2004/01/21 >>会議録全文

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小泉総理の施政方針演説に対する代表質問

民主党 松本 剛明

松本議員、首相の答弁拒否を厳しく追及  (民主党ニュース)

 衆議院本会議で21日、民主党の松本剛明議員(『次の内閣』ネクスト防衛庁長官)が菅直人代表に続いて首相の施政方針演説に対する代表質問に立ち、まず「外交によって国益を図ることが国政の最大の責務。小泉首相の世界観は米国一国中心主義の国際社会であり、米国の言い値で何もかも受け入れ、交渉を放棄した外交の怠慢は許されない」と小泉内閣の外交路線を厳しく批判。

イラクへの自衛隊派遣について「派遣の既成事実を積み重ねて逃げ切ろうとする姑息なやり方をしても、われわれは国の未来を憂える立場から首相と見解を異にし、即時撤退を求めて徹底的に議論していく」ときっぱり断じた上で、中東外交への影響、特措法の枠組み問題、国会承認問題、自衛隊の撤退基準、米英等連合軍の後方支援との関係などを質した。北朝鮮問題については「拉致問題の解決へ中国の助力を要請すべきだが、首相と中国首脳との信頼関係が築かれていない。結果が出ていない実態を重く受け止め、解決に向け首相自身が何をするか」と詰め寄った。 
  
 政治改革については民主党提案の(1)逮捕・拘留中の国会議員の歳費凍結法、(2)公共事業受注企業からの献金禁止、企業・団体献金の全面公開、収支報告書等のインターネット公開、斡旋利得処罰法の処罰対象の拡大、(3)衆院小選挙区の一票の格差是正と比例定数の80議席削減、のそれぞれに賛同するつもりはないかと質した。 

 また、経済問題について「首相は日本経済が一向に回復していない事実を直視し、率直に失政を認めよ」と迫った上で、特に中小企業支援のため「担当大臣を任命し、中小企業に手厚い予算を編成し、執行せよ」と提起。雇用問題でも「小泉内閣の雇用に対する数字はいつも言いっ放しのいい加減なもの」と痛烈に批判し、「民主党の試算では15年度予算組み替えで100万人の雇用増を実現できる。貴重な税金を有効に活かさないことは罪。民主党に政権を委ねて予算を編成させた方が国民の幸せにつながる」と喝破した。 
  
 しかし、首相答弁は相変わらず「真摯な議論に資する誠意ある答弁」とは言えず、松本議員は「ほとんど全ての点について聞きたいぐらいだが」として8点について再質問。ところが首相は「全て触れている。あとは委員会で議論して欲しい」と突き放したため、松本議員は再々質問。それでも首相は米国の小型核兵器開発問題にのみ回答しただけで「あとは委員会で議論を」と繰り返したため、議場はしばらく騒然となった。 


副議長(中野寛成君) 松本剛明君。
    〔松本剛明君登壇〕

松本剛明君 民主党の松本剛明です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、施政方針演説について総理に質問をいたします。(拍手)

 まず、先ほどの菅代表の再質問に対する総理の答弁は、まことに残念でありました。雇用に関して、第一次産業、農業のことにまで言及をして聞いたにもかかわらず、手続論にかこつけてお答えになりませんでした。もし手続に落ち度があると認定されたとしても、雇用、農業という重大な問題に、この本会議の大事な場で総理は御自分の考えを述べるのが国民に対する総理の責任だと思います。(拍手)

 申し上げまいと思っておりましたが、一昨日、総理の演説中に、まさかと思いましたが、何人もの閣僚がお休みになっているように見受けられました。きょうは質問がいいからお休みになっている方はいないようでありますが、ぜひ総理には、眠たくなることのないような、真摯な議論に資する誠意ある御答弁をお願いいたします。もし答弁が不十分と考えたときは、時間の範囲内で再質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。(拍手)

 まず、外交から伺います。
 日本は、国際社会の中にあって、外交によって我が国の国益を図ることが国政の最大の責務です。世界の平和と安定の中に我が国の安全と繁栄がある、それゆえに、築き上げるものである平和のために、日本も行動によって国際社会の一員の任務を果たさなければならず、我が国にとって必要なら、自衛隊の派遣も行わなくてはならないと私たちも考えております。(拍手)

 総理は、一国平和主義か国際協調主義かと言われていますが、それなら、間違いなく私たち民主党こそが国際協調主義です。私たちは、それぞれの国が主権を維持し、他国と対等な関係に立とうとする国際社会を考えていますが、総理がもし国際協調主義だとおっしゃるなら、総理の世界観、考えておられるのは、米国一国中心の国際社会なのでしょうか。米国がすべてを支配するから、その要望には従うしかないというのでしょうか。私は、米国はそのような独善的な国であるとは思いません。

 米国との関係は我が国にとっても大変重要です。しかし、一方で、日本の国益のために、関係を維持しつつ、ぎりぎりまで粘り強く折衝する必要があるときがあると思っています。

 同じように米国との関係を重視されるお二人の方が、こう述べています。田中秀征元経企庁長官は、時の内閣は霞が関との距離、米国との距離ではかられるが、一定の距離を保つことが首相の節度、見識であると。そして、最も親米派とも言える宮沢喜一元総理が、小泉総理の米国支持の姿勢はいささか踏み込み過ぎていると言っておられ、米国に振り回されることに警鐘を鳴らしています。総理は、霞が関にもブッシュ政権にも近過ぎるのではありませんか。(拍手)

