1998/03/11

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142 衆院・法務委員会

木島日出夫議員(共産党)の拉致事件についての質問部分


○木島委員 私は、きょうは法務省、法務大臣の一番大事な基本的な任務として、何といっても国民の今、財産、権利をしっかり守る、基本的人権を守るということだろうと思いますので、実は起きた時期は古い時期でありますが、一九七七年から七八年にかけて日本海海岸で頻発して発生した日本人拉致事件について、いまだに解決しておりませんので、最初にその問題についてお聞きをしたいと思います。

 最初に、警察庁をお呼びしております。昨年の警察白書で、警察庁は初めてこれら一連の日本人拉致事件を北朝鮮による拉致容疑として指摘をし、七件十名について触れております。その七件について、概要、そして警察白書以降の捜査その他の状況をまず御報告願いたい。

○奥村説明員 お答えをいたします。
 北朝鮮による拉致の疑いのある事件は、これまでに御指摘のとおり七件十人でございまして、また、拉致が未遂であったと思われるものは一件二人であると判断しております。

 その内訳を申し上げますと、昭和五十二年九月に石川県警察が検挙いたしましたいわゆる宇出津事件、昭和五十二年十一月に新潟県の海岸付近で発生をいたしました少女行方不明事案、それから五十三年七月から八月にかけまして福井、新潟、鹿児島の海岸で連続発生をいたしました三件のアベック行方不明事案と、同じ年の八月に富山県の海岸で発生をいたしましたアベックの監禁致傷事件、昭和六十年に韓国で検挙されました辛光洙事件、それから李恩恵と呼ばれる日本人女性の拉致容疑事件、この七件十人と未遂の一件二人でございます。

 白書以降の捜査の状況でございますが、これらの一連の北朝鮮によります拉致の疑いのある事件につきましては、韓国当局との情報交換を含めまして、外務省等関係各機関と連携をしながら、新たな情報の収集、また各事件相互の関連性の調査等所要の捜査を行ってきておるところでございます。

○木島委員 拉致容疑のある七件十人について、生存が確認されているかどうか。どうでしょうか。

○奥村説明員 生存しているかどうかにつきましては鋭意確認中でございますが、この中で李恩恵と呼ばれる日本人女性でございます。これは、例の金賢姫が捕まりまして、金賢姫がその自供の中で李恩恵という者に過去日本語等を教えてもらったということを言っておりましたので、その当時は生存しておったのではないかというふうに思っております。

○木島委員 ほかに生存確認は全然できていないのですか。今日じゃなくてもいいです。いつの時点でどういう生存が確認できたということでもいいです。

○奥村説明員 ただいま申し上げましたほかに、現在の時点で生存確認しておるという者はございません。

○木島委員 七七年の十一月に新潟で起きた少女拉致事件、横田めぐみさんでありますが、この件について、詳しい捜査の状況、そして今日まで警察として把握している状況を述べていただきたいのです。

○奥村説明員 お答えします。
 昭和五十二年十一月に発生をいたしました少女行方不明事案でございますが、これは五十二年の十一月十五日の夕刻、当時十三歳の少女が、新潟市内におきまして、中学校から帰宅する途中で消息を絶ちまして、その後現在に至るまで行方不明となっておる事件でございます。

 本件につきましては、韓国当局との情報交換を含めまして、これまでの捜査結果を総合的に検討いたしました結果、平成九年に至りまして、北朝鮮による拉致の可能性があると判断するに至っておるところでございます。

○木島委員 平成九年に至って北朝鮮による拉致容疑を判断した、それはどういう契機からそういう判断に至ったのでしょうか。

○奥村説明員 これは、これまでの捜査結果を総合的かつ慎重に検討いたしました結果、平成九年に至りまして、北朝鮮による拉致の可能性があるというふうに総合的に判断するに至ったということでございます。

○木島委員 現在、警察としては、この七件の事案についてどういう捜査体制をとっているのでしょうか。

○奥村説明員 これら七件の事件、事案につきましては、関係府県警察におきまして、必要な体制をとりまして、鋭意捜査を行っておるということでございます。

○木島委員 大分古い事件でありますが、法的にまだ時効は完成していないという立場で捜査を続行していると聞いていいのですか。

○奥村説明員 これは北朝鮮による拉致事件ということでございますので、時効の停止、犯人が海外へ行っている間は時効は停止するという規定がございますので、時効が停止しているという前提のもとで捜査を行っておるということでございます。

