1997/04/18

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140 衆院・外務委員会

松沢成文議員(新進党)の拉致事件についての質問


○松沢委員 新進党の松沢成文でございます。

 私は、北朝鮮による日本人の拉致疑惑の関連について、政府並びに外務大臣の考え方を質問させていただきたいと思います。

 まず、二月に我が党の西村眞悟議員が、政府に対して質問主意書という形で、横田めぐみさんを含んだ拉致疑惑について政府の考え方をただしたわけですが、政府の答弁書を私も見ましたけれども、正直言って非常にわかりにくい部分があったのですが、私なりに要約しますと、横田めぐみさんの失踪が拉致か否かはまだ調査中で結論は出ていない。それで、これまでに拉致されたと確認されるのは六組、九人であること。また、一般的にはという前書きがあるけれども、主権侵害に対しては、「主権国家として自国民保護の観点も含め所要の措置を講ずる」、こういうような回答であったと思います。

 そこで、まず伺いたいのですけれども、政府によって確認されているという六組、九人の事件捜査並びにこの六組、九人以外に、横田めぐみさんも含めて幾つか案件が出ておりますけれども、その後の捜査の進捗状況についてどのようになっているのか、まずお伺いします。

○小林説明員 お答えいたします。
 御指摘のとおり、北朝鮮による拉致の疑いのある事件はこれまでに六件、九名であります。また、拉致が未遂であったと思われる事件が一件、二名でございます。これらの事件につきましては、現在でも、新たな関連情報の収集、各事件相互の関連性の調査など、関係機関と連携しつつ所要の捜査を継続して実施しているところであります。

 また、この六件、九名の拉致事件の疑いのある事案以外につきましても、例えば昭和五十二年十一月に新潟県で発生いたしました少女行方不明事案のように、拉致の可能性を含めまして、所要の捜査を継続しておるものもございます。

 なお、具体的な捜査の中身については、性格上答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

○松沢委員 横田めぐみさんの事件については、北朝鮮の元工作員が韓国に亡命して、そこでいろいろなことをしゃべった、その中に日本人のこういう人がいたということで明らかになったのですけれども、韓国政府から何回か、そういうことがあったけれども日本政府として把握されていますかというような照会があったと聞くのですけれども、そういう事実があったのか。また、もし警察庁の方でその照会を受けたとしたら、横田さんの事件は新潟県警で捜査をしていたのですけれども、新潟県警の方にすぐに照会をしたのか。警察庁が全国の各都道府県警に、こういう事件について韓国から来たけれどもどうかということをすぐにやったのかどうか。

 また、もう一点は、警察当局がその後、韓国に亡命したこの工作員に接触していろいろと話を聞いたという報道もされていますけれども、その事実があったか、またその内容についてはどうか。この辺をまずお聞きしたいと思います。

○小林説明員 横田めぐみさん事件についての韓国からの照会があったかという御質問でございますが、警察は、犯罪の国際化という現状の中で、治安の責務を果たすという任務に基づき、必要な範囲内で所要の国内外の関係機関と各種の情報交換等を行っております。しかしながら、個別具体的な情報交換の有無なり、その中身については、原則的にはコメントを差し控えさせていただくということにしております。よろしく御理解のほどをお願いしたいと思います。

 なお、新潟県警に対する捜査の指示といいますか、それにつきましては、こういった情報に基づきまして、警察庁といたしましても、必要な調整なりという観点から指示を行っております。

○松沢委員 私が調べたところによりますと、韓国から照会があって、それが横田めぐみさんの事件だというふうにわかるのが、大分ここで時間がたってしまっているのですね。これが一つ、私は好ましい状況をつくっていないというふうに思うのです。

 また、もう一点、日本の警察当局がこの亡命した北朝鮮工作員に接触した事実ということも答えられないですか。

○小林説明員 先ほど申し上げましたように、個別具体的な捜査の中身につきましては、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

○松沢委員 それでは、政府の方が確認したこの六組、九人の中に横田めぐみさんの事件は、今集まっている情報ではほぼ北朝鮮による拉致の可能性が強いというふうに思われますけれども、この六組、九人に含まれていないんですが、拉致疑惑事件として、この六組、九人に含めるだけのもう情報はそろっていると思うんですけれども、その点についてはいかがですか。

