2002/05/17

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後藤議員、個人情報保護法案の基本認識を質す (民主党ニュース)

 17日、衆議院内閣委員会において民主党の後藤斎議員は「3年前の住民基本台帳法の審議を思い出しながら議論したい」として、個人情報保護法案の基本的考え方を確認した。

 後藤議員はまず、住民基本台帳法の施行を8月5日に控え、国民からの批判がも高まる中、「なぜこの時期に個人情報保護法案など5法案を一括で提出したのか」と問いかけ、説明を求めた。

 竹中経済財政・IT担当相は「住民基本台帳法改正法案の国会審議の際、施行にあたっては個人情報保護に万全をきすため、すみやかに措置を講じるとしており、包括的な個人情報保護法制の検討が国会の意思として政府に求められたと認識している。そのような背景のもとに個人情報保護制度の構築を手がけた」とした。

 後藤議員は、「小泉内閣は個人の尊厳や自立を重視するとしているが、個人情報保護法案は官庁の裁量権の拡大になるとの懸念がある」との見方を示し、その方向性は小泉内閣の姿勢に反するのではないかと指摘した。福田官房長官は「裁量権の拡大への懸念につながる主務大臣の関与は、法の適正運用にとって必要最小限度にとどめている」と説明。また、本法案は基本事項を定めた一般法の性格を有し、住民基本台帳法は住民生活における個人情報の取扱いをめぐる個別法だとした。

 また、後藤議員は住民基本台帳ネットワークシステムの情報は本来の目的以外に利用させないと約束できるかと片山総務相に確認し、「はっきり約束できる」との答弁を得た。さらに政府側は、住民基本台帳ネットワークシステムが保有する情報は氏名・生年月日・性別・住所・住民票コード・これらの変更情報に限られていると説明。これらの情報の提供を受けた行政機関は法の別表に規定されている事務処理以外で情報を利用してはならないと規定しているため、限られた情報利用に限定されるとした。

 後藤議員は重ねて、住民基本台帳ネットワークの導入により、警察庁が各行政機関とネットワークを結合させ、犯罪捜査などを理由として住民票コードを手がかりに、あらゆる行政機関の個人情報を検索する可能性などについても指摘。同時に、住民基本台帳ネットワークに対して懸念があるのは、国民へのPRが不足しているためではないかと提起し、情報提供の徹底を求めた。


平成十四年五月十七日(金曜日)