○木島委員 外務省、お呼びしているのでお聞きしたいのですが、この七件の事案、あるいは富山での未遂事案について、真相解明、被害者の生存の確認等、外交的にどんな努力をされているのか、御報告願いたい。

○樽井説明員 御説明いたします。
 本件につきましては、我が国国民の生命の安全にかかわる大変重大な事件と心得ておりまして、これまでも、いろいろな北朝鮮側との接触を通じまして、私どもとしてはしっかり北朝鮮側と協議しているということでございます。

 ちなみに、昨年八月に行われました審議官級の予備交渉、引き続いて日朝間の赤十字連絡会議等ございまして、そういう場を通じましても、我が方は、北朝鮮に対しまして、本件の早期調査を強く申し入れている次第でございます。

○木島委員 八月の審議官クラスの交渉について、もっと具体的に、日本側としてどういう要望を出したのか、相手方、北朝鮮側がどういう対応だったのか、詳しく報告してください。

○樽井説明員 お答えいたします。
 昨年の審議官級予備交渉の主要なテーマは、日朝交渉の再開をどうするかということでございましたけれども、その協議の過程におきまして、本件拉致事件につきましても、我が国の大変重大な関心を先方に伝えまして、本件についての早期調査を強く求めたわけでございます。

 当時、北朝鮮側は本件拉致事件そのものを否定いたしておりまして、そのようなことはあり得ないという態度でございました。

 ただ、御承知のように、昨年十一月の与党の訪朝団が北朝鮮を訪問されまして、その結果、北朝鮮側も、一般の行方不明者として調査するということで回答いたしまして、以後、北朝鮮内部においても調査が進んでいるという理解でございます。

○木島委員 八月の会談で、重大な関心を持っているということで、日本側から北朝鮮側に話をしたという答弁でありますが、もっと端的に、日本の警察は白書で、北朝鮮による拉致の疑いのある事案なんだ。時期、被害者、発生場所、はっきりと相手国に伝えて、捜査協力を依頼したのですか。

○樽井説明員 御説明がちょっと足らなかったと思いますが、御指摘のとおりでございまして、我が方の持っております材料、すべて北朝鮮側に提示いたしまして、早急なる調査を要請しております。

○木島委員 その材料というのは何ですか。

○樽井説明員 先ほど来警察当局からも御説明のありましたような、我が方が持っております関連資料ということでございます。

○木島委員 警察にお聞きしたいのですが、警察が今手持ちの、捜査によって得られた資料はすべて外務省に渡していますか。

○奥村説明員 一連の北朝鮮による拉致の疑いのある事案につきましては、その事案の性質上、外務省等関係機関との連携をとることは、捜査を進める上でも必要不可欠であると考えておりまして、かかる観点から、外務省とは密接な情報交換を行っております。

○木島委員 質問に答えていないのですが、全部出していますか、外務省に。

○奥村説明員 必要な情報は全部出しております。

○木島委員 何が必要か警察が判断しているので、八月の交渉のときには相手国政府は否定していたわけでしょう。そうですね、さっきの報告によると。
 その後、相手国の態度変化は見られたのですか、外務省。

○樽井説明員 お答えいたします。
 先ほど御説明申し上げましたように、昨年の審議官級予備会談におきましては、北朝鮮側はそのような事実はないという答えでございました。

 他方、その後、昨年十一月の与党訪朝団が訪朝されまして、そこにおきます会談で、北朝鮮側から、一般の行方不明者として調査するという回答がございました。

 そのような経緯を経まして、私どもは引き続き北朝鮮側の早急な調査を強く申し入れているという状況でございます。

○木島委員 昨年十一月の与党訪朝団が行った交渉、相手はどんなレベルのどういう人だったのですか。

○樽井説明員 相手方は宋浩敬朝日友好親善協会の会長と承知しております。

○木島委員 国柄でどうかわからないのですが、民間人ですか、それとも捜査に直接の権限等を持っている人なんでしょうか。どういう人なんでしょうか。

○樽井説明員 御承知のとおり、この組織は北朝鮮労働党の関係機関でございますので、それなりの地位をお持ちの方であると承知しております。

○木島委員 党と政府の関係はよくわかりませんが、政府機関の責任ある地位にある者が、一般の行方不明者という言葉で表現するかどうかはともかくとして、捜査、調査に協力しようという回答は、まだ正式には得られていないのですか。

