、それがいやしくも情報を隠したとかそのようなことにならないようにということはきちんと心掛けておるわけでございます。
時間が遅れましたのは、ただそういう事情によるものでございます。
○齋藤勁君 次に、先ほど後ほどというふうな項目で言わせていただきました劣化ウラン弾の関係なんですが、外務大臣にお尋ね最初にさせていただきますけれども、この劣化ウラン弾による放射能汚染、そして被曝の危険性に対して政府はまずどのような認識を持っていられるのか、明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) 劣化ウラン弾によるこれが健康被害をもたらすものなのかどうかということにつきましては、これは国際機関で今まで調査が行われております。UNEP、WHOといったところで行われておりますけれども、国際的に確定的な結論が出ているということではないというふうに承知をしております。
この問題について、最終的に確定的な結論が出ていないということでございますから、引き続きそういった動向については注意を払っていきたいと考えています。
○齋藤勁君 湾岸戦争に従事をした兵士の間で、がん、白血病そして免疫不全など始め、全身にわたる様々な疾患が多発しており、これらを総称して湾岸戦争症候群と、こう呼ばれているそうであります。
この事実、外務大臣として認識をされておりますか。
○国務大臣(川口順子君) 認識いたしております。
○齋藤勁君 私も非常に関心持ちまして、幾つか資料を、完全ではありませんが、ほぼ集めつつある中で質疑させていただいているんですが、全米湾岸リソース・センター、略称NGWRC、こういう団体がアメリカにあると。様々な調査とか研究をされていると。
このリソース・センター、湾岸戦争帰還兵の健康調査をしているんですけれども、この事実も把握をしておられるでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) そのおっしゃった機関についての結論ということは承知をいたしておりませんけれども、別途、アメリカの政府がこの調査をやっております。そして、この調査についての結果として、原因は特定をされていないということだと承知をいたしています。
○齋藤勁君 このリソース・センターがあるということについての、そこが健康調査をしているということについては把握されているようですが、それは内容についてお触れに今なってないんですけれども、政府の方は関連がないという、こういうようなことだそうですが。
それではお尋ねいたしますが、このNGWRC、リソース・センターでは、私の調べたところによりますと、湾岸戦争への従軍者、復員軍人局のサービス等の給付有資格者、体調の異変を訴え、復員軍人局に医療を要求している人、病気や障害による就労等の不能に関する補償要求をしている人、死亡した人、それぞれの数が明らかになっていますが、外務省として把握をしているなら、その数についても明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) 手元に資料はございません。もし事前におっしゃっていただけたら用意をしておきましたんですけれども。
○齋藤勁君 数字を明らかにしてほしいということを私は申し上げるかも分かりませんが、このリソース・センター、この湾岸症候群についてお尋ねするということはお話ししてありますので、当然、資料はもういつでも御用意いただけるものだというふうに思いましたので。しかし、別に意地悪をしているわけじゃありませんので、私自身が持っているのを発表して、以下、議論をしていきたいと思いますけれども。
この調査した数を述べますと、湾岸戦争後、退役して復員軍人局のサービス等の給付の有資格者五十万四千四十七人中、五二%に当たる二十六万三千人以上の帰還兵が体調の異変を訴えていると。米国政府や復員軍人局に医療を要求をしている。三七%に当たる十八万五千七百八十人が病気や障害による就労等の不能に対する補償を要求をしている。帰還兵の半数近くが何らかの健康被害を訴えているほかに、九千六百人の帰還兵が死亡しております。
私は、なぜこのような事実について明らかにしようと、こういう思いは、我が国が世界で最初の被爆国であるということを忘れてはならない。これはだれも忘れてはいないと思うんですけれども、この放射能のもたらす惨禍というのは、広島、長崎の例を改めてこれは持ち出すまでもないと思うんですね。
