2004年6月9日 |
民主党 ネクスト外務大臣 前原 誠司
8日(日本時間9日早朝)、イラクに関する国連安保理決議第1546号が全会一致で採択されたことを喜びたい。今後、同決議に基づき、わが国はイラクの人道復興のために、できることをしっかりと行っていくことが必要だ。
小泉総理は、同決議が採択される前に、同決議による多国籍軍への自衛隊の参加を事実上ブッシュ大統領に表明するとともに、「国連安保理の決議がまさに採択されようとしている。これは決して米国の譲歩ではなく、米国の大義の勝利だ」と、述べたことが伝えられている。米英は大量破壊兵器の脅威を理由にイラク戦争をはじめたが、その存在が未だに発見されず、また占領軍によるイラク人虐待事件などが明るみになった。小泉総理は、スペインやポーランドなど戦争を支持した諸国だけではなく、米国国内からもイラク戦争の大義への疑問が高まっている事実を認識しているのか極めて疑問である。このような総理の発言を受け、自衛隊のイラクでの活動が、人道復興支援ではなく、イラク国民と対峙するアメリカの占領行為の片棒担ぎと、現地で受け取られることを憂慮する。
そもそも混乱に陥っているイラクの現状を見れば、占領行政の失敗は明白である。同決議により国連主導の復興支援体制が表明されたとはいえ、イラク復興への道のりは、極めて困難であることは間違いない。例えば、米英寄りと見られるイラク暫定政権が、どの程度イラク人に受け入れられるのか予断を許さない。また、イラクの治安維持と安定のために多国籍軍が「あらやる手段を行使する権限を持つ」とされたことで、「テロリストの掃討」の名のもとに行われる攻撃などが、イラクの混乱を逆に深めることを懸念する。
多国籍軍への参加は、他国の指揮下での活動や武力行使の一体化といった憲法上の問題を明確にした上で、少なくとも新法を制定しなければ、容認されるものではない。米軍への協力と見なされず、イラク人のための人道復興支援活動が行える環境となるよう、同決議のいう「イラクの完全な主権の回復」が名実ともに実現するよう、わが国も全力をあげて米英に働きかけていくことが必要である。以 上
2004年6月9日 |