後藤(斎)委員 冒頭の質問でございます。幾つか基本点についてまず御確認をしたいと思います。
 きょう、マスコミの方もたくさんいらっしゃいます。私は、今一括して審議をされようとしているこの法案の処理そして必要性がまだメディアの皆さん初め国民の皆さんにも十二分に理解されないところもあり、そして、その必要性について、この何日か、また大きな国民的な議論を巻き起こしているというふうに思っています。
 一九八八年、もう十四年前に、行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律というふうなものが制定をされ、その当時は、まだコンピューター社会とは到底言えない、まさに電子計算機という中での対応でございました。そこで初めて個人情報の保護という法律の枠組みがスタートしたというふうに認識をしております。今、それから十四年、私が言うまでもなく、政府でも、電子政府、IT大臣もおられ、世界の有数な最高水準にITの水準を目指していくという中で、この個人情報保護が一括、行政、基本法を含めて本委員会にかかっております。
 三年前を私は思い出しながらこの議論を進めてまいりたいと思っています。三年前、住民基本台帳法、ちょうど五月か六月の当時の地行委員会だというふうに記憶をしておりますが、審議が進められ、その中でも、住民基本台帳法にかかわる問題としてプライバシーの保護等々が大変大きく国民的な世論を喚起し、そして当時の与党の大きな力の中で本案を修正し、住民基本台帳が八月五日に実施をされようとしています。
 まず、冒頭お尋ねをします。
 なぜこの時期に、大きな国民的な御批判が新聞、メディアを通じてある中で、この五法案を一括して内閣は提出をされ、そしてこれが国民的な生活にどんな意味合いを持っていくのか、その部分について、きちっとこの委員会でまず御説明を承りたいと思います。
竹中国務大臣 お答え申し上げます。
 もう言うまでもないことでありますけれども、日本は今まさに官民一体となりまして世界最高水準のIT国家を目指しているというところであります。IT担当大臣としてその任に私も当たらせていただいております。その基盤の法制として本法案の整備が急務になっているというのが基本的な認識でございます。
 平成十一年の住民基本台帳法改正法案の国会審議の際に、附則第一条第二項で、御承知のように、「この法律の施行に当たっては、政府は、個人情報の保護に万全を期するため、速やかに、所要の措置を講ずるものとする。」という旨の規定が追加をされました。民間部門を含みます包括的な個人情報保護法制の検討が国会の意思として政府に求められたというふうに認識しているところであります。
 したがいまして、今回立案をいたしました個人情報保護関連の五法案は、このような背景、経緯のもとで、官民を通じたいわば整合性のある個人情報保護制度を構築しようというものでありまして、そのIT社会のもとにおける緊要性というものを御理解いただきたいというふうに考える次第でございます。
後藤(斎)委員 小泉内閣、もうスタートして一年ちょっとになるわけですけれども、官房長官、小泉内閣は、官というよりも、官から民へ、国から地方へ、そして個人の尊厳や自律を積極的に支援するお立場にある内閣であるというふうに私は個人的に思っております。むしろ、それは所信表明や一連の大臣、官房長官の御発言の中でも明確であります。
 ただ、今ここまで官が、政も含めてかもしれませんが、国民から信頼性を失い、そしてこの個人情報保護法案や行政機関も含めて官の裁量権をむしろ増している、すなわち、細かい条文はきょうは御質問いたしませんが、行政府における目的外利用をかなり大きく認めている、それは私は小泉内閣の一貫した姿勢とある意味では違っているんじゃないかな。要するに、国民の危惧や国民の懸念というものを払拭して国民の自律を支援していく、プライバシーを保護していくというのが私は一貫した小泉内閣の姿勢だったというふうに理解しております。そして、今竹中大臣が、速やかに、包括的に、整合性を持ってという、必要性についてお話がありましたが、では、この個人情報保護法案、一括して提案をされているものがこれからの国民生活の中でどんな形で小泉内閣として生きていくのか、その点について官房長官にお尋ねをしたいと思います。
福田国務大臣 ただいま竹中大臣からも答弁ございましたけれども、この個人情報保護法案を含みます関係五法案、これは、コンピューターやネットワークを利用して大量な個人情報が処理されておりまして、個人情報の大量流出とか個人上の情報が売買される、そういうようなことが社会問題となっているわけでございます。そういう社会の不安感が広がっている中で、個人情報の取り扱いのルールを定めるということによって個人の権利利益を侵害することを未然に防止する、これが一番の目的なんであります。