したがって、私は、我が国は劣化ウラン弾による放射能と被曝にもっと神経質でなければならないというふうに思いまして、今外務大臣から、アメリカ政府が湾岸戦争と湾岸戦争症候群との間の因果関係を認めていない、あるいは国際機関が劣化ウラン弾の健康被害について結論を出していないから安全だ、こういう、この間、この劣化ウラン弾をめぐり衆参でも質疑がありましたけれども、なかなか結論を出していないから安全だと言わんばかりの、どうもそういうふうに幾ら危惧して話しても、こういうふうに実際は受けざるを得ない。到底理解できない。私は、そういう意味で、派遣された自衛隊員の隊員の方々が、不安を、こういった情報が出てくるときに、なかなかこういったことになると払拭できないですよ。
したがって、私は劣化ウラン弾と湾岸戦争症候群の因果関係について、近い将来、これはアメリカ政府自身が認めるということについて避けられない、そういう見通しを私自身はどうも痛感せざるを得ないわけでありまして、この劣化ウラン弾が九一年の湾岸戦争で初めて使用されて以降、九五年、ボスニア内戦への介入、九九年の旧ユーゴ空爆、二〇〇一年の対アフガン戦争、今回のイラクへの武力行使でも使用されたと言われております。
残念ながらと申しましょうか、大変痛ましく、これらの地域では小児がんや先天的機能障害、死産や流産、死産そして流産が多発しているということもこれまた事実でありまして、私は、政府はイラクに派遣される自衛隊に劣化ウラン弾の放射線を測定するための微量ガンマ線測定器、ガンマ線用線量計を携行されると答弁されていますけれども、この二種類の測定器で劣化ウラン弾の放射能測定は万全、パーフェクトだというふうにお考えですか。
○国務大臣(石破茂君) そのように考えております。
劣化ウランは、先生御指摘のとおり、アルファ、ベータ、ガンマ線を出すわけでございます。自然界に存在しないような、そういうような放射線を検知をいたした場合にはこれは反応いたしますので、ここは劣化ウランといいますか、自然界にない放射線が放出されておる地域だということは了知をすることが可能でございます。
私どもとして、劣化ウランそのものと、劣化ウランそのものは国内においてもうたくさん使われているものでございますから、因果関係において、現在確たる因果関係があるというふうには認識をいたしておりませんが、私ども唯一の被爆国でございます。そして、一〇〇%完璧な知識というものは世の中にあるとも思っておりません。したがいまして、そのようなものを保有いたし、それが反応いたしました場合には、その地域には立ち入らないというようなことになります。
そういうような形で、そういうような地上界、自然界に存在しない放射線が放出されておる地域には立ち入らないような、そういうような措置を取ることになるというふうに考えておる次第でございます。
○齋藤勁君 長官、この二種類の測定器で、水とか空気とか土壌、汚染状況というのは測定は可能ですか。
○国務大臣(石破茂君) これは、すべて測定可能かと言われますと即答はいたしかねますが、劣化ウランそのものは、放射線というよりも、むしろ重金属を摂取するということによって人体に危害を与えるというふうな知識を私、今のところ持っております。
したがいまして、それを直接飲んでしまうとか食べてしまうとか、そういうことになれば当然被害は生ずるだろう。しかし、それが飲んだり食べたりということにならない限りは、それは被害が及ぶとは考えておりません。
しかし、そのような自然界に存在しない放射線が放出されておる地域には立ち入らない、あるいはそのような物質には触らないということであります。それはもう、それが存在しなければそのような放射線が放出されることはないわけでございます。
○齋藤勁君 いや、安全のために、おそれがあるから測定器を携行していくわけでしょう。だから、それが完全ですか完全じゃありませんかということで、何も用を足さないものだったら何も意味ないわけであって、だから水でしょう、空気でしょう、土壌というふうに言っているわけですね。
この二種類の測定器が、じゃ検体、対象から一メートル離れた地点でも放射能、これ測定できますか。測定可能なんですか。
○国務大臣(石破茂君) 恐縮です。何メートル離れて測定できるかにつきましてはちょっと今手元に資料がございません。早急に調べまして、できれば委員会中に御報告をいたしたいと存じます。
