2005年1月24日

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小泉総理の施政方針演説に対する代表質問

民主党代表 岡田 克也 


議長(河野洋平君) 国務大臣の演説に対する質疑に入ります。岡田克也君。
    〔岡田克也君登壇〕

岡田克也君 民主党代表の岡田克也です。
 民主党・無所属クラブを代表し、先日の施政方針演説に関し、小泉総理大臣に質問をいたします。(拍手)
 総理の答弁いかんによっては、再質問、再々質問することがあることをあらかじめ申し上げておきます。

 まず、昨年末のスマトラ沖大地震とインド洋津波被害に関し、死亡された皆様に対しお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様に対しお見舞いを申し上げます。
 今回大きな被害を出したのはいずれも日本と同じアジアの国々であり、最大限の支援が必要です。民主党としても、募金活動を既に開始するとともに、可能な限りの支援活動を行っています。これまでの自衛隊、NGOなどの活動を評価するとともに、今後、被災地住民のニーズを見きわめながら、息の長い効果的な援助が行われるよう、政府のさらなる努力を求めます。
 先週月曜日は、阪神・淡路大震災の十周年に当たります。私も、神戸市民の皆さんとともに市内を歩き、十周年追悼式典にも参加をいたしました。式典において、被災者を代表して、夫と娘さん二人を瞬時に亡くされた村松京子さんが、みずからの十年間を振り返りつつ、悲しみと苦しみを乗り越えて力強くごあいさつをされました。多くの人々の命を、そして生活を一瞬にして奪う災害の悲惨さとともに、人の命の大切さ、とうとさを改めて認識させられました。
 政治の原点は、一人一人の人間の命を大切にすることです。一生懸命生きている人々を支援することです。その基本認識に立って、内政、外交の重要問題について、総理に対して質問いたします。

(被災地復興支援)
 まず、昨年多発した豪雨や台風に対する取り組みについて総理に質問します。
 補正予算案に一兆三千六百億円の災害対策費が計上されました。しかし、国に対する被災地の要望は多様であり、これで十分とは言えません。特に、今豪雪の中で苦しい生活を送っておられる新潟県の被災者の方々に対するしっかりとした対応を小泉総理に求めます。
 私が理解に苦しむのは、被災者生活再建支援法に対する政府・与党の取り組みです。秋の臨時国会で、民主党は住宅本体の再建を対象に加える修正のための改正案を国会に提出しましたが、まともに審議さえされず廃案となりました。なぜ、本当に困っている被災者のささやかな要求が満たされないんでしょうか。今回、内容を充実させて再提出した法案を与野党力を合わせて全会一致で成立させようではありませんか。総理の心のこもった答弁を求めます。(拍手)

(公正な社会)
 近年、日本社会が変わってきたとの指摘があります。すなわち、所得の格差が拡大し、中間層の厚みが失われつつあるとの指摘です。格差拡大は人々を不安に陥れ、その是正は今政治が取り組むべき重要な課題です。他方で、アメリカ型の社会が望ましいとの意見もあります。総理はどちらの立場に立つのでしょうか、答弁を求めます。
 総理は、努力した人が報われる社会が大切と言われましたが、その前提はチャンスが平等にあることです。親の所得によって教育を受ける機会に差が出ることは、人生のスタートにおいて機会の平等が保障されていないことになります。その観点からは、公立の小中学校の立て直しが極めて重要な政治課題です。
 総理は、施政方針演説の中で、教育基本法の改正や学習指導要領の見直しに言及されました。これらの問題について議論を行うことを否定するつもりはありません。しかし、教育の立て直しで最も重要なことは、小中学校の学びの現場からの改革です。
 最近、民間出身の校長や、地域を中心とした学校運営など、新たな試みが広がっています。このような学びの現場からの改革をサポートするために、教育の地方分権が必要不可欠と思います。教育における国と地方の役割分担について、総理の基本的な考えをお伺いします。(拍手)

(年金制度改革)
 昨年、小泉総理によって進められた年金制度改革は、甘い前提に基づき、かつ、働く世代に過大な負担を押しつける持続不可能なものであります。問題の本質的な解決にならないことは明らかです。
 年金制度の改革は、総理が施政方針演説で述べられたように、できることなら与野党の立場を超えてしっかりと議論すべき課題です。しかし、改革の方向性について何ら合意がないまま議論をしても、成案を得ることはできません。
 総理に改めて質問します。
 第一に、総理は、今国会において、年金制度の抜本改革について集中的に議論する意欲がおありなんでしょうか。
 第二に、そもそも年金制度について、昨年の通常国会で成立した改革では不十分であり、抜本改革が必要であるとの基本認識を総理はお持ちでしょうか。はっきりとお答えください。
 第三に、私は、働く世代に過重な負担をかけないために、年金保険料が一五%を超えることのないような改革が必要で、そのためには消費税の活用が避けられないと考えています。総理は、年金保険料の上限を一五%とすること、消費税の活用を議論の対象とすることについてどう考えておられるのでしょうか。
 第四に、働き方が多様になる中で、国民年金を含めた年金制度の一元化と、そしてその前提として納税者番号制の検討が必要と考えますが、これらの問題について真剣に検討する用意があるのでしょうか。
 以上、基本的な四点について総理の見解を求めます。(拍手)

