2002/05/29

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平成十四年五月二十九日(水曜日)

細野委員 おはようございます。民主党の細野豪志でございます。
 早速ですが、質問に入らせていただきます。
 ただいまの小泉総理の御答弁を伺っておりまして、私は二つ、やはり冒頭申し上げておく必要があるなというふうに思っております。
 一つは、法案ですので、これは当然国会で審議するわけです。国会の中でよかれと思う修正が出てくるのは、これは、立法機関ですので、当然国民の負託を受けた我々の仕事であると考えます。しかし一方で、行政のトップである小泉総理は、政府として責任を持ってベストの案を国会に出してくる必要がある。政府の内部で、小泉総理が竹中大臣に修正を検討するようにと、修正案、読売案を検討するように言ったという話と、国会で修正論議があればそれは議論を見据えてということは、全く性質が違うということをまず小泉総理にしっかりと押さえていただきたいと思います。これは前提でございますので、これ以上申しません。
 小泉総理に伺いたいのは、私は、先ほどの工藤委員の質問についての答弁を聞いていてもよくわからないのは、読売案を検討しておくようにという指示をされた。これは竹中大臣にされたわけですね。読売案というのは修正案なんです。読売案という修正案を検討するようにという指示と修正を検討しておくようにという指示がどう違うのですか、お答えください。

小泉内閣総理大臣 報道の自由と個人情報、プライバシーの保護というものは、私は両立させなきゃいけないものと思っております。また、国民に理解と協力を求める際にも、政府として、国会の議論の末に修正すべき点があれば修正すべきという点も排除すべきではないという考えから、建設的な意見については常に検討、勉強しておく必要があるということであって、私は、そのようないろいろな建設的な意見については、審議の前からよく勉強、検討して、理解と協力を得られるような答弁を用意しておくのは必要ではないかということでありまして、検討、勉強と結果的に修正を受け入れるということとは全く矛盾しない点だと思っております。

細野委員 正直言いまして、総理とこの部分に関しては、これ以上詰めて議論してもいま一つかみ合わないような気がいたしますので、最後に私の見解を述べさせていただくとして、それではもう少し具体的に伺います。
 竹中大臣の先日の答弁、そして記者会見の資料などを見ておりますと、読売案に関して総理はこうおっしゃったというふうになっています、非常に前向きに熱心に議論していただいている案だなと。読売案を当然総理はごらんになったわけですよね。読売案のどこを見て前向きだというふうにお考えになったのか、お聞かせください。

小泉内閣総理大臣 読売案については、いろいろ各項にわたって詳細に出ておりました。
 私も一読いたしまして、まず、人権、プライバシーと報道を両立させるための趣旨であるということは、これを読めばわかると思います。そして、透明性の確保の原則は報道分野への運用を除外する、あるいは表現の自由に対する配慮義務を明確化するという点についても、我々の政府案と趣旨を一にしているというふうに考えております。
 また、具体的に申し上げますれば、政府案としては、全部は読み上げませんし、省略いたしますが、「表現の自由、学問の自由、信教の自由及び政治活動の自由を妨げることがないよう配慮しなければならない。」と規定しているところを、読売新聞の修正試案は、「妨げることがないよう配慮しなければならない。」という点を「妨げてはならない。」というふうに規定しております。この点については、趣旨としては同一だと思っています。政府案も、信教の自由とか表現の自由とか政治活動の自由を妨げてはならないという趣旨で、「妨げることがないよう配慮しなければならない。」と規定しているんですが、そこら辺について、若干、反対している方々の中には危惧を持っているということから、読売新聞の修正案というのは、「配慮しなければならない。」ということを「妨げてはならない。」と言った方がいいんじゃないかというような規定を設けております。こういう点については、趣旨としては私は一にしているのではないかというふうに考えております。
 そのほか、いろいろ具体的に提案をされておりますが、ともかく、ただ反対反対、廃案廃案という報道が多い中で、報道機関として、言論、報道の自由と人権、プライバシーの保護というのは両立できるんだということを真正面から取り上げた点というのは私は評価すべきだと思いまして、よく検討、勉強する必要があるのではないかというふうに指示したわけであります。