 日本と米国の国益が一〇〇%一致することはありません。
 例えば、昨年、日本が取り組んできたイラン・アサデガン油田開発について、米国石油メジャーの思惑が背景にあるとも言われる米国からの横やりが入り、日本は優先交渉権を失いました。石油エネルギーは国の根幹にかかわる問題です。平沼前経産相の国会答弁からもうかがえるように、サウジアラビア・カフジ油田の権益交渉に失敗した我が国にとって、かけがえのないぐらい重要な案件であると政府は考えているはずです。核開発が許されないことは当然ですが、アドバンテージを失ったロスは否めません。

 円・ドル為替相場も同じです。大統領選を前にブッシュ政権は、ドル安容認姿勢を示して、昨年だけでも一〇%以上円高・ドル安方向に誘導し、米国の雇用の確保が図られていますが、その分、日本経済には打撃が生じます。

 BSEの問題でも、先年日本で発生したときの米国の対応と、このたび米国で発生したときの日本に対する態度には、相当な落差が感じられます。

 いつも米国の言い値で何もかも受け入れていては、我が国と国民のマイナスははかり知れません。交渉を放棄した外交の怠慢は許されるものではありません。総理の御見解を伺います。(拍手)

 また、力の外交の思想に影響されたのでしょうか、防衛庁長官から、BMD関連、米国向けを超えて武器輸出三原則を緩和する趣旨の発言があったように伝えられております。先ほどの答弁でも、大変わかりにくい回答でございました。もう一度、政府の武器輸出三原則に対する回答を求めます。

 続いて、イラク問題について伺います。
 まず、昨年十一月末、イラクで殉職された奥大使、井ノ上一等書記官、我が国スタッフとして亡くなったジョルジース職員、そして御遺族の方々に、その功績をたたえ、心から弔意を表します。私たちは、お二人の外交官の死を本当の意味でむだにしてはならない、そう考えております。

 そのために、何よりもまず真相が究明されなくてはなりません。事件発生から二カ月、不可解な情報が錯綜するばかりで、政府は、現地にも行かず、積極的な取り組みも説明もないままに終始しています。ところが、我が党の渡辺周議員が米国国防総省幹部にただしたところ、公表していないが、報告書は関係者に送ってある、こういう回答でありました。政府の対応と、米国の言うところの報告書について、答弁を求めます。

 いよいよ陸自先遣隊がイラクに入りました。私たちも、命ぜられた任務に忠実な自衛官諸官に敬意を表し、無事を心から祈っております。

 その上で、今回の自衛隊イラク派遣の是非については、幾ら派遣の既成事実を積み重ねて逃げ切ろうとするこそくなやり方をされても、私たちは、我が国の未来を憂うる立場から、総理と見解を異にし、即時撤退を求めて、国会の場で徹底的に議論させていただく、そういう考えであります。(拍手)

 派遣を認められない第一の理由は、今回のイラク戦争に大義がないからです。総理は大量破壊兵器の脅威を根拠にされましたが、情報操作疑惑は出てくる、いまだに発見されない、いかにいいかげんな理由づけであったか、語るもむなしいほどであります。テロとの闘いにすりかえて済む話ではありません。

 国連憲章は、国連の決議による場合と自衛権行使のケースにのみ武力行使を認めています。自衛のための先制攻撃というブッシュ・ドクトリン、国連を軽んじた武力行使は、世界を大戦前の何十年も昔に引き戻すだけで、到底くみすることはできません。私たちは、世界の安定的な平和のために、国際法に準拠したルールが確立される方向に進むべきであります。

 また、米英主導の占領統治を支援することも問題です。主導する米国ですら国際社会の関与を模索する中で、アジアの一員として、また中東に石油の八割、九割を依存する国として、慎重な中東外交を展開してきた積み重ねをすべて失ってアラブ諸国や世界各国との関係を変えてしまうことが、本当に日本にプラスになるとは思えません。総理の御所見を伺います。(拍手)

 特措法の枠組みにも問題があります。
 先ほど、菅代表は、憲法改正の視点から、正面から議論をさせていただきましたが、その回答は、非戦闘地域理論でありました。非戦闘地域なるものを設定した細工は最初から無理だったんです。国会での議論から既にその理論構成が破綻していることは明らかであります。政府の甘い見通しを覆した現下のイラクは、そのような法のもとでの対応が可能な情勢にありません。直接ツケを払わされる派遣された自衛官が気の毒であります。

 そもそも、長く国会の過半数を制して政権にありながら、いつも安全保障の問題に正攻法で取り組まずにその場しのぎに終始し、憲法改正も、結党以来、もう間もなく五十年ですか、その理念と言いながら、いつも何もかもを官僚任せにして、政治として何もしてこなかった自民党に責任があります。急遽迫られて、急に迫られて場当たりの対応が必要になって、非戦闘地域のような細工をするからおかしなことになるのであります。(拍手)

 私たちの政権担当能力を御心配いただいておりますが、懸念には及びません。自民党の政権担当能力が、この五十年何をしてきたかということで、問われているのであります。民主党は、結党してさして間がありませんが、安全保障にも憲法改正にも真正面から取り組む決意であります。

 国会承認はシビリアンコントロールの根幹です。自衛隊の出動は、武力攻撃事態の防衛出動、周辺事態法やPKO協力法でも、原則、国会による事前承認です。ところが、復興支援を目的とするはずのイラク特措法では事後承認となっており、しかも、政府は、航空自衛隊先遣隊の派遣時期のみが明示された昨年十二月十九日付の一般命令をもって、今後の活動全般についての一括した承認を求めるということですが、これでは白紙委任です。それこそ、政治の責任放棄であります。本来、その趣旨からして、自衛隊による活動はそれぞれ国会による承認を求めるべきであります。国会の関与のあり方について、総理の見解をお尋ねいたします。