○樽井説明員 私ども政府の理解で申し上げますと、十一月の与党訪朝団と北朝鮮側との会談におきまして、北朝鮮側の極めて正式な回答があったというふうに理解しております。

○木島委員 その後三カ月近くたつわけですが、そういう相手国、相手側の対応を受けて、ではその後どうなったのか。詰める場というのは持っておるのですか。

○樽井説明員 お答えいたします。
 日朝間におきましては、日朝交渉再開という問題もございますので、極めて非公式ではございますけれども、政府レベルの大変非公式な接触を継続いたしております。私どもは、そういう非公式の接触の場を通じまして、この問題については非常に強く提起いたしておりますし、北朝鮮側の早期の調査及び回答を要請している状況でございます。

○木島委員 その非公式の場でこの問題を持ち出した直近の時期というのは、いつなんでしょうか。そして、それに対して、そのとき日本の外務省側はどういう言い方をしたのか。非公式の場で、相手国の政府機関の代表が出てくるのだと思うのですが、どういう態度だったのか、明らかにしてほしい。

○樽井説明員 お答え申し上げます。
 大変非公式な接触でございますので、具体的な時期、レベル等につきましては、大変恐縮でございますがコメントを差し控えさせていただきたいと思いますが、つい最近の交渉はことしに入ってからでございます。その場におきまして、本件につきましてもかなり突っ込んだやりとりをいたしましたが、結果的に、我が方として満足のできる結果は一切得られていないというのが現状でございます。

○木島委員 どうも具体的にお話しいただけないのでよくわからぬわけですが、満足の得られる回答が得られなかったというお答えですが、どういう態度なんですか。

 要するに、日本が考えているように、こういう拉致事件、そんなのは知らぬという態度なんですか。それとも、与党訪朝団が交渉したときの相手の朝鮮労働党の代表が発言したような、まあ一般の行方不明者として捜そう、そういう態度なんですか。もうちょっと具体的に答弁してくださいよ。

○樽井説明員 先方の態度でございますけれども、一般の行方不明者として調査する旨を与党訪朝団に約束したということを踏まえまして、そういう調査を継続しているという回答でございます。

 他方、先ほど来申し上げていますように、その結果につきまして、私どもとしては満足できる結果は得られていないということでございます。

○木島委員 相手国政府は、与党訪朝団の折衝の場でも、今述べられた非公式の政府間の折衝の場でも、拉致事件というのは一貫して否認しているというふうにお伺いしていいですか。

○樽井説明員 本件につきましては、与党訪朝団が訪朝されましたときに大変激しいやりとりがあったというふうに承知しておりますけれども、北朝鮮の立場といたしましては、拉致事件ということにつきましては、これを必ずしも受け入れているということではございませんけれども、先ほど来御説明申し上げていますように、一般の行方不明者として調査することはやりましょうということでございます。

○木島委員 被拉致者の家族の皆さん、大変な思いでこの二十年間を過ごしています。全く情報がなかったわけであります。つい最近、一定の情報が得られて、横の連絡がとれるようになりまして、被拉致家族連絡会が組織されました。

 この家族の皆さん、昨年、政府に訴え状を出したと思うのです。ちょっと冒頭、読んでみます。

 「政府に訴えます。私達の息子や娘たちを返してください。昭和五十三年七〜八月私達の息子や娘達が、突然姿を消してしまいました。茫然自失の私達は、行方不明となった理由・原因について、ありとあらゆることを考え、また自分たちで出来るありとあらゆる方法で、その行方を探しましたが、全く手掛かりをつかむことは、出来ませんでした。」
 「私達の息子や娘たちが、消息を絶ってすでに二十年たちます。当時二十三才だった息子も現在四十三才であります。この間に失われた貴重な歳月は、永久に取り戻すことは、出来ません。またこの間二十年息子や娘たちの帰りを断腸の思いで待ち詫びていた私達家族の気持はとうていかんたんな言葉では言い表すことは出来ません。」

 相手は国交のない国であります。大変だと思うのです。国連の場を通じて努力はどうされているのでしょうか。

○樽井説明員 お答え申し上げます。国連との関係につきましては、昨年、小渕外務大臣が総会出席のために国連に出席いたしました折に、当時の明石国連事務次長との会談の中で本件を提起いたしまして、ぜひ国連サイドでも御協力いただきたいという話をいたしております。