細野委員 総理、そのほかにもたくさんあるとおっしゃいましたが、読売の修正案はその総理が評価をされる二点だけであります。この二点は、両方、メディアに対する規制の懸念を読売新聞が感じて、修正すべきだという提案をしている。
 いいですか、総理、本会議場で総理は、この法案はメディアの活動を規制する意図は全くありませんという答弁をしている。今総理は、メディアの部分に関して配慮をするこの読売の案を、この部分に関して評価するとおっしゃるのであれば、この原案にメディアの規制の懸念があるということをお認めになるということですね。そうじゃないと評価しようがないじゃないですか、読売案を。これははっきり御答弁いただきたい。

小泉内閣総理大臣 私は、メディアを規制するということではなくて、誤解が生じているから、そういう誤解を解くためには、「妨げることがないよう配慮しなければならない。」というのを「妨げてはならない。」という方がいいというんだったら、それも一つの検討項目ではないかなというふうに考えているのでありまして、私の答弁とは全く矛盾するとは思っておりません。

細野委員 誤解というのはごまかしですよ。読売案を、この部分二点しかないのに、総理は評価されるわけですよね。メディアからの懸念を、まさに私から見ればつまみ食いですけれども、それを反映した案を評価されるということは、何度も言いますけれども、この政府原案にメディア規制の懸念があるということを意味しているとしか考えられません。それは総理の答弁で私ははっきりしたというふうに思います。
 この点はこれ以上議論しても恐らく水かけ論になりますのでやりませんが、私自身は、実はこの読売修正案に関してはさまざまな疑念があると思っております。工藤議員は否定をされましたけれども、明らかに、読売の修正案が出てきているこのタイミングというのは余りによ過ぎるんじゃないか。
 その辺のことについて少し伺いたいと思いまして、無理を言いまして、本日は与党の理事の皆さんに本当に御配慮いただきまして、竹島内閣官房副長官補に来ていただいております。
 まず初めに、竹島政府委員にお伺いします。
 個人情報保護法案をめぐって、読売の役員の皆さんと竹島さんはお会いになりましたね。その事実と日時を教えてください。

竹島政府参考人 読売新聞だけではなくて、ほかの新聞社、それから放送関係の民放の会社その他、私ども、マンパワーに限りございますけれども、この法案についての御説明ということで、呼ばれたり、こちらからお願いしに行ったりということで、複数、御説明の機会を能動的、受動的に設けさせていただいております。
 それで、読売新聞社につきましては、連休前に日本新聞協会が緊急声明を出されました。その中で、私どもいろいろ説明を申し上げてきたんですけれども、まだ十分に御理解いただけないという一つの象徴的な話として、報道機関にこの個人情報保護法が主務大臣を置くという前提で、前提というかそういう法律になっておるという御認識でいろいろ言っておられる。緊急声明にもそういうくだりがあるわけでございます。
 その点は、この法律は報道機関に関して主務大臣はおりません、置いておりませんということを御説明しなけりゃならぬと思いまして、読売新聞社の方に行って、その他のこともございますけれども、御説明をさせていただいた。これは読売新聞だけではございません。ほかの新聞社にも、私の時間のある限り、そういうことで御説明の機会を設けさせていただいたということでございます。

細野委員 朝日新聞にも行かれたという話も私は聞いております。ほかの新聞は、詳しくは申し上げませんけれども、竹島さんが新聞社へ行かれる前も後も論調は変わっていないんですね。しかし、はっきり言えるのは、読売新聞だけはゴールデンウイーク前にあなたが訪問した後と前で論調が変わっているんです。
 具体的に指摘したいと思います。
 新聞協会の緊急声明が出されたときには、「大臣や官庁が取材協力者の側を通じて報道機関を監督し、取材・報道活動に介入し得る仕組みになっている。」という批判がある。そして、本会議で趣旨説明がされて、それに対して質問がなされた次の日、四月の二十六日の朝刊を見ると、「報道機関が政治家の不正を取材しようとした場合、政治家の個人情報を目的外に提供した者が罰則の対象になるため、実際上、報道機関の取材活動が難しくなる。」そういう極めてこの個人情報保護法案に関して厳しいコメントが読売新聞に載っています。
 新聞協会の関係者に私はある話を聞きました。読売試案が登場する数日前に、読売新聞のこの部分に関して検討されてきた責任者が、突然、政府案もよく見るとよくできていると発言をして、関係者が大変驚いた、そして数日後にこの読売修正案が出てきた。そして、その次の日に、小泉総理、総理が、よく前向きに検討していただいている案だ、しっかり検討するようにと御発言をされている。読売の論調は変わって、修正案が出てきて、総理がそれに呼応した。しかも、竹島さんが行かれた前後に読売の論調が、皆さん見ていただければわかる、明らかに変わっているんです。
 竹島さん、読売に行かれたときに修正案に対する話は出なかったんですか。