(歳出構造改革)
 小泉総理は、総理就任後初めての所信表明演説で、国債発行三十兆円を公約しました。しかし、この公約は一度も守られませんでした。来年度こそは、当初の公約である国債発行額を三十兆円以下にするチャンスだったのではありませんか。
 小泉総理は、かつて三十兆円に関し、大きな約束を守るためにはこの程度の約束は守られなくても大したことはないと答弁されました。今改めて、国債発行を三十兆円以下とするという国民に対する公約の重さをどう総理は考えておられるのでしょうか。今でも大したことではないと考えておられるんですか。答弁を求めます。
 来年度の公共事業予算は、従来型の自民党的発想が復活し、将来の大型公共事業費の予算拡大は必至です。人口減少時代にあって、今求められているのは、あれもこれもという発想ではなく、将来の公共事業費削減を前提に、より必要なものは何かという選択であるべきです。
 総理には、財政の現状についての危機感が乏しいのではありませんか。整備新幹線などの大型事業拡大に関し、どのような歯どめと将来の姿を考えておられるのか、総理の基本的な考え方について明確な説明を求めます。
 政府予算案の中で大きなウエートを占める人件費の問題について質問します。
 小泉総理になってから、国家公務員の定員はわずか〇・二%しか純粋には減少していません。二〇一〇年代初頭におけるプライマリーバランスの黒字化を目指すというのであれば、公務員の定員を削減し、公務員人件費を減らすことは不可欠です。今後五年間の国家公務員の定員の純減ベースの計画をつくるべきと考えますが、総理にその意欲はないのでしょうか。答弁を求めます。(拍手)

(地域再生)
 活力ある東京に対して、地方経済の回復がおくれ、地域の疲弊が指摘されています。しかし、国の公共事業に依存してきた地域社会が今自立し、地域の個性を生かして新たな取り組みが始まっていることを私は実感しています。
 地域再生に当たり最も重要なことは、地方主権、すなわち地域がみずからの判断と責任で物事を決められる体制をつくることです。小泉総理の進めるいわゆる三位一体の分権改革は、この点において全く評価できません。
 小泉総理の分権改革の問題の第一は、将来展望がないことです。
 民主党は、二十兆円の国からの補助金のうち、国が最終的に責任を持つべきと考えている二兆円を除いた十八兆円相当分について、地方に権限、財源、税源を移譲し、地方の責任で行うべきとの基本的考え方を持っています。地方六団体からは同様に、九兆円の国庫補助負担金の見直しが提案されています。三兆円という当面の数字のつじつま合わせではなく、総理の考える地方分権のあるべき姿をまず示す必要があります。答弁を求めます。
 問題の第二は、各省庁やいわゆる族議員に対して、総理がリーダーシップを発揮できなかったことです。
 施政方針演説の中で、総理は、地方の提案を真摯に受けとめて改革案を取りまとめたとしていますが、それならなぜ、地方案にはなかった国民健康保険国庫負担金が突然、しかも七千億円という規模で計上されたのでしょうか。義務教育国庫負担金についても、実質的には単なる補助率の変更にすぎず、文部科学省の権限は温存され、何の改革にもなっていません。地方分権はもう一回ゼロからやり直すべきです。総理に反論があればお聞きします。(拍手)

 地域再生のいま一つのかぎは、農林水産業の振興です。
 民主党は、農業土木を中心とした補助金制度から、米、麦など主要品目や環境保全型農業に対する直接支払いなどに転換することを主張しています。
 総理は攻めの農政に転換すると述べられました。そのこと自体は異論はありませんが、土地改良や農業集落排水に代表される旧来型の中央集権型でかつ公共事業中心の農政にメスを入れずに、日本の農業を変えることはできません。農政の抜本改革の意思は総理にあるのか、答弁を求めます。(拍手)

(郵政・財投改革)
 郵政改革について質問します。
 なぜ郵政民営化が必要なのかについて、いまだ国民の理解は深まっていません。総理は、施政方針演説の中で、郵便局が集めている三百五十兆円の資金の流れを官から民へ変えていくことを郵政民営化の理由に挙げられました。しかし、官への三百五十兆円の流入をとめることは郵政民営化とは無関係に実現できることです。
 特殊法人の財投機関債の発行が平成十七年度でいまだ六兆円にとどまり、資金の大部分を財投債という国債に依存し、郵政公社がその国債を買い支えているということに問題の根源はあります。なぜ、財投機関債によって運営できるように特殊法人にメスを入れ、徹底的に改革しないんでしょうか。総理の答弁を求めます。(拍手)
 総理は、民間でできることは民間に任せるべきとの観点から郵政民営化を強調されています。私も、郵貯、簡保については民間でもできることであり、将来的には民営化が本筋と考えています。しかし、将来展望なき民営化は、三百五十兆円の国民資産をリスクにさらすとともに、日本の経済にも大きな混乱をもたらしかねません。もう少し丁寧に民営化を模索することが必要です。
 次の基本的な疑問に対し、総理の明確な答弁を求めます。
 第一に、個人金融資産の約二五%を占める三百五十兆円の郵貯・簡保資金の運用が民営化された際に、国民の資産を安全、有利に運用できる能力をいかにして短期間に高めるのでしょうか。
 第二に、郵政公社が保有する百五十兆円を超える国債を民営化法人は自由に処分できることになるはずですが、仮に自由に売却したときに、その国債市場に与える影響は大丈夫なのでしょうか。
 第三に、仮に二百二十兆円の資金規模の巨大銀行、百二十兆円の資金規模の巨大保険会社が誕生したときに、金融市場の健全な競争環境は維持されるのでしょうか。
 以上三点について、国民にわかりやすい明快な答弁を求めます。(拍手)