 自衛隊の撤退についても、あわせてお尋ねをいたします。
 近くで戦闘行為が行われるに至った場合には、活動の一時休止や避難等を行うとしていますが、どのような基準で、だれが判断して撤退をされるのでしょうか。また、任務は何をもって完了となり、撤退をされるのでしょうか。総理の見解を伺います。

 今回の自衛隊派遣は、人道復興支援と言いながら、派遣そのものが目的化していることは明らかであります。民主党がかねてから現地のニーズの一つが雇用だと申し上げてきたのに、自衛隊派遣に関連して慌てて雇用対策を行おうとする姿勢がその証拠であります。また、国民に説明を避けておりますが、安全確保支援活動、すなわち米英等連合軍の後方支援も行うはずであります。総理の確認を求めたいと思います。

 民主党は、イラク国民による政権が樹立され、明確な国連安保理決議が採択されて、自衛隊の活用も含めたイラクへの復興支援の環境が整うと考えます。イラク国民による政権樹立、国際協調に向けた取り組み、国連主導の復興支援の枠組み実現の見通しをお示しください。

 北朝鮮に関連することについては、私も準備をしてまいりましたが、先ほど、菅代表から提案を含めて要請をさせていただいたところであります。私からも、拉致問題、大量破壊兵器問題の、早急に、完全に解決されることを強く求めてまいりたいと思います。

 一点だけ、お伺いをいたします。
 日本として、多額のODAを供与していて密接な関係にあるはずの中国にも、大変この問題では影響力が大きいだけに、強く助力を要請すべきだと考えます。

 総理が中国首脳との信頼関係を築けず、二年以上、国際会議のときを除いてトップ同士の会談がない、そんな状態が響いているのではないでしょうか。今、結果が北朝鮮の問題について出ていない、その実態を重く受けとめて、解決のために総理御自身が何をされ、政府がどう対応し、しようとしているのか、伺いたいと思います。(拍手)

 昨今、大量破壊兵器、特に核の拡散問題がいよいよ切迫した脅威となっています。この中、小型核兵器の開発問題は憂慮すべき問題であります。昨年、米議会は、十年ぶりに研究解禁を認める法案を可決し、研究予算を要求の半減で合意いたしました。ブッシュ政権が示す使える核への意欲を議会側が条件つきながら認めたことになります。

 使える核が実用化すれば、曲がりなりにも保たれている核の抑止力体制は、確実に崩壊への道に踏み出すことになります。政府は、核不拡散体制を強化するとの立場ですが、小型核兵器開発問題に対する見解を総理に伺います。

 国民保護法制について伺います。
 私たちは、有事法制は必要であるとの立場で、当時の与党三党と修正協議を行い、成立させました。しかしながら、同時に、いかなる場合であっても憲法で定める国民の自由、権利は尊重されなければならないという観点から、特に基本的人権の扱いが極めて重要であると考えております。

 基本的人権の尊重は、政府策定の国民保護法制の「要旨」で配慮事項として明記されましたが、法案化に当たって、いかに具体的に担保され、実質的な歯どめとなるのか、政府のお考えを伺います。

 我が国外交の柱は、日米同盟、アジア外交、国連の三本であります。
 国連について、政府は、安保理非常任理事国選挙への意欲や分担率の見直しを唱えておられますが、これは分担金の軽減を図ろうとしているのか、それとも、世界の平和のために国連が大きな使命を果たせるような改革に、分担金に見合った発言力を確保して戦略的に取り組もうとしておられるのか、総理の御所見を伺います。

 また、FTA締結の動きが加速する中、アジアで中国に後塵を拝するなど、日本の取り組みの遅さが目立ちます。族議員と官僚に意思決定を任せる、FTAと農業をてんびんにかけるような発想から抜け出さない限り、他国との交渉の進展も望めません。アジア外交・通商政策の両面から、政治のリーダーシップで大胆な戦略を持って臨むべきだと考えます。総理の答弁を求めてまいります。

 日米同盟を強化、進化させていくには、両国の国民の理解と支持が不可欠です。昨年、沖縄に関する特別行動委員会最終報告が発表され、期限の七年目を迎えましたが、普天間基地の返還は、現在、実態としてほとんど進んでいません。ブッシュ政権は、今、在外米軍再編に関して関係方面との見直し協議を本格化させるとしています。この機会に在日米軍、特に沖縄の駐留米軍基地問題を進展させるべきと考えますが、総理の見解を求めます。

 次に、教育の問題についてお尋ねをいたします。
 教育は百年の大計とも言われ、米百俵の精神も教育の大切さを示したものと思いますが、めり張りをつけた予算でも教育は重点ではないようで、総理の考え方がうかがえます。

 民主党は、教育の多様性を確保し、子供や教師に加えて保護者や地域の主体性が反映されるよう、地方分権を徹底し、各地域、学校が特色を生かして教育を行えるようにしながら、各ライフステージに必要な教育を実現すべきであると考えています。

 私たちは、マニフェストで、小学校三年生以下について三十人以下学級を提言しました。一人一人に目の行き届いた教育を進めるとともに、教師、子供、地域社会の一員である家族が、それぞれの立場からきずなをはぐくむこともできると考えているからです。総理のお考え、見解を求めます。

