2003/01/23

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156 衆院・予算委員会


上田議員、小泉行財政改革の虚実を衝く (民主党ニュース)

 衆議院予算委員会で23日、民主党の3番手として平成14年度補正予算案に対する質問に立った上田清司議員は、年金の株式運用、特殊法人改革の現状、国家公務員の異動保障制度の各問題を具体的に追及し、小泉内閣が国民に税負担増を押しつける他方で放漫な財政運営を放置している実態を浮き彫りにした。

 上田議員はまず、年金資金運用基金(平成13年4月より年金福祉事業団が改組)による年金の株式運用をめぐって質問。平成13年度に6600億円、14年度半期ですでに2兆円もの運用損失を出していることを指摘し、「このような巨額の損失を出した原因は何か」と質した。所管の坂口厚生労働相は「株式が低下したから。経済動向が影響している」などと答えたが、上田議員は「そもそも、国民からの預かりものを株で運用するのは危険ではないか」と批判。「安全かつ効率的な運用」を定めた厚生年金保険法の規定も引きながら、株式運用はやめるべきだと迫った。これに対しては塩川財務相も「デフレ時代にリスクの大きい運用を行うのはどうか。高度成長時代のしきたりに沿っている。根本的に考えるべきだ」と述べた。

 上田議員はさらに、この年金資金運用基金が厚労省の大きな天下り先になっているために潰すことができずにきたことを暴き出し、「ぶっ潰すべきだ」と迫った。小泉首相は「特殊法人改革の一環として真剣に考える」と答えた。

 次に上田議員は、特殊法人改革の実態について追及。政府が「廃止か民営化」を打ち出した77の特殊法人のうち、検討中のものが30、独立行政法人に横滑りさせるものが25など、ほとんど成果が上がっていないことを指摘し、見解を質した。小泉首相は「本格的にやるためには時間がかかる。1、2年でできっこない」などと声を荒げたが、上田議員はさらに独立行政法人への移行の内実に切り込み、多数の官僚OBが役員に天下ることによって人員数や役員報酬の総額が旧組織よりも増加している実態を暴露。「増税などで2兆円もの国民負担増をやろうとしているが、これでは何の意味もない」と厳しく指弾するとともに、株式運用で巨額の損失を生んでいる年金資金運用基金はこの3月にも廃止すべきだ、と再度迫った。坂口厚労相は、今年中に廃止を含めて検討し、来年に制度を改変する、と確認した。

 国家公務員の異動保障の問題については、僻地への転勤に伴う激変緩和措置としての調整手当が悪用されている実例を挙げながら、地域間の移動に対して手当を支給するという現行制度自体の問題を指摘。各省大臣からも「仕組みに問題がある」との答弁を引き出した上で、「制度は必要」と繰り返す人事院の中島総裁を追及し、さらなる実態調査を確約させた。同時に上田議員は、異動保障制度の廃止法案(給与法改正案)を準備していることも明らかにし、「ぜひ超党派で成立させたい」と呼びかけて質問を終えた。


平成十五年一月二十三日(木曜日)

上田(清)委員 総理以下閣僚の皆さんも御苦労さまです。

 ちょっと順序を変えて、年金の運用問題から入らせていただきます。

 厚生労働大臣、平成十四年度の四月から九月期のいわば半期分の年金市場での運用の損失額は二兆百十二億、約でございますが、よろしいでしょうか。イエスかノーで。

坂口国務大臣 大体その額だと思います。

上田(清)委員 平成十三年度の運用損失は六千六百億ですね。これは間違いありませんか。間違いないとうなずいておられます。

 なぜ巨額の損失を出しているんですか。昨年もそうですが、ことしもそうです。厚生労働大臣、答弁してください。

 見てください。本当だったら、目標利回りは別にしても、四千億、昨年度、利益を出さなくちゃいけなかったんですよ。ところが、マイナスですから、実質的にはこれは一兆円の損失と同じなんですよ。そして、平成十四年度は半期でもうマイナスの二兆円になっているんですよ。本来ならば、最低限四千億をもうけなくちゃいけないんですよ。ところが、実質的に二兆四千億も年金資金運用基金、小泉総理が大好きな特殊法人ですね。――大嫌い。失礼しました。大嫌いな特殊法人ですが、もともと、年金福祉事業団の時代から、十三年間で、累積でマイナスの二兆八千億出しているんですよ。

 とりあえず十三年度、十四年度、何でこんなに巨額損失を出すんですか、厚生労働大臣。

坂口国務大臣 今御指摘になりましたようなマイナスが出ておりますのは、やはりこの運用につきまして株式運用をしているということでございます。その株式が低下をいたしましたためにそれによる損失が大きくなった、そして今御指摘のような数字になったということでございます。

上田(清)委員 大臣、どうして株式が下がったんですか。

坂口国務大臣 株式が下がったことに対する理由はいろいろあるだろうというふうに思いますが、経済動向が大きく影響しているというふうに思っております。

上田(清)委員 総理、私には今の厚生労働大臣のお言葉は、竹中大臣や塩川大臣や総理が悪いと聞こえちゃったんですよ。総理は、株価には一々一喜一憂しないと。年金運用の巨額損失の原因は経済の動向、こういうことを厚生労働大臣、言っておられますけれども、原因は何でしょうか、総理、これだけ巨額の損失を出すというのは。