(アジア外交)
 外交問題の最初に、総理の基本的な外交姿勢について質問します。
 私は、日本にとって米国との信頼関係が重要であるとの基本認識に立っていますが、同時にアジア外交を重視すべきと考えています。ASEAN、中国、韓国、インド、アジアこそ世界の中で最も経済的に可能性を持った地域です。私は、日本がアジアの中にあることは日本にとって大きな幸運であり、アジアがさらに平和で豊かな地域になるように、そこに日本外交の重点を置くべきと考えています。
 しかし、小泉総理のアジア外交には何の理念も感じることができません。アジア共同体を目指すと言いながら、現在のASEAN諸国との経済連携協定締結交渉は余りにも時間がかかっています。個別の利害を超えて、大きな政治のリーダーシップが必要です。安全保障、経済両面で極めて重要な存在である中国との信頼関係を築くことにも小泉総理は失敗をしています。日中双方の国民感情も悪化しています。こういった課題に、総理は今後どう取り組んでいかれるのでしょうか。答弁を求めます。(拍手)

(日米関係)
 米国との政治、経済、安全保障面でのしっかりとした関係は、日本にとって極めて重要です。しかし、小泉総理が好んで使われる「世界の中の日米同盟」という言葉については、私は違和感を感じています。同盟とは基本的には安全保障の問題であり、安易な言葉遣いは日米安保を世界規模に拡大することにつながりかねません。世界の中の日米同盟とは具体的に何を意味するのでしょうか、答弁を求めます。
 日米両国の国益は必ずしも常に一致するものではなく、例えば、日本は、中東地域においてはパレスチナ問題など、米国とは異なる外交政策を展開してきました。米軍再編問題に関連して、日米間で戦略目標の共通化について議論が進められていると承知しています。中東地域まで含むいわゆる不安定の弧が日米共通の戦略目標であるとの認識で既に一致したのでしょうか。私は、日本の中東外交に大きな転換を強いることになるのではないかと危惧をしています。総理のこの点についての答弁を求めます。
 また、新たな日米安保共同宣言の策定も伝えられています。先制攻撃や国連を軽視した単独行動主義、有志連合を強調する今の米国と自衛隊を活用した安全保障協力を深めることには、慎重さが求められます。総理は、新たな日米安保共同宣言を考えているのでしょうか。そして、その内容について、アジア太平洋という従来の地域を超えたものとなるのでしょうか。国連との関係はどうでしょうか。それぞれについて答弁を求めます。
 ブッシュ大統領は二期目の就任式で、世界にある圧制に終止符を打ち、自由を世界に広げることを宣言しました。
 圧制に苦しむ人々がいるとき、国際社会が無関心であっていいはずはありません。しかし、やり方を間違えると、独裁者は排除できてもその後の混乱がかえって住民を苦しめる結果になることは、イラク戦争で既に経験したことです。世界の大国米国には謙虚さが、そしてよき友人である日本には場合によっては忠告をする賢明さが求められていると思います。
 今後、二期目のブッシュ政権に対し、どのような基本姿勢で臨もうとされているのか、小泉総理の見解を求めたいと思います。(拍手)

(イラク自衛隊派遣)
 イラク戦争とその後の死者は最低五万人、推計によっては十万人を超えると言われています。今後もイラクの混乱が続くことは必至です。一体、何万人の人命が失われるのでしょうか。亡くなられた人々の家族に対して言葉もありません。イラク戦争を無条件で支持された小泉総理に、今でもイラク戦争は正しかったと思っておられるのか、改めて質問をいたします。
 私は、現在のイラクに非戦闘地域はなく、自衛隊は直ちに撤退すべきと考えますが、オランダ軍が撤退し、自衛隊の安全が十分に確保することができなくなる三月には、これに加えて、イラク特措法上の安全確保義務違反の状態となることは確実です。
 自衛隊は武器使用を制限されていますが、だれがこの自衛隊を守るのでしょうか。オランダ軍撤退を機に自衛隊を撤退させるというのが現実的な考え方だと思いますが、このことについて小泉総理の答弁を求めます。(拍手)

(国連改革)
 昨年十一月、国連ハイレベル委員会において、国連改革の方向性が示されました。私は、日本が常任理事国になるとの政府の考えを支持し、その実現のために協力していきます。
 今回の国連改革は、二十一世紀における新たな脅威の発生に対し、国連がよりよく対応できるために何を改革すべきかという大きな問題意識に基づくものです。常任理事国の問題は、そのうちの一つにすぎません。
 ハイレベル委員会は、武力行使について、第一に、加盟国による予防的な軍事力の行使、すなわち先制攻撃についてリスクが大き過ぎると指摘をし、第二に、安保理決議が武力行使を容認するに際して、武力行使が最後の手段であること、手段が脅威と比べて必要最小限であることなど、五つの基本原則を示しています。私は、ハイレベル委員会の指摘に基本的に賛成です。
 小泉総理に質問します。
 第一に、加盟国の予防的な軍事力の行使について慎重な見解を示したことについて、第二に、安保理決議が武力行使を容認するに際して五つの基本原則を示したことについて、それぞれどうお考えでしょうか。そして、第三に、アメリカのイラク攻撃はこの基本原則に照らして正当性があったと考えますか。答弁を求めます。(拍手)

(北朝鮮)
 自民党は、十八日の党大会で、北朝鮮の問題に関し、速やかに事態の改善がない場合には厳しい制裁措置の発動を政治の責任において推進する旨の運動方針を決定しました。
 小泉総理は、わずか三日後に施政方針演説で、一日も早い真相究明と生存者の帰国を強く求めていきます、対話と圧力の考え方に立って粘り強く交渉しますと述べるのみです。自民党総裁と総理の使い分けが余りにも大き過ぎて、何が本当なのか、国民に対して正直ではありません。
 もちろん、私は、経済制裁を声高に唱えるような感情論にくみすることはありません。しかし、小泉総理の発言は、北朝鮮に対して誤ったメッセージを送ることになりかねません。制裁措置の発動に関する総理の基本方針について、明確な答弁を求めます。(拍手)