 その後、明石事務次長が訪日いたしましたときにも、本件につきましては国連としても非常に関心を持っておりますので、お手伝いが必要であれば考えたいということをおっしゃっておられたと承知しております。

○木島委員 それで、その後詰めているのですか。

○樽井説明員 その後、この協力につきましては、特に具体的な詰めば行っておりません。

○木島委員 非常に外務省の対応は不十分だと思うのですね。こういう思いで二十年間、家族の皆さんは情報を求めているのですよ。日本の主権にかかわる事件ですよ。日本の国内で、何の責任もない若い男女が忽然と行方不明になった。日本の政府、警察庁は、北朝鮮による拉致事件だと正式に認定した。もっと毅然たる態度で臨んでほしい。

 そして、少なくとも外務省なり警察庁がつかんだ情報は、すべて家族に伝えてほしいのです。皆さん方、私に対してもほとんど情報を提供しません。警察、外務省、どうですか。あなた方がつかんでいるすべての情報を、ここでもほとんど先ほど述べませんでした。二十年待ち続けているのですよ。すべての皆さんが持っている情報を家族に渡してやってください、警察、外務省。

○奥村説明員 警察といたしましては、拉致された疑いのある方々の両親と親族に対しましては適宜連絡をとらせていただいておりまして、今後とも、御指摘の点を踏まえつつ対処してまいりたいと考えております。(木島委員「情報は渡すんですか」と呼ぶ)ええ、情報はこれまでも必要なものはお渡しをしております。

○樽井説明員 外務省といたしましても、本件の重みは十分踏まえて対処しているつもりでありますし、今後ともしっかりやりたいというふうに思っております。
 御家族への情報の提供につきましては、先ほど警察当局からお答えしたとおりでございます。

○木島委員 これからも家族の方から警察、外務省にいろいろな情報の提供を求めると思うんです。その際には、隠さずにあらゆる情報を家族に提供してもらいたい。そして、力を合わせて一日も早くまず生存を確認し、救出し、そして事件の真相を解明するように引き続き努力されんことを求めていきたいと思います。

 法務省に聞きますが、この事案について法務省はどんな関与、かかわりを持ったんですか。

○原田(明)政府委員 いわゆる一連の拉致事件ということで問題にされている事件につきましては、現在警察当局におきまして捜査中ということでございまして、検察当局といたしましても、その捜査の成り行きにつきまして関心を持って見守っていると承知しております。

○木島委員 先ほど警察から報告があった七件の拉致疑惑容疑、そして一件の富山での拉致未遂事件、これについて、送致を受け、刑事訴訟法に基づく処分をした例はありますか。

○原田(明)政府委員 一件、富山におけるアベック拉致事件につきまして、昭和六十年七月十五日に富山地方検察庁高岡支部におきまして、被疑者不詳のまま逮捕監禁致傷の罪名で送致を受けた。そして、それにつきましては、当時の状況で時効が完成しているということで、昭和六十年七月十九日に不起訴処分に付されたということを承知しております。

○木島委員 氏名不詳のまま逮捕監禁容疑で送致を受けた、そして、時効完成で氏名不詳のまま不起訴処分をしたということですが、送致を受けたというわけですから、証拠を添えて送致を受けたと思うんです。そうですね。それで、不起訴処分をしたその一件証拠はどうされたんでしょう。

○原田(明)政府委員 まず、本件一件記録でございますが、その保存期間は、記録の事務規程によりますと平成二年七月十八日までであったのでございますが、この不起訴記録、不起訴にいたしました後に、昭和六十二年十一月二十九日に発生いたしましたいわゆる大韓航空機事件を契機に、本件に北朝鮮工作員が関与している可能性が必ずしも否定しがたい状況に至ったということから、この規程によりまして現在も引き続き保存いたしております。

○木島委員 この未遂事件の被疑者不詳ということですが、その後北朝鮮による拉致の疑いもあるということで記録は保存しておると。もし北朝鮮による拉致未遂事件だということになれば、これは時効はとまると考えていいんですか。

○原田(明)政府委員 もし今後犯人が判明いたしまして、ある期間海外逃亡中であったという事実が認められますならば、その間の時効の進行は刑事訴訟法の二百五十五条によりまして停止いたしますため、その段階で改めて公訴時効の完成の有無が考慮される、検討されるということになるかと存じます。