坂口国務大臣 先ほど申しましたとおり、諸般の総合的な結果としまして株価が下がったわけでございます。それは日本の国内だけではなくて、世界全般にわたります影響もあるというふうに思っておる次第でございます。

上田(清)委員 総理にもお答えしてほしかったんですが。

 先ほどちょっと申し上げましたけれども、年金福祉事業団が衣がえして年金資金運用基金という、年金運用基金ですね、年金資金運用基金に名称が変わっただけなんですが、私に言わせると。このときも、実は十三年間で四勝九敗、単年度ごとに見ていくと、運用益を出せない。九回も運用益を出せなかったんです、景気のまだいいときですよ。それから、とにかく黒字を出して厚生年金特会に百三十三億を繰り入れしたのはたった一回こっきり。

 つまり、巨額の年金の掛金を預かって運用していた年金福祉事業団というこの特殊法人は、一回、百三十三億国庫に入れたことはあるけれども、ほとんど全敗に近く、結局、累積で二兆八千億、これは運用の部分ですよ。御承知のとおり、悪名高きグリーンピアで約六千億焦げつき、そして住宅の貸し付けで八百億損失を出している、非常に悪徳の特殊法人ですよ。

 それで、実はこのときも、予定利回りをそれなりに、四%とか四・五%、していたんですから、本来ならば八兆円ないし十兆円稼いでおかなくちゃいけなかったんですよ、この十三年間で。稼ぐどころか、へこませている。もう大体、この年金関係の問題で、私は、もともと株式には不似合いじゃないかということを強調しておりまして、財務大臣にも、まさに正鵠を得ておるということを答弁でいただいたことあるんですよ、2―2。株式の運用は危険だからと、とにかく国民からの預かり物ですから、私は、この株式の運用はなくす、むしろ、国内の債券を中心にした、郵貯とか簡保と同じような仕組みの方が大事なんだというようなことを強調しておりました。

 そして、実は最近、これはエコノミストの水野和夫先生の説でもありますけれども、三十年間、日経平均でずっと投資していても、実は国債の利回りも悪いんだということを、二〇〇〇年の十二月に明らかになっているんですよ。そのことも御指摘しまして、森理事長に勉強せいと言いました。坂口厚生労働大臣も御存じです。

 そのとき、塩川大臣はこんなふうに言っておられますよ。

 上田さんのおっしゃることを私もずっと聞いていまして、まさに十分研究しておられることで、それは正鵠を得ておると思っております、そういう状態でありますから、小泉内閣で今度徹底的に調べてもらったのです、大体、行政専門でやっている人に大きな金を預けてうまくできるものかといったら、これは私、専門違いのところに渡しているようなことになる、そう思うのですよ、ですから、これは一回徹底的に調べる必要があるだろうと思っておりまして、その一環としてお答えしたいと思いますと。

 非常に財務大臣は的確に物事を判断される、非常にシャープな頭を持っておられる。しかし、ちょっと気になるのは、忘れっぽいもので、このときのことを覚えておられるかどうか。調べていただきましたか。

塩川国務大臣 それは、年金運営資金の問題は、審議会がございまして、そこで、何%分はどういうふうに使うとかいう、そういう安全弁を講じるためのルールをつくっておる、そのルールに従ってやっておるというふうなことでございました。

 私は、大体思いますのは、そういう基金がデフレ時代に、そういうリスクの多いところに運用するということは、私は、これはどう考えても、素人が考えても危ないことだと思います。

 デフレ時代とそれからインフレ時代とは違うんですから、インフレといいますか、高度経済成長時代、つまり、今問題は、そういう特殊法人等の資金の運用は、やはり依然として高度成長時代の考え方の上に立ってのしきたりが適用されておる。この際に、やはりデフレ下におけるところの資金の運用ということを根本的に考えてもらわなきゃいけないんじゃないか、そういうふうに私は思っております。

上田(清)委員 まさに財務大臣の答弁は正鵠を得ていると思います。

 そうすると、坂口厚生労働大臣、これは十三年度、十四年度、国内の株式に市場関係の運用額約二十八兆円を二五%、外国株式に一四%、合わせて四〇%もかけているんですよ。運用しているんですよ。その結果がこうなっているんですけれども、私はこれをやめろと言ったんですよ。森理事長も勉強すると言ったんですけれども、どういう勉強の報告をしたか、お聞きしたいですね。

坂口国務大臣 まさしく御指摘になりましたところを見直すというので、昨年の十月から検討会を立ち上げまして今やっております。それで、この二月の末には結論を出したいというふうに思っております。それまでの間に、私自身もいろいろ勉強をいたしておるところでございますが、その中でいろいろの御議論をいただいているところでございます。

 私個人の気持ちからいえば、上田議員と同じで、これから堅実なやり方をしていく方が安全だというふうに思っておりますけれども、しかし、ここは年金の問題でございますから、やはり長期の立場に立ってこれからよく見ていかなきゃならないというふうに思っている次第でございまして、二月までにきちっとした結論が出せるように、私も一層の勉強をしたいと思っております。

上田(清)委員 大臣、言ったでしょう。長期もだめだと言っているんですよ。今、長期だったら何とかなると言っているんですか。お答えしてください。

坂口国務大臣 年金の問題でございますから、年金というのは非常に長期にわたっての問題でございますから、長期にわたっての物の見方をしていかなければならないということを申し上げたわけでありまして、だからといって今の状況を続けていくというのは、やはりこれは考えていかなきゃいけないということを私は言っているわけでございます。