(政治倫理)
 次に、政治倫理の問題について質問します。
 さきの国会で、いわゆる旧橋本派やみ献金問題について、小泉総理は、自民党の問題ではないとの一言で責任逃れをしようとしました。しかし、民主党を初めとする野党が関係者の証人喚問を求めたにもかかわらず、小泉総理が総裁を務める自民党はこれを拒否しました。
 一月十二日の村岡元官房長官に関する公判において、旧橋本派の元会計責任者であった滝川氏の証言は、なぜ村岡氏だけが起訴されなければならなかったのかという疑問を生んでいます。今国会において関係者の証人喚問を実現し、事実を国民に明らかにすることは、自民党総裁である小泉総理の責任です。国会で決めることだなどの言いわけではなく、責任ある答弁を求めます。(拍手)
 そして、さらに問題なのは、迂回献金、指名献金の問題です。総理は、党首討論において私の質問に対し、迂回献金はないと断言しました。そうであれば、なぜ、政治資金規正法を改正して迂回献金を禁ずる規定を追加することに反対するのでしょうか。総理が施政方針演説でみずから述べられたように、国民の政治への信頼なくして改革の達成は望めません。迂回献金、指名献金を禁止する政治資金規正法の改正を実現することについて、総理の積極的な答弁を求めます。
 次に、最近の報道によると、清和会、いわゆる森派の政治資金収支報告書に記載していない資金のやりとりがあったとの指摘がなされています。事実とすれば、その責任は重大です。会長を務めたこともある小泉総理の、この件に関して事実かどうか、答弁を求めます。(拍手)

(むすび)
 小泉内閣誕生後、はや四年近くが経過をしました。この間、地方分権、道路公団改革、年金制度改革、医療制度改革、政治改革、財政構造改革など、国民の期待は裏切られ続けてきました。改革は進まずに、国民の将来に対する不安は高まるばかりです。今、国民の間には、自民党内閣である限り本当の改革はできないというあきらめと同時に、将来に対する不安感が高まっています。
 小泉総理、あなたはほとんどの改革を中途半端な姿で投げ出してしまいました。結局、あなたが改革を何が何でもなし遂げるという信念を欠いていたか、それとも、自民党政権である限り改革はできないことを証明したわけです。(拍手)