○齋藤勁君 あいまい、あいまいだということを不安がって、私は隊員の方とか家族の方に何かセンセーショナルに言っているつもりはないんです。それで、測定器を用意されたわけです。しかし、本当に測定することが可能な器械なんだろうかということを言いながら湾岸戦争の症候群の話をしたりして、我が国、唯一の被爆国だという話をしながら、このことについては最も世界の中でも真剣に取り組まなきゃならないということであり、これはむしろ事前にきちんと調査をして対応していかなきゃならない、こういう実は観点からお話しさせていただいているつもりでありますね。
このアルファ線のお話もございましたけれども、ガンマ線の測定ばかりではなくて、劣化ウラン弾などは強力なアルファ線というのが出されるわけでありまして、これはどういうふうな対策、測定とか対策は、対応するおつもりですか。さっきの二つの測定器、これもアルファ線ということでよろしいんですか。
○国務大臣(石破茂君) これは、携行いたしますのは微量ガンマ線測定器、そしてガンマ線用線量計という二種類を携行をいたします。どちらも検知をいたします対象はガンマ線でございます。どちらもガンマ線があるかどうかというものを検知をするものでございますが、劣化ウランというのは、アルファ、ベータ、ガンマ、三つとも出すわけでございます。したがいまして、ガンマというものを検知をした場合には、これは自然界にない何らかのものがそこに存在をするということは分かるわけでございます。
したがいまして、ガンマしか検知をしないので役に立たない、こういうお話がございましたが、それはもう劣化ウランというものがいずれにせよ自然界に存在しない、そのようなガンマも放出するものであります以上、そのような危険を了知することはできるものだというふうに考えております。
○齋藤勁君 先ほど、私はボスニアとかコソボとか、いろいろ事例出しましたでしょう。それから、湾岸戦争の話をしましたよね。アメリカ政府の方は特定していない、関連性を言っていないといいましても、これは事実被害が出ているということがあり、これはイラクの今回、サマワとは言いません。いろいろ調査したのは、バグダッドとかいろいろ調査をして、その結果いろいろ数値が出ているからこそ私は指摘をさせていただいているんで、今、私はこの短いやり取りかも分かりませんが、やり取りの中で、きちんと劣化ウラン弾に対して自衛隊員の健康を守る、あるいは不安を解消するということについて、私はきちんとした長官の答弁であるというふうに認識を実は受けません。
で、一月十日付け、毎日新聞の記事で、劣化ウラン弾の健康被害は五年後に出てくる、こういう、医師が発表しております。この場で政府としてはっきりしていただきたいと思いますが、健康調査をきちんとしてほしいというふうに思いますけれども、いかがですか、大臣。
○国務大臣(石破茂君) 毎日新聞の記事は私も拝見をいたしました。五年後、十年後において発病する可能性は否定できない、本当に今のままで大丈夫かという御指摘だろうと思います。
私ども、五年後、十年後に発病するということについて正確にそのとおりだというふうには考えておりませんが、いずれにいたしましても隊員の健康調査というものは、肉体面におきましても精神面におきましても常に把握をしておかなければならないものであり、五年後であろうが十年後であろうが十五年後であろうが、隊員の健康がきちんと守られているかどうか、それは責任を持って私ども見ていかねばならないことだと考えております。
○齋藤勁君 だから、健康調査はするんでしょう。してくれるんでしょう。
○国務大臣(石破茂君) これは劣化ウラン弾に特化してということではなくて、すべての面において健康診断を行う、そして健康の状況を把握するという意味で申し上げました。
○齋藤勁君 残り時間、私自身の時間が来ましたので、同僚議員に譲りますが、最後に、答弁は結構です。
湾岸戦争から今年で十三年目になりました。この間、イラクの罪もない一般市民は、劣化ウラン弾の汚染によるがん、白血病、先天性の奇形、異常など、様々に疾患に苦しみ続けています。世界最初の被爆国であるということについては、また私は重複をこの場では避けます。