 配偶者の暴力の防止に関する法、DV防止法について質問をいたします。
 DVが抱える根の深さに現行法が対応し切れていない現状があり、見直しの必要性の指摘にこたえて、国会で超党派の議員による作業が進んでおります。政府の対応方針について、総理の答弁を求めます。

 我が国の国民と未来のための改革を進めるには、政治に対する国民の信頼を取り戻さなくてはなりません。その観点から、三点質問をいたします。

 第一に、逮捕された起訴勾留中の国会議員の歳費の問題です。民主党は、昨年、凍結法案を提出いたしましたが、残念ながら与党が了解をされず、審議採決に至りませんでした。総理は、昨年、予算委員会で見直すべきだとの答弁をされましたが、私たちの提案に御賛同いただけますか、総理の御答弁を求めたいと思います。

 第二に、政治資金の透明化及びあっせん利得処罰の問題です。民主党は、公共事業受注企業からの献金禁止、企業・団体献金の公開基準を、現行の年間五万円を超えるものの公開から全面公開へ広げること、収支報告等のインターネット公開、あっせん利得処罰法の処罰対象に政治家全般の私設秘書や親族も含めることの四点の法改正を行うべきと考えております。

 民主党の提案に対して、自民党はどう取り組むおつもりか、自民党総裁の総理の決意をお聞かせください。

 また、先ほど額賀政調会長もみずから痛みをと言っておられましたが、現下の社会情勢にかんがみれば、国会議員についてもそのままというわけにはいきません。私たちはマニフェストで、衆議院の小選挙区の一票の格差是正と比例定数の八十議席削減を提案いたしました。総理の御所見を伺いたいと思います。

 経済について伺います。
 十九日に発表された月例経済報告によれば、景気は設備投資と輸出に支えられ着実に回復しているそうですが、国民にとって実感とかけ離れています。政府が作成した「改革と展望―二〇〇三年度改定」でも認めているように、中小企業や非製造業、家計に景気回復の動きが見られないからであります。

 今回の「改革と展望―二〇〇三年度改定」で、十六年度のGDPデフレーターの下落が予想を上回る見通しとなり、十八年度名目成長率二%の目標達成のために計算方式を変えてしまいました。下方修正せざるを得ない状況に追い込まれたらベースを変えるとは、公約は大したことがないと思っておられる総理らしいといえばそれまでですが、公約の中身を変更することは許されることではありません。

 私には改革が進んでいるとは思えませんが、もし総理の言われるとおり改革が進んでいるとしても、効果が上がっていないのではありませんか。一部に明るい兆しがあると言われますが、それは世界経済の好調に助けられているだけで、政策が奏功しているわけでなく、我が国経済が根本的に回復しているのでもありません。
 総理は、経済の状況判断をどのようにされておられるのでしょうか。新丸ビルを見に行かれるのでしょうか。時に都合よくつくられた統計値を頼られるのでしょうか。国民の声に耳を傾ける気はありませんか。事実を直視し、率直に失政をお認めになっていただきたい。総理の認識をお聞きいたします。(拍手)

 いまだ、多くの中小企業や地方は不況の真っただ中にあります。強者と弱者の格差は拡大する一方で、中小企業の経営者、従業員、家族が塗炭の苦しみから逃れることは困難と言えます。十六年度予算を見ると、中小企業対策費はわずかに予算の〇・二%しか配分されていません。余りに少な過ぎる。中小企業行政をより横断的にするために担当大臣を置き、少なくとも歳出額を倍増させるなど、中小企業に手厚い対策をとるべきだと考えております。政府の取り組みについて、総理の見解を求めたいと思います。

 金融も大切な問題であります。不良債権処理が進んでいると言いますが、目的は不良債権処理なのでしょうか。本来、金融仲介機能の回復、守るべき対象は、預金者、投資家及び借り手の企業や個人であるはずであります。しかし、実情は銀行の貸し渋り、貸しはがしで、銀行貸し出しはどんどん縮小するばかり。間接金融に頼らざるを得ない中小企業にとっては、過酷な状況であります。りそな銀行や足利銀行の処理でも、守られたのは金融庁だけだと言ってもいいのかもしれません。大変地域の皆さんには気の毒な状態になっております。

 私たちは、そのような視点から、金融再生ファイナルプランを提案し、また中小企業向けの対策も提案をしております。

 金融失政について率直に反省をして、道を改めていただきたい。総理の御見解をお尋ねいたします。

 税制も、公正で活力ある経済社会の実現には大変大切なポイントであります。その点で、一点だけお伺いをいたします。

 与党の税制大綱は、個人増税のオンパレードであります。年金課税の強化に加えて、十七、十八年度で定率減税の縮小、廃止、十九年度の消費税増税と、年金も地方分権も将来像を全く示さずに、行政改革に目を向けることもなく、ただひたすらに負担のしわ寄せを行おうとしている国民負担増プランであります。与党自民党総裁として、総理は税制大綱に責任があるはずであります。総理の見解を伺います。

 雇用が政治の重大な使命であることは、総理も御認識のとおりであろうというふうに思います。先ほど、菅代表からも雇用についてお伺いをいたしました。我々がここで総理にお伺いをしなければいけないのは、小泉内閣の雇用創出の数字というのは何なのかということであります。

 五百三十万人の雇用創出、二百万人雇用ができた、三百万人雇用が創出された、数字は躍っていますが、雇用の就業者数は減っているんです。もしそれだけふやしたとすれば、それ以上に減らしたという、そういう経済運営を小泉政権はされているということにほかなりません。(拍手)