上田(清)委員 念のため申し上げますが、三十年間移動平均だけじゃなくて、もう五十年なんですよ、データ的には。

 それから大臣、私に言わせると、年金資金運用基金は犯罪的ですよ。厚生年金保険法の第七十九条に、この運用の目的はきちっと書いてあるんですよ。これは資料の2―3に書いてあります。「積立金が厚生年金保険の被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ、将来の保険給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、専ら厚生年金保険の被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたつて、厚生年金保険事業の運営の安定に資することを目的として」いると。安全かつ効率、全然安全じゃないじゃないですか、こんなに損失を出して。冗談じゃないというんですよ、実質的にもう十兆円ぐらい損しているような話なんですよ。

 それから、わざわざ後ろの五行目ぐらいのところにちょっと書き加えておりますけれども、「運用職員の責務」ということで、職員の責務まで明らかに法律で書いてある。こういうのは例がないですよ。それほど慎重かつ丁寧に国民の預かり金をきちっと運用してふやして返せという話なんですよ。

 最近の話は何ですか。年金受給者の、もうぎりぎりで、いよいよ年金をあしたからもらうというときになったら、済みません、ちょっと待ってください、三年先にしてください、五年先にしてくださいという話。そして、保険料は上がる、受給額は減る。

 こういう話ばかり出ているときに、実際、厚生労働省が所管している特殊法人の年金運用基金がぼこぼこ穴をあけているというのは、一体どういうことだということになってしまうわけですよ。

 それで、総務大臣、貴重な、また、厚生年金と国民年金以上に巨額の郵便貯金、簡易保険、これを運用されておられるわけでありまして、この運用の基本姿勢はどんなふうになっているんですか。どうも年金の方が心配だから、念のために。

片山国務大臣 御承知のように、郵政事業は四月一日から日本郵政公社に、百三十二年ぶりの大改革になります。

 そこで、今度は公社で運用するということになりますけれども、今までも基本的には、国民の皆様からのお預かりした金ですから、安全確実というのがもう常に大原則でございまして、そういうことで今、公社移行のための設立委員会議で御検討いただいておりまして、おおよその運用の中期経営計画を合意されたようですから、それが私のところに認可申請で来て、認可すれば決まる、こういうことになるわけでございまして、細部は見ておりませんが、基本的にはそういう考え方を踏襲していただいていると思っておりますし、またそういう点で我々もチェックしてまいりたい、こういうふうに考えております。

上田(清)委員 総理もお聞きいただきたいんですけれども、実は、郵貯、国内債券が、十四年度の九月末ベース、半期ベースで、九三%が国内債券。中期的にも、国内株式だとか外国債券だとか外国株式は四%以下にしたいという、ちゃんと事業計画が、運用計画が出ているんですね。同じように、簡保も、もちろん商品が違うので、こちらは生命保険ですから、幾らか緩いですけれども、あの年金運用基金みたいに四〇%も株式なんかに使っていないですよ。八〇%ですよ、八四%、国内債券が。当たり前でしょう、こんなデフレ時代に。先ほど財務大臣も言われましたけれども。これは方向転換しないとだめなんですよ。

 なぜできないか、わかりますか、大臣。大臣が一生懸命、研究しなくちゃいけないとか言っておられても、部下はやっていないんですよ。癒着なんですよ。利権になっているんですよ。2―4、厚生労働省の天下りの実態。関係団体で二千人も天下りしている。こういう人たちがいる。それから、信託銀行や投資会社に毎年三百億から四百億手数料を払う。ここは天下りを受け入れている。ずぶずぶの関係もできている。

 おまけに、これは国民の皆さんが聞いたらもう腹が立ってきますよ。これは、厚生年金保険制度の回顧録という、厚生省絡みの財団である厚生団が発行した本なんですよ。この年金制度ができたころの立て役者の花澤さんという人を囲んで、対談ですけれども、対談者の相手は大体年金局長だとかやった人たちばかりです、四人ほど。その花澤さんがどんなことを書いているかを、資料の2―5と6に書いてあります。

 これ、いいですか、「この膨大な資金の運用ですね。これをどうするか。」「いちばん考えましたね。この資金があれば一流の銀行だってかなわない。今でもそうでしょう。何十兆円もあるから、一流の銀行だってかなわない。これを厚生年金保険基金とか財団とかいうものを作って、その理事長というのは、日銀の総裁ぐらいの力がある。そうすると、厚生省の連中がOBになった時の勤め口に困らない。何千人だって大丈夫だと。金融業界を牛耳るくらいの力がある」と。

 「そして年金保険の掛金を直接持ってきて運営すれば、年金を払うのは先のことだから、今のうち、どんどん使ってしまっても構わない。使ってしまったら先行困るのではないかという声もあったけれども、そんなことは問題ではない。貨幣価値が変わるから、昔三銭で買えたものが今五〇円だというのと同じようなことで、早いうちに使ってしまったほうが得する。」と。

 そして、「何しろ集まる金が雪ダルマみたいにどんどん大きくなって、将来みんなに支払う時に金が払えなくなったら賦課式にしてしまえばいいのだから、それまでの間にせっせと使ってしまえ。」と。そのとおりやっているんですよ。

 だから、先ほど申し上げました年金運用基金というのは、この年金福祉事業団の遺伝子が入っておるんですよ、悪の遺伝子が。だから荒っぽくお金を使う、どう残すかという議論は一つもできない。どんなに審議会が物を言っても、その審議会どおりしないんですよ。これは総理が得意の、ぶっつぶすしかないんですよ。三月までに、どうですか、総理、ぶっつぶしませんか。