私は、今、自衛隊の隊員の方々の健康のことをお話ししましたけれども、私は今回いろいろ調査をさせていただきまして、イラクの復興人道支援で我が国が真っ先に行うことは、こうした自衛隊、戦闘状況にある今の状況の中で自衛隊を送ることではなくて、広島、長崎の被爆者に対する治療の経験をイラクにお伝えして、イラクの医師たちに自信と希望を与えることではないか。そして、最新の医療設備を備えた例えば小児がんセンターなどをイラン各地に建設して、劣化ウラン弾による健康被害に苦しんでいるイラクの一般市民の治療に役立てる、こういうことではないんだろうか。そして、劣化ウランがもたらす人体への影響調査、イラクを始め劣化ウラン弾が使用された国々におけるその汚染状況の調査、劣化ウランを使用する兵器の廃絶、そのことで我が国はリーダーシップを発揮すべきだと思います。
これが私たち、我が国が、繰り返し申し上げますけれども、世界最初の被爆国である取るべき道、こういうふうに思いますが、総理、そのことについて聞かれていると思いますが、一言答弁、時間ちょっとあるようですので、お答えいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 自衛隊の諸君は、医療支援も含めて復興支援、人道支援に赴いて、派遣された方々も、これから派遣される諸君も復興支援、人道支援のために貢献できると思っております。
○委員長(清水達雄君) 関連質疑を許します。若林秀樹君。
○若林秀樹君 民主党の若林でございます。
いよいよ陸上自衛隊本隊がクウェートに入られたようであります。民主党は自衛隊派遣反対の立場でありますけれども、自衛隊の方が任務を遂行され、無事に帰還されることは民主党のもちろん思いでもありますし、心の中で黄色いリボンをかざしているということは言えるんではないかなというふうに思います。
今日は二十分しかありませんので、外交官の襲撃事件の件に絞っていろいろ御質問させていただきたいと思います。
私は、前回の十二月の十六日の質問におきまして、日本政府は自衛隊を送る資格がない、その前にやることはあるんではないかということを申し上げました。それは、やはり文民の外交官が川口大臣のある命によって行って殺されているわけですから、その真相解明なくしては、私は自衛隊を本当に派遣できる資格があるんだろうかということを言ったわけであります。
小泉総理は、私はこの事件があったときに、しばらくそういう話はないだろうと思ったら、むしろそれをばねにして、テロには屈しない、だから自衛隊を派遣するんだということをおっしゃいました。私は、これはすごい政治的なすばらしいセンスだなと、本当に敬服しているところであります。そこまでやはり、小泉さすが総理だなというふうに思ったわけですけれども、しかし、どこにテロだという証拠があるんでしょうか。それがいまだかつて解明されてないんですね。
私は、そのとき解明してほしいと訴えましたけれども、まあ二週間後でしたからそこでやめましたけれども、この二か月間たって何にも解明されていないということが私は非常にふがいない思いで一杯であります。
まず小泉総理にお伺いしたいのは、総理としてこの事件の真相解明に対してどういうリーダーシップを取ってきたのか、外務省、警察庁あるいは関係機関にどのような指示を出したのか、それをお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、外交官が殺害されたから自衛隊を派遣したということではありません。外交官の死を無にしないためにも、日本として復興支援、人道支援、イラクをテロリストの温床にしてはいけない、何ができるかということを考えて自衛隊派遣を決断したわけであります。
外交官の死の原因究明については、政府を挙げて取り組むよう、既に外務省等関係当局に指示しております。
○若林秀樹君 指示をしたといえども、その動きが何も見えてこないですし、現実に何も明らかになっておりません。
そこで、川口大臣にお伺いしたいんですけれども、前回お伺いしたときには、イラク人の専門家も含め派遣して、現在、鋭意調査中であると。じゃ、今までに分かったことは何なのか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) これは、先ほど警察庁の方からも別な委員の御質問に対して細かい御説明ございましたけれども、私どもが今把握をしていることといいますのは、車について、弾丸が、痕跡が左側に集中をしている。それから、金銭等が残っていますので、恐らくテロの公算が大きいだろうということであります。
そして、解剖、司法解剖の結果については専門家の口からお話がございましたので、私から申し上げるということは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。