 これから三百万人の雇用機会を創出されると言っておられますが、少なくとも、来年の経済見通しでは就業者数は横ばいであります。小泉総理がふえる、雇用を創出すると言われた分だけ間違いなく雇用を失う、喪失があるんだというふうに我々は読まなければいけない、聞かなければいけないのか、このことを総理にお尋ねさせていただきたいと思います。

 小泉政権最初の十三年度の補正予算の審議のときに、この補正予算で十一万の雇用効果が出ると政府は言われました。その実績も集計をすると審議のときには約束されましたが、結局、集計も約束も果たされませんでした。小泉内閣の雇用に関する数字はいつも言いっ放しのいいかげんな数字ではありませんか。ぜひ、総理の見解を求めたいと思います。(拍手)

 ことしも八十兆円を超える予算は、使い方次第で雇用をふやすことができるのであります。私たちの試算によれば、十五年度の予算を組み替えると百万人の雇用増を実現できました。貴重な税金を最も有効に使わないことは罪であります。私たちに政権をゆだねて、予算を編成させてみた方がよっぽど国民の幸せにつながる、私はそのように思っております。

 総理の御意見を伺い、重ねて、再質問が要らないような答弁を総理にお願い申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございます。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 松本議員に答弁する前に、先ほど菅議員の追加答弁の要求がありましたので、お答えいたします。

 五百三十万人雇用創出プログラムについてですが、その具体的数字を申し上げますと、二〇〇三年上期を二〇〇〇年上期と比べると、全産業で百五十七万人の雇用が減少する一方、サービス業では百五十五万人増加しており、全体として雇用者は二万人の減少となっております。

 松本議員の質問でございますが、日米関係についてのお尋ねでございます。
 日米関係は、日本外交のかなめであります。お互い協力しながら、世界の中での日米同盟とはどうあるべきか、言うべきことは言い、やるべきことはやる、お互いの立場を尊重しながらやっていくことが必要だと思っております。

 武器輸出三原則についてでございますが、弾道ミサイル防衛システムに関する日米共同技術研究が進む中、これとの関係を踏まえまして、国際紛争等を助長することを回避するという基本理念に立って検討していくことが必要であると考えております。

 イラクにおける我が国外交官の殺害事件についてでございますが、このたび奥大使、井ノ上書記官を失ったことは、まことに痛恨のきわみでございます。我が国としては、事件の真相解明を強く望んでおります。

 また、現在も現地において捜査が継続されているほか、我が国の警察当局も必要な捜査を行っているところであります。連合暫定政府当局及び現地の米軍からは最大限の協力を得ており、随時関連情報の提供を受けておりますが、いまだ事件の最終的な捜査結果が出されたとは承知しておりません。

 政府としては、現地の関係当局とも引き続き緊密に連絡をとりつつ、真相の解明に努めてまいります。

 自衛隊のイラク派遣が我が国の中東外交に与える影響についての御指摘でございます。

 私は、イラクの復興に関して、人道復興支援活動を中心に日本が積極的に取り組むことにより、我が国が必ずやイラク人から評価を得られるものと信じております。したがって、イラクへの自衛隊の派遣によってこれまでの中東外交における積み重ねを失ってしまうとの御指摘は早計に過ぎるものと考えております。

 イラク特措法に基づく自衛隊の活動についてでございます。
 イラクの治安情勢は全般として予断を許さない状況が続いておりますが、これまでの調査や各種の情報を踏まえ、いわゆる非戦闘地域の要件を満たす地域に自衛隊を派遣するものであり、このような地域においてはイラク特措法に基づく自衛隊の活動は可能であると考えております。

 国会の承認についてでございます。
 イラク特措法は、イラクにおける主要な戦闘が終わった後の状況において、人道復興支援の目的で、イラクへの自衛隊等を派遣するために必要な法的枠組みを制定したものであります。したがって、同法が国会の審議を経て成立したことにより、自衛隊派遣について国会の承認が得られたと考えることもできるため、具体的な派遣について事後承認とする仕組みになっている点も特段問題はないと考えております。

 また、国会承認を求めるべきではないかというお尋ねでございます。
 イラク特措法によれば、国会承認の対象は基本計画に定められた対応措置の実施についてであり、具体的には、人道復興支援活動または安全確保支援活動を自衛隊の部隊等が実施すること及びいかなる国において実施するかという点であります。したがって、一つの基本計画に定められている対応措置の実施について一つの国会承認を求めることは適当であると考えます。

 近くで戦闘行為が行われた場合の一時休止や避難等についてのお尋ねでございます。
 自衛隊の部隊が活動している場所の近傍において戦闘行為が行われるに至ったかについては、現場の部隊長等が、計画性、組織性、継続性等の観点から、攻撃の主体、対象や態様などを総合的に勘案して認定することとなります。

 自衛隊の任務の完了についてでございます。
 派遣の終了時期については、イラク特措法の期間内において、現地の政治・治安情勢を考慮しつつ、イラク人による国家再建の進展状況を総合的に踏まえて、適切に判断してまいります。

 安全確保支援活動の実施についてでございます。
 自衛隊の部隊は人道復興支援活動を中心にするとの方針のもと、同活動を行う区域に限って、同活動に支障を及ぼさない範囲で、医療、輸送、修理もしくは整備、補給といった安全確保支援活動を行うこととしております。このことは基本計画においても定められており、かねてより説明しているとおりであります。