竹島政府参考人 読売新聞社を含めて修正のお話はもちろん一切しておりません。また、私どもは、これは二年以上かけて、専門家の有識者の御意見、御尽力もいただきながら練り上げてきたものでございまして、最善と思っております。そういう意味で修正ということをこちらからお話しするわけもありませんし、読売新聞社との話し合いでそういう話は一切出ておりません。
 それから、今論調が変わったというお話がございましたけれども、それは私どものまさに関係するところじゃございません。あらゆる機会でいろいろな記者の方々からも質問を受けますし、機会を設けていただいて説明する機会も各党にもございますが、私どもはこの法律で規定していることをまさに客観的に御理解いただきたいということを説明させていただいているわけでございます。
 その中の一つの大きな話は、これはあくまでも個人情報の保護が必要である、日本はおくれておるということでこういうことになってきているわけであって、メディア規制という趣旨ではありません。ただ、実際問題として、メディアにおいては個人情報をたくさん持っておりますから、こういう包括法になってくるとそこの調整が必要になる。それについてはむしろ報道の自由を阻害することのないように最大限の配慮をしているんですということを御説明申し上げているわけです。
 そのときの一つの基本的考え方として、報道の自由というのは非常に大事である。これは言われるまでもなく大変大事なことでありまして、民主主義社会を支える大変大きなものでございます。ただ、その報道の自由というその本質は何だろうかということは、これは人権とかほかのあらゆる自由、権利に絶えず超越するものではない、これは公権力からの自由ということが報道の自由の眼目であります。
 一方、この法律は、最初に申し上げましたように、個人情報の保護が必要であるということをこの法律で規定しているわけでございまして、その関係で個人情報の保護、プライバシーの重要性と報道の自由との調整の問題があって、そこは公権力が出ていかないように全部第五章では義務規定を排除してありますし、かてて加えて、取材先に対する主務大臣の関与がないように四十条で配慮義務規定も置いて、そういう形で公権力からの自由ということについては担保しております。
 こういう御説明をあらゆるところでしているわけでございまして、そういう意味からいって、読売新聞社は、先ほど何遍も総理が御答弁ありましたように、その両方を両立し得る、させなきゃならぬという前提で話しておられるということを私どもは評価しているということでございまして、個別具体的な修正の話について評価いたしているわけではございません。

細野委員 今の竹島さんの御答弁を聞いていまして、よくわかったことがあります。それは、あなたが一番この法案にこだわっている。ずっと過去の経緯も含めてよく御存じで、今早口で物すごい勢いで法案のポイントを言われた。一番こだわって、新聞社との交渉にも前面に立ってやったのがあなたなんです。
 これは周知の事実ですので申し上げますが、あなたは公正取引委員会の委員長に内定されている。これ以上言いませんが、仮にこの部分で何らかのメディアと取引があったら、本当にこれは大変なことですよ。日本経済の番人が、公正な取引をしようという、その機関の長になられる方がもしそういうことをやっていたら大変なことである、そのことだけ申し上げて、私がなぜきょう竹島さんに来ていただきたいと最後まで粘ったのか、そのことを最後に言わせていただいて、一言御答弁をいただきたいと思います。
 昨日の毎日新聞にこういう記事があります。写真つきで、竹島さん、こうおっしゃっている。「読売新聞が出した修正案は、表現の自由と個人情報保護の両立を考えられており、ありがたい。方向性が政府提案と同じで評価できる。」
 あなた、この委員会で、政府の中で読売案の修正を検討しているということについてさんざん議論があるのを御存じなんでしょう。まさに政府の中枢にいる官房の方が、今まさに総理が、検討はしていない、いろいろな意見を聞くんだ、竹中大臣がそうおっしゃっている。国会で議論になってから、だれも大臣、そういう発言されていないんですよ。新聞で堂々と読売案を評価して、これは疑惑持たれてもしようがないでしょう。読売案がありがたいということですよ。こういう発言を国会の外でされることについて、私はこれは国会軽視だと思う。竹島さんの御答弁をお伺いします。