小泉内閣総理大臣 いや、上田議員の御指摘、実に大事なところを突いておりまして、だからこそ私は、年金福祉事業団、これは廃止しなきゃいかぬと言って、厚生大臣のときに廃止を決定したわけですよ。なぜかというと、年福も簡保も、ホテルとか保養地をつくって利益が上がるわけないんですよ。それを、今までよくこんなことを続けてきたなということから、私は、この問題を整合的にやらなきゃいかぬということで、郵政の民営化から財投から特殊法人の改革、やったんです。

 今、年金の問題、非常に重要な点です。これは、デフレ下の運用で、安全、確実、有利、この商品というのは実に難しいですよ。よく考えてみると国債ぐらいしかないんじゃないかと。(発言する者あり)国債もこういう状況で、だから、そういう点、難しい点もありますけれども、今の視点を踏まえて、これは現状のままではよろしくないものですから、何とかこの特殊法人改革の一環として、今のものを壊してどういう新しいものをつくったらいいかということを真剣に考えなきゃならない問題だと受けとめます。

上田(清)委員 予定ではまだまだ実はぶっ壊す話になっていないんですよ。

 特殊法人改革に、総理、大変、先ほども菅代表のときの質疑の中で、いろいろな公約もあるけれども、私の大公約は行財政改革だと言われました。私は、勢いとお気持ちはよくわかるけれども、本当に実践できているのかという検証をするために、実は、認可法人の八十六をくっつけて百六十三にして、今回特殊法人改革やりましたから、非常に、百六十三もなってきたら、わけがわからなくなってきました。

 それで、特殊法人のもともとの七十七だけをどうなったかということを整理したのが1―1表です。ちょっと総理も恐縮ですけれども見てください。どうなったか。案外追っかけていないんじゃないですか、総理、本音のところで言えば。指示はしたけれども、丁寧に見ていただかないと、本当にできているかどうかわからないですよ。

 お聞きしますけれども、具体的に特殊法人は廃止か民営化だと言っておられました。しかし、さはさりとて、いろいろまだあるんで、とりあえず独立行政法人でもやむを得ぬか、そういうお考えのもとに整理をされたと私は多少は同情しております。具体的に、総理、民営化できたのは何ができたんですか。いいですよ、行革大臣でも構いませんよ。

石原国務大臣 個々に……(上田(清)委員「いや、二つ三つ、何も見ないで言えるものだけ言ってください」と呼ぶ)道路公団四公団を民営化いたします。したものは、個別の法人を言いましょうか。(上田(清)委員「見ないで、私も見ないで言えますよ」と呼ぶ)個別法では、石油公団、金属鉱業事業団、特殊会社でありますJR東日本が昨年度完全民営化等々でございます。

上田(清)委員 石原行革大臣、石油公団はことしじゅうに廃止ということでありまして、しかも金属鉱業事業団に吸収するという仕組みになっていまして、明確な意味での廃止じゃないんですよ。しかも、これは独法になるんです。見てください、個別法八のところで、皆さんも見てください、実は余りできていないんですよ。JR三社はもともと民営化されていたんです、中曽根内閣のときに。ただし、もちろん完全民営化でも、それはそれでうんと進んでいるんですけれどもね、むきになって誇るほどのことはない。たばこ産業だってそうですよ。

 では、何が民営化できたんですかという話になってくると、ないんですよ。道路公団はこれからの話。こういうことですよ、総理。総理、意外に意外じゃないですか、どうですか、感想。

小泉内閣総理大臣 これは時間がかかりますよ。それは、道路公団民営化にとっても手続踏んでやらなきゃなりません、民主主義ですから。郵政公社も民営化の第一歩と私は言っていますけれども、公社からいずれ将来民営化を目指してやっているんですから、これは急にはできません。しかし、本格的にやるために、私は、道路公団も石油公団も住宅金融公庫も、郵政の公社化をしていずれ民営化に持っていくというのは、本格的にやり始めているんですから、そんな一年や二年でできっこないです。

上田(清)委員 もっと早くできるものだと国民は期待しているわけですし、三十二と八と一で、合わせて四十に手をかけて、現状維持が一つと、残ったのが三十六。手をかけたのが四十で現状維持が一でこれからやりますというのが三十六で、特殊法人七十七の行方というのは、余り行方がない。

 それから、総理、独立行政法人のいいとこ取りというのは御存じですか。私は、幾つかの委員会で明らかにしておるんですけれども、1―2、見てください。

 まあ本当に独立行政法人というのは、橋本内閣のときに目玉になったいわゆるエージェンシー、イギリスのエージェンシーをまねしたというんですけれども、似て非なるものができてしまいました。五十七のうち五十六が、身分は国家公務員ですよ。人員は、旧組織から九百五十六人ふえました。マイナスになったのは一法人だけ。役員報酬は閣議の決定に拘束されないということで、特殊法人の役員とか事務次官より高い人がいる。そして、二千万円以上の報酬をもらう役員が十一法人もある。

 退職金だけは悪名高き特殊法人方式。総理、よく御承知ですよね。月額で退職金をもらっていくという世にも不思議な物語です。だからぼんぼんふえちゃう。毎月退職金がつくんですよ。いいですね。百万円の報酬をもらっている人は、百分の三十六掛けるの勤続月数ですから、これが退職金ですから。それで、独立行政法人は特殊法人から変わったはずなんですけれども、ちゃんとこの部分だけは引き継ぐ。いいとこ取りですね。