○小林説明員 先ほど申し上げましたように、横田めぐみさん事件につきましては、現在までのところ、同人が拉致されたか否かについては確認されておりませんが、いずれにせよ、本件につきましては、拉致の可能性ということも含めまして、所要の捜査をしておるということでございまして、先生御指摘の、いわゆる拉致の疑いのある六件、九名という観点とは若干異なった今の状況ではございます。

○松沢委員 私の得ました情報では、この幾つかの政府が確認している拉致疑惑事件の中に、事件の現場に日本で製造されていないロープというのが遺留されていて、その後の調査で、これは北朝鮮で製造、使用されているものだというふうに韓国側からの発表があったというふうに聞いておりますけれども、その後、警察当局では、このロープを含めた遺留品の関連捜査状況はどうなっているんでしょうか。

○小林説明員 今先生御指摘のような遺留品のロープ、多分これは昭和五十三年の八月の富山のアベック拉致未遂事件のことを指摘されておられると思いますが、御指摘のような遺留品につきましては、当方としては把握しておりません。

 なお、当該事件におきまして、現場にゴム製の猿くつわ、それから手錠、タオル等が遺留されておりまして、そのうちのタオルの一本が大阪府下で製造されたものであることが判明しております。しかしながら、他のものはいずれも極めて粗悪品である、製造場所、販売ルートとも不明ということに、その当時の捜査ではなっております。

○松沢委員 もう一点お聞きしたいんですが、私の得た情報では、昭和六十二、三年ごろ、兵庫県警で、恐らく対日の工作員であると思われるある男が、これはスパイとして逮捕されて捜査をされたのではないかという情報が入っているんです。この捜査結果によって、日本国内に北朝鮮のスパイ組織というか、こういう対日工作組織のようなものが存在するということが明らかになったというふうに思われますけれども、当局はどう把握されていますでしょうか。

○小林説明員 御指摘の事件は、兵庫県警察が、昭和六十三年の五月七日に、御指摘の人物を、公正証書原本不実記載同行使で逮捕した事件と考えております。

 なお、この事件では、弟の日本の戸籍を盗用しまして、昭和六十一年に弟名義の日本旅券を不正に取得した人物を昭和六十三年五月六日に旅券法違反で逮捕しましたところ、「よど号」ハイジャック事件犯人の一人であるということが判明しております。

 こういった事件でありますが、この当時、先生御指摘のようないわゆるスパイ組織と申しますか、そういう支援組織というものについてのかかわりについて、いろいろ捜査はしたと思いますが、御指摘のような具体的な中身については把握しておりません。

○松沢委員 他にも幾つか対日工作員と思われるような事件があったと思うんですけれども、警察当局は、北朝鮮による日本人拉致事件に絡む北朝鮮の日本での工作員活動の実態、私はかなり活発に行われているんではないかと推測をしますけれども、警察当局では、この工作員の活動実態というのはどのように把握されていますでしょうか。

○小林説明員 拉致事件につきましては、もちろん個別の具体的な被疑者がかかわっておるわけでありますが、先生御指摘のように我が国におきましても、過去北朝鮮が関与した、かかわったと見られるスパイ事件等、多く発生しておりますし、そういう面では、いわゆるインフラと申しますか、いろいろな支援というものは当然考えられる。拉致事件についてもそういうものを視野に入れて、当然警察としては関心を持って捜査をしているところであります。

○松沢委員 確かにこれ、いろいろ捜査がずっと継続しますから、大変言いにくい部分だと思いますが、例えば一つの提案として、韓国には北から相当亡命者がいるわけですね。その中には元工作員であったという方もたくさんおられるわけで、日本として日本人の安全、人命を守るというのは政府の一番大きな務めでありますから、韓国とある意味で共同して、韓国に亡命してきた北朝鮮人、特に元工作員も含めて、徹底的に、日本での対日工作活動の情報を集めるために韓国と共同してこういう捜査に当たるという方向も考えられると思いますが、そういう方向性は持っているんでしょうか。