竹島政府参考人 毎日新聞のインタビューは、これはインタビューでございまして、毎日新聞の方からお申し出がありまして、どうしようかと思いましたのですけれども、ぜひということでありましたのでインタビューに応じたということでございます。
 したがって、インタビューは一問一答でございますので、一問一答で記事にしていただければ本当はありがたいんですけれども、ああいうふうに要約しておられる、見出しもつけておられる。私が一問一答で答弁したとおりではないのでございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように、私が毎日新聞の方の質問に対しても、読売についてどう考えますかという御質問がございましたから、先ほど少し早口で申し上げましたけれども、そういう内容を申し上げたのであって、個別具体的に、そういう見出しでもって整理されるような、ニュアンスがちょっと十分に伝わらないような感じになっているということでございまして、先ほど御答弁申し上げましたとおり、修正の話を私はしているわけではございません。あくまでも、この法律の中に規定されている規定ぶりなりについて、物の考え方を御説明しているということに尽きるわけでございます。

細野委員 これ以上この問題については答弁は求めませんが、じゃ、総理、再確認いたします。
 国会での議論を通じて修正の余地はあるけれども、読売案は修正のたたき台にはなっていないという理解でよろしいですね。

小泉内閣総理大臣 どの案をたたき台にするしないの問題じゃないんです。建設的な報道の自由と人権の擁護、個人情報の保護、両立できる意見については謙虚に耳を傾けるべきだなというのが私の趣旨であります。

細野委員 この問題についてはこれ以上聞きません。しかし、重大な疑惑があるということは、私はこの委員会できちっと指摘をしておきたいと思います。
 続きまして、防衛庁の漏えい問題、これについて、残った時間十分程度でございますけれども、質問をさせていただきたいと思います。防衛庁の方、いらしていますね。伺います。
 事件の詳細については昨日も記者発表されていますし、私も、新聞紙上、また直接さまざまな形で聞いておりますので、概要はすべて伺いません。
 聞いている方のために若干申し上げますと、海上幕僚監部の情報公開室の担当の方が、昨年四月からことしの三月にかけて、情報公開法上で請求をされた方のリストをつくった。その中には反戦自衛官という思想にかかわるような記述があり、また病歴に対する記述まであった。データは逐次更新され、担当中に一回から五回にわたり更新をされていた。しかも、七人の方にこの情報が渡っていたという事実。簡潔で結構ですが、これは間違いありませんね。
 プラス、もう一つ伺いたいのは、その七人に渡っていた中に、一人の人物に、中央調査隊というのがある。簡潔で結構ですので、これはどういう組織か、お答えください。

柳澤政府参考人 現在も含めまして、鋭意調査を進めております。
 昨日までに判明したところを私から記者発表させていただきましたが、今御指摘の点にございましたように、その請求書に記載されている以外の個人情報、これは本人は、インターネットですとか、あるいは情報公開窓口の人間とのやりとりの中で整理したということで言っておりますが、中には、今御指摘の反戦自衛官でありますとか受験者の親とか、そういった表現もあったわけでございます。
 これは担当レベルで七人、とりあえず今確認できておるのは七人でございますが、これも三佐、二佐といった担当レベルでございましたが、参考までにといって持っていったということでありますが、それぞれの者は破棄したかあるいは全く使用はしていない、こういうことを確認しております。
 それから、中央調査隊でございますか、これは、いわゆる秘密保全といいましょうか、情報保全の担当を主な担当とする組織でございます。
 恐らく、今本人も呼んで調べておりますが、彼と昔から知り合っていた同僚がいたということで、参考までに渡したという程度のことは今聞いておりますが、さらにその動機等については確認をしているところでございます。
 いずれにしても、昨日も申し上げましたけれども、情報公開の趣旨、それから行政機関の持っている個人情報保護の趣旨からいたしましても極めて不適切であると認識しておりまして、さらに調査を徹底して、必要な処分と再発防止策を今後検討していくということを考えておるわけでございます。

細野委員 中央調査隊は情報保全をするとおっしゃいました。わかりやすく言うと、この中央調査隊というのは、防衛庁の内部及びかかわる人間の諜報機関でしょう。どういう思想を持っている人間がいるのか、防衛庁の中に反戦主義者はいないか、そういうことをやってきた機関ですよね。これは結構です。もう明らかです。
 片山総務大臣に聞きますが、これは現行の行政機関の個人情報保護法に明らかに抵触していませんか。これは、この時点でこの機関の人間に情報が行っているということ自体、情報公開法を明らかに逸脱していないか。片山大臣の明快な御答弁をお願いします。