 それで、石原行革大臣、あなたは三割カットしたなんて喜んでいるけれども、冗談じゃない。三割カットしたって、百分の二十八、もし四年任期務めたら、たった四年で一千三百四十四万ももらえるじゃないですか。一生かかってもらう金額じゃないですか、普通のサラリーマンだったら。これで三割カットしていいと思うんですか。総理、思うんですか。こんなものでいいんですか。総理にほしいですね。

石原国務大臣 一生懸命働いている人の退職金をゼロにするのがいいのか、どれだけの仕事をした人にどれだけの金額を与えるのか。常識的な線からいって、一遍に退職金をゼロにするとか半分にするとかということはできないと思います。

 不断の見直しは行っていかなければならないと思います。

上田(清)委員 自前で運営している独立行政法人であれば構いません。一切の国からの補給金をもらわない特殊法人であれば問題ありません。この1―2にも書いております。この独立行政法人にも、ただでつくっているんじゃないんですよ、ちゃんと一般会計及び特別会計から運営費交付金、施設整備費補助金等の補助金が支出されているんですよ。平成十三年度は三千七百六十億。決して低くないですよ。そして、十四年度はまた百億ぐらいふえています、三千八百億。

 総理、歳出カットを行革でということで、この特殊法人改革で一体幾ら削減できたんですか。率直に、腰だめの数字で結構です。

石原国務大臣 一昨年度一兆一千億程度、今年度で三千億程度でございます。

上田(清)委員 それが違うんですよ。表面上の数字ですよ、それは。表面上の数字でしょう。

 いいですか、確かに、一兆一千二百五十三億、平成十四年度の予算額では減額している。しかし、十五年度に設立予定している独立行政法人に対する政府支出、財政支出等は八千八百五十七億円ですから、足し算、引き算すれば二千三百億。一兆一千億なんという削減はできていないんですよ。(石原国務大臣「十四年度が一兆です。今年度がプラスなんです」と呼ぶ)いいですから、それは委員長の了解をとってからしゃべってください。だから、注意をしなくちゃいけないのは、常にそういうふうにしてごまかすんですよ。ごまかしのテクニックなんですよ。

 だから、これを、石原行革担当大臣というよりは、かわいそうですよ、総理、丸投げばかりしちゃ。きちっと総理も応援しないと。私はそう思いますよ、本当に。

 おとといだって本会議で石井副代表の質問に答えて、私は、歳出カットだ、行革で歳出カットだ、行財政改革で歳出カットだということを強調されておられましたし、きょうも言われておりました。だから、どこで本当に切られるつもりでおられるのか、どこをどうすれば歳出カットになるのかよくわかりません。

 今、石原行革担当大臣が言われましたけれども、現実的な数字はまた別な話です。数字で出てきた一兆一千億の話と実際使っているお話とまた別ですから、足し算、引き算しているうちに、わけがわからなくなります。

 本当によく御承知だと思います。国の財布は一般会計だけじゃありません。八十数兆の、特別会計で三百三十兆を使っています。ダブルカウント、トリプルカウント、全部抜いたら本当の数字は二百六十兆でしょう。この二百六十兆を十分明らかにしていないでしょう。

 だから、来年度の予算で国民負担をふやす話が幾つもあります。細かい話になっていけば、たばこだ、発泡酒だ、年金だ、医療費だ、二兆円を超える金額が出ております、いろいろな研究所の発表でも。我が党でも二兆二千五百億という数字をはじき出しております。しかし、さっき言ったように、年金の運用だけで半期で二兆円すっていれば、財布は一緒ですよ、ここに一般会計がある、ここに特別会計がある、日本国の財布は一緒ですから、知らないうちにこっちの方で穴があいているわけですから、何にもならないんですよ、この二兆円の増税なんというのは。

 総理、本当に時間がかかると先ほど言われました。かかる部分もあります。しかし、特別チームをつくって、さっきの年金資金運用基金なんか三月末に廃止するぐらい、やれないですか。少なくとも一年以内にやるとか。どうでしょうか。私は危機を持っていますよ、この年金に関しては。きょうテレビを見た人があしたから納付するの嫌だと言っても、私の責任じゃないですからね。本当に総理、きちっとした答弁をしないと大変なことになりますよ。

小泉内閣総理大臣 私は、行財政改革が先だというのは、消費税を上げろという議論が出てきたから、私の在任中は消費税は上げない、行財政改革が先だ、むだな歳出を削るのが先だということをやって、今回の特殊法人改革も、これは総合的な改革で、一年や二年で今やれと言ったけれども、今、一年でやめると言ったら年金を掛けている人はどうなるんですか。できるわけないでしょう。だから、段階を踏んで、順序を踏んでやると。しかも、一特殊法人じゃないですよ。全特殊法人にかかわるから、私は郵政の民営化から、道路公団民営化からやっているんです。これを一年や二年でできるといったって、絶対無理ですよ。では、郵政民営化を一年でやれと言われてできるんですか。道路公団、一年で民営化するというのはできるんですか。そうじゃないでしょう。

 だから、この独立行政法人、今ちゃんと統廃合あるいは民営化、できないなら独立行政法人。全部独立行政が必要ないというんじゃないんです。必要なのもあるんです。それは御存じでしょう。