 イラクにおける新政権樹立、国際協調に向けた取り組み及び国連主導の復興支援の枠組みの実現の見通しについてでございます。
 政治面では、昨年十一月十五日に、イラク人によるイラク人のための新しい政府の樹立に至る道筋が示され、現在、その具体化に向けた議論が行われております。

 国連の役割については、当面、選挙問題及び治安問題に焦点を当てて議論が行われていくものと承知しております。

 我が国は、昨年末の特使の派遣等、国際協調を強化するため外交努力を行っており、今後も取り組みを継続強化してまいります。

 拉致問題への取り組みについてでございます。
 この拉致問題については、内閣全体の最重要課題の一つとして取り組んでおります。北朝鮮に対しましては、誠意ある対応を求め、早期に政府間協議に応じるよう働きかけてきており、今後とも拉致問題の一刻も早い解決のため、あらゆる機会を通じて最善を尽くしてまいります。

 また、問題解決に向けた国際社会の理解と協力を得るために、中国に対しましても積極的に協力を働きかけ、また、中国側からも積極的な支援を得て六者会合等、中国と日本とそして韓国、アメリカ、ロシア、この六者協議の実現に向けて協力しながら進めていきたいと思います。

 六者会合については、私は、北朝鮮の核やミサイルの問題等を平和的、外交的手段によって包括的に解決すべく、積極的に役割を果たしていく考えであります。我が国は、次回六者会合を前提条件を付さずに可能な限り早期に開催すべきとの立場であり、そのため、関係国と引き続き緊密に連携しつつ外交努力を傾注してまいります。

 国民保護法制についてでございますが、武力攻撃事態への対処においても基本的人権は最大限に尊重されなければなりません。国民保護法制の中では、物資の収用や土地の使用などの処分に当たってあらかじめ任意の要請を行うことや、公用令書の発行、適切な損失補償の実施などの具体的な仕組みの中でこうした配慮を規定してまいりたいと考えます。

 国連改革については、我が国は、国連改革への機運が高まっている現状をとらえ、確実に改革の実現につなげていくために、二〇〇五年に国連改革に関する首脳会議を開催することを提唱いたしました。今後、国連の場での議論や関係国との協議を精力的に重ね、国連改革の早期実現に向けて積極的に取り組んでいく考えであります。

 FTA締結の動きと我が国のアジア外交・通商政策についてでございます。
 我が国は、アジア太平洋地域の安定と繁栄を実現するために、引き続き、二国間の関係強化に加え、さまざまな地域協力を重層的に推進しております。また、韓国やASEAN諸国とのFTAは、我が国の重要な戦略的課題であります。各国の首脳と議論し、交渉開始を昨年、私自身決定したものであり、ぜひ成功させたいと考えております。我が国の取り組みがおくれているのではないかという御指摘は当たらないと思います。

 米軍の軍事態勢の見直しに関する協議についてです。
 在日米軍の軍事態勢の見直しに関する協議においては、在日米軍が有している抑止力が効率的に維持されるとともに、沖縄を含む米軍施設・区域が所在する自治体の負担が十分念頭に置かれるべきと考えており、こうした観点からアメリカ側との協議を進めてまいります。

 教育問題についてでございます。
 発展の原動力は人であります。教育改革の推進は全く最重要問題であるという認識は共通しております。新しい時代を切り開く心豊かでたくましい人材の育成を目指し、画一と受け身から自立と創造へという理念のもとに、地域住民による学校を活用した小中学生の体験活動を支援するなど、各学校や地域の特色を生かしつつ、社会全体で子供をはぐくむ環境を整備してまいります。

 また、民主党は、全国一律の三十人学級を実現するという提案をなされておりますが、政府としては、学級という概念にとらわれることなく、少人数指導や習熟度別指導の充実など、きめ細かい教育の実現に努めていく考えであります。

 配偶者からの暴力の防止に関する、いわゆるDV法についてでございます。
 配偶者からの暴力の防止と被害者の保護は男女共同参画社会の重要な課題であり、政府としては、これまでの法施行の状況を踏まえ、改善要望について、法改正を含めて積極的に対応してまいります。

 起訴勾留中の議員に対する歳費の凍結、一票の格差是正、衆議院議員の定数削減についてのお尋ねでございます。
 起訴勾留中の国会議員の歳費の凍結、一票の格差是正、衆議院議員の定数削減について前向きな議論がなされることについては、私も賛成であります。いずれも議会政治の根幹にかかわる問題であり、今後国会の各党各会派の間で十分議論をいただくべきものであると考えます。

 政治資金につきましては、政治資金の透明性を確保しながら、広く、薄く、公正に政治資金を確保することが認められるルールをつくっていくべきであると考えます。

 献金規制、政治資金の公開基準、方法については、この基本的な考え方に従い、一定の提案について幅広い理解が得られるよう、各党各会派間で十分に議論を深めていくべきものと考えます。

 また、あっせん利得処罰法は、政治倫理の確立や政治活動のあり方にかかわるものであり、さらなる改正が必要かどうかにつきましては、最近の改正の効果などを見きわめながら、各党で議論を深めていくべきものと考えます。

 経済の状況判断についてでございます。
 日本経済は、企業収益が改善し、設備投資が増加するなど、国主導の財政出動に頼らなくても、民需が主導する形で着実に回復しております。雇用情勢は厳しいものの求人が増加するなど持ち直しの動きがあり、物価にも下げどまりの兆しが見られ、今後の政府、日銀と一体となった取り組みの強化により、デフレ克服に向けた着実な進展が見込まれると思います。決してデフレ脱却の見直しを先送りしたわけでもなく、これまでの改革の成果が確実にあらわれつつあるものと考えております。