○小林説明員 犯罪の国際化ということで、御指摘のように韓国との捜査協力、もちろん韓国以外、各国すべてそうでございまして、必要な状況があれば当然捜査の連携、また情報段階におきましても連携の強化ということは当然だと思います。

○松沢委員 先月、この拉致疑惑日本人の当事者の御家族の皆さんが被害者家族連絡会というのをつくりまして、発足以来、その会のもとに私の家族も拉致されたのではないかとか、こういう情報もかなり寄せられているらしいんですね。それで、家族の多くが地方に住んでいて、いろいろとそういう問題を訴える場もないということで、私はこの六組、九人以外にも、もしかしたらかなり可能性のある方がいると思うんですね。

 そういう情報を一元的に収集する意味でも、政府が何らかの形でこういうものに対応する機関を用意すべきてはないかというふうに思いますけれども、その辺について政府のお考えはどうでしょうか。

○加藤(良)政府委員 我々といたしましては、一般的にこの種の問題の解決、それが困難であっても、どうしたら効果的に前進させられるかということから、いろいろ考えてまいりたいと思っておるわけでございます。

 それが基本でございますが、今現在、委員御指摘の機構という面につきましては、外務省、警察庁、その他つかさつかさの任務を担っている機関が既に存在しておりますので、当面、政府として新たな機関をつくるということが今申し上げた目的に合致するというふうには、現時点で必ずしも考えておりません。

○松沢委員 今まで警察当局の御答弁で、日本にもかなりの対日工作機関あるいはスパイ組織というものがあった可能性は強いと私は思いますし、また、警察当局では鋭意それを捜査しているということであります。

 そこで、外務大臣並びに外務省の方にお尋ねをしたいのですけれども、北朝鮮による日本人拉致、これは疑惑といってもほぼ確実なものが幾つか出ておりまして、なぜ北朝鮮が日本人の拉致をするのか、その動機、目的、それは何だとお考えなのか、この点についてお聞きしたいと思います。

○池田国務大臣 先ほど来、警察庁あるいはアジア局長からも御答弁申し上げておりますけれども、この問題につきましては、私どもも細心の注意を持って取り組んできているところでございます。捜査当局としては、先ほどから御答弁ございますように、当然所要の捜査はやっておりますし、外務省といたしましてもそういう情勢を見ながら一必要な情報の収集には努める等、努力はしておるところでございます。

 しかし今、北朝鮮がどういう意図でと、こういう御質問でございますけれども、今までの答弁からも御理解いただけると思いますけれども、これは北朝鮮によるものであるという疑惑はございますけれども、そういう断定できるような状況にはないわけでございますし、ましてや、さらにその先へ進んで、そういった北朝鮮による行為であるということをまず前提にして、今度はその意図は何なのかということを一般的にお答えできるような状況にはない、このように思う次第でございます。

○松沢委員 幾つかの事件を追っかけてみますと、まず動機の一つと思われるのは、やはり日本人を拉致して北朝鮮に連れていって、その人の戸籍だとかパスポートを使って、その日本人に成り済まして日本国内でスパイ活動をする、あるいは朝鮮にも韓国にも出入りが自由になりますから、そういう形でスパイ活動をするために戸籍、パスポートを奪うというのが一つのパターンですね。

 もう一つは、金賢姫の教育係、李恩恵さんに代表されるように、その本によりますと田口八重子さんという名前もしっかり出てきておりまして、その拉致した日本人を使って工作員の養成、教育に当たらせる、そして日本の社会あるいは日本語等も教えて、こういう教育係にするというような幾つかの事例、パターンがあるわけですね。

 そういうことから考えますと、全く日本の国が無防備で危機管理ができていないので、もう北朝鮮にある意味でいいようにスパイ活動され、また日本人まで拉致されて北朝鮮のスパイ養成に使われている、こういう事実がかなり確実になってきていると私は思うのですね。

 そこで、お尋ねしたいのですが、こうした事件は、私は、北朝鮮の国家ぐるみで緻密な計算のもとに、組織的、計画的に行われている可能性が強いと思うのですけれども、外務大臣はいかがお考えでしょうか。