それから、事故の、事件の発生の時間につきましては、これはよく分かっていないところが多いわけですけれども、場所がティクリートの南約三十キロの地点であって、ティクリートに向けて、十時、バグダッドを出発をして向かっていたわけですけれども、上村イラク大使館の臨時代理大使が電話で奥大使と最後の連絡を取ったのが正午ごろでありましたので、それ以降であるということですが、それ以上は特定をされていないということでございます。
それから、道路わきの売店に寄ったのではないか、そのときに襲撃をされたという報道、情報が一時ありましたけれども、それはそうではないということが言われたということでございまして、先ほどの鑑定の結果というのは、口径七・六二ミリ程度の銃から発射をされたと推定をされると、そういうことであったということです。
○若林秀樹君 今伺ったことは日本の警察庁が司法解剖を通して分かったことであり、一方、銃撃の時間がどうだったこうだったというのは十二月の八日の時点と全くそれは変わっていません。つまり、何も分かっていないんです、現実的には。
じゃ、イラクの専門家を派遣して、現地で調査したわけですよね。それについては全然分かっていないということですから、改めてそれは別の機会にお伺いしますけれども、時間がありませんので、じゃ、事実関係についてちょっとお伺いしたいと思います。
昨日までに、私も時間のセーブのために外務省に事実関係をもう一度確認いたしました。今、二時間たって十二時ごろ最後の連絡ということなんですが、去年の十二月の時点でこれは十一時になっていましたが、一時間、これは訂正されたわけです。
まずお伺いしたいのは、恐らくこのCPAが主宰している会議にはCPAから幹部が行っているわけですね。奥さんが出発する前にその幹部の皆さん方は車列を組んでティクリートに向かわれたということが、ほぼ私はやっぱり想定されるべきだというふうに思います。その幹部の方は、外務省に聞いたら、特定はできないということで、それなりのレベルの人が行きましたと、出席していますという話がありました。
まずお伺いしたいのは、奥大使の車が、館用車がナンバープレートを外しているということは、これはよくやられていることなのか、まずお伺いしたいと思います。
○政府参考人(堂道秀明君) お答え申し上げます。
大使館の館用車でございますけれども、これについては治安上の理由によりナンバープレートを外して走行していることがかなり多くございました。当日についても、奥大使以下はナンバープレートを外して走行しておったと承知しております。
○若林秀樹君 奥大使が取り得るリスクの最小化の一つとしてそういうことがあったんだろうというふうに思いますが、逆に、外していればそれが不審車と思われる可能性も同時にあった可能性はあると思います。
そのときに、あそこの街道は、高速道路、二車線から三車線なんですけれども、一番危険なところで、よく死の街道と言われているんですが、これは大臣にお伺いしたいんですけれども、川口大臣にお伺いしたいんですけれども、そういうときに、事前にCPAに、ここを通るよという行動計画書みたいのは出す必要はあるのかどうか。もし、出していたのかどうか。その辺についてちょっとお伺いしたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) そういうことが必要であったというふうには聞いておりません。
○若林秀樹君 そういうことはないと、必要がないということでもちろん出していないというわけですね。
ですから、ちょうどこの十一月というのは一番米軍が攻撃された時期でありまして、その先週、先々週も非常に亡くなったということで、かなり米軍も警備等は厳しかったというふうに想定されるわけであります。
先ほど、いつ襲撃されたかというのが特定できていないということなんですが、百六、七十キロありますので、百五十キロで飛ばせば、おおむね近いところまで行って十二時で、さっき三十キロというふうにもうおっしゃられましたからあれですけれども、最後に通告をして、その後に攻撃された可能性が非常にやっぱり強いというふうに見ています。