 私は、細川政権、羽田政権が崩壊し、野党となったときから十一年間、真っすぐに、ひたむきに、政権交代ある政治を目指してきました。現在の民主党が結党されて、間もなく七年を迎えます。民主党が政権を担い、改革をなし遂げるための準備は既にできています。日本が今置かれた状況は、まさしく待ったなしであり、言葉だけの改革はもう十分です。
 政権交代なくして改革なし、政権交代に対する国民の熱い期待にこたえて必ず政権交代をなし遂げ、本当の改革を実現することを国民の皆さんに誓い、私の代表質問といたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 岡田議員にお答えいたします。
 被災地復興支援についてでございますが、まず、被害に遭われた方々、そして今なお困難な生活を余儀なくされている方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。
 昨年発生した台風、地震等の災害については、これまで最大限の支援を行ってまいりました。今回の補正予算案においても、新潟県中越地震に係る財政上の支援を含め、一兆三千六百億円の災害対策に要する経費を計上し、しっかりとした対応を行っております。
 被災者生活再建支援法については、昨年の通常国会で、被災者が住宅を再建、補修する際に負担する経費の一部を支援する制度が設けられ、その積極的活用を図っているところであります。
 被災住宅の再建に対する公的支援の充実について、関係者から要望があることは承知しております。他方、行政は公共サービスの回復に重点を置くべきであるとの立場から、個人の住宅本体の再建に対する公費支援については慎重な考え方もあり、また、住宅の耐震改修、地震保険の加入等の自助努力を促進する方策をまず充実させるべきとの考え方もあります。このため、さまざまな角度からなお議論を深める必要があると考えております。
 小泉内閣の改革が目指す社会についてでございます。
 基本的に一番重要なことは、みずから助ける精神、みずからを律する精神、この精神のもとに、国民一人一人が、企業、地域が主役となって、努力が報われ安心して再挑戦できる、自信と誇りに満ちた明るい社会の実現を目指したものであります。
 これまで、雇用・中小企業のセーフティーネットの確保に万全を期すとともに、新規起業の促進策、構造改革特区や都市再生など地方の意欲や挑戦を尊重した地域経済の活性化策、持続的な制度の構築に向けた社会保障制度改革などに取り組んでまいりました。
 引き続き改革を進め、地域や多くの国民が持っている潜在力が自由に発揮される活力ある経済社会の構築に向けて全力で取り組んでまいります。
 教育における国と地方の役割分担でございますが、学校や家庭、地域など社会全体で新しい時代を切り開く人材を守り育てなければならないと思っております。こうした中、教育の地方分権を進めることは重要な課題であります。このため、特区制度を活用した地域の提案を生かした学校運営や、保護者や地域住民が一定の権限を持って学校運営に参画するコミュニティースクールの設置といった取り組みを進めてきております。
 今後とも、国は、全国的な教育水準の確保と教育の機会均等についての責務をしっかりと担いつつ、その上で、各学校が保護者や地域住民の声にこたえ、創意工夫を行えるよう、市町村や学校の裁量を拡大していきたいと考えております。
 年金制度についてでございます。
 国民の安心を確保することは国家の重要な課題であると、先日の施政方針演説の中でも申し上げたところであります。年金制度については、さきの年金改正により年金制度自体は持続可能な制度に見直すことができたものと考えておりますが、なお、今後の産業構造、雇用構造の動向に十分対応できるのか、また、年金の一元化を目指すべきではないかとの議論があるところであります。
 さらに、二〇〇七年から人口減少社会を迎え、少子高齢化が進展する中で、年金を初めとする社会保障制度を持続可能なものとしていくことは、これからの我が国社会のあり方にかかわる極めて重要な政治課題でもあります。
 このためには、年金制度のみならず医療、介護などを含めた社会保障制度全体について、税や保険料の負担と給付のあり方を含め一体的見直しを図る必要があると思います。年金制度のあり方についても、これとの整合性を図りつつ、年金一元化を含めた見直しは必要と考えております。
 私としては、政府のみならず与野党が立場を超えて、年金制度を初めとした社会保障制度の論議に国民的立場から取り組むことは政治の責任であります。このため、国会において集中的な議論を早急に開始していただきたいと考えております。国会において集中的な議論をする場合には、社会保障制度全般について一体的に議論していただく方が、より実り多い議論に結びつくのではないかと考えております。
 年金保険料の上限については、さきの年金改正議論の中でも一五%程度にすべきとする議論があったことは承知しております。年金保険料率が一五%になる前によい結論を見出したいという考えも理解できます。
 しかし、この年金保険料負担の問題については、年金の給付水準をどうするか、また社会保障全体としての負担と給付をどう考えるのか、こういう問題もあります。その際には、消費税の活用ということも当然検討の対象になるものと考えておりますが、消費税を年金のみに充てるのか、他の社会保障の財源との関係でどうするかという議論も必要だと思います。
 また、年金制度の一元化については、まずは厚生年金と共済年金の一元化を進めるべきでありますが、さらに、国民年金を含めた公的年金制度の一元化については、御指摘のとおり、自営業者の公平な保険料徴収のための正確な所得の把握や事業主負担をどうするか、納税者番号制度などの諸条件をどうするかといった問題について早急に検討する必要があります。
 いずれにしても、年金制度の枠組みの中だけで議論するのではなく、医療、介護などを含めた社会保障制度全体について一体的な見直しを行う中で、年金制度の一元化などの問題についても検討していくことが適当であると考えております。
 国債発行額の公約についてでございます。
 平成十四年度当初予算の編成に当たっては、歳出が八十兆円を超える一方、税収が五十兆円程度と見込まれる状況のもと、財政の規律、節度を確保するため、国債発行額三十兆円を目標とし、これを達成したところであります。
 平成十七年度予算編成においても、税収が四十四兆円程度と見込まれる中、一般歳出を三年ぶりに前年度以下に抑制し、四年ぶりに新規国債発行額を減額するなど、引き続き財政の規律、節度を確保するとの基本精神を受け継いでおり、財政構造改革を推進していくという考えに変わりはございません。
 整備新幹線などの大型公共事業に関する基本的考えについてでございます。
 この整備新幹線につきましては、昨年十二月、民主党整備新幹線を推進する議員の会の代表である羽田孜議員の名のもとに、整備新幹線の建設促進に関する要請をいただいております。(拍手)
 平成十七年度の公共事業予算については、従来同様に投資の重点化、効率化を図ることとし、全体として三・六%削減したところであります。整備新幹線などの個別事業については、削減した公共事業予算の枠内で計上し、事業の効果等については厳密に検証したものであります。
 今後とも、公共事業については、事業の必要性、緊急性等を厳しく審査しつつ、重点化、効率化を推進してまいります。
 国家公務員の定員についてでございます。
 スリムで効率的な政府の実現に向けて、これまでも累次の定員削減計画の着実な実施、国の行政組織の独立行政法人への移行等を行ってきており、国家公務員の定員総数は大きく減少してきているところであります。
 行政改革を強化するため、公務員の総人件費を削減する必要があるとの強い指摘がある中、定員削減についても引き続き重要課題として取り組んでいく必要があります。このため、昨年末に決定した「今後の行政改革の方針」において、これまでより一段と厳しい、今後五年間で一〇%以上の削減を目指すことを決定しました。
 平成十七年度においても過去最高の一・六六%の削減を行い、治安の回復など山積する行政需要に対応した増員を的確に措置する必要がある中、純減を確保することとしております。
 なお、公務員の人件費を抑制するためには、定員のみならず公務員給与について、地域の民間企業の給与水準を適切に反映するなどの見直しが必要であると思います。いずれにしても、この問題につきましては、民主党の提案も参考にしながら取り組んでいきたいと考えております。
 地方分権についてでございます。
 地方にできることは地方にという理念のもと、三位一体の改革を進めることにより、国の関与を縮小して地方の権限、責任を拡大するとともに、国、地方を通じた行政のスリム化を推進することを目指しております。
 改革の全体像については、地方六団体がまとめた地方財政の改革案を真摯に受けとめ、地方とも協議を重ねた上で政府・与党で取りまとめたものであり、その内容については、地方からも一定の評価をいただいているものと考えております。