 御懸念の官庁と申しますか、公の、公権力の裁量権が広がるのではないかというようなことを御指摘なさったのでありますけれども、このことにつきまして、各主務大臣による関与というものは、法の適正な運用に必要なもう最小限度にとどめるということになっておりまして、権限の恣意的な運用を認めるというものにはなっていないのであります。その点はこれからの審議を通じて明らかになるだろうというように思いますけれども、そういうことでこの法律はできているということをぜひ御理解をしていただきたいと思っております。
後藤(斎)委員 幾つかまず基本的な点について整理をしていきたいと思います。
 冒頭御指摘をした、今回の個人情報保護法案と三年前の住民基本台帳法の改正、これはある意味では今回の法律が必須条件であるというふうに認識しておりますが、この両法は具体的にどういうふうな位置づけになるのか、お尋ねをしたいと思います。
松下副大臣 本法案は、個人情報の適正な取り扱いに関する基本原則や国等の責務など、基本となる事項を定める基本法としての性格を有するとともに、個人情報取扱事業者に関する一般法としての性格を有するものである、こういうことでございます。また、本法案においては、個人情報の性格、それから利用方法などにより格別の措置が要請される場合には、個別法などにより必要な措置を講ずべき旨を定めているところでございます。
 したがって、住民基本台帳法は、住民データ等の個人情報の取り扱いについて一段と厳格な措置を規定するものでありまして、個人情報保護法案に対して個別法という位置づけになる、このように整理をしております。
後藤(斎)委員 今のようなお答えでは、先ほど竹中大臣がお話をされた、住民基本台帳法の国会の意思の中で今法案も提出がされてきたという点についてのお触れがなかったんですが、その点については、松下副大臣、いかがでしょうか。
松下副大臣 それはもう大臣のお話のとおりでございまして、平成十一年八月に住基法の一部が改正されまして、住基ネットの整備とか住基法上の個人情報保護措置というものがなされたわけでございまして、個人情報保護の万全の措置をとっていくということも含めて、個人情報保護の基本法というふうな一般法としての役割を持っている、こう思っております。
後藤(斎)委員 今のような流れで、今法案というのは、基本的にはその時代の、IT社会という流れもありますが、住民基本台帳法、三年前の国会の意思というものが大きく反映されているという松下副大臣、竹中大臣からのお話でありました。
 総務大臣、今、地方公共団体がこの住民基本台帳ネットワークシステムを進めているというふうに言われておりますが、昨年、日弁連が十二月末に調査をした中では、ことしの八月、まだちょっと難しいというふうな自治体が五割弱いるというふうな話もあります。総務省として、本当に全国一律で、このまま推移が進み、法案の処理としてはまだ着地点はわかりませんが、今のいろいろな自治体の動き等々を見て、八月五日からネットワークシステムが基本的に進んでいくというふうに本当に思っておられるんでしょうか。
 そして、今まで三年あったわけですよね。その中でどんな対応をなさっていたのか。半分の自治体が、いや、まだちょっと準備ができないかもしれないというふうな中で対応をなさっていく。その思いというのは、国と地方の関係はまだ必ずしも本当に分権が進んでいると言えませんから、総務省に聞かれれば、はいと言わざるを得ないのかなという点もあると思うんですが、その点はどうでしょうか、大臣。
片山国務大臣 今政府は、e―Japan戦略というのをつくりまして、それに基づくアクションプランというのをつくっていろいろなことをやっているんですね。その中の大きなテーマは、電子政府、電子自治体ですよ。国も地方も、申請、届け出をインターネットのオンライン化しよう、それで十五年度中にやろう、こういうことなんですね。半分は十四年度中にやろうと。恐らく十五年度末には、私は、国は九八%ぐらい、地方の方は九五%ぐらいオンライン化が進むのではなかろうか、こう思っております。
 そうしますと、オンラインに進むためには、結局、住民は本人確認が要るんですよ。本人確認を何でやるかというと、やはり行政機関が指定情報処理機関に確認をする、そこが住基のネットワークの利用になるんですよ。そこで、恐らく前よりはずっと各地方団体も本気になって準備に大わらわになったのは、この電子政府、電子自治体のことが一つ私はあると思うんです。
 今いろいろ聞いてみますと、指定情報処理機関においては、全国ネットワークの整備、ソフトウエア開発はほぼ終わった。また、各都道府県、市町村では、都道府県が都道府県ネットワークの責任を持ちますから、それももうほぼ終わりかけている。あるいは、既存の住基のシステムを直さにゃいけませんね、つなぐわけですから。これは市町村がやるんですけれども、これも、それに伴うテストをおおむね終了した。