○木島委員 一連の事件については、家族にとって本当にほとんど情報がないという事案であります。たまたまわずかな情況証拠がかいま見れるのが今の富山の未遂事件。一件記録・証拠もある、そして、幸いにしてその証拠物件が保存されていると。ぜひこれは開示をして私にも見せてほしいんです。もう事件として明らかにした事件でありますから、刑訴法の規定によっても開示することが私は公益にかなうと思いますので、ぜひ記録を見せてほしい。また、ほかの事件の家族にも開示してほしい。

 そして、日本の主権が侵害された大変な事件でありますから、民間の力もかりて、これからでも遅くないわけですから、あらゆる情報を集約して、そして北朝鮮に迫るいうことが求められる事件だと思いますので、富山地検の高岡支部に眠り込ませておくのはいかぬと思うんですが、いかがでしょうか。開示をしてもらえませんか。

○原田(明)政府委員 現在、この一件記録につきましては、なお捜査の継続する可能性があるということを前提に現在保存さしていただいているものというふうに承知しておるわけでございます。

 そういう点からいたしますと、委員御承知のとおり、刑事訴訟法四十七条の規定に基づきまして検察官が判断するということになろうかと思います。そして、現在そういう面では生きている可能性のある事件ということで、その取り扱いについては、その記録の状況につきまして、閲覧の目的、必要性、その他の事項を考慮して、勘案した上で決定されるというふうに考えるわけでございます。

 ただ、委員御指摘のとおり、一般的に公開という点についてはいかがかと存ずるのでございますけれども、しかし、関係者との関係で検察官において個別に判断することは可能であろうというふうに考える次第でございます。

 なお、先ほど私、申し上げるのが一点委員の御質問の関係で明確でなかった点がございますが、この一件記録そのものは保存されているんでございますが、これに附属されました遺留品としての証拠物につきましては、これにつきましては不起訴にした後廃棄されているという事情がございます。その点について私のお答えが不十分であり、委員の御質問の中に、一件記録及び証拠物という意味の御指摘が私の答弁の後の質問にあったものでございますから、念のためにお答えさしていただきます。失礼いたしました。

○木島委員 その証拠物というのはどんなものだったんでしょうか。

○原田(明)政府委員 証拠物は、寝袋用の袋、そのバンド、タオル、マスク、手錠、その連結金具、バスタオル、サンバイザー等であったと記録が残っております。

○木島委員 何で廃棄処分しちゃったんでしょうか。

○原田(明)政府委員 これは、当時の事情といたしまして、時効寸前にかかわるものということで送致され、被疑者不詳ということで廃棄されたものというふうに考えております。

○木島委員 もう時間も迫ってきておりますので、検察、警察に最後の質問になりますが、今、この事件解決のために、国連というルート、あるいは国交のない北朝鮮とのいろいろなレベルの公式、非公式の会談、そういう二つのルートを先ほどお話がありました。それ以外に、国際刑事機構その他のそういう国際的な組織を通じて、国交のない国といえどもこの事件の解決のために努力させる、そういう道があるかと思うのですが、いかがでしょう。これは法務省あるいは警察、外務省。少しでも知恵を出して、この事案の解決のために総力を挙げる責任が日本政府はあると思うので、最後に聞きます。

○奥村説明員 これら一連の事案につきましては、この事件の重大性にかんがみまして、あらゆるチャンネルを使って情報の収集等を行っておるところでございます。

○木島委員 今の国際的な組織、どうなんですか。

○奥村説明員 御指摘の国際刑事警察機構につきましても、必要な連絡はとっております。

○原田(明)政府委員 委員の御指摘のこの一連の事件の背景ということを踏まえまして、確かに政府全体としてやらなければならないことはやらなければならないというふうに思いますし、法務省といたしましても、また検察の立場といたしましても、警察当局その他関係当局とお互いに連携をとりながら、やはりやるべきことがございますれば、それに対して協力してやっていかなければならない、そういうふうに考えます。

○木島委員 ひとつあらゆる知恵と力を使ってこの事案の解決、まずは生存を確認して救出することだと思うのです。そして、真相を徹底的に明らかにすることだと思うので、そのために、法務大臣におかれましても、全力を尽くしていただきたいということをお願い申して、私の質問を終わらせていただきます。


1998/03/11

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