 国民健康保険については、医療保険制度改革の動向を踏まえ、都道府県に県内市町村間の財政調整権限を付与した上で、都道府県負担を導入したところであります。義務教育費国庫負担金の取り扱いなど残された課題についても、国と地方の協議の場などを通じて検討を進め、平成十七年度中に結論を出します。
 十九年度以降何をすべきかにつきましては、十八年度までの三位一体の改革の成果を見きわめた上で判断する必要があると考えます。
 農政改革でございますが、今後の農政の推進に当たっては、経済社会情勢の変化に即応し、公共事業の効率化、重点化を推進する一方で、やる気と能力のある農業経営の重点的支援や、企業の農業経営への参入、農産物の輸出の促進など、攻めの農政に転換するとの視点に立ち、一層積極的に農政改革を進めてまいります。
 十七年度予算においても、公共事業における農業分野は、対前年度比で公共事業全体を上回る四・七%の削減をするとともに、農業集落排水予算については、下水道など複数の省庁にまたがる排水事業を地域再生のために実施する場合には、窓口を一本化して交付金として地方に配分する新たな仕組みを導入したところであります。
 特殊法人についてでございます。
 財投計画の編成に当たっては、民業補完の原則のもと、民間準拠の財務諸表も参考にしながら、住宅金融公庫や都市再生機構について事業の抜本的見直しを行うなど、特殊法人改革に着実に対応してきたところであります。
 この結果、平成十七年度財投計画では、特殊法人等向けの投融資額をピーク時の三分の一程度に圧縮し、財投債の発行額については対前年度比で十兆円減額するとともに、財投機関債については前年を大幅に上回る発行額とするなど、着実な改革が進んでおります。今後とも、民業補完性の精査等により、対象事業の一層の重点化、効率化を図ってまいります。
 郵政民営化に関し、三点お尋ねがありました。
 第一に、運用能力についてですが、貸し付け等の業務については、民有民営化の進展に対応し段階的に拡大していくこととしており、移行期間中に順次体制整備を図ることができるよう、現在、制度設計を検討しております。
 第二に、国債市場に与える影響についてですが、民営化に当たっては、郵貯、簡保の既契約に係る公社勘定については安全性を重視して運用し、また、移行期においては市場関係者の予測可能性を高めるため適切な配慮を行うこととしており、国債市場の安定性を損なうことのないよう十分配慮いたします。
 第三に、金融市場の健全な競争環境との関係ですが、イコールフッティングの度合いや国の関与のあり方を勘案しつつ、監視組織を活用しながら、段階的に業務を拡大することとしております。また、小泉内閣は我が国の金融システムの強化と機能向上にも強力に取り組んでおり、民営化後の郵便貯金会社、郵便保険会社を含め、市場で適正な競争が行われることによって国民にもメリットをもたらすものと考えております。
 ASEAN諸国との経済連携協定及び中国との関係でございます。
 ASEAN諸国との経済連携協定交渉については、昨年、フィリピンと大筋合意に達し、現在、マレーシア及びタイとの交渉の早期妥結を目指して取り組んでおります。また、四月にはASEAN全体との交渉も開始するなど、引き続き積極的に取り組みます。
 日中関係については、昨年の日中首脳会談で、その重要性につき認識を共有いたしました。個別の問題についても対話を深め、大局的な観点から、幅広い分野における協力を強化していく考えであります。
 世界の中の日米同盟についてでございます。
 世界の中の日米同盟とは、日米両国が、政治、安全保障、経済を含む幅広い分野において、世界のさまざまな問題の解決に世界の各国と協調しながら取り組んでいく協力関係を意味しております。
 在日米軍の兵力構成でございますが、この見直しにつきましては、現在、地域の情勢認識、戦略目標、日米両国の役割、米軍の軍事態勢の見直しについての基本的考え方等の基本的論点について包括的議論を行いつつ、双方の考え方についての理解を深めるための意見交換を行っております。
 いずれにせよ、我が国が中東諸国や米国を含む国際社会と緊密に連携して、イラク復興支援や中東和平問題などに積極的に取り組むとの方針に変更はありません。
 新たな日米安保共同宣言の発出の可能性についてでございます。
 今後、新たな安全保障関係に対応した戦略目標、日米両国の役割についての議論の成果を何らかの形で取りまとめるということはあり得ると思いますが、現時点で、新たな日米安保共同宣言の策定について日米間で検討を行っていることはありません。
 第二期ブッシュ政権に対する基本姿勢でございます。
 ブッシュ大統領は、就任演説において、世界で自由と民主主義を推進する旨述べておりますが、同時に、米国は望まない者に米国式の統治方式を押しつけることはしない、同盟国の助言と支援に頼っている旨述べております。
 日米双方は、従来より、強固な信頼関係のもとで、言うべきことを言い、やるべきことをやってきておりますが、今後とも、あらゆるレベルで率直かつ緊密に政策協調を行いながら、世界の諸問題に世界の国々と協調しながら取り組んでいく考えであります。
 米英等によるイラクに対する武力行使でございますが、イラクは、十二年間にわたり累次の国連安保理決議に違反し続け、国際社会が与えた平和的解決の機会を生かそうとせず、最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしませんでした。このような認識のもとで我が国は安保理決議に基づきとられた行動を支持したのであり、これは今でも正しかったと思っております。
 オランダ軍撤退を機とした自衛隊の問題でございます。
 自衛隊が活動する地域におけるオランダ軍撤退後の治安維持のあり方については、イラク暫定政府のほか、多国籍軍の中でイラク南東部に責任を有する英国が検討を行っており、英国は、我が国と引き続き協力していく方針である旨表明しております。
 また、基本計画においては、派遣期間内に治安に係る状況の変化、多国籍軍の活動状況及び構成の変化など情勢に大きな変化を及ぼし得る事象があった場合には、これらをよく見きわめ、必要に応じ適切な措置を講ずることとしております。
 今後とも、適切な警戒や危険回避の措置をとり、隊員の安全確保に万全を期しつつ、自衛隊の活動を継続してまいります。
 国連ハイレベル委員会の報告書についてでございます。
 報告書においては、予防的な武力行使の合法性について懸念が表明されておりますが、当然ながら、安保理決議に基づく武力行使等国連憲章第七章で認められた集団行動を否定しているものではありません。また、同報告書は、国連安保理が武力行使を承認する際検討すべき基本原則を提言しており、報告書が国連憲章第七章のもとでの武力の行使につき一つの考え方を示したことを評価しております。
 本件については、安保理を初めとして加盟国間で議論が行われることが予定されており、我が国もその議論に積極的に参加していく考えであります。
 ハイレベル委員会報告書の武力の行使に関する基準と対イラク武力行使についてでございます。
 同報告書は、武力の行使を含むさまざまな問題を将来に向けて検討したものであり、過去の個別の問題を検討したものではないと承知しております。いずれにせよ、米国等による対イラク武力行使は、累次の関連安保理決議により正当化されるものであり、国連憲章に合致したものであったと考えます。
 北朝鮮に対する経済制裁についてでございます。
 我が国は、北朝鮮側に対し、安否不明の拉致被害者に関する一刻も早い真相究明を行うとともに、生存者は直ちに帰国させるよう強く求めております。政府としては、対話と圧力という考えのもと、北朝鮮側より迅速かつ納得のいく対応を得るための最も効果的な政策を進めてまいります。その際、経済制裁は可能な一つの手段であると考えますが、まず制裁ありきということではございません。
 一億円献金問題の証人喚問についてでございます。
 この件については、既に昨年十一月三十日の衆議院政治倫理審査会において、橋本氏から説明がありました。さらに国会における関係者の証言が必要かどうかについては、国会において決めるべき問題であり、各党各会派において十分に議論していただきたいと思います。
 いわゆる迂回献金の禁止についてでございます。
 迂回献金のように政治資金規正法に対する脱法的な行為は、あってはならないものであります。与党が提出している政治資金規正法の改正案も、迂回献金との疑惑の払拭を含め、政治資金の一層の透明性を確保しようとするものであります。迂回献金禁止の条項を設けることによって実効性が期待できるかなどの点も含め、各党各会派で十分御議論いただきたいと考えます。
 清和政策研究会の政治資金収支報告書に関する新聞報道についてのお尋ねでございます。
 清和政策研究会では、政治資金に関しては政治資金規正法にのっとって適正に処理していると聞いているところであり、政治資金規正法上問題があるとは承知しておりません。(拍手)