○池田国務大臣 先ほど来御答弁申し上げていますとおり、委員は確実だとおっしゃいますけれども、そういうふうなことをきちっと確定する、あるいは断定するといった前提であれこれ物を申し上げられるような状況にはない、こういうことでございます。

 それでもあえて聞くんだ、こうおっしゃるならば、私もあえて純粋な、特定の国を念頭に置いての答弁ではなくて、純粋に一般論、国際法上あるいは国内法上どうかということでお答えするならば、特定の外国が、あるいはその機関が我が国において、我が国政府の同意を得ることなくある種の活動をするということがありますならば、これは我が国の主権の侵害になるわけでございますし、また、そういった行動を通じて個別の我が国の実定法、法律に違反する行為があれば、それはそれとしてまたその法律に照らして判断しなくてはならないということは言えると思います。

 これはしかし、先ほど申しましたように、あくまで、どこかの国を念頭に置いたわけじゃない、全く国際法的あるいは国内法的にどう考えるかということでお答えさせていただいたわけでございます。

○松沢委員 外務大臣の答弁の趣旨はわかりますけれども、そういう疑惑があって、もしそれが本当であったとしたらやはり政府として迅速に対応していかないと、最悪の事態を迎えるということも私は想定ができると思うんですよ。万が一、今後北朝鮮が、近隣国の努力もむなしく最悪の事態として崩壊のようになった場合、この国家ぐるみによる犯罪の証拠隠滅のために、拉致された日本人の方が消されるという最悪の事態も私は想定をしなければいけないと思うのです。今大臣の答弁のように、これはあくまでも疑惑であって、調査中だからどうこう言えないというお立場だと思うのですが、それがもし本当であったならば、これは外務省なり日本の政府がしっかり態度を持って対処をしていかなければ、最悪の事態を迎える可能性も私は否定できないと思うんですね。

 今後、外務省並びに外務大臣として、確かにまだ疑惑であって確定はしていないけれども、じゃ、この疑惑事件に対してどういう対応で臨まれるのか、その考え方をお聞きしたいと思います。

○池田国務大臣 もとよりこの疑惑の持たれている事件、あるいはその可能性を否定し切れない事件あるいは事態、そういったものは国民の安全にかかわる問題でございますから、私ども政府の関係機関、外務省も含めまして、これは重大な事柄と、こう受けとめ、そして対処していくのに非常に難しい状況ではございますけれども、そういった状況の中でとり得る最善の道を模索しながら対処してきているところでございます。これからも関係機関、その連携をとりながらきちっとやってまいりたい、こう思っております。

 ただ、今委員が御質問の中で、幾つかのことを、仮定の上にさらに仮定を乗っけ、前提の上にさらに前提を積み上げていろいろ御指摘になっておられましたけれども、私は、仮定だとしても、やはり事国民の安全にかかわる問題でございますから、そこのところは、事に当たるに当たってもそうでございますが、事についての考えを表現するに当たっても、よほど細心の注意を求められる事柄ではないかな、こう考える次第でございます。

○松沢委員 疑惑事件であります、まだ事件ではありません、疑惑事件でありますが、ただ、その疑惑がある以上、それを解明していかなければいけない。日本国内での捜査も大変重要でありますけれども、当然これ北朝鮮に対して、どうなんだということを聞いていくことも一つの方法だと思います。そして、北朝鮮はこういうことを言っても全面否定でありますから、それはなかなか進んでいきません。

 そこで、もう一つの方法として、やはりこういう疑惑は国際社会に訴えて、国際社会のある意味でのプレッシャーも使って、北朝鮮に対してその情報を公開させる、こういう方向に持っていくのが一つの方法だと思うんですね。そこで、今、例えば国際機関の雄であります国連、国連の人道問題局では、北朝鮮が崩壊しないように、水害の被害もあって飢餓にあえいでいる北朝鮮に食糧を支援していこうというアピール、要請を出しているわけでありますけれども、私は、この国連人道問題局をある意味で逆に使って、北朝鮮で日本人の拉致疑惑、人権が侵害されている、これがかなり高い確率として調査されている。ぜひとも国連が国際横関として、北朝鮮で日本人が拉致されているとしたら、疑惑があるのだから、その情報を公開するように国際機関を通じてやることが当然考えられると思います。