そのときに、空白の六時間というのがありまして、米軍が、CPAが在イラク大使に報告するのが六時四十分であります。この間に六時間も間が空いているんですが、最初に米軍が発表したのは、道路わきで売店で飲食物を買うために停車して車外で襲われたという情報がありまして、この誤情報が訂正されたのは十二月の五日なんですね、六日後。十二月三日にはこの襲撃された車の写真のメールを外務省に送っているんです。その二日後にやっているというこの情報のいい加減さもひどいですけれども、これ自体が非常に信用できないのではないかなというふうにもちろん思いますけれども、いつ米軍がこの事件を知ったかということに対して、外務省の答えは、三時四十五分に部族長から聞いて一報を受けたと。六時四十分には日本人が殺されたのでCPAが在イラク大使に連絡をしたということで、日本人かどうかも特定できるものはないわけです。パスポートもなくて、そういうものを証明するものがなくて、断言してCPAから在イラク大使に日本人が殺されたということ自体が不思議だと思いますが、この辺はどうでしょうか、川口大臣。
○政府参考人(堂道秀明君) 御指摘の点については、まだ調査、捜査を行ってございますけれども、基本的に私どもの理解している点は次のとおりでございます。
まず、事件が発生いたしまして、その特定、発生した時期については先ほど、時刻については先ほど大臣から御答弁したとおりでございます。この空白でございますが、私どもが理解しているのは、最初に発見者は地元の住民だというふうに理解しております。それからイラクの警察に通報され、さらに米軍に通報されたということであります。
その日本人らしきという情報については、直ちに私どもの方にも連絡がございました。しかしながら、この身元を特定するものがなかなか見付からず、その間の確認をするために時間を要したというふうに承知しております。
○若林秀樹君 日本人らしきというのか、本当に日本人なのか分かるのかどうか。翌日には韓国の人が通って襲撃されておりますし、何も証明するものがなくて、断定して大使館に連絡をしたということ自体が、かなり私はそこがちょっと情報がいい加減ではないかなというふうに思っております。
そして、深夜になってパスポートが発見され、身元が確認されたということになっていますから、そういうものが何もない中で日本人だと断定して、これはそういうことで大使館に連絡したということ自体が、一連の情報を含めて非常に怪しいのではないかなというふうに思っているところであります。
その上で、今資料をちょっと配っていただきたいんですけれども。
〔資料配付〕
○若林秀樹君 まず、配っている間に大臣にお伺いしたいんですが、襲撃された車の写真を米軍から送られた枚数なんですけれども、前回は忘れましたのでという答弁がありましたので、今は思い出していらっしゃる、事前に通告しましたので、何枚送られたんでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) 十一枚でございます。
前回も、もし事前にそういう質問があるということを伺っていたら、十一枚とお答えできたんですけれども、突然でしたので、記憶にないと申し上げたわけです。
○若林秀樹君 司法解剖の結果等についての質問は後の方に譲らさせていただきたいと思います。
今配らさせていただいた襲撃された車の写真はそのうちの三枚でありまして、よく見ていただきたいと思います。
これから私のある部分での推論も含めてお話をしたいというふうに思いますけれども、一枚目の写真であります。非常に正確にねらいを定めて撃った跡があります。情報では三十発前後の弾痕が左側に的中をしているということで、比較的これは窓に集中しているんではないかなというふうに思います。つまり、弾痕が余り拡散していないんですね。かなり集中的に、それはターゲットを絞ってどんと撃ったという感じが見られるわけであります。
これは先週、首藤委員が、カラシニコフをモデルガンで使ったらなかなかそれはできないんだみたいなお話はありましたけれども、私も知っている限りでは、カラシニコフというのは、比較的腰だめというんですか、腰に当てて撃つ。ですから、窓を開けていたら、だったら撃てるというような状況にはならなくて、やっぱり銃は拡散したり、中に、車の中に入れていたら、もうそれこそ薬きょうと硝煙でそんな撃てるような状況じゃないという意味では、これは非常に、かなり高度な銃で撃たれたということは言えるんではないかなというふうに思います。
じゃ、二枚目を。
この二枚目の写真が私はずっと引っ掛かっていたんですけれども、ようやく自分自身の納得した答えは、どこがおかしいかというと、片側から撃たれているにもかかわらず、こちらは何も跡がないということでありまして、やはり軽防弾車といえども通過したら何らかの傷跡はあってもいいんじゃないか。つまり、やはり高い位置からこれは撃たれたというのが言えると思います。下のそこが、横の側面のところはそれは防弾車で硬いから、ですからそこに止まっている可能性はかなり高いということで、これで私のこれまでのすべての、この二か月間考えたところが、疑問が少し消えました。