 こういうことですから、私は、八月五日のこの施行は十分順調に行われていくのに違いない、こう思っておりまして、これから何カ月かありますから、最後の詰めをしっかりやりたい、こう思っております。
後藤(斎)委員 今いみじくも大臣がおっしゃられたように、この住民基本台帳ネットワークシステムは、基本的な本人確認というか住民票の写し的なもの、かなり限定された情報処理というので三年前スタートをしたというふうに認識しております。まさに、電子政府、電子自治体の中でほかに利用が広がっていく、これは当時の委員会、衆参含めて、政府が将来利用拡大を図ろうとしているのではないかという懸念の議論があったというふうに、当時私はいませんでしたけれども、お聞きをしております。
 まさに、大臣、そこの部分が一番、これだけ国民的な関心を呼んで、先ほどもお話ししたように、官だけではなく政の部分もそうかもしれませんが、その懸念が払拭されない。私は、個人情報保護の審議を実質きょうからスタートする、この部分は、三年前の部分とまさに、同じ議論ではありませんが、その部分よりもますます官や政の信頼性が失われている。ですから、冒頭、私は竹中大臣に、なぜこの時期に、三年後にというのがありましたけれども、三年ぎりぎりになって、いつもばたばたばたばたするという認識がやはり私は国民の方々からはあるのではないかなと思います。
 その点、大臣、必要な情報というものが、電子自治体、電子政府というものはわかるんですが、本来の住民基本台帳から逸脱は絶対しないんだということをこの場でお約束できますか。
片山国務大臣 個人情報保護法は一年前に出ていますよね。そういう意味では、今じゃないんですね。今出したのは、行政機関や独立行政法人が保有する個人情報の保護に関する法案、私どもの四法案を今回出させていただいたわけですけれども、そういう意味では、個人情報保護法制については一年前から御提出いただいて御審議をお願いしている、こういう状況です。
 そこで、このコンピューター社会、インターネット社会をどう考えるか。これを利用しない手はありませんよね、民に限らず、行政サイドも。そこで、私どもの方はしっかり、目的外利用を禁ずる、妙なことはやらせない、こういう担保があれば、できるだけこの本人確認を行政機関と指定情報処理機関でやってもらうのはいいことではなかろうか。この辺は、今までの考え方を少し修正していただく必要があるのではなかろうかと私個人は思っております。
 ただ、我々は目的のことしかやりませんから、目的外はやらせないということが、この住基法でも、今回の私どもの方の公的個人情報保護法でも、これは一貫しておりますから、そこの点はもうはっきりお約束いたします。
後藤(斎)委員 ちょっと申しわけありませんが、住基法の細かい点について、今回の個人情報保護法案との関係を整理させてもらいます。
 住民基本台帳法の中に地方自治情報センターの規定がございます。そして、そのデータベースが国の情報機関とネットワーク結合された場合、センターから本人確認情報の提供を受ける行政機関に対して、この行政機関の個人情報保護法案が適用されないのではないかという疑いというか懸念がございます。この点について若松副大臣、法律の中身、そして主としたこれからの運用について御答弁をお願いします。
若松副大臣 まず、ただいま御指摘のありましたいわゆる指定情報処理機関、現実には財団法人の地方自治情報センターが情報を管理するわけでありますが、住民基本台帳ネットワークシステムが保有する情報といたしまして、氏名、生年月日、性別、住所、住民票コード及びこれらの変更情報ということに限られておりまして、また、これらの情報の提供を受けた行政機関につきましては、法の別表に規定されております事務の処理以外の目的のために本人確認情報の全部または一部を利用してはならないと規定をしておりまして、先ほど申し上げました限られた情報の利用ということに限定されている制度でございます。
後藤(斎)委員 もう一点、細かな点について入らせていただきます。
 この住基ネットの導入によって、警察、これは行政機関であります。警察庁が各行政機関とネットワークを結合させて犯罪捜査以外に個人情報のデータベースすべてを検索されてしまう、それに対する懸念もあわせて指摘をされております。先ほども御指摘をしたように、行政機関の個人情報の方でも、行政機関内の利用ないし行政機関の間の相互の個人情報データベースの提供というのが、ややもすれば非常にノーズロに勝手にされてしまうという懸念が正直言ってあると思います。
 本当にそれを厳格にしていくという、先ほど若松副大臣、総務大臣もお答えをいただきましたが、特に警察との関係も含めて、もう一度御答弁をお願い申し上げます。