 また、これも可能かどうかわかりませんが、国連総会のような立場で、北朝鮮も当然国連のメンバーですから、そういうところで決議案なりのアピールも考えられる。疑惑があるのであればそれを解明するために国際機関をもっとしっかり利用する、こういう方向が考えられると思いますが、いかがお考えでしょうか。

○池田国務大臣 繰り返し答弁申し上げておりますけれども、国民の安全にかかわる問題でございます。私どもも重大に考えておりまして、この疑惑を解明する、あるいはその事柄を解きほぐしていき、国民の安全を確保する、そういったことのために一体何ができるか、そして何が有効であるか、限られた条件の中であれこれ模索をし、そうして我々として有効性があり得ると考える手段はいろいろ講じてまいっておりますし、これからもやってまいります。

 ただ一それが具体的に一体何かという点につきましては、いろいろ考え方もあるんだと思いますし、我々が現に考え、模索している手法につきましても、その手法の有効性を確保するという観点からも、そして何よりも国民の安全にかかわる問題ですから、そういったところへ配慮しながら、あえて表へ明らかにすることは差し控えさせていただくことが適当だということも少なくないんだ、こう考える次第でございます。

○松沢委員 先ほども申し上げましたけれども、今国連の人道問題局あるいはWFPの方からも北朝鮮の食糧難、飢餓に対して国際社会が援助をしてほしいという要請を出しております。この局面でこの日本人の拉致疑惑の問題も日本国内では大きくなってきているわけなんですけれども、二、三日前にアジア局長の方もある会合で、この食糧支援について、この拉致事件もあるのでそう簡単には応じられない、また北朝鮮は軍部独裁で、食糧を援助しても満遍なく一般人に行き渡るかどうかの保証もないし、なかなかそこは今考えているところだということをおっしゃったそうでありますけれども、外務大臣、現時点でこの食糧支援の要請にどのような形で応じていくのか、そのお考えをまずお聞かせいただきたいと思います。

○池田国務大臣 もろもろの要素を総合勘案しながら、どうするか、慎重にかつ真剣に検討している過程でございます。

○松沢委員 米韓が、この四者協議に北朝鮮を引き出す、出席させたいという思惑を持っていて、その中で、人道支援ではありますけれども、この食糧援助に積極的に応じている。私は、確かにこれは人道援助でありますけれども、ある意味で四者協議の席に着かせるという戦略的な意図を持った援助であると見ることもできると思うのですね。

 片や、日本もこの拉致日本人の疑惑、これは日本人の人命がかかっている大変大きな人権問題でありまして、この件を日本国としてしっかりと解明をしていく、これは私は日本の政府に課せられた大変大きな課題だと思うのですね。そういう意味で、北朝鮮は今大変な食糧難で、確かに国民は飢餓にあえいでいると思いますけれども、日本人の人権もかかったこの拉致疑惑をあえて食糧問題にリンクさせて、日本が毅然とした態度で、この問題に対する北朝鮮の情報公開がなされなければ残念ながら食糧援助に応じることはできないというぐらいにはっきりと物を言って、ある意味でこの食糧援助を、戦略援助という言い方は言い方が悪いですけれども、外交交渉のためにあるいは拉致疑惑を解決するために使っていく、そういう毅然とした態度も私は求められると思いますけれども、外務大臣、御見解いかがでしょうか。

○池田国務大臣 この問題に限らず、外交問題、それはいろいろな要素が複雑に絡み合う中で、いかにして日本の国益をしっかりと守っていくかということでございますので、当然のこととしていろいろな要素を、それは戦略的な観点も含めながら総合的に勘案しながらそれに最も適切な道を模索し対処していく、そういう心構えでやっております。そういったときには、それは毅然とすることも大切でございますが、場合によっては柔軟性を発揮することも必要である、こういうことも指摘しておきたいと思います。

○松沢委員 時間ですので、終わります。


1997/04/18

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