 そういうのを手順を踏んで、独立行政法人になったらそれでいいと思っていません。ちゃんと見直している。三年後にまた見直す。時間がかかりますよ、それは。一気にできない。今までみんな言わなかったことをやって、一気にできるわけないじゃないですか。民主党自身だって、全部賛成とか言わないでしょう。そういう点を今やっているんですから、段階を踏んで、手順を踏んで、私の段階においては消費税は上げない、むだな支出、行財政改革を徹底的にやるんだということで言っているんですから、上田さんとは協力できる面がたくさんあると思いますよ。

上田(清)委員 総理、例えば、現実に昨年の方針の中できちっと出ているじゃないですか、年金資金運用基金は十六年度までに検討、決定と。こんなにゆっくりしているじゃないですか。来年になって検討して、その後どうするかを決めるという話ですから、随分ゆっくりした話じゃないですか。

 第一、大蔵省の理財局で、国債百兆円は二人で動かしているんですよ、実質的に二人で。ところが、この百五十兆の年金は年金資金運用基金、百七十人がかかっておりまして、おまけに何十社というところに委託をしておりまして、手数料を毎年三百億払っていまして、これは、債券を買う話だったら来年だってできるじゃないですか、四月から。厚生省でできるじゃないですか。だって、郵政事業庁でやっているんだから。すぐできるじゃないですか、その気になれば。そう思いませんか。

坂口国務大臣 先ほども述べましたとおり、この年金運用部資金の問題は、その廃止も含めて検討するということにいたしておりまして、それらの問題も含めて、これはことしじゅうに決着をする。そして、その前に、実際の資金運用につきましては、もう二月末ないし三月の頭には結論を出すわけでございまして、そこで責任を持って解決したいと思っております。

上田(清)委員 今、大臣は、ことしじゅうに廃止も含めて決定する。本年度ですか、それともことしじゅうですか。

坂口国務大臣 これは、ことしじゅうということに石原大臣との間で合意をしているところでございます。

上田(清)委員 十二月までということですね。

 では、内閣府で出している広報誌の「時の動き」には十六年度中と書いてありますよ。ことしじゅうということは十五年度中ということじゃないですか。どっちですか、本当は。

坂口国務大臣 来年の、平成十六年の国会におきましては年金の改革案も出させていただかなければならないわけでありますから、それまでにすべてのことの決着をつけなければならないというふうに思っております。

 したがいまして、年金の問題につきましても、ことしの末までには結論を得なければならないというふうに思いますし、それらに合わせてすべてを決着したいと思っております。

上田(清)委員 わかりました。内容が決まるのがことしじゅう、そして、制度改革に向けての動きが来年から、こういう理解でよろしいですね。間違いありませんね。間違いないということだけ確認させてください。うなずいておられるだけですから、危ない。

坂口国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございまして、そのとおりでございます。

上田(清)委員 ありがとうございます。

 それで、最後になりますが、実は、こういう、大変すてきなというんでしょうか、あちこち転勤される方に非常に配慮をした制度の仕組みがあります。

 実はこれは、東京二十三区の方々は、公務員の基本給に一二%の調整手当がつく。まあこれは、都市の民間との賃金格差の解消だとか、さまざまな物価調整だとかありますから、この左上の部分は何の問題もない、こんなふうに私も考えるところであります。ただ、四十二年以来動かしていないもので、やはり物価もいろいろ下がってきていることだし、このことも少し研究をする必要があると思います。

 それよりも問題なのは、この右下の、あちこちから見たら左になるかもしれませんが、昭和三十六年に異動保障という概念に基づく給与法の一部改正をやりまして、何をやったかというと、東京から青森に転勤して、半年間だけは激変緩和措置で東京と同じ一二%を取ってもいい、そういう仕組みなんですね。ところが、知らず知らずの間に、この東京の調整手当を、青森に行こうと鳥取に行こうと三年間は異動保障をする、こういう制度があるんですよ。

 どうもおかしいと私は思っておりまして、中にはこういう世界にいると私も性格が悪くなりまして、ペーパーだけで異動するやつがいるんじゃないかと思ったもので、いろいろ調査しましたらやはりありました。例えば、鳥取から本当は松山に行かなくてはいけないんだけれども、一日でも一週間でも東京経由で松山に行くと、この一二%の調整手当がついてくるんですよ、三年間ずっと。こんなすごい話があるのかと総理もびっくりされたでしょう。この異動保障そのものもびっくりされたでしょう。私もびっくりしたんです。だから、もともとはこの昭和三十六年の六カ月、これは激変緩和措置、これは国家公務員です。

 それで、六カ月の激変緩和は何か少しわかるような気がする。急に寒いところに行ったから洋服を買ったかもしれないとか、少しは何かわかるような気がいたします。しかし、それが一年になり二年になり三年。私は、農水省だけ一つ調べてみました。そうしたら、九五%また東京に戻ってきます、東京から出ていった人は。九五%戻ってきます。それは明らかにしております、決算かどこかの委員会で。

 しかし、人事院の総裁、来ておられると思いますけれども、人事院の総裁は各省庁の人事管理上の必要な制度だからということで言っておられるから、私はそうは思わぬねと言って、福田長官にもお尋ねしたら、ややちょっと疑問があるなというようなニュアンスのことを答弁でしていただきまして、ああ幾らかましだなと思ったんですけれども。