 今後とも、日本銀行と一体となってデフレ克服を目指しながら、金融、税制、規制、歳出の構造改革を進め、民間と地方のやる気を引き出し、民間需要主導の力強い持続的な経済成長を図ってまいります。

 中小企業についてでございますが、我が国経済の活力の源泉であります。厳しい環境の中にありましても、やる気と能力のある中小企業は現在でも日本にたくさんあります。その力を発揮できるよう、中小企業政策を総合的に推進する立場にある経済産業大臣を中心として各般の政策を進めております。

 中小企業対策予算については、厳しい財政事情の中にあって増額し、千七百三十八億円を計上しております。金融セーフティーネット対策、再生支援策、新たな事業に挑戦する中小企業支援策などに重点化し、今後とも中小企業を支援してまいります。

 金融行政についてですが、政府としては、構造改革を支えるより強固な金融システムを構築するため、中小企業へのセーフティーネットに万全を期しつつ、不良債権問題に強力に取り組んでまいりました。主要行の不良債権残高はこの一年半で九兆円以上減少し、不良債権比率も目標に向け順調に低下するなど、その成果は着実にあらわれているものと考えております。また、無担保無保証融資の拡大など、中小企業金融にも新たな動きが出てきております。

 今後とも、地域や中小企業に必要な資金を行き渡らせるため、金融システムの改革に取り組んでいくことが政府の責務と考えております。

 税制改革は、先般の与党税制改正大綱において、持続可能な社会保障制度の確立、地方分権の推進という課題に対応するため、個人所得課税や消費税を中心に、今後数年間の税制改革の道筋が示されました。

 政府としては、国民の将来不安を払拭し、公正で活力ある経済社会を実現するため、与党大綱を踏まえ、社会保障制度の見直しや三位一体の改革とあわせ、経済社会の動向を勘案しながら、中長期的視点に立って、税制の抜本的改革に取り組んでまいります。

 五百三十万人雇用創出についてでございます。
 経済環境が急速に変化する中で雇用の安定確保を図るためには、雇用減少分野における余剰雇用を吸収し、新たな雇用機会を創出することが重要であります。

 政府としては、サービス分野を中心に、二〇〇五年を目途として、五百三十万人の雇用の創出に取り組んでいるところであります。雇用情勢は依然として厳しく、全体として雇用が増加している状況にはありませんが、就業構造は変化し、この三年間で、サービス分野においては約二百万人の雇用が創出されたと見込まれます。

 昨年六月には、企業・団体向けサービスなど九分野の分野別対策及び横断的対策から成る五百三十万人雇用創出プログラムを策定したところであり、今後とも、同プログラムに基づき、規制や制度の改革、人材育成や公的業務の民間委託などを進め、サービス分野を中心とした新たな雇用の創出に取り組むなど、雇用機会の確保に全力で取り組んでまいります。

 民主党の平成十五年度予算についての組み替え案についてでございます。
 さまざまな政策手段により雇用の創出、維持、確保に努めることは重要であると認識しておりますが、公共事業等の削減により八・八兆円の財源を捻出し、それを雇用対策等に振りかえることにより百万人の雇用増を実現できるという御提案だと思いますが、一方、公共事業削減による雇用へのマイナスの影響も出てくると思います。この点どの程度勘案しているか不明な部分もあるなど、具体的な雇用創出効果が出てくるかどうか、必ずしも明らかではないと考えております。

 政府としては、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を図るとともに、雇用対策に全力を挙げ、平成十五年度予算及び十六年度予算において、求人と求職のミスマッチの解消や早期再就職の支援とともに、若年者や高齢者の雇用対策に万全を期すなど十分な施策を盛り込んでいるところであります。(拍手)

副議長(中野寛成君) 松本剛明君から再質疑の申し出がありますから、これを許します。松本剛明君。
    〔松本剛明君登壇〕

松本剛明君 民主党の松本剛明でございます。
 今の総理の御答弁、残念ながらほとんどすべての点についてもう一度お聞きをしたいぐらいでありますが、時間に限りがありますので、八点についてお伺いをいたしたいと思います。(拍手)

 まず、武器輸出三原則の問題、改めて確認をさせていただきたいと思います。
 拡大をされようとしているのか、それとも弾道ミサイル防衛関連に絞ってなのか、明確な御答弁をいただきたいと思います。

 二点目、奥大使を初めとする外交官が殺害をされた事件に関して、はっきりと国防総省の幹部が報告書を関係者に送ったと言っております。まさか日本政府が関係者でないということはないと思います。そういう報告は承知をしていないという答弁では大変不誠実な答弁ではないかというふうに思います。

 三点目、国会承認の問題でありますが、法で承認をしたに等しいというようなニュアンスの御答弁だったように思いますが、あのとき総理は、法は枠組みをつくっただけで、出すか出さないかはわからないと言われた。今回も、先遣隊を出されて、戻ってきて、報告を聞いて、本隊を出すか出さないか決めると言う。枠だけ決めて承認をしろというから白紙委任ではないかと私は申し上げた。総理のは御答弁にはなっていないというふうに思います。

 四点目、安全確保支援活動についてでありますが、医療、補給等のお話がありましたが、米英等連合軍の後方支援ですねと私は確認をいたしました。もう一度確認を明確にしていただきたいというふうに思います。