議長(河野洋平君) 岡田克也君から再質疑の申し出がありますから、これを許します。岡田克也君。
    〔岡田克也君登壇〕

岡田克也君 今の小泉総理の答弁に関し、再質問をいたします。
 全体で九点、簡略に申し上げます。
 第一に、被災者生活再建支援法について、総理は、現在、個人財産について国がどこまで見るべきかということについて検討中である、こう答えられました。しかし、その答弁は、もうここ数年来何度も繰り返されたものであって、まさしく官僚の考えられた答弁であります。今まさしく被災地で苦しんでいるそういった方々のために、まさしく政治的な決断が求められている、そのことを私は聞いたわけであります。総理の、もう一度政治家としての、総理としての明確な答弁を求めたいと思います。
 第二に、年金の問題です。年金の問題の小泉総理の答弁は、総理お一人ではなく、まさしく三人、四人の人が答えているのではないかという非常に混乱したものだったと思います。しかし、抜本改革案について一歩踏み込んだ答弁が部分的にせよなされたことは、それなりに評価したいと思います。
 私は、今の答弁を聞いて二つ指摘しておきたいと思います。一つは、社会保障全体の中で年金を議論する、そのことはそのとおりですが、しかし、結局、全体を議論するといって全体が先送りになってきたのが今までです。したがって、まず年金の問題をしっかり議論する、こういう方針で、そして、かつ議論するのは国会の場であるということを確認しておきたいと思います。いかがでしょうか。
 第三に、公共事業の見直しの話です。もちろん、いろいろな議論は我が党内にもあります。しかし、将来の人口減少時代、財政が極めて厳しいという認識の中で、今までつくってきた例えば高速道路や新幹線の計画について、もう一度全体を見直して、どこまでなら可能なのかということをしっかり議論することが政治の責任であります。総理にそういう姿勢があるのかどうか、お聞きをしておきたいと思います。
 第四に、公務員の人件費、定員の問題であります。総理は、五年間で一〇%の定員削減の計画について言及されましたが、これはもちろん純減ではありません。結局、一〇%減らして一〇%近くふやしてきたというのが従来であります。私が聞いた、純減ベースで五カ年計画をつくるべきだということについてのお答えはありませんでした。しっかりお答えいただきたいと思います。
 三位一体の改革について、総理の、十八年度以降は十七年度までの実績を見てから考えるというそのお答えは、前国会において私に対してお答えになったその答えと全く同じであります。将来展望なき単なる数字合わせは問題だというのが私の指摘です。十八年度以降についてはっきりとした姿勢を示すということを、少なくともこの一年間でしっかりそのことを検討するという姿勢ぐらいは見せられないんでしょうか。答弁を求めます。
 六番目、私がお聞きしたかったのは、民営化した後の民営化法人は、私は、当然民営化されたわけですから、国債について自由に処分権限があると思います。そのときに本当に大丈夫なのかというのが私の質問であって、その途中に至ることを聞いたのではありません。明確にお答えいただきたいと思います。
 七番目、イラクの問題です。私は、仮に国連決議があったというふうに考えるとしても、その時点において拒否権を持つ常任理事国である中国やフランスやあるいはロシアが明確に武力行使に反対していた以上、それは国連決議があるということは言えないと思います。この点について、総理はどう考えているんでしょうか。しかも、大量破壊兵器が存在しなかったことについて、存在すると言い続けたみずからの甘い判断、判断の誤りをどう考えるんでしょうか。そのことについても答弁を求めたいと思います。
 国連改革五原則について、ハイレベル委員会が示した五つの原則について、総理は、これから議論をしていく、議論に参加をすると言われました。しかし、常任理事国にみずからがなろうとする国が、こういう根本的な問題についてみずからの意見を述べずして、なぜ常任理事国になれるんでしょうか。総理のこの五原則に対するきちんとした見解を述べられたいと思います。
 最後に、総理は、政治資金をめぐる与党案は迂回献金に対応するものだと言われました。しかし、与党案は、党本部が絡んだ迂回献金の問題について何ら答えを示しておりません。そういう意味で、迂回献金を明確に拒否できるようなそういった民主党の改革案に対して賛成すべきだと考えますが、いかがでしょうか。総理の答弁を求めたいと思います。
 以上、私の再質問に対して明確な答えがなければ、再度質問を重ねたいと思います。よろしくお願いします。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 岡田議員からの再質問でありますが、被災者支援の問題、年金の問題、社会保障全体の問題、整備新幹線を含めた公共事業の問題、公務員の給与、人員削減の問題、地方の三位一体の改革の問題、民営化の問題、イラクの問題、国連ハイレベル委員会の問題、政治資金の問題、すべてに明確に答弁しております。(発言する者あり)