片山国務大臣 現在、防衛庁長官の方で事実確認をやっておりますけれども、伝えられるところによりますれば、大変不適切だと私は考えておりますが、いずれにせよ、事実を確認して、防衛庁の方で適切なこれまた対応をしてもらえるものだと考えております。

細野委員 では伺いますが、個人情報保護法、行政機関のもの、今これは罰則規定はありませんね。仮にこれが事実だとすると、どういう罰則が適用される可能性がありますか。

片山国務大臣 ストレートな罰則適用じゃなくて、国家公務員法等になるわけでありまして、もし犯罪ということになれば、これは告発の義務がありますし、法令遵守義務違反なり信用失墜行為になれば、これは懲戒処分その他、罰則相当の処分が行われることになるわけであります。

細野委員 いいですか。個人情報保護法、本法は、民間の事業者に関しては六カ月以下の懲役を規定しているんですよ。国家公務員法には、懲戒はあるけれども、懲役なんかないですよね。しかも、民間でこんなことをすれば即首ですよ。懲戒なんて当たり前。プラス政府から懲戒処分にもなる。このアンバランスが明らかにあるわけですよ。もうこれ以上聞きません。
 しかし、官房長官に一言伺いたい。私、昨日の官房長官の記者会見を見て唖然といたしました。行政機関に罰則がないということですが、もう行政機関、そもそもそういうことをしないことになっているんですねと。もう一つ非常に問題があることを言っている。だけれども、マスメディアもないでしょうと。マスメディアと行政機関を同一に論じてどうするんですか。まさに行政機関の情報の流用がこれだけ明らかになっているのに、内閣官房の中枢のあなたがこんなことを言う。私、この法案の前途に本当に暗たんたる気持ちを正直、この発言を聞いて感じました。
 福田官房長官、これからどうされるおつもりなのか、お答えください。

福田国務大臣 昨日の記者会見で、この防衛庁の事件がどういう内容のものか、まだ私もよく承知していない段階でもって記者から聞かれまして、そして、とっさのやりとりだったということで、その辺深く考えていなかったということは、これはもう率直に認めます。
 その上で、私も、防衛庁のことはその時点においてわからなかったということでございますので、それはそれとして、今回の防衛庁の事件というものは、内容はすべて私、承知しているわけではありませんけれども、これは決して看過できない重大な問題だろうというように思っておりますし、それに対しては相当な対応をすべきだろうというふうに考えております。
 また、マスメディアとの関連について申し上げれば、それは、この個人情報保護法案においていろいろな、適用除外と申しますか、報道の自由というようなものについての考え方というものは明確に出ておりますので、その考え方は全くそのとおり、私自身もそう思っているところでございます。

細野委員 最後に一点だけ伺います。
 総理、今この法案が議論されようとしているんです、行政機関の個人情報保護法。現行法とほぼ形は一緒です。罰則規定はないんです。この個人情報の極めて誤った流用事態にダイレクトに、民間と同様、もしくはそれ以上に厳しい罰則を科す必要性は絶対あるんですよ。今、国民みんなそう思っている。個人情報の扱いが今一番ずさんなのは官である、みんなそう思っている。それを立証したのが今回の事件ですよ。
 総理、この部分に関してはお考えを変えるおつもりはありませんか。

小泉内閣総理大臣 この防衛庁の問題は、情報公開といいますか情報開示の問題と個人情報を保護する問題、これについて不安や混乱が起こらないように厳正な対応が必要ではないかと思っておりますが、今回の個人情報保護法案等は、言論の自由、報道の自由と、個人情報の保護あるいは人権、プライバシーの保護ということを目指したものでありまして、私は、この法案の成立に向けて全力を尽くしていくということと、今回の防衛庁の問題についてきちんとした対応をすべきだということは、並行してやっていかなきゃならない問題だと思っております。

細野委員 時間が来ましたので終わりますが、大変失望いたしました。お考えをぜひ変えていただきたい。
 それで、最後に一点、委員長に、防衛庁の長官をぜひこの場に呼んでこの問題を集中的に議論していただきたい。もう基礎の基礎の問題です。そのことを最後にお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

大畠委員長 これにて細野君の質疑は終了いたしました。


2002/05/29

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