2000/11/06

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150 衆院・内閣委員会商工委員会逓信委員会連合審査会

山田敏雅議員(民主党)の拉致事件についての質問部分


○山田(敏)委員 
 次に、私は、先週いろいろ選挙民の方にお話をしておりまして、北朝鮮の我が国の外交についてしゃべっておりました。その中である方が、北朝鮮の拉致事件というのは、あれは本当に証拠があるんですか、単なる疑惑で、日本は拉致が起こったのかどうかはっきりしないから、それで北朝鮮や国際世論に対してはっきりしたことを言わないんじゃないかというようなことをお聞きしました。私は本当にびっくりしました。我が国の政策は、このような、国民の方があれはどっちだったかはっきりしないというような認識を持っていらっしゃるということで、本当に国家として国家の理念ということが大きく問われているのではないかと私は思います。

 外務省の方に少しだけ時間をいただきましてお願いしたいと思います。
 アメリカは、イランの人質のときには国連を動かしました。そして、国際司法裁判所に訴えました。そして、日本などの同盟国に対して経済制裁を要請しました。そして最後に、武力による救出作戦を行いました。それから、さきのボスニアで、たった一人の兵士が捕らわれました。その人質を救うために、国軍、それから航空団、海兵隊、NATOの軍隊も入れて大規模な救出作戦を行いました。国家というのはたった一人の国民を救うために全力を挙げてやるんだというその信念がないと、国民の信頼もあるいは国際社会の信頼も得られないのではないかと思います。

 そこで、北朝鮮の拉致問題ですが、よく報道されていないのでございますが、辛光洙という事件がございました。これは平成十二年の九月五日に産経新聞で報道されましたが、昭和五十五年の六月に起こった事件です。これは、詳しく言うと時間がございませんが、北朝鮮のスパイが我が国の原敕晁さんという方を拉致して北朝鮮に送った。その辛光洙という人物が韓国で逮捕されました。そして、裁判が行われました。その中で、原敕晁さんに成り済まして行ったいろいろな、パスポートとか、動かぬ証拠が出てまいりました。そして、韓国の裁判所で判決が出ました。死刑ということで、その次に終身刑です。そのような動かしがたい証言、証拠というのは、もう既に北朝鮮が我が国の国民を拉致したという事件についてはあるわけですね。

 さらに、富山県で昭和五十三年の八月に起こりました拉致未遂事件では、たくさんの物的証拠が残されました、手錠とか目隠しとか猿ぐつわとか。このようなものがあるにもかかわらず、日本は北朝鮮に対して拉致があるから何とかしてくれ、しかし向こうは拉致なんかなかった、こういうことを繰り返し、しかも五十万トンという人的な救助をはるかに超えた、一千億円をかけて北朝鮮を支援する。そういうようなことがありますと、国民として非常に納得のいかないことがございます。

 外務省にお伺いしたいんですが、まず、日本、韓国、アメリカは三国共同してこの北朝鮮の外交問題について当たるという大原則をずっとやってきたわけですが、ここに至って我が国は非常にその中から外れてしまったということです。アメリカは、人質抑留を国際テロ行為と明示している一九七九年の国際人質抑留禁止条約に加入しています。すなわち、人質をとった国に対しては、これは国際テロ行為であるということをアメリカははっきり条約で加盟して宣言しているわけです。その中で我が国はアメリカ及び韓国に対して、拉致事件の解明なしには国交の交渉などあり得ないということを明確に言うべきではないかと思います。

 外務省の方、コメントお願いします。

○荒木政務次官 お答えいたします。

 我が国政府は、米国及び韓国との間では、従来から、極めて緊密かつ頻繁に北朝鮮をめぐる問題につきまして協議をしております。そういう中で、我が国政府より拉致問題についての立場を繰り返し説明し、理解を得ていると思います。

 その証左として一つを挙げますと、日米韓三国により共同で練り上げられましたペリー報告にも拉致問題は適切に取り上げられております。また、先般ソウルで開催されました日米韓外相会議及び日米外相会談におきましても、オルブライト国務長官より、今次の同長官の訪朝の際、北朝鮮側に対しまして、同盟国である日本の関心事項は米国にとっても重要な問題である、米側としては、拉致問題は米国が日本にかわって交渉する問題ではないが、この問題は日朝間の問題であるのみならず、米国にとっても重要であるということを北朝鮮に伝えた、そういう説明がありました。

 いずれにしましても、アメリカにおきましても、我が国がこの拉致問題、国民の生命にかかわる重大な問題として極めて真剣に取り組んでいるという立場は十分理解をされているものと考えております。

○山田(敏)委員 二点だけお願いいたします。

 一つは、ドイツやイギリス、これから国交を結ぼうという国に対して、我が国が証拠を持って説得するということが大事だと思うのですね。

 先ほどの辛光洙の事件では、裁判において拉致をしましたということを本人は認めているわけですから、それによって判決がおりる。そして、昭和六十年に恩赦によって北朝鮮にこの方はもう釈放されたわけですが、そのときの北朝鮮の政府の発表は、この人物を、信念のつわものである、不屈の闘士である、要するに、日本においてスパイ活動を行って拉致を成功させた英雄であるというふうにたたえております。偉業であると大いに称賛された。すなわち、北朝鮮自身が日本において拉致問題をやったということをここで認めているわけですね。

 第二点に、これ以外に、例えば北朝鮮スパイ船、北朝鮮の港に帰ったわけですが、その証拠を国際的に開示して、私は防衛庁と警察庁、法務省を呼んで話を聞いたのですが、日本の法律によって、例えば刑訴法四十七条、公判が始まる前には証拠を開示できない……

○佐藤委員長 山田君、持ち時間が終了しておりますので、早くやってください。

○山田(敏)委員 はい、わかりました。
 ぜひ、国内法ではなくて、相手は我が国の財産と生命を奪った相手ですので、その法規を超えて、証拠を持って国際司法裁判所に訴え出ていただきたいと思いますが、お答えをお願いします。

○荒木政務次官 先ほどもお答えいたしましたが、この問題は我が国国民の生命にかかわる重要な問題であるとの認識を持っておりまして、引き続き、国交正常化交渉その他の日朝間の対話の場で、この問題の解決に向けまして粘り強く取り組んでいく方針でございます。

 なお、一言だけ。
 国際司法裁判所に提訴すべきだという御提言もございました。北朝鮮は、国際司法裁判所規程に加入はしておりますけれども、この強制管轄権受諾宣言は行っておりません。そうなりますと、先方の合意がなければ付託できないという条約上の関係にあるということだけ御説明をさせていただきます。

○山田(敏)委員 どうもありがとうございました。


2000/11/06

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