議長(河野洋平君) 岡田克也君からさらに再質疑の申し出がありますので、これを許します。岡田克也君。(発言する者あり)――内閣総理大臣から答弁を補足したいとのことであります。これを許します。内閣総理大臣小泉純一郎君。
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 各再質問項目の中で、岡田代表や民主党の御意見があったことは理解しております。それに対するお答えは先ほど私が申し上げたとおりであります。(発言する者あり)

議長(河野洋平君) 御静粛に願います。
 ただいま議場内交渉が行われておりますから、しばらくお待ちください。
 議場内交渉は急いで取りまとめられるようお願いいたします。(発言する者あり)――内閣総理大臣から答弁を補足したいとのことであります。これを許します。内閣総理大臣小泉純一郎君。
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私の答弁に不満があるということは理解できます。(発言する者あり)しかし、私は、岡田代表の質問に漏れなく答弁したと思っております。(拍手、発言する者あり)

議長(河野洋平君) 岡田克也君からさらに再質疑の申し出がありますから、これを許します。岡田克也君。(退場する者あり)
 岡田克也君から発言がありません。次に進みます。


    午後五時四十八分開議
議長(河野洋平君) 休憩前に引き続き会議を開きます。

議長(河野洋平君) 国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。
 この際、小宮山洋子君の質疑に先立ち、岡田克也君からさらに質問を求められております。答弁に当たっては、誠意を持ってきちんと対応されるよう望みます。岡田克也君。
    〔岡田克也君登壇〕

岡田克也君 ただいま議長から指摘もありましたように、今回の先ほどの混乱は、ひとえに小泉総理に責任があります。(拍手)

 私は、総理の答弁を注意深く聞いた上で基本的な問題について再質問をしたのであって、総理の答弁漏れを指摘したものではありません。したがって、既に答弁が終わったという小泉総理の答え方は、答弁拒否と同じであります。厳しく反省を求めます。

 私の九項目の質問については、先ほど既に述べておりますので、ここで繰り返すことはありません。誠意を持って答弁していただきたいと思います。

 総理、ここは衆議院の本会議場です。日本の議会制民主主義の中心となる場所です。そして今、私は、通常国会の冒頭に当たり、野党第一党民主党を代表して質問に立っています。こういう場だからこそ、あえて批判のための批判は控え、基本的な質問をいたしました。それに対する小泉総理の答弁は、議会制民主主義の根幹を揺るがすものだと思います。絶対に認めるわけにはいきません。

 総理、冷静に考えてください。我々は、国民に選ばれてこの国会に出てきています。誠意を持って議論する責任があります。総理の今回のこの姿勢は、日本の民主主義の、その歴史に残すような大きな誤りだったと思います。総理の総理としての資質を疑わざるを得ません。総理の謙虚な反省の弁をこの場で国民に対して述べられることをお願いして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 先ほどの岡田議員の再質問につきましては、いずれも既に答弁したところであります。(拍手)しかし、あえて再度質問したいということでありますので、再度、私も答弁いたします。

 被災者生活再建支援法につきましては、なお議論を深める必要があると考えております。

 年金改革につきましては、国会の場で議論すべきとの御質問ですが、国会において集中的な議論を早急に開始していただきたいと思います。また、その場合には、社会保障制度全般について一体的に議論していただく方が、より実り多い議論に結びつくと考えております。

 公共事業について、高速道路や新幹線などの計画全体がどこまで可能か議論すべきとの点でありますが、公共事業の計画につきまして、今後とも、事業の必要性、緊急性等を厳しく審査し、重点化、効率化を推進していく考えであります。

 公務員の定員について、純減ベースの計画をつくるべしとの御質問ですが、「今後の行政改革の方針」において、五年間で一〇%以上の削減を目指すことを決定しており、平成十七年度においても純減を確保することとしておりますが、いずれにしても、この問題については、民主党の提案も参考にしながら取り組んでいきたいと考えております。

 三位一体の改革についてですが、十九年度以降何をすべきかについては、十八年度までの改革の成果を見きわめた上で判断する必要があると考えております。

 郵政民営化が国債市場に与える影響については、国債市場の安定性を損なうことのないよう、十分配意してまいる考えであります。

 イラク戦争についての判断でありますが、イラクは最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしなかったのであり、このような認識のもとで我が国は安保理決議に基づきとられた行動を支持したのであり、これは正しい選択であったと現在においても考えております。

 国連ハイレベル委員会の五つの基本原則についてですが、同委員会の報告書が国連憲章第七章のもとでの武力の行使につき一つの考え方を示したことは評価しております。

 政治資金規正法についての民主党の改革案についてでありますが、迂回献金禁止の条項を設けることによって実効性が期待できるかなどの点も含め、各党各会派で十分御議論いただきたいと考えております。

 いずれにおきましても、私は、常に誠意を持って答弁しております。(拍手)


2005/01/24

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