若松副大臣 まず、いわゆる個人情報、先ほどの地方自治情報センターが管理するところの情報でありますが、この個人情報保護のための必要な措置が、地方自治情報センターの業務をしっかりやるような観点からその措置が講じられているということは、先ほど申し上げた次第であります。
 さらに、行政機関が地方自治情報センターから提供を受けた本人確認情報、これにつきましては、住民基本台帳法の保護措置の対象になるとともに、行政機関等の法制の保有個人情報に該当しまして、行政機関等法制の規律による保護対象となっております。
 そして、今御懸念の現行の住民基本台帳法でございますが、本人確認情報の提供先といたしまして、警察庁や犯罪捜査の事務を規定しておりません。よって、警察庁が住民票コードを手がかりに行政機関の個人情報データベースを検索することはできないもの、このように理解しております。
後藤(斎)委員 今回の個人情報の保護制度の体系というのは、先ほどお話がありましたように、基本法、民間部分も含んだもの、そして行政機関、独立行政法人、そして地方公共団体の条例ということでピラミッド型の法体系ということで、これは総務省の方も整理してあるところ、これは何度か理解をしているところなんですが、実際、これがどんどん審議が進み、一方で、一番重要である地方公共団体の条例の部分、これは先ほどもお話をした日弁連のアンケート調査によると、個人情報保護の条例をきちっと制定をしている自治体はわずか二%。今後検討予定だというところも含めても検討中というのが三%。まさにこの五%という中で、政府が今お考えになられている基本法制、行政機関、独立行政法人、そして、一番国民生活に近い自治体の部分が、これからのきちっとした検討も含めて条例制定をするというところが五%しかないわけです。この部分がもしすぽんと抜け落ちて、このまま自治体でも個人情報保護の条例制定をしないというふうなことにならないように、やはり総務省も政府全体としても働きかけもしていくべきだと思うんですが、その点、総務大臣、どんなふうにお考えでしょうか。
片山国務大臣 何を条例の中身に決めるかということですね。法令で担保できないものは条例で決めなきゃいけませんが、それ以外の規則でも、あるいはほかの形もあります。
 ただ、この八月五日から住基システムに対する行政機関の本人確認が始まるんですが、これはもっとわかってもらわにゃいかぬと私は思っています、国民の皆さんにも地方団体の責任者にも。そういう意味で大いにPRいたしたいと思いますし、必要があれば条例制定を地方団体に指導いたしたい。ただ、そのためには何をどういうふうに地方団体で決めてもらうかということをまず検討いたしたい、こういうふうに考えております。
後藤(斎)委員 まさに今片山大臣がお話をされたように、今まで例えば三年間、当時総務省というのはありませんでしたが、住基ネットについても今回の個人情報保護法についてもそうですが、基本法についてはもう一年前に出して継続になって、新しく行政の方もいろいろな各審議会を通じて対応なさっていることは十分承知しています。
 この間、じゃ、政府として、住基ネットに懸念があるという国民の懸念、それはもしかしたら一部かもしれません、大臣のおっしゃるように。ただ、自治体の方も含めて十二分な理解がいまだできていないというのも私は事実だと思います。そして、個人情報保護法案の、行政も含めたものですが、この内容、趣旨についても、一般の国民の方、メディアの方も含めてそうかもしれませんが、きちっとした議論をする場、政府の意図をきちっと周知をする場をつくったりする努力というのが少な過ぎたんじゃないかと私は思うんです。
 それぞれ担当が違うので、簡潔に若松副大臣と内閣の方から、なぜこの場になっていろいろ言われながらやるのか。多分、官房長官や竹中大臣や総務大臣も若干ちょっと違うのではないかなという思いがあるのかもしれませんけれども、どういうふうにこれまでやってきたのか、きちっと説明を求めたいと思います。
若松副大臣 住民基本台帳ネットワークシステムの広報についてのお尋ねでございますが、現実に、平成十一年度の後半におきましては、まず、パンフレットを作成しまして各市町村等に配布させていただいております。また、政府広報の活用ということで、政府広報誌「フォト」への住民ネットに関する論文掲載を平成十三年度中にもさせていただきましたし、また、テレビ広報をテレビ東京で昨年の十二月に放映させていただきました。あわせて、各種イベントの活用ということで、これも昨年の十月でありますが、片山総務大臣出席のもと、日経新聞社の主催によります電子政府戦略会議の開催等、また、二十一世紀地域活性化フォーラム、第八回ICカード国際会議シンポジウム等ございまして、私どもといたしましては、さまざまな広報誌を活用しながらPRを行ってきたところでございます。