 総裁、おいでですね。やはり各省庁の基本的な見解として、この異動保障制度というのは人事管理上必要だと、今でも言っていますか。

中島政府特別補佐人 異動に伴う経済的な影響というものを緩和するためにこの措置をとっているわけでございますけれども、人事異動というものを円滑に行うためには、この制度は必要だというふうに各省の官房は言っております。

上田(清)委員 実は、ここに、資料集の中に、余りたくさんあってしつこいんですけれども、3―2から、実は委員会でこれはやりとりをしておりまして、きょう決着をつけたいと思っていますので、あえてやっております。

 人事院の総裁は、とにかく今申されたように人事管理上必要だと。しかし、最初の法律は、総裁、そんなことを言っていないんですよ。激変緩和と言ったんですよ。改正のとき、今度は人事管理上と言っているんですよ。何でこんなに食い違うんですか、同じ法律なのに。

 それで、実は、本当に海上保安庁などは一生懸命やっておられるので、私は敬意を表しています。沖縄管区に行かれるとき、大変だろうという御配慮で、実はこの数年、必ず神戸か横浜を通して、毎年大体約五十人スルーしていまして、それはそれで別の手当を考えていただきたいと思います。しかし、そういう制度を利用する、悪用することが大変問題だと私は思っておりまして、早速副大臣には、今後一切しないという答弁はいただいておりますが、私は個別に、本当に今人事院の総裁が言っているように、官房はこの異動保障は必要だと言っていると。私は、百人が百人、千人が千人、私の後援者にこの話をしたら、全員だめだと言いました。

 扇大臣、どうぞ。

扇国務大臣 今上田議員がおっしゃいましたように、これは決算行政委員会で御指摘がございまして、昨年の十一月の十四日でございましたけれども、御指摘を受けて、そのときに初めて私もこの仕組みがわかったわけで、それまで私も存じませんでした。

 けれども、海上保安庁としては、特に今おっしゃったように、後は改正したんですけれども、十一管区というのがございまして、御存じの沖縄等でございますけれども、名護、それから那覇、そして中城、平良、石垣、この地方に行く人たちが大変、希望がないというと変ですけれども、なるべくなら行きたくないという御希望も多くて、その人たちを、一たん横浜へ行ったりなんかして、そういう制度を利用して保障していったということが、私は、それがいけないということをよく本人たちも、あるいは海上保安庁も、これを皆さん方が海上保安庁の職員としてあるまじき行為であるということで、心から私もおわびを申し上げながら、これは改正していくべきであるというふうに海上保安庁に言っております。ただ、そういう僻地に行く人たちに対しての何らかの、精神的なものとか何かは必要であるとは思っておりますけれども、それが長くならないように、三カ月ということは長過ぎるのではないか、また、帰ってきてからも三カ月続いているというのは……(上田(清)委員「三年」と呼ぶ)三年というのは長過ぎるということは事実でございますので、これは改正させていただいて、謝っておきたいと思います。

上田(清)委員 扇国土交通大臣は、三年は長いんじゃないか、改正させていただきますということですけれども、給与法ですので、多分所管のエリアではないと思います。

 塩川大臣、塩川大臣も、これを予算で認めるかというようなときに、これはおかしなことだという、まさに正鵠を得た答弁をされましたね。改めて、この異動保障は、財務省でも官房から、やれ、やれと言っているんですか。

塩川国務大臣 私は、昨年の十一月、上田さんが質問された決算委員会でしたか、それで私は初めて知りました。あら、ぼろいことあるんやなと思って聞いておったんですが、しかし、これは確かに、激変緩和は多少は考えてやらにゃいけないが、三年とか何年というのはちょっと行き過ぎだ。ですから、やはり本人も異動するということは精神的にも大変なことですから、ある程度の期間は見てやるということ。しかし、この制度を悪用して人事を動かすということはよくないと私は思います。

 もしそういう勤務地があるならば、その勤務地に対しての手当は見てやるということにしてもいいとしても、この制度を利用して人事を動かす、こういうことはよくないと思います。

上田(清)委員 人事院総裁の言っていることと、どうも大臣たちは違う意見を言っておられますので、一、二まだ聞きたいと思います。

 法の執行をつかさどる法務大臣、官房の方はどう言っていらっしゃるんでしょうか。大臣はどんなふうに考えられるんでしょうか。

森山国務大臣 この異動保障制度というのは、人事院の総裁がおっしゃいましたように、異動に伴う経済的あるいは精神的な影響を少しでも和らげるため、異動が円滑に行われるようにという趣旨で始まったものだと思います。

 その趣旨は確かに重要なことだと思いますが、その具体的なやり方について改めるべき点があるかというふうに私も思いますので、今既にお話しなさいましたほかの大臣方の御意見もよく伺いまして、改善するべきものはしていかなければならないと思います。

上田(清)委員 ちょっとお待ちください。

 本会議で、僕らのところでいつも平沼大臣が非常に誠実に、余り原稿を見ないでお答えしているのに、尊敬で、我々も立派な大臣だなと言っております。立派な答弁が聞かれるんじゃないかなと思っておりますので、この問題についてひとつよろしくお願いいたします。

平沼国務大臣 私は、異動保障というのは、やはり、人事の円滑化等で、僻地に行くですとか、また家族と離れて行く、そういうことでは異動保障の考え方自体は必要だと思っています。