 五点目は、北朝鮮の問題。中国について、私自身、総理自身どのようにされるおつもりがあるのかというふうに質問で申し上げました。総理自身が乗り出すつもりがないような問題だとおっしゃるとは思えません。総理自身がどのようにされるつもりなのか、回答をいただきたいと思います。

 六点目は、小型核兵器開発問題であります。これについては御回答をまだいただいてないように思います。総理御自身が、ブッシュ大統領と会われたときにこのことについてしっかり遺憾の意を示すべきだと思いますが、そのことを含めて御答弁をいただきたいと思います。

 七点目は、消費税の問題であります。与党税制大綱を踏まえてということでありますが、消費税を総理がお上げになるのかならないのか、検討するのかしないのか、はっきりとここでお答えになるのが総理大臣の責任ではないかというふうに思いますので、回答を求めたいと思います。(拍手)

 最後に、雇用であります。
 その前に、民主党の予算案についてお話がありましたが、民主党の予算案は、差し引きをした上で、総理の雇用の数字とは違うんです。我々は、しっかり純増で百万人と申し上げているわけであります。総理の雇用創出のように、そのように、純増ではなく、できた分だけをおっしゃるというような雇用の数字を申し上げているわけではありません。改めて、総理が五百三十万人雇用と言いながら、それは純増ではない、同じ分だけ減って、そして雇用は変わらないというのであれば、そのことも含めておっしゃるのが誠意だろうというふうに思います。

 以上、八点について御質問を申し上げて、私の再質問といたします。ありがとうございます。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 余りにも多い再質問ですが、恐らく、松本議員の御質問は、私の答弁に不満であるということはわかっております。しかし、私は、すべてしていると思っております。納得できないということはよくわかります。これは、今後の問題で、いずれ委員会等でもあると思いますが、私は、質問には全部触れていると思っております。

 何かまた御不満があれば、委員会でしていただきたいと思います。(拍手、発言する者多し)

副議長(中野寛成君) ただいま議場内交渉係による協議が続いております。このまましばらくお待ちください。
 松本剛明君からさらに再質疑の申し出がありますが、残りの時間がわずかでありますから、ごく簡単に願います。松本剛明君。
    〔松本剛明君登壇〕

松本剛明君 民主党の松本剛明でございます。
 私も議会の議員でありますから、議院運営委員会のメンバーの皆さんがお決めになったことに従って、改めて質問をさせていただきたいと思います。(拍手)

 お聞きをさせていただくのは、武器輸出三原則についてもう一度明快な政府の御見解を求めた。これが一点。

 二点目は、外交官の殺害に関連して政府の対応と報告書について最初の質問でお聞きをいたしましたが、特に報告書については、アメリカの国防総省の幹部の方がはっきりと関係者に送ったと言ったのに、承知をしていない。その場に。その中で、ああいった答弁では私は納得ができないので、もう一度お聞きをしているわけであります。

 国会承認のことについては、法の枠組み、そして、今回の最初の先遣隊の派遣も、本隊が出るかどうかは先遣隊の報告を聞いてからだというのであれば、それぞれ国会が承認をするべきだというふうに申し上げたことに対して、総理の御答弁では回答にならないというふうに申し上げたわけであります。改めてお聞きをしております。

 四点目、四点目は確認を求めたものであります。
 安全確保支援活動は、医療、補給等というふうに総理は説明をされましたが、米英連合軍の後方支援活動ということで間違いないのですね、イエスかノーかの確認を求めたので、お返事をいただければありがたいというふうに思っております。

 五点目は、最初からそのようにお聞きをしたとおり、繰り返し私はお願いをしておりますが、五点目は、北朝鮮について、中国との関係、総理自身はどのようにされるおつもりなのか、これも最初に質問させていただいた質問を繰り返しております。

 六点目、小型核兵器に対する政府と総理の対応については、まだお答えを全くいただいておりません。

 最後に一点、雇用については、先ほど申し上げた、最初に申し上げたとおりであります。
 私たちは、雇用は純増で見るべきだというふうに申し上げていますが、総理御自身は、創出とおっしゃる数字はいつも純増ではない数字をおっしゃる。ぜひ純増の数字をきちっとお示しをいただきたいということを最初の質問からお願いを申し上げております。

 以上で質問にさせていただきます。ありがとうございます。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 松本議員にお答えいたします。

 米国における小型核兵器の問題です。
 昨年、米国において国防予算授権法が成立し、小型核兵器の研究の再開が認められましたが、これは研究のみを可能とするものであります。開発には別途議会の承認が必要とされており、小型核兵器の実用化を認めるものではありません。

 我が国は、米国政府に対し、本件については、国際世論において核軍縮、不拡散体制に悪影響を及ぼす可能性等について懸念があることも念頭に置いて対応してほしい旨要請しております。

 その他の質問でありますが、私はすべて答えております。不平は、これまた別問題であります。
 本会議の質疑と答弁と委員会の質疑と答弁、よく議運で協議していただきたいと思います。(拍手、発言する者多し)

     ――――◇―――――
小渕優子君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十二日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。
副議長(中野寛成君) 小渕優子さんの動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」「異議あり」と呼び、その他発言する者多し〕
副議長(中野寛成君) この際、小渕優子君の動議を改めて採決いたします。
 賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
副議長(中野寛成君) 起立多数。よって、動議のとおり決まりました。
 本日は、これにて散会いたします。


2004/01/21

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