 そして、いよいよことしの八月からの住民基本台帳ネットワークシステムの実施を控えまして、住民向けパンフレットやポスターの作成、地方公共団体の広報誌等を通じた広報の強化等を地方公共団体と協力して実施しておりますし、さらに政府広報の活用も検討することとしておりまして、このシステムに対する国民の理解をさらに深めるべく努力してまいりたいと考えております。
藤井政府参考人 基本法制についての検討経過とPRの状況についてのお尋ねでございます。
 政府として基本法制の具体的な検討を始めたのは平成十一年からでございます。まず、骨格づくりの段階には、二回ぐらいの民間有識者等にお集まりいただいた検討のための会議を設けているということです。そういった会議の中で、まず、関係団体の方々からのヒアリング等を何回かやっているだけじゃなしに、会議自体、可能な限りメディアに公開するとか、あるいは議事録、関係資料、そういったものも公開するとか、あるいは、しかるべき段階、例えば中間報告とか報告書が取りまとまった段階には、パブリックアセスメントですか、それから記者に対する御説明、それから論説懇、そういったものをするとかいう形で進めていただいていたところでございます。
 また、法案が政府の中で立案された段階でも、その内容については、関係団体に御説明するなり、あるいはホームページに、QアンドAとか法案の概要とか、いろいろそういったものを載せるというような形で、できるだけ国民の皆様方に御理解いただけるように最大限の努力をしてきたと思っております。
 ただ、お尋ねのように、一般国民にまでこの法案の内容が支持されているかと言われると、そこはまだまだ内容の的確な御理解が進んでいるとは考えておりません。これからも、関係団体とか国民の皆様方に対するPRについては努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
片山国務大臣 先ほどちょっと、委員の日弁連の数字で五%というあれですが、平成十三年四月現在で、地方団体においては約六〇%が個人情報保護条例を制定しているそうだ、規則やその他を含めますと八〇%、こういうことでございますから、日弁連の数字はちょっと古いんじゃないでしょうかね。
後藤(斎)委員 その点はちょっと私、もう一度確認をしますが、最後に、官房長官、三年前、小渕総理は、住民基本台帳ネットワークシステムの実施は民間も対象とした個人情報保護に関する法整備を行うことが前提であるという国会でのお答えをされております。
 三年間たってしまったんですが、仮にぎりぎりの中でこの法案が通らなければ、住民基本台帳ネットワークは政府としては実施しないんでしょうか。それとも、法案が成立しなくても住基ネットは八月五日から実施するんでしょうか。それで、もし法案が通らないような場合は、内閣としてどんな形で責任をとられるんでしょうか。
福田国務大臣 平成十一年の改正住民基本台帳法案の国会審議におきまして、「住民基本台帳ネットワークのシステムの実施に当たりましては、民間部門をも対象とした個人情報保護に関する法整備を含めたシステムを速やかに整えることが前提である」、こういう総理答弁があったわけでございますね。したがいまして、住民基本台帳ネットワークシステムの実施に際し、個人情報保護法は成立していることが望まれているというところでございまして、法案の早期成立を図っていきたい、こういう考えでございます。
 このシステムの実施につきましては、改正住民基本台帳法それ自体は、公布の日から三年以内に実施すると規定してございます。また、全地方公共団体で本年八月の施行に向けて着実な準備が行われているというところでございまして、施行のおくれは大きな混乱を生じさせるということにもなりますので、そういうことから考えまして、改正住民基本台帳法の規定どおり、本年八月に住民基本台帳ネットワークシステムを実施する必要があるもの、こういう認識をいたしております。
後藤(斎)委員 質疑時間は終了しているんですが、官房長官、個人情報保護の法案の有無にかかわらず、成否にかかわらず住民基本台帳ネットワークシステムは実施するということなんですね。
福田国務大臣 我が国におきますIT化の進展は非常に目覚ましいのでございまして、この法律を整備することは急務でございます。よく御審議をいただいて、ぜひともこの国会で成立をお願いしたい、このように思っております。
後藤(斎)委員 答えていませんが、時間ですからルールどおりやります。来週、またきちっとお話をさせてもらいます。
大畠委員長 これにて後藤君の質疑は終了いたしました。


2002/05/17

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