三枚目を見ていただきたいんですけれども、これは前からの写真でありまして、二か所の銃弾の跡があります。つまり、高いところからこれを撃っていると。で、ボンネットの先端に撃ち、ウインドーの真ん中に撃ちということは、これは、前から撃ったのにもかかわらず人をねらっていない撃ち方であります。何らかのルールにのっとって撃ったかのように思われる。テロがあえて前へ出てきて人をねらわずにこういう撃ち方をするということはなかなか考えにくいということであります。
私が意味していることはお分かりでしょうか。
つまり、総合しますと、これは、私はこういう推論をするのは好きじゃないんですけれども、政府から何も出てこないものですから、いろいろ自分が考えた結果ですけれども、奥大使が乗った車は十時ぐらいにバグダッドを出たと。その前に、車列を組んでアメリカのCPAの出席する幹部が出ていっているわけです。
私が見たイラクでの防御の仕方は、車ですと前後が装甲車の、あの機関銃が付いています、何か物を移動するときですね。人の場合は比較的、ジープ型というんですか、いわゆるハンビー型のやつで前後を重機関銃で乗っけて移動する。これはやはり百キロ以上走れませんから、奥さんの車は恐らく百十キロぐらいで飛ばしていたと思うんですよね。
これは、何らかの間違いで近づいていって、気が付いたら米軍の車列があった、奥さんの車はブレーキを掛けたけれども何らかの威嚇射撃を受けたんではないかというのが想定です。そのときに奥さんは、このCPAの乗っている人を知っているはずなんです、一緒に働いていましたから。恐らく、違うよ違うよ、おれだよと言っても、向こうから見れば不審者なんです。横に出ていって説明しようとしたときに、威嚇、さっき言った、手順を踏んでいますから、その後に撃たれた可能性が私は残念ながらあるんではないか、それで最後にわだちが付いてブレーキを掛けずに横側に出ていったというのが、いろいろテレビで報道されている可能性が私はあるんじゃないかなというふうに思いますので、私は、これはあくまで推論ではありますけれども、いろんな状況調査をすべて自分なりの、これまでいろんな経験を踏まえると、その可能性は否定できないんではないでしょうか。
政府も、誤射の否定もしていませんしテロの否定もしていません。すべての可能性も含めての今の調査中だと思いますが、私は、二か月間いろんなことを考えながら、可能性の一つとしてそのことを今日この場で申し上げておきたいと思います。
今の説明に対して、総理、それから川口大臣から感想があればお伺いしたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) 先生のお考えはお考えとして承らせていただきましたけれども、外務省としてはと申しますか、政府としては、これの真相究明が大事でありまして、特に外務省は恐らくだれよりも一番真相の究明を早くきちんとした形でしたいと思っている、おります。
そういった意味で、今度車も日本に搬送してくるということを今検討、準備をしていますので、またそういった材料を得て、我が国の警察の方で更なる事実の把握をしていただいて、真相の究明に一歩でも近づきたいというふうに思っております。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 推論を伺っていましたけれども、私にはそういう専門的知識もございません。
政府としては、真相解明に今後とも全力を挙げていきたいと思っております。
○若林秀樹君 この結論に至るまでのその経過は、先ほど検視の結果の弾の問題も全然明らかにされていませんし、いまだに車がイラクにあるということ自体が私はやる気がないんではないかなというふうに思います。唯一残された物的な証拠というのは御遺体と金属片とその車だけなんです。車を見れば、どこから、角度で撃ったかというのがすべて分かるにもかかわらず、いまだにイラクにあるということ自体が私は、川口大臣がそれは鋭意調査していますという言葉は私は信じられないと思います。
何も情報は変わっておりませんので、その辺については後ほどの後半の部分でまたお話をさせていただきたいと思いますが、以上で私の質問を終わりたいと思います。
2004/02/05 |