 ただ、私どもの役所で調査いたしましたところ、昨年の七月一日では七百九件ございました。そして、先ほどちょっと上田先生御指摘の短期の異動というのが実は八件ありました。これは、任地から研修という形で東京を経由して、そしてさらに任地に行く、こういうことでございまして、これは明らかにおかしいということで、昨年の八月以降はそれは適用しないことにしております。

 しかし、各大臣から御答弁ありましたように、三年というのはやはり今の現実から考えますと大変長いような気がいたしますし、これは最終的には私決定権を持っておりませんけれども、内閣としてもこれはしっかりと検討すべき課題だ、このように私は思っています。

上田(清)委員 総務大臣が先ほどからうずうずされておられますので。

片山国務大臣 これは給与法で決まっているんですよ。給与法というのは内閣の中で私のところが所管なんですよ。ところが、給与というのは、これは基本的な職員の勤務条件ですよね。それは、労働基本権制約の代償機関である人事院の勧告を受けて私のところで制度化するんですよ。

 だから、人事院の勧告権の範囲でございますが、今いろいろな大臣からいろいろなお話ございましたが、今の情勢から見て、やはり国民の納得が得られる制度でなきゃいかぬと私は思いますので、人事院はもう一度各省庁の官房の意見をよく聞いて何らかの勧告を出していただければ、それに応じて私の方が対応いたします。

上田(清)委員 青森が書いてありましたので、青森県がやっているわけじゃありませんので、一応農水大臣にも最後。

大島国務大臣 人事異動の円滑化という視点からはこの制度は必要だと思いますが、まさに、悪用をしては絶対ならないことであるし、さまざまな問題点について人事院でしっかり勉強しながら、そういうものを踏まえて、改正しなければならないところは改正すべきだと思っております。

上田(清)委員 中島人事院総裁、今お聞きされた大臣の答弁、官房と乖離がありますね、意見が。国民とはもっと乖離があると思いますよ。あなたは国民が見えていないんですよ、この間から全然。あなたに実はこのことが、各省庁の言うことを聞くんじゃなくて、各省庁に言うことを聞かせるのがあなたの仕事なんですよ。だから独立委員会じゃないですか。

 大体、私がこの問題を指摘して、人事院はその後どんな動きをしたんですか。たった一カ月、余り人事異動しない七月と八月だけを調べて、三省にまたがって十四件あります、七日で異動した人が五人、十五日で異動した人が一人、二十五日で異動した人が八人。たった一カ月の調査で、しかも人事異動のない時期に。なぜさかのぼって四月と十月やらなかったんだというんですよ、一般的に異動する時期に。全然やる気ないじゃないですか。

 そして、私は大変、この労働権、そういう貴重なというか大事な問題点もありますから、簡単に言えない部分もあるかもしれませんが、どう見ても、国民的感覚から見ると考えられない。都市だから、物価が高いから、賃金が民間と比べて国家公務員の方が低いから、調整手当をくっつけています、では地方に行ったら激変緩和でくっつけて、そのまま三年間また保障します、人事管理上必要だと。だれが聞いてもだれが見てもわからない話を、人事院は平気で、そうですか、ごもっともですというような話を言っているんじゃ、もう解散してもらった方が早いね。

 それで、実は、もう先走って廃止法案も用意しておりまして、ぜひ総理、超党派でひとつこれを出しますので賛同していただきたいというふうに私は思っております。

 その前に、ちょっと人事院総裁……(発言する者あり)異動保障のですね。いいですか、人事院総裁、一つ約束してもらいたいんですが、実は、この一カ月の調査だけの後に海上保安庁も出てきましたし、私のところではまだ精査が終わっていませんが、もう一件出てきております、この異動保障の悪用について。まだ精査が終わっていません、この時点では。それで確信を持てませんけれども、まだほかにもある可能性だってあると思いますので、もう一回この一カ月以内の異動を各省庁に確認していただきたいと思います。この七月、八月という異動の少ない時期じゃなくて、異動の多い時期をきちっと把握してもらいたいんですが、お約束できるでしょうか。

中島政府特別補佐人 昨年の七月に調査しましたのは、別段人事異動が少ない時期ということでやったわけじゃございません。通常、通常国会が終わった後というのは人事異動の時期でございますので、その時期を選んでやったわけでございますので、その点は誤解のないようにお願いしたいと思います。

 質問にお答えいたしますと、ことしの四月なら四月という時期が人事異動の時期として一つあるかというふうに思いますが、そこらをめどに調査をしてみたいというふうに思います。

上田(清)委員 来年度の四月じゃなくて、十四年度の四月を調査していただきたい。そうすると早いんですから。二、三週間ぐらいで結論が出るでしょう。答弁してください。

中島政府特別補佐人 やりたいと思います。

上田(清)委員 余りやりたそうな顔をしてないよ。全然してないよ。腹が立ってきますよ。

 総理、時間も参りました。この異動保障制度、これ、給与法の一部改正という形になりまして、事実上の廃止法案を私は提案させていただきたいと思っております。人事管理上問題だと言ったのは、東京から行く人にとって問題かもしれませんが、地方局で、地方の支局で受け入れる人たちにとっても大変問題なんです。同じキャリアで、地方建設局なら地方建設局、今はもうそう言わないと思いますが、農政局なら農政局で採用された人たちもいます。そこに同じような立場の人が東京から来て、同じ仕事をしてなぜ一二%調整手当がついているんだという現地での不公平感、そういうのがあるんだということを、人事院の総裁、そっちの方も見てくださいよ、中央ばかり目を向けないで。そのことを申し上げて、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。


